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ekitai arugon denribako o mochiita juion bimu sokutei : hakushi ronbun

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(1)j− I. 七万. yいご. '/i -. ・−-. 一一y. ・-./. W∼. j・ /こJ'. こ・../W. 稲田大学審だ学位論文(博l士). g. へゝ /. §昏大江 貧∃r.今ご= 心’一気−. ,f. S. /. .j−.− W−.ll−. /.. W. ●・-■. 一. ●//. --ミ㎜ ㎜●皿j ぞy− I. ... −・. ㎜− −・. 〃. ノ.. −. -・一 W. ‘. W・. J〃. 〃. ・〃 -. 一. J。ヽ。. --. .I. 一一. dW. ● gs .'ノ. /. 一一一. −・kt-〃f くゲ久. ″f. ;二こ,‘. -・一. ‘一`. -一 一-. クヅf. ノ. ・心−/. ./. 心. 〃. j j ・〃. . ●. 〃ゝ. J. y l φ. '一一.a.

(2) -__. 博士論文. 液体アルゴン電路箱を用いた重イオンビーム測定. 早稲田大学大学院理工学研究科 物理学友応用物理学専攻. 柚木彰. 1999年3月.

(3) 皿,-・. 目次 1 1. I. 頁 序論. I I. 電荷収率とエネルギー分解能の予想値. アレン混入液体アルゴン電離箱の設計 1. 1. 2. 2 6. CzI C9 9. りa Qり. 全体構造. 2 6. グリッド電離箱. 2. アルゴン純度監視用検出器 信号処理回路. 2 9. 7. 3 0. 4 4 LrD LQ. 実験準備. 3. 9. 1. 真空排気. 3. 9. 2. ガスの純化および液化. 4. 0. 電子線、アルファ線を用いた実験. 4. 5. 1. 電子線による動作確認. 4. 5. 2. アルファ線による動作確認. 4 6. 3. 特性の時間変化. 4 7. H CXNQ. 6︶6. 6.重イオンビームに対するエネルギー測定実験. 6. Q H. CYMY︶ 5. 8 8. 3. 重イオンと液体アルゴンとの相互作用 液体アルゴン中のアレンの光電離効果 アレン混入の効果. 1. N CNI. 2. 3. 5. 本研究の目的. アレン混入液体アルゴン電離箱の原理. 4. 4. 液体アルゴン検出器の利点 アレン混入液体アルゴン電離箱. 1. ?︼?︼ 2. 5. 高分解能重イオンエネルギー検出器の必要性. 6 6. 1. 2 4. l n/︼q︶. 1 1. 4. はじめに. 6. 3. 実験手順. 6. 3. アルゴンイオンビーム、カルシウムイオンビーム実験結果. 6. 5. ネオンイオンビーム、酸素イオンビーム実験結果. 6. 8.

(4) `. ・. _. 頁8. 7 7 7 7. △E−E法による重イオンビーム弁別実験 1 実験手順 2 実験結果. 9. 8. 9. 8. 3. 9. 9. 結果考察 ︱. 3. 実験結果. 1. 8. 実験手順. 1. 1 9︼. ︵x︶8. 8.重イオンビームブラッグ曲線測定実験. 計算結果との比較. 0 7 0 8. 1 1. Q Q. 6. 2. 2. 1. 2. 5. 1. 0. ブラッグ曲線検出器による同位体弁別 評価. 1 1 。 結論. I. 0. H N C9. 1. エネルギー測定による同位体弁別. 9り. 1. 0 1 0. I. 1. 同位体弁別能の限界について 1. 0 り乙. 液体アルゴン中に残留している陽イオンの影響 評価. 2 1. 4 5. 6 1. ︵り︵11ぴ. ネオンイオンビーム、酸素イオンビーム実験からの考察 信号波形からの考察. 1 1. Q Q. アルゴンイオンビーム、カルシウムイオンビーム実験 からの考察. 2 3. 0 9. 1. エネルギー分解能の限界について 1. 0 7. 1. 3. 1. 1. 3. 2. 1. 3. 2. 135. 謝辞. 1 3 6. 参考文献. 1 3 7. 研究業績リスト. 141.

(5) '-,一一. 1. 序論 1. 1. はじめに. 重イオン用加速器の発達により、近年数10Mev/nから100Mev/n程度のエネル ギーを有する重イオンビームが高強度で供給されるようになり、多種の不安定核 を用いた研究が可能になった[1-7]。これらの研究においては粒子エネルギーを高 いエネルギー分解能で測定することが要求される。この目的に対してシリコン半 導体検出器を使用することが可能であるが、検出器自体の放射線損傷[8]により実 験中に検出器を交換しなければならない。そのため高いエネルギー分解能を持ち、 かつ放射線損傷にも強い重イオン用検出器が望まれていた。 そこでこのような高エネルギー分解能を持った電離箱を実現することを本研究 の目的とし、放射線検出器の検出媒体として従来から研究され[9-28]、相対論的エ ネルギー領域にある重イオンのエネルギー測定器にも使用される[29]、液体アル ゴンを用いた検出器の開発を行った。 本論文においては先ず、液体アルゴンの重イオンに対する特性と問題点を述べ、 次にその問題点解決のために実施した光電離物質の混入とその効果について述べ る。そして、実際に製作した検出器の原理、特性および実験結果について述べる。 本研究で製作した電離箱はアルゴンイオンやカルシウムイオン等、中程度の重イ オンビームに対して半値幅で0.6%程度と高い分解能を達成し、質量数40までの 同位体弁別が十分行えることを示す。一方、酸素イオン、ネオンイオン等の比較 的軽い重イオンに対しては半値幅で1%程度を達成し、質量数20程度の同位体弁 別が十分に行えることを示す。 次に本研究で製作した電離箱からの信号波形測定を行い、入射イオンの飛程の 関数としての阻止能、すなわちブラッグ曲線を再現していることを確認したので その結果を述べる。またこの原理を用いる同位体弁別検出器の可能性について述 べる。最後に本研究で得られた重イオン検出器としてのアレン混入液体アルゴン 電離箱の特性をまとめ、重イオン・エネルギースペクトロスコピー検出器として アレン混入液体アルゴン電離箱が十分な特性を持つ見通しを得たことを述べ本研 究の結論とする。 1.

(6) '-s−一一. 1. 2. 高分解能重イオンエネルギー検出器の必要性. 高エネルギー重イオン加速器の物理実験への使用は1970年代に稼動を開始し た米国ローレンス・バークレー研究所のベバラック(BEVALAC)に始まる[30,31]。 日本国内においても1966年理化学研究所において我が国初の重イオン用サイク ロトロンが稼動しネオンまでのイオンが加速可能となった[32]。また1980年には 同じく理化学研究所において重イオン用線型加速器が稼動を始め重い元素のほと んどすべてのイオンが加速可能となった。これらの実績を踏まえ1980年より同 研究所において重イオンが加速できるリングサイクロトロンが建設され,1987 年よりその運用が開始されている。この理研リングサイクロトロンはネオンまで のイオンについては135Mev/nまで,またアルゴンまでのイオンについては 95Mev/nまでの加速が可能である[32]。 さてベバラックで高エネルギー重イオンビームを使用した物理実験が開始され て間もない1974年入射核破砕反応が見出された[30,31,33]。入射核破砕反応とは 核子の結合エネルギーより十分高いエネルギーまで加速された原子核が標的の原 子核と衝突した時に発生する現象である。原子核破砕反応において入射粒子と標 的粒子の重なり合う部分は核子レベルに分解されて散乱される。他方入射粒子の うち散乱に寄与しなかった部分は衝突前と同じ速度で破砕粒子として放出される。 この部分の陽子数や中性子数は衝突の条件によって変化するので、様々な原子核 が作られることになる。入射核破砕反応を用いた不安定核ビーム生成の特徴は、 2次ビームとしての破砕粒子の速さが1次ビームとしての入射粒子の速さと同じ であるので非常に短寿命な同位元素までの検出が可能なことである。また不安定 核ビームの放出方向はほぼ1次ビームの延長線上にある。 理化学研究所においては核破砕反応で生じた不安定核ビームの原子番号と質量 数とを弁別して、目的とする同位元素ビームのみを取り出すための弁別器 (RIPS : Riken. Projectile-fragment. Separator)を使用している。RIPSを通. 過する時間は高々200nsであるので、このRIPSにより目的とする粒子ビームを 選別し標的に照射することで非常に短寿命な核の相互作用断面積等の測定が可能 となる[1、3、4、341. 不安定核ビームを用いた実験では標的照射により生成した粒子の同定と計数が 2.

