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化学 t 生物 - J-Stage

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Academic year: 2023

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化学と生物 Vol. 56, No. 3, 2018

遠藤先生とA. フレミング博士

石黒繁夫

 元,JT医薬総合研究所所長 遠藤先生のガードナー賞ご受賞,誠におめでとうござ

います.

先生が東京農工大学教授でいらした1990年代半ばに,

脂質代謝改善薬開発の共同研究をさせていただいたこと が先生とお近づきになるきっかけでした.2007年5月,

先生には,大阪府高槻市にあるJTの研究所で,スタチ ンの発見と治療への応用についてご講演いただきまし た.その際お泊りいただいたのは京都市内でした.先生 は,学会等で京都へは何度も訪れたがゆっくり京都見物 をすることがなかったとおっしゃったので,講演会の翌 日の土曜日に京都をご案内しました.丁度五月の御所一 般公開の期間でしたので紫宸殿や清涼殿の周囲をゆっく りご覧いただくことができました.サイエンスを離れて とてもリラックスしたご様子でした.御所のあとは市内 北部の鞍馬寺にお連れしました.ご存じのように鞍馬は 少年時代の源義経が天狗を相手に剣術の稽古をしたと言 われる険阻な地です.さらに,木の根道と呼ばれるアッ プダウンの激しい尾根筋を,水の豊かな貴船神社まで歩 いていただきました.秋田の里山が先生の幼いころの遊 び場と伺っていましたのでその足取りの軽さに納得した ところです.常にサイエンスと真摯に向き合ってこられ た先生にはひと時それを忘れて古都の初夏を満喫いただ けたのではないかと思っております.

先生の研究者としての夢を抱くきっかけとなったのは ペニシリン発見のフレミング博士の伝記と伺っていま す.いまでも当時のその本を大事にされています.数年 前のある時,自称「風景画家」でもある私が厚かましく も先生にお尋ねしました.「先生に私のスケッチをも らっていただきたいのですが,どこの風景をお描きしま しょう?」先生は少しお考えになって「フレミング博士 の肖像画を描いてもらえないか」ちょっとたたらを踏み ました.フレミング博士は1955年にお亡くなりになっ ていますので,インターネットで博士の写真を探し,白 衣以外の着衣の色など想像しながら水彩画に仕上げまし た.多分気に入ってくださったのでしょう.先生の東京 農工大学内のオフィスの壁にかけてくださっています.

もう一つ,遠藤先生とフレミング博士に関するエピソー ドを.先生がスタチンのご研究を完成され,東京農工大 学にお移りになられた後のことです.フレミング博士へ の尊崇のお気持ちに突き動かされて,先生はイギリスの フレミング博士の生家をお訪ねになっています.ロンド ンから北北西に500 kmほど.スコットランドのグラス ゴーに近いロッホフィールドという村の農場に生家は現 存しています.しかし見渡す限りの畑の中で人影も見え ません.先生は生家の回りをしばらく巡って,そのあた りに咲き乱れていた黄色い花を数輪摘み取りました.フ レミング博士の幼少時代の地を訪れた記念としてそれを 本の間に挟んで日本に持ち帰りました.このスコットラ ンドの旅は先生からお聴きした話です.その花は額に入 れられてさりげなくオフィスの壁に飾られています.図 鑑などで調べるとどうやらキンポウゲ科のキンポウゲの

図1フレミング博士の水彩画

日本農芸化学会

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ようです.今では花の色はすっかり失われてしまってい ますが,博士が幼少時代に踏みつけたキンポウゲの100 代ほどの子孫かもしれません.

小さい頃研究者を志すきっかけとなったフレミング博

士への思いが今も薄れていらっしゃらない.

初心をお忘れにならず,まさに研究一筋に生きてこら れた遠藤先生らしいエピソードとして紹介させていただ きました.

日本農芸化学会

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プロフィール

石黒 繁夫(Shigeo ISHIGURO)

<略歴>1971年東京大学農学部農芸化学 科卒業/同年,日本専売公社(現JT)入 社/2002年JT医薬総合研究所長/2011年 退社.農学博士<趣味>現在はサイエンス を完全に離れ,読書,風景スケッチ,俳句 など趣味三昧の毎日

日本農芸化学会

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