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hoko kaiyu kodo kara mita chiho toshi ni okeru toshin hoko kukan keikaku ni kansuru kenkyu : hakushi gakui ronbun

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(2) ・an・●−・・・・・・・.・・Lq・'.・. ●.

(3) 目 第1章. 次. 研究目的. 1. 研究の背景. 1. −2. 研究目的. 1. −3. 本研究の構成. 1. −4. 用語の定義 補. 1. 7 9. −1. 3 4. 1. 注. 都心活性化の必要性と歩行空間整備. 第2章 2 2. 1. 10. 2 3. 一. 10. 都心の重要性と活性化の必要性. 10. 都心政第分析に基づく従来の都心活性化の問題点. 13. 一. 分析の視点. 2. 2. 4. -. 今日的政策課題からみた都心整備の方向性と歩行 LrN’ Q O CPN CPQ. 空間整備 2−5. 都心歩行空間整備上の課題 補. 注. 参考文献. 都心における歩行者行動調査の課題. 第3章. 都心における歩行者行動と望ましい歩行空間. 一 一. 従来の歩行者行動把握方法とその問題点 都心歩行者行動把握の方向性 補. 3 3 6 1 3 4 3 3 3 4 4 4. ︸. ¥ c\PPt. 一. りり nJ りり りり. 分析の視点. 33. 注. 参考文献. 第4章. 地方都市のための都心歩行回遊行動調査手法の提案 4−1. 分析の視点. 4−2. 地方都市の都心における歩行回遊行動の特徴. 47 47. 4 6 4 4. 4−3. 歩行回遊行動調査手法の提案. l.

(4)

(5) 図・表. 一覧. 第1章. 貝. 同一1−1. 本論文の構成. 6. 第2章 図一2 −1. 都心活性化のための政策連携. 去−2 −1. 都心に関連する主な政策・事業制度年良. 20. 表−2 一2. 立地形態別大規模店舗の出店件数. 23. 図一2 −2. 都心政策の変遷. 26. りー. 第. 章. 歩行行動実態に関する既往の研究事例. 立 早. フ. 1. りー. 表 一3. 第4. 15. 48 49 48 50. 図. −4 −1. 図. −4 −2. 図. −4. 一. 3. 都心ゾーン内々の手段分担率(宇都宮、浜松). 図. 一 4. 一. 4. 都心における主な歩行回遊タイプ. 図 一 4. 5. 宇都宮休日PT調査都心ゾーン図. 表. - 4. 1. 都心来街パターン別トリップ内訳(宇都宮). 53. 4. 2. 都心歩行回遊行動把捉に必要な調査の種類と項目. 53. 表・. 都市規模と商業用途面積との関係 4都市の都心概要. 52. 第5章 表−5−1. 調査項目と内容(浜松). 56. 表−5−2. 実態調査の種類と方法. 58. 図一5−1. 浜松都心の歩行空間整備状況と訓告票配布地点. 59. 去−5−3. 調査の配布数、回収数、有効票数. 60. 表−5−4. 性年齢階層別回収状況(現地配布・郵送回収訓古). 60. 表−5−5. 地点別有効票率(ヒヤリング調査). 61. 5. 7. 各調査方法の評価. 8. PT調査と「現地配布・郵送回収」歩行回遊調査の比較. 64. 一. 9. 70C /0 6. 一. [D︻−○. 衷表衷. (b))現地配布郵送回収調査とヒヤリング調査の統計的検証結果. 63 63. 衷−5−6(a)調査手法別の回遊特性値比較. 配布・回収票数・有効票数. 表−5 −10(a)PT調査による歩行回遊行動の特性値(宇都宮). ]】. 67.

(6) ●I・・.・−ニ. 67 67. (b)回遊行動調査による歩行回遊行動の特性叫号判官) 一〇. 去. 第6. 把捉可能項目の比較結果. すれ 石工. 6 6. 図 図. 歩行回遊行動特性分析の枠組み. 72. 2. 歩行回遊行動を規定する要因. 72. 6. 1. -. 3(. a)浜松市調査対象都心の概況. (♭. 図一6−4. フフ. (b). 宇都宮都心の歩行系道路と自動車駐車場. フフ. (a). 高崎市譜表対象都心の概況. フ8. 高崎都心の歩行系道路と自動車駐車場. フ8. 沼津市調査対象都心の概況. フ9. 沼津都心の歩行系道路と自動車駐車場. 79. b). 図一G−6(; a) (・. b). 一 ︲︲. 一. 7 1 9乙. ″O a︰︶rn︶. 一. 一. 一. 表 図 −6. -. 8. 3 4. 表 −6 表 −6 図 −6. 各都市の卓越した交通流. 80. 各都市都心地区属性データ. 81. 主な調査項目. 83. 調査票配布地点. 84. 調査地点数. 85. 配布・回収票数・有効票数. 85. 性別・年齢階層別サンプル分布(浜松). 86. (b). 性別・年齢階層別サンプル分布(宇都宮). 86. (c). 性別・年齢階層別サンプル分布(高崎). 86. (d). 性別・年齢階層別サンプル分布(沼津). 86. 9(a). 都市別・性別歩行回遊行動のまとめ(平均値). 10(a)年齢階層別・来街手段別サンプル分布(浜松) (b)年齢階層別・来街手段別サンプル分布(宇都宮) (c)年齢階層別・来街手段別サンプル分布(高崎) (d)年齢階層別・来街手段別サンプル分布(沼津). 去− 6− 6. 都市別回遊トリップ数. 図一 6− 11(a)回遊トリップ数の分布(浜松) (♭)回遊トリップ数の分布(宇都宮) (c)回遊トリップ数の分布(高崎) (d)回遊トリップ数の分布(沼津) 去. -. 6. 一. 7. 都市別1トリップ回遊歩行距離. 表. -. 6. 一. 8. 都市別総回遊歩行距離. IV. 87. 88 8888 88 89 90 90 卯 90 91 91. 一. rO 以︶. 一. 表図. 5. 浜松都心の歩行系道路と自動車駐車場 宇都宮市調査対象都心の概況. (. 表. ). (a). 図一6−5. 図. y フ C フ r フy" フ. 図. 目.

(7) 図一6−】2㈲. 1トリップ㈲遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分削浜松) 1トレソプ㈲遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布(宇部宍). (e). 1トリッブ回遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布(高崎). (d). (c). 総回遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布(高崎). 93. (d). 総回遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布(沼津). 93. H(a). 滞留時間ランク別分布(浜松) 滞留時間ランク別分布(宇都宮). (e). 滞留時間ランク別分布(高崎) 滞留時間ランク別分布(沼津). 95. 一. 97 99. 15. l/11 r。 9 9. (b). 歩行回遊行動特性値の平均値の有意差検定(ウェルチ検定) 来街手段別歩行回遊行動特性値. −16(a)都心来街交通手段別滞留時間ランク別累積度数分布(浜松). 】00. (b)都心来街交通手段別滞留時間ランク別累積度数分布(宇部宮). 100. ○. 100. 都心来街交通手段別滞留時間ランク別累積度数分布(高崎). (d)都心来街交通手段別滞留時間ランク別累積度数分布(沼津). 】00. 図一6一口㈲来雨交通手段別、1トリップ回遊歩行距離ランク別 累積度数分布(浜松). 101. (b)来雨交通手段別、1トリップ回遊歩行距離ランク別 素積度数分布(宇都宮). 101. (c)来街交通手段別、1トリップ回遊歩行距離ランク別 累積度数分布ぐ高崎). 101. (d)来街交通手段別、1トリップ回遊歩行距離ランク別 累積度数分布(沼津) 表−. 6. 図一. 6. □. 18. 利用駐車場別歩行回遊特性(浜松) 来街手段別歩行回遊行動特性値の平均値の有意差検定. 101 102 103. (ウェルテ検定) 表. 6. -. J C. 図 図. Cy︶. 一. 図 図. −12. 駐車場からの第1トリップ先施設種類構成(浜松). 104. −19. 浜松都心の主要駐車場配置(再掲). 105. −20. 駐車場タイプ別総回遊歩行距離ランク別累積度数分布(浜松). 106. 駐車場の回遊面積率(浜松). −21. 107. 一 −22(.. (. a)駐車場からの最遠点歩行地点(連鎖百貨店). 108. b)駐車場からの最遠点歩行地点(イトーヨーカ堂). 108. V. りー. 総回遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布(宇都宮). 94 95. ρ○ 戸○. 一. 図表. 6. 93. 都市別滞留時間. −10 -. 総回遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布(浜松). (b). (d). 図. 92. 9. -. 図 −6. ↓トリップ回遊歩行距離ランク別分布及び累積度数分布ぐ沼津). 9. 表 −6. j a. ぐー り. 図ヽ-6−1. 92 92. (b). 92.

