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ネットワークベースの 4K 映像キャンパスシステムに関する検討

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論文 ネットワークベースの

4K 映像キャンパスシステムに関する検討

池田 飛鳥  中村 剛志  藤井 哲郎

ディジタルシネマの規格として登場した,フルハイビジョンの 4 倍の解像度である 4K 高精細映像が急速にコモデ ィティ化し始めている.この様な状況の下,本学に於いても 4K 映像機器を導入し,既存の HD 映像ファイルベース システムの 4K 映像化を進めている.本稿では,新たに構築されたネットワークベースの 4K 映像キャンパスシステム について報告する.システムのベースになるネットワークは 1G イーサから 10G イーサに高速化され,4K 撮影スタ ジオ,4K 編集室,4K 映像サーバーがこの高速ネットワークを介して結ばれている.新たに,4K 映像の非圧縮映像を 4Gbps で伝送するプログラムを開発し,スタジオから研究室へのキャンパス内 4K 素材映像伝送を実現した.また,

キャンパス内各講義室のパソコンにおいて 4K 映像を活用するために,4K 映像の各種メディアプレイヤーによる取り 扱いについても解析を行った.これらも併せて報告する.

キーワード:4K 映像,4KTV,キャンパスシステム,非圧縮伝送,MPEG4/AVC

IKEDA Aska

東京都市大学 環境情報学部 情報メディア学科 2013 年度卒業生 NAKAMURA Tsuyosi

東京都市大学 環境情報学部 情報メディア学科 2013 年度卒業生 FUJII Tetsuro

東京都市大学 メディア情報学部 情報システム学科 教授

1 まえがき

本年 1 月に開催された世界最大の国際家電見本市,

2014  International  CES(Consumer  Electronics  Show)において最も注目を集めたのが 4KTV である.

ディジタルシネマの新しい規格として登場した,フルハ イビジョンの 4 倍の解像度である 4K 映像が急速にコモ ディティ化し始めている.即ち,映画館に順次導入され てきた 4K ディジタルシネマが 4KTV 化し始めているの である.既に $999 という 4KTV が Polaroid から登場 している.さらに,SONY から 4K のハンディカムが売 り出されることがアナウンスされている.

4K ディジタル映像の規格は,ハリウッド 6 大スタジ オにより,ディジタルシネマとして SMPTE 及び ISO において国際標準化された.従来の映画に於けるフィル ム上映に代わる方式として世界中の映画館に導入され,

その数は 1 万スクリーンを超えている.これにより臨 場感のある高品質なデジタル映像が映画館で楽しめる ようになってきた[1,2].その活用の場が,映画に限らず,

一般の映像機器に浸透し始めたのである.家庭への普及 が今後急速に進むと期待されている.

本稿では,本学既設のネットワーク型 HD 映像ファ

イルベースシステムの 4K 映像対応への拡張について報 告する.平成 24 年度より,ベースとなるネットワーク を 10G イーサネットに高速化する為,Vyatta によるソ フトウェアベースの 10G ルータを用いて検証を進めて きた.25 年度は,10G スイッチをハードウェアベース 型の LAN スイッチに変更し,さらなる高速化を図った.

これに併せて,映像編集用パソコン及びファイル蓄積用 サーバーにも 10G イーサを導入した.

これらの準備が整ったうえで,高品質な 4K 非圧縮映像 を IP ネットワークによりスタジオから研究室に 10G イー サネットを介して伝送するプログラムの開発を進め,スタ ジオから研究室へのキャンパス内 4K 素材映像の非圧縮伝 送を可能とした.さらに,4K 映像のキャンパス内での活 用をめざし,汎用パソコン上での活用方法に焦点をあて,

様々なメディアプレイヤーによる 4K 映像の再生可能性を 評価した.その復号処理量の解析結果も併せて報告する.

2 4K 映像ファイルベースシステムの構築

本学横浜キャンパス情報基盤センター内には,HD 映 像ベースのファイルベースシステムが構築され,運用さ れてきた[3].既に,磁気テープは存在せず,磁気ディ スクに蓄積されたファイルをベースに HD 映像が編集・

制作されている.この HD 映像ベースを 4K 映像ベース に更新し,図 1 に示す様な 4K 映像ファイルベースシス テムの実現を目指す.この際,4K 映像機材の導入と同 時に,ネットワークの高速化(10G イーサの導入)が 重要なキーポイントとなる.この 2 点を中心に 4K 映像 化を進めてきた経緯と結果を本節で報告する.

