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Wagakuni no chiiki shikin junkan bunseki

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我 が国の地域 資金循環 分析

溝 下 雅 子

辻村

和佑

2003年 3月 ver.1.0

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1は じ め に バ ブ ル 崩 壊 後 の 我 が 国 の 地 域 経 済 は 、 種 々 さ ま ざま な 問題 を 抱 え て お り、 この 解 決 な し に は 日本 経 済 の 再 浮 上 は 困難 で あ る との 指 摘 も な され て い る。 そ こ で 本 稿 で は 我 が 国 の 地 域 間 資 金 循 環 構 造 に 着 目 し、 地 域 特 性 を 分 析 す る の み な らず 、 こ れ が マ ク ロ経 済 に 与 え る 影 響 を考 察 す る こ と を企 図 して い る。 しか し な が ら、 こ と資 金 の 流 れ とな る とそ もそ も分 析 の 基 礎 とな る 統 計 資 料 が 皆 無 に 等 し い 。 こ こ で は 国 内銀 行 で あ れ ば 個 別 行 の 財 務 諸 表 が 容 易 に入 手 で き る 点 に着 目 し、 こ れ を 地 域 分 析 の基 礎 資 料 と し て 利 用 す る こ と と した 。 す な わ ち本 稿 で は 、 日本 銀 行 作 成 の 資 金 循 環 勘 定 に お け る 国 内銀 行 部 門 を 、 地 域 別 に 細 分 化 した 資 金 循 環 勘 定 を 作 成 し て 分 析 して い る。 も と よ り資 金 循 環 勘 定 は 多 数 の セ ル を 総 体 と して 金 融 構 造 を 分 析 す る た め の ツ ー ル で あ り、 個 々 の セ ル の 数 値 を 取 り上 げ て これ を 分 析 す る の は 本 来 の 趣 旨 に 反 す る。 国 内 銀 行 に 関 して は 個 別 行 の財 務 諸 表 が 公 開 され て お り、 地 域 別 の 分 析 を お こ な うに は 、 単 純 に こ れ を積 算 す れ ば た りる。 資 金 循 環 勘 定 は これ ら の1次 統 計 を加 工 し た2次 統 計 で あ り、 そ の 分 だ け 情 報 が 劣 化 して い る と考 え る の が 妥 当 だ か らで あ る。 しか し な が ら一 方 で 、 資 金 循 環 勘 定 は コー プ ラ ン ド(1952)以 来 の 四重 記 帳 方 式 で 作 成 され て お り、経 済 統 計 と して の枠 組 み の 中 で 各 主 体 の 状 況 を 把 握 す る手 段 と し て は 優 れ て い る。 も と も と財 務 諸 表 は 商 法 の 株 主 保 護 の 立 場 か ら企 業 情 報 を 開 示 す る 手 段 と して 開発 され て お り、 経 済 統 計 作 成 の基 礎 資 料 と して の 性 格 を 付 与 され た もの で は な い か らで あ る。 財 務 諸 表 か ら得 られ る貸 借 対 照 表 は 資 金 循 環 勘 定 の 列 バ ラ ン ス の み に 注 目 して お り、 行 バ ラ ン ス に っ い て は ま っ た く考 慮 さ れ て い な い 。 資 金 循 環 勘 定 で は 行 バ ラ ン ス を 考 慮 した 分 だ け情 報 量 が 増 加 し て い る とみ る こ と もで き る の で あ る。 そ こ で 以 下 で は 資 金 循 環 勘 定 の視 点 か ら、 地 域 別 国 内 銀:行の 状 況 を 把 握 し、 そ の概 要 を 紹 介 して い る。 た だ し以 下 の 分 析 は 、 も と よ り個 別 金 融 機 関 も し く は そ の 集 合 体 の財 務 内容 を 直 接 表 現 して い る も の で は な く 、 む し ろ 各 地 域 が 置 かれ て い る 現 状 が 、 金 融 機 関 の 勘 定 に 凝 縮 され て 表 現 され た も の と解 釈 す る の が 妥 当 で あ る こ と は 付 言 され る べ き で あ ろ う。 2デ ー タ に つ い て 我 が 国 で 資 料 と して 利 用 可 能 な 資 金 循 環 勘 定 と して は 、 日本 銀 行 が 作 成 して い る も の が も っ と も一 般 的 で あ る。 一 方 で 慶 應 義 塾 大 学 産 業 研 究 所(KEO)で は 東 洋 経 済 新 報 社 の 協 力 を 得 て 、 有 価 証 券 報 告 書 を 積 算 す る こ とで 多 部 門 資 金 循 環 勘 定 の 作 成 を 進 め て い る 。 日 本 銀 行 作 成 の 資 金 循 環 勘 定 は 四 半 期 ご と に 得 られ 、 行 バ ラ ン ス が 調 整 され て い る な ど 、 使 い 勝 手 は す こぶ る よ い 。 しか しな が ら制 度 部 門 の 分 類 が 粗 く 、地 域 分 析 に は 不 向 き で あ る。 ま たKEOの 資 金 循 環 勘 定 は そ の 性 質 上 、多 部 門化 が 容 易 で あ る反 面 、原 資 料 に 忠 実 に 作 成 す る とい う方 針 も あ っ て 、 行 バ ラ ン ス を調 整 し て い な い 。 行 バ ラ ン ス が 調 整 され て い な い 資 金 循 環 勘 定 は 、辻 村 ・溝 下(2002)に 示 した よ うな 産 業 連 関 分 析 に 準 拠 した 標 準 的 な 分 析

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手 法 に は な じみ に くい 。そ こ で 本 稿 で はKEO資 金 循 環 勘 定 を 作 成 す る過 程 で推 計 し た 国 内 銀 行 各 行 の貸 借 対 照 表 を 全 国11地 域 ご と に組 替 え て 、 既 存 の 日本 銀 行 作 成 の 資 金 循 環 勘 定 に 組 み 込 む こ と と した 。 地 域 分 析 とい う 目的 を 考 慮 して 、基 礎 資 料 と した の は2001年3,月 の 資 金 循 環 勘 定 で あ る。 これ は 我 が 国 の 主 要 銀 行 が 合 併 を 繰 り返 す こ とで 再 編 成 され 、 複 数 の 地 域 を拠 点 とす る銀 行 の 貸 借 対 照 表 が 徐 々 に統 合 され 、 特 色 を掴 み に く く な っ て い る こ と に配 慮 した 結 果 で あ る。 した が っ て 以 下 の 分 析 は 、 い わ ゆ る メ ガ バ ン ク誕 生 前 夜 の 我 が 国 の 地 域 間 資 金 循 環 構 造 の 断 面 図 と見 な す こ とが で き る。 2.1資 金 循 環 勘 定 資 金 循 環 勘 定 は 、 各 制 度 部 門 が どの よ うな 資 金 運 用 ポ ー トフ ォ リオ と資 金 調 達 ポ ー トフ ォ リオ を 形 成 して い る の か 、 貸 借 対 照 表 形 式 で 一 覧 と して 示 して い る 。 こ の うち 資 産 側 だ け を 取 り出 した 表 を 資 金 運 用 表(E表)、 負 債 側 だ け を 取 り出 した 表 を 資 金 調 達 表(R表) と して い る。 こ のE表 とR表 の構 成 は 図1の よ うに 表 され る。

制度部門

E

制度部門

R

図lE表 とR表 の 構 成

E表 は 各 制 度 部 門 の 資 金 運 用 ポ ー トフ ォ リオ を表 すE行 列 、 各 主 体 の負 債 超 過 ベ ク トル ε、 各 金 融 商 品 の 総 資 産 額 を示 すE行 列 の 行 和 ベ ク トルtRE行 列 の 列 和 に 負 債 超 過 を 足 し て 各 主 体 の資 産 合 計 を 示 すtベ ク トル か ら構 成 され る 。対 照 的 に 、R表 は 各 制 度 部 門 の 資 金 調 達 ポ ー トフ ォ リを 表 すR行 列 、 各 制 度 部 門 の 資 産 超 過 ベ ク トル ρ、 各 金 融 所 品 の総 負 債 額 を表 すR行 列 の 行 和 ベ ク トルtR、 R行 列 の 列 和 に 負 債 超 過 を 加 え て 各 主 体 の総 負 債 合 計 を 表 すtベ ク トル か ら構 成 され る。 こ こ でtベ ク トル はE表 とR表 の 両 方 に 共 通 して お り、 各 主 体 の 金 融 資 産 合 計 と:負債 合 計 は 等 し く な る よ うに 作 成 され て い る こ と、 ま た 目本 銀 行 作 成 の 資 金 循 環 勘 定 に お い て はtE=tRと な っ て い る こ とに 留 意 され た い 。