(8) 108. (d)駐車場からの耳遠点歩行地点(ビオラ田町). 108. 6 6. 図表図表. (c)駐車場からの最遠点歩行地点(市営万年橋). −23. 調査対象駐車場からの歩行耳遠点マップ(浜松). 一一13. −6 −24. 大規模店舗付帯型駐車場のトリップ回数分布(浜松) 大規模店舗付帯型駐車場のトリップ回数分布(浜松). −6 −14(a)主成分分析結果(浜松). 図一6. 109 110 110 112. (b)主成分分析結果(宇都宮). 112. (c)主成分分析結果(高崎). 112. (d)生成分分析結果(沼津). 112. −25(a)主成分分析結果による駐車場分布(浜松) (b). 主成分分析結果による駐車場分布(宇都宮). 112 112. (c)主成分分析結果による駐車場分布(高崎). 112. (d)主成分分析結果による駐車場分布(沼津). 112. 表 −6 −15. トリップ数別回遊パターン構成. 113. 表 −6 −16. 店舗立寄率. 114. 図 −6 −26(a)立ち寄り施設種類別総回遊歩行距離(浜松) (b)立ち寄り施設種類別総回遊歩行距離(宇都宮). 115 115. 図一6 −27(a)立ち寄り施設種類別回遊トリップ数(浜松). 116. Cb)立ち寄り施設種類別回遊トリップ数(宇都宮). 116. 6 6. 一. 表図. 17. 平均迂回率. 117. 一. −28(a)歩行経路選択事例(遠鉄百貨店→松菱百貨店). 118. (b)歩行経路選択事例(西武百貨店→遠鉄百貨店). 118. 表−6 一一18 表−6 −19. モール利川有無別歩行回遊行動特性 モール利用率. 119 119. 図一6 −29(a)年齢階層別モール利用有無別総回遊歩行特性(浜松). 121. (b). 年齢階層別モール利用有無別総回遊歩行特性(宇都宮). 121. (c). 年齢階層別モール利用有無別総回遊歩行特性(高崎). 121. (d)年齢階層別モール利用有無別総回遊歩行特性(沼津) 一. 6 6. 図 図. −30. 高崎都心における歩行者回遊人キロ. 121 122. 一. ー31モール利用・非利用別歩行回遊行動特性値の平均値の有意差検定 (ウェルチ検定). 123. 表−6 −20. 地下道、横断歩道利用率(浜松鍛治町通り). 124. 表−6 −21. 鍛治町通りを越えない回避者の割合. 124. 図一6 −32. 鍛治町通りの横断施設. 125. 表−6 −22. 第1トリップの来街手段別歩行距離. 126. V1.

(9) 表−6 −23. 都心施設間歩行距離. 128. 表−6 −24. 歩行回遊行動特性一覧表. 129. 既往文献による歩行距離. 14]_. 第7章 表−7−1. V11.

(10) 第1章. 研究目的.

(11) I戸四-・. 第1章. 1−1. 研究目的. 研究の背景. わが国では、1980年代から多くの地方都市の都心で大型店の撤退、空き店舗 の増加が続き、このため都心は急激に衰退してきた。これは、都心郊外に立地 する広大な駐車場を備えた大規模店舗によって端的に示されるモータリゼーシ ョンの進展や流通構造の変革等、都心商業の外部において生じた商業機能や交 通条件の変化等に起因する、いわゆる外的要因によるところが大きい。 しかしながら、都心商業における業種構成の不備、消費者二−ズに適合しな い品揃えや都心駐車場に代表される買物環境の利便性、快適性の面で、都心と 郊外等の商業集積との間に著しい格差が見られるようになってきたことがその 主たる要因であることも否めない。 都心における商業集積の魅力の低下は、都心そのものの衰退、ひいては地域 コミュニティや地域文化の衰退につながるため、都心の活性化を目的とする「中 心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する 法律」(以下、[中心市街地活性化法]という。)が1999年7月に施行された。こ の法律は、都市の中心の市街地が地域の経済及び社会の発展に果たす役割の重 要性にかんがみ、都市機能の増進及び経済活力の向上を図ることが必要である と認められる中心市街地1について、地域における創意工夫を生かしつつ、市 街地の整備改善及び商業等の活性化を一体的に推進するための措置を講ずるこ とを目的としている。このことからもわかるように、特に都心の活性化はわが 国の商業政策や都市政策分野において解決すべき喫緊の課題となっている。. と. りわけ、大都市と異なり、地方都市においては都心の商業、業務機能の集積が 低いこともあって、郊外商業集積の増加や幹線道路整備などの交通条件の変化 により少なからぬ影響を受けやすいことからその対応は緊急を要する。都市構 造や流通構造が格段の変化を遂げた現在、従来のような都心の姿を追究するこ とは不可能であるが、一定の商業集積を維持することは、商業サービスの面で も、都心の本来持つべき都市の顔としての役割を維持するうえでも必要不可欠 なことである。また、都心商業集積を支えるためには、これら商業集積に対す る優れたアクセシビリティを確保すること、都心における来街者のモビリティ を高めることが必要であり、そのためにも. これらを確保するための主要な構. 1.

(12) 成要素である都心交通施設整備が重要である。 ところで、都心における商業集積の充実と活性化は古くから商業政策の主要 課題であり、また、都心の交通施設整備については都淑交通政策分野でも常に 注目されてきた。. このような状況下において多様な政策が実施に移されてきた. にもかかわらず、都心は急激な衰退を余儀なくされた。. このことは、政策面に. おいても、また実際の現場においても都心商業集積充実のための具体策が不充 分であったことを意味する。 第2章において詳述するように、都心の魅力を向上させるための具体策とし ては、都心の多様な店舗の立地を確保することにより商業集積の充実を図って 界隈性を強化すること、公共交通機関や都心の駐車場整備を図ることなどによ って交通サービスを強化し都心へのアクセス性を向上させること、さらに都心 の歩行空間を整備することによって歩行者の回遊のための条件を整備して歩行 行動を活発1.. こする. ことが重要であるということは多くの識者が指摘していると. ころである。すなわち、商業集積の再生に加え、人が楽しく回遊できる歩行空 間の整備が重要であり、商業集積と歩行空間が有機的に結合してはじめて魅力 ある都市空間が形成されるという認識である。このような認識はきわめて妥当 とも思える。しかしながら、このような認識は、都心における体系的な歩行者 行動を分析して妥当と判断されたものではない。いねば、識者の一般的観察や 経験に基づいた認識ということができる。 一方、多様な店舗が立地する都心においては、個々の店舗にとって、場合に よっては生き残りをかけた競争を強いられ、また、歩行空間の拡大は限られた 都市空間における他の利用に制約をもたらすこととなる可能性もある。したが って、都心活性化のための商業集積のおり方と活性化を促進する効果的な歩行 空間整備をどのように行うかということが問われることとなる。 このような都心における歩行空間の計画や整備を行うには、都心の詳細な歩 行回遊行動全体を把握し、商業集積を中心とする都心施設と歩行回遊との関係 を把握しておくことが必要である。例えばショッピングモールを整備した場合 の歩行経路の変化や文化施設の整備による歩行回遊行動の変化を捉える場合に は、これらの整備が都心の広範囲にわたる歩行回遊行動に対し影響を及ぼすこ とから、都心における歩行者の回遊行動を時間的経過の中で捉えたデータ、す なわちアクティビティベースのデータが必要となる。. 2.

