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植物細胞の意外なコミュニケーション術 - J-Stage

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Academic year: 2023

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化学と生物 Vol. 50, No. 5, 2012

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今日の話題

Zuker : , 444, 288 (2006).

  2)  J.  Chandrashekar,  D.  Yarmolinsky,  L.  v.  Buchholtz,  Y. 

Oka, W. Sly, N. J. P. Ryba & C. S. Zuker : , 326, 443 

(2009).

  3)  J.  Chandrashekar,  C.  Kuhn,  Y.  Oka,  D. A.  Yarmolinsky,  E. Hummler, N. J. P. Ryba & C. S. Zuker : , 464, 297 

(2010).

  4)  I. Matsumoto, M. Ohmoto, M. Narukawa, Y. Yoshihara & 

K. Abe : , 14, 685 (2011).

  5)  M. Ohmoto, I. Matsumoto, T. Misaka & K. Abe :

31, 739 (2006).

  6)  B. Andersen, M. D. Schonemann, S. E. Flynn, R. B. P. II,  H. Singh & M. G. Rosenfeld : , 260, 78 (1993).

  7)  B. Andersen  : , 11, 1873 (1997).

  8)  Y.  Zhang,  M. A.  Hoon,  J.  Chandrashekar,  K. L.  Mueller,  B.  Cook,  D.  Wu,  C. S.  Zuker  &  N. J. P.  Ryba : , 112,  293 (2003).

(松本一朗,應本 真,モネル化学感覚研究所)

植物細胞の意外なコミュニケーション術

マイクロ RNA を介した組織形成シグナリング

マイクロRNA (miRNA) は,ゲノムからの転写とプ ロセシングを経て生成される約21塩基の1本鎖RNAで あ り,相 補 的 な 配 列 を も つ メ ッ セ ン ジ ャ ー RNA 

(mRNA) の特異的分解や翻訳阻害に働く.この経路に よりmRNAの一部,あるいは大部分がタンパク質へ翻 訳されずに不活性化される.miRNAに制御される遺伝 子の数は,ゲノム全体から見ると決して多くはない.し かし,miRNAで制御される遺伝子の中に重要な調節因 子をコードするものが多数含まれていることや,進化的 な保存性を考えても,この経路を単なる転写調節の補完 物と見るのではなく,細胞質に局在する小さなRNAが 遺伝子産物の量を決める,ということに積極的な意味を 見いだす必要があるだろう.ここでは,細胞間を動く miRNAが,植物の根の組織形成に重要な役割を果たし ている例を紹介する.

維管束植物の根では,同心円状の特徴的な組織パター ンが形成される.これらの組織は,外側から順に表皮,

皮層,内皮,内鞘,維管束と呼ばれ,内鞘と維管束は合 わせて中心柱と呼ばれる(図1-A).さらに維管束の中 には,導管や師管といった通導組織が対称的に配置され る(図1-B上段).このような同心円状の組織パターン は,表皮から吸収された水や栄養分を,内部の細胞層で 代謝変換しながら中央の維管束組織に運び込むのに都合 の良い構造と言える.

根の組織パターン形成のメカニズムは,主にシロイヌ ナズナを用いて研究されている.1990年代にレーザー 照射による細胞破壊実験や細胞系譜を可視化するセク ター解析により,細胞間で交換される何らかの「位置情 報」が根の細胞分化を決めていることが示された.真核

生物の細胞間情報伝達には,動物のサイトカインにみら れるように分泌性の因子と特異的な受容体を使うのが一 般的であり,植物でも気孔細胞の分化などに例が見られ る.しかし,2001年に根の内皮細胞の形成で示された 位置情報の伝達機構は,既知のものとはまったく異なっ て お り,中 心 柱 で 特 異 的 に 転 写・翻 訳 さ れ たSHR 

(SHORT-ROOT) という転写因子が,外側の細胞層の 核に移行し,内皮の分化を転写レベルで直接制御すると いうものであった(1).この機構は,「中心柱に接した1 細胞層だけが内皮に分化する」という維管束植物に共通 した発生原理を矛盾なく説明することができる(2)

