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福岡フォーラム第5回釜山会議」開催

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9月4日(土)、5日(日)の両日、東西大日本研究セ ンターと九州大韓国研究センターが共同で主管 する「釜山-福岡フォーラム第5回釜山会議」が釜 山市海雲台のパラダイスホテルにて開催された。

2006年の創立以来、同フォーラムは「釜山-福岡 共同体」の構築を目的に、両地域間の協力に関す る多くの提言を行ってきた。今回の会議では「釜 山-福岡間地域協力の具体化のために:新たなツ ールを活用した協力関係」が全体テーマに掲げら

れ、韓国側会長の金鍾烈釜山日報社長、日本側会長の石原進JR九州会長をはじめとす る両都市のオピニオンリーダー22名が参加する中、熱のこもった議論が繰り広げら れた。

4日(土)の会議では、先ず開会式が行われ、今回の会議から新たに加わったメンバ ーの紹介などがなされた。続いて、この度の会議の幹事を務めた張済国東西大副総長 による事務局報告が行われ、2009年度福岡会議の議長総括に盛り込まれた提言の進 捗状況などが確認された。その後、孔魯明元韓国外国通商部長官による特別講演、そ して、セッション毎の発表およびディスカッションが続けて行われた。

特別講演「日韓関係における地域間協力の意味」を行った孔魯明元長官は、これか らの地域レベルの交流について、「中央に振り回されないよう、単純な交流から複合 的な利害の絡む協力関係へと発展するべきだ」とし、「そのような意味で本フォーラ ムが超国境広域経済圏の構築という具体的プロジェクトを推進していることは、非 常に大きな意味を持つ」と語った。そして、9世紀の慈覚大師円仁と新羅人との交流の 話に触れながら、「悠久の歴史を持つ釜山-福岡両地域の交流と協力が、日韓間の国境 を克服し、両国の自由貿易協定、ひいては東アジアにおける共同体の構築をリードし ていくことを願う」と本フォーラムへの期待を述べた。

続く第1セッション「九州新幹線・KTXの全線開業と新たな成長戦略」では、李彦五 釜山発展研究院院長と石原進JR九州会長による発表が行われ、九州新幹線とKTXの 全線開業をはじめとする両地域の広域交通網構築の現況が紹介された。そして、日韓 海底トンネル、新空港の建設などによる国境を越えた両地域の統合交通網の構築が、

福岡-釜山超広域経済圏にもたらす影響などについて論じられた。

また、第2セッション 「『福岡・釜山』医療交流」では、鄭根釜山市医師会会長と江頭 啓介福岡市医師会会長がそれぞれ発表し、両地域における医療インフラの現状につ いて詳しく説明した。その後、釜山側からは同市が取り組む医療観光育成戦略が紹介 され、福岡側からは両地域で高度医療を提供し合う仕組みづくり、大学医学部間の研 究交流、健康づくりのための交流事業などの提案がなされた。

翌5日(日)の会議では、第3セッション「日韓大学間連携の促進」が行われ、金仁世釜

山大総長と有川節夫九州大総長が、それぞれの大 学における日韓大学連携をはじめとする国際間 協力への取り組みを紹介した。また、本フォーラ ム提言により設立された「釜山-福岡所在大学間 コンソーシアム」への具体的提案も行われ、それ らを通じて両地域の人と文化の緊密な繋がりを 築いていくことの重要さが確認された。

議論にはフォーラムメンバーの他、オブザー バーとして両市から経済・医療・教育分野の関 係者なども加わり、真摯な意見交換が行われた。また、吉田宏福岡市長、許南植釜山市 長が両日ともに参加し、5日(日)には、両市長による共同懇談会の場も設けられた。会 議の最後には、「第5回釜山会議 議長総括」が発表され、フォーラムは成功裏に幕を閉 じた。なお、フォーラム第6回会議は、2011年秋に福岡市で開催される予定である。

【第5回釜山会議 議長総括】

1. 福岡-釜山フォーラムはこれまでの実績を踏まえて、福岡-釜山超広域経済圏 実現に向けた雰囲気作りに加え、今後はより実質的な成果の創出が必要で ある。その為にも、釜山市と福岡市が設立した経済協力協議会で示された4 つの基本方向、9つの戦略、23の細部推進事業が着実、且つ具体的・効果的に 推進されることが期待される。

2. 本年11月のKTX全線開通、来年3月の九州新幹線の全線開通を契機として、

釜山と福岡の拠点性が高まり、日韓両国の交流圏と観光圏が拡大し、両地域 連携による域外からの誘致・誘客を期待する。

3. 福岡市・釜山市が計画中である「福岡・釜山健康づくり交流事業」を積極的 にサポートし、両市民の健康的なLife styleの実現を期待する。また、こうし た事業をきっかけに、医療面の相互の理解を一層深め、近い将来、福岡-釜山 で、医療観光などにおいてより緊密な相互協力体制や、相互に高度医療の恩 恵を受けるシステム構築が進むことを期待する。

4. 今後、花開く福岡-釜山超広域経済圏時代を前に、準備をする意味で福岡-釜 山所在の大学間・学生間の交流が重要という共通認識を得た。このため 2008年9月に成立した<大学間コンソーシアム>、九州大/釜山大をはじめ とした域内の大学で実施中の国際化プログラムの更なる活性化を支持す る。「福岡・釜山」間大学コンソーシアムと官民各種組織とが有機的に連携 し、両市インターンシップの更なる実習受け皿企業を両市で開拓する。

5. 日韓両国政府に対して、日中韓共同研究基金の早期設立と、両国の地方圏で の大学交流の促進を期待する。

「釜山-福岡フォーラム第5回釜山会議」開催

-釜山・福岡間地域協力の具体化のために:新たなツールを活用した協力関係-

┃本部┃ 釜山広域市沙上区周礼2洞 山69-1 東西大学校国際協力館 8F TEL 051-320-1900 FAX 051-320-1902 E-MAIL [email protected]