(13) '.・●〃・-. しかしながら、これまで、都心において人がどのような施設に立寄っている のか、どの程度の距離を歩いているのか、また、どのような歩行経路を利川し ているのかなど、歩行空間整備を行う上での基礎的な歩行回遊行動特性に関す るデータ蓄積は少ない。すなわち、従来活用されてきたデータは、歩行者交通 量や駐車場調査から得られる駐車場と特定施設間の歩行距離といったものがほ とんどであり、都心歩行空間の計画上有用な、来街于段別の歩行回遊行動実態、 商業施設間の回遊実態、歩行回遊時におけるモールや地下道利川実態等を総合 的に把握するデータはきわめて少ない。ほとんど蓄積されていない。 都心活性化のための歩行空間整備という観点から見ると、従来の研究では都 心へ来街する手段と歩行回遊行動特性との関係、自動車で来街する場合の利用 駐車場と歩行回遊行動特性との関係等についてはほとんど分析がなされておら ず、さらに歩行回遊行動特性の都市相互間の比較も行われていないため、都心 における歩行空間計画を策定する.Lで必要となる基本的な知見がいまだ不充分 であると言わざるをえない。. 1−2. 研究目的. 本研究は、地方都市の都心活性化に資する都心歩行空間計画策定のために必 要な、都心歩行回遊行動を把握する実態調査手法を具体の実態調査方法を含め て提案し、当該手法を用いて実態調査を実施することにより得られた複数の都 心における歩行回遊行動を比較分析したうえで歩行回遊行動特性を見出し、そ の都心歩行空間計画策定に対する適用性を明らかにして、これをもとに都心活 性化のための方策を考察することを主たる目的とする。 地方都市の都心活性化のためには、商業集積の再生に加え、人が楽しく回遊 することができる優れた歩行空間を整備することが重要である。すなわち、商 業集積によるショッピング機能と商業集積全体が醸し出すアメニティ、一方で はこれを享受するための都心へのアクセシビリティ機能及び都心における安全 で快適なモビリティを提供する歩行空間が有機的に結合してはじめて魅力ある 都市空間が形成される。このためには都心における歩行回遊実態を把握するこ とによって、商業集積を中心とする都心施設の機能や配置、自動瞰駐車場等の 交通結節点の機能や配置、ショッピングモールを含む歩行空間と都心施設の結.

(14) ■■㎜●・. 合実態、及びニれらが相互関係のなかで抱える問題点を明らかにする拓斐があ る。したがって、本研究では、歩行回遊と都心施設、歩行空間を詳細に関連づ けるために、都心における「完結した歩行回遊行動」を把捉するための実態調 査手法を提案する。ここで、「完結した」とは、人が「都心に来街し退出するま での歩行回遊行動を時間的経過の中で把握する」ことを意味し、したがって、 従来の歩行回遊行動調査に見られるような都心における「部分的な」回遊行動 を捉えるものとは異なっている。 本研究では、先ず、都心に関連する政策を分析して、これまでの都心活性化 にどのような問題があったかを明らかにし、その過程を通じて「完結した歩行 回遊行動」を把握することの重要性を指摘する。次に、都心における完結した 歩行回遊行動を時間的経過のなかで把握する実態調査手法を提案する。提案す る調査手法の具体化にあたってば、従来の歩行回遊行動調査方法をレビューし てそれらの問題点を指摘するとともに、いくつかの代替案を地方中核都市に適 用し比較分析したうえでそれらの適性を判定する。また、パーソントリッブ調 査結果とも比較し、提案手法の有用性を確認する。そのうえで、複数の地方中 核都巾において実態調査を実施し、各都市の歩行回遊行動分析と都市間比較分 析を実施し、都心歩行回遊行動特性を見出したうえ、その都心歩行空間計画へ の適用性について明らかにし、これをもとに都心活性化のための方策を考察す る。. 1−3. 本研究の構成. 本論文の構成は、図一1−1に示すとおりである。 第1章においては、研究の背景と目的を述べるとともに、本論文において用 いる主な用語について定義を行う。 第2章においては、特に地方都市における都心の重要性とその活性化の必要 性を論じた後、都心活性化の観点に立って戦後の都心政策を分析して都心衰退 の原因を明らかにしつつ、今後の都心活性化とそのための都心歩行空間整備の 方向性を整理する。特に、都心活性化にあたり地方自治体の役割が増大したこ とと、そのためにも都心の歩行空間情報が重要であることを指摘する。 第3章においては、都心における望ましい歩行空間を論じたうえで、歩行空. 4.

(15) 空間計画立案の前提となる歩行回遊行動実態調査手法に関し、既往の研究文献 のレビューを涌して従来の手法の問題点を指摘するとともに、特に地方都市に おける都心歩行回遊行動把握の方向性について述べる。このなかでは、歩行回 遊行動の連続的把握、都心交通結節点、都心施設、及び歩行施設を詳細に関連 づけることの必要性について考察する。 これに基づき、第4章において、地方都市のための都心歩行回遊行動調査手 法を提案する。特に、都心活性化の観点に立ち、都心交通結節点(駐車場等) から回遊空間までの連続的な動きを把握することの重要性に鑑みて、F完結し た歩行回遊行動」を調査する手法を提案する。同一交通結節点を起終点とする 行動パターンは地方都市において卓越するものであり、これを生かすことによ り都心における「完結した歩行回遊行動」を把握できる。 第5章においては、具体の実態調査方法に関し複数の代替案をデータ収集の 信頼性や実態調査の難易等の観点から総合的に評価し、「現地配布・郵送回収に よる都心交通結節点を起終点とする歩行経路地図上記入方式│調書手法がこの 種の調査に関して最も適していることを明らかにする。また、パーソントリッ プ調査結果とも比較して本研究で提案する調査手法の有用性を確認する。 第6章においては、上記調査手法を複数の地方都市に適用して回遊実態調査 を行って歩行回遊行動データを収集し、これに基づいて都心活性化の観点から みた都市ごとの歩行回遊行動の分析及び都市間比較分析結果を示して歩行回遊 行動特性を明らかにする。分析においては、歩行回遊行動が人の行動そのもの に関わる要因と都市規模、都心施設配置及び歩行空間に関わる要因に規定され るとの前提に立ち、都市間比較を行い、歩行回遊行動特性の類似性及び相違点 を明らかにする。 第7章においては、第6章で得られた歩行回遊行動特性をどのように都心歩 行空間計画に生かすことができるか、その適用性を明らかにして、都心活性化 のための都心歩行空間計画のおり方を考察する。 本研究の結論と今後の課題については、第8章においてとりまとめる。. ’a.

(16) FW㎜IIF`│. 第1章. 第2章. 研究目的. 都心活性化の必要性と歩行空間整備. 第3章. 都心における歩行行動調査の課題. 第4章. 地方都市のための都心歩行回遊 行動調査手法の提案. 第5章. 都心歩行回遊行動調査手法の具体化. 第6章. 都心の歩行回遊行動特性分析. 第7章. 都心歩行空間計画への適用性. 第8章. 結論と今後の課題. 図一1−1. 本論文の構成. 6.

