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化学 t 生物 - J-Stage

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230 化学と生物 Vol. 56, No. 3, 2018

遠藤先生ガードナー賞ご受賞おめでとうございます

古谷航平

元,三共(株)(現,第一三共(株))筑波研究所長 遠藤先生は,これまでもラスカー賞をはじめとして

数々の受賞をされてきましたが,今回のガードナー賞の 受賞を改めて心からお祝い申し上げます.

このところ,創薬源としての微生物に関する関心は急 速に薄らいでいるようで,企業などは次々と撤退してい るだけに今回の受賞は特に意義深いものと思います.

遠藤先生は私より8年ほど前に三共㈱(現在は第一三 共)に入社していますので,私にとっては大先輩にあた ります.しかし,当時は室長でも,所長でも役職では呼 ばず「さん」で呼んでいましたので,以後,遠藤さんと 呼ばせていただきます(先生をつけると何か遠く別人の 感じがしますので).

私が入社した当時(1965年),遠藤さんはカビ由来の 酵素(ペクチナーゼ)を扱っており,食品関係の研究を 行っていたように記憶しています.一方,私は入社と同 時に抗生物質の探索の仕事を命じられましたし,遠藤さ んとは研究室も異なっていましたので,直接の上司では ありませんでした.しかし,「カビ好き」という点では 一致し,なにか馬が合うという感じでした.当時,製薬 企業では微生物から新しい抗生物質を探索することを精 力的に進めていましたが,微生物イコール放線菌と言っ てもよいほどで,菌類(かび・きのこ)はほとんど対象 外でした.それは,抗生物質として有望なマクロライド やアミノ配糖体などは菌類では作らないから当然でもあ りました.しかし,私は菌類の美しさに魅せられました し,真核生物である菌類の代謝物のほうが真核生物であ る人間に作用するものを作っているはず,という勝手な 解釈,そして皆の進む方向には背を向ける困った(?)

性格の持ち主なのですが,カビ派の遠藤さんとは,なぜ か波長が合い,応援してくれることは救いでありまし た.そのため,ときどき彼の研究室に行き話を聞いてい ますと,カビから抗生物質以外の医薬品を見つけようと 考え始めていることを知るようになり,カビが役立つと きが来ると密かに喜んでいました.しかし,ほどなくし て彼はアメリカへ留学のため会社を離れることになって しまいました.

遠藤さんが発見したスタチン(ML-236B,コンパクチ

ン)の生産菌であるアオカビ( )

は京都の米屋の米から得たものと書かれているものを見 受けますがそれは間違いです.いささか長くなりますが

入手のいきさつは以下のとおりです.カビにとりつかれ た私は社内で一人菌をいじっていましたが,もっと本格 的に教えを請いたいと思い終業時間後や休暇をとって,

しばしばひそかに国立衛生試験所(現,国立医薬品食品 衛生研究所)に行って同所の一戸正勝研究員にいろいろ と教えてもらっていました(1966〜1967年頃).当時室 長であった倉田浩先生(故人)はそれを黙認,というよ り歓迎してくださり,欲しいカビがあったら持って帰り なさいと言ってくださいました.

当時は,戦後の食糧難時代からタイなど東南アジアか らコメを輸入していましたが黄色などに変色したコメが 混ざっており,それが政治問題に発展しました.それが

「黄変米事件」です.そのため,消費者に渡る前に各地 産の米を国立衛生試験所で検査を行っていましたので,

検査後の廃棄するカビが生えたシャーレなどがたくさん 置かれていました.その廃棄前の試料を勉強のために用 いて顕微鏡で覗いては教えをいただいていました.その 中に と思われるカビがありました.

は寒天培地中に黄色い色素を出すことは一つの特 徴ですが,これは色素を出していませんでしたので,何 か変わった株なのではと思いいただて帰りました.その ため,その菌株は京都産の米に由来するとわかっている のです.1967年の春だったと記憶しています.

その翌年頃に遠藤さんは帰国し社内での研究を開始し ましたが,当初からコレステロールに関する研究であっ たと思います.そこで,私がいろいろな基質から分離し てためておいたカビを彼に提供しました.そのうちの1 株が上記のアオカビだったのです.

その後,私は1972年から1年半,正式に国立衛生試験 所に内地留学の形で出向し宇田川俊一先生から菌類研究 の指導を受けるとともに多くの菌類を分離して遠藤さん にも提供しました.しかし結局,目的の物質を作ってい たものは,上記のアオカビだけでした.

遠藤さんとは,私が定年退職後も交流を続け,特別栄 誉教授室にも何度かお邪魔したり,一緒に食事をしたり と交流をさせていただいています.

遠藤さんの受賞に励まされ,刺激を受けて若い世代の 研究者の中から探索研究の新しい活動が生まれてくるこ とを切望しています.

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

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プロフィール

古谷 航平(Kouhei FURUYA)

<略歴>1963年東京農業大学農学部農芸 化学科卒業/同年東京大学応用微生物研究 所(現分子細胞生物学研究所)研究生/

1965年 三 共 株 式 会 社(現 第 一 三 共) 入 社/1993年同社筑波研究所長/1999年定 年退職.その間,1972〜73年国立衛生試 験所(現国立医薬品食品衛生研究所)へ出 向.1977年学位取得(農学博士).1999年 財団法人日本きのこ研究所専務理事.2005 年同所退職.2007年微生物資源探索研究 所設立,現在に至る<研究テーマと抱負>

土壌以外の基質から未利用菌類を分離し菌 株を大学等に提供<趣味>居住地域の絶滅 危惧植物の保護・育成,植物観察,野山散 策,家庭菜園など

日本農芸化学会

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