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学校支援と家庭支援をつなぐ災害対応スクールソーシャルワーカーの役割

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Academic year: 2024

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学校支援と家庭支援をつなぐ

災害対応スクールソーシャルワーカーの役割

研究代表者 人間・心理学系

鈴木 庸裕

1.調査研究の目的

震災後、子どもたちにとって安心と信頼のできる生 活環境が未だ見えづらい状況にある。このプロジェク トでは、学校保健、学校ソーシャルワーク、学校マネ ジメントの視座から、子どもを取り巻く生活環境や学 習環境への支援をつなぐスクールソーシャルワーカー のあり方と、今後の学校の「再生」や「復興」への相 談援助について検討をおこなった。3月下旬以降、福 島県内の保育園、幼稚園、小学校、中学校、特別支援 学校、そして市町村教育委員会の教員や職員、スクー ルソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、さら に各地の児童福祉や保健福祉の関係者、避難所や災害 ボランティアセンター、NPO などで対応するスタッ フへのニーズ調査を実施した(12の市町村教育委員 会、30を超える諸学校園の教員、延べ20名の災害関係 スタッフからの聞き取りによる)。

2.調査研究組織

<研究代表者>

人間・心理学系 鈴木 庸裕

<研究分担者>

健康・運動学系 佐藤 人間・心理学系 渡辺 博志

3.調査研究計画・方法・経過や結果

3月14日以降、川俣町、福島市、須賀川市、南相馬 市、伊達市、本宮町、二本松市、浪江町、大熊町等の 地域を中心に、まず定点巡回や情報収集のモニタリン グをおこない、次に、以下の本調査等をおこなった。

被災者受け入れ自治体(川俣町、二本松市)の避難 所本部現場と携わる中で、とくに浪江町や南相馬市な ど避難が後発になったところでは、福島市や二本松 市、川俣町、猪苗代町などに避難したため、自治体を 超えた分散状態にある。そのため保護者も避難所生活 や仕事、子どもの学校選択をめぐり相当な混乱が生 じ、今日なお深刻な状態である。震災被害及び避難指 示・屋内待機・計画的避難地区にある地域の避難者が

遠く離れた諸学校に転校、そして2次避難による再転 校など不安定な状況がつづく。

その中で、災害ストレスやトラウマ、「心のケア」

問題の背景になる、学習空白への不安や親の無職など 家庭の生活基盤問題への不安による子どもへの影響が 多発した。「生活のケア」への対応である。小規模な 情報収集ではあるが、これらのことを避難所や市町村 教委、学校に出向き、被災者や担当者、自治体の障害 福祉、児童福祉、保健福祉等の担当者、学校では特に 養護教諭からの聞き取りを行った。さらに東北各県か らの報道や情報収集、スクールソーシャルワーカー事 業でネットワークのある大阪・神戸と関東圏、福岡、

新潟での受け入れ状況(6月現在)から情報を得た。

「四重苦」の災害の中、災害緊急対応の欠如が阪神 淡路震災や中越震災の教訓よりあらわになった。しか しその一方で、子どもの笑顔、学校の再開、学習環境 の安定が地域の復旧や復興の光となり、被災住民共通 の「希望」になりつつある予感もある。主に東北地方 の自然災害後の特徴として、学校が地域の安心・安全

・安定に関わってきた歴史がある。戦後復興やこれま での大災害の教訓から学校防災と地域災害復興の関係 性には一定の妥当性が見られる。

また、いくつかの避難所(川俣町、須賀川市、二本 松市、南相馬市など)では、地域住民が炊き出しや健 康活動等、災害ボランティアや支援活動に初動期から 関わり、地域の幼、小・中・高の教員が学習ボラン ティアにはいり「ミニ学習会」をおこなったところ は、そうでないところと人々の生活の安定に向け差異 があった。たとえば、学校ごとの工夫した取り組み

(相馬の教師によるボランティアスクール)がおこな われたり、教育と福祉と保健等の専門職が現地でチー ム支援を心がけたところではその後の地域復興のテン ポに大きな違いが見られた。

概して、現行の学校防災・学校安全法規や施策は、

学校のもつ避難所機能や教職員が避難所・地域復興を いかに担うかという計画が中心であった。生活基盤の 喪失とその長期化が「史上初」となる東日本大地震で は、教育と福祉と保健、医療、心理、地区住民等の専 門職・関係者が学校防災の支援チームとして協働連携 し続けることが大切となることが明らかになった。

福島大学研究年報 別冊

緊急の調査研究課題 17

(2)

今回の初動期リサーチでは、「子どもの安心環境」

が地域復興の原動力となり、今後の中・長期にわたる 地域復興と地域創造の軸になると考える。今後の学校 防災が地域防災、地域復興、地域づくりの基盤となっ ていくことに大きな望みを持つ必要がある。阪神淡路 や中越、三宅島、奥尻島などの教訓に関わる諸研究や 計画に準じるにはあまりにも甚大な災害であり、原発 禍によって復旧に相当な遅滞がある。ゆえに、これま での急性期の心理的アプローチのマニュアルがもつ不 適合性や学校教職員だけが担う防災教育の不備、担当 部局別の地域防災計画の機能不全、ハード面重視の学 校施設防災計画などの課題を踏まえ、これまでの諸研 究とも連携しながらもさらに長期的展望を持たねばな らない。今後とも、初動期の今から経年変化を調査 し、「子どもの健康、家庭や地域の生活安定」のプロ セスを調査・分析し、今後、学校防災と地域災害復興 をつなぐ人材育成に関する研究へ発展させていきた い。