(17) 1−4. 用語の定義. 本研究において用いる用語の定義は以下のとおりである。. 「地方都市」とは人目20∼50万人程度の地方中心都市を指す。本研究が主 として地方中心都市等の広域的都心来街による都心活性化を研究対象としてい ることによる。その「都心」とは、歴史的に商業、業務等の都市機能が集積し、 都市の中心として役割を果たしてきた市街地を指し、具体的には都市計㈹に定 める地域地区のうち中心の商業地域とその縁辺部を指す。その大きさは、おお むね30∼200haの大きさであり、多様な商業施設や業務施設、文化施設を内包 またはそれらが隣接する地区である。. 「都心施設」とは、都心において来街. 者を引きつける商業施設、文化施設等の総称である。また、「商業集積」とは、 空間的にまとまった商業施設群を指す。本論文においては、いわゆる|大店法」 に基づく第1種、第2種大型小売店舗2を「大規模店舗」、その他の小規模店舗 を「小売店舗」と呼ぶ。. 「都心交通結節点」とは、都心来街者がそれぞれの来街手段から徒歩交通に 切り換えるための施設であり、具体的には鉄道駅、バス停、駐車場のことであ る。駐車場のうち、大規模駐車場に付帯した駐車場を「大規模店舗付帯駐車場」 と呼ぶ。. 「歩行回遊行動」とは、歩行者の都心における買物等のための回遊行動を指 す。歩行回遊行動を施設間のトリップ単位で捉えることとする。したがって、 2施設間の移動を「回遊トリップ」、その歩行距離を「回遊歩行距離」、その総 和を「総回遊歩行距離」、施設間の全移動の回数を「回遊トリップ数」と定義 する。「回遊トリップ数」には、大規模店舗とその付帯駐車場との間の歩行行動 も含まれるものとする。また、「完結した歩行回遊行動」とは、都心に来街し て都心交通結節点から徒歩で交通行動を開始し、都心回遊を行った後、起点と 同一の交通結節点に到着して都心を退出するまでの一連の歩行回遊行動を指す。 「滞留時間」とは、それに要しか時間を指す。. 「都心歩行空間計画」とは、都心ににぎわいをもたらすための歩行空間整備. ワー.

(18) に関する計画であって、歩行施設と都心交通結節点、都心施設との相互関係に ついての配慮がなされたものを意味する。「歩行回遊行動特性」とは、都心歩 行空間計画の策定にあたり有用な都心における歩行者の回遊行動特性を指す。 本研究では、このうち回遊トリップ数、1. トリッブ回遊歩行距離、総回遊歩行. 距離、都心滞留時間を「歩行回遊行動特性値」と呼ぶ。. 8.

(19) 一一. 第1章. 補注. 1本論文では、歴史的に商業、業務等の都府機能が集積し、都市の中心として 役割を果たしてきた市街地を「都心」と定義している(1.4用語の定義 参照)。 具体的には都市計画に定める地域地区のうち中心の商業地域とその縁辺郎を指 す。一方、中心胆街地法では、都市の中心の市街地であって、相当数の小売商 業者が集積し、及び都市機能が相当程度集積しており、その存在している市町 村の中心の役割を果たしている市街地を「中心市街地」と定義している。この 意味において、「都心」とし中心市街地」はほぼ同義であるといえるが、本論文 が地方中心都市等の広域的来街による活性化を研究対象としていることから、 本論文による「都心」は「中心市街地」のうち特に地方中心都市等の商業・業 務中心として広域に影響を及ぼす役割を果たしてきた市街地を指すものという 二とができる。. 2第1種大型小売店舗とは「大規模店舗における小売業の事業活動の調整に関 する法律(大店法)(昭和53年改正)」に基づいて定められた店舗規模1,500 「以上の店舗を指し,第2種大型小売店舗とは500 「以上1,500 「未満の店舗 を指す。. 9.

(20) 第2章. 都心活性化の必要性と歩行空間整備.

(21) 第2章都心活性化の必要性と歩行空間整備 2−1. 分析の視点. 本章においては、本研究の前提となる、地方都市における都心活性化の必要 性とそのための歩行空間整備を考察する。まず、都心に関わる既存の文献をも とに、都心の重要性と活性化の必要性を整理する。次に、都心活性化の観点に 立って戦後の都心政策を分析して都心衰退の原因を明らかにする。そのうえで、 今後の都心活性化とそのために都心歩行空間整備が果たす役割及びその整備の 方向を整理する。このなかで、近年の商業政策と都市政策の連携により整いつ つある、地方自治体による都心活性化方策の一環としての都心歩行空間整備の ために、都心の歩行回遊行動特性に関わる調査、分析の重要性を指摘する。. 2−2. 都心の重要性と活性化の必要性. 都心は、多くの場合、都市の地理的中心であるという特徴を備える。このこ とは都心がきわめて有利な条件を備えているということを意味する。すなわち、 都市の地理的中心であることは交通ネットワークの中心でもあることが一般的 であるため、アクセシビリティの最も高い区域であることを意味する。同時に、 心理的な空間距離の観点からも都心は都市住民や近隣の住民からもその物理的 空間距離以上に身近な存在として意識されてきたはずである。例えば、ダウン ズ&ステアOは、これを「認知マップ」の歪みとして、ある都市居住者から等 距離に2つの都市施設かおる場合、都心側に位置するものの方が都市の中心部 から遠く離れたところにあるものよりも近くにあると感じることを示している。 都心は、それ自身が有する中心性と優れた交通結節機能をベースに古くから 商業、業務、行政、医療、娯楽等の中心的機能を担ってきた。それゆえに、川 上2)が述べるように、歴史的、文化的中心でもあり、都市のアイデンティティ を築いてきた重要な部分である。都心はまた、蓑原3jが指摘するように、「自 分自身を仮託する象徴的な場所」である。すなわち、人は自らのふるさとを語 るとき身近な都市を引用し、他人はその都心をもってその人のひととなりのい くばくかを想像する。そのような意味で、都心は都市の顔であり、地域文化を 発現する場である。住民は都心を都市のアイデンティティを築いてきた重要な 区域として理解し親しんできており、この観点から都心が都市の求心性を高め. 川.

(22) るためのきわめて重要な区域であることは衆目の一致するところであるといえ る。都市におけるこのような区域の存在は、今後とも街づくり、地域づくりに おいてきわめて重要な意味合いを持つ。 また、人が住み暮らす限り最寄り晶を中心とした一定の商業集積の存在が必 要となる。. さらにまた、買回り品を中心とした広域的商業機能を担う商業集積. が必要である。都市構造や流通構造が格段の変化を遂げた現在、都心商業集積 について従来のような姿を追求することは不可能であろうが、一一定の都心商業 集積を維持することは、都市の顔としての役割を維持するうえでも必要不可欠 なことである。なによりも都心のにぎわいを保つうえで最も重要な役割を果た すのは商業集積をおいて外にない。 一一方、ブライネス&ディーン4)が強調するように、「未来がどのようなもの であろうとも確かなこと」がある。すなわち、人間的なスケールというものは 決して時代遅れにならないということである。歩行者の欲するものを歩行者の 視点に基づいてより良いものにしていくことによってコンパクトな都市空間を 形成することができる。このようなコンパクトな都市空間に多様な都市機能が 集積して都市住民の欲求を満たすことができると、例えば高齢化社会において 危惧される高齢者のモビリティについても一定のレベルを確保することができ るとともに、歩行を中心とした空間はコンパクトな多機能空間ゆえにエネルギ ー消費の効率化を実現する可能性もある。 都心は多様な都市機能が集積した空間を支えるための社会的基盤施設が最も 整備されてきた空間でもある。経済新生対策(平成11年11月11日経済対策 閣僚会議決定)において推進される[歩いて暮らせる街づくり]構想oにおい て、商業、業務、公共サービス等の都市機能の更新、集積及び再配置により、 生活に必要な諸機能のコンパクトな集合を目指す暮らしやすい街づくりの実現 が謳われているが、「高齢者でも自宅から歩いて往復できる範囲の中に、オフィ ス、商店街、公共サービス機関、医療機関、学校、保育所をはじめとする福祉 施設、文化・娯楽施設など、通常の生活者が暮らしに必要な川を足せる施設が 混在する街]は、現在のところ都心をおいて外にない。多様な都市機能がコン パクトな空間に集積することは高齢者に限らず都市住民にとっても好都合であ るはずである。 このように、都心は都市住民の一体感、求心性を高めるための重要な空間で. H.

(23) あり、実生活においてもコンパクトな空間において商業を中心とする優れた都 市サービスを提供することができる空間である。都心商業が郊外商業との競争 で厳しい状況に置かれており、またインターネットコマースなどの新しい商業 業態により影響を被ることは紛れもない事実であるが、都心が商業を含め都市 の中心として果たす役割は今後とも重要なものであり、したがって、その活性 化のための努力は将来にわたって必要なものということができる。. 回.