(7) 一一. ‘`-・,一一. 必要になる。測定対象とする原子核の原子番号が小さい場合は多線式比例計数電 離箱とプラスチックシンチレーション検出器の組み合わせ等によって核種の同定 を行っていたが[35]、測定対象とする原子核の原子番号が大きくなるにつれて高 エネルギー分解能が要求されるようになる。また、測定対象とする原子核のエネ ルギーが小さければガス検出器を使用することによって高エネルギー分解能の達 成は可能であるが、核破砕反応が発生するような100Mev/n程度の粒子に対して は検出器が大きくなりすぎて使用は困難である。このような場合、100Mev/n程 度のエネルギーを持った粒子のエネルギー測定に際したエネルギー分解能に対す る要求を満足するものとして半導体検出器が考えられる[361.半導体検出器を使 用した場合約100Mev/nのエネルギーを持って入射した鉄イオンに対し半値幅で 非 れ. 1%以下の分解能は容易に達成できるが、検出器の有効厚さに5mm以上が要求さ 常に高価なものl こなる。また、一般に統計精度を上げるために実験期間は数 日あるいはそれ以上l こなるが、この期間中検出器は安定に動作することが要求さ. れる。半導体検出器の場合、検出器を構成するシリコン結晶が重イオンの照射を 受け放射線損傷を起こし、出力信号の低下あるいは電気的雑音の増大を引き起こ し一般のビーム実験での使用には不適当となる。そのため放射線損傷に強く、か つ高分解能で安定なエネルギー測定が出来る検出器が望まれていた。要求される エネルギー分解能は測定対象とする粒子によって異なる。測定対象とする粒子の エネルギー測定値と、測定対象とする粒子と質量数が1だけ異なった同位元素の エネルギー測定値が半値幅の2倍だけ離れていた場合に同位元素の弁別が出来て いると考えると、例えば質量数40のカルシウムの同位元素弁別に必要なエネル ギー分解能は半値幅で1.25%となる[36]。さらに現在の測定システムにおいて に 側. は同位元素同定のために少なくとも二つ以上の検出器をビームの上流側から下流 配置する必要があり. このため検出器の不感領域が全体の測定精度に影響を. 与えることがあった。もし単一の検出器で同位体弁別が可能であれば不感領域の 影響を排除することが可能で、さらに全体の測定システムをよりコンパクトに構 成することも可能となるので、不安定核ビーム実験に対して最適の検出器となり 得る。よって先ず第1の要求として100Mev/n程度のエネルギーを持った重イオ ンビームのエネルギーを高分解能で測定でき、かつ放射線損傷に強く、時間的に も安定な検出器が求められ、第2の要求として粒子の同位体弁別が出来る検出器 3.

(8) ㎜. ■㎜. -・−一一. が望まれている。. 1. 3. 液体アルゴン検出器の利点. 従来の重イオンビーム用検出器ではガス電離箱、半導体検出器あるいはシンテ レーション検出器が使用されていた[37]。ガス電離箱は検出ガスとしてアルゴン その他のガスを使用するものであり、従来から多くの研究が重ねられ、既に様々 な用途に対して実用化されている。重イオンに対する検出器としても数Mev/n 程度の比較的低いエネルギーの粒子に対しては良好な特性を示している[37、381. しかし検出ガスの圧力が数気圧程度では密度が小さく100Mev/n程度の高エネル ギー重イオンを検出器の有効領域内で止め、その全エネルギーを吸収することは 不可能である。半導体検出器はゲルマニウムやシリコンを素材として使用した検 出器ならば原理的に期待されるエネルギー分解能は十分高い【36】。しかしながら 1.2項でも触れたようにシリコン検出器では約5mmが有効領域厚さの限界であ り、より飛程の長い粒子に対しては検出器を重ねる等の工夫が必要であり、コス トがかかる。また放射線損傷のため重イオンビーム実験においては実用にならな い。ゲルマニウム検出器は非常に高価な上に、シリコン検出器と同様に放射線損 傷の影響が大きく、やはり重イオンビーム実験においては実用にならない。シン チレーション検出器は材質の選択も豊富で全エネルギー測定も可能であるが[39]、 半導体検出器に比べてエネルギー分解能が劣り、またビームの入射位置によって 発光の位置が異なるため、集光効率にばらつきが生じ、分解能はさらに悪くなる。 以上より従来の検出器では100Mev/n程度のエネルギーを待つ重イオンビームの エネルギーを高分解能で測定出来る検出器は見当たらないことが分かる。そこで 検討の候補となるのが液体希ガスを用いた検出器である。既に希ガスを用いた検 出器は一般的であり、液体アルゴンも様々な適用が研究され、既に相対論的重イ オンビームの測定[40]や電磁シャワーカロリーメータヘの適用[25]が報告されて いる他、高エネルギー物理学実験[37、41]でも使用されている。この液体アルゴン を使用した場合には以下のような利点がある。. (1)液体であるので形状や大きさにとらわれずに検出器の製作が可能である。. 4.

(9) ’-s−一一. (2)液体であるので測定中の循環による純化が出来、長期間の使用が 可能である。 (3)液体アルゴンの密度は1.4g/cm3と比較的高密度であり、例えば 100Mev/n酸素イオンの飛程が約20mmと検出器を小さく製作 することが可能である。 (4)液体アルゴンは化学的に安定であり、低温であることを考慮しても 比較的扱いやすい。 (5)液体アルゴンは廉価である。 (6)液体アルゴンは構造を持たないため放射線損傷に強い。. これらの利点は検出器製作について有利であるとともに、運用上も扱いやすさ、 廉価さの点で優れたものである。 しかしながら液体アルゴン電離箱にはガス電離箱や半導体検出器にはない欠点 もある。それは重イオンによる高エネルギー付与密度のために、液体アルゴン内 で生じたアルゴンイオンと電子のかなりの部分が再結合してしまい光子を放出す ることでエネルギーを失い、電気信号として検出器電極より取り出すことが出来 ないことである[40]。このため液体アルゴン電離箱の重イオン検出器への応用が 妨げられていた。 この問題に対しては2つの解決方法がある。1番目は液体アルゴン中のアルゴ ンイオンと電子の再結合によって発生した光子を、アルゴン励起分子の脱励起に よって発生した光子とともに光検出器で検出し、検出器電極で収集した電気信号 と相補的に使用するものである。実際相対論的エネルギーの重イオンに対しては 検出媒質である液体アルゴンからの発光量と電気信号量を同時に測定し、それら の信号量の和をとることにより、ヘリウムからランタンまでのイオンビームにつ いて入射粒子エネルギーに比例した信号が得られることが確認されている[42]。 しかしアルゴンから発する光子は真空紫外光領域にあって適切な反射物質がない こと、また真空紫外光を直接検出する光検出器がないため波長変換物質の介在が 必要なことから、この方法では集光効率に限度がある。また、検出器が大型にな った場合、集光効率の一様性を確保することは困難であるため高い分解能を得る のは難しい。2番目の方法はいわゆる光電離電離箱とする方法である。この方法 5.

(10) 一一. は1.4項に述べるように液体アルゴンの発光によって電離する物質を微量混入さ せ、再結合に伴う発光を電離信号として捕らえようとする方法である[42-49]. 1. 4. アレン混入液体アルゴン電離箱. 光電離電離箱としての動作原理は以下の通りである。液体アルゴン中に光電離 物質を微量混入させ液体アルゴンから発生する光子を吸収することによって自ら 電離させ、検出器内部で電気信号に変換する。発生した電気信号は液体アルゴン から直接発生した電気信号と同様に外部電場によって電極に収集する。液体アル ゴンから放出された光子を検出器内部で吸収するため、光電離物質の濃度が十分 な場合、集光効率はほぼ100%である。また検出器の有効領域内で電気信号が発 生するため、液体アルゴンから直接発生した電気信号と同じ効率で収集される。 このため第1の方法の欠点であった集光効率に関する問題が解決されることにな り、大型検出器への適用も可能になったほか、電気信号の収集効率が入射粒子に よって異なるいわゆるLET依存性も低減される。また第1の方法では得ること が出来なかった粒子飛跡に沿ったエネルギー付与状態に関する情報が得られ、ブ ラッグカーブ検出器としての可能性が期待される。従って重イオンビームのエネ ルギー測定においてアレンを光電離物質として混入した液体アルゴン電離箱を使 用することにより、1.3項で述べた液体アルゴンの利点を保ちながら、その欠点 であった再結合を克服する検出器が成立することになる。従って本研究において は第2の方法すなわち、光電離物質の微量混入による液体アルゴンにおける光子 の電気信号への変換に基づく重イオンのエネルギー測定器を開発することとした。 1 5. 本研究の目的. 本論文の目的は重イオンのエネルギーを高分解能で測定出来るグリッド電離箱 検出器を開発し、そのエネルギー分解能等を評価することで同位体弁別を目的と した核物理実験に適用出来ることを確認することである。検出器としての成立性 確認のためには以下の特性に関する評価が必要である。これらを本研究において 検討し本論文にまとめた。 6.

