各種副産材料を使用したセメント系建設資材の熱的物性変化
副産微粉,セメントペースト,熱的性質,耐久性,鉄筋コンクリート造建築物 田村雅紀*,岡野速人**
1. はじめに
都市圏では,巨大震災被害が生じた際に,コンクリート 塊をはじめ,廃木材,がれき等の膨大な震災廃棄物が生じ るとされている。阪神淡路大震災では,1500 万㌧とも云 われる大量の被災建設廃棄物が瞬時に発生したのに対し,
首都直下型地震では,阪神淡路大震災の
6.4
倍程度(9600 万㌧)という膨大な被災建設廃棄物が発生する予測もあり,合理的かつ速やかな適正処理と積極的な再資源化対策が,
その後の都市機能回復に極めて重要な役割を担う。
本研究は,コンクリートの製造を想定して,各種副産微 粉末を混和材とし使用したペーストを評価するものであ る。これらペーストは,水酸化カルシウム[Ca(OH)2]とケ イ酸カルシウム水和物[xCaO・ySiO2・
zH2O]により構成さ
れ,内部微細空隙は,結晶構造に変化が生じ,強度・耐久 性に影響を与えるのであるが,近年の建設構造用コンクリ ートは,これらの産業廃棄物起源の微粉系材料をはじめ,石粉,コンクリート系微粉末,混和剤ならびに混和セメン トを原料等として積極的に用いた高度副産物利用建設材 料となりつつあり,これらの高度に副産物を利用した建設 材料が,各種の製造条件や温湿度環境などの維持保全条件 のもとで早期に利用可能な状態になり,同時に長期的に耐 久性を確保できるような材料であることが重要となる。
研究では,普通ポルトランドセメントと高炉セメントに,
今後,二酸化炭素排出削減に向けて重要な役割を果たすと 考えられるカーボンニュートラル性を有する海洋生物殻 廃棄微粉も混和したペースト硬化体について,含水状態お よび熱的状態(常温~250℃)を変化させ,曲げ強度,圧 縮強度等の基礎的物性(実験1)を行い,水銀圧入式の細孔 構造分析器により温度養生の影響(実験2)を評価し,高度 に副産物を利用した建設材料の耐久性について検討する。
2. 研究概要
2.1 各種セメント水和物の微細構造
図1に解体コンクリート塊を構成するセメント硬化体 特性を示す。セメント硬化体の空隙構成と強度・耐久性へ の影響空隙により,強度・耐久性に影響を与えると考えら れる空隙の寸法範囲と,吸着水・結合水・構造水として,
力学的な抵抗体として作用する可能性のある微細空隙と 区分される。これらの質的・量的特性は,セメント種類,
水セメント比等に依存する。これらの特性を実験・解析を 通じて評価を行う。
2.2 使用材料と計画調合
表 1 に使用材料を,表 2 に実験要因と水準を,表 3 に計 画調合を示す。セメントは,普通ポルトランドセメント(N),
高炉セメント B 種(BB)を,副産微粉末は,砕石粉(S),ほ たて微粉末(H)を使用した。砕石粉は,コンクリート用砕 石骨材を製造する際などの副産材料であり,年間 1500 万 トンに近い発生量が生じている可能性がある。またほたて 微粉末は,ほたて貝の処理副産物であり,短期間で海洋中
副産物を使用した 材料の積極的使用
ブリーディング抑制等、今後も 有効使用が促進される 研究背景
長期的な温度と強度の関係は 不明確だが、耐久性に影響がある
発電所、ボイラー室等の コンクリートは常温以上
微粉末の違いとあらゆる温度条件下における セメントペーストの力学的特性の研究
各水セメント比で今後有効利用が期待されるセメントペーストの実験
実験1 セメントペーストの製造と加熱処理 実験2 セメントペーストの物性評価 実験3 セメントペーストの耐久性能評価
セメントペーストの研究
図1 研究の流れ
大径エントラップドエア 小径エントラップドエア
毛細管空隙 ゲル空隙
水空隙 気泡
詳細;耐久性・強度影響要因
(50nm[0.01%]~2μm[0.2%]) 一般:強度影響要因 (粗大毛細管空隙~気泡)
水銀圧入可能-開気孔
(3.5nm~50μm) 閉気孔
(~3.5nm)
全空隙(~50μm)
~2000nm(2μm)
CSH結晶 10nm-100nm
平均25nm 平均25nm
ゲル空隙:
CSH結晶平均径の15%程度 より4nm程度となる CSH1分子(1nm)
50nm~
強度・耐久性に影響するとされる空隙径(気泡)
図2 セメント硬化体の空隙構成と強度・耐久性への影響
*工学院大学工学部建築都市デザイン学科・准教授 ** 工学院大学建築都市デザイン学科・学部生
表
1 使用材料 表 2
実験要因と水準項目 記号 内容 要因 水準
水
W
水道水 水セメント比(%)40,55,70
セメント
N
普通ポルトランドセメント 密度3.16(g/cm
3)
セメント種類 普通ポルト(N),高炉B
種(BB)BB
高炉セメントB
種 密度3.04(g/cm
3)
