ヒイラギを飾ろう !!
12 月になりました。日に日に寒さが増し、日も短くなっていきますね。しかし、それとは裏腹に町はにわかに 活気づく季節になります。そう、クリスマスですね。町には煌びやかなイルミネーションが輝き、街角にはクリス マスツリー、家の軒先にはクリスマスリースが飾られています。そんな輝かしい季節の一方で、今もまさに様々な 不安や悩みを抱えている人も多くいらっしゃいます。ただ、クリスマスとは、まさにそのような不安の中に悩む 人々のためにこそあるのです。
みなさんは「ヒイラギ飾ろう」というクリスマスの民謡 をご存知でしょうか。とても楽しげにクリスマスの素朴な 楽しさを歌った民謡ですが、なぜ「ヒイラギ」をクリスマ スに飾るのかは恐らく知る人が少ない点であると思います。
日本でもクリスマスリースやツリーの飾りに用いられる
「ヒイラギ」 。実はこのヒイラギの飾りには、人々が込めた
多くの願いがありました。考えてみると、ヒイラギをはじめ松や竹、ユズリハなど、冬の季節に常緑樹を飾る文化 は多くありますね。ヒイラギにはどのような願いが込められているのでしょう。
クリスマスに用いられるヒイラギは「セイヨウヒイラギ」と呼ばれ、真っ赤な実をつける事が特徴です。古来よ りケルト文化の中では女性の生命と血を象徴したものとして用いられ、冬でも枯れないとげとげとした葉は魔除 けとしても用いられてきました。その後キリスト教の祝日であるクリスマスに用いられるようになり、とげとげし た葉はキリストが処刑された時に身につけていた茨の冠を、赤い実は十字架で流された血を象徴するものとされ ました。つまり、ヒイラギが示すのはキリストの受難、人々の罪のために十字架で処刑された救い主イエスの事な のです。
発 行 : 「理系大好き」 プロジェクト 発行事務 : 理数強化プロジェクト委員会 発 行 日 : 2021 年12 月15日 第 11 号
…今回は『ひいらぎと門松』の話です。
学校法人 啓明学園
クリスマスの楽しみといえば、プレゼント交換やクリスマスのごちそう、クリスマスツリーを飾り付ける といったさまざまなイベント。キリスト教由来のイベントもあれば、そうではないイベントもあります。
代表的なクリスマスの楽しみについてご紹介します。
クリスマスツリーは、冬至のお祭りの一環として、寒さに強い樫の木を永遠の象徴としていましたが、
キリスト教の宣教師が、樫の木の代わりにモミの木を広めたのではないか、と言われています。モミ の木をクリスマスにツリーとして飾るようになったのは 15 世紀頃の説が一般的なようです。オーナ メントやイルミネーション装飾は、アメリカから流行していったものです。
クリスマスイベントの由来
クリスマスの代名詞的存在のお花といえばポインセチア。ポインセチアはメキシコ原産ですが、17 世紀に同地で布教をしていたフランシスコ修道会のある修道士が、ポインセチアを見てベツレヘ ム(キリスト生誕地)の星を想像し、ポインセチアがクリスマスフラワーに位置づけられるようになりま した。ポインセチアの色についても、赤と緑、そして樹液が白であるポインセチアは、クリスマスカ ラーを兼ね備えています。クリスマスカラーとは赤・緑・白。とりわけ赤はキリストに関わる色であり、
「寛大」「愛」を象徴する宗教的にも意味深い色です。
ポインセチアがクリスマスフラワーになった由来
現在のようにツリーにクリスマスの装飾を施すようになったのは、ルネサンス期にあたる 15 世紀ドイツからという説が一般的で す。現在のドイツ南部に位置するフライブルグで、救貧院に飾られたモミの木が最初のクリスマスツリーではないかと言われてい ます。町のパン職人がフルーツやナッツ、焼き菓子をその木に飾り、人々の心を楽しませました。
クリスマスツリーの由来
ここで 1 つの疑問が湧きます。なぜキリストの降誕を祝うのにキリストの受難を示すものを飾るのか。これでは、門松などの「め でたい」飾りとは対照的に感じますよね。それには理由があります。イエス・キリストが生まれた当時、人々は決して幸せに満ち た生活を送っているわけではありませんでした。当時のユダヤはローマ帝国に支配され、帝国によって自治を認められたヘロ デ王家によって重税と圧政に苦しめられていたのです。そんな中、人々が苦難からの救いを願い、祈り求めたのが「救い主」
