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LabVIEW による信号関連参考プログラム

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LabVIEW による信号関連参考プログラム

(最終改訂 2018/10/19)

書庫ファイル内容

LV_signal.zipには、本稿(拡張子.pdf)、本稿掲載図(フォルダ Figures:拡張子.png)、LabVIEW による信号関連参考プログラム(サブVIを含めLabVIEW2017版ソースファイル4個:拡張子.vi、同 実行ファイル3個:拡張子.exe)、必要な実行時ライブラリ(フォルダdata:拡張子.dll)、ランタイム エンジンのダウンロードにアカウント登録を要しない LabVIEW2013 版実行ファイル(フォルダ LV2013standalone:実行ファイルのファイル名に”2017”が付かない)、MATLAB による音声信号生成 スクリプト(旧情報学実験Ⅱ課題②で使用したもの)が含まれている。実行ファイルの実行には、実行 時ライブラリを格納したdataフォルダおよび実行ファイルと同名の設定ファイル(拡張子.ini)を同じ 場所に置く(p.12 備考参照)。LabVIEW2017、LabVIEW2013両版の機能は同じで、以下に掲げる図 はLabVIEW2013版のものである。

LV_ditherについて

音声信号に信号とは相関の無いノイズを付加することにより小振幅の正弦波信号の高調波歪を減ら し量子化ステップの1/2未満の小振幅の正弦波信号をも表現できる(旧情報学実験Ⅰ課題⑦テキスト:

原理は例えば、テキストp.8図7、p.10図9を参照)。LV_dither(LabVIEW2017版はLV_dither2017、

以下同じ)、音声信号の値を画素値に対応させて可視化し、パラメータを変化させてノイズの振幅、分 布の違い、平均操作によりディザの効果を直感的に確認するものである。ここではビット深度3ビット の7階調(表現可能な範囲はディジタルオーディオと同様に正負対称の-3+3)としている。

参考:旧情報学実験Ⅰ課題⑦「正弦波合成と音声ディザ」テキスト

http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ct13050/johogaku/1-7.Sine_wave_synthesis_and_dithering.pdf 表示内容

LV_ditherの起動時既定のフロントパネルをp.2図1に示す。中央の正方形の2Dピクチャ(表示サ

イズ256×256)にはノイズを付加して量子化した正弦波信号(縦方向を時間として、秒単位で上端を0、

下端を1とすれば標本化周波数は256Hz)を 256例横に並べて表示し、フロントパネル右下の押しボ タン SW クラスタ”overlay”の指定波形(なし/原信号/量子化結果【起動時既定】)をオーバレイす る。”overlay”の指定が”quantized”の場合にオーバレイされる内容は、フロントパネル上部の 2 個の水 平トグルSW(左上の”mean range”【起動時既定はOFF】および右上の”mean/sample”【起動時既定は OFF】)の設定による。

右の縦長の2Dピクチャ(表示サイズ32×256)には、フロントパネル上方のトグルSWの設定によ り指定列単独または横方向の指定範囲の平均量子化結果(画素平均値はγ=2.2で計算)を表示する。

下の横長の2Dピクチャ(表示サイズ256×32)は量子化レベルと表示色の対応スケール(左端が-3

右端が+3)を示し、"overlay”の指定が”original”では原信号の範囲(整数化されていない)、”quantized”

ではフロントパネル上方のトグルSWの設定により指定列単独または横方向の指定範囲の量子化値の範 囲(対応する整数のゾーン全体)をオーバレイ表示する。

2D ピクチャの表示対象は、フロントパネル上方の水平トグル SW、右下のオーバレイ選択の排他式 押しボタンSWの設定により、各2Dピクチャ上の文字列表示器にその内容が表示される。水平トグル

SW ”mean/sample” ONではオーバレイの対象は画面上部に表示される水平スライド(または併設の数

値ボックス)で設定した指標の列となり、“mean/sample” OFF(水平トグルSW ”mean range”が表示 される)では水平トグルSW ”mean range”で平均対象の範囲を指定する。OFFで256例全て、ONで

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正方形の2Dピクチャ左端(指標0)から水平スライドで設定した指標の列までの範囲(個数は指標値

+1個)となる。水平スライドを表示して指標を入力するモードでは信号値0のライン(時間軸に相当)