骨材種類 砕石粉(S),ほたて(H)微粉末
O
砕石粉 密度2.7(g/cm
3)
外割置換率(%)0,20,40
H
ほたて微粉 密度2.51(g/cm
3)
養生温度(℃)20,60,100,150,200,250
表
3 計画調合 表 4 実験項目と実験方法
記号W/C
(%)
P/C
置換率(%)
単位量
(kg/m
3)
項目 方法 内容水 セメント 微粉末
実験1
ブリージング試験 JIS A 1123準拠。
N40-0 40 0 558 1397 0
加熱処理および質量変化率
加熱処理(20,
60, 100, 150, 200,
250℃)前後の重量変化率を測定
N40-20S 40 20 474 1425 203
N55-20S 55 20 592 1687 320
N55-20H 55 20 592 1687 297
実験2
曲げ強さ
JIS A 1114
参照N70-40S 70 40 613 1630 662
含水養生処理 セメント硬化体組織の含水によ る強度低減影響評価
BB40-0 40 0 558 1397 0
BB55-20S 55 20 592 1623 296
圧縮強さJIS R 5201
BB70-40S 70 40 613 1568 662
実験3 細孔構造特性 水銀圧入ポロシメータ使用備考)微粉末量はペーストの良好なコンシステンシーが得られるように設定
20mm(h) 荷重(P)
60mm(S)
3線式中央1点載荷法 曲げ強度式 F=3PS/2bh2
P:破断するまでの荷重(N)
S:曲げ区間(60mm)
b:試験体幅(20mm)
h:試験体高さ(20mm)
F:曲げ強さ(N/mm2)
20mm(h) 荷重(P)
35~40mm(S)
20mm
20mm(h)
20mm(b)
80mm
a)曲げ強さ b)圧縮強さ
図3 セメントペーストの強度特性試験方法(実験2)の二酸化炭素を固定化するため,カーボンニュートラル材 料として位置づけられ,コンクリート構造物の中で二酸化 炭素を固定化する温暖化対策に重要な特質を有している といえる。 製造したセメントペーストは,水セメント比 40,55,70%の3水準であり,安定したコンシステンシー の確保のため,貧調合のシリーズに関しては,副産微粉末 を セ メ ン ト 量 に 対 す る 外 割 置 換 で 混 入 し て 比 較 し た (0%,20%,40%)。供試体寸法は 20×20×80mm とし,供試体 製造後,24 時間で脱型し,20℃・60%恒温室にて 28 日間 まで封緘養生した。
2.3 実験方法
表 4 に試験項目と内容,図1にセメントペーストの強度 特性試験方法(実験2)および図2にセメントペースト加 熱処理条件(実験1)を示す。実験 1 で,セメントペース トのフレッシュ性状の確認と,微粉混和の影響を評価する ブリーディング試験を実施した。成形後,材齢 28 日目ま での封緘養生後,6水準の加熱処理(20,60,100,150,
200,250℃)を行う。加熱方法は,100℃以上の処理につ いては 60℃による予備加熱後,1時間 20℃の速度で温度 を上昇させ,目標温度に到達後,24 時間の加熱処理を施 し,終了後に緩やかに常温まで放熱する。実験 2 では,加 熱温度による強度変化を確認するため,曲げおよび圧縮強
さ試験を実施し,セメント硬化体組織の含水による強度低 減効果についても併せて評価をする。実験3では,加熱処 理による空隙構造の変化を水銀圧入法による微細空隙構 造特性より評価し,耐久性への影響を分析する。
材齢(日) 1
圧 圧
加熱 標準
28 250℃
200℃
150℃
100℃
60℃ 20℃
29 31
曲
曲
曲
曲
曲
気中養生 水中養生
圧 圧 気中養生
水中養生
圧 気中養生 圧
水中養生 曲
圧 圧 気中養生
水中養生
圧 圧 気中養生
水中養生
圧 気中養生 圧
水中養生 脱型
気中養生
時間
温度
計画温度 (100,150, 200,250℃)
常温 (20℃) 予備加熱
温度 (60℃)
温度保持(24時間)
予備加熱 (3時間)
図4 ペースト加熱処理条件と加熱温度制御履歴(実験1)
2.4
ブリーディング試験図
5
にセメントペーストのブリーディング量を示す。W/C=40%のセメント種類の違いの影響はほぼなく,副産
微粉の混和により大きくブリーディング量が低減できた。W/C=55%では副産砕石微粉の混和によりブリーディン
グ量が大きく低減でき,副産微粉の混入が前提条件となるW/C=70%ではブリーディング抑制効果は大きくは得ら
れなかったが材料分離のない供試体を得ることができた。2.5 加熱後の質量減少量
図
6
に加熱処理前後のセメントペースト質量減少量を,表5にセメント硬化体の熱的特性を示す。図中①は,物理吸 着水の蒸発・移動・変成によるもの,②は化学吸着水の脱離・