(11) ゛. =・.一一一一. (1)グリッド電離箱としての動作に問題のないこと。 (2)アレンが適切な光電離物質であること。 (3)期待される電荷収集率が得られること。 (4)期待されるエネルギー分解能が得られること。 (5)実際の核物理実験での使用に問題のないこと。 (6)ブラッグカーブが測定できること。 (7)安定した測定が行えること。. 7.

(12) -・-. -ム  ̄-・・一一一一. 2.アレン混入液体アルゴン電離箱の原理 本章では重イオンビームと液体アルゴンの相互作用における特徴と、検出器媒 体としての問題点である強い再結合について述べる。そして光電離物質アレンの 混入により再結合で発生した液体アルゴンのシンチレーション光を検出器媒質内 部で電気信号に変換する原理と重イオン検出器へ適用した際にもたらされる効果 について述べる。. 2. 1. 重イオンと液体アルゴンとの相互作用. 液体アルゴンは表2-1[50]に示す特性を持っている。一般的特性としては沸点が -186℃でありこれは液体酸素の沸点よりわずかに低く、液体窒素の沸点より高い。 不活性ガスであるので反応性は低く、酸素あるいは窒素との化学的な結合はない。 純粋な液体アルゴン中で一対の電子−イオン対を生成するのに必要なエネルギ ーであるW値は23.6evである[11]。また放射線によって生成される電子イオン対 数の揺らぎの程度をあらわす量であるFano因子[51]は0.11である[9、14]。この2 つの特微から液体アルゴンによる荷電粒子検出器は優れたエネルギー分解能を有 することが期待される[9]。図2-1[52、53]に希ガス液体のバンド構造およびバンド 間隙に存在する励起分子および励起子のエネルギーレベル、発光の過程を示す。 また放射線が液体アルゴンに入射した場合に発生する電子−イオン対数Niと励 起子数N。。の間にはN。ノNi=0.21なる関係があることが分かっている[171.表 2-2[46]に液体アルゴンのW値、Fano因子、励起子の第1励起エネルギー、励起 分子の遷移エネルギーおよびN。/Niの値をまとめた。荷電粒子が液体アルゴン 中に入射すると図2-1に示す過程を経てアルゴンイオンと電子の対および励起さ れた後自縄自縛状態になった液体アルゴン励起分子とが生成される。図2-2[17] に液体アルゴンにIMev内部転換電子線を照射した場合の電荷収集率と発光量そ れぞれの電場依存性を示す。図2-3[40]に示した相対論的エネルギーの重イオンビ ームを入射した場合の電荷収集率および発光量の関係と比較すると電子線に対し ては電荷収量は2kv/cm程度で飽和値に達するのに対し、重イオンに対しては 8kv/cmでも40%程度であり電場に対する変化も飽和していない[42]。一方シン 8.

(13) `. -,一一一一. チレーション光量に対しては電子線に対しては2kv/cm程度で電場がない時の 30%程度まで減少するのに対し、相対論的重イオンの場合には8kv/cmでも60% 以上である。このように電子線に比べてLETの大きい重イオンビームでは再結 合が強く起こって電荷の収集が困難になっていることが分かる。図2-4[54]に電場 がない時の発光量のLET依存性を示す。1Mev電子線のようにLETが 1Mev/(g/cm2)程度と小さい場合には液体アルゴン中で再結合を逃れる電子が発 生し相対論的重イオンビームに比べ発光量は減少している[55].LETが大きくな ると相対論的速さを持つ重イオンのように再結合を逃れる電子はなくなり発光効 率は大きくなる。しかしさらにLETが大きくなるとクエンチングが発生する。 クエンチングが発生している状態では図2-4のAuイオンに見られるように単位 エネルギーあたりの発光量が減る[56]。 今回の研究では重イオンビームの全エネルギーを測定するために、検出器の有 効領域内で入射した重イオンビームを止めるように検出器の設計を行った。重イ オンビームが液体アルゴンに入射すると液体アルゴンとの相互作用により運動エ ネルギーを失うため速さが小さくなっていく。阻止能の式[57]から明らかなよ うに入射粒子に対する阻止能は入射粒子の速さの2乗にほぼ反比例する。従って 入射粒子が単位長さあたりに失うエネルギーは粒子の飛跡の終端に向かって大き くなって行く。図2-5に入射粒子の飛跡に沿ったエネルギー損失(dE/dx)[581の分 布を79Mev/nの4oArイオンと93Mev/nの160イオンの場合について示す。入 射直後のdE/dxに比べて止まる直前のdE/dxは数倍大きい。このため相対論的 Auイオンと同程度あるいはそれ以上に再結合およびクェンチングが強く起こり、 液体アルゴン中で発生した電子−イオン対の分離が困難となって電気信号として の取り出しが困難になり、さらにはクェンチングによって発光量も減ることにな る。. 2. 2. 液体アルゴン中のアレンの光電離効果. 液体アルゴンに重イオンが入射した場合、例えば相対論的速度領域にある鉄イ オンの場合は、液体アルゴンヘの電場が4kv/cmの下で電荷収集率は25%程度で ある[55]。前章で述べたように100Mev/n程度の重イオンが止まるまでのエネル 9.

(14) `. ・-一一-. ギーを測定しようした場合に、再結合およびクエンチングはより強く起こるため 電荷収集率はもっと小さいものとなる。このような場合に液体アルゴンからの発 光による光電離を利用して電荷収集率を高めるというのがアレン混入液体アルゴ ン電離箱の特徴である。 液体アルゴンからの発光の中心波長は9.7evに相当する。また図2-6[201に液 体アルゴンからの発光の時間減衰特性を示すように、減衰時定数はそれぞれアル ゴン励起分子の1重項状態と3重項状態に対応した数nsと1.5陣s程度の2つがあ る。. 2つの減衰時定数に対応した光量はほぼ同じと考えられるので合計発光量は. 数叩で無視できる程度まで減衰していると推定される。従って電荷収集に対する 時間遅れは問題にならない。液体アルゴンに混入し光電離を起こす物質について は様々なものが知られている。表2-3[461に現在有効と考えられる主な光電離物質 を挙げる。この中でアレンについては1986年米国のAndersonによってその効 果が初めて確認され[44、45]、同年日本のSuzukiにより定量的測定が行われた [46、47]。アレンの液体アルゴン中での光イオン化ポテンシャルは8.4ev[59、60、61] であるので、液体アルゴンからの光子によりイオン化が可能である。図2-7に示 すように、実際に液体アルゴンにアレンを混ぜて測定された電荷収集率は純粋ア ルゴンでの電荷収集率に比較して増大していることが分かる【48】。特に低電場に おいて電荷収集量が飛躍的に増大している。これらアルファ線を用いた丁寧な測 定により、液体アルゴン中のアレンの液体アルゴンからの光子に対する光吸収断 面積が25Mbであることと光電離量子効率が0.6であることが分かった[47、48]。 また、核分裂片に対する測定も実施され、同様な電荷集量の増大が確認されてい る[62]。 また、液体アルゴンに分子性混入物を加えることにより電子移動速度が速くな ることが確認されている[15、63]。液体アルゴンにエチレンを0.2%混入させた場 合、液体アルゴンヘの電場が4kv/cmの下で、電子の移動速度は純粋アルゴンに 比べ約2倍に増大する。また液体アルゴンにアレンを80ppm混入させた場合、 液体アルゴンヘの電場が10kv/cmの下で、電子の移動速度は純粋液体アルゴンに 比べ約1.2倍に増大する。電場が大きい方が移動速度の増大も大きくなる傾向が あるが、数kv/cmの下でも数%程度の増大が予想される。光電離物質の混入に際 して問題になるのは光電離物質の混ざり具合である。液体アルゴンは希ガスで極 10.