最近になって,SHRが内皮の分化のみならず,より 広範な組織の分化に重要な機能を果たしていることが明 ら か に な っ た(3, 4).SHRは 内 皮 に お い てmiR165と miR166という2種類のmiRNAの生産を活性化する.こ の2つのmiRNAは,21塩基中の1塩基だけが異なって おり,標的遺伝子も共通であるためmiR165/6と総称さ れる.miR165/6の標的は,HD-ZIP IIIと呼ばれる転写 因子群で,シロイヌナズナのゲノムには5つの遺伝子が あ る.こ れ ら5つ のHD-ZIP IIIの う ち, (

)という遺伝子が根の組織形成に大きく寄与 し て い る.シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 根 に お い て, の mRNAは維管束中央の少数の細胞列に局在化している

(図1-C右).これに対して, 遺伝子の転写自体は 根の広範な組織で起こっていることがわかっている(図 1-C左). 遺伝子内のmiR165/6標的配列が塩基置換 された変異体 ( ) では, のmRNAは根全体で 検出される.このことから のmRNAを維管束の 中央に限定化しているのは,miR165/6による転写後制

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御であることがわかる.

シロイヌナズナのゲノムには,miR165/6を生産でき る遺伝子が9つある.このうち根で発現しているのは3 遺伝子であるが,これら3つのすべてがSHRにより内皮 で特異的に転写されている.したがって,miR165/6が 内皮以外の組織で を転写後制御するには,内皮の miR165/6が周りの細胞層へ移行する必要がある.実際,

このmiRNAが根の広範な組織で検出されることや,

の発現を維管束の中央へ限定化するのにmiR165/6 の標的配列が必須であることから考えても,内皮以外の 細胞層へ移行したmiR165/6が,直接 のmRNAを 分解していると判断される.

それでは, の発現を維管束の中心部に限定化さ せる意味は何なのだろうか? シロイヌナズナの根の維 管束には,原生木部導管 (Protoxylem, PX) と後生木部 導管 (Metaxylem, MX) という2種類の導管がある(図 1-B上段).野生型植物の根の維管束では,外側にPX,

内側にMXが分化する.これに対して, 遺伝子が miR165/6に対して耐性になっている 変異体や,

miR165/6の 発 現 を 活 性 化 で き な い 変 異 体 で は,

のmRNAが根の全体に広がり,PXができるはず の位置にMXが分化してしまう(図1-B下段).また,

内鞘細胞は側根原基をつくって根を枝分かれさせるが,

の発現が拡大している変異体の内鞘は,側根原基 をほとんどつくらない.さらに,これらの変異体では内 皮や皮層の遺伝子発現にも異常が見られ,根の組織全体 に重大な異常が生じている.

以上の観察結果は,SHRにより内皮で生産される miR165/6が,周囲の細胞へと広がることで の発現 を根の中央に限定化させ,これにより根の組織分化全体 を統御していることを示している.また,内皮における miR165の生産量を変化させた実験から,miR165/6はそ の量に応じてPXとMXをつくり分けていることが示さ れている(4).実際,野生型植物の根において, の

図1マイクロRNAを介した根のパターン形成

(A) シロイヌナズナの根に見られる同心円状の組織配置.(B) 野生型植物(上段)と, の発現が拡大している あるいは 変異 体(下段)における,根の組織分化の違い.(C) 内皮で生産されたmiR165/6による 発現の限定化

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mRNAは維管束の中心で濃く,外側へ行くほど薄くな る勾配をつくっており,内皮に由来するmiR165/6が周 囲の細胞層に向かって徐々に減少する逆向きの勾配をつ くっていることが示唆される.これは植物のmiR165/6 が,動物における「モルフォジェン」と似た機能を担っ ていることを示唆する.

植物の細胞どうしは「原形質連絡」(plasmodesmata,  PD) という小さなトンネルを介してつながっている.