は消え、同色のラインは指標を示すカーソル表示に充てている(p.3図3参照)。

押しボタンSW ”HOLD”(起動時OFF)がONではノイズを更新せず(ノイズの種類を変更した場 合は新たに生成の後)固定する。

図 1 LV_dither起動時の既定のフロントパネル画面

正弦波信号の設定

中央2Dピクチャ左右の数値スライドまたは併設の数値ボックスで振幅(範囲0~3:起動時既定は1)、 周波数(対数スケールで範囲0.5~8:起動時既定は1)および初期位相(単位度、起動時既定は0)を それぞれ設定する。

ノイズの選択

ノイズの種類は、フロントパネル左の3個の排他式押しボタンSWで一様雑音(”UNIFORM”:起動 時既定)、正規雑音("NORMAL”:Box-Muller法で生成)、M系列(M-sequence:32ビット整数で実 装が容易な原始多項式x31 + x3 + 1で生成)を切替え、ノイズの強度(振幅)は数値スライドまたは併設 の数値ボックスで指定する(既定値は0.5)。指定値は、正規雑音(分散の平方根)、M系列(絶対値)

ではそのまま実効値となるが、一様雑音の既定では分布の最大絶対値(実効値はその 1/√3)を示す。

雑音の実効値を揃えて分布によるディザ効果の違いを比較するため、”UNIFORM”がONのときは押し ボタンSW ”rms in uniform”(ONで指定数値を実効値とする:起動時既定OFF)を表示している。

量子化レベル表示色の選択

無音信号(レベル0)に対応する感覚的な表示色は黒(0x00)が自然と思われるが、一方で音声信号 は極性を(両耳受聴の場合は左右同時に)反転しても音圧の刺激は変化せず、正負の信号には補色(例 えば負を青、正を黄)を割当てるのが適当と考えられる。このとき、無音信号にディザを加えた平均値 が0となるのに対し、画素の平均は灰色となりレベル0の黒には対応しない。LV_ditherではレベル0

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を黒、負を青、正を黄とする既定の表示(正負の平均が信号値0の画素とは一致しないが視認性のため これを起動時の既定としている)の他に50%グレー(γ=2.2として0xBABABA)をレベル0に割当て る黒~灰~白の単色(”MONOCHROME”)、シアン~灰~赤(絶対値が等しい正負の値に補色を割当て るため色光スペクトルの色順とは異なる)のカラー(”COLOR”)の2モードを設けている。図 2に各 設定でのスケール、無信号で最大絶対値1の一様雑音を付加した場合の平均色を示す。信号0の画素に

50%グレー0xBABABAを割付ける設定では平均色のRGB各成分は、ほぼ0xBAに等しくなるが、信号

0の画素に黒を割付ける設定では0x3E~0x4B程度となる。

図2 表示色の選択による量子化レベル0と平均レベルの表示色の違い

絶対値最大0.5の一様雑音をノイズとして加えた場合、量子化の期待値は(従って平均すれば)原信 号と一致する。実際、これを付加ノイズの起動時既定とした p.2 図 1 で ”overlay OFF”でオーバレイを 原信号に切替えて比較すればこのことを確認できる。図1のオーバレイは256例の平均であるが、ノイ ズを付加して量子化した個別の列(図3左)では結果は0と±1のみであること、量子化例の平均対象 範囲を少数に限定した場合(図3右)も原信号には程遠いことが分る。

図3 水平スライドを表示した表示設定例 指標50の列(左) 指標0~5の6列の平均(右)

p.4図4は、付加ノイズ無しの既定信号(振幅が量子化ステップに等しい正弦波)の原信号と量子化 後の波形の違いを示しp.2図1と対比してノイズの付加による高調波歪の低減の様子が分る。p.4図5 は、WaveGeneで振幅1の「サイン波」を再生し、これをWaveSpectraを録音状態にして表示(オーディ オインタフェースのループバック機能を使用してディジタル入力している)した例で図4右の波形に対 する高調波歪の実際を示している。

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図4 付加ノイズ無しの既定信号のオーバレイ 原信号(左)、 量子化後(右)

図5 図4右の条件に相当するWaveGeneとWaveSpectraの画面

図6 p.2図1の設定条件に相当するWaveGeneとWaveSpectraの画面

図 6 は起動時の既定と同じ条件に設定したWaveGeneとWaveSpectraの画面で、図5との比較で分 る通り高調波歪は大幅に低減している(p.5註参照)。

