高校入試模擬テスト 第2回 1 / 2
一⑶次の文の始めの「その安易な自己完結」。「自
己の思い通りに振る舞っている」だけで、あげ
くに「衰滅してしまう」のだから安易と言える。
⑷3~2つ前の段落の内容を述べてもいいが、
ここで「実に巧妙で粋 いきなものだ」と筆者が言
っているのは、むしろ直前の段落の内容。詩
でいうと第一連よりむしろ第二連。「このよう
に作った配慮」のおかげで、「他者にたいして、
一々、礼を言わなくてもいい。恩に着せたり、
また、恩に着せられたりということがありま
せん」。これを「巧妙で粋」だと言っている。
詩の 中の「互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず」「無関心でいられる間柄」などを
用いると短くまとめられる。
⑸「私は今日、どこかの誰かが実るための虻 あぶだ
ったかな」は、「想像する」内容を具体的に示
している部分なので、「
」あ
る い は ( ) でく
くって考える。「私は」「虻だったかな」は、
その中での主語と述語。次の「と
( =い
わゆる
引用の「と」
) 」は
格助詞で、付属語なので、
この文節にふくまれる。
⑹「読み手に疑問を投げかけるかたち」とは、
第2連最後の「そのように世界がゆるやか
に構成されているのはなぜ?」のこと。こ
のかたちによって、「世界をこのように作った
配慮は、実に巧妙で粋なものだと私はつくづ
く思います」という作者の感嘆の気持ちが表
現されている。⑷解説も参照のこと。 二⑴言葉を濁す=はっきり言わないで、あいま
いに言う。
言葉を濁したのは、新吉が売れ残りの品を
渡すつもりだとわかったので、その杮 こけら鮨 ずしが傷
んでいないかが心配になったが、知り合いの
新吉にはっきりとは言いにくかったから。熱
心な鮨職人で味の良い杮鮨を作るために努力
を重ねている新吉は、当然品物が傷んでいな
いかにも気を遣っている。「相手の顔つきから、
なにが言いたいのかを新吉はすぐに察した」。
そして鮨は大丈夫だとうけおい、新 しん兵 べ衛 えを安 心させるために手早く折詰 おりづめの一つを開くと、
食べやすい大きさに切って新兵衛と共の女中
に味見させた。
⑵見栄=見た目の姿を意識して、実際以上に
よく見せようとする態度。
売切れ札が揺れているが、実際には売れ残
った二十折りの山があった。
⑶
「熟
なれると、あんな味になるのか。新兵衛た
ちと口にした鮨の美味 うまさを、新吉は思い返し
た」「ことによると、新しい美味さと出会えた
のかもしれねえ……。鮨の仕上げを、明日か
ら一 いっ刻 とき
( 二時
間
) ばかり早め
てみようと、新吉
はあれこれ段取りを思い描いた。晴れた日と
雨降りとでは、熟れ方が違う。春夏秋冬、季
節ごとに熟れ方が違う。この工夫をしっかり
やれば、いままでにない杮鮨の美味さがでる
かも しれ な い
」。
こ う 考 え て 新 吉 は 気持 ち が
「昂 たかぶった」。
⑷
「会話
の様子を描いた場面」は「店先に出る
と、新兵衛たちが亀 かめ久 ひさ橋 ばしを渡り終わるまで見
送った」まで。その後は「内面を描いた場面」。
前半部では、新吉は商売熱心だが、目先の利
益にとらわれることなく、客のことを考えた
超
ナ ビ
スー パ ー
「知りもせず知らされもせず」の部分
をそのまま書いたら制限字数を出てしま
うの で
、 ここを
「 知 ら ず
」 とま と め る。
「互いに」があるので、こうしてもそれ
ほど意味は変わらない。 記述問題の満点解答ポイント
高校入試模擬テスト 第2回 2 / 2
まっとうな仕事、きれいな商売を心がけてい
ることがうかがえる。代金のこともはっきり
決めないで、新兵衛を信頼して十六折りの折
詰を差し出し、新吉の考えや心意気を感じた
新兵衛の方も、「余計な遠慮は口にせず、十六
折りの杮鮨を女中と手分けして抱え持った」。
また、傍線部①は、むしろこういう事を自分か
ら言ってしまう
( 本当の見
栄っ張りなら絶対に
言わない
) 新吉の
率直さ、人なつっこさ、愛敬 あいきょう
などを感じさせる。後半部で際立っているのは、
仕事に打ち込む新吉の情熱。もちろんいいもの
を作れば売れるしもうかるという計算がある
のだろうが、この気持ちの昂ぶりには、美味し
いものを作りたいという職人としての無償の
情熱のようなものさえ感じられる。
三⑴
「水
なしの池」について、どうしてこのよう
な名前がついているのだろうかと尋ねたとき
の気持ち。 ⑵語の始め以外の「はひふへほ」は「わいう
えお」に直す。
⑶質問に答えた人は、「また、日のいみじく照
る年は、春のはじめに水なむおほく出 いづる」
とも言っている。つまり「水なしの池」には、
水の出るときもある。
【古文の内容】
水なしの池、不思議で、どうしてこのような名が
ついているのだろうかと尋ねてみると、「五月など
に、一帯に雨が多く降ろうとする年は、この池に水
というものがないのです。また、日がひどく照る年
は、春のはじめに水が多く湧き出るのです」と答え
たのである。
( 私は、
) 「な
るほどいつもかわいてい
るのならそのようにもつけるだろうが、
( 水が ) 出る
ときもあるというのに、一面だけをとりあげて名づ
けたものだなあ」と言い返したかった。
超
ナ ビ
スー パ ー
時代によって時の数え方は違います。江戸時代にさかのぼってみましょう。江戸時代は一日が十二刻であるため、終日のことを「二六時中」
( 2×
6=
) と言
いました。現代では終日のことを「四六時中」
( 4×
6=
) と言う
のを聞いたことがあるでしょう。それは、一日が時間だから…というわけなのです。当時は日の出「明六つ
( あけ
むっつ
) と日
没「暮六つ
( くれ
むっつ
) 」を
基準として、その間をそれぞれ六等分する不定時法
( 明六つ
、朝五つ、朝四つ、昼九つ、昼八つ、昼七つ、暮六つ、夜五つ、夜四つ、暁九つ、暁八つ、暁七つ
) です
から、季節によっても現代の時刻とは異なります。また、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二支をあてた「子の刻
( ねのこ
く
「 ) 」
丑
の 刻
( うしの
こく
) 」…とい
う呼び方もありました。時代小説を読んだり、時代劇を見たり、古典落語を聞いたりすると、当時の時を表す言葉が出て来ることがありますね。現代の時刻に換算して聞くと、小説や劇、落語の内容の理解が深まって、より楽しく鑑賞することができると思いますよ。少しですが、例をご紹介しましょう。
◆お江戸
日本
橋
七つ立
ち…陽のある明るいうちに次の地点に到着しなければならないため、江戸時
代の旅の出立の基本は午前四時でした。
◆八つ刻に小昼
( こびる
) …
午後二時頃から四時頃に間食をする(おやつの語源)。
◆午の刻
( うまの
こく
) …
午前十一時頃から午後一時頃。正午・午前・午後の「午」はこの名残です。
◆草木も眠る丑三つ時
( うし
みつどき
) …丑の刻を四つに
分けたうちの三番目。午前二時から二時半頃
で、化け物や幽霊が出る時刻と言われています。