この穴は非常に小さいが,SHRを含む一部のタンパク 質は何らかの方法でPDを通過できると考えられてい る.PDの穴の大きさは,開口部に蓄積するカロースと いう多糖の量で決まる.最近になって,PDのカロース 量を組織特異的に操作できる実験系が開発され,この系 を使ってSHRやmiR165/6がPDを介して細胞間を移行 していることが示された(5).また,SHRの細胞間移行 に関与すると考えられる新規なタンパク質因子が報告さ

(6),PDを介した植物細胞間のコミュニケーション機 構が徐々に解明されつつある.一方で,成熟miRNAの 大きさは,予想されるPDの透過性の範囲内にある.し たがって,miR165/6が単独で細胞間を移行するのであ れば,根の組織内で比較的自由に拡散していることが想 像される.これはmiR165/6の活性が,内皮から周囲の 細胞層に向かって連続的に減少することとも一致する.

もし様々なmiRNAが植物の細胞間を自由に拡散できる のであれば,他のmiRNA分子も何らかの細胞間コミュ ニケーションに機能しているのかもしれない.

  1)  K. Nakajima  : ,413, 307 (2001).

  2)  H. Cui : , 316, 421 (2007).

  3)  A. Carlsbecker  : , 465, 316 (2010).

  4)  S. Miyashima  : , 138, 2303 (2011).

  5)  A. Vatén  : , 21, 1144 (2011).

  6)  K. Koizumi  : , 21, 1559 (2011).

(中島敬二,奈良先端科学技術大学院大学バイオサイ エンス研究科)

シスチン グルタミン酸トランスポーター( x c 系)

細胞へのシスチン取り込みを介した酸化ストレス防御機構と新たな展開

哺乳類細胞膜を介するアミノ酸輸送に関する研究は,

1950年代ころから米国のChristensenらを中心に精力的 に展開され,基質特異性やナトリウム依存性などを指標 としていくつかのアミノ酸輸送系が同定された(1).それ らのアミノ酸輸送系の分子基盤がアミノ酸トランスポー ターと総称される膜タンパク質であり, 1990年代以降,

今日までにほとんどのアミノ酸輸送系を司るトランス ポーター遺伝子が分子クローニングされている. アミ ノ酸トランスポーターの第一義的な機能は,もちろんア ミノ酸を細胞内外に輸送する機能であるが,そこから派 生して様々な生理機能や病態に関係する例が少なからず 知られている.ここでは,そのような例を日本人研究者 によって見いだされたアミノ酸輸送系を題材に紹介す る.

含流アミノ酸の一つであるシステインは,培養液中で 容易に空気酸化されて2分子がジスルフィド結合したシ スチンとして存在する.坂内らは,このシスチンを培養 液から除くと細胞が比較的短時間のうちに死滅すること を観察し,培養系におけるシスチンの重要性を見いだす とともに,培養細胞に発現するシスチン輸送系を初めて 報告した(2).xc系と命名されたこの輸送系は,細胞外

のシスチンを取り込む際,細胞内のグルタミン酸を1 : 1 の割合で放出する交換輸送系であることがわかった.ま た,活性酸素種など様々な刺激によりその活性が強く誘 導されることが見いだされた.また,xc系の活性が誘 導されると,細胞内グルタチオンレベルが上昇すること が示された.グルタチオンは,グルタミン酸,システイ ン,グリシンから成る主要な内在性抗酸化物質である.

xc系により,細胞内に取り込まれたシスチンは,速や かに還元されてシステインになる.xc系の活性を阻害 したり,細胞外のシスチンを除いたりすると,細胞内グ ルタチオンレベルが急激に低下して細胞は死滅する.つ まり,坂内らの発見は,シスチン欠乏により,xc系を 介するシスチン供給がなくなったために,グルタチオン 減少をひき起こした結果と理解できる.これらのことか ら,システインはグルタチオン合成の律速基質になって おり,それをシスチンという形で細胞外から運び込む xc系は,少なくとも培養細胞ではグルタチオンレベル の維持に必須であると考えられる.

xc系を介して取り込まれたシスチンが還元されて生 じたシステインは,グルタチオン合成,タンパク質合成 に使われるが,一部は,構成的に哺乳類細胞膜に発現し

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