┃ソウル事務所┃ 東西大日本研究センターソウル事務所 ソウル鍾路区新門路光化門オピシア 2331号 TEL 02-723-2270~1 FAX 02-723-2272

Dongseo University tHe JAPAn Center

東西大学校日本研究センター

http://www.japancenter.or.kr 発行日 2010年 11月 30日 発行人 鄭求宗 発行所 東西大学校日本研究センター

第18号

(2)

2

日本研究センター交流プログラム

第1セッション:

「九州新幹線・KTXの全線開業と新たな成長戦略」

李彦五

(釜山発展研究院院長)

釜山ではKTX全線開業、釜山-巨済間連結道 路開通など、釜山圈広域交通網の構築を通じ、

南部圈中心都市機能の強化が図られている。

釜山-福岡超国境経済圏を形成していくには、

これを更に北東アジア統合交通網の構築へと 繋げていく必要がある。すなわち、釜山新空港 の釜山-福岡超広域経済圏中心空港としての共 同開発、日韓海底トンネルの建設によるKTX と新幹線の連結など、統合交通網構築へ向け た両市の協力が望まれる。それらを通じた釜 山-福岡超国境経済圏形成のための実践課題と しては、先ず、同経済圏が日韓交流・協力のモ

デルであり、国家レベルのプロジェクトであ ることを両政府に認識させる必要がある。ま た、高速鉄道全線開通による時間短縮効果を 倍加させるため、CIQ(税金・出入国管理・検 疫)などの制度的な改善を要求すべきである。

最後に、観光コースや観光商品の共同開発、共 通電子マネーの発行など、人材交流、ビジネス 協力のためのプロジェクトを推進していかね ばならない。

石原進

(福岡側代表世話人、JR九州会長)

2010年度末の九州新幹線全線開業が福岡- 釜山両地域にもたらす影響として、時間短縮 効果による交流・観光圏の広がり、移動手段 増加によるモビリティの高まりといった点が 挙げられる。この全線開業に向けた九州内の 動きとして、先ず観光面では、国内やアジア地

区へ向けた情報発信、新たな観光ルートや多 様な観光商品の開発が強化されている。一方、

ビジネス・経済面では、商業施設の相次ぐ開 業、新幹線駅周辺地域でのホテルの開業やマ ンション建設が活発に行われている。その他、

地域によるまちづくり、大学や医療機関の開 設など、全般的な地域活性化に繋がっている。

両地域の更なる発展には、福岡-釜山間の交流 促進、両地域連携による域外からの誘致・誘 客という2つの視点が必要である。具体的に は、観光インフラ整備、魅力ある観光地形成な ど、インバウンド強化に向けた相互の取り組 み、また、共同観光客誘致事業、釜山-九州投資 支援会など協力事業の着実な実施が求められ る。福岡では、産学官連携による「福岡・アジ ア国際戦略特区」構想を日本政府に提案する 予定である。

第2セッション:

「『福岡・釜山間』 医療交流」

鄭根

(釜山市医師会会長)

韓国の医療供給体系は、医療機関の制限なき 増加、首都圏の大型病院と地域病院の間の両 極化、これによる患者の負担増加などの問題 を抱えている。そのような中、釜山市は地方都 市でありながら、非常に充実した医療インフ ラを擁している。また、自然環境に恵まれ、ア ジアの国際交通の要地であることから、医療 観光ハブ都市を目指している。西面メディカ ルストリート(約160の医療機関が集結)、海雲 台の東南圏原子力医学院や白病院(1,004病 床)などを擁する釜山市は、次のような医療観 光育成戦略を立てている。すなわち、第一段階

で予防医学(健康検診など)とWellness(美容、

整形など)、第二段階で重症疾患(6大癌、手術の 必要な疾患など)、第三段階で慢性疾患(老人性 疾患など)、長期休養、レジャーに重点を置くと いった、段階的推進戦略である。中長期的なイ ンフラ整備としては、国立老化総合研究院、国 内外の医学研究センターなどの誘致が予定さ れている。

江頭啓介

(福岡市医師会会長)

釜山市と福岡市の医療交流を考える際、相互 の医療資源を確認することから始める必要が ある。福岡市は人口当たりの医師・病院数、各 医療機関間の診療連携体制などを見ても、医 療・介護インフラは必要十分であると言え る。また、高度先進医療施設、小児専門病院な

どハード面の整備に加え、「健康日本21福岡市 計画」の下、市民の総合的な健康づくりを推進 している。これらの現状を踏まえ、以下の提案 を行う。先ず、メディカルツーリズムについて は、医療の進歩に資することが大前提で、経済 活性の観点のみでなく、両市が相互に高度医 療を提供し合う仕組みづくりから始めるべき であろう。次に、大学間交流であるが、九州大 は 「アジア遠隔医療開発センター」を開設し、

アジア各国と遠隔医療教育・技術交流を進め ている。九州大と釜山大との間で遠隔交流に 加え、研究者間の日常的な交流を進めていく ことが望ましい。最後に、両市が双方のノウハ ウを活用しながら共同で健康づくりの取り組 みを行う「福岡・釜山健康づくり交流事業」を 提案したい。

第3セッション :

「日韓大学間連携の促進」

金仁世

(釜山大学校総長)

釜山大と九州大間の共同教科目運営、日中 韓3国が推進する東アジア版エラスムス制度

「キャンパスアジア」での経験を通じ、次の ようなことを感じた。すなわち、国際間協力 プログラムを成功させるには、長期的な観点 から共同の発展を思考し、グローバルな人材 を育成しなければならず、また、十分な経済 的・制度的支援が必要だということである。