変成等による質量低下と考えられる。全試料において,温度
上昇に伴い質量減少した。
2.6 乾燥・含水状態の強度特性
表5に試験時の吸水の影響を示す。Wittman(1973)のキ セロゲル強度依存性によれば,セメント硬化体強度は,
ゲル相対湿度に依存し,水による表面張力低下により化 学的に強度が低下する。また,岡島ら(1985)の摩擦伝達 影響を踏まえれば,結晶表面水が機械的結合の阻害によ り応力伝達を失い,機械的な強度低下も生じさせる。こ の場合,蒸発により不要な物理吸着水が減り,強度増加 をする場合と,圧縮による粒子同士の摩擦力が作用する場 合,結晶表面水の機械的結合を阻害するすべり増加により 強度低下する場合がある。これらの条件を考慮して,乾 燥含水状態の違いを評価する必要がある。
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8
10 20 30 40 50 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360
ブリーディング量(cm3/cm2)
経過時間(分)
N40-0 N40-20S BB40-0
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8
10 20 30 40 50 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360
ブリーディング量(cm3/cm2)
経過時間(分)
N55-20S N55-20H BB55-20
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8
10 20 30 40 50 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360
ブリーディング量(cm3/cm2)
経過時間(分)
N70-40S BB70-40S
a)W/C=40%シリーズ b)W/C=55%シリーズ
c)W/C=70%シリーズ
図
5 セメントペーストのブリーディング量(W/C=40,55,70%)
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2
20 60 100 150 200 250
単位容積質量(g/cm3)
加熱温度(℃)
N70-40S BB70-40S
①
②
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2
20 60 100 150 200 250
単位容積質量(g/cm3)
加熱温度(℃)
N55-20S N55-20H BB55-20S
①
②
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2
20 60 100 150 200 250
単位容積質量(g/cm3)
加熱温度(℃)
N40-0 N40-20S BB40-0
① ②
a)W/C=40%シリーズ b)W/C=55%シリーズ
c)W/C=70%シリーズ
図6
加熱処理前後のセメントペースト質量減少量(W/C=40,55,70%)表5 セメント硬化体の熱的特性
状態 内容
TG-DTA
曲線①30~120℃物 理 吸 着 水 の 蒸 発 + 自 由 水 空 隙量の評価
硬化体表層空隙より蒸発が開始,内部水が外周部 に移動,水和物組織間の化学的・機械的な結合力 低下。100~200℃ではケルビン半径以下の物理吸着 水は小さくなり,残存ゲル水量が大幅減少。差分 は自由水空隙量に換算される。
-250 -200 -150 -100 -50 0 50 100
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 850 900 950 1000
温度[℃]
DTA[μV]
50 52 54 56 58 60 62 64
TG[mg]
DTA TG
全空隙(①+②)
②ゲル・毛細管 空隙
①自由水空隙
⑤
⑤CO2 CO2固定量 固定量
(③+④)
(③+④)
③CSH
③CSHcc分分
④CH
④CHcc分分 CSH 脱水 CH脱水
②30~300℃ゲ ル 崩 壊 + ゲ ル・毛細管空隙 量の評価
蒸発により硬化体脱水作用が生じ,強度低下発 生。温度勾配による時差変形,材料の熱膨張係数 変化に伴う微細ひび割れなど発生。質量減少量 は,ゲル・毛細管空隙量に近似。
②120~600℃
CSH および CH 水 和物の分解
-OH,-H2O など,構造・結合水による化学吸着水 放出が 120℃程度より始まり,C-S-H は 450℃前 後,CH は 550℃前後まで継続し,組織分解・脆弱 化する。