(2)

83 2.1 4K 映像撮影機材の導入

情報基盤センター 2 階の情報メディアルーム内にス タジオが設置されており,このスタジオにて撮影を行 う.当初はバーチャルスタジオとして創設されたが,

SD 機材の陳腐化と共に,HD 機材に入れ替え,ファイ ルベースシステムの収録場所として利用されてきた[3]. 今 回,4K 映 像 化 の 為 に, 新 た に 4K カ メ ラ で あ る SONY  PXW-Z100 を導入した.このカメラは,レンズ 一体型業務用ハンディカムコーダーで,4K(4096 2160 画素)60p 撮影に対応している.広く,4K 映像 の入門機として用いられているカメラである.基本的 に,メモリーベースのビデオカメラであり,収録は XQD メモリーカードにファイル形式にて行う.フレー ムレートは 24p,30p,60p が選択可能である.録画方 式として,XAVC フォーマットを採用しており,4K

(4096 2160 画素)60p の映像を 4:2:210bit 600Mbps にて記録する.HD 解像度も最高 223Mbps で記録でき る.用いる XQD メモリーカードは QD-S64E であり,

64GByte の容量である.この容量 64GByte の QD-S64 メモリーカードに 3840 * 2160,60p,XAVC フォー マットで 4K 映像を約 10 分間録画できる.このカメラ からは HDMI  v2.0 準拠の出力が具備されている.この 出力を録画機材に直接取り込むことにより,純粋な 4K カメラとしても利用できる.この 4K 映像の確認の為に,

モニターとして BRAVIA  KD-55X8500A も新規導入さ れた.4K 映像を 60p で表示できるモニターである.

4K 映像のビデオ信号記録の為に,放送局仕様の SSD

(Solid  State  Drive) ビ デ オ レ コ ー ダ BlackMagic  Design 社製 HypeDeck  Studi  Pro もスタジオに導入し た.このビデオレコーダは,3840 2160 画素,30P 及び 24P の 4K 映像を非圧縮映像,Apple  ProRes  422  QuickTime,  Avid  DNxHD  MXF 等の多数のフォーマッ トで生収録できる.しかも,この 4K 映像は SSD に記 録され,ファイルとして取り出すことができる.複数個 の SSD を交換しながら収録した場合,録画時間の制約 が無くなるという優れものである.収録特に非圧縮とい う XAVC よりより高品質なモードも用意されている.

インジェクション用のパソコンとは Thunderbolt をイ ンタフェースとして接続する.なお,HD 映像に関して も,同様に高品質なモードで収録できる.

2.2 4K 映像編集装置

4K 映像の編集を効率的に行う為に,4K モニターを 備えた映像編集用の 4K デスクトップパソコンを新規に 導入した.編集した結果を即座に 4K 映像で確認でき,

デスクトップだけで完結した 4K 映像環境の実現を目指 した構成である.4K デスクトップパソコンの CPU に は Core i7-4770 を用いる.4 Core でクロック周波数は 3.4Ghz,ターボブースト時には 3.9GHz で動作する.

グラフィックボードには ATI-Radeon  HD  7850 を組み 込んだ.このグラフィックボードは 1024 基のストリー ム・プロセッサーを備え,2.56  TFLOPS の単精度演算 能力を有する.出力ポートとして DisplayPort  1.2 を備 えており,Duallink モードをサポートしている.これ により,4096 2160 画素のモニターをフレームレー ト 60Hz で接続可能である.詳しい仕様を表 1 に示し ておく.

さらに,4K デスクトップパソコンの要となる 4K モ ニ タ ー と し て, シ ャ ー プ 製 4K 液 晶 デ ィ ス プ レ イ PN-T321 を 導 入 し た.32 イ ン チ の サ イ ズ で 解 像 度 3840 2160 画素を実現している.IGZO 技術により,

薄膜トランジスタの小型化と開口率のアップを実現し ており,高精細でありながら,明るいのが特徴である.

さらに本体の厚みも 35mm である.映像信号用インタ フェースとして DisplayPort を 1 個,HDMI を 2 個備 えている.10bit 表示まで可能である.