「釜山-福岡所在大学間コンソーシアム」に は、以下の点を提案したい。第一に、相互の枠 の中での個別的な交流の活性化、第二に、共 同研究、共同講義を支援するファンドの設立

や共同学生寮の建設といった現実的な事業 の推進、第三に、具体的提案を議論する専門 チームの構成である。日韓の地域間協力に は、経済的なwin-win関係に劣らず、人と文化 の緊密な繋がりが必要である。大学間コンソ ーシアムはその核心になり得るもので、両地 域が世界の高等教育の新たな中心として屹 立する日を期待する。

有川節夫

(九州大学総長)

九州大が韓国との間で行っている主な学 術交流には、ソウル大との図書館間交流(セ ミナーの開催、職員の派遣、出版物の交換な ど)、次世代インターネット技術開発の研究 者交流(九州大が日本側拠点大学となり、全 国24の協力大学が参加)などがある。また、釜

山大との間では、共通科目の開設、日韓海峡 圏カレッジの新設、社会科・総合学習の副読 本『もっと知りたい福岡・釜山』の共同制作 など、新たな取り組みを積極的に推進してい る。次に、九州大は文部科学省の推進する国 際化拠点整備事業 「グローバル30」の拠点大 学に選定され、大学全体の国際化に向けた戦 略を展開している。海外オフィスの新設、英 語コースや東アジア環境ストラテジスト育 成プログラムの開設、インターンシップ制度 の積極導入などを通じ、今後10年間で留学 生数を3倍に増やす計画である。最後に、両国 政府に対し、日中韓共同研究基金の早期設立 と福岡・アジア国際戦略特区の早期採択を 期待する。

(3)

私はこの頃「日露戦争」に没頭している。退職さ れたベテラン教授から引き継いだ「世界外交史」

という科目を教え始め、今年で約6年になる。この 過程で私は外交史という新たな学問の世界に次 第に引き込まれていった。大学院生の頃からずっ とロシア政治と外交政治の「懸案」を専攻分野と して扱ってきた私にとって、歴史とは単に教養レ ベルで読書するぐらいの分野であった。しかし、

自らが教える科目の一つになったことで、新たな 比重を持つようになった。実際に外交史を読んで 整理し、学生たちに教えることを毎年繰り返して いるうちに、私の関心は政治と外交上の「懸案」よ りも過ぎ去った「歴史」へと次第に移っていった。

その中でも「日露戦争」は、一皮剥く毎に新たな 姿を見せる深い魅力を持った「歴史」として私に 迫ってきた。日露戦争は表面的には日本とロシア の両国が極東で衝突した事件である。しかし、一 皮剥くだけで、そこに朝鮮の姿が現れる。日露戦 争は全ての戦闘が朝鮮と中国という第三国の領 土と領海で展開された特異な戦争であった。戦雲 が韓半島(朝鮮半島)周辺に濃厚に立ち込めると、

大韓帝国はすぐに局外中立を宣言した。しかし、

戦争が韓半島を避けることはなかった。1904年2 月、日本は冷たい冬の時期に仁川近海でのロシア 軍艦に対する攻撃で開戦した。日本が起こした戦 争がいつもそうであったように、今回も宣戦布告 のない奇襲攻撃であった。そして、1905年5月、大 韓海峡(対馬海峡)にてバルチック艦隊を撃沈した ことが、事実上この戦争の勝敗を分けることとな った。この期間、日本が「日韓議定書」(1904.2.23)

と「第一次日韓協約」(1904.8.22)等で朝鮮に対 する圧迫を強めていたのは、この戦争を有利に導 いていくためであった。戦争を終えた「ポーツマ ス講和条約」(1905.9)にて、日本は朝鮮支配を国 際的に公認された。このように見れば、朝鮮は「日 露戦争」でその命運が決定されたと見ることがで きる。そのぐらい「日露戦争」とは世界外交史で あり、且つ我々の歴史でもあるわけである。

日露戦争は国際政治の心臓部に直接繋がって いる。日露戦争に備えるため、日本は世界最強の 大英帝国と同盟条約を締結する外交革命を成し 遂げた(1902)。日英同盟が世界外交史において革 命的だった理由は、「光栄な孤立」(glorious isolation)を外交政策指針とした大英帝国が歴史 上初めて外国と樹立した同盟関係であったため である。そのパートナーが当時の欧米列強ではな く、極東に位置する小さな島国だったことが、そ の同盟が破格のものであることをより一層際立 たせた。

日英同盟締結に続いて、日本は米国においても 緻密な外交を展開した。それは米国内の世論主導 層の間に、日本に対する好意的な認識を植えつけ る一種の文化外交であった。このために『武士道』

など日本文化に内在した美徳を浮かび上がらせ た本を翻訳し、米国の識者層に伝え広めていっ た。後に、T.ルーズベルト大統領がこれらの本に 接することで日本に好感を持つようになり、更に はホワイトハウスで柔道を習うまでになった。公 式的には中立の立場でありながら、ポーツマス条 約を仲裁する過程において彼が日本と秘密協議

の場を持ったのは、正にこのような親日感情がも たらした結果であった。

ロシアが極東で日本に惨敗したという戦争結 果は、ヨーロッパ内の勢力均衡図をも完全に書き 換えてしまった。何よりもロシア-フランス同盟 体制の間で身動きする余裕すらなかったドイツ にロシアが惨敗した結果は、戦略的な解放を意味 した。ロシアの軍事力が当初から過大評価されて いたことが露呈し、敗戦により規律まで崩壊した のを確認したドイツは軍備拡張のために軍事戦 略の大幅修正を行った。このことがすなわち第一 次世界大戦を喚起した「 シュリーフェンプラン」

(Schlieffen Plan)を生んだのである。

このように世界外交史に研究上の関心を奪わ れた私に、日露戦争は掘り進めていけばいくほど 新たな鉱脈を見せてくれている。現在の日韓関係 において最も敏感な緊張要因として作用する「独 島(竹島)」問題も、日本が日露戦争を準備する過程 で歴史の舞台に現れる。日露戦争は永遠に枯渇す ることのない単一鉱山のようである。しかし、決 定的に残念な点は、私が日本語を読んだり話した りすることができないということだ。それで、

2011年にサバティカル制度を利用して研究休暇 を送ることになった私は、日本語習得を第一の挑 戦課題に設定した。また、可能な限り頻繁に日本 を訪問する予定である。そのような意味で、2011 年は私が日本と近づくことのできる年になるよ う期待している。

3

2011年、 日本ともう少し近づく ことができるだろうか...