(24) IIW・−. 2−3. 都心政策分析に基づ<従来の都心活性化の問題点. 2−3−1. 都心政策分析の意義. 一般的に、これまでに立案され実施されてきた政策を分析することにより多 くのことを知ることができる。なぜならば、政策は立案時の社会情勢と当該政 策が対象とする分野の問題を如実に反映するものであり、この変遷を追うこと により政策の時系列的関連性と問題点を明らかにできるからである。 都心の重要性は古くから意識されており、都心商業集積の充実と活性化は古 くから商業政策の主要課題となっている。同時に、都心商業集積とその周辺部 分を包含する都心の整備、なかでも歩行空間整備の必要性が都市交通政策の分 野において常に指摘されてきた≒. しかしながら、現実には特に地方都市にお. いてその衰退は著しい。その原因は、都心機能の枢要をなす都心商業が本来の 役割を果たすことができなくなったことにある。望月・毒島6)が指摘するよう に、モータリゼーションや流通構造の変革に代表される外部的要因の変化と合 わせ、内部的要因として業種構成の不備等の都心商業集積に関する要因や駐車 場や歩行空間に代表される買物環境の利便性、快適性の面で郊外等の商業集積 との間に発生した格差が都心商業の衰退に大きな影響を与えてきた。また、都 心の高地価のように商業の新規立地を阻害する要因も多い。 都心商業の活性化は古くから指摘されてきたテーマであり、かつ、極めて今 日的課題でもある。それだけにこれまで多種多様な政策が立案され実施されて きた。また、都市交通政策においても都心に安全で快適な歩行空間を導入しよ うという試みはこれまでにも数多い。. ここでは特に地方都市の都心の商業活性. 化と都心のにぎわいの回復という視点から、都心商業集積に対する商業政策及 びそれに深い関わりかおる都市交通政策の変遷を整理し、都心衰退の原因を探 ることとしたい。. 2−3−2. 都心政策分析の視点. ここでは、地方都市2における都心政策の分析視点を明確にするために、都心 活性化のおり方を整理する。田中7)は、都心商業集積のあり方として、複数個 の中規模核を中心に据えつつ多数の小規模小売業がこれを取り巻く多極複合型. 13.

(25) -. による店舗間の差異化から生まれる界隈性を、Paumieroは、歩行行動を誘発 するように互いに補い合う複合的土地利用をまとまった区域に集介立地させる ことによって得られる緊密性、集中性を重視し、また、赤松oは、複数の商業 者による競争状況の持続と適切な物理的基盤による歩行回遊条件整備を都心商 業活動を構成する基本要因としている。 これらに共通するものは、多様な店舗間の競争と連携を確保することと、歩行 者の都心回遊のための条件を整備して歩行行動を活発にすることが都心商業活 動にとって重要であるという認識である。また、都心商業空間を歩行空間化す ることによって都心活性化に成功した例は世界的にも多い。例えば、西ドイツ においては、1966年までに60のモールが整備され、1980年代の終わりには800 にまで増加している。また、米国においても現在までに約200のモールが整備 されており、都心再生の切り札として活用されているlo)。例えば、ミネアポリ スのニコレットモールは、1960年代後肢にトランジット・モールとして整備さ れ、駐車場配置も適切であったため、モール隣接の商業他のみならず、都心の 他の商業地の活性化にも寄与しだ)。同様に、ポートランドのポートランド・ トランジット・モールも商業活性化に寄与している。また、商業集積と公共歩 行空間を効果的に配置したボストンのファニュエルホール・マーケットプレイ スやボルティモアのハーバープレイスも都心ににぎわいと商業の活性化をもた らした意味で画期的である。 Paumierl2)は、さらに、小売商業を支援するために、買物客用の駐車場を優先 配置することの必要性と、特にその適切な配置を強調している。また、高橋13) も駐車場整備を都心機能活性化のための重要な要素と位置づけている。モータ リゼーションの進行した地方都市にあっては、自動車による都心来街は不可避 であり、自動本来街とその後の歩行回遊を一体的にとらえてこそ、都心活性化 の方策を検討することが可能となる。その意味で地方都市の都心における駐車 場整備は必要不可欠であるといえる。 ここでは、このような視点に立ち、都心活性化のための多岐にわたる政策の 中から、図一2−1に示すように、地方都市における商業政策としての「多様 な商業業態の適切な配置(界隈性の充実)」と都市交通政策による「歩行空間の 整備(回遊の誘発)」、「都心アクセスと歩行空間整備のための駐車場の適切な配 置(人の呼び込み)」を『都心活性化のための政策連携』として都心における内. H.

(26) 郎変革の基本的政策課題ととらえ分析、評価を行うこととする。 なお、現在、政策面でも実際の現場でも推進されている都心居住は、都心活 性化に正の効果を与えるものであるが、本研究が主として地方都市における広 域的都心来街による都心商業集積の充実を対象としていることから、本研究の 主たる対象とはしない。. 多様な商業集積の適 正配置 (界隈性の充実). <商業政策>. 都心活性化のたぬ 、_ の政策連携_。 適切な駐車場配置 (人の呼び込み). 歩行空間の整備 (回遊の誘発). <都市交通政策> 図一2-1. 2−3−3. 都心活性化のための政策連携. 年代別戦後都心政策の変遷からみた都心整備とその問題点. 以下において、戦後の都心政策の変遷について各年代別に分析し、都心整備 の問題点を明らかにすることとする。. ∩)終戦∼1950年代一戦後復興と商業業態罰整 全国主要都市の都心の都市計画道路整備は、F特別都市計画法」(1946)にもと づく戦災復興事業1帽こよるもので、この整備によって今日の都心商業活動の基 盤が作られた。すなわち、全国102都市において戦災復興土地区画整理事業が 施行され、28、000ヘククールに及ぶ市街地の整備がなされてきた。そこでの減 価補償金制度の導入などは、「土地区画整理法」(1954)に受け継がれ、その後の 市街地整備に大きく貢献した。しかし、戦災復興土地区画整理事業が財源難の. 1. 一り.

(27) ために構想面積65、000ヘクタールの4割にとどまった15)ごとから、都心周 辺の都市計画道路整備はその後の街路事業等の実施にもかかわらずがれており 平成7年における既成市街地(市街化区域または用達地域指定区域内に存する DID)の都市計画道路の整備率3は57%に過ぎない16)。特に地方都市において. は、都心迂回道路の整備が遅れており、都心の歩行空問整備に対して障害とな っている。すなわち、都心を歩行空間化するためには都心通過交通を排除する ための環状道路等が不可欠である17)が、この整備が遅れているために西欧諸国 で見られるような都心の歩行空開化を実施するまでに至っていない。戦後の商 業政策において都心がとりあげられるのは、朝鮮戦争後の景気後退に伴う消費 需要の停滞が招いた販売競争の激化を契機とする。百貨店は、大正12年の関 東大震災を契機として売場面積を拡大し生活必需品や日用品を取扱うようにな ると飛躍的発展を遂げた。同時に、百貨店間の激烈な競争もあり、結果として 既存小売業者に大きな影響を及ぼすようになったため、商業調整を図ることを 目的として「百貨店法」(第一次)(1937)が成立している。朝鮮戦争後のデフレ 政策により消費需要が停滞したことから、商店街の中小小売者と百貨店が激し く対立し、その結果、「百貨店の事業活動を調整する」ことを目的とした「百貨 店法」(第二次)(1956)が成立した。本法律は、第一次百貨店法と同様、中小商 業者の事業機会の確保に重点をおく社会政策的性格を強く有するものであり 18)、百貨店と中小小売業者が連携し、都心商業集積の充実を図るといった思想 はみられない。 なお、駐車場整備地区の設定、付置義務駐本施設等の規定を定めた「駐車場 法]が1957年i. こ制定されている。本法律によって、大都市の商業地域では都. 侑計画に駐車場整備地区を定め、路外駐車場、都市計画駐車場、路上駐車場の 整備を図るとともに、大規模な建築物の新築・改築にあたって一定の付置義務 駐車施設の設置を義務づけた。東京、大阪等において自動車交通が都心部に集 中しつつあったとはいえ、未だモータリゼーションが進展していない時代にあ って、その政策の先進性は高く評価されるべきものと考える1仇 1950年代は、都心商業集積を支える都市計画道路の整備が戦災復興事業を通 じて進む一方、商業業態調整が強化される時代であり、しかも本格的なモータ リゼーションを迎える前段階であったといえる。したがって、商業、都市の両 政策問の連携を図り都心の活性化を図ろうとする思想は未だ見られない。. 16.