編集用ソフトとしては,SONY 製 Vegas  Pro  12 を用 いている.多くの編集ソフトの中で,いち早く 4K 映像

ダークアーカイブ

(HDD)

ライトアーカイブ

(HDD)

NW配信

インジェスト PC

BD/DVD作成 㻗㻮᫆ാ཭㘋

動画共有サイト

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閲覧 編集PC

講義素材

図 1 4K 映像ファイルベースシステムの基本構成

表 1 編集用 4K デスクトップパソコンの仕様 26 0LFURVRIW:LQGRZV3URIHVVLRQDO

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(3)

のネイティブ編集を実現したソフトである.64 ビット のオペレーティング・システムで動作し,4K 映像のみ ならずステレオスコピック 3D の 2K 映像も編集できる 優れものである.この他にも,補助的な 4K 映像編集用 ツールとして CyberLink 社の PowerDirector  12  Ultra 及び各種エンコーダ用ツールとして TMPGEnc  Video  Mastering Works 5 も組み込んである.

2.3 10G イーサネットの導入

4K カメラ PXW-Z100 で録画された素材映像は,10 分で 45GByte に達する.また,非圧縮の 4K30p 素材映 像のビットレートは最大 6Gbps に達する.この様な大 容量の映像データを効率的に扱う為には,10G イーサ ネットの導入が不可欠である.この為に,平成 24 年度 より Vyatta によるソフトウェアベースの 10G ルータの 導入を進めた.25 年度はハードウェアベースの 10G  LAN スイッチである NetGear 社製 XS708E を新規に 3 台導入し,情報メディアルーム,藤井研究室,学生室の 接続をさらに高速化した.当然,編集用パソコン及びフ ァイル蓄積用サーバーのネットワーク・インタフェー ス・ボードも全て 10G イーサボードに交換した.なお,

HD 映像用ファイルベースシステムを構築したときか ら,部屋を結ぶ配線は先行的に CAT7 の 10G 用イーサ ケーブルを敷設しており,安定な 10G イーサネットの 通信が保証されている.ギガビットイーサから 10G イ ーサネットへの変更は非常にスムーズに行われた.な お,4K 映像蓄積サーバーとして HP  Proliant  ML110  G7 を用意し,Ubuntu server 12.04 及び samba をイン ストールした.

10G イーサネットのもう一つの利用方法として,カ メラで撮影したままの 4K 素材映像の非圧縮での局内伝 送がある.一般的にスタジオや放送局では,HD 映像の 信号を局内伝送するにあたり,HD-SDI 規格に基づく同 軸ケーブルを用いて行っている.ところが 4K 映像の場 合には,同規格を用いて配線すると同軸ケーブルが並行 に 4 本必要となり,物理的な配線が非常に厄介となる.

これを 10G イーサネットで行えると,UTP ケーブル一 本で可能とになり,非常に配線が簡単になる.現在,

HD 以上の映像のイーサネットを用いた伝送・配線が標 準化の会議の場でも検討されている.本学でも,スタジ オで撮影した映像素材を研究室等で確認したいという 要求もあり,10G イーサを用いたキャンパス内の非圧 縮伝送を検討しておく必要がある.

3 非圧縮映像伝送システムの開発

イーサネット技術の発展により,10Gbps での高速デ ータ伝送が汎用パソコンで可能となってきた.同時に,

安価なパソコン用 4K 映像入出力ボードの登場と,CPU 

の高性能化により高品質 4K 映像を汎用パソコンにおい ても比較的簡単に取り扱えるようになってきた.即ち,

汎用パソコンによる非圧縮 4K 映像の伝送がソフトウェ アベースで実現できる可能性が高まってきた.本節で は,10G イーサネットを用いたキャンパス内伝送を実 現する為に,非圧縮 4K 映像の IP 伝送を実現するシス テムの開発を行った結果を報告する.

3.1 基本設計

2 台の汎用パソコンに BlackMagic  Design(BMD)

社製 4K 映像ボード DeckLink 4K Extreme 及び Intel 社 製 10G イーサネットボード E10G41AT2 を組み込み,

ソフトウェアベースの非圧縮 4K 映像伝送システムを開 発する.2 台のパソコンは,情報メディアルームのスタ ジオ内と藤井研究室に設置する.その間は約 20m 以上 離れているが,10G イーサネットでネットワーク接続 されている.用いたパソコンの仕様を表 2 に示す.

4K 映像の撮影には前述の 4K カメラ PXW-  Z100 を 用いた.同機より,4K 映像が HDMI により出力される.

これを DeckLink  4K  Extreme ボードにより取り込む.