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2.2国 内 銀 行 の 部 門 分 割 日本 銀 行 が 作 成 して い る 資 金 循 環 勘 定 の 制 度 部 門 は 、 金 融 機 関 に っ い て 詳 細 な 内 訳 が 示 され て は い る も の の 、 預 金 受 入 金 融 機 関 に 関 して い え ば 、 国 内 銀 行 、 在 日外 銀 、 農 林 水 産 金 融 機 関 、 中小 企 業 金 融 機 関等 の4分 類 に 留 ま っ て い る。 した が っ て どの 制 度 部 門 も全 国 各 地 に存 在 す る 個 別 主 体 の 財 務 諸 表 が ひ とつ に集 計 され て 計 上 され て い る。 これ を 地 域 別 の 分 析 が で き る よ うに 、 本 稿 で は 現 時 点 で デ ー タ の 入 手 可 能 な 国 内銀 行 に つ い て の み 、 各 銀 行 個 別 の 有 価 証 券 報 告 書iを 用 い て よ り詳 細 な 地 域 ご と の 部 門 分 割 を お こ な っ て い る 。 2001年3,月 末 時 点 の銀 行 数 は都 市 銀 行9、 信 託 銀 行8、 長 期 信 用 銀 行3、 地 方 銀 行64、 第 二 地 方 銀 行57、 合 計141行 と な っ て い る。 これ らを 本 店 所 在 地 に よ っ て 首 都 圏 、 北 海 道 、 東 北 、 北 関 東 甲信 、 北 陸 、 東 海 、 近 畿 、 中 国 、 四 国 、 九 州 、 沖 縄 のII地 域 に 区分 した 。 それ ぞ れ の 地 域 に含 ま れ る 県 と銀 行 の 数 は表1に ま と め られ る。 金 融 商 品 は 日本 銀 行 の 分 類 に した が い 、 そ れ ぞ れ の 項 目に 該 当 す る デ ー タ を 有 価 証 券 報 告 書 よ り抽 出 して 、 対 応 づ け て い る 。 前項 に 述 べ た よ うにE表 とR表 そ れ ぞれ の制 度 部 門別 合 計(tベ ク トル)と 金 融 商 品 合 計(tEベ ク トル 、 tRベ ク トル)は 等 し く作成 され て い る。 し た が っ て この 関 係 を崩 さな い よ うに 、 各 銀 行 の バ ラ ン ス シ ー トの 合 計 が 資 金 循 環 勘 定 の 国 内 銀 行 の 値 に 等 し く な る よ う に 調 整 して い る。 具 体 的 に は 、 各 金:融商 品 の合 計 が 資 金 循 環 勘 定 と一 致 し な い 場 合 、 有 価 証 券 報 告 書 か ら各 地 域 の 比 率 を 求 め 、 資 金 循 環 勘 定 の 合 計 値 に そ の 値 を乗 じて 按 分 し て い る 。

表1 地域 区分 と各地域に含まれ る銀行数

地域 区分

含まれ る県

銀行数

1首 都 圏 埼 玉 県 、 千 葉 県 、 東 京 都 、 神 奈 川 県 25 2北 海 道

北海道

3 3東 北 青 森 県 、岩 手 県 、 宮 城 県 、 秋 田 県 、 山形 県 、 福 島 県 16 4北 関東 甲信 茨 城 県 、 栃 木 県 、 群 馬 県 、 山 梨 県 、 長 野 県 11 5北 陸 新 潟 県 、 富 山 県 、 石 川 県 、 福 井 県 11 6東 海 岐 阜 県 、 静 岡 県 、 愛 知 県 、 三 重 県 15 7近 畿 滋 賀 県 、 京 都 府 、 大 阪 府 、 兵 庫 県 、 奈 良 県 、 和 歌 山県 20 8中 国 鳥 取 県 、 島根 県 、 岡 山 県 、 広 島 県 、 山 口県 10 9四 国 徳 島 県 、 香 川 県 、 愛 媛 県 、 高 知 県 8 10九 州 福 岡 県 、佐 賀 県 、長 崎 県 、 熊 本 県 、 大 分 県 、宮 崎 県 、鹿 児 島 県 19 ll沖 縄

沖縄県

3

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3分 析 方 法 3.1金 融 連 関 表 の レ オ ン テ ィエ フ 逆 行 列 前 節 で 提 示 した 国 内銀 行 を 地 方 ご と に分 割 した デ ー タ を も とにE表 とR表 が 作 成 され る。 両 表 よ り負 債 ポ ー トフ ォ リオ 仮 定 ま た は 、 資 産 ポ..__トフ ォ リオ 仮 定 を採 用 す る こ と に よ っ て そ れ ぞ れ 制 度 部 門 ×制 度 部 門 の 金 融 連 関 表Y表 とY*表 が 作 成 され る。 両 表 の詳 細 な 作 成 方 法 と整 合 性 に つ い て は 辻 村 ・溝 下(2002a,b)の とお りで あ る 。 Y表 の 投 入 係 数 行 列 をC行 列 、Y*表 の 投 入 係 数 行 列 を ひ 行 列 と定 義 す る と、負 債 ア プ ロー チ(Y表)、 資 産 ア プ ロー チ (Y*表)そ れ ぞ れ に お け る 資 金 需 給 の バ ラ ンス 式 は 以 下 の よ う に表 され る。 Ct+E=t (1) Ct+p=t (2) そ れ ぞ れtに つ い て 解 く と t=(1-C)一tE (3) t=(1-C*)一1P (4) が 導 か れ る 。 た だ し1はm×mの 単 位 行 列 で あ る 。 ま た 、 以 下 で は レオ ンテ ィエ フ 逆 行 列 (1-C)一1の 各 要 素 を1)、 レ オ ン テ ィ エ フ 逆 行 列(1-C*)一1の 各 要 素 を1)と 表 す こ と と す る 。 こ の 為 か ら計 算 され る負 債 影 響 力 係 数 、負 債 感 応 度 係 数 と、Yijか ら計 算 され る 資 産 影 響 力 係 数 、 資 産 感 応 度 係 数 の 値 を 国 内銀 行 の 地 域 ご と に比 較 して い るii。影 響 力 係 数 は 各 制 度 部 門 が 資 金 需 要(供 給)を お こ な っ た と き に 、 金 融 シ ス テ ム 全 体 に もた らす 資 金 需 要 量(供 給 量)増 分 の 極 限 値 の 相 対 的 な 大 き さ を 表 して い る。 つ ま り負 債 影 響 力 係 数 が 大 き い 部 門 は 資 金 調 達 を 、 資 産 影 響 力 係 数 が 大 き い 部 門 は 資 金 運 用 を 積 極 的 に 幅 広 く行 な っ て い る 部 門 だ と い え る 。 一 方 、 感 応 度 係 数 は す べ て の 部 門 で 資 金 需 要(供 給)が1単 位 増 加 した と き の 当該 制 度 部 門 にお け る 資 金 供 給 量(需 要 量)増 加 の 極 限 値 の相 対 的 な 大 き さ を示 す も の で あ る 。 負 債 感 応 度 係 数 が 大 き い 部 門 は 資 金 調 達 先 と して 、 資 産 感 応 度 係 数 が 大 き い 部 門 は 資 金 運 用 先 と して 多 く の 経 済 主 体 か ら頼 られ て い る 部 門 だ とみ な す こ とが で き る。 さ らに 負 債 ア プ ロー チ と 資 産 ア プ ロ ー チ に お け る レ オ ン テ ィ エ フ逆 行 列 係 数 を も と に 、 どの 地 域 同 士 が 似 か よ っ た 性 質 を 持 っ て い る の か を 明 らか に す る た め に ク ラ ス ター 分 析 を 行 っ た 。 ク ラ ス タ.__.分析 を お こ な う際 に は 影 響 力 係 数 や 感 応 度 係 数 と い っ た 平 均 値 で 基 準 化 され た 値 で は な く、 列 和 や 行 和 そ の も の を 分 析 対 象 とす る の が 望 ま しい か らで あ る 。 し か しな が ら本 稿 の ケ._.スで は 両者 の 分 析 結 果 に 差 異 は な く、 以 下 の分 析 を影 響 力 係 数 と感 応 度 係 数 に 関 す る ク ラ ス タ ー 分 析 と読 み 替 え る こ とが で き る。 分 析 方 法 を簡 単 に ま とめ る と以 下 の とお りで あ る。 負 債 ア プ ロー チ と資 産 ア プ ロー チ で は 同 様 の 計 算 が 行 われ る の で 、 こ こで は 負 債 ア プ ロー チ の み 記 す 。 ま ず 国 内銀 行 をll地 域 に分 け た と き の 、 そ れ ぞ れ の 地 域 に お け る レオ ン テ ィ エ フ 逆 行 列 係 数 の 列 和 を γ勘,行 和 を γ売 とす る。 た だ し下 付 のkは1,…,llま で の 各 地 域 を 表 す 。