(15) `. ,−−一一. 性もないためアレンを溶かしこむことは考えられない。そのためアレンは液体ア ルゴン中を固体の粒子として漂っている可能性も考えられる。そのため液体アル ゴン中のアレン濃度は不安定で、液体アルゴンの挙動の影響を受けやすいことが 懸念される。. 2. 3. アレン混入の効果. 前章で述べたアレンを混入した液体アルゴンは重イオンのエネルギー測定器 の媒質として優れた特性を示す。式2-1にアレンを混入した液体アルゴン検出器 の電荷収乗率の電場依存特性を表す[491.. QZQ。=F面旬吋ド・('N・。ZNj)-FHIぐE)Jqgφ石沢). (2−1). Qは収集電荷量、俵は液体アルゴンヘの付与エネルギーを液体アルゴンの匯 値(23.6ev)で割った収集電荷量、NexZNjは液体アルゴンに放射線が入射した場合 に発生する励起子数と電子・イオン対数の比、石扉印は液体アルゴン中で重イオ ンが直接に電離する電子の収集飽和特性、9はクエンチング因子、gは液体アル ゴンからの光子をアレンが吸収する際の幾何学的な因子で、例えばステンレスプ レート上にアルファ線源をつけた場合などでは液体アルゴンからの発光の半分は ステンレスプレートに吸収され光電離に寄与しないと考えF0.5とする。φは液 体アルゴンからの光子を吸収したアレンが光電離を起こす量子効率、月ず司は光電 離で発生した電離電子の収集率である。最後のFjぐEじ)XこついてはIMev電子線の 飽和特性を用いる。図2-8に相対論的速度領域の重イオンが液体アルゴンを通過 した際に付与したエネルギーに対する電荷収集が通過粒子の原子番号に従ってど のように変化するかを、純粋アルゴンの電荷収集特性とシンチレーション光量の 電場依存の測定値に基づき計算で予測した結果を示す[64].NeからLaまでの重 イオンについてはほぼ一定の収率を示すことが分かる。Auイオンについては電 荷収集率が低下しているが、これはクエンチングのためである。. 11.

(16) 一. -●一一一一一. 4. 2. 4. 電荷収率とエネルギー分解能の予想値 1. 2. 電荷収集率. 電荷収集率を求めるために今回の測定対象にする重イオンビームのクエンチン グ因子を以下の手順で計算した。 (1)既に計算されているNa、Fe、LaおよびAuイオンに対する液体アルゴン のクエンチング因子のエネルギー依存性のデータ[65]から、原子番号につ いて内挿しO、Ne、ArおよびCaイオンに対する液体アルゴンのクエンチ ング因子のエネルギー依存性を計算する。 (2)Ahlenの阻止能の式[58]により液体アルゴン中での飛程に沿った単位 長さあたりのエネルギー付与とその時の粒子のエネルギーを計算する。 (3)粒子が液体アルゴンヘ入射してから止まるまでについて、飛程を0.1mm づつに区切り、それぞれの区間において(1)で求められたクエンチング 因子を(2)で得られた付与エネルギーに掛け合わせ、それらの総和を入 射エネルギーで割ることにより、粒子が止まるまでの実効的なクェンチン グ因子を求める。. 以上の計算で求められたクエンチング因子を相対論的重イオンに対して 4.5kv/cm以上で得られた電荷収集率(@必)である74%に掛け合わせることで期 待される電荷収集率を計算した。その結果を表2-4に示す。. Hitachiらが実験で. 求めたクエンチング因子は33.5Mev/nの180イオンおよび31.9Mev/nの36Arイ オンに対して電場がない場合約0.6、電場3kv/cmの場合約0.7であったので、表 2.4の計算結果はほぼ妥当であるといえる。. 2. 4.2. エネルギー分解能. 重イオン用アレン混入液体アルゴングリッド電離箱は初めHitachiらにより小 型のものが製作され、その電荷収集率およびエネルギー分解能が評価された [66、67].この研究においてアレンの混入濃度は80ppmとされ、対象粒子は 12.

(17) -−--−-. 33.5Mev/nの180イオン、31.9Mev/nの36Arイオンおよび23.1Mev/nの129xe イオンであった。この実験において得られたエネルギースペクトルを図2-9に示 す。電場1.67kv/cmの下で180イオン、36Arイオンに対しての電荷収率は30% 程度が得られ、エネルギー分解能(半値幅)はそれぞれ0.37%と0.57%であった。 180イオンについては純粋液体アルゴンおよびアレン混入濃度10ppmについて も実験が行われたが、エネルギー分解能は1.5kv/cmの下でそれぞれ5%および 1%とアレン混入濃度80ppmの方が高分解能となっている。. 129xeイオンに対し. てのエネルギー分解能は1.74%と悪い。Hitachiらはこれを検出器の入射窓の厚 さむらおよび電離箱の有効領域内に残留する陽イオンによる影響等により説明し ようとしている。また180イオン、36Arイオンに対しての分解能については、仮 に 129xeイオンl, こ対する分解能が入射窓の厚さむらに起因するとして、入射ビー. ムエネルギーの揺らぎを計算して実験値と比較して、実験値が約2倍悪いと解釈 している。しかしそれらによってエネルギー分解能の限界値は十分には説明され し. て. yないと見なすべきである。しかしながら36Arおよび180イオンに対して1%. 以下の分解能が実現しているので、同位体弁別の目的のためには十分使用可能で ある。そこで本研究ではHitachiらの研究で得られた知見に基づいて、100Mev/n 程度のエネルギーを持った重イオンビームのエネルギー測定を行える新しい検出 器を開発した。. 13.

(18) -、 -・-一一一一. 表2−1:希ガス液体の諸特性 Property. Argon. xenon -. 39.95. 131.3. 一. Boiling pojnt. −185.9. -109.1. Melting point. -189.4. −111.8. Density(gas. 1.6689. 5.517. kg/m3. 22 43. 16.59. °C. 65. 58.40. bar. Atomic. number. Atomic. weight. 18. lbar,15°CI. −1. Tcr匍caj. 48,. Pc而cal Properties. 0 `・︶ 0. 54. Unit 一. of liquids. volume ratio. 7. vap.enthalpy. 1. 84,. 6 3. Density. 4. 1. vaatlkv/cm. 2. Electron Mobility. 4. (gas/liquid). 99.3. J/g. 3.06. g/cm3. 2. 2.4. 525. 2000. Radiation length. 13 5. W-value(W). 23. (dE/dx)6. 518.9. 2.6. 15.6. 2 2. Fano-factor(F). 0. WF. 2. 1. 3.9. 1. 0,041. 54. 0.64. 表には参考のためキセノンに関するデータも記載してある。 Tcritical. :臨界温度. Pcr4tjcal. :臨界圧力. vaatlkv/cm:電場lkv/cmでの電子の移動速度 (dE/dx)。i、、 :dE/dxの最小値. 14. mm/Fls cm2V ̄ls ̄│. Cm ev/pair Mev/cm.

(19) d−〃・・■”’. -−一一一一. 表2−2:希ガス液体の放射績検出に関する特性. R゛[ev]:励起子の第一励起エネルギー R2‘[ev]:励起分子の遷移エネルギー ノV。/∧//:1個の入射荷電粒子に対する励起と電離の発生比 14/[ev]:W鎧 戸:Fano因子. 表2−3:光電離物質のイオン化ポテンシャル[ev]. 液体中では分極のためにイオン化ポテンシャルは小さくなる。ここでは イオンの半径はすべて30nmとして計算した。そのため液相での各値は 上限値であると考えられる。 アレンの示性式はCH2=C=CH2. 15.

(20) -.、 -−一一. 表2−4:アレン混入液体アルゴン電離箱から期待される電荷収集率. 相対論的速度での. クエンチング因子. 電荷収集率[%]. クエンチンゲを考慮し期待 される電荷収集率[%]. 99Mev/n160. 74. 0.89. 66. 125Mev2oNe. 74. 0.89. 66. 79Mev/n4oAr. 74. 0.75. 78Mev/n4oCa. 74. 0.68. 56. 50. アレン混入液体アルゴン電離箱に重イオンビームを照射して得られる電荷収集率 (Q/Q。)を計算で求めた。印加電場は4.5kv/cm以上を想定している。. 16.

(21) −-−一一一一. -.、 ←・. 励起原子からの発光 14. R゛十2R. 一. R2゛. R2゛十R. 2R十h. −4. |. イオンの再結合からの発光 R. (Aa). 10. + +. e゛. R゛゛十2R. R. -4. →. R゛゛. →. R. +. 2. ・・. 十R. R. 2”十R. R. 2゛十hy’. ’以︶馬⋮一Z一⋮一. 奉 2. 4. R. →. 、. R. 2R. 2. R2゛. R十hy. 一哺. または、. R‘. →. ●. R. 十. 2. R. y h. 十. Da. り心. ↓. R2゛. 十2R. R 2. →. 十. ・ R. R2゛゛十R. 図2−1 :希ガス液体の発光. 17.