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註:WaveGene の波形メニューの「ホワイトノイズ」(正規分布の裾を捨て最大絶対値を分散平方根の約 3.5 倍とした正規乱数の近似)ではなく、旧情報学実験Ⅰ課題⑦「正弦波合成と音声ディザ」で使用し た ”uniform_0dB_16b.wav” を「ユーザー波形」に登録して再生する)”uniform_0dB_16b.wav”は、次の URLにある。http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ct13050/johogaku/dither.zip

p.4図6の分析では標本化周波数44.1kHz の1kHz正弦波は、分析区間4096サンプルに約93周期

含まれTHDは約6.3%と表示されているが、最大絶対値が0.5の一様雑音をディザとして用いるとき分

析区間を限りなく長くすれば理論上はTHDは0に収束する。実際、WaveSpectra で設定可能な最大の 131072サンプルでは約1.2%(理論上は4096サンプルの1/√(32):もちろんTHD+Nは減らない)と 小さくなる。逆に分析区間を短くすればTHDは増え(WaveSpectra で設定可能な最小の1024サンプ ルではTHDは約13%となり(理論上は4096サンプルの2倍:同じくTHD+Nが増えることはない)、 ディザの効能が平均操作に由来することが分る。既定の設定で付加されたディザによる個別の量子化結 果、少数(6サンプル)の平均波形(p.3図3)が正弦波から程遠いことに見た通りである。

ディザの付加による歪の低減は、視覚的には階調が滑らかになることに対応している。正弦波振幅3

(設定可能な最大)、周波数0.5、位相90°で付加ノイズ無し(左)、絶対値最大0.5の一様雑音付加(右)

の階調の違いを単色表示(図7)、カラー表示(図8)のそれぞれについて示す。

図7 単色表示最大振幅信号、周波数0.5位相90°の付加ノイズ無し(左)、既定ノイズ付加(右)

図8 信号とノイズが図7と同じ条件でのカラー表示

LV_resamplingについて

ディジタルオーディオでは標本値を単に折線で結んだ波形を聞いていると誤解して「デジタルはカク カクで音が悪い」と評する人が少なくない。p.6図9は、同梱のMATLABスクリプトsignal_gene.m で生成された標本化周波数44100Hzの高速スイープ信号(NABテスト信号準拠)fast_sweep.wavの

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MATLABによるプロット波形(左)とオシロスコープPicoScopeで見た実際のDAC出力(右)を示し、

上段はスイープ信号1周期、下段は瞬時周波数が標本化による正負の不均衡が最大となる標本化周波数 の1/3の14700Hz付近の拡大である。図に見る通り、実際には折線でつないだ標本列(図9左)はDAC でサンプルホールドと低域通過フィルタ(LPF)の処理により、Nyquist周波数未満では忠実に波形を 再現している(図9右)。MATLABではLabVIEWの波形プロット(図9右のPicoScopeのプロット も同様)とは逆に凡例下段のプロットの表示が優先する。

図9 高速スイープ信号のMATLABによるプロット波形(左)と実際のDAC出力(右)

LV_resampling(LabVIEW2017版はLV_resampling2017、以下同じ)は、正弦波と3種類のノイ ズを原信号としてリサンプリング条件を様々に変えてその変化を見ることによりサンプルホールドと

LPF、真ピーク、補間の意味を確認するデモVI で、起動時(停止状態で開く設定でビルドしている)

のフロントパネルを図10に示す。

図10 LV_resampling.vi起動時のフロントパネル

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表示内容

指定信号の標本化周波数Fs による原標本(”original”:白)、リサンプル標本("resampled”:赤)、 それぞれのLPF処理標本(”filtered”:緑、”filtered resampled”:シアン)の4種の標本列から選択(起 動時既定は4種全て)して、画面上部に時間軸、下部に周波数軸でプロットしてグラフウィンドウに表 示する。時間軸グラフウィンドウの上には排他式押しボタンSW(起動時既定は”original”)で選択した 標本の計測結果(周波数、振幅、THD、THD+N)が表示される。

LPF設定(窓関数、遮断周波数)とプロット選択の制御器は両グラフウィンドウの間に配置されてい る。プロットの色、ラインスタイル等は各グラフウィンドウ右上の凡例を右クリックして項目を指定し て変更できるが、起動時のプロット既定色に揃えたプロット指定押しボタンSWの色は変更できない。