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ま ずk地 域 と1(1≠k)地 域 の 間 の ユ ー ク リ ッ ド平 方 距 離 晶 を 計 算 す る。 2S kl=(γ ド γρ2+(Y.k-Y.r)2 (k≠1)(k,1=1,…,11)

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次 に(5)式 の 結 果 よ りユ ー ク リ ッ ド平 方 距 離 の 最 も 近 い 地 域 同 士 を 合 わ せ て1つ の ク ラ ス タ ー トす る。 第1地 域 と 第2地 域 が1っ に く く ら れ て ク ラ ス タ`一一aが っ く ら れ た 場 合 、 ク ラ ス タ ー α と 第b地 域(ク ラ ス タ ー)(b≠1,b≠2)と の 距 離5。 わは 、 最 短 距 離 法 を 用 い て 次 式 で 求 め ら れ る 。 Sab;0.5x5、1+0.5×Sb2+0.5×'S12-0.5×sbl-Sb2 (6) た だ し 、'Sb1は第 ろ地 域 と第1地 域 の 間 の 距 離 、 Sb2は 第b地 域 と第2地 域 の 間 の 距 離 、"S12 は 第1地 域 と第2地 域 の 問 の 距 離 を 表 す 。 こ の(6)式 の 結 果 と(5)式の 結 果 を 比 べ て 最 も距 離 の 短 い 地 域 同 士 を さ ら に グル ー プ 化 して い き 、 ク ラ ス タ ー 数 が1つ に な る ま で(6)式 を繰 り 返 し行 うこ とで グル ー プ 化 が お こ な わ れ る。 3.2金 融 連 関 表 の 三 角 化 資 金 市 場 にお け る 各 地 域 の 関 係 を 明 らか にす る た め にY表 を な ん らか の 基 準 に 従 っ て 図 2の よ うに 並 び 替 え て 三 角 化 をお こ な う。 こ の 並 び 替 え る 基 準 に は 辻 村 ・溝 下(2002b)iiiで 用 い られ て い る3通 りの方 法 を 採 用 した 。1つ め が列 基 準 の 三 角 化 で あ り、資 金 調 達 源 泉 の 多 い 部 門 ほ ど上 位 に位 置 す る。2っ め が 行 基 準 の 三 角 化 で 、資 金 供 給 先 が 少 な い 部 門 ほ ど上 位 に位 置 す る。 そ して3つ め が 右 上 要 素 最 小 化 基 準 の 三 角 化 で 、 行 列Yの 主 対 角 線 右 上 の 要 素 の 総 和 が 最 小 に な る よ うに 並 べ 替 え る方 法 で あ り、 資 金 需 要 の 派 生 因 果 序 列 を 明 らか に し よ う とす る も の で あ る。

図2 金融連関表の三角化 の模式図

4分 析 結 果 4.1金 融 資 産 ・負 債 差 額 図3に 示 した よ うに 、 同 じ 国 内 銀 行 とい え ど も、 そ の 置 か れ て い る 立 場 に は 大 き な 隔 た

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りが あ る。観 測 時 点 の2001年3月 で 金 融 資 産 超 過 とな っ て い る の は 、11地 域 中で 北 海 道 、 東 北 、 中 国 、九 州 の4地 域 に 止 ま っ て い る。 これ らの 地 域 は1980年 代 末 期 の バ ブ ル に 巻 き 込 ま れ な か っ た 分 資 産 デ フ レの影 響 が 少 な く、 不 良 債 権 の発 生 率 が 低 い こ とが 如 実 に 反 映 され た 。 これ 以 外 の 各 地 で は 程 度 の 差 こ そ あ れ 、 い ず れ も負 債 超 過 と な っ て い て バ ブ ル 崩 壊 後10年 を 経 て な お 、資 産 デ フ レ の後 遺 症 か ら抜 け 出せ ず に い る こ と を 如 実 に 示 して い る 。 負 債 超 過 に 陥 っ て い る の は 主 と して 本 州 中部 の 諸 地 域 で あ る が 、 例 外 は 四 国 で あ る 。 これ は バ ブ ル 絶 頂 期 の1988年 に 瀬 戸 大 橋 が 完 成 し、地 域 的 な ミニ バ ブ ル を経 験 した た め と推 測 され る。 と く に 注 目 され る の は 首 都 圏 に 拠 点 を 置 く各 銀 行 の 負 債 超 過 が 、 思 い の ほ か 少 な い とい う事 実 で あ る。 こ の 時 点 の 資 金 循 環 勘 定 に お い て は 、 都 市 銀 行 合 計 で は 金 融 資 産 超 過 とな っ て お り、首 都 圏 に 拠 点 を か ま え る5行 の うち負 債 超 過 とな っ て い る の は2行 にす ぎ な いi・。 これ に 対 して 北 関 東 甲信 、 北 陸 、 東 海 、 近 畿 の負 債 超 過 が 大 き く、 と く に東 海 が8兆 円 、 近 畿 が11兆 円 以 上 と群 を抜 い て い る 。 こ の 当時 、近 畿 に拠 点 を 置 い て い た 都 市 銀 行3行 の うち2行 が 負 債 超 過 と な って お り、 こ れ が数 字 を大 き く押 し上 げ て い る こ とは 否 め な い 。 近 畿 で は 地 方 銀 行 も軒 並 み 負 債 超 過 とな っ て お り、1995年 の 阪神 淡 路 大 震 災 や 、2000年 の 百 貨 店 そ ご うの 経 営 破 た ん な どの 影 響 か ら脱 却 で き ず に い る こ とが 浮 き彫 りに な っ た 。 一 方 で 、 北 関 東 甲信 、 北 陸 、 東 海 地 域 に 拠 点 を 置 く銀 行 の 場 合 、 都 市 部 の 支 店 が バ ブ ル の 影 響 を受 け た こ と、 地 場 産 業 が 構 造 的 な 不 況 に 陥 っ て い る とい っ た 問 題 点 が 指 摘 され よ う。 4.2資 産 ・負 債 ポ ー トフ ォ リオ 図4に 示 す よ うに 、 国 内銀 行 の 資 金 調 達 ポ ー トフ ォ リオ も地 域 に よ り さま ざま で あ る。 と くに 顕 著 な の は都 市 部 の銀 行 ほ ど預 金 に よ る資 金 調 達 の 比 率 が 小 さい こ とで あ る 。 東 北 、 北 関東 甲信 、 北 陸 、 中 国 、 四 国 、 九 州 、 沖 縄 で は 預 金 の 比 率 は 軒 並 み80パ ー セ ン トを超 え て お り、 唯 一 四 国 は90パ ー セ ン トを超 え て い る。 そ れ との 比 較 で は 首 都 圏 が55パ ー セ ン ト、近 畿 が67パ ー セ ン ト、名 古 屋 を抱 え る東 海 が77パ ー セ ン トと預 金 に よ る調 達 比 率 が 小 さい 。 た だ し首 都 圏 に は 金 融 債 発 行 銀 行 が 含 まれ て お り、 これ を 加 えれ ば62パ ー セ ン ト とな り、 他 地 域 との 見 か け 上 の格 差 は縮 小 す る。 ま た い わ ゆ る 大 都 市 部 以 外 で は 、 北 海 道 の 金 融 機 関 の 預 金 に よ る 調 達 比 率 が 低 く、77パ ー セ ン トで 東 海 と な ら ん で い る。 預 金 に 次 い で 資 金 調 達 で 目立 つ の は借 入 で あ り、 自 己資 本 の 充 実 を 劣 後 特 約 付 借 入 金 に 頼 っ て い る 都 市 銀 行 が 集 中 す る 首 都 圏 や 近 畿 で 、 と く に これ が 際 立 っ て 多 い 。 ま た イ ン タ ー バ ン ク市 場 か ら の 資 金 調 達 が 多 い の は 首 都 圏、 近 畿 、 東 海 の 三 大 都 市 圏 で あ り、 そ の マ ネ ー ポ ジ シ ョ ン を 反 映 して い る 。 ま た 三 大 都 市 圏 に 拠 点 を お く銀 行 は 株 式 に よ る資 金 調 達 比 率 も 高 い が 、 これ は 海 外 拠 点 を 持 つ銀 行 が 集 中 して い る た め に 、 自 己 資 本 比 率8パ ー セ ン トを維 持 す る緊 要 性 が 高 い た め と推 測 され る。 次 に 図5の 資 金 運 用 ポ ー トフ ォ リオ に 目を 移 す と、 先 ほ ど の 資 金 調 達 の 場 合 とは 異 な り、