(メシア)だったのです。そして、その救いは大部分の人々が想像したような華々しいものではなく、十字架によって処刑される という受難と痛みの中にこそ実現したのでした。ヒイラギは、まさに最も夜が長く、闇が濃くなる季節において、真っ赤な実をつ け、生命に満ちた葉を茂らせます。人々はその姿に、痛みと苦難の中に希望を灯すイエス・キリストの姿を見たのです。ヒイラギ が飾られるのは、そのような「暗い中での光」という人々の希望と願いの象徴なのですね。
このクリスマスの季節、輝くライト、クリスマスツリーの中に自分の居場所を見つけることが出来ない気持ちの人も居ます。しか し、ヒイラギに込められた願いが示すように、そのような人のためにこそクリスマスの恵みはあるのですね。苦難や不安の中にこ そ、ほのかに灯る希望を見いだす事が出来る。そんな願いがヒイラギには込められているのです。人が込める願いには様々な 種類があります。ヒイラギや松、など様々な植物を通して人々は心と願いを形にしてきました。その 1 つ、ヒイラギに込められた 願いは、心に大きな不安を持つ人にこそ大切にされてきた願いだったのですね。
街角でクリスマスリースをご覧になった際には、そのとげとげした葉に込められた願いに心を留めてみてくだされば幸いです。
この「さいえんす通信」をお読みの皆様にクリスマスの恵みが豊かにありますように。メリークリスマス。 (聖書科・加藤知祈)
※園児や初等低学年では、読み解けないことが多数あります。保護者の方が読み聞かせをしたり、お子様がわかるよう にお話していただく、などのご協力をしていただけるとありがたいです。
その後 16 世紀に入り、宗教改革で高名なプロテスタントのマルティン・ルターが、ある星の夜に常緑樹の枝の間から見える星空 の美しさに感銘を受け、彼の指揮のもと装飾を施したツリーを教会に設置したという説もあります。ルターは星を表現するためにロ ウソクをデコレーションに用い、このことがツリーをきらきらと飾るイルミネーションの由来となったようです。このツリーを飾りつける 習慣は、さらにアメリカやイギリスへと広まっていき、やがてクリスマスの風物詩として世界に定着していきました。
一方で、門松などの正月飾りは、「歳神様」の「依り代」として、年のはじめに福をお迎えするという意味合いがあるといわれます。
どちらかというととてもポジティブな意味合いのように思いますね。
現在門松としてよく知られる形のものは、竹が目立つためになんとなくメインは竹のような気がします。現に私も、「門松」というも のの「どっちかというと竹なのでは?」と長い間思っていま
した。頭に思い浮かべた時にも松より竹のイメージが強く 残るのは私だけでしょうか?もちろん、竹も縁起物で意味 はありますが、主役はどれかというと「門松」という名前が 示すとおり、上記のように松なのです。松が添え物のよう に見えていましたが、門松の由来からすると竹の方があと から添えられたものと言えます。
門松にはなぜ松や竹を使うの?
玄関前や門の前に対におかれる門松は、とても縁起の いい正月飾りです。
基本の松と竹に花が飾られたものや、派手なものだと扇 や金色に着色された松ぼっくりなどが飾られたものも見か けます。集合住宅など、玄関におくことができない家庭向 けや若い人向けにフラワーアレンジメントの小さい門松も 販売されていますね。
最近では、無理をして大きな門松をおかなくてもお正月 気分を手軽に味わえるので、アレンジメントの方を買って しまいます。
よく見る門松と言えば、「松・竹・梅」の3つを使ったものですが、その素材にもひとつひと つ意味があります。門松がまるごと縁起のいいものとなっているのです。
飾りとして南天や千両、万両といった縁起のよい色の、赤い実のついた植物も梅と同様 によく用いられます。千両と万両は漢字からして縁起がいいですし、南天は「難が転ずる」
という意味合いがあります。
門松の由来
関西風の門松 関東風の門松