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In Vitro精子形成の条件 - J-Stage

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Academic year: 2023

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化学と生物 Vol. 50, No. 5, 2012

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今日の話題

また,酸化ストレス負荷に対して,xCT KOマウスのほ うが野生型マウスより生存率が有意に低下することも示 されている.一方で,最近,がん,特にグリオーマに代 表される脳腫瘍に対して,xCTの機能を抑制すること で症状の改善が見られるという実験結果が相次いで報告

された(5, 6).xCTが発現すると,シスチンを取り込む代

わりにグルタミン酸が放出される.グルタミン酸は,神 経伝達物質の一つであるが,過剰にあると神経細胞に対 し興奮毒性をひき起こす.したがって,xCTが発現す る部位では,局所的にグルタミン酸濃度が高まり,その ために周囲の神経細胞が興奮毒性を生じ,またグルタミ ン酸によるシスチン輸送阻害が起こることで脳腫瘍の増 悪化をひき起こすと考えられる.一方,がん細胞の中に は,xCTが強く発現しているために細胞内グルタチオ ンレベルが高くなっているものがある.このような細胞 では,ある種の抗がん剤によって生じる活性酸素に対し て抵抗性を示すだけではなく,グルタチオン抱合体を効 率よく形成することで抗がん剤を速やかに細胞外へ排出 する機能が亢進する.これらのことは,xCTが,がん 治療の標的分子になり得ることを意味しており,将来的 に脳腫瘍などの治療法の一つとしての発展が期待でき る.

免疫組織におけるxCTの役割についても興味深い結 果が報告されている.xc系の活性化によって,システ インの細胞外への放出が増加するが,これが,リンパ球 などxCTを発現していない細胞のシステイン供給源と

して利用され,細胞増殖が促進される.また,xCTを 発現するマクロファージや樹状細胞によってシスチン・

システインサイクルを介して形成される細胞外レドック ス環境が,T細胞の活性化やB細胞の抗体産生など,リ ンパ球の機能発現において重要な制御因子となることが 報告された.一方,免疫系組織にもグルタミン酸受容体 が発現しているという報告もあり,xc系を介して細胞 外に出されるグルタミン酸が,免疫系のような組織でも 何らかの機能を担っている可能性が高い.

以上のように,培養細胞を用いた研究で明らかになっ たxc系の機能,すなわち細胞内グルタチオンの維持と 細胞外レドックスの維持に加え,xc系が働くことに よって細胞外へ放出されるグルタミン酸とシステインに 新規の生物学的機能が見いだされつつある(図1). xCTは,記憶や行動,視覚機能,骨代謝,ウイルス感 染などに関わるという報告もあり,まだ未知の生理機能 や病態に関与する可能性は残されている.

  1)  H. N. Christensen : , 70, 43 (1990).

  2)  S.  Bannai  &  E.  Kitamura : , 255,  2372 

(1980).

  3)  H. Sato, M. Tamba, T. Ishii & S. Bannai : ,  274, 11455 (1999).

  4)  H. Sato  : , 280, 37423 (2005).

  5)  S. A. Lyons, W. J. Chung, A. K. Weaver, T. Ogunrinu & 

H. Sontheimer : , 67, 9463 (2007).

  6)  N. E. Savaskan  : , 14, 629 (2008).

(佐藤英世,山形大学農学部)

In Vitro 精子形成の条件

培養成功のカギは血清代替物 重要因子はアルブミンか?

精子幹細胞から始まり精子産生に至る精子形成の全過 程は,マウスでは35日間,ヒトでは64日間の長期間に 及ぶ.この特殊な細胞分化の過程を培養下で再現すると いう試みはおよそ1世紀前に始まり,多くの研究者がこ の課題に挑戦してきた.しかし,これまでの成果はいず れも,部分的な成功に留まっていた.昨年,筆者らのグ ループは新生仔マウス精巣組織を培養下で成熟させ,精 子を産生させることに成功した(1).ここでは,客観的な 視点から, 精子形成について概説する.

生殖の目的は,多様性をもつ多数の子孫をつくること であると言える.したがって,精子形成においても,①

できるだけ数多くの精子を産生すること,②それらの精 子の遺伝的多様性を担保すること,さらに③受精成功率 を上げることという3つの重要な役割がある.①の目的 のためには,精原細胞の増殖があり,②のために減数分 裂という過程があり,③のために精子完成 (Spermio- genesis) という,円形精子細胞が運動能をもつ精子に なる過程がある.このように複雑かつそれぞれが明確な 目的をもった精子形成の3段階を単調な培養条件下で再 現することはそもそも最初から困難な課題であろう.そ のため,3つの段階はそれぞれ別個に研究対象とされて きた経緯があり,それぞれに成果がある.