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都 市 圏 とそ の 他 とい っ た 顕 著 な傾 向 が 見 られ ず 、 む し ろ 地 域 ご と の 個 別 の 特 性 が 際 立 つ 結 果 と な っ て い る。 貸 出 の 比 率 が 全 国 一 高 い の は 北 海 道 の79パ ー セ ン ト、 次 い で 九 州 の77パ ー セ ン ト、沖縄 の76パ ー セ ン トの順 とな って い る。 これ に対 して貸 出の比 率が もっ とも低 い の は近 畿 の48パ,_.セ ン ト、 東 海 の53パ.__.セン トで 、 北 関 東 甲信 と北 陸 が と も に58パ ー セ ン トで これ に次 い で い る。 首 都 圏 の 貸 出 比 率 は66パ ー セ ン トで あ り、 東 北 の67パ ー セ ン ト と大 差 な い 。 そ の 他 の 資 金 運 用 で は 国 債 を 中心 と した 公 共 債 の 比 率 が 高 く、 東 北 の19パ ー セ ン ト、 近 畿 の16パ ー セ ン トな どは 例 外 と して も 、 各 地 域 と も10∼15パ ー セ ン ト程 度 を 占 め て い る。 株 式 の保 有 比 率 は 三 大 都 市 圏 で 高 く 、 首 都 圏 や 近 畿 で は6パ ー セ ン ト台 と な っ て い る。 ま た イ ン ター バ ン ク市 場 に お け る運 用 比 率 で み る と、 東 北 が6パ ー セ ン トで 高 く、 北 陸 、 中 国 、 四 国 、 沖 縄 な どが お しな べ て4パ ー セ ン ト前 後 と な っ て い る 。 これ に 対 して 首 都 圏 や 近 畿 で は か ろ う じて1パ ー セ ン トを 超 す の み で 、依 然 と して 資 金 偏 在 が イ ン ター バ ン ク 市 場 に 反 映 され る 状 態 が 続 い て い る こ とが わ か る 。 な お 、 首 都 圏 、 北 関東 甲信 、 北 陸 、 東 海 、 近 畿 、 四 国 、 沖 縄 に 計 上 され て い る 「そ の他 」 の うち 、 か な りの 部 分 は負 債 超 過 で あ り、 そ の分 だ け 資 産 が 劣 化 して い る こ とを 示 して い る。 負 債 超 過 が 負 債 額 全 体 に 占 め る比 率 で み る と北 陸 が15パ ー セ ン ト、 東 海 と北 関 東 甲 信 が13パ ー セ ン トで 、 近 畿 の7パ ー セ ン トを も 大 き く凌 駕 して い る。 ち な み に 首 都 圏 の負 債 超 過 は 比 率 で は1パ ー セ ン トに も満 た な い 。 こ れ は 不 良債 権 問 題 が 単 な る 資 産 デ フ レに 止 ま ら ず 、 地 場 産 業 の 不 振 等 と も 重 な る構 造 的 な 問 題 で あ り、 大 都 市 圏 よ り もむ し ろ 周 辺 地 域 で 深 刻 だ とい う事 実 を 如 実 に 示 して い る。 4.3影 響 力 係 数 と感 応 度 係 数 の 結 果 4.3.1負 債 影 響 力 係 数 と負 債 感 応 度 係 数 後 述 の 三 角 化 が 、 い わ ば 資 金 の 流 れ を 直 接 に 序 列 関 係 と して 認 識 す る分 析 方 法 で あ る の に 対 し,レオ ン テ ィ エ フ 逆 行 列 か ら算 出 され る影 響 力 係 数 と感 応 度 係 数 は 、 資 金 の 間 接 的 な 波 及 ま で を も考 慮 して 、 各 主 体 の位 置 付 け を 分 析 す る 手 法 で あ る。 負 債 影 響 力 係 数 は 、 当 該 地 域 の銀 行 が1単 位 の 資 金 調 達 を した とき に 、 最 終 的 に 全 国 に どれ だ け の 資 金 需 要 を も た らす か を 示 す も の で あ る 。 これ に 対 して 負 債 感 応 度 係 数 は 、全 国 の 経 済 主 体 が そ れ ぞ れ1 単 位 の 資 金 調 達 を し た と き に 、 当 該 地 域 の銀 行 に どれ だ け の 資 金 需 要 が お よ ぶ か を示 す も の で あ る。 こ の 両者 の 関 係 を ま とめ た の が 図6で あ る 。 ま ず 同 図 の 第1象 限 に は 首 都 圏 と 近 畿 圏 が 含 ま れ て お り、 中 で も 首 都 圏 は 負 債 影 響 力 係 数 と負 債 感 応 度 係 数 が と も に 際 立 っ て 大 き い 。 こ の こ とは 首 都 圏 が 資 金 の借 り手 と して 強 大 な プ レゼ ンス を発 揮 す る 一 方 で 、 本 来 な らば 全 国 の 資 金 需 要 を 一 手 に ま か な う金 融 仲 介 機 能 を 期 待 され て い る こ と を あ ら わ し て い る。 これ は 同 じ第1象 眼 に あ っ て も近 畿 とは 対 照 的 で あ る。 近 畿 の:負債 影 響 力 係 数 は き わ め て 大 き く、 借 り手 と して は 首 都 圏 に負 け ず と も劣 ら な い プ レゼ ンス を発 揮 す る も の の 、 そ れ ほ どま で に は 金 融 仲 介 機 能 を 期 待 され て は い な い 。

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図6を み る と第II象 限 に属 す る地 域 は我 が 国 に は 存 在 せ ず 空 白域 とな っ て い る 。 第 皿象 限 に 属 す る 地 域 の うち 、 北 海 道 、 九 州 、 東 北 は負 債 影 響 力 係 数 、 負 債 感 応 度 係 数 と も に小 さ く 、 こ れ らの 地 域 が お お む ね 自 己完 結 的 で あ る こ とを 示 し て い る 。 前 述 の 金 融 資 産 ・負 債 差 額 や ポ ー トフ ォ リオ の 分 析 で み る と、 こ の 地 域 は 本 源 的 資 金 供 給 者 で あ り、他 地 域 に も 資 金 供 給 して い る こ とが 窺 われ る が 、 直 接 に 資 金 不 足 の 地 域 に 資 金 供 給 をす る こ と は 少 な く 、 首 都 圏 の 金 融 仲 介 機 能 を借 りて 間 接 的 に これ を お こ な っ て い る こ とが 読 み 取 れ る 。 同 じ第II象 限 に 属 して い て も 、 中 国 や 四 国 は 負 債 影 響 力 係 数 が 比 較 的1に 近 く 、 お そ ら くは 近 畿 圏 と よ り密 接 に結 び っ い て い る こ と が 窺 わ れ る。 な か で も 四 国 は 負 債 超 過 で あ り、 第 II象 限 に あ りな が ら、 む しろ 隣 接 す る 第IV象 現 の 北 関 東 甲信 、 北 陸 な ど と 同 じグ ル ー プ に 属 す る と見 な す こ と も で き る。 次 に 第IV象 現 で あ る が 前 述 の よ うに 、 北 関 東 甲信 や 北 陸 は負 債 影 響 力 係 数 で み る と1に 近 く、:負債 超 過 で あ る が ゆ え に 資 金 の 借 り手 と して は そ こ そ こ の プ レゼ ン ス を もつ も の の 、 金 融 市 場 の メ イ ン ステ ー ジ に 登 場 す る ほ どの イ ンパ ク トを もつ もの で は な い 。 沖 縄 の 場 合 、 こ れ ら と同 じ グル ー プ の 一 員 と も 見 な せ る が 、 相 対 的 に は負 債 影 響 力 係 数 が 大 き く、 逆 に 負 債 感 応 度 係 数 は 小 さ い 。 沖 縄 の 場 合 、 金 額 的 に は僅 少 とは い え 負 債 超 過 で あ り、 資 金 供 給 を他 地 域 に 依 存 す る も の の 、 一 方 で 地 理 的 な 条 件 か ら特 定 地 域 との 結 び っ き が 少 な く 、 資 金 供 給 源 が 分 散 され て い る こ とが 負 債 影 響 力 係 数 を 大 き く し て い る 要 因 と推 測 され る。 これ に対 して 東 海 は 第IV象 現 に あ りな が ら も、 負 債 影 響 力 係 数 の 大 き さ は 首 都 圏 、 近 畿 に 続 く第3位 と な っ て お り他 の 地 域 とは 一f,を 画 す る。 東 海 は近 畿 に次 い で 負 債 超 過 が 大 き く 、 こ れ が 負 債 影 響 力 係 数 を 高 め て い る 一 方 、 同 じ く負 債 超 過 の 北 陸 を後 背 地 と して 抱 え て い る こ とで 金 融 仲 介 機 能 を 期 待 され る 側 面 も皆 無 で は な い こ とが 、:負債 感 応 度 係 数 を 第 IV象 現 の 中 で は相 対 的 に 高 め に して い る 。