釜山大学校政治外交学科教授

全洪燦

日韓コラム

(4)

4

現代日本学会、釜山日本研究フォーラムと共同で学術会議を開催

-地域の視点から東アジア共同体について議論-

開会式

司会:金雄熙(現代日本学会総務理事・仁荷大教授)

歓迎の辞:張済国(釜山日本研究フォーラム代表・東西大副総長) 開会の辞:崔恩鳳(現代日本学会会長・梨花女子大教授) 現代日本学会-釜山日本研究フォーラム間MOU締結 ラウンドテーブル:「東アジア共同体:地域からの発信」

司会:金浩燮(中央大教授)

発題1:「東アジア共同体の分水嶺-ビジョン、権力構造、そして未来-」

金基石(江原大敎授)

発題2:「釜山-福岡超広域経済圏の形成と日韓協力」

張済国(東西大副総長) 討論:孫基燮(釜山外大教授)

金俊燮(国防大教授) 中山光輝(日本大使館参事官) 内門博(西日本新聞記者) 李明贊(東北亜歴史財団教授)

日本研究センター 学術プログラム

8月20日(金)、東西大民石図 書館国際会議室にて、現代日 本学会・東西大日本研究セン ター・釜山日本研究フォーラ ムが共同主催する学術会議が 開催され、ソウルおよび釜山 慶南地域の日本研究者約50 名が参加した。今回の学術会 議では「東アジア共同体:地 域からの発信」というテーマ が掲げられ、中央とは異なる 地域の視点を取り込んだ、東 アジア共同体に関する多角的 な議論が展開された。

会議に先立って行われた開会式では、現代日本学会と釜山日本研究フォ ーラムとの間で、共同学術研究交流活動の実施、学術研究における相互協力 などが盛り込まれたMOUの締結式が行われた。締結式に臨んだ釜山日本研 究フォーラム代表の張済国東西大副総長と現代日本学会会長の崔恩鳳梨花 女子大教授からは、 「ソウルと釜山を代表する日本研究者の研究交流によっ て、日本および東アジアに関する研究の外延の拡大と質的発展に寄与して いきたい」との抱負が語られた。続くラウンドテーブルでは、金浩燮中央大 教授の司会の下、東アジア共同体形成の動きに関する理論的、実際的なレベ ルでの発表と議論がなされた。

先ず、金基石江原大教授が「東アジア共同体の分水嶺-ビジョン、権力構 造、そして未来-」というテーマで発表を行った。金基石教授は「90年代半ば から活発化した東アジア地域協力が、2000年代に入って活力を失った背景 には、ビジョンの衝突、複合的勢力図とリーダーシップ問題、既得権者と新 参者の競争などがあり、現在は重層的ジレンマの状況にある」と解説した。

続けて、「東アジア地域協力体制の今後の展望として、多者的多元主義、多者 主義的分業体系、制度的多元主義など三種類程度のシナリオが考えられる」

とし、「現実的には、多様な多者主義的協力体が相当期間にわたって共存す るという、多者的多元主義の状況が持続する可能性が最も高い」との見解を 述べた。そして、「米国とロシアの東アジア首脳会議(EAS)加入など、より多 くの国家が東アジア協力の枠組みに編入されているが、APECのように形 骸の道を歩むのか、あるいは実質的な共同体へと発展していくのか、東アジ ア協力はその分岐点に立たされている」と述べ、発表を締め括った。

続いて、張済国東西大副総長が「釜山-福岡超広域経済圏の形成と日韓協 力」というテーマで発表を行った。張済国副総長は先ず、「日韓関係は新たな パラダイムを必要としており、複合的な利害関係を持った協力関係、中央の

独占によらない多様性を認 める関係へと発展していく べきである」と述べた。続け て、「中国沿岸部の急成長、ソ ウル-東京への一極集中、人口 流出など、地方都市である釜 山と福岡は共通の危機に直 面している」との認識を述 べ、「李明博政権の『国際化に 対応できる広域経済圏の構 築』という政策に対し、釜山- 福岡両地域はその中心的役 割を果たしていくべきだ」と 語った。そして、釜山-福岡超広域経済圏形成に向けた現在までの両都市の 取り組みを紹介した上で、「強い政治的リーダーシップの下、各種提言を具 体化していくことと同時に、両地域の市民レベルの共感を形成していくこ と、また、中央政府の関心と支援をいかに得るかが今後の課題である」と述 べ、発表を終えた。

2名の発表の後、指定討論者とフロアも参加した総合討論が行われ、東ア ジア共同体構築に対する日中韓それぞれの立場と果たすべき役割、東アジ ア共同体が目指すべき姿とEUとの比較、自由貿易協定や通貨政策での協調 といった日韓の具体的な協力関係強化などについて、真摯な議論が交わさ れた。3時間に渡る学術会議の後には、東西大主催の晩餐会が開かれ、参加者 たちは親交を深めつつ、今後の研究交流などについて語り合った。

(5)

全智慧

(歴史)

釜慶大学校大学院史学科石塔専攻 博士課程

[email protected]