時間軸プロットではリサンプリング処理による遅延のため、同じフレームのリサンプル標本と原標本 とが対応しない区間を生じる(p.6図10上部で時間軸目盛 ”Time (in sampling period)” が0~38.75 および64以降の部分)。遅延量はリサンプリング時の補間設定により異なり、時間軸グラフウィンドウ 右上にサンプリング周期1/Fsを単位として表示される(既定の設定では39)。

時間軸グラフウィンドウ下の押しボタン SW “HOLD” を押下すると(正弦波信号以外を選択時に絶 対値が設定閾値以上であるリサンプル標本が現れた場合も同様)信号のフレーム更新を停止して時間軸 グラフのパレットを表示し、グラフ上のカーソル移動、ズームイン等の操作が可能となる。"HOLD"状 態では、処理対象の原標本が(したがってリサンプル標本も同時に)固定されるのみで、LPF設定を変 更すればフィルタ処理された2種の標本列のプロットと計測結果は変化する。"HOLD"状態は"RESET"

の押下または画面左方の信号、リサンプリングの設定変更により解除される。

信号の設定

振幅1の正弦波と実効値1の3種類のノイズ(最大絶対値が√3の一様分布、絶対値1のM系列、

標準正規分布)から選択する。正弦波では、周波数(単位は標本化周波数 Fs:起動時既定は 1/4)、初 期位相(単位はπ:起動時既定は 1/4)を数値スライドもしくは併設の数値ボックスまたは垂直トグル SW を間に挟んだ上の文字列制御器に数式で指定する(垂直トグル SW で式と値を選択する)。起動時 の既定は振幅比で標本値の絶対値最大が最小の1/√2となる正弦波である。

リサンプリングの設定

リサンプリング周波数を文字列制御器に数式で(単位はFs:起動時既定は4、p.10図13では96/44.1 を指定)、表示標本数(1フレームの原標本数で最大値1024:起動時既定64)を数値ボックスにそれぞ れ入力する。補間の起動時既定の設定は、FIR フィルタ、エイリアス抑止 100dB(LabVIEW 既定の

120dBではタップ数が増え原標本とリサンプル標本の時間差が46/Fsに拡大し既定の表示標本数を大き

く取る必要があるため)、帯域0.4536Fs(20/44.1に相当するLabVIEWの既定値)としている。

サンプルホールド

p.8図11は周波数Fs/8、初期位相0の正弦波をリサンプリング周波数16Fsの補間なし(”interpolation

mode”は”coerce”:原標本の値に強制)の設定でリサンプリングしてサンプルホールドとLPF処理の過

程を模式化した例である。

LabVIEWの歪率計測VIでは分析対象周波数の周期の10倍の長さの標本ブロックを必要としており

(正弦波信号を選択して表示標本数と周波数(Fs 単位)の積が 10 未満のとき計測結果表示右の警告 LED ”insufficient samples” を点灯させている)ここでは表示標本数を 256 としている。p.8 図 11

は、”HOLD”を押下し(時間軸グラフのパレットが表示される)、カーソルを第2波(註参照)の先頭に

移動し、ズーム操作で 1 周期分を拡大表示した画面で、原標本(白の点)、サンプルホールド(補間無 しの赤のリサンプル標本)、LPF処理した出力(シアン)の関係を示している。

註:リサンプル標本のLPF処理(タップ数25のFIRフィルタ)では標本列の前後に各12標本が追加 される。時間軸表示グラフではこの追加標本を削除してプロットしているが、削除後の標本列(標本数

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はリサンプル標本と同じ)にも影響が残るため図11では第1波ではなく第2波を拡大表示しており、

LPF処理後のリサンプル標本列の両端各12標本は(グラフにはプロットされ、上方にスクロールする と表示される配列表示にも含めているが)歪率計測VIへの入力からは除いている。

図11 補間無しのオーバーサンプリングによるサンプルホールド・LPFのシミュレーション

真ピーク

周波数の整数倍が標本化周波数である正弦波信号では1周期分の標本列が固定され反復するため、全 ての標本が0dBFS以下であってもサンプルホールド・LPF処理した出力は標本間(inter-sample)で 0dBFS相当のアナログ電圧を大きく超えDACが過大入力で歪む可能性がある。「音量を0dB近くまで 上げてノーマライズしたwavファイルをmp3に変換するとクリップして歪む」等の原因でもある。