北陸

四国

北関東 甲信

中国

東北

北海道

九 州

沖縄

東海

近畿

首都圏

0

0

30

0

7

0

10

図7負 債影響力係数 と負債感応度係数 によるクラス ター分析の結果

こ れ を 図7の ク ラ ス ター 分 析 の結 果 で み る と、 第1の ク ラ ス タ ー は 第 皿 象 現 の 四 国 と第 IV象 現 の 北 陸 の 組 み 合 わ せ で あ り、 第2の ク ラ ス タ._._は同'じく象 現 を ま た い で 北 関 東 甲信

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と 中 国 、 そ して これ に東 北 が 加 わ る か た ち で 形 成 され て い る。 こ の 両 ク ラ ス タ ー は 一 団 と な っ て さ ら に 大 き な ク ラ ス ター を 形 成 して お り、 そ の他 の 地 域 が 順 次 これ に 結 合 して い く か た ち で あ る。 した が っ て 図6で は視 認 しに く い も の の 、 負 債 感 応 度 係 数 が ク ラ ス タ ー 形 成 に 大 き な 役 割 を果 た し て お り、 資 金 の 巨 大 需 要 地 で あ る首 都 圏 、 近 畿 、東 海 との 係 わ り 合 い が 、地 域 特 性 を規 定 して い る主 要 因 で あ る こ とが 読 み 取 れ る。 そ の意 味 で は 前 述 の 第1 お よ び 第2の ク ラ ス タ ー を形 成 して い る地 域 は 、負 債 超 過 も し く は 小 幅 な金 融 資 産 超 過 で あ りな が ら、 巨 大 資 金 需 要 地 へ の 資 金 供 給 者 と して の 役 割 を 要 求 され て い る とい う意 味 で の 共 通 点 を もっ も の と理 解 され る 。 4.3.2資 産 影 響 力 係 数 と資 産 感 応 度 係 数 資 産 影 響 力 係 数 は 当 該 地 域 が 資 産 の保 有 を1単 位 増 加 させ た と き に 、 全 国 に どれ だ け の 資 金 波 及 、 言 い 換 え れ ば 誘 発 投 資 が 生 ず る か を 測 る 指 標 で あ る 。 一 方 で 資 産 感 応 度 係 数 は 各 経 済 主 体 が そ れ ぞれ1単 位 の 資 金 供 給 を した とき に 、 当 該 地 域 に どれ だ け の 資 金 が 行 き 渡 るか を 示 す 指 標 で あ る 。 図8に 両 指 標 の 相 関 図 を 示 し た が 、 先 の 負 債 影 響 力 と負 債 感 応 度 の 場 合 と 同 様 に 第1【象 現 に属 す る地 域 は 観 察 され な か っ た 。 ま た 、 各 象 現 に プ ロ ッ トが 目視 可 能 な い くっ か の ク ラ ス ター を形 成 して お り、 よ り地 域 特 性 の 判 別 度 が 向 上 して い る と も い え る。 ま ず 第1象 現 を み る と、 や は り首 都 圏 が 資 産 影 響 力 、 資 産 感 応 度 の 双 方 と も高 く、 図 中 の 右 上 方 に き わ だ った 地 位 を 占 め て い る 。 首 都 圏 は 投 資 超 過 主 体 で あ る大 企 業 を数 多 く 抱 え て い る に も か か わ らず 、 我 が 国 の 三 大 都 市 圏 の 中 で は負 債 超 過 が 比 較 的 少 な く、 本 源 的 貯 蓄 超 過 主 体 で あ る家 計 も ま た こ の 地 域 に 集 中 して い る とい う事 実 を あ らた め て認 識 させ られ る。 お そ ら くは 近 畿 や 東 海 と比 較 し て 個 人 企 業 が 少 な い こ とが 、 家 計 の 資 金 供 給 余 力 を 増 大 させ て い る とみ られ る 。 つ ま り、 投 資 主 体 と貯 蓄 主 体 の 分 離 が 貫 徹 され て い るぶ ん だ け 規 模 の 経 済 性 を享 受 しや す く 、 投 資 の 資 金 効 率 が 高 い と も 見 な せ る わ け で あ る。 同 様 の ロ ジ ッ ク の 裏 返 しで 、 同 じ第1象 現 に 属 しな が ら も 近 畿 は 資 産 影 響 力 、 資 産 感 応 度 と も に1に 近 く特 徴 を 見 出 しに くい 。 次 に 第 皿 象 現 に 目 を移 す と、 先 ほ ど の 図8で は 特 異 な 地 位 を 占 め て い た 東 海 も含 め て 、 北 陸 と北 関東 甲信 が ひ とつ の ク ラ ス タ ー を 形 成 して い るか に み え る。 しか し図9の ク ラ ス タ ー 分 析 の 結 果 は 、 北 関 東 甲信 と北 陸 に 次 の 第IV象 現 に 属 す る 四 国 を加 えた3地 域 が ひ と っ の ク ラ ス ター を形 成 す る こ と を 示 して い る。 北 関 東 甲信 と北 陸 に 共 通 して い る の は 、 い ず れ も少 な か らず 負 債 超 過 を抱 え て い る こ で あ り、 資 金 供 給 者 と して の 役 割 が 受 動 的 な も の に 止 ま っ て い る こ とで あ る。 資 産 影 響 力 係 数 が1を 超 え て い る た め に 、 少 し離 れ て 第IV 象 現 に 位 置 し て い る も の の 、 四 国 も基 本 的 に は 負 債 超 過 で あ り同 じカ テ ゴ リー に属 す る も の と考 え られ る 。 四 国 の 銀 行 は 貸 出 比 率 が 北 陸 や 北 関 東 甲信 と の 比 較 で は 高 く、 これ が 企 業 間 信 用 の 供 与 を 通 じて 資 金 波 及 を 拡 大 させ て い る とみ る の が 妥 当 で あ ろ う。 図8で は わ

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か り に くい が 、 ク ラ ス タ ー 分 析 の 結 果 は 東 海 の 資 産 感 応 度 が相 対 的 に 高 く 、 同 じ く負 債 超 過 の 首 都 圏 や 近 畿 と と も に 、 い ず れ の ク ラ ス タ ー に も属 さ な い 独 立 的 な 地 歩 を 保 っ て い る こ と を示 唆 して い る。 こ れ ら の 地 域 で は 常 に 資 金 が 需 要 超 過 で あ り、 資 金 供 給 が あれ ば 需 要 に 事 欠 か な い の が 特 徴 で あ る。

東 北

中国

九州

北海 道

沖 縄

北関東 甲信

北陸

四国

東海

近畿

首都圏

0

0

0

oョ

0

0

10

図9資

産影響力係数 と資産感応度係数 によるクラスター分析の結果

前 述 の 四 国 を 除 く第IV象 現 の 残 余 の プ ロ ッ トは 、 北 海 道 、 東 北 、 中 国 、 九 州 、 沖 縄 で 独 立 した ク ラ ス タ ー を 形 成 して い る 。 こ れ ら5地 域 は 沖縄 を 唯 一 の 例 外 と して 金 融 資 産 超 過 の 状 態 に あ り、 資 金 供 給 者 と し て の プ レゼ ン ス が 高 い の が 特 徴 で あ る。 と く に 沖 縄 を 除 け ば い ず れ も 資 産 影 響 力 係 数 が 首 都 圏 を 上 回 っ て い て 、 同係 数 が も っ と も大 き な 地 域 群 を 構 成 して い る 。 これ らの 地 域 は 今 な お 資 金 偏 在 の 残 影 が 消 え去 らな い 我 が 国 の 金 融 市 場 に あ っ て 、 本 源 的 資 金 供 給 者 と して 厳 然 た る地 位 を 誇 っ て い る と い え よ う。 そ れ で い な が ら 資 産 感 応 度 係 数 が0.5以 下 と下 位 に 甘 ん じて い る の は 、貴 重 な 資 金 運 用 者 で あ りな が ら金 融 市 場 の ビ ッ グ プ レイ ヤ ー に な りき れ て い な い 悲 哀 で あ ろ うか 。 同 じク ラ ス タ ー に属 して い る 沖 縄 で あ る が 、 この グル ー プ で は 唯 一 の 負 債 超 過 主 体 で あ る。 そ れ に も か か わ らず 高 い 資 産 影 響 力 係 数 を 誇 っ て い る の は 、 沖 縄 の 銀 行 の 資 産 運 用 ポ ー トフ ォ リオ に 占 め る貸 出 比 率 が76パ ー セ ン トと、北 海 道 の79パ ー セ ン ト、九 州 の77パ ー セ ン トに 次 ぐ第3位 で あ り、 企 業 間 信 用 を 通 じた 資 金 波 及 が 大 き い こ とを 意 味 して い る。 沖 縄 の 地 理 的 条 件 を念 頭 に お け ば 、 こ れ ら の 資 金 波 及 が 他 地 域 に漏 出 して い る と は 考 え に く く、 相 互 扶 助 的 に 地 域 活 性 化 の役 割 を 果 た して い る と推 測 され る。 お そ ら く こ の 論 理 は 、 地 理 的 に 独 立 し た 経 済 圏 を 形 成 しや す い 北 海 道 や 九 州 に も 、 あ る程 度 は 敷 衍 可 能 で あ ろ う。 4.4三 角 化 の 結 果 4.4.1列 基 準 に よ る 三 角 化 負 債 ア プ ロー チ に よ り求 め たY表 を 、 列 基 準 に よ り三 角 化 した 結 果 は 表2の1列 目 に掲

