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先行母音長が促音の知覚に与える影響 

―韓国人日本語学習者を対象に― 

     

      鮮于 媚(ソヌ ミ)

[email protected]

1 .はじめに 

本研究の目的は韓国人日本語学習者が促音の習得の過程において促音語と非促音語を聞 き分ける際に何を判断基準にしているのかを明らかにすることである。

促音の生成特徴として促音の先行母音が非促音語の先行母音より長くなることがある。

音節言語では同様の音節構造の場合、第1音節の母音が短くなる。その理由は閉音節母音 短縮現象(CSVS)が作用しているからであり、音節言語に普遍的に現れる(Maddieson1985)。

韓国語でも日本語の促音と似ている重子音の場合CSVSが認められた。それは生成面にお いて論じられたもので、知覚面において実在しているかについては検証されていない。

促音の知覚に関しては先行母音が長くなれば、その分促音の無音区間が要求される(渡 部・平籐、1985・内田、1993)。一方、大深ら(2005)では、先行母音が長くなると促音 の無音区間が長くなくても促音として知覚するといった結果である。それは促音の生成の 特徴が知覚においても実在することでもあり、日本語母語話者は相対的な知覚判断基準を 持っていることを示している。では、日本語学習者は先行母音との関係をどのように捉え、

知覚するのかを検証する。

2 .調査概要

 

  本研究では、先行母音の短縮を行い、同定実験を行った。

2-1 調査対象者:日本語母語話者14名(以下、JS)、韓国人日本語学習者7名(上級学習 者―以下、KS)

2-2 調査語:アカ(赤)−アッカ(悪貨)

2-3 調査方法:東京方言話者に「アカーアッカ」を録音してもらい、調査語を作成した。

先行母音を2周期分の短縮とともに無音区間も10 段階で短縮を行った。作成した調査語 を10回繰り返し、ランダムに並べ替えた。

3 .調査結果

  3-1  知覚範疇化

調査の結果は以下の通りである。図1は JS の知覚範疇化の結果で、先行母音によって知 覚範疇の変動は見られなかった。それに比べて、KS は先行母音の短縮により、知覚範疇 境の変動が見られた。しかし、KS には個人差が大きく、より具体的に分析することにす る必要がある。

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    図 1:先行母音の短縮による促音の知覚範疇        図2:先行母音の短縮による促音の知覚範疇 

(日本語母語話者)      (韓国人学習者) 

3-2定量化

知覚範疇化を定量的に扱うために以下のような分析方法を用いた。

1)定振幅幅: どれぐらい判断が揺れるか

2)最大傾き(Slope):同定の鋭さ:同定判断の揺れが観測された時点:今回は10%の変 動を始点とし、90%を終点とする。

3)境界位置(Boundary-Point):  非促音語と促音語の判断が50%になる時点 4)中央値:  最大傾きの50%の境界値

4 .考察

  得られた結果は図3および図4に示す。図3では、同定振幅幅を学習者と母語話者と比較 した結果である。学習者はその幅が母語話者より広い。それはあいまいな音声に対して判 断が揺れる可能性が高いことを示唆している。今回は超上級学習者を対象にしたにも関わ らず知覚範疇化が進んでいない学習者も観察された。なお、振幅幅は先行母音の短縮を行 った場合が母語話者と学習者の同定振幅幅が広かった。

  図3:同定振幅幅の比較(単位:ms) 

L:先行母音が 135ms である場合  S:先行母音が 114ms である場合   

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    図4:中央値比較(単位:ms)              図5:知覚範疇境界値の比較(単位:ms) 

同定振幅幅の(t(19)=1.557、p=.137)で有意差は見られなかった。中央値と境界 値両方では学習者と母語話者間、有意差が見られた。t−検定の結果、中央値(t(19)=−

2.815、p<.05)と境界値(t(19)=−2.261、p<.05)でKS-Lと KS-Sの有意差が見ら れた。つまり、先行母音の短縮により、早い段階で促音として判断しているということに なる。

ここで、注目すべきところはKSが中央値および境界値の両方とも先行母音が短くなる につれ境界値も同様に促進され、JSは先行母音が短くなると、それと相反し、境界値が抑 制された点である。

これは先行研究の大深ら(2005)と一致する結果であり、日本語母語話者は拍の単位で はなく、より大きな知覚単位を持っていることを示唆する。さらに、KS の場合、先行母 音の短縮により、知覚境界値が促進された結果はCSVSが知覚にも影響を与える可能性を 示唆している。

 

5 .まとめと今後の課題 

  今回はKSの促音の知覚において先行母音がどのような影響を与えるのかについて検討 した。その結果、先行母音の短縮による知覚の差が見られ、先行母音の影響が学習者と母 語話者が異なる可能性がある。しかし、 (2007)では、先行母音だけではなく、先行モー ラとの関係もあるという指摘があり、今後、先行母音と先行モーラが促音の知覚に影響を 与えるのかを検証する必要がある。

 

参考文献 

李敬淑 (2007)「促音の音響的手がかりと発話速度との関係」『音声研究』第11巻第1号,71-81 内田照久(1998)「日本語特殊拍の心理的な認知過程からとらえた音節と拍―定常的音声区間の持続時間に

対するカテゴリー的知覚―」『音声研究』第2巻第3号,71-86

大深悦子・森庸子・桐谷滋(2005)「促音の知覚に対する先行・後続母音長の影響」『音声研究』第9巻  2号,59-65

渡部真一郎・平籐暢夫(1985)「二音節語に無声破裂音と促音の判断境界と先行母音の長さの関係」『音 声言語Ⅰ』第1号,1-8

Maddieson, I.(1985)  Phonetic Cues to Syllabification. In V.Fromkin(ed.)Phonetic Linguistics.

203 -221. Orlando Academic Press

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