映像信号の仕様は,画像サイズ 3840 2160 画素,プ ログレッシブモード,4:2:2 モード,フレームレート 29.97Hz である.残念ながら,DeckLink  4K  Extreme ではまだフレームレート 60Hz がサポートされていな い.送信側 PC において DeckLink  4K  Extreme ボード によりキャプチャーされた信号は,10G イーサネット を介して受信側 PC に伝送される.伝送される映像デー タは 1 フレームあたり,約 16Mbytes となる.伝送さ れた映像データは受信側 PC の主メモリに一度バッファ リングされ,DeckLink  4K  Extreme ボードにて出力さ れる.4K 映像ビデオフレームとして再構成した後,シ ャープ社製 4K モニター PN-K321 に HDMI にて出力し,

4K 映像を表示する.

3.2 プログラム開発

伝送する際に用いる通信プロトコルは TCP を選定し た.TCP は UDP と比べ,通信速度は劣るものの,信頼

表 2 汎用パソコンの仕様 26 8EXQWXELW

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(4)

性は高い.今回,パケット損失無く,安定に連続的に通

信 を 行 う た め に TCP を 用 い る. 開 発 環 境 は Linux  Ubuntu12.04 を使用する.BMD 社の入出力ボードを制 御するための開発キット Deck-LinkSDK 9.8 が同社から 提供されており,これを用いて映像制御を行うプログラ ムを開発する.

開発したプログラムのフローチャートを図 2 に示す.

プログラムは C 及び C++ を用いて開発した.プログラ ムの規模は約 1700 行である.開発は一人で約 4 か月を 要した.同図に示されているように,送信側では映像信 号が 4K カメラから DeckLink 4K Extreme に入力され,

1 フレームごとにキャプチャーされる.キャプチャーさ れた映像データを 1 フレームごとに PC の主メモリに取 り込む.取り込んだ 4K 映像データは socket を用いて,

連続的に 10G イーサネットに出力する.

映像データは 10G イーサネットを介して TCP プロト コルにより受信側 PC に送信される.受信側 PC は,受 信したデータに欠落がないか送信サイズと受信サイズ を比較し,チェックを行う.問題がなければ受信データ を主メモリに取り込み,フレーム番号を付与してビデオ フレームとして再構成し,DeckLink  4K  Extreme に映 像データを転送する.これにより,4K 映像信号がボー ドから出力される.なお,プログラムを実行する前に,

事前に送信側の取り込み信号方式と,受信側の出力信号 方式を設定する.その際,ファイル化や 3D モードなど のオプション設定可能となっている.

3.3 伝送システムの評価

開発した 4K 非圧縮映像伝送システムにおいて,受信 映像のフレームレート,伝送の遅延時間及び速度を測定 し,プログラムが正しく動作している事を検証する.測 定手法を以下に示す.

【遅延時間の測定】

ストップウォッチを用意し,受信側のモニターとスト ップウォッチの両方を高速なシャッタースピードでデ

ジタルカメラにて撮影する.ストップウォッチの秒数を 読み取り,差分を計算する.5 回の平均値をとり算出す る.

【フレームレートの測定】

1 フレームごとに数字が増えていくビデオシークエン スを作成し,Exilim  EX-FH20 カメラを 210fps ハイス ピードモードで撮影し,解析する.

【伝送速度の測定】

計測用ソフト dstat を用いて,30 秒毎のネットワー ク伝送量を計測し,平均化したものを最終的な伝送速度 値とする.

測定結果を表 3 に示す.同表より,フレームレート,

Sender Receiver

Device set

Open socket

Capture

End

Device set

Open socket

Receive

End output send

TCP/IP

Rock timer

図 2 フローチャート

図 3A   情報メディアルーム内のスタジオで 4K 映像撮 影.カメラの映像を汎用 PC に入力し,10G イーサネットにて送信.

図 3B   研究室に 10G イーサネットにより伝送されて きた 4K 映像.32 インチの 4K 液晶ディスプ レイ上に表示されている.

表 3 HD 及び 4K 映像信号における測定結果

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(5)

伝送速度共に理論値であり,問題なく出力できたといえ る.遅延時間についても,3 フレーム弱の遅延と,非常 に低遅延であることがわかる.映像伝送実験の様子を図 3A と 3B に示しておく.同図より明らかなように,情 報メディアルーム内のスタジオで撮影した 4K 映像が 10G イーサネットを介して藤井研究室まで無事に伝送 できていることが確認できる.

4 汎用パソコンによる 4K 映像利用の検証

今後,4K 映像を用いた教育素材をキャンパス内にお いて活用していくうえで,最も期待されるプラットフォ ームは各講義室に設置されたパソコンと思われる.即 ち,汎用パソコンにおける 4K 映像の利用が鍵になる.