標本間ピーク(ISP:Inter-Sample Peak)と0dBFSとのパワー比をdBスケールでdBTP(dB True Peak)と表すとき、Nyquist周波数未満に帯域制限された信号では最大値は既定画面(p.6図10)の設 定条件での約3.01dBTPとなる(註参照)。

註:簡略化されたピークレベルメーターでは正または負の片側の標本のみを用いて表示するものがあり、

この場合、メーター表示0dBFSに対して最大では2倍(p.6図9下段で拡大した周波数のFs/3で、正 側表示では初期位相π/6、負側表示では初期位相 -π/6のとき)の約6.02dBTPとなる。

EBU(欧州放送連合)では放送用プログラム制作時のレベル管理を4倍オーバーサンプリングした真 ピークレベルメーターにより行い(真ピーク値より理論上dB値で最大20log10 {sec (π/8) } ≒ 0.688 過小となるため)ピークを-1dBTPに抑えることを推奨している。

Nyquist 周波数未満に制限されていない信号では、真ピークは√2 倍ではなく更に大きくなる。p.9 図12はM系列雑音を選択して絶対値が既定閾値の2.4を超えるリサンプル標本が同一フレームに対応 する原標本のある区間(Timeが39以上)に現れた例で、このリサンプル標本(2.516204:約8dBTP)

にカーソルを移動して付近を拡大して上方にスクロール(各標本列の内容の配列表示とカーソル位置の 指標相当値が表示される)したものである。

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図12 値が±1のみであるM系列信号を4Fsでリサンプリングした例 補間精度

Windowsのオーディオエンジンの標本化周波数変換(SRC)はごく初期のDAC程度の精度であるた

め、旧情報学実験の音声ファイルを使用する課題では、サウンドカードの標本化周波数を使用する音声 ファイルの記録標本化周波数に合せていた。

図13 補間方法による変換誤差の違い:上から無し、線形、スプライン、FIRフィルタ

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SRCの精度は補間方法に関っている。WaveGeneで標本化周波数44100Hz、既定設定の信号に相当

する11025Hz、初期位相π/4、0dBFSの正弦波をwavファイルに保存し、これを商用波形編集ソフト

ウェアWaveLab、SoundForgeにより標本化周波数96000Hzでリサンプリングした wavファイルを WaveSpectraで計測するとTHD+Nが0.002%程度で実効値も-3.01dBFS(EBU基準)と正確である。

一方、内外のフリーの波形編集ソフトウェアでリサンプリングした結果は THD+N が 0.01%の

Audacityを除き十分とは言えず、中にはオプションで最高精度を選択しても実効値の誤差が2dB近く

THD+Nは15%を超えるものもある。

p.9図13は、起動時既定の信号を96/44.1Fsで補間方法を変えてリサンプリングしてLPFを通した 標本列の計測結果(1フレームの原標本数、LPF設定は起動時既定)を比較したものである。Windows のオーディオエンジンのTHD+Nはこの中では線形とスプラインの中間に相当する。

LV_Shepardについて

旧情報学実験Ⅱ課題⑦の参考プログラムでは、パタンの移動を全画素の新規生成で更新するのではな く配列の切貼りで行う例として理髪店の回転ポール(回転運動により円筒上の三色の縞模様が無限に上 昇するかの様に見える)を取上げ、LabVIEWで音を出す例として回転ポールの運動に喩えられるシェ パードトーン(Shepard tone)と呼ばれる「無限音階」の再生を追加したbarber_pole_rev.vi(簡単化 のため連続無限音階のみ:註参照)を紹介した。

barber_pole_rev.viとこれに離散無限音階を追加したauditory_illusion.viはそれぞれ以下の場所にあ る。LV_Shepard.vi(LabVIEW2017版はLV_Shepard2017、以下同じ)は、auditory_illusion.viの数 値スライドに数値ボックスを併設し、押しボタンSWの指定で回転ポールを非表示可能に修正して名称 変更したものである。LabVIEW2017版では、スペクトラムグラフ周波数スケールの主マーカーの値を 標本化周波数×10の冪ではなく10の冪に改めている。