私は韓国の石塔に関する研究に取りくんでいる。研究の出発は百済 様式石塔の建設年代に対する疑問から始まり、修士課程では百済地域 の夫餘、益山を中心とした一群の石塔についてその様式的特徴を調べ た。現在は、研究範囲を広げ様々な様式が見られる高麗石塔について多 角的にアプローチしている。

百済様式の石塔は昔の百済地域を中心に、弥勒寺跡・定林寺跡石塔 を模倣し、高麗時代に復古的に建設された石塔のことである。すなわ ち、百済滅亡後約250年間の空白を経て高麗時代に再登場したのが百 済様式石塔ということになる。しかし、私は百済様式石塔の建設年代を 高麗時代に限定するのは再考する必要があると考えている。これは様 式的側面だけでなく、8世紀後半以降に進められた石塔建設の地方化現 象、そして日本最古の石塔として知られている石塔寺の石塔とも関連 があるからだ。百済様式石塔の建設年代に対する再考は、韓国石塔研究 において多様な視点からのアプローチを示す一つの契機になるのでは と考えられる。

本研究は、中西伊之助の『汝等の背後より』(1923)に対する植民地朝 鮮の二つの反応、すなわち金明淳の創作小説『タンシルとジュヨン』

(1924)と、李益相の翻訳『汝等の背後より』(1924)を比較考察すること により、この二人の知識人が各々いかなる悩みを抱いて奮闘し、その後 どのような同人と共に文壇活動を展開していったかを明らかにするこ とに焦点を置いている。中西伊之助のこの小説に対し、「批判対受容」、

「創作対翻訳」、「女性対男性」、「朝鮮日報対毎日新報」という様々な面 で正反対の立場にある金明淳と李益相の二つの連載小説は、1924年植 民地朝鮮の文壇の内部事情を捉えている。また、この二つの反応様相は、

女性を他者として設定する制度的企画に対抗して女性作家としてのア イデンティティを絶えず探索し続けた金明淳と、文学を通じた社会主義 思想の実践の可能性を模索しながら、ついにはKAPF結成を主導するこ とになる李益相の文学的推移を予測している表象であるともいえる。こ のような三作品間の拮抗と交互様相は、帝国知識人の自己反省と被植民 知識人の自己省察を展望する拠点となり、また、1920年代中盤の日韓両 国の文壇の状況を立体的視点から捉えるという意義を含んでいる。

私は東アジア地域における医療制度の歴史を研究しています。東ア ジア地域には中医学とその系統の韓方、和方( 漢方)、ベトナム医学等の 伝統東洋医学があります。この伝統東洋医学は、東アジア地域の近代化 以降は西洋医学に比べて科学的実証性が劣るため衰退していました が、しかしながら近年では伝統医学の持つ方藥の利点が見直され、東洋 医学研究が盛んに行われつつあります。

医療制度には医育と医事という2つの行政目的があります。医育とは 医学教育機関を設け、医師を養成することであり、医事はそれ以外の医 療に関わる全ての行政のことと定義付けられています。この2つの医療 行政は、為政者が学校教育機関を設け、官僚を登用するシステムができ た頃と同時期に行政に組み込まれたものです。そのため、医療制度には 学校教育や官僚制度等、国の統治に重要な要素が含まれているのです。

そこで私はこの中医学系統の伝統医学拡大圏を対象とし、東アジア 地域の伝統医療制度が最も整備された中国明朝を主軸に、その時代背 景と制度の特徴、そして歴史的意義を検証することとしました。現在は 主に、科挙制度と医学教育制度との関係、官僚制度との関わりについ て、政治、制度、教育、社会等の視点から研究を進めています。将来的に は東アジア地域相互国間の医療制度の歴史を比較検証し、国の医療政 策に貢献したいと考えています。

私は、碁会所経営のビジネスモデルについて研究している。碁会所経 営者の自伝随筆的な先行研究は散見されるが、ビジネスとして研究し たものは少ないのが現状である。これは、碁会所をビジネスとしてでは なく、趣味の延長線上で取り組んでいたことを表しているのかもしれ ない。しかし、逆に真摯に経営と向き合ってこなかったのであれば、研 究後には碁会所ビジネスの再興可能性も大いにありえるはずであり、

研究の意義は高い。いずれにしても、近年はインターネット対局が普及 しつつあり、碁会所のビジネスモデルを再考しなければならない岐路 に立っている。ネット対局は碁会所の代替になってしまうのか、もしく は補完関係が成り立つのかが問われている。現在の私の結論では、ネッ ト対局の浸透は避けられないが、従来の碁会所も並存できると考えて いる。そのためには、碁を打つ場所を提供するだけではなく、プラス付 加価値が必要であると確信している。このことを、長期継続している碁 会所を事例に調査し、伝統分野の他業界から参考にできる箇所にも目 を向けた。そして、さらには碁会所のチェーン店舗化の可能性など碁会 所ビジネスの成長戦略について探ってみることとした。

申恵琇

(言語・文学) 梨花女子大学校大学院現代小説専攻 博士課程

[email protected]

土屋悠子

(歴史)

中央大学大学院文学研究科東洋史学専攻 博士後期課程

[email protected]

石田征道

(経済・経営) 法政大学大学院経営学研究科 修士課程2年

[email protected]

5

[日韓次世代学術フォーラム 国際学術大会参加者による研究紹介]

次世代研究

(6)

6

第10回東西サランバン:孔魯明元韓国外交通商部長官講演

「日本の韓国強制併合100年を越えて-菅直人首相の謝罪談話をどう見るか」

第6回日韓6大学共同セミナー開催

- 「生命、いのち」をテーマに -

8月25日(水)、本センターソウル事務所にて、第10回東西サランバン が開催され、孔魯明元韓国外交通商部長官が「日本の韓国強制併合100 年を越えて-菅直人首相の謝罪談話をどう見るか」をテーマに講演を行っ た。この日の会合には、崔書勉国際韓国研究院院長、水越英明在大韓民国 日本国大使館公使・政治部長他、日韓の有識者約20名が参加した。