(22) -、、、、. -∼一. -−. ら. ○. ○. リ. 旧. ︵j石コ .ゼo︶. 150. ○. COHected ケ几. ーー &.. び. ch(ユrge. a. ム……. 4. …・ム. 4. △. △. ≒ s⋮⋮⋮⋮Å`・. 0. 一︰︶C︷︸一一. 6. Luminescence ”’1………. intensity. 1 &. 1 ,. ぺ.. j. 11. こごニニLニこニ。‘匹。. △. FfE. LD. 5 STRENGTH(kv/cm). 10. 図2−2 :1Mev内部転換電子線を照射した液体アルゴン. からの電離収率と発光量の電場依存性. 18.

(23) -、、. -−一一. ICO. 80 60 9 g. ('/.).0S/S﹂o8‘ヽ︸. 0. 1. 2. 3. 4 Eleclric. 5. field. 6. 7. 9. E(kV/cm). 図2−3:重イオンビームを照射した液体アルゴンからの 電離収率と発光量の電場依存性. 9 1.

(24) -、. 一一. ←・. 1. 2. ‘. .i四j. l. llり‘. ↓↓|1. 1. 1111. −. 1. ’ぃl. Ne. l. Fe. lil. La. −. . 1. T. 0. H. Kr. −. `\.  ̄. \ `\. (H). 固く一で. e’ [].6. T. He.  ̄0.79 【】.B. .I. ’. O’65. :. I A.. `孔 (alPha)\\.  ̄. \.  ̄. 0.4 一 0.2. \. 一. 一 バヘ 一. (F.. 一. 一 ,1111. 0.0. 0.1. 1 1. ,H1. 1 101. 1111. 1. 102 LET(Mev. ,,d. l 103. l,1「. 1. 111. 104. 9‘lcm2). 図2−4:液体アルゴンからの発光量のLET依存性. 20. 105.

(25) r゛ ̄ ̄. -、_ -. 0 0 0 J U U U. [EE/A91](XP/3P)¥1︲jyt]r. 100. 10. 5 10 15 液体アルゴン中の飛跡[mm]. 4ゆ. ○ ●. 液体アルゴンに79Mev/nで入射した4oArイオンによる計算値 液体アルゴンに93Mev/nで入射した160イオンによる計算値 図2−5:液体アルゴン中でのエネルギー損失. 21. 20.

(26) ら・. L吽む. ●. Ljq・ ・「. jo. s j“. ︲−・j. いi・l. 凶. 7 nsec. 轟轟. `゛≒. 10. jl二1「Q° w・4!μ`I芦¥‘5X-.・り9・・. ・. ● ●●. てこS’7,5. nsec. 】0. 心. 愚 論. &. &&`. y. −・. φ. &. 畠 轟畠. 心. 轟●. ゜.・ 一. ●. \.・− 働. a一・. tS ‘ 6IS nSeC. 01D妬. ︵SUU11 AJOJIlqJ 1D 0u I61suoloqd. 10 10 ︷sllun 4JDjllqJD︸ 10ubis uolald. 応. ■●畠 ・`ゝ. ●. olDrx]. ‘゛‘4 ,. `、. 勺. 102. 55メjSeC ● 桑. ● 血. ●. 4. 鼻. 10 轟. ● ● I ●嘩. 司. 10. ●. `こヽ・. ●値. ●. ●. ●. ●. ● ● II. ●●-㎜. 畠. 0 0. 20. 40. 50. 80. 2. Q. 100. lj胞咄lg3 T1喝くnsec. ●:976kev電子線照射による発光 ▲:5.31Mevアルファ線照射による発光 I:核分裂片照射による発光 図2−6 :液体アルゴンからの発光の減衰時間特性. (左右の図は時間軸の表示範囲が異なる). 22. 6. 8.

(27) -、、_ -. 圖y-?1. 10. ︵%︶!/v/ 3a 911VH:︶︵131J︶311oD. グ:゜(tこ。y/ご?‘'1'゜でぷ721 首ご可レ. Pure Liq. Ar. 1. 0.1. 1 ELECTRIC. 10. FIELD. £{kv/cal}. ●:アレン混入液体アルゴンからの電荷収集率の測定値 直線:純粋液体アルゴンからの電荷収集率の代表的測定値 図2−7:アレンを混入した液体アルゴンからの電荷収集率. 23.

(28) -、 -・一一. 1. 脂. IZ七Z︶Qへ○. 1. Z. 図2−8 : 相対論的速度の重イオンビームを照射した 液体アルゴンの電荷収率の入射粒子の原子 番号による変化(純粋液体アルゴンの電荷 収集率および発光量の電場依存性を用いて の計算値). 24.

(29) ら・. 300. 250. 200. 2に﹃JD○. 150. 100. 5C. 0. ¶70C. 1800. 1900. 2000. 2100. 2200. 200. 15ロ. 0. a↑Cコ○ハ︶. 0 50. 0. 2500. 2600. 2700. 28013. 200. 150. 00. slunoo. 50. 0. 1200. 1300. 1400. 1500. ¶600. 1700. Channel Number. 回2−9. :アレン混入液体アルゴン小型電離箱i. こよる 重イオンビーム測定のスペクトル. 25.

(30) ら・. 3. アレン混入液体アルゴン電離箱の設計. アレン混入液体アルゴン電離箱の設計について述べる。先ず3.1節において冷 却系統を含めた検出装置の全体構造について述べ、3.2節において本検出器の中 心部分であるグリッド電離箱について述べる。次に3.3節においてグリッド電離 箱の上方に取り付けたアルゴン純度監視用検出器について触れ、最後に3.4節に おいて今回の研究で使用した信号処理系統について説明する。 1. 3. 全体構造 100Mev/n重イオンの全エネルギー測定を目的としたアレン混入液体アルゴン. 電離箱の全体構造について説明する。図3-1にアレン混入液体アルゴン電離箱と その冷却系続からなる検出器全体の断面図を示す。検出器は2重構造になってい る。内側容器はグリッド電離箱を含んでおり、ステンレススチールの筒で釣り下 げられている。ステンレススチールの筒は真空排気系に接続されている。外側容 器は真空断熱を目的とした真空槽を構成する。また内側の容器を液体アルゴン温 度に保つために、内側の容器を吊り下げているステンレススチール筒の外側に冷 却材としての液体アルゴンを溜めておくデュワー瓶を構成する。内側容器からは 電気的接続のためのフィードスルーが5本出ており、それは真空断熱槽で外側容 器のフィードスルーに接続されている。内側容器の外面は幅射熱を遮断するため にスーパーインシュレータを4層に巻いた。真空断熱層には厚さ160μmのアル ミ蒸着マイラが入射窓として設けられている。冷却材を溜めておくデュワー瓶の 体積は約8リットルであり、内側容器を6時間以上にわたって液体アルゴン温度 に保つことが出来る。熱収支の観点から見ると最大の熱流入はフィードスルーか らの熱伝導であり数Wに及ぶ。これを内側容器の液体アルゴン自身が気化する時 の気化熱で冷却し一定温度に保っている。 内側容器、外側用器ともにステンレススチールで製造した[68]。また容器自体 を電気的なコモン電位とした。外側の容器はビームラインヘの移動が容易なよう にステンレススチール製の可搬型台に固定し、内側容器高さをビームラインに合 せるためにステンレススチール製の台への固定は長さ約30cmの棒に釣り下げる 形で行った。 6 2.