LabVIEW画像情報処理サンプルプログラム(最終改訂2016/10/26) http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ct13050/johogaku/LV_sample2.zip LabVIEW画像情報処理サンプルプログラム_update(最終改訂2017/11/12) http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ct13050/johogaku/LV_sample2_update.zip

註:離散音階では半音変化時のクリック音を避けるため fade-in/out の処理を必要とし、連続音階と比 較してVIが煩雑になる。因みに、トーンダイヤルに使用されるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)

信号も NTT の公衆電話機、商用波形編集ソフトウェアでは正しく処理されているが、安い電話機、フ リーの波形編集ソフトウェアではfade-in/outの処理を省略している。

図14 LV_Shepard.viの既定設定のフロントパネル

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シェパードトーン(Shepard tone)は、部分音を可聴域にわたりオクターブ間隔で配し(標準ピッチ のAの音であれば、27.5, 55, … 440, 880 … 7040, 14080。単位はHz)、部分音の振幅に高域と低域で 減衰するエンベロープを掛けて加算し各部分音の周波数を同比率で増加または減少させて音階を形成 するものである。部分音が低域から現れ高域で消えるまたはこの逆で周波数が無限に増加または減少を 続けるかの様に錯覚する(聴こえ方は個人により異なりエンベロープと機器の周波数特性にも依存す る)ことで「無限音階」と称され、半音程ずつステップで変化するものをdiscrete Shepard scale、連 続的に変化させるものをcontinuous Risset scale または Shepard-Risset glissandoと呼ぶ。p.10図

14にLV_Shepard.vi(実行ファイルは停止状態で開く)の既定設定のフロントパネルを示す。

表示内容

画面左端に回転ポール(非表示可)、その右に周波数スペクトラム(周波数対数スケール)、波形グラ フ、スペクトログラム、周波数スペクトラム(周波数リニアスケール、左右反転表示可)、ピーク要素 を表示する。音声標本化周波数は44100Hz(Nyquist周波数22050Hz)、再生ブロック標本数は2205

(波形レンジは50ms、周波数分解能は逆数の 20Hzとなる)としている。再生と同期して離散音階で は音名記号(A~G#)、連続音階では色サイクル(ループ指標に対応して上昇音階のとき長波長の赤から 短波長の青に順次変化しスペクトル中にはないマゼンタを経由して赤に戻る。下降音階ではこの逆)を 表示する。

設定項目

設定制御器と設定項目は次の通りである。フロントパネル左下の4個のSWで上から順に、音階の上 昇・下降(ラベル ”direction”:既定は ON で上昇)、音階の離散・連続(キャプション ”discrete / continuous”:既定はONで連続)、LPFのON/OFF(キャプション ”20kHz LPF”:既定はOFF)、回 転ポールの表示指定(キャプション “show pole”:既定はON)を設定する。その右の4本の垂直数値 スライドまたは併設された数値ボックスで左から順に、部分音周波数エンベロープの尖鋭度(ラベ ル ”acuteness”:既定は0.8)、中心周波数(キャプション ”central frequency (Hz)”:既定は300Hz)、 スペクトログラムの分析窓幅(キャプション ”window length”:既定は 256)、周波数レンジ(ラベ ル ”range (Hz)”:既定は 22050Hz)を設定する。部分音の周波数エンベロープの既定の尖鋭度と中心 周波数は同梱のMATLABスクリプトShepard_tone.mの離散無限音階のパラメータに揃えている。こ の他、スペクトログラムの左上のSW(ラベル”link”:既定はON)で周波数レンジの連動指定、周波数 リニアスケールのスペクトラムの上の SW(ラベル ”flip”:既定は ON)で振幅スケールの左右反転指 定を行う。

既定の周波数エンベロープでは、オクターブ移動中に生成される音階の部分音にNyquist周波数を超 えるものを生じてもエンベロープにより十分な減衰が得られ折返し雑音は問題とならないが、エンベロ ープの設定によっては折返し雑音がLPF無しでは無視できないレベルで残る。

図15 LPFがOFFで高次の部分音が折返されたオクターブ上の部分音と干渉する様子

図15に周波数エンベロープの尖鋭度を最低、中心周波数を最高、LPFをOFFに設定し、連続音階 で標本化周波数の1/3の部分音がオクターブ上の部分音の折返し雑音と「衝突」して干渉する様子を示 す。時間と共に瞬時周波数が変化し折返し雑音との位相差が変化するためスペクトログラムでは衝突の 瞬間の前後に時間軸方向の縞模様を生じる。図15左は窓幅64(LabVIEWのSTFT関数ではこれが既 定)、図15右は窓幅256の設定で、STFTの窓幅により時間分解能が異なることが分る。