孔魯明元長官は講演の中で、「今回の菅直人首相の談話以前にも、村山 談話、金大中-小淵共同宣言などがあったが、個人的には金大中-小淵共同 宣言で歴史認識とそれに対する謝罪は一段落ついたと考える」と述べ た。そして、「それにもかかわらず、光復節(日本の植民地統治からの解放 を記念する日)など機会ある毎に歴史認識に関する問題が取りざたされ るのは、日韓関係の持つ特殊な性質のためである」と語った。

続けて孔魯明元長官は、1992年の宮沢喜一元首相の来韓演説につい て触れ、「過去の事実を直視する勇気と被害を受けた人々の感情を理解 し、このような過ちを二度と繰り返さないという警戒心を次の世代に培 っていくという、ドイツのワイツゼッカーの有名な演説と同じ趣旨のこ とを述べた」と評価した。そして、「繰り返される日本の首相による謝罪 表明に日本国民は食傷気味になっているかもしれないが、壬辰倭乱(文禄 の役)、閔妃暗殺、そして韓国強制併合へと繋がる両国の辿ってきた歴史 は、決して忘れることのできないものである」とし、「日本国民がこのよう な機会に被害者側の立場で考えてみることが大切であろう」と述べた。

最後に孔魯明元長官は、「日本の謝罪、反省が韓国国民の胸に迫り、真 の歴史和解がなされるためには、日本国民の謙虚な姿勢も必要だが、謝 罪を受け入れる韓国国民の寛容さもまた必要である。このような意志を 持つためには現在、そして未来に日本がいかなる国かという認識が必要 だ」と指摘した。そして、「勢力を拡大し続ける中国に対し、韓国も日本も 単独で対抗することはできない。中国とまともに交渉するなら米国との 同盟と日韓の協力は欠かせない。そのような認識に立ってこそ、我々は 日本の謝罪をまともに受け入れることができ、真の日韓協力が実現する であろう」との見解を述べ、講演を締め括った。

9月14日(火)、東西大学校小郷アートホールにて日韓6大学共同セミナ ーが開催され、日本側から慶應義塾大学、大正大学、山口県立大学、韓国側 から東西大学校、釜山大学校、釜山外国語大学校の計6大学約300名が参加 した。 今回のセミナーのテーマは「生命、いのち」で、生命・死と自己との かかわり方、現代の日本社会または韓国社会における命についての認識、

韓国の葬儀文化、命そのものの意味に焦点を当てたものなど、6大学それ ぞれの視点に基づき多彩な発表が行われた。

発表後の討論では、発表内容からもわかるように、今回のテーマの意味 やイメージが広範囲に及ぶことから、日韓両国における共通点・相違点を

見出そうと参加学生の積極的な姿勢が多く見られた。

その後のグループディスカッションでは、両国の学生が5つのグループ に分かれ、各大学の発表と討論内容を踏まえ、意見を述べながら話を深め た。その結果、人と死の定義、テレビ・映画などのメディアが生命に及ぼす 影響、さらにはテーマと関連し、死刑制度の賛否両論を討論したグループ など様々な内容のディスカッションが展開された。

セミナーに参加した大正大の今井陽恵さん(社会福祉学部3年)は 「テー マについて同じ日本人の発表でも新しい発見があった反面、疑問に思った こともあり、ディスカッションの際にもっと内容を深めなけらばならなか った」と振り返りながらも、「日韓両国の文化や考え方の違い、自分では想 像もしなかった点など多くのことが学べ、来年も参加したいと強く思っ た」と早くも次のセミナー開催に期待を寄せていた。

山口県立大学の浅羽祐樹教授は総評で、「テーマの意味するものやイメ ージが日韓両国で共有しにくかったようだが、それを認めたうえで互いに 理解していこうとするスタイルが印象に残った」と述べ、「今回のセミナー では、参加者全員が「生命、いのち」を見つめなおす貴重な時間となった」と 振り返った。

セミナー終了後、参加学生はホームステイを実施、翌日の釜山市内観光、

送別会と合わせて両国の友好ネットワークを築き、全日程を終了した。

日本研究センター 学術プログラム

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先日、ある講演会で著者の一人イム・ヨンシ ン氏に会った。彼女が口にした公正旅行!!!「あ っこれだ!」と思い、すぐに本を買い一気に読 み上げた。 公正旅行とは、旅行先を見学しその 場を離れていく「消費」ではなく、出会いと分か ち合いが存在する「関係」の旅行のことを言う。

日常からの脱出という観点で休息と旅行を楽し んできた私のような普通の人間は考えたことすらない概念だった。

人権、経済、環境、政治、文化、学習の6つの視線から著者は読者に公 正旅行の必要性を提示している。具体的には、女性のためのヒマラヤ トレッキング専門旅行会社から象の資源農園までネパール、チベッ ト、インド、フィリピン、タイ、キューバ、ロンドンなどの旅行情報を 案内している。

公正旅行をすると、旅行者が使うお金がその地域とコミュニティの 人々に入り、また、消えゆく森の保存、絶滅の危機にある動物の保護 につながると著者は提案している。

旅行をするのならば、一度ぐらいは公正旅行をしてみてはどうだろ うか。旅行が自分だけでなく誰かにも何かを寄与するとしたら、旅行 者、現地の人々にとってよいことに間違いない。

日本研究センター研究員:辛貞和(国際学部教授)