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載 され て い る・。 列 基 準 の 三 角 化 は 資 金 調 達 の 源 泉 の 多 寡 を 示 す 序 列 付 け で あ る 。 列 基 準 で 上 位 に位 置 す る地 域 は よ り多 くの 経 済 主 体 か ら資 金 調 達 を し て お り、 下 位 に位 置 す る 地 域 は よ り限 定 され た 資 金 源 泉 に 依 存 して い る こ と を 示 し て い る。 こ の 列 基 準 の 順 位 で は 首 都 圏 が 地 域 別 で 最 上 位 に 位 置 して お り、 多 く の 大 企 業 を擁 す る我 が 国 の 中枢 と して 、 資 金 調 達 の パ イ プ が 多 岐 に わ た る こ と を 象 徴 し て い る。 地 域 別 で は 大 幅 な 負 債 超 過 を 抱 え る近 畿 、 東 海 が こ れ に 次 い で お り、 首 都 圏 と と も に 上 位 グル ー プ を 形 成 して い る。 近 畿 や 東 海 は 首 都 圏 と比 較 して も負 債 超 過 が 大 き く 、 ほ と ん どの 経 済 主 体 か らネ ッ トで 資 金 を 調 達 す る こ とで 、 こ れ を ま か な っ て い る。 これ 以 外 の 各 地 域 は列 基 準 の 三 角 化 序 列 で は む し ろ 下 方 に 一 団 とな っ て 集 中 して お り、 資 金 の 調 達 先 は む し ろ家 計 な ど の 本 源 的 貯 蓄 超 過 主 体 に依 存 して い る。 中 で も北 海 道 、 東 北 、 中 国 、 九 州 は 金 融 資 産 超 過 を 抱 え て お り、 そ もそ も他 部 門 か らの 資 金 調 達 の イ ン セ ン テ ィ ヴそ の も の が 小 さい 。 ま た 沖 縄 も負 債 超 過 が 僅 少 に 止 ま っ て い る た め に 、 そ れ ほ ど多 く の 資 金 源 泉 を 必 要 とは し て い な い と考 え られ る 。 これ に対 して 見 か け 上 は 同 じ下 位 グ ル ー プ に属 して い る も の の 、 北 関 東 甲信 、 北 陸 、 四 国 は 負 債 超 過 を抱 え て お り、 置 か れ て い る 立 場 に は 大 き な 隔 た りが あ る。 これ ら の 地 域 で は 基 本 的 に は 資 金 調 達 の 大 部 分 を域 内 の 家 計 に 頼 っ て お り、 不 足 分 の 供 給 を 債 券 貸 借 取 引 受 入 担 保 金 や 劣 後 特 約 付 借 入 金 な ど 限 ら れ た 方 途 に よ り、 他 業 態 の 金 融 機 関 な ど に依 存 し て い る の が 実 態 で あ る。 4.4.2行 基 準 に よ る 三 角 化 列 基 準 の 三 角 化 が 資 金 調 達 源 泉 の 多 寡 に 注 目す る も の で あ る の に 対 し、 行 基 準 の 三 角 化 は 資 金 運 用 先 の 多 様 性 に 視 座 を置 く も の で あ る 。 す な わ ち 行 基 準 の 三 角 化 の 上位 を 占 め る 地 域 は 資 金 運 用 先 が 限 定 的 で あ る の に 対 して 、 下 位 の 地 域 は これ が 多 角 化 し て い る こ と を 示 して い る。 列 基 準 の 場 合 と同 様 に 、 行 基 準 で 三 角 化 した 場 合 に も、 地 域 別 で は 首 都 圏 が 最 上 位 を 占 め て い る 。 これ は 首 都 圏 に 拠 点 を 置 く銀 行 の 資 金 運 用 先 が 、 思 い の ほ か 少 数 に 止 ま っ て い る こ とを 示 して お り、 こ の 地 域 に 拠 点 を置 く都 市 銀 行 が か な らず し も我 が 国 の 金 融 仲 介 業 務 の 中枢 を 担 う責 務 を 果 た し え て い な い こ と を意 味 して い る。 負 債 超 過 の 規 模 で は む し ろ 上 回 っ て い る は ず の 近 畿 や 東 海 で さ え 、 これ と比 較 す れ ば 資 金 運 用 を よ り多 角 化 させ て お り、 皮 肉 に も都 市 銀 行 が名 前 の とお り都 市 部 の ロー カ ル な 金 融 機 関 に 過 ぎ な い こ と を 露 呈 す る結 果 とな っ て い る。 これ は 首 都 圏 が 本 源 的 投 資 超 過 主 体 で あ る 大 企 業 が 集 中 す る 資 金 の 一 大 需 要 地 で あ る 一 方 、 本 源 的 貯 蓄 超 過 主 体 で あ る 家 計 が 巨 大 な集 積 を み せ る資 金 の 一 大 供 給 地 で あ り、 そ の本 質 が 自己 完 結 的 な もの で あ る こ との 証 左 とみ られ る が 、 我 が 国 一 国 の 視 点 で は 金 融 仲 介 機 関 の 大 黒 柱 が 不 在 とい う惨 状 の象 徴 で も あ る 。 これ に対 して 行 基 準 の 三 角 化 の 下位 グル ー プ に 属 す る の は 、 少 し離 れ て 中位 に 位 置 す る 北 海 道 を 除 く、 東 北 、 北 関 東 甲信 、 北 陸 、 中 国 、 四 国 、 九 州 の 各 地 域 で あ る 。 これ らの 地 域 は金 融 資 産 超 過 、負 債 超 過 に か か わ りな く、 資 金 運 用 を 多 様 化 して お り、 む しろ こ れ ら