(28) (2)1960年代一高度経済成長期 1960年代の高度経済成長は、大企業と中小企業との格差を拡大させることと もなった。. このため、主として中小規模店舗から構成される商店街の近代化・. 合理化効果を期待した「商店街振興組合法」2o)が1962年に成立している。本 法律成立の背景として、街ぐるみ一体となって公共的施設を含めた共同施設整 備を行う環境整備事業を共同経済事業とともに遂行しうる組織づくりの必要性 が認識されたことがあげられる。この法律は、「商店街形成地域で、商店街地域 の環境整備、改善を行うために必要な祖織と組織運営基準について規定」した ものであり、商店街一体整備の途を拓いたことにより、その後の都心商業集積 の充実に先導的な役割を果たした。 一方、都市政策の面では、「都市計画法」(1968)に引き続き、「都市再開発法」 (1969)が制定された。本法律は、「都市の合理的かつ健全な高度利用と都市機能 の更新を図る」市街地再開発事業について規定したもので、土地区画整理事業 と並び、都心商業集積の充実に大きく寄与した(水戸駅北口等)。また、駐車場 整備については、1963年に建設省から地方公共団体が策定する駐車場条例の雛 型として「駐車場条例」が通達され、た。. これらを契機に、全国の地方都市にお. いても駐車場条例の制定が促進された。駐車場条例制定都市は、1997年現在、 全国193都市にのぼっている2肌 1960年代にあっては、都市問題の主要課題が大都市への人口集中とこれに対 応した宅地供給や無秩序な上地利用の整序にあったこともあって、地方都市の 都心問題は未だ主たる都市政策課題とは捉えられていない。. (3). 米国を中心に発達してきたスーパーマーケット わが国においても1960年代後半から一挙に増大し ることで百貨店法の適用を免れる は. ディスカウントストアは、 、また、各階を別会社にす. いわゆる擬似百貨店問題が多発した。これ. 一面では我が国の経済が高度成長を続ける中にあって著しく立ち遅れてい. た流通部門が近代化の第一歩を踏み出したことを意味し ら流通行政へと意識の転換が行われている。特に. 商業行政もこの頃か. 産構審流通部会第10回申. 間答申「流通革新下の小売商業」(1972)22)は、流通近代化について消費者利益. 7 1.

(29) 確保の視点を明らかにしている。また、第8回中間答申「前節近代化地域ビジ ョン」(1970)で提言された商業近代化地城趾両(1970年間姑)2川旦約20年間に わたり、地域商業計画の重要な部分を占めてきた几 しかしながら、一方では、大規、模店舗の新増設が特定の地域で集中的かつ大 規模に行われ、周辺中小小売商業がこれに対する体制を整えるニ斤が極めて困 難な場合には、そのような大規模店舗新増設について勧告、措置命令等を発動 しうる余地を残すことも答申されている。 こうした伏況を背景に、「大規模店舗における小売業の事業活動の調整に開 する法律(大店法)j. 2o が1973年に成立した。本法律は「大規模小売店舗の. 周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保jすることを目的としており、 その基本的理念25)は、百貨店法と同様であって、多様な機能を持つ商業集積を 形成するという考え方は打ち出されていない。 大店法の適用にもかかわらず、大規模店舗及び基準面積(1、500. 「)以下の出店. が相次ぎ、中小小売業者に大きな影響を及ぼしたことから、基準面積の引下げ (500. 「)、及びそれまで通産省産業政策局長通達によってしか位置付けられて. いなかった商業活動調整協議会を法制化することを主目的とする大店法改正 26)が1978年になされている。 大店法と対をなして1973年に成立したF中小小売商業振興法]27)は、「商店 街の整備、店舗の共同化等の事業の実施を円滑│にすることにより都心の充実 を図るという点でその政策目的は評価されるべきである。すなわち、中小小売 業者が経営を近代化し、合理化することが大規模小売業者に対する対抗手段で あるとする経済政策思想に基づき、消費者二−ズヘの対応、経済合理性に立脚 した事業活動の推進はもとより、店舗等の立地等の適正化、商店街の整備、店 舗の集団化、共同店舗等の整備など、個別企業では限界にある近代化に共同で 取り組み、大規模古謡との規模格差を解消しようとするものである28)。しかし ながら、都市交通施設整備との積極的連携に開する視点が弱く、結果として商 店街のみの改善に終始することとなった。 歩行空間整備に関しては、交通規制により道路空問を歩行者に開放するいわゆ る「歩行者天国」が1970年に東京の銀座等で開始され、その後全国各地で実 施された。また、1971年には「道路法に「道路交通法」が改丑Rされ、交通安全 を主目的とするものであったとはいえ、歩行者専用道路、歩行者用辨路の規. 18.

(30) −?「・〃. 定か定められ、歩行者空間整備にとっては画期的な時代を迎えるに至った。 ニれを受けて、歩行者専用道整備事業29)(1974)が創設された(清水市中心市 街地、酒田市中通り等)。. ショッピングモールについても、西欧諸都市に触発さ. れたこともあり、旭川買物公園の実験(1969)に続き、商店街近代化計画3o)(1970) 等に基づき、各都市において整備がなされた31)(横浜市伊勢佐木町モール、八 王子市北ロモール等)。これらは、都心商業振興と歩行空間整備が一体化した画 期的な事例ということができる。. ↓9.

(31) l− ̄ミ・=゛. 表−2−1都心1. こ関連する主な政策・事業制度年表 政策・事業制度等. 時代状況. 拡代. 都心商業. 都心基盤整備. 朝鮮戦争後のデフレ 小売商業過当競争. 口第二次百貨店法18)(56). 1960年. 国民所得倍増計画(60). □商店街振興組合法2o)(62). 代. 高度経済成長. □中小企業基本法(63). 1970年. 石油ショック(73)(78) 流通革命の進行. ○商業近代化地域計画(70) ◇産構審「流通革新下の小. 終戦. へz. 1950. 年. □小売商業調整法(59). 代. 代. □特別都市計画法(戦災復 興事業)14)(46) □土地区画整理法(54) □都市計画法(68) □都市再開発法(69). 売商業」(72) □大店法22)(73) □中小小売商振法27)(73) ○高度化事業計画(73) ・大店法改正26)(78) ・小売商調法改正(78) 1980年. バブル経済発生(86). 代. 日米構造問題協議(89-90). ●大店法運用強化(出店自 粛通途)(82) ◇産構審1コミュニティマ ート構想」35)(84) ◇「ハイマート2000構想」 (89). 勁o年 代. バブル経済崩壊(90-92). ○シェイプアップマイタウ ン計画制度35)(84) ○ふるさとの顔づくり区画 整理事業(87) ○都市活力再生拠点整備事 業(87). ■大店法改正(91). ○街区高度利用事業(91). ■中小小売商業振興法改正. ○商業振興整備事業“)(91). (91). ○街なか交流都心45)(96). □特定商業集積. ○市街地総合再生事業. 整備法43)(91). □中心市街地法(98). ・民活法改正(91). ■都市計画法改正(98). □中心市街地法(98) □大規模店舗立地法(98) − -一一一一. (注)1)□、■、◇、○、●は、それぞれ、新法制定、法改正、審議会提言、事業制度、通達を示す。 2). 「時代状況」及び「政策・事業制度等」の最後尾カツコは発生または制定年度を示す。. 3)政策、事業制度等の右肩片括弧は参考文献番号と対応する。. 20. 都巾交通 □駐車場法17)(57). ◇都計審F駐車場整備促進」 (70) ■道路法改正(71) ■道路交通法改IE(71) ○有料道路融資駐車場 整備33)(73) ○歩専道整備29)(74) ○総合都市交通施設整備事 案32)(77) ○コミュニティ道路 整備37)(81) ○駐車場案内システム 整備41)(82) ○シンボルロード 事業38)(84) ○道路開発資金による駐車 場整備39)(85) ◇都計審「駐車場 政策」答申(87) ■駐車場法改正(91) ○特定交安駐車場整備(91) ○共同駐車場整備促進事業 (91) ○商店街活性化街路事業 (96) 口中心市街地法(98).