4.まとめと今後の展望

<研究活動の一環としての人材育成>

本研究と並行して、社会福祉士や保育士、幼小中高 教諭、養護教諭などの教育関係者、保健福祉機関職 員、学生・院生、市民向けの研修会や事例検討、シン ポジウム等を開催し、こうした機会を通じても、情報 収集等をおこなった。

・5月14日 スクールソーシャルワーカー等への研 修(会場:福島大学)「支援する人を ケアする」講師:山岡 聡氏(新潟県 中越教育事務所スクールソーシャルワ ーカー)

・7月16日 第1回福島県スクールソーシャルワー カー研修会(会場:福島大学)

「学校とは。スクールソーシャルワー カーのための基礎知識」講師:渡辺博 志教授(福島大学)

・7月23日 第2回福島県スクールソーシャルワー カー研修会(会場:福島大学)

「スクールソーシャルワーカーの役割 とアセスメント」講師:佐々木千里氏

(京都市教育委員会スクールソーシャ ルワーカー・スーパーヴァイザー)

・8月22日 福島県青少年会館主催『現代子ども事 情フォーラム』

・8月9日 会津教育事務所教育相談担当者協議会

・8月27日 第3回福島県スクールソーシャルワー カー研修会(セミナー)文科省:高橋 あすか氏(児童生徒課生徒指導第1係 長)、シンポジウム「教師・SC·SSW のコラボレーション」(中学校校長、

スクールカウンセラー、スクールソー シャルワーカー)

<調査から明らかになった課題とスクールソーシャル ワーカーの役割>

!家族の生活基盤自体(無就労や家族離散など)の修 復が長期化する中、保護者からの生活面に関する相 談が数多く学校や担任に持ち込まれ、その対応に相 当の苦慮があったこと。

"家庭の生活基盤の安定といった生活福祉的対応が立

ちおくれる中で、被災地と受け入れ地双方の自治体 間の連携やサービスの引き継ぎが求められてきた。

#子どもや家族への教職員の「気づき」を、具体的な 福祉・保健・医療などの関係機関や関係行政窓口に つなぎ、学校から何を依頼や相談すればよいかのか を明らかにし、学校と関係機関との関係調整をサポ ートする人材が求められている。

その際、スクールソーシャルワーカーの役割として 抽出できた内容は以下の通りである。

!学校や教育委員会、家庭、地域の専門機関等への聞 き取りや面接、担任やスクールカウンセラー、子ど も本人、保護者(養育者)、関係機関などからの聞 き取りや情報収集を通じて、子どもの本人理解を行 い、具体的な支援の糸口を見つけ、対応のプランづ くりに活かす。

"関係機関へのつなぎ(代弁・代理、連絡調整、付き 添い、橋渡しなど)

子どもへの相談支援という直接的支援とともに、

その声を保護者や教師につなぎ(代弁)、問題解決 に向けた情報の提供や共有、教育委員会や地域の関 係機関との連携、児童福祉や障害者福祉、地域福 祉、生活保護等の窓口や社会福祉制度への橋渡し、

付き添い、代理など、教育現場への間接的な支援活 動をおこなう。

#問題解決への関わり(支援の視点)

ソーシャルワーク(子どもの最善の利益)の視点 から提案や多職種による共同作業を推進する。

<いくつかの提案>

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以下、スクールソーシャルワーカーに求められる相 談援助について提案する。

!教職員やスクールカウンセラーと支援チームをつく り、災害によって顕在化した家庭基盤の脆弱さや要 保護性のある生活環境への具体的で予防的な関与。

"家族やきょうだい全体を視野に入れた学校種を超え

た連携のコーディネート活動。

#社会福祉的ニーズとして、生活保護、未成年後見、

親族里親、様々な補償・賠償問題、児童相談所や家 庭裁判所に関わる案件の調整、保護者の就労、若者

・高校生などの就労への支援活動。

$第2次避難(ホテル・旅館)、仮設住宅や借り上げ 住宅への巡回訪問や「応急仮設・住宅生活支援相談 員」、災害支援関係のセンター職員との連携。

%子どもの放課後・休日支援や被災保護者同士の仲間 づくりや地元住民との交流支援。

&保護者(養育者)の地域資源活用の円滑化やモニタ リング。

'ソーシャルワークに関する教職員等向けの校内研 修。

(学校や教育行政への提案、報告書づくり等

<刊行物>

佐 藤 理「大 震 災・原 発 事 故 下 の 福 島 か ら」『教 育』国土社、787号2011年8月号

佐藤 理「福島からの報告」『保健室』、農文協、

2011年8月号

鈴木庸裕「災害復興と学校福祉の展開(1)」『福島大 学総合教育研究センター紀要』、11号2011年10月 鈴木庸裕「学校が地域の社会的資源の1つであるこ

と」『生徒指導』学事出版、2011年11月号 鈴木庸裕「学校・教師と子ども家庭福祉をいかにつ

なぐのか―災害対応スクールソーシャルワーカー の役割から―」『生活指導』、明治図書、2011年11 月号

<研究成果の発表等>

7月2日 日本学校ソーシャルワーク学会(仙台 市)「震災後のスクールソーシャルワーカ ーの役割」、鈴木庸裕

8月26日 日本教育学会(千葉大学)「東日本大震 災と教育」、鈴木庸裕

9月2日 日本生活指導学会(金沢大学)「震災と 生活指導」、鈴木庸裕

9月12日 文科省スクールソーシャルワーカー活用 事業全国指導主事協議会、鈴木庸裕

福島大学研究年報 別冊

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Referensi

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