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の 金 融 機 関 が 我 が 国 の 金 融 シ ス テ ム の 屋 台 骨 と して 君 臨 し て い る姿 が 浮 か び 上 が る。 しか し な が ら こ れ を 詳 細 に 分 析 す れ ば ノ ンバ ン ク な どへ の 貸 し込 み に傾 斜 し て い る現 実 も 見 え 隠 れ し、 我 が 国 の 金 融 シ ス テ ム の 脆 弱 さ を あ ら た め て 認 識 させ られ る 。 一 方 で 大 量 の 資 金 を 調 達 し、他 方 で 大 量 の 資 金 を運 用 す る とい う役 割 を 個 別 の 金 融 機 関 が 担 え な い の で あ れ ば 、 これ を補 完 す る全 国 規 模 の イ ン ター バ ン ク 金 融 市 場 が 是 非 と も必 要 で あ ろ う。 4.4.3右 上 要 素 最 小 化 基 準 に よ る 三 角 化 表2の 第3列 に は 、 右 上 要 素 最 小 化 を し た 場 合 の 三 角 化 の 序 列 が 示 され て い る 。 列 基 準 が 資 金 調 達 の 視 点 か らの 、 行 基 準 が 資 金 運 用 の視 点 か らの 三 角 化 で あ る の に 対 して 、 右 上 要 素 最 小 化 基 準 は 地 域 間 な い し部 門 間 の 因果 序 列 を 明 らか に す る た め の 三 角 化 と位 置 付 け られ る 。こ の場 合 に も列 基 準 あ る い は 行 基 準 の 表 と同様 にLeontief(1966)の 産 業 連 関 表 にお け る 作 表 形 式 を 踏 襲 して い るた め に 、い わ ゆ る川 上 の 地 域(制 度 部 門)が 表 中 で は 下 端 に 、 川 下 の 部 門 が 表 中 の 上 端 に位 置 して い る こ と に留 意 され た い 。 こ こ で 因 果 序 列 を 強 調 す る た め に 、 あ え て 川 上 な い し川 下 とい う表 現 に こ だ わ る とす れ ば 、 い わ ゆ る川 上 地 域 に 一 団 を構 成 して い る の が 、 順 に 四 国 、 北 陸 、 北 関 東 甲信 、 東 北 、 九 州 、 沖 縄 、 中 国 、 北 海 道 で あ る。 これ ら の 地 域 は 金 融 資 産 超 過 の も の と負 債 超 過 の も の が 混 在 して い る が 、 三 角 化 した 表 で は 、 川 上 に連 な る年 金 ・保 険 な どの 機 関 投 資 家 や 農 協 な ど 系 統 金 融 機 関 の 次 位 に位 置 す る。 す な わ ち 、 これ ら三 大 都 市 圏 以 外 の 各 地 域 は 本 質 的 に は 資 金 偏 在 下 に お け る 本 源 的 な 資 金 供 給 者 で あ り、 現 状 が 負 債 超 過 で あ ろ う と も、 そ の 位 置 付 け に は い さ さか の 揺 る ぎ もな い こ とが 確 認 され た 。 した が っ て 北 関 東 甲 信 や 北 陸 な ど 負 債 超 過 の 地 域 で は 、 資 金 を よ り川 上 の 機 関 投 資 家 や 系 統 金 融 機 関 か ら調 達 し補 填 す る 一 方 で 、 イ ン タ ー バ ン ク市 場 な どで は 伝 統 的 な 資 金 の 出 し手 を 演 じ続 け る とい う二 面 性 を有 す る もの と理 解 で き る。 一 方 で負 債 超 過 が よ り大 き い 東 海 と近 畿 は 、 貸 金 業 者 や 証 券 会 社 に挟 ま れ て 中 流 域 よ り 川 下 に 隣接 して 位 置 して い る。 こ の 二 地 域 は 三 大 都 市 圏 の 一 角 を 構 成 す る も の で あ り、 伝 統 的 な 資 金 偏 在 構 造 の も とで も資 金 の 取 り手 と して の位 置 付 け を 演 じ て き た も の で あ る 。 前 述 の8地 域 と は そ の 意 味 で 異 な っ た カ テ ゴ リー に 属 す る 属 す る 地 域 で あ り、右 上 要 素 最 小 化 基 準 に よ る 三 角 化 は 、 こ の 状 況 を見 事 な ま で に 的 確 に 描 写 し て い る。 こ こ で も気 が か りな の は 首 都 圏 の 役 割 で あ り、 こ の 地 域 だ け は 東 海 や 近 畿 な ど と も隔 絶 され て 、 河 口 に 相 当 す る 民 間 非 金 融 法 人 企 業 や 中 央 政 府 な どの 本 源 的 投 資 超 過 主 体 に 次 ぐ 、 下 流 域 に位 置 し て い る。 す な わ ち 三 角 化 とい う視 座 に 立 っ て 眺 め れ ば 、 首 都 圏 を拠 点 とす る 都 市 銀 行 な ど は 、 全 国 か ら種 々 の チ ャ ネ ル を通 して 吸 い 上 げ られ た 資 金 を 、 単 に 最 終 需 要 者 で あ る 企 業 や 中 央 政 府 に 手 渡 しす る 窓 口 と し て の機 能 しか 有 して い な い とい う、 い さ さか 期 待 は ず れ の 事 実 が 明 らか に な る。 こ の 点 に つ い て は稿 末 で あ らた め て 論 ず る こ と とす る 。

(15)

5.お わ り に 本 稿 で は 我 が 国 の 地 域 間 の 資 金 循 環 構 造 を 明 らか にす べ く 、 資 料 の 入 手 が 容 易 な 全 国 銀 行 を11地 域 に 分 割 して 、各 地 域 の位 置 付 け を これ に 縮 約 させ る と い う手 法 に よ り分 析 を試 み た 。 これ ら11地 域 の うち 金 融 資 産 超 過 とな っ た の は 北 海 道 、 東 北 、 中 国 、 九 州 の4地 域 で あ り、 これ らが 本 源 的 資 金 供 給 主 体 で あ る 。 一 方 で 、 首 都 圏 を は じ め とす る 多 く の 地 域 は 負 債 超 過 で あ り、 そ の 意 味 で は も は や 陳 腐 化 した か に み え た 資 金 偏 在 とい う概 念 が 、 い ま な お 健 在 で あ る こ とが 確 認 され た 。 北 関 東 甲 信 や 北 陸 とい っ た 大 都 市 の 後 背 地 域 は み ず か ら負 債 超 過 を 抱 え な が ら も、 三 角 化 の 序 列 で は 金 融 資 産 超 過 の4地 域 と と もに 川 上 に位 置 し、 バ ブ ル 崩 壊 とい う厳 しい 現 実 に もか か わ らず 、 地 域 の役 割 分 担 そ の も の に は大 き な 変 動 は な か っ た も の と結 論 付 け られ る 。 む し ろ気 が か りな の は 三 大 都 市 圏 、 と りわ け 首 都 圏 の位 置 付 け で あ る。 首 都 圏 は負 債 影 響 力 係 数 、 負 債 感 応 度 係 数 が と も に 突 出 して 大 き く、 資 金 の 借 り手 と して 強 大 な プ レゼ ン ス を発 揮 す る と 同 時 に 、 資 金 の ラ ス ト リゾ ー トと して の 期 待 を 一 身 に 集 め て い る こ と が確 認 され た 。 しか し な が ら一 方 で 三 角 化 の 結 果 は 、 首 都 圏 が 本 源 的 投 資 超 過 主 体 で あ る 民 間 非 金 融 法 人 企 業 や 中 央 政 府 な ど に 次 ぐ川 下 に位 置 し、 期 待 され て い る よ うな 資 金 仲 介 者 の 役 割 を 演 じて は い な い こ と を如 実 に 示 して い る。 これ は 首 都 圏 を 本 拠 地 とす る 都 市 銀 行 が 、 か な らず し も全 国 的 な 店 舗 網 を も っ て お らず 、 ま た 持 ち 株 会 社 化 に よ る 経 営 統 合 も、 都 市 部 に 巨 大 ロー カ ル バ ン ク を 誕 生 さ せ た の み で 、 我 が 国 の 金 融 の 中枢 を 担 うに は ま っ た く の 役 不 足 で あ る こ と を露 呈 す る結 果 と な っ た 。 我 が 国 で は1960年 代 か ら70年 代 に地 域 的 な 資 金 偏 在 の 問 題 が ク ロ ー ズ ア ップ され 、 イ ン タ ー バ ン ク市 場 が そ れ を 調 整 す る 場 と して 機 能 し て い た 。 当 時 の 都 市 銀 行 や 長 期 信 用 銀 行 が 、 我 が 国 金 融 シ ス テ ム の 中 で そ れ な りの 役 割 を果 た して い た の も 、 こ の イ ン ター バ ン ク 市 場 の 資 金 偏 在 平 準 化 機 能 に 負 う と こ ろ が 大 き か っ た 。 も ち ろ ん こ の 時 期 の イ ン タ ー バ ン ク 市 場 は 、 使 送 車 と よ ば れ る 自転 車 が 日本 銀 行 と各 銀 行 の 本 支 店 と を巡 回 して 担 保 の 授 受 を お こな う とい う、 き わ め て 原 始 的 な 存 在 で あ っ た 。 し た が っ て イ ン ター バ ン ク市 場 も 三 大 都 市 圏 を れ そ れ に 形 成 され て お り、 首 都 圏 で は 北 関 東 甲信 地 域 の 地 方 銀 行 が 資 金 の 出 し 手 と し て もて は や され た 時 代 で あ る 。 しか し な が ら 大 都 市 圏 後 背 部 の 地 方 銀 行 はバ ブ ル 崩 壊 で 大 き な 痛 手 を 被 っ た こ と も あ り、 ゼ ロ金 利 が 常 態 化 した 現 在 、 イ ン タ ー バ ン ク市 場 が そ の 機 能 を 十 分 に 果 た して い る とは 言 え な い の が 現 状 で あ る 。 も し 日本 の 通 称 メ ガ バ ン クが 、 い っ ま で も首 都 圏 の ロー カ ル バ ン ク で あ り続 け る の だ と す れ ば 、 い ま こ そ イ ン タ ー バ ン ク 市 場 の あ り方 そ の も を 全 面 的 に 見 直 す 必 要 が あ る こ と を 、 本 稿 の 分 析 は 強 く示 唆 して い る。1990年 代 は イ ン ター バ ン ク市 場 に も大 き な 変 化 を もた ら し、 短 資 取 引 担 保 セ ン ター の 設 立 に よ り、 担 保 品 搬 送 の リス ク も大 幅 に 軽 減 され た 。 今 と な っ て は 、 イ ン タ ー バ ン ク 市 場 が 「自転 車 で 通 え る 距 離 」 の 呪 縛 に と らわ れ る 必 然 性 は な い 。 一 方 で イ ン タ ー バ ン ク 市 場 に お け る 仲 介 機 能 を一 手 に 引 受 け て き た 短 資 会 社 もDD(直 接 取 引)の 拡 大 で 不 遇 を か こ っ て い る。 全 国130余 行 が こぞ っ て 参 加 で き るイ ン タ ー バ ン

(16)