(31) ら・. 3. 2. グリッド電離箱. 図3-2に内側電離箱とその近傍に取り付けた構成品の詳細を示す。内側電離箱 の入射窓開口部は48mmx48mmと大きいものとした。これは計数効率を大きく する、すなわち明るい検出器とするためである。入射窓には厚さ160μmのHavar フォイル[69]を使用した。Havar. フォイルはCo、Cr、Niを主成分とする合金で. 引っ張り強度が1860MPaと大きい。しかしこれだけでは48mmx48mmと大き い開口部を支えることは出来ない。そこで10mmピッチで厚さ2mm、高さ5mm のステンレススチール製格子を入射窓開口部に設けHavarフォイルを支えるこ ととした。周囲を支えた平板の等分布荷重のモデルを使用し、内側容器の内圧は 5気圧までを想定して、安全率は温度による強度変化等を考慮して5として必要 なHavar. フォイルの厚さを計算すると156μmとなるので、実際には160叩1を. 使用した。またヤング率としてカタログ値の180GPaを用いて最大たわみを計算 すると、4辺固定のモデルで38μm、4辺支持のモデルで12畑mとなった。実際 は4辺固定に近いと考えられるが、エネルギー損失の計算に際してはたわみが大 きくなる4辺支持での値を用いた。このHavarフォイル窓はグリッド電離箱のカ ソード電極としても用いるため、場合また入射窓として厚さにむらがあるとそこ での入射粒子のエネルギー損失量にばらつきが生じてエネルギー分解能の劣化を 引き起こす。そのため入射窓に使用するHavarフォイルはあらかじめ電解複合研 磨を行った[70]。その結果、図3-3に示すように直径5μmの球による接触測深法 で測定した表面のでこぼこが最大0.21μmとなるまで滑らかになった。 グリッドはタングステン合金であるヘビーメタル[71]の枠に直径1011mの金メ ッキタングステン線を200叩1ピッチで半田付けして作製した。グリッドの製造 手順としてはまずグリッド枠を回転させながら1回転で20011mだけ進むように し、タングステン線を200Flmの送りで巻き付けた後に半田桶に銀ロウを溜めて、 タングステン線を圧着することにより固定した。グリッドのシールド不完全性は カソード・グリッド間領域に残留する陽イオンがアノードに誘起する電荷の割合 を示し、入射粒子の飛程が変動する時にエネルギー分解能に影響する。100Mev/n 程度のエネルギーを持った重イオンビームの飛程の揺らぎは数%である。半値幅 で0.1%オーダーのエネルギー分解能の測定を遂行するためにシールド不完全性 7. n乙.

(32) ら・. によるエネルギーの測定揺らぎは無視できる程小さくすることが要求されるが、 そのためにはグリッドのシールド不完全性として数%以下が要求される。今回は 波形の測定も同時に実施するようにしたので更に厳しい1%以下を目標とした。 計算は式3-1に示すBunenlannの式[72]に従って行い0.88%を得た。. (3−1). (J=(j/2幼)1og(j/2πゐ). ここでoはシールド不完全性、jはグリッド線の間隔、みはグリッド・アノー ド間の距離である。 グリッドを通過して電離電子をすべて集めるためにはカソードーグリッド間の 電場よりグリッド・アノード間の電場を大きくする必要がある。この電場の比の 最小値は最小電場比z(critical fieldratio)と言われ式3-2で求められる。今回 の場合の最小電場比は1.37となった。. z. (3−2). =Gy十2πΓ)/(j-2πjう. ここでzは最小電場比、jはグリッド線の間隔、バまグリッド線の半径をあらわ す。ここで求められた最小電場比は電離電子の拡散等がない理想的な場合に適用 されるもので、今回の実験では安全を考え電場比を2.0とした。 アノード電極はステンレススチール板で気密性のフィードスルーを通して内側 容器から外側の容器に接続され、高電圧電源と前置増幅器に接続される。アノー ド電極とグリッド電極の間隔は製作の容易さを考慮し5mmとした。 今回の実験で対象とする重イオンビームの中で飛程が最も長いのは180で約 20mmである。実験中はこの他途中で破砕した核の一部を測定することになるの でそれも考慮しカソード電極一グリッド電極間隔は40mmとした。電場の乱れを 抑えるためにガードリングを1cm間隔で3枚設けた。これにより有効領域の内側 1cmより内部は電場の乱れはほとんどなくなる。 グリッド電離箱はカソード電極として使用しているHavarフォイルを溶接し たフランジ上にガラスエポキシ(G-10)製の柱を立て、精密加工用セラミック(マ コール[73D製のスベーサを用いて電極間隔を定めた。ガードリングの電位は 8 2.

(33) 一. ら. グリッドに供給する高圧電源電圧を抵抗で分割して定めた。抵抗器は液体アルゴ ン中で不純物源とならないように樹脂被覆の無い物を特別に製作して使用し[74]、 半田付けにてガードリングに接続した。入射粒子の頻度1000cpsまで測定しよう とすると最大10n.Aオーダーの電流がグリッド電離箱の有効領域を流れることに なる。従ってグリッドの電位を保つためにはグリッドからガードリングをわたっ てカソードに至る抵抗に知Å程度の電流を流す必要がある。実際には図3-4に示 すようにグリッド・グランド間に1nF程度のコンデンサを接続しているため、パ ルス的な電流供給は可能であるが、安全のために定常的な電流に対してはコンデ ンサがない場合を想定した。そのため本検出器では最終的には25MΩの抵抗器を 分割抵抗として使用した。この場合500V/cmでも20MAの電流を流すことが可能 である。 高電圧の供給および信号取り出しのために乾燥空気中での耐圧が30kvのセラ ミック製フィードスルーを使用した[751.アノード電極およびグリッド電極とフ ィードスルーのステンレススチール導体の接合は、電極側にリン青銅製のコネク タコンタクト取り付け一般のコネクタと同様の接触方式で行った。また接合部は セラミックで覆った。内側容器に取り付けてあるフィードスルーは真空断熱槽内 で外側容器に取り付けたフィードスルーと接続する。接続は内側容器に取り付け たフィードスルーにリン青銅製のコネクタコンタクトを取り付け、外側容器に取 り付けたフィードスルーのステンレススチール導体と接触させることで行った。 接続部での電場の集中を避けるためにコネクタ式の接続部分の周囲を銅製の筒で 覆った。. 3. 3. アルゴン純度監視用検出器. 内側容器内の液体アルゴンの液面がグリッド電離箱の電極より上方になってい ること、および液体アルゴンに不純物が混ざって信号量が減っていないことを常 時監視するために、グリッド電離箱の上方に小型の二極電離箱を取り付けた。電 極の一方は校正用アルファ線源の241Amを電着した直径32mmのステンレスス チール円板でこれをカソード電極として使用した。アノード電極は同じく直径 32mmのステンレススチール円板で、カソード電極との距離はスベーサにより 9 2.

(34) ら・. 2.4mmとした。2極検出器の外枠およびアノード電極・カソード電極間のスベー サーは加工の容易な絶練物であるPEEK材[76]より形成した。カソード側は内側 容器に半田付けにより固定した。アノード側は内側容器に取り付けた22ピン気 密性フィードスルー[75]を使用して真空容器外へ接続し、高圧電源装置 (SPELLMAN40kv)および前置増幅器(ORTEC142A)に接続した。前置増幅器出力 は波形整形増幅器(CANBERRA2021)に接続されバイポーラー整形を施した後波 高分析器に接続した。波形整形増幅器のピーク到達時間(peaking. time)はおよそ. 811sとした。. 3. 4. 信号処理回路. アレン混入液体アルゴン電離箱からの信号は図3-5に示す通り前置増幅器に供 給される。前置増幅器は電荷有感型で帰還容量は47pFとした。また減衰時間は 約500μsであった。前置増幅器からの出力は波形整形増幅器(ORTEC450および CLEAR. PULSE4016)に接続された。ORTEC450はピーク到達時間16μsのバイ. ポーラー整形を施している。またCLEAR. PULSE4016はピーク到達時間2711s. のバイポーラ整形を施している。バイポーラ整形とした主な理由はグリッド電離 箱からのマイクロフォニックノイズが非常に大きくユニポーラー整形では分解能 の劣化が見られたからである。波形整形増幅器の出力はCAMAC規格のADCモ ジュール(クリアパルスn08)に接続されその波高値が数値化された。波形測定 の場合には波形整形時定数0.55μsで整形した波形整形増幅器出力をCAMAC規 格のフラッシュADC(FADC)モジュール(林栄精器RPC-081)に入力して測定した。 なおFADCの動作クロックは約30MHzに設定し、実験中周波数カウンタにより 周波数を監視した。 CAMAC系統へのトリガー信号、あるいは波形測定のための スタート信号としてビーム上流にプラスチックシンチレーション検出器を設置し 光電子増倍管で測定した。プラスチックシンチレーター発光減衰時間は数nsで あり、また光電子増倍管での遅れ時間も数十nsであるため今回の実験で使用す るトリガーとしては十分速い。またビームの通過位置を知るために電荷分割型シ リコン位置有感型検出器(PSSD)を設置している。PSSDの各辺からのあわせて4 つの信号は電荷有感型前置増幅器で電圧信号へ変換した後、波形整形増幅器で整 0 3.