また,4K 映像に関して,最先端の映像装置では 1 秒間 に 60 フレームの 4K 映像(4K60p)を録画したり再生 することが可能となりつつある.本節では,最も情報量 が多くなる 4K60p 映像を汎用パソコンで活用すること が可能かどうか検証する.さらに,汎用パソコンに於け る 4K60p 映像の再生品質の評価とその処理量の解析を 行う.

汎用パソコン上でメディアプレイヤー・ソフトを用い て再生する場合,映像の解像度とビットレート,符号化 方式(映像圧縮コーデック),フレームレートの設定に より大きく映像品質が変わる.さらに,映像の復号化処 理を行うメディアプレイヤー毎に,再生品質が大きく異 なっていることも知られている.本節では,汎用パソコ ンによる 4K 映像の再生を想定し,汎用パソコン上で利 用される様々なメディアプレイヤーと映像ビットレー ト毎の 4K60p 映像再生能力の評価を行う.

今回の検証には,表 1 に仕様が示された編集用 4K デ スクトップパソコンを用いた.CPU は Core i7-4770 で あり,一般の家庭に普及される汎用 PC の中では,最高 スペックであろう.評価素材映像は前述の 4K 映像カメ ラ PXW-Z100 を 用 い て 撮 影 し た. モ ー ド は 3840 2160 画 素, フ レ ー ム レ ー ト は 59.97fps, 録 画 に は XAVC 方式を用い,映像の圧縮レートは 600Mbps であ る.非常に高品質な 4K60p のテスト用映像が撮影でき た.評価用に撮影した素材は,「池に浮かぶ鴨」,「交差 点の風景」,「スカイツリー遠景」の 3 種類である.さ らに,編集用ソフト PowerDirector12 を用いて 4K60p にて編集し,MPEG4/AVC 方式で符号化を行い,評価 用映像を作成した.評価映像の仕様を表 4 に示す.FTTH を用いた配信を想定し,伝送速度を 25,50,100Mbps と設定をし,エンコードを行った.このようにして作成 された 3 種類のテスト映像を用いて,メディアプレイ ヤーでの評価を行う.なお,汎用パソコンにおける映像 ファイルの読み込み負荷による再生品質の劣化を防ぐ ため,高速な読み込みが可能な RAM ディスク上にファ

イルを置く.今回は,Buffalo 社の RamDisk ソフトウ ェアを使用し,RAM ストレージ上の映像ファイルを置 き,映像を再生して,検証を行った.

9 種類のメディアプレイヤーにて検証を行った結果を 表 5 に示す.6 種類のメディアプレイヤーで再生を確認 した中で,Media Player Classic のみが全てのビットレ

表 4 評価用 4K60p 映像の仕様

表 5 各種メディアプレイヤーでの検証結果

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25 Mbps

50 Mbps

100 Mbps

DivX Plus Player ې ې ڸ

SM Player ڸ ڸ ڸ

Media Player Classic ې ې ې

GOM Player ڸ ڸ ڷ

VLC Media Player ڸ ڸ ڸ

S Player ڸ ڸ ڸ

QuickTime Player ™ ™ ™

Real Player ™ ™ ™

Windows Media Player ™ ™ ™

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図 4   CPU-GPU の処理量の評価結果.50Mbps でエ ンコードした 4K60p 映像の再生時の各コア毎 の処理量の様子を示す.

(6)

ートに於いて 4K60p 映像のスムーズな再生を確認でき

た.SM  Player,GOM  Player,S  player は,本来の検 証 映 像 の 再 生 時 間 よ り も ス ロ ー で 再 生 さ れ た.

DivXPlus は,100Mbps 以外はスムーズに再生できるが,

100Mbps では,コマ落ちが発生した.残念ながら,

QuickTimePlayer や,RealPlayer,Windows  Media  Player に於いては,全てのビットレートにおいて再生 ができなかった.

さらに,4K60p 映像の再生品質の優れていた Media  Player Classic に関して,再生時の CPU と GPU の使用 率を 2 つのソフトを使用して計測し,その処理量の評 価 を 行 っ た.CPU の 使 用 率 を 測 定 す る に は,Core  Temp を使用し,GPU の使用率の測定には GPU-Z を使 用した.この 2 つのソフトで得られた結果のデータを 同じ時刻から同期させ 1 秒間隔で解析した結果を図 4 に示す.同図は,50Mbps に圧縮した 4K60p 映像を Media Player Classic にて再生した結果である.この場 合,CPU の使用率の最大が約 50%であった.同様な評 価を 100Mbps に圧縮した評価映像に対して行った場合 でも,最大値は 65%であった.同図より明らかに,4K 映像の再生が殆ど CPU に大きな負荷をかけずに実行で きていることが理解できる.4K60p の映像でも,殆ど 問題無く汎用パソコンで再生できることが確認できた.