(2)

化学と生物 Vol. 50, No. 5, 2012 319

今日の話題

マウス精原細胞の増殖を で再現する試みは,

2003年に確立された.この培養下で自己複製増殖する 精子幹細胞はGS細胞と名付けられた(2).しかし,GS細 胞は培養皿の中で減数分裂を起こすことも,精子になる こともない.GS細胞から精子をつくるためには,精細 管内への移植が必要である.すなわち,精子幹細胞の自 己複製増殖は培養皿上の2次元空間で可能だが,精子ま での分化(精子形成)には精細管という3次元構造が必 要ということになる.1980年以降の 精子形成研 究は,この精細管という3次元を2次元に単純化する試 みだったともいえる.

しかし,筆者らは2次元培養法に固執することなく,

精巣組織をそのまま用いる3次元培養法を採用した.古 典的な器官培養法であり,1970年代以前にもっぱら用 いられていた手法である(3).その培養法は気層液層境界 部培養法というもので,原法は1959年に報告されてお り,器官培養におけるゴールデン・スタンダードであ る.概念的な新しさはないのだが,より簡便な方法に改 良した.1.5%のアガロースゲルの台をつくり,培養液 に浸し,その上に新生仔マウスの精巣組織片(直径2 〜 3 mm)を載せるだけである(図1

培養液は,

α

MEMという最も標準的なものを用いて いる.それにウシ胎仔血清 (FBS) を10%加えて用いて いたが,結局のところそれでは,減数分裂途中で止まっ てしまい,先人の成績を超えることはできなかった (4)

紆余曲折の末,筆者らはFBSに代えて,Knockout  Serum Replacement (KSR) という血清代替物を使う ことになったが,これに意外な効果があることを発見し

た.KSRはES細胞やiPS細胞の培養に用いられる血清 代替物であり,その効用は,ES/iPS細胞の分化を抑え て,未分化状態のままの増殖を助けるというものであ る.その KSRを精巣の器官培養に用いたところ,それ まで見られなかった完全な精子形成が で完成し たのである(1)

それではKSRとは何なのか.その構成成分は何で,

その中の何が重要な因子なのか.しかし,KSRは企業 製品であり,成分の詳細は不明である.ただし,その後 の研究で一つのヒントを得た.AlbuMAXというアル ブミン製剤が,KSRとほぼ同様の効果をもっているの である.AlbuMAXは,クロマトグラフィー精製された ウシ血清アルブミンであり,lipid-rich albuminとも紹介 されている.となると, 精子形成の成功の鍵は アルブミンか,あるいはAlbuMAXに含有されている脂 質成分ということになるかもしれない.残念ながら,

AlbuMAXも同企業の製品であり,アルブミン以外の構 成成分については明らかにされていない.

筆者らは,器官培養法によってつくられた精子細胞や 精子の妊孕能を調べる顕微授精実験を行なった.産仔た ちはすべて順調に成長し,兄妹交配により次世代が誕生 しており,生殖能も正常であった.また,精巣組織を組 織片のまま凍結し,液体窒素内に保存する実験も行なっ た.解凍して培養すると,精子形成が再開した.実用面 において重要な展開と考えている.

そして,さらなる発展系として,GS細胞からの 精子形成にも挑戦した.精細管内移植法と器官培 養法を組み合わせた手法(体外移植培養法)を開発し,

これを用いることで,GS細胞からの での精子産 生に成功した (5)

これまで不可能だった での精子形成が,KSR やAlbuMAXという血清代替物を培養液に添加すること により可能となった.重要な成果ではあるが,残された 課題も多い.たとえば,精子形成には,テストステロン やレチノイン酸が必要であるが,培養液中にそれらのホ ルモンやビタミンは添加されていない.KSRやAlbu- MAXの中に微量ながら含まれているのかもしれない が,精子形成の研究にはそのような詳細な培養条件の設 定や調節が必要だ.したがって,KSRとAlbuMAXの 組成や,その内の重要な因子の解明が重要である.そう いった研究が進めば,この培養法がマウス以外の動物

(ヒトも)にも応用できるだろう.

図1アガロースゲルに載せた精巣組織片

(3)

化学と生物 Vol. 50, No. 5, 2012

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今日の話題

最後にもう一つ.精細管は精子形成に必須なのだろう か. 精子形成は可能になったが,その答えはお 預けのままである.

  1)  T. Sato, K. Katagiri, A. Gohbara, K. Inoue, N. Ogonuki, A. 

Ogura, Y. Kubota & T. Ogawa : , 471, 504 (2011).

  2)  M. Kanatsu-Shinohara, N. Ogonuki, K. Inoue, H. Miki, A. 

Ogura,  S.  Toyokuni  &  T.  Shinohara : , 69,  612 (2003).

  3)  A. Steinberger, E. Steinberger & W. H. Perloff :

36, 19 (1964).