(35) ら. 形されCAMACシステムヘ供給される。CAMACのADCモジュールで数値化さ れた後、図3-6に従ってPSSD上の通過位置を計算する[77]。 実験装置の配置は以下の通りである。先ず校正用線源を用いた基礎実験では波 高分析器による波高スベクトル測定とオシロスコープによる波形の観察を行った。 理化学研究所リングサイクロトロンを用いたビーム実験においては図3-7に示す 構成とした。まず加速器ビームラインの終端には厚さ0.25mmのマイラ窓がある。 次に厚さ0.2mmのプラスチックシンチレータが配置される。プラスチックシン チレータの両面には遮光のために厚さ15Flmのアルミ箔が一重に巻かれている。 位置検出用のPSSDは厚さ0.2mmのシリコン検出器で、やはり遮光用に厚さ 1佃mのアルミホイルの窓が設けられている。なおPSSDはチャンネリング効果 による分解能劣化を避けるためにビームラインに対して約10度程度傾けてに設 置される。液体アルゴン検出器はPSSDの背後に設置した。入射ビームは液体ア ルゴン検出器の外側真空層の窓であるアルミ蒸着マイラと内側容器の窓である Havarフォイルを通って液体アルゴンに入射する。ビーム終端から液体アルゴン 検出器のアルミ蒸着マイラ窓までの空気層の厚さは4oArおよび4oCaイオンにつ いての実験では約60cmであり、160および2oNeイオンについての実験では約 45cmであった。. 1 3.

(36) ら. Beam →. Superinsulator. 図3−1 :検出器全体の断面図. 2 3.

(37) ら・. Haviu・. fb11. (Cathode) Fin lattice. ト→皐←1 図3−2 : 内側電離箱の断面図. 33.

(38) ら. ﹁. ﹂. ﹂にレレ. ⋮⋮⋮三⋮⋮⋮⋮\\\︿⋮⋮⋮⋮⋮. ’. いレドレレレレレレレレ. 一I・Sをを1を!・甲一一71一一一−ふ・一−一一一一IIIII一la一︱一手一一yW一−aaal曝曝IWa噛S一一一一一一一一一・IIl11一一ゆ1111“゛“ljllIrllffll°ll一一一・一一ll一一一71t︱tlIIf一d一一一llt一−11一一l11一−一lj−一−一I一. 4. 哨圀剛剛. ゛. ⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂⋮⋮⋮. ⋮. 皿. 。. 研磨前. ドドレレレレにレレドレレレ﹂. \レ\\\レ⋮⋮⋮. ⋮. 34. .5Q 3 1 I0︲0.. ?’じ9Q. MMMM M︰日μμp. ︵︶7︲0`、.︶ ・’U4/`y. `IIry‘∼Ij/””`’1’゛II. フォイルの研磨による表面平坦化. 図3 − 3 : Havar. l 一 一・ 000. 1 1JM 。215 MM IりER HOR LC. 1,1M. I VER. MM. 。25 LC HCR. ‘0.21 RMRX. i14P FIERTH〔l・¶ETER IIR7. M4P PER7HO哩TER IIRT, 〔IBコ. 巷 LT 陥 RZ RMRX. LT:測定する試料の範囲、RA:表面凹凸の平均、. RZ:表面凹凸の最大値から大きい順に10個の平均、. RMAX: 表面凹凸の最大値、VER:横軸(凹凸方向)目盛り、 HOR:縦軸(試料方向)目盛り.

(39) ら. Anode= G】・id. ㎜. ㎜. ㎜. Guard nngs. Cathode. GND. PA:前置増幅器、HV:高電圧電源 図3−4:アノード電極、グリッド電極との接続. 5 3.

(40) ら. SC:シンチレーション検出匯PMT:光電子増倍管、PSSD:位置卯庶型シリコン検出器 C:カソード電甑、G:グリッド電極A:アノード電胤HV:高圧垢11装置PA:電附有 態型前置増陥器、SA:波形勁一巻謳S、PC:パーソナル計算巍GatE ADc:アナログ・ディジタ川a羨器、AI:アルミニューム板、FADc. 図3−5:信号処理回路ブロック図. : ゲート信号発生器 : フラッシュADc. 6 3.

(41) ら・. Y I. P4. P. L. X. L=5.0cm. P3. P2. P.S.D. X一LY一L. 一. (PI+P2)-(P3+P4). 一. PI十P2+P3+P4 一. (P1+P4)-(P2+P3). 一. PI十P2十P3+P4. 図3−6:PSSDによる2次元測定の原理. 7 3.

(42) ’`WII゛’ ̄ ̄””” ̄. 心. 一一. Beam. SC. LArchamber. sc:シンチレーション検出穏、PSSD : 位置有歳lシリコン椀士訟 Mylar : マイラ膜LArdhamlx!r. : 検一路本狐Beam. 図3−7:ビーム実験における装置の配置. : 重イオンピーム. 8 3.

(43) W. 4.実験準備 アレン混入液体アルゴン電離箱の真空排気、アルゴンガスの純化、アレンガス の純化、アルゴンの液化、アレンの混入およびヘリウムガスの導入について述べ る。 1. 4. 真空排気 アレン混入液体アルゴン電離箱の真空排気系を図4-1に示す。真空排気の対象. は検出器内側容器、真空ライン、アレン用吸着純化容器、アルゴン用吸着純化容 器およびヘリウムの純化システムと検出器の内側容器である。 検出器内側容器とそれにつながる真空ラインはアルゴン純化系とともにターボ 分子ポンプにて排気を行った。焼き出し中の温度は検出器内側容器が120℃、真 空ラインが140℃を保持した。温度を一定に保ち、また温度の場所による違いを なるべく少なくするために、検出器内側容器および真空ラインはアルミフォイル で包んだ。焼き出し中の真空度は10-7torr後半であった。検出器内側容器のHavar フォイルは内圧に耐えるためにステンレススチール製の格子で支えているが、真 空排気中は容器外側が大気圧であるためHavarフォイルは容器の内側へ曲げら れることになり支えることが出来ない。そこで検出器内側容器の真空排気に際し ては同時にHavarフォイルの外側を別の排気系で真空排気した。 アレン純化系はアレン純化用多孔質吸着剤(モレキュラーシーブス 4A十5A十15X)を入れたアレン用吸着純化容器と真空排気用のガラス容器、純化 後のアレンを保管するステンレススチール容器、アルゴンガスに対する混入アレ ン量を決定する真空ライン中の計量領域および各部分を接続する真空ラインより 構成される。各部分は液化に先立ち約1週間の間真空焼き出しによる不純物の除 去を行った。真空焼き出し期間中は検出器外側容器は取り外しておいた。焼き出 し中の温度は真空ラインが約140℃、アレン用吸着純化容器が300℃でを保持し た。検出器内側容器と同様にアレン用吸着純化容器および真空ラインはアルミフ ォイルで包んだ。真空排気は油拡散ポンプで行い、真空度は図4-1に記載した電 離真空計(IG)で測定し真空焼き出し中の真空度は10-8torr前半であった。 39.

(44) W. アルゴン純化系はアルゴン純化用多孔質吸着剤(モレキュラーシーブズ3A)、 を入れたアルゴン用吸着純化容器と真空ラインで構成される。アルゴン純化系は 検出器内側容器の真空排気ラインにつながり、検出器内側容器と一緒にターボ分 子ポンプにて排気を行った。焼き出し中の温度はアルゴン用吸着純化容器が 300℃、真空ラインが140℃を保持した。検出器内側容器およびアレン純化系と 同様にアルゴン用吸着純化容器および真空ラインはアルミフォイルで包んだ。He ガスはチタンーバリウムゲッターを使用したガス純化装置[78]を600℃に保ち、 容器内部でヘリウムガスを循環させることで不純物吸着による純化を行った。. 4.2. ガスの純化および液化. (1)アレンの純化 ’V 化. 液. こ先立ちアレンの純化を行う。アレンの純化は以下の手順に従う。. I. ぐ. −1)保管用容器に入っているアレンを液体酸素で冷却する。 1. ぐ. −2)開始15分後、液体酸素で冷却しながらアレンを液体窒素ト. ラップ. 付き油拡散ポンプで5分間排気する。 (1−3)開始25分後、アレンを液体酸素で冷却したガラス容器に移し始める。 (1−4)開始50分後、アレンを移し終えたガラス容器を液体窒素トラップ 付き油拡散ポンプで30秒間排気する。 (1−5)開始53分後、アレンをガラス容器からエタノールにドライアイスを 混ぜた冷却剤を使用して冷却したアレン用吸着純化容器に移し始める。 (1−6)開始1時間10分後、アレンをアレン用吸着純化容器に封じ、(1−5) と同じ冷却剤を用いて低温に保つ。なおドライアイスを定期的に補給 する. `〃 辿_. とにより. アレン用吸着純化容器が常にドライアイスの昇華温. 度近くまで冷却されているよう注意する。 1. ぐ. −7)開始7時間20分後、アレンを(1−6)のアレン用吸着純化容器か ら液体酸素で冷却した保管用容器に移す。 (1−8)アレンを移した保管用容器を油拡散ポンプで5分間排気する。. 40.