(12)

図16は、既定のエンベロープで生成した連続無限音階の部分音のパワーが大きい1000Hz以下のス ペクトログラムを比較して STFT の窓幅による時間分解能の違いをより明確にしたものである。窓幅 64の図16左では強度が波形グラフの時間変化に対応し、一方窓幅最大(ブロック長2205)の図16右 では時間分解能悪化の代償として周波数分解能は最高となり、スペクトラムの周波数変化に対応した強 度グラフを示すことが分る。窓幅最大では、時間軸の中央以外では分析対象の標本数がブロック長に満 たないため両端で弱く中央で強い表示となり、図 16 右の時間軸方向の強度変化は実際の時間変化を示 すものではない。

図16 既定のエンベロープで生成した連続無限音階のスペクトログラムの窓幅による違い

備考

LabVIEW2017版実行ファイルの実行

LabVIEW2017ランタイムエンジン(ダウンロードにはNI User Accountの登録が必要)を次のサイ トからダウンロードする(ファイル名:LVRTE2017SP1_f3Patchstd.exe、ファイルサイズ:363.29 MiB)。 ダウンロードページ:http://www.ni.com/download/labview-run-time-engine-2017-sp1/7191/en/

フロントパネルのレイアウトは情報科学研究教育センターのバーチャルカフェテリアの環境を基本 にしているが、Yu Gothic UIフォントがインストールされていないWindows 8.1以前のOSでも実行 可能な様に修正しており、拡張子.iniの設定ファイルには以下の4行が書かれている。

[VIファイル名(拡張子無し)]

appFont="メイリオ" 17 dialogFont="メイリオ" 17 systemFont="メイリオ" 17

LabVIEW2013版実行ファイルの実行

LabVIEW2013ランタイムエンジン(ファイルサイズ257.3MiB)を次のURLからダウンロードす る。http://ftp.ni.com/support/softlib/labview/labview_runtime/2013/Windows/LVRTE2013std.exe

フロントパネルのレイアウトは情報科学研究教育センター前システムの Virtual Desktop(OS は Windows 7であるがシステムフォントはWindows XPと同じMS UI Gothicを採用)に合せて作成さ れており、設定ファイルには以下の4行が書かれている。

[VIファイル名(拡張子無し)]

appFont="MS UI Gothic" 12 dialogFont="MS UI Gothic" 12 systemFont="MS UI Gothic" 12

Referensi

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1 Ⅰ.序章 日本は総人口の減少と人口高齢化率の上昇によって、労働力、人口構造、年金、医療、 介護など様々な面から問題が生じ、その影響は軽視できない。急速な高齢化の進行に伴い、 高齢者の積極的な社会参加が求められていると共に、高齢者が「社会の構成員」として自ら の価値を発見し、充実した人生を過ごすことが課題となっている Ⅱ.先行研究

陸の吉崎に進出することとなったのである。なぜ 北陸だったのか、吉崎であったのかについてはさ まざまな説があるが、通説では、蓮如が若い頃に 弟子入りした経覚が、信頼できる蓮如に荘園の管 理を任せるため吉崎を譲ったとされている。(7) このような経緯で吉崎を活動の拠点とした蓮如 は、吉崎で 4 年間教化活動を行う。その間に、本

多い回答結果になったので、あまり信頼性をおけるデータであるとはいえない。女性陣のお気に 入り商品の中には、グループ 1 の女性陣が回答した商品の名前も挙げられていた。両グループ は年齢もほぼ同じということから、購入する商品のタイプに大きな差は無いと思われるが、グル ープ 2 には一人暮らしをしている被験者の比率が多かったため、少しでも食費を抑えるために

掲載誌 「教職研修」 2008 年 5 月号 pp.42-45 外国語教育の充実にどう取り組むか (最終原稿は上記参照) 吉田研作(上智大学教授) 対応のポイント 1. 小学校に英語が導入されても、中高の英語教育の目標は変わらない。むしろ、今まで 到達できなかった目標を達成しやすくなることが期待されている。 2.