  4)  A.  Gohbara,  K.  Katagiri,  T.  Sato,  Y.  Kubota,  H.  Kage- chika, Y. Araki, Y. Araki & T. Ogawa : , 83,  261 (2010).

  5)  T. Sato, K. Katagiri, T. Yokonishi, Y. Kubota, K. Inoue, N. 

Ogonuki,  S.  Matoba,  A.  Ogura  &  T.  Ogawa : , 2, 472 (2011).

(小川毅彦,横浜市立大学大学院医学研究科)

腸管常在性真菌が腸管に定着する仕組みを探る

Candida glabrata の乳酸脱水素酵素 Cyb2 は腸管定着に必要な因子

は,ヒトの腸管などに常在する病原 性酵母である.免疫力が低下した患者においては,本菌 が日和見感染することが知られており,全身感染 (深在 性カンジダ症)に至ると致死率が高い.化学療法につい て見てみると,残念ながら抗真菌剤の種類は限られてい るのが現状である.耐性菌の出現も報告されていること から,新規作用機序をもった抗真菌剤の開発が望まれて いる.抗真菌剤の作用機序を考える上で重要なことは,

細胞学的な観点で見れば酵母細胞もヒトの細胞と同様に 真核細胞であるということだ.細胞の生育に必須な機能 は,酵母にも保存されている場合が多い.そのため,ヒ トの細胞に傷害を与えずに真菌特異的に殺菌する薬剤と いうのは開発が容易でない(1)

本菌の感染機序を理解することは,治療方法や予防方 法の開発に重要な手がかりを提供し得る.感染機序の理 解は,病原因子(感染の成立に関わる分子)の特定とそ の機能の解明に基づくと言えよう.では,どのような実 験を行なえば,病原因子を特定できるだろうか.それに はまず,病原因子をコードすると推定される遺伝子を欠 落させた酵母細胞(欠損株)を人工的に作出し,欠損株 の病原性が,欠損していない酵母細胞(野生株)に比べ て抑制されるか否かを検証する必要がある.病原性の検 証には齧歯類などの実験動物を用いた感染実験が必要に なる.一般的には菌体をマウスの静脈に直接注入する方 法(全身感染モデル)が採用されている.この方法で,

多くの病原因子が特定されたが,この方法の欠点は,本 菌が腸管などに常在している状態を観察できない点であ り,腸管への定着に必要な病原因子(腸管定着因子)が 特定できない点である.本菌が腸管常在菌であることを

踏まえると,その腸管定着の仕組みを探ることは,重要 な研究課題の一つである.腸管に定着している状態を観 察するには,腸管に菌体を接種する必要がある.実際に は,ゾンテと呼ばれる金属製の細い管を胃まで挿管して 胃内に菌体を接種する.このような方法 (腸管感染モデ ル)で,腸管定着因子を報告した論文はこれまでに3報 しかない(2).以下に,筆者らのグループが発見した腸管 定着因子Cyb2について紹介する.

が感染状態を維持するには宿主内での増 殖が必須である.増殖するには栄養源が必要になるわけ だが,宿主の中では何が栄養源なのか. を 含む多くの微生物はグルコースを最良の栄養源としてい るが,宿主内では病原体は低グルコース状態に曝されて いる.宿主細胞も栄養源としてグルコースを要求するこ とを考えると,病原体が利用できるグルコースが限られ てしまうのは想像に難くない.有力な仮説の一つとし て,病原体は,この低グルコース状態を克服するため に,グリオキシル酸回路を利用した糖新生代謝が必要で あると考えられている.これは,マウス全身感染モデル において,グリオキシル酸回路を欠損した

は病原性が低下するという知見から支持され る(3).グリオキシル酸回路は,有機酸を炭素源として外 部から取り込んでグルコースを新生する代謝であるが,

宿主内ではどのような有機酸を資化してグリオキシル酸 回路を駆動させているのかは十分に理解されていな い(4)

では,腸管の中では何を栄養源としているのか.グル コースは,腸管から速やかに吸収されることに加えて,

腸内微生物叢もグルコースを消費することから,

Referensi

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さんにとって納得のいく結果になります様、慎重 にそして賢明なご判断をして頂くことが必要であ るのではないかと思われます。既に伝えさせて頂 いたと思うのですが、トゥイリー様の事はとても 快く素敵な方であるとパーティでお会いした時か ら思っており、同時にベンソン様との間に何か確 執があるとも思っており、たとえ彼があなたの傍 にいなくとも一人の社会人として生活することが

を今回の結果は示しています。 近年、メタンが樹木の樹幹部でも細菌や 紫外線照射で生成されているという報告が 話題となりました(Covey & Megonigal, 2108)。乾燥した高地の森林では、メタン を消費する土壌細菌の活動によって、大気 からメタンを吸収していると考えられてき ましたが、木から放出されるメタンの量が、