5 むすび

新たにネットワークを活用した 4K 映像ファイルベー スシステムを構築した.システムのベースになる IP ネ ットワークは 1G イーサから 10G イーサに高速化され,

4K 撮影スタジオ,4K 編集室,4K 映像サーバーがこの 高速ネットワークを介して結合されている.本学におい ても,4K 映像を今後活用する基盤が整ったといえる.

また,4K 素材映像の非圧縮伝送を 10G イーサネットを 用いて実現するプログラムを新たに開発した.このシス テムを用いることにより,スタジオから研究室へのキャ ンパス内 4K 素材伝送を実現した.こえにより,汎用パ ソコンを用いて,ソフトウェアベースで 4K 映像を非圧 縮にて約 4Gbps で伝送できることが示された.さらに,

4K 映像の汎用パソコンによる再生の品質評価を様々な メ デ ィ ア プ レ イ ヤ ー に 関 し て 行 い,Media  Player  Classic を用いることにより,殆ど問題無く 4K 映像を 汎用パソコン上で活用できることを明らかにした.この 様に 4K 映像キャンパスシステムが実現され,今後,本 学において 4K 映像が活用されていくことを期待する.

参考文献

[1]  小野定康,藤井哲郎,藤井竜也「超高精細ディジ タルシネマ」電子情報通信学会,基礎・境界ソサ イエティ機関誌,Vol.3,No.2,pp.1-24,2009

年 10 月

[2]  藤井竜也,藤井哲郎,小野定康,白川千洋,白井 大 介「 デ ィ ジ タ ル シ ネ マ 劇 場 へ の ラ イ ブ 配 信

(ODS)技術」電子情報通信学会,基礎・境界ソ サ イ エ テ ィ 機 関 誌,Vol.5,No.1,pp.  80-89,

2011 年

[3]  成澤昌輝,藤井哲郎「ネットワーク型 HD 映像フ ァイルベースシステムの構築」東京都市大学環境 情報学部,情報メディアセンタージャーナル,第 12 号,pp.74-81,2011 年 3 月

[4]  中庭諒,藤井哲郎「4K 超高精細映像の配信技法 に関する検討」東京都市大学環境情報学部,情報 メディアセンタージャーナル,第 13 号,pp.33- 38,2012 年 4 月

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Michiru TSUKADA 和文要約 本研究では,子どもの情動の調整を<調整する-される>という関係のありようと して検討した。出産前後に里帰りをして第一子を子育て中の母親と乳児,祖母を対象 に,三者の日常生活の場に筆者が出向いて関与観察を行い,そこでの体験をもとにし たエピソード記述を分析対象にした。分析は,観察場面から印象に残った出来事を抽

サロン参加者を対象とした研究では,サロンのニーズや 意義,心身への影響,生活の質や価値観,介護予防につい ての報告が主だって見られた。 支援団体を対象とした研究では,サロンを支援するボラ ンティアに関する検討が見られた。特にサロンを支援する 医療福祉の専門職の役割や,行政との連携,また看護学部 生や社会福祉学部生における学びに関して検討されてい た。

07 S 抑える道上:.うしろから金石年宏: 1断片直前GT300 車両 2L1 冒頭の「さ」と同時GT500 車両 3L3 冒頭の「こ」と同時 図2 断片2における発話と映像の関係 映像が GT300 から GT500 に切り替わったのに対して,アナウンサーS はまず「さて」と映像に注意を促し,映し出された 車両名をアナウンスしている01,02

270-272)がショットと主題(「家庭の崩壊,この 世の無常,この人生の幻滅」)との密接な関連を 指摘しているが,映画特有の「文法」を知ること は,作品理解にとって重要なものである。田中・ 黒橋(2018 : 158-185)は,伝えたい映像の情報 を理解しやすい形で表現するための「映像文法」 として,場の情報を知らせるための「エスタブリッ

のものが3件9,14,24であった。 量的研究では前後比較を実施しているものが3件 7,16,19、比較する対照が設定されているものが3件18,19,22、 ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial、以 下RCT)が行われていたものが1件19、因子分析を実施 したものが1件17であった。