(45) W. この後アレンの温度が上がり蒸気圧が大きくなるのを待って、アルゴンガスと の混入操作を行う。. (2)アルゴンガスの純化と液化 アレンの純化と平行してアルゴンガスの純化と液化を進める。アルゴンガスの 純化と液化は同時に行われ以下の手順に従う。. (2−1)アレンの純化開始より2時間15分後にアルゴン純化用のモレキュ ラーシーブズ容器を液体酸素で冷却する。 (2−2)開始2時間45分後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから 30分後)に、当該容器にアルゴンガスを流し込む。 (2−3)開始4時間15分後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから 120分後)に、モレキュラーシーブズ容器を封じる。 (2−4)開始4時間45分後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから 150分後)、モレキュラーシーブズ容器から検出器内側容器に1.6気圧 だけアルゴンガスを詰める。そして検出器内側容器のHavarフォイル 保護のために行っていた真空排気を止め、真空排気ラインを取り外し た後、検出器外側容器を取り付ける。 (2−5)開始6時間30分後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから 255分後)、検出器内側容器および外側容器の両方をそれぞれターボ 分子ポンプで排気する。 (2−6)開始6時間40分後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから 265分後)、検出器外側容器を真空焼き出しする。 (2−7)開始8時間40分後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから 255分後)、検出器外側容器の真空焼き出しを止める。 (2−8)開始9時間後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから275分後)、 アルゴン用吸着純化装置のバルブを開け検出器内側容器にアルゴンガ ス3気圧を詰め、検出器外側容器の冷却用液体アルゴン容器を液体ア ルゴンで満たす。なお液体酸素の使用が可能な場所では、冷却用には より安価な液体酸素を使用した。. 41.

(46) W. (2−9)開始11時間後(アルゴン用吸着純化装置を冷却し始めてから395分 後)、検出器内側容器の圧力が1.5気圧程度まで下がったことで、冷却 されたと判断し、アルゴン用吸着純化装置へ6リットル毎分の速さで アルゴンガスを流し始める。. (3)アレンの混入 上記方法で液化を進め、検出器内側容器の3分の1まで液体アルゴンで満たさ れた時点及び3分の2まで液体アルゴンに満たされた時点をアルゴンガスボンベ に取り付けてある圧力計で判断し、下記手順に従って液体アルゴンにアレンを混 入させる。. (3−1)図4-1にMeasureとして示される、両端をバルブで封じることが出来 て、あらかじめ体積が測られている真空ライン中の計量領域 (110cm3)にアレンガスを約5気圧採る。 (3−2)検出器内側容器のバルブおよびアレン用吸着純化装置のバルブを閉じ て液化を中断する。 (3−3)該当真空ラインのアルゴン側のバルブを開けてアルゴンガスの液化ラ インヘアレンを送り出してガスの状態で混ぜる。80ppmを混入する場 合、2回の合計で1.5気圧分のアレンガスをアルゴンガス側へ送る。 そこで1回目は例えば5気圧から4.3気圧までの0.7気圧分を混ぜる。 (3−4)アレンガスをアルゴン側に送り込んだ後すぐ検出器内側容器のバルブ を開けてアレン・アルゴン混合ガスを検出器内側容器に入れ、その後 アルゴン用吸着純化装置のバルブを開けてアルゴンの液化を再開し、 検出器内側容器の3分の2までアルゴンを液化する。 (3−5)(3−3)と同様にして0.8気圧分を混合する。 (3−6)(3−4)と同様にして検出器内側容器が満杯になるまでアルゴンガ スを液化する。 (3−7)二極電離箱が液体に浸かってから20分間は液化を続け検出器内側容. 器が完全に液体アルゴンで満たされるようにする。二極電離箱は内側. 42.

(47) W爽s゛’ ̄ ̄. W. 容器の上部に取り付けているため、液化途中ではガス雰囲気にある。 信号出力を監視していると二極電離箱の校正用線源が液体に浸かった ところで信号波高値が変化するので液面の到達が確認出来る。. なおアレン混入濃度が10ppmおよび20ppmの場合はアレンガスの混入操作1 回のみで所定量を混入した。. (4)ヘリウムガスの導入 液化終了後検出器内側容器にヘリウムガスを導入する。導入の手順は以下の通 りである。ただし5章で述べる液化条件1「液化量多、ヘリウムなし」および液 化条件2「液化量少、ヘリウムなし」の場合にはこの操作は行っていない. (4−1)液化が終了したら検出器についているバルブを閉め、チタンーバリウ ムゲッターと検出器の間の真空ラインをターボ分子ポンプで排気する。 (4−2)液化終了より数時間後にヘリウムガス4-5気圧を真空ラインに導入す る。 (4−3)検出器の圧力を監視しながら検出器のバルブを開けヘリウムガスを検 出器に入れる。ヘリウムガスを入れる前の検出器圧力は1.3.1.5気圧 であるが、これにヘリウムガスを追加し検出器内側容器の圧力が3.5 気圧になるようにする。 (4−4)数時間から10時間のうちに検出器容器圧力が4.2気圧程度に落ち着く ことを確認する。. 以上の手順に従いアルゴンおよびアレンの純化、液化およびヘリウムガスの導 入を行った。重イオンビームを用いた測定においてはヘリウムガス導入後約30 時間で測定を開始した。. 43.

(48) W. 渦. :vajve. OilM汝Trap. j. 争Eなら白 絹に順 1. 一 ヤ」. ’l ・. □. /. s. -=. 一. 9トロ ー. I.G,. :CompoundG喊e. j −−. −.j − & ¥ z 。 一心’`fDEJ /□. ︲と両両中目口. 言府≒. 1. R.P.. jl R,P. RP:ロータリーポンフいIMP:ターボ分子ポンプDP:油拡散ポンプ LG:電檻輿営祗Shurtz:シュJレツ式真空弛NlG:露出型壇檻自営汁 M.S:吸着紺ヒ洽覗Measuze. : アレン体積汁曇哨戒EM:流馥計. 図4−1 : 真空排気系ブロック図. 44.

(49) -・. W. 5.電子線、アルファ線を用いた実験 重イオンビームを用いた実験に先立って2o7Biからの976kev内部転換電子線 および241Amからの5.486Mevアルファ線を入射して検出器の基礎特性を調べた。 本章ではこれら校正用線源による実験によって得られたアレン混入液体アルゴン 電離箱の基礎特性について記述する。 1. 5. 電子線による動作確認. 2o7Biからの976kev内部転換電子線を照射してグリッド電離箱としての性能を 調べた。検出器の構造は線源をグリッド電離箱のカソード電極の位置に取り付け た他は、6章以降の重イオンビーム照射に使用したものと同じである。グリッド 電離箱からの信号は帰還容量1pFあるいは2pFの電荷有感型前置増幅器で受け、 ピーク到達時間8Flsでバイポーラー波形整形をする波形整形増幅器を通して波高 分析器に入力し、波高スベクトルの測定を行った。 実験によって得られたスベクトルを図5-1に示す。測定時の電場は800V/cmで あった。検出器のマイクロフォニックノイズのため測定と同時に前置増幅器に入 力したテスト信号の広がりは大きく、半値幅で約2200e(eは電気素量)である。 これは液体アルゴン中のエネルギーに換算すると約50kevに相当する。電場を大 きくするとマイクロフォニックノイズの増大のためにテスト信号の広がりはさら に大きくなった。300チャンネル付近の盛り上がりが976kev内部転換電子によ るピークである。グリッド電離箱の体積が48mmx48mmx40mmと比較的大き いため2o7Bi線源から放出されるガンマ線も検出される。そのため976kev内部 転換電子によるピークより低チャンネル側にコンプトン反応によるなだらかな盛 り上がりが続いている。それよりも低チャンネル側、すなわち150チャンネル以 下での計数の増加はノイズによるものである。976kev内部転換電子線に対する 電荷収集率(QノQO)の電場依存性を図5-2に示す。ここでQは測定によって得られ た信号電荷量、砺は内部転換電子線のエネルギー976kevを液体アルゴンのW値 で割った値である。同一のグリッド電離箱を用いて純粋アルゴンとアレンを 80pm混入した液体アルゴンについて電荷収集率を測定した。純粋アルゴンから. 45.

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