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光照射による分子集合体の構造変換及びその機能に関する研究

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光照射による分子集合体の構造変換及びその機能に関する研究

大阪大学大学院工学研究科 水 上 進

目的・背景

ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System:DDS)は、薬物の投与を量的・

時間的・空間的に制御する手法であり、副作用の低減や薬効の増強などを可能とするた め、近年盛んに研究されており、実用化されているものも存在する。近年、外部刺激に よってキャリアに内包された薬物の放出を制御する研究は大きな注目を集めている。こ れまでに行われた研究例において、用いられた外部刺激としては、温度変化、pH変化、

酵素活性、あるいは金属イオンなどが挙げられるが、近年では非侵襲的な刺激として光 が大きな注目されている。消化管や血管内における内視鏡技術の発達により、体内の局 所で光を照射することも不可能ではない。それゆえ、光によって薬物放出をコントロー ルすることができれば、多くの疾患において幅広い応用が期待できる。しかしながら、

光照射によって薬物放出を引き起こす手法の中で、臨床で用いられているものはまだ無 い。そこで、本研究において、新規メカニズムに基づく光誘導薬物放出システムの開発 に取り組んだ。

結果・考察

本研究では、薬物キャリアであるリポソームを破壊して内包薬物を放出させる機能性 分子を光応答性官能基で修飾した。これにより、機能性分子のリポソーム膜傷害活性す なわち内包薬物放出活性は制御されるが、光を照射することで再び膜傷害活性を回復し、

内包薬物を放出させることが可能であると考えた。

薬物キャリアであるリポソームとしては、直径が 100 nm~1 μm の Large Unilamellar Vesicles(LUVs)、および直径が 10μm 以上の Giant Unilamellar Vesicles(GUVs)を選 択した。一方、薬物を放出させる機能性分子については、抗菌ペプチド(Antimicrobial Peptides:AMPs)の細菌膜傷害活性に着目した。抗菌ペプチドは、ウイルスや微生物にの み作用し、ホスト生物には無害である。そこで、薬物キャリアとなるリポソームを微生 物の細胞表面を構成する酸性の脂質成分で作製することにより、抗菌ペプチドが真核細 胞に影響を与えることなくリポソームのみを選択的に破壊できると考えた。

まず、抗菌ペプチドアナログ PT の殺菌作用に重要なカチオン性官能基を光応答性保 護基である Bhc 基でブロックした化合物 BBhcPT をデザインし、合成を行った。合成し た BBhcPT に紫外光(360 nm)を照射することで、化合物 BBhcPT から Bhc 基が脱離する かどうか HPLC によって検討したところ、経時的にピークが減少し最終的には完全に消 出した。この結果より、BBhcPT は紫外光照射によって、脱保護を受け、膜傷害活性を

(2)

回復することが示唆された。

次に、蛍光物質カルセインを内包させた LUVsを用いて、BBhcPT を添加した後、紫光 を照射することで、カルセインの放出を定量的に測定した。照射時間に対するカルセイ ンの流出と BBhcPT の残存率を比較することで、BBhcPT は光照射によってケージ解除さ れることで膜傷害能を発現し、リポソームを破壊することが示された。

最後に、光照射によるリポソームに内包された化合物の放出を蛍光顕微鏡によって観 察した。蛍光物質カルセインを封入した GUVs を作製し、ポリリジンコートガラスボト ムディッシュに沈着させた。その後、BBhcPT を添加して静置した後、蛍光顕微鏡を用 いて紫外光を照射しながら、GUVs の挙動を観察したところ、紫外光による励起開始の 数十秒後からリポソーム膜の形態変化が観察され始め、2 分半後には内部のカルセイン が完全に流出するのが確認された。

以上、本研究において、抗菌ペプチドの細菌膜傷害活性に着目し、脂質集合体ドラッ グキャリアであるリポソームに内包された薬物を光刺激によって放出させるシステム の構築に成功した。

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