『희망을 여행하라』

イメジンピース イム・ヨンシン、イ・ヘヨン ソナム 2009年6月

『 ハナミズキ』

吉田紀子 幻冬舎文庫 2010年7月 ドラマ「お見合い結婚」や映画「涙そうそう」な どの作品で有名な脚本家吉田紀子の作品で、自 分の夢を追いかけながら必死に生きようとする 紗枝と、彼女を純粋に愛する漁師康平の恋愛小説 である。 北海道の港町で育った二人は偶然の出会 いを通じ交際を始めるが、紗枝の東京への大学進 学により、二人の間にはすれ違いが生じる。しか し、10年後彼らは、紗枝の父親が植えたハナミズキの木の下で劇的な再 会をするという、ある意味では単純なストーリーではあるが、この作品 のおもしろさは早いストーリーの展開と小説の構成にあると思う。つ まり、この作品では紗枝の母親である良子と紗枝の心の経過が「初恋」

「遠距離」、そして「ハナミズキ」という同じタイトルで交互に出てくる という構成になっており、あたかも読んでいるうちに一つの映画のな かで紗枝と良子のドラマティックな人生を垣間見ているような感覚に 陥るのである。 紗枝の父親圭一が植えたハナミズキ、その木に託した父 親の願いとは一体何だったのか。紗枝と康平が再会する場面でハナミ ズキの花びらが舞い散る情景を心のなかで描くことができたら、この 作品を充分に味わえたと言えるのではないか。 夜が長くなり始めたこ の季節、秋の風が冷たく感じられる方にもってこいの心暖まる物語で ある。

日本研究センター研究員:大島真弓(外国語学部日本語学科教授)

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東西大-静岡県立大 韓日大学生共同セミナー開催

11月19日(金)、本学日本 語学科と静岡県立大学に よる韓日大学生共同セミ ナーが開催された。「韓国 併合100年と日本首相談 話をどう思うか」をテーマ に各大学から発表があり、

その後に参加者全員による討論が行われた。

発表後の討論で日本側は「前進したことを前向きに考えるべき」との 立場をとり、一方の韓国側は「前進はしたかもしれないが、過去に日本 が起こした事実を“認める”内容が含まれておらず、物足りない内容」と の立場をとった。特に、本学の発表にあった「日韓併合無効宣言」に関す るもののうち、日本人有識者のサイン、「併合」という言葉自体に関する 整合性、文化財の返還(菅首相の言葉では“譲渡”)の3点については、両 大学から活発な意見が相次いだ。 また、両国が互いの国に“どうしてほ しいのか”という互いの要求に対し、本学からは『日本が韓国にしたこ とを認め、慰安婦問題に関する賠償問題の解決などを進めてほしい』、

静岡県立大からは『日韓基本条約締結の際に日本は韓国に賠償金を支 払ったということを韓国人が認めたうえで、改めて慰安婦問題の賠償 問題など人道的レベルにおいての話を進めていけたらいい』と、参加者 全員が未来志向的解決を望んでいることが確認された。

張済国東西大副総長が 日本の民間文化交流団体 である日韓文化交流基金 より「第11回日韓文化交 流基金賞」を受賞した。9 月16日(木)午後、ソウルの ロッテホテル本館2階エ メラルドホールで開催された授賞式には、日韓両国の文化交流関係者 100名余りが参加した。 同財団は、「張済国副総長は2003年に自ら設 立した東西大日本研究センター所長として、2007年からは東西大副 総長として、日韓関係に関する各種のフォーラム、セミナー、講演会な どを設立、運営してきた。そして、大学と地域の枠を越えた日韓間の学 術交流の拡大と若い世代の相互理解増進のために尽力してきた」と今 回の受賞理由について述べた。また、「特に本人が代表を務める『日韓 次世代学術フォーラム』は、毎年日韓両国から200名を超える若手研 究者が参加する大規模な学術交流事業であり、日韓の次世代を担う研 究者たちの交流の場として、大変重要な役割を果たしている」とその 業績を称えた。 張済国副総長が創設し、拡大・発展させてきた「日韓 次世代学術フォーラム」は、今年で7年目を迎え、毎年日韓両国の大学 院生とその指導教員ら約300名が参加しており、来年度大会は日本の 一橋大学で開催される予定である。

張済国東西大副総長

「第11回日韓文化交流基金賞」受賞

日本研究センター日韓交流プログラム / 推薦図書

推薦 図書

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釜山広域市が主管する

「釜山BB(Brain Busan)事 業」の「人文・社会分野(研 究中心)」支援を受け、本研 究センターと本学大学院 日本地域研究科では「日本 からの観光客のための伝 統文化遺産の象徴的意味 解釈と文化観光産業資源への転換モデルに関する研究」という研究課 題を共同で遂行している。本研究課題には釜山市から毎年約5,000万 ウォン(参加学生への研究補助費)が支援され、3年間(2010年5月~

2012年2月)事業が遂行されることになる。 釜山地域に残存する伝統 文化遺産(有形・無形)を収集・整理した後、観光産業資源として活用す るための意味解釈とストーリーテリングの作成を行い、文化コンテン ツとして開発すること、そして、関連専門家を養成することが本研究課 題の目的である。

本研究センターの研究員3名(李元範、鄭水源、南椿模)を指導教授と し、大学院生(博士課程1名、修士課程2名)と学部生(7名)が研究補助員と して参加している。 現在まで指導教授と研究補助の学生たちが釜山地

域に残存する伝統文化遺産を体系的に収集、整理し、また、毎月1回、専 門家を招聘しての特別講義を開催してきた。これまでの遂行過程で次の ような点が確認された。すなわち、釜山地域には未だ知られていない日 本関連の歴史的遺産が様々な場所に散財しており、文化観光資源として の無限の価値を持っているにもかかわらず、釜山市や関連文化観光機 関、産業体はこれらの資源に十分に注目できておらず、そのままの状態 で埋もれているのである。