(32) 1960年、代から西欧諸都市において本格化しつつあった都心ゾーンシステム の導入を目的とした総合都市交通施設整備事業ふ(1977)は、都心に安全で快適 な歩行者空間をつくりあげることの先鞭をつけることとなったが(長野市、浜松 市等)、前述のように、都心周辺の街路整備が遅れている都市が多く、また、自 動車による都心アクセスが減退することに対する商業関係者の懸念を払拭する ことが困難なこともあって、都心の歩行空開化は未だ不十分なものとなってい る。 当時のモータリゼーションの進展に対応して、都市計画中央審議会(1970)は、 駐車場整備の促進を提言し、有料道路融資による駐車場整備事業:白(1973)も創 設された。しかし、交通渋滞、大気汚染が深刻化するにつれて、駐車場整備は 都市の環境を悪化させるので望ましくないという考え方が一般化していき、結 果として駐車場整備促進のための政策は確立されなかった。. 70年代から80年. 代にかけて、都心において必要な駐車場整備が進まなかったことが、その後の 都心活性化に大きな影響を与えていると考えられる3o。 1970年代は、流通革命に対応するように、商業近代化地域計画が策定される ようになり、また、歩行者専用道路整備のための事業制度が創設されるなど、 都心の商業集積と歩行空間整備に関連して当時としては画期的な政策が打ち出 されており、同時にショッピングモール整備など商業政策との一体化が見られ 一方では大規模店舗出店を抑制する政策が強. しかしながら. るようになった. 化されたことからもわかるように. 、都心の活性化についての政策連携に関する. 関心は未だ低かったということができよう。. (4)1980年代一. 市政策と。. 政策連. の兆し. 1980年代は、都心商業に明らかな陰りがみられるようになった時代である。 産業構造審議会流通部会の「80年代の流通産業ビジョン」(1984)により示さ れたコ. -ヽ j へ. ユー-. ティマート構想35)は、商店街を単なる買物の場から暮らしの広場. へ脱皮させることにより都市商業文化を創造する場としてその重要性を位置づ けている。答申では、また、都市計画の地区計両制度を引用し、商業市街地に おける町並みの整備・保全の観点から建築物の形態、意匠の規制が行えること を紹介しており、商業政策と都市政策との連携の強化の必要性を打ち出してい る36)。それにもかかわらず、一方では|改正大店法」(1978)やその後の大規模. ︱. ○乙.

(33) 店舗の出店自粛通達(1982)に見られるように、都心商業の多様化に関する政策 は抑制的である。 都市政策の分野においては、地方都市都心部の都市的魅力の増大、活力の向 上を目指した「シェイプアップマイタウン計両制度」37)(1984)が創設された(水 沢市、小樽市等)。これは、地方都市それぞれの個性を生かし、また、民間活力 を活用しつつ、再開発、公共公益施設の整備等を総合的、一体的に実施するこ とを目的としたものであり、その政策目標は、衰退の兆しが見え始めた都心自 体の構造変革にあり、理念そのものは現在でも十分に通用するものと評価する ことができよう。 歩行空間整備に関しては、歩行者と自動車の共存を目指したコミュニティ道 路事業38)(1981)(沼津市大手町等)やシンボル道路事業39)(1984)(姫路市都心部 等)等により高質のモールの整備が進んだ。. これらは、都心の実態に即した歩. 行空間整備を可能としたもので、1990年代に本格化する急激な都心衰退を道路、 都市交通政策の面から事前に対処した事例ということができる。 駐車場整備については、都市計画中央審議会(1987)が、都市の活力を高め、 社会経済活動を円滑化するために必要不可欠な社会資本であるとの認識に立ち、 それまで民間主体となっていた駐車場整備について、「商業業務機能の活性化 のために必要なモール化等の実施に伴う自動車交通の管理のため」に、公的セ クターが積極的に整備にかかわるべきことを答申している。また、多くの都市 が駐車場の重要性を認識し、整備に乗り出している4o)(金沢市竪町、高松市高 松丸亀町等)。さらに、都心の駐車場利用の利便性を高めるために、駐車場案内 システム4o(1982)の整備も始まっている(高崎都心等)。 しかしながら、公的駐車場整備が本格的実施に移されるのは、1990年代に入 ってからであり、都心商業の衰退状況を見ると、政策転換が遅きに失した観は 否めない。 1980年代においては、大店法による出店規制が強化される一方で、コミュニ ティマート構想やシェイプ・アップ・マイタウン計画制度、歩車共存の道路整 備に見られるように、商業、都市政策面から都心の活性化が注目されるように なり、両政策が連携する兆しが見られる。裏返すと都心の衰退が顕著になって きたということであり、事実、都心衰退問題は1990年代に入ると一挙に顕在 化する。. 22.

(34) (5)1990年代一国際化の進展と規制緩和. 大店法に基づく出店規制問題は、1989年から1990年にかけて行われた目米 経済構造協議により一気に緩和の方向に動き出すこととなる。 表−2−2に示すとおり、1987年から1990年までの4年間では全国で年ず 均106店の大規模店舗が出店したのに対して、1993∼97年の5年間では年胚 均274店の大規模店舗が出店している。また、1993∼97年に出店され、た大規 模店舗数は1、370件であるが、立地形態別にみると、郊外幹線道路沿いへの立 地が734件で最も多く、ついで郊外住宅街への立地で255件、ターミナルビル や駅前・駅周辺への立地で166件、鉄道駅から離れた商店街への立地で48イ牛 となっている。このように鉄道駅から離れた商店街への立地は少ない。. 表−2−2. 立地形態 ターミナル 駅周辺. 商店街 郊外住宅 郊外道路 その他 計. 87-90 年平均 4.3 25.3 15.8 21.0 34.5 5.5 106.3. 立地形大別大規模店舗の出店件数42). 91年 5 22. 92年. 93年 4. 94年. 95年. 96年. 97年. 4. 3. 6. 5. 6. 30. 42. 23. 25. 6 30. 14 41. 7 54. 10 59. 19 8 39. 54 6 123. 83 4. 16 47 128. 33 7. 19 256. 176. 56 134 28 261. 161. 198. 39 290. 37 334. ターミナル:駅ピルなど寄合百貨店、駅周辺:駅前、駅近辺、商店街;駅商店街から離れ たもの、郊外住宅:郊外住宅近辺、郊外道路:郊外道路沿い、その他:以上の5タイプに 属しないもの. また、出店規制の緩和は、中小小売業者に重大な影響を与えることが予想さ れたため、「中小小売商業振興法」の改正、「特定商業集積の整備の促進に関す る特別措置法(特定商業集積法)制定j、関連法としての「民間事業者の能力の 活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(民活法)改正」が同時 (1991)に行われている。 このうち、特定商業集積法は、地元中小店と大規模店の共存共栄をその基本理 念として、高度の商業集積を形成することを目的とするもので、条文中に「都. 23. 113. 44 229.