ク 市 場 の誕 生 を妨 げ る も の は 、 も は や な に も な い 。 そ の 金 融 機 能 を最 大 限 に 発 揮 して 我 が 国 経 済 復 興 の 礎 とす る た め に も、 資 金 余 剰 の 地 域 と資 金 不 足 の 地 域 をマ ー ケ ッ トメ カ ニ ズ ム を通 じて 一 体 化 す る 、 全 国 規 模 の イ ン タ ー バ ン ク 市 場 の 誕 生 が 切 に 望 ま れ る。 参 考 文 献 辻 村 和 佑 編 ・著(2002)『 バ ラ ン ス シ ー トで 読 み と く 日本 経 済 』 東 洋 経 済 新 報 社 。 辻 村 和 佑 ・溝 下 雅 子(2002a)「 産 業 連 関 モ デ ル の 資 金 循 環 表 へ の応 用 」『産 業 連 関 一 イ ノベ ー シ ョン&1・0テ ク ニ ー ク ー 』 第10巻3号. 辻 村 和 佑 ・溝1下雅 子(2002b)『 資 金 循 環 分 析 一基 礎 技 法 と政 策 評 価 一 』慶 應 義 塾 大 学 出 版 会. 辻 村 和 佑 ・溝 下 雅 子(2002c)「 住 宅 金 融 公 庫 廃 止 後 の 融 資 ス キ ー ム に 関す る一 試 案 」『産 業 連 関 一 イ ノ ベ ー シ ョ ン&1-0テ クニ ー ク ー』 第10巻4号. 東 短 リサ ー チ 株 式 会 社(2002)『 新 ・東 京 マ ネ ー ・マ ー ケ ッ ト』 有 斐 閣. i有価 証 券 報 告 書 のデ ー タ 作 成 は東 洋 経 済 新 報 社 と の共 同 作 業 で あ る ii負債 影 響 力係 数Wj ,負 債 感 応 度 係'(Zi、 資 産影 響 力 係 数:Wj,資 産 感 応 度 係 z;は そ れ ぞ れ 以 下 の 式 で 求 め られ る 。

Σ γ

Σ γ

1=1 ノ=1 * wノ=wノ=

Z1=

lm m

m

Σ γ1

Σ γ1

1=1 ノ=1

叨 Σ 司 加 Σ 戸 1 万

Σ Σ γヴ

ゴ=1ノ=1 , 為 吻 Σ 同 切 Σ 拇 1 一 吻 * ZIニ1m m m

Σ Σ71

1=1ノ=1 pp.64-69. iv資金 循 環勘 定 に お け る負 債 超 過 は か な らず し も債務 超 過 を意 味 す る もの で は な く実 物 資 産 を も含 む包 括 的 な 概 念 で あ る こ とに 留 意 され た い 。 不 良債 権 の増 加 は負 債 超 過 の 要 因 と な るが 、負 債 超 過 の構 成 要 素 の 一 部 に過 ぎ な い 。た とえ ば 多額 の 生 産設 備 を 必 要 とす る民 間 非 金 融 法 人 企 業 は恒 常 的 に負 債 超 過 で あ るが 、 債 務 超 過 に陥 る こ と は稀 で あ る。 v資 産 ポ ー トフォ リオ 仮 定 か ら作 成 され るY*表 につ い て も 、Y表 と同様 に3つ の基 準で三角化 を行 った と こ ろ、Y表 ほ ど順 位 が 安 定 しない とい う興 味 深 い 結 果 が 得 られ た。 そ れ ぞ れ の 基 準 で 得 られ た順 位 か らス ピア マ ンの 順 位 相 関 係 数(以 下 順 位 相 関係 数 と よぶ 。)を 計 測 した 結 果 が 表A-1に ま と め られ てい る。Y表 の 場 合 どの 順 位 相 関 係 数 も0.85以 上 で 、有 意 水 準0.05%で 有 意 の差 が あ る。 これ に対 してY*表 で は どの係 数:も0.5に 満 たず 、行 基 準 と右 上 要 素 最 小 化 基 準 の順 位 相 関 係 数 以 外 は 有 意 水 準0.05%で は 有 意 の差 が な い 。 つ ま り、 資 金 調 達 に 比 べ て 資 金 運 用 の方 が 制 約 が 少 な く 自 由 に選 択 で き る余 地 が 大 き い た め 、資 金 運 用 ポー トフ ォ リオ で み た各 制 度 部 門 の序 列 関係 は 、 資 金 調 達 ポ ー トフ ォ リオ でみ た そ れ に 比 べ て序 列 関 係 が 明確 で は な い こ と が示 唆 され る。 表A-13つ の基 準 で 三 角 化 を行 っ た 場 合 の 順 位 相 関係 数 Y表 の順位相 関係数 Y*表 の順 位 相 関 係 数 列基 準 と行 基準 0.8561 0.1493 列基 準 と右 上要 素最 小化 基準 0.9505 0.2513 行基 準 と右上要 素最小化基準 0.9617 0.4318

(17)

表2Y表 の 三 角 化 順 位 序 列(2001年3月 末)

列基準

行基準

右上要素最小化基準

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44

公的非金融法人企業

民間非金融法人企業

中央政府

国内銀行

養都圏

海外

短資会社

証券会社

外国銀行国内支店

国内銀行 近畿

鬮内銀行

東海

貸金業者 ・

整理回収機構

預金保険機構等

政府系金融機関

地方公共団体

外国為替資金特別会計

合同運用信託

特別目的会社・

信託

単独運用信託

その他の公社債投信

郵便貯金

日本銀行

農林水産金融機関

株式投信

対家計民間非営利団体

国内銀行 中黶

国内銀行 九粥

国内銀行 職関東甲信

中小企業金融機関等

国内銀行 北海道

民間損害保険会社

鬮内銀行 北陸

国内銀行 四国

国内銀行 :東

資金運用部資金特別会計

民間生命保険会社

国内銀行 沖縄

家計

保険特 別会 計 ・

信用保険機 関

その他 の社 会保障基金

公 的 年 金

簡 易生命保険特別会計

共済保険

企業年金

玉民 金基金

外国為替資金特別会計

公的非金融法人企業

民間非金融法人企業

中央政府

短資会社

証券会社

国内銀行

首都圏

海外

特別 目的会社 ・

信託

預金保険機構等

外国銀行国内支店

国内銀行 沖縄

国内銀行 近畿

株式投信

国内銀行

東海

政府系金融機関

合同運用信託

貸金業者 ・

整理回収機構

地方公共団体

その他の公社債投信

国内銀行 北海道

日本銀行

単独運用信託

保 険特別会計 ・

信 用保険機 関

郵便貯金

国内銀行 中国

国内銀程 九蛔

国内銀行 東北

国丙銀行 四国

国内銀杼 北陸

資金運用部資金特別会計

国内銀行 北関東甲信

対家計民間非営利団体

国民年金基金等

農林水産金融機関

民間損害保険会社

その他の社会保障基金

中小企業金融機関等

共済保険

民間生命保険会社

企業年金

簡易生命保険特別会計

家計

公的 金

公的非金融法人企業

民間非金融法人企業

中央政府

短資会社

国内銀行 首都圏

海外

外国為替資金特別会計

証券会社

外国銀行国内支店

預金保険機構等

国内銀行 近畿

国内銀行 東海

貸金業者・

整理回収機構

政府系金融機関

地方公共団体

特別 目的会社 ・

信託

合同運用信託

その他の公社債投信

単独運用信託

株式投信

日本銀行

郵便貯金

国内銀行 北海道

国内銀行 中国

国内銀行

坤縄

国内銀行 九弼

国内銀行 東北

国内銀行 北関東甲儒

国内銀行 北陸

国内銀行 四国

対家計民間非営利団体

保険特別会計・

信用保険機関

農林水産金融機関

資金運用部資金特別会計

民間損害保険会社

中小企業金融機関等

民間生命保険会社

国民年金基金等

その他の社会保障基金

共済保険

簡易生命保険特別会計

企業年金

家計

公的 金

注)国 内 銀 行 は 塗 りつ ぶ され て い る 。

(18)

一 一 SS SS....S.S SSPS 轟 獣 矯 漕 1 一 一

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纛轟 樋灘 磁 藩 濕

纛 轟 醸鱒轡 …

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(19)

100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0%

1髪

萎葬

1

1

一 一 一 一 一 【 1 1 1 「 1 1 i 1 1 1

図4国 内 銀 行 の 資 金 調 達(2001年3月 末)

(20)

100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0%

図5国 内 銀 行 の 資 金 運 用(2001年3月 末)

(21)

2.5 } ◆

2.0 一 1.5 一

◆ i _J 1 1 _一 1 90 0.95 1.0 1.mO 1.05 1.10 1.15 1.2

0.5 一

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0.0 一

図6負

(22)

-

L

0 3 52 02 51

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01. 0.5

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図8資

1.05

◆ ◆ ◆ ◆

1.10

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