本研究センター会議室で開催された10月の特別講義(10月22日(金)) では、釜山税関李用得館長を招き、「釜山のストーリーテリングを考え る」とのテーマで講義と討論が行われた。李用得館長は「釜山には無限 の観光資源が散在しているが、現在、それらを文化観光コンテンツとし て開発しようとする動きは極めて弱い」と指摘し、「本研究課題チームの 今後の活躍が期待される」と述べた。 また、11月の特別講義(11月10日 (水))では、観光業の第一線で活躍する李俊昊J-travel理事を招き、特別講 義を開催した。李俊昊理事は韓国の観光産業が現在抱えている問題につ いて、ホテル、食事、交通、文化商品など、具体的な事例を挙げながら指摘 した上で、「釜山の観光文化に根本的な変化をもたらすこと、すなわち、

韓国の魅力、釜山の魅力を体系的に把握し、商品化する努力が必要だ」と 語った。

「釜山BB(Brain Busan)21」初年度の事業遂行状況

9/1 日本思想史研究会

『日本思想史研究会会報』No 27、

2010年

9/13 樫尾直樹(慶應義塾大学) 樫尾直樹著、『スピリチュアル・

ライフのすすめ』、文春新書、

2010年 ほか1冊 9/14 ソウル大学校日本研究所

『일본비평』제3호、그린비、2010年 9/29 学校法人城西大学ジェンダ-・女

性学研究所

『RIM』28号、2009年 ほか3冊

10/19 半田敦子

北原保雄、『現代文1改訂版』、大修 館書店、2010年 ほか27冊 10/28 蘇東鎬(全北大学校)

『初恋 초련』、계간문예、2010年 11/1 鄭大均(首都大学東京)

『韓国のイメージ増補版』、中公新 書、2010年

11/18 小倉紀蔵(京都大学)

『ハイブリッド化する日韓』、NTT 出版、2010年

日本研究センター本部

9/7 西田正憲 奈良県立大学学長補佐 他1名 9/15 金賢明 中央公務員教育院国際教育協力官 9/29 水田宗子 学校法人城西大学理事長 他6名 10/4 小林照夫 関東学院大学文学部教授 他9名 10/14 榊原眞一 財団法人住友財団企画部助成担当部長 11/19 小針進 静岡県立大学教授

日本研究センターソウル事務所

8/30 鈴木正人 駐大韓民国日本国大使館公報文化院副院長 9/14 渡邊武 防衛省防衛研究所研究部

10/7 松原孝俊 九州大学韓国研究センター長 10/13 又野己知 経済産業省大臣官房審議官

岩田泰 経済産業省博覧会推進室室長 小野幸子 経済産業省通商情報政策局 8/13 日韓未来フォーラム代表として国際政治学会と共同でソウル・ラマダ

ルネサンスホテルにて「国際環境シンポジウム」を開催

8/20 日韓未来フォーラム代表として日韓議員連盟と共同で汝矣島国会図書 館にて韓日国会議員フォーラムを開催

8/21 全国各大学の日本研究センター代表者会議にて「2010年と日本研究」

をテーマに基調講演

8/25 孔魯明特任教授招請第10回東西サランバン開催

8/27 日本経済産業省又野己知大臣官房審議官などの表敬訪問を受けて麗水 博覧会と日本館テーマ設定などに対する諮問に応対

9/6 東亜ドットコムの顧問として九州朝日TVを訪問 竹内健二社長以下役 員との面談および東亜日報の放送事業との提携問題を協議

9/7 佐賀県唐津市にある壬辰倭乱当時の豊臣秀吉の軍事発進基地・名護屋 城と博物館を訪問、博物館長の案内で壬辰倭乱当時の朝鮮侵略状況図な ど歴史展示物を観覧

10/2 韓日文化交流会の委員長として東京にて開催の「日韓祭りハンマダン 2010」開幕式に参加

10/3~5 ホテルオークラ東京にて開かれた第18次韓日・日韓フォーラムの 全体会議に張済国副総長と共に出席 (司会など行事主宰) 滞在中に仙谷官房長官、前原外相、岡田民主党幹事長などと懇談 10/12 大阪府高槻市議会および商工会議所代表訪韓団(団長辻元清美衆議院

議員)85名の招請でロッテホテルにて「韓国政治経済の最近状況と韓 日関係」をテーマに講演

10/15 朝日新聞の招請で朝日新聞本社にて「韓日過去100年未来100年」を テーマにした韓日知識人座談会に出席

10/25 慶應義塾大法学部の招請で同大学院にて大学院生を対象に「政治変動 waveの日韓比較と市民意識」をテーマに講義および討論

11/4~5 日韓未来フォーラムの代表として淑明女子大100周年記念館にて 韓日マスコミ関係者・教授など30名招請の「2010年と韓日間相互 理解の模索」をテーマにシンポジウム開催

11/15~16 韓中日文化交流フォーラムの韓国側委員長として日本で開催さ れた第6回韓中日文化フォーラムを共同主宰

11/17 読売新聞社の招請で東京の読売本社にて中国および日本フォーラム 代表らと「東アジア共同体形成における文化の役割」をテーマにした 座談会に参加

所長動静 (8月~11月) 訪問者 (8月~11月)

寄贈図書 (9月~11月) 8

12/20『次世代人文社会研究第7号』論文修正原稿提出締切 1/15 日韓次世代学術フォーラム 韓国側運営委員会議

主な日程 (12月~2月) 日本研究センター学術プログラム/日本研究センター 動静

• 編集委員長 : 小笹克行 • 編集委員 : 山口達見、 尹恩慧

Referensi

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【日本側参加者】 野上 義二(NOGAMI Yoshiji) 日本国際問題研究所理事長 谷野作太郎(TANINO Sakutaro) 日本国際問題研究所評議員 日中友好会館会長代行 高木誠一郎(TAKAGI Seiichiro) 日本国際問題研究所客員研究員 青山学院大学教授 高原 明生(TAKAHARA Akio) 東京大学教授 斎木 尚子(SAIKI