(35) 巾計画との調和(法第5条第3項)]を初めて位置づけ九尚。これは、まちづ くりの現場では従来から行われてきた小売商業振興事業と都市計㈹事業の連携 を政策面で初めて明文化したものといえる。 都市政策においても、特定商業乗積法に基づき商業市街地の振興施設や利便 施設等を整備するために、商業市街地振興施設整備事業湊が1991年に創設さ れている。 なお、この時期、バブル経済による地価騰貴は特に都心において著しく、多 くの商業集積がいわゆる「地上げ」の影響を被ることとなり、いわゆる櫛抜け 商店街が続出する事態が生じた。 一方、特筆すべきものとして、「街なか生活・交流都心づくり事業」45Jが1994 年に創設されている。本事業は、都心の再生は商業に対する施策の充実のみで は困難なことを予測して、都心の多様化、複合化のための機能導入を先導的に 実施することを目的としたものであり、今後の都心整備の方向性を示している ということができる。 都心衰退が顕在化した現在、商業政策と都市政策の双方で都心機能の再編に 向けた具体的連携がなされており、1998年には、「中心市街地における市街地 の整備改善及び商業等の活性化の一体的促進に関する法律(中心市街地活性化 法)」、「大規模小売店舗立地法」、F都市計画法改正(特別用途地区)jのいわゆ る中心市街地活性化関連3法が成立した。このうち、中心市街地活性化法は、 その中心をなすものであり、商業活動の拡充と街路、駐車場等の都心基盤整備 を一体的に行うことを目指している。また、大規模小売店舗立地法は、商業調 整を目的とした大店法に代わり、まちづくりの観点から大規模店舗の出店を検 討する途を拓き、さらに、改正都市計画法においては、商業立地に関して当該 市町村が直接関与できることとされている。 ここに至って、都心活性化のために商業政策と都市政策の実質的連携がなさ れ、関連施策の一体的適用が可能となったということができる。. 24.

(36) 一一−. 2−4. 今日的政策課題からみた都心整備の方向性と歩行空間整備. 以上、都心商業活性化と都心のにぎわいの回復という視点から、商業集積の 適切な配置、歩行空間の整備、これを支える駐車場の適切な配置を、今日の都 心における内部変革の基本的政策課題としてとらえ、都心政第の変遷を整理し た。結果を要約すれば図一2−2に示すとおりである。 同図にも示すように、商業政策をたどってみると、都心の中小商業に関しては、 戦後、社会政策的観点から保護政策が継続されてきた。百貨店法、大店法等に よる業態調整は、都心の中小小売業者の保護に一定の成果をあげた反面、都心 商業機能の再編を遅らせる結果となり、都心の活性化に対しては抑制的作用を もたらしたことは否めない。特に、都心商業に衰退の兆しが見え始めた1980年 代において、「コミュニティマート」構想等が提案されながらも、1970年代後 期に実質的に強化された調整政策が継続されたことにより、商業集積の適正配 置により競争と連携を育むという思想が失われ、界隈性の充実を図ることが不 十分であったことが今日の都心衰退の一因となっていると思われる。 逆に、1990年以降の規制緩和策は、大規模店舗の郊外、鉄道駅周辺への集中 立地を促し、鉄道駅を含まない都心商店街の衰退に決定的な影響を与えたとい うことができよう。 また、都心商業集積と駐車場、歩行施設等の都心交通施設の連携については、 商店街振興策がとられ、個別の商店街整備の現場においては、その必要性から 都心の商業施設と交通施設の連携整備が行われたケースが見られるものの、商 店街振興のみを目的とする傾向が強く、都心商業集積と都心交通施設の連携配 置に対する配慮が十分になされてきたとはいい難い。 商業政策においては、中小小売業者の保護という側面が強く、都心商業集積 の充実、活性化とにぎわいの回復という政策目標について、商業、都巾交通政 策の両面から支えてその達成を図るという政策に転じたのは、1990年代に入っ てからであり、遅きに失した観は否めない。. 25.

(37) <商業政策><都市交通政策>. ぐ大規模店舗の ZSSり 都心進出. 大型店舗 進出調整. 駐車場法 制定 II. しス・じよ ̄ド j. 商店街 振興策.  ̄ ̄」. ==ミ=I. |. 7970 -. 歩行空間 整備. 流通革命進行. II. I111. 出店調整 策変更. 特定商業 集積策. 11一一. 11一一. ︱−︲. 集積の衰退. 駐車場政 策の強化. 業−コ. ,急激な都心商 |. 歩車共存 空間整備. IIIIII. │^‘^’‘‘^・. ︲1︲I. 79卯. 11︲I. ︲I. 都心商業衰退 の前兆. ︱︲︱・. ︲・Wt. 出店 規制強化. 図中、矢印の向きは 影響の方向を示す。. 図一2-2. 都心政策の変遷. 一方、都心のにぎわいを目指した歩行空間整備に関しては、1970年代から都 市交通政策の主要課題としてとり上げられており、いくつかの都心においては、 所要の成果をあげてきている。特に、都心商業集積の衰退が目立つようになっ てきた1980年代には、それまでの歩行者専用道整備に加え、歩行者と自動車 の共存を目指した政策が取り入れられ、都心の実態に即した歩行空間整備が可 能となった。 しかしながら、基幹交通体系としての都市計画道路整備が遅れていること、歩 行空間化することによる都心への自動車交通アクセスの減退に対する商業者の 懸念を取り去ることが困難なことなどもあって、都心の歩行空開化は未だ限定 的である。 駐車場政策自体は、極めて早い時期にその成立をみたが、民間が自らのために 自ら整備するという思想が強く、しかも、都心の交通混雑、環境問題解決のた めには、その整備を抑制すべしとする考えが根強かったため、整備が遅れた。 特に都心商業集積の衰退が顕在化し始めた1980年代において、自動車による. 26.

(38) 都心アクセスと歩行回遊のための条件整備が遅れたことは、現在の都心商業化 積の衰退に重大な影響を与えたと指摘することができる。 要するに、商業、都市交通政策については、都心商業集積の衰退が顕在化し つっあった1980年代までは、連携の必要性を認めつつも、小売商業保護政策 等の他の政策要因も絡んで連携が不十分のまま現在に至ったということができ る。 以上のように、地方都淑における商業政策としての多様な商業業態の適切な 配置と都市交通政策による歩行空間の整備及びこれを支える駐車場の適切な配 置は、各年代において都心における基本的政策課題としてとらえられてきたこ とは明確であるが、これを阻害する社会的、経済的要因も多く、今日の都心の 衰退を食い止めるには不充分であったし、かつ、駐車政策の転換などのように 遅きに失した感が否めないものもある。すなわち、戦後、商業政策と都巾交通 政策は、その間の連携が不十分なまま推移してきたということができる。. 2−5. 都心歩行空間整備上の課題. 都心商業集積の衰退は流通構造、都市構造の変化といった外部要因に起因す る度合いも大きく、また、都心外部の交通ネットワークの整備状況にも左右さ れ、都心そのものの内部変革による効果には自ずから限界があるが、内部変革 なしに都心が回復することもありえない。. この観点に立つと、中心術街地関連. 3法は、商業政策と都市交通政策の一体的運用を可能としており、都心活性化 に対する効果が期待できる。 中心市街地関連3法は、地方自治体の役割を重視しており、このため、地方 自治体は、小売商業者と消費者もしくは市民の間に立って、調整を図りつつ都 心活性化を推進していく必要がある。また、住民自らが主体的に街づくりの構 想段階から参加することも増加している。 しかしながら、都心活性化策の実施による効果については、未だその検証が 十分になされているとは言い難い。例えば、商業施設配置と歩行回遊経路の関 係、駐車場からの歩行限界等、都心歩行空間整備に関して都心活性化の観点か らさらなる検討が必要である。地方自治体が都心政策を一体的に実行し、にぎ わいのある都心歩行空間を形成していくためには、都心における歩行回遊行動. 27.

(39) ●-●●. r−・I・・.・. の実態を把握、分析したうえで、これら課題に対しで検証を加え、都心にとっ て真に効果的な政策をとることが不可欠であり、このための新たな調査、分析 手法の開発が望まれている。都心の歩行空間整備については、都心整備の方向 性と合致するものでありながらもその計画指針等が示されなかったこともあっ て極めて不充分な状態のままであり、都心整備における電装な課題として残さ れている。. 窓.

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