③550~825℃
CSH 炭酸化物
④825℃~CH 炭 酸化物分解
安定硬化体の炭酸化物である CSH-c,CH-c が残存 した場合,当該温度で分解し,大幅な質量減少を 引き起こし,試料全体が損傷する
2.7
曲げ試験による低荷重降伏域での力学評価 図8
に曲げ強さの結果を示す。引張と同様,曲げ強さの場合,100℃前後までの加熱により物理吸着水の低下に伴 う強度増進に寄与する一方で,圧縮摩擦によるすべり効果 も生じにくいため,一度強度が増加するが,150℃を越え るゲル・毛細管水の蒸発が生じると,温度差により生じる 微細ひび割れの影響などにより強度低下する。なお,副産 微粉を用いた場合,強度低減が改善され,とくにホタテ微 粉を用いた場合には,大幅に強度低下が改善されている。
2.8
圧縮試験による高荷重降伏域での力学評価図
9,10
に気中・水中養生後の圧縮強さ結果を示す。圧縮 は曲げ試験の破断片を使用した。100℃前後の場合,物理吸 着水が試料内部に局所的に残存し,粒子間摩擦低下に大きく 影響を与えたと考えられ,強度低下を起こした。100℃を超 は,乾燥促進により強度が一時回復するが,その後温度勾配 による時差変形に伴う微細ひび割れ,エトトリンガイド等膨 張性水和物の生成可能性,化学結合水脱水による分解等で強 度低下した。ホタテ微粉の場合,圧縮も強度が増加した。また水中養生の場合は,強度低下の影響がより顕著になった。
図 7 試験時の吸水の影響[3]
(セメントコンクリート中の水の挙動)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
20 60 100 150 200 250
曲げ強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N70-40S BB70-40S
① ②
0 12 3 4 56 7 89 10 1112 13
20 60 100 150 200 250
曲げ強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N55-20S N55-20H BB55-20S
① ②
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
20 60 100 150 200 250
曲げ強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N40-0 N40-20S BB40-0
① ②
a)W/C=40%シリーズ
b)W/C=55%シリーズ
c)W/C=70%シリーズ
図8
加熱処理前後のセメントペースト曲げ強さ変化(W/C=40,55,70%)0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
20 60 100 150 200 250
圧縮強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N70-40S BB70-40S
① ②
02 46 108 1214 1618 2022 2426 2830
20 60 100 150 200 250
圧縮強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N55-20S N55-20H BB55-20S
①
②
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
20 60 100 150 200 250
圧縮強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N40-0 N40-20S BB40-0
① ②
a)W/C=40%シリーズ b)W/C=55%シリーズ
c)W/C=70%シリーズ
図9
加熱処理前後のセメントペースト圧縮強さ変化(気中養生)0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
20 60 100 150 200 250
圧縮強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N70-40S BB70-40S
① ②
02 46 108 1214 1618 2022 2426 2830
20 60 100 150 200 250
圧縮強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N55-20S N55-20H BB55-20S
① ②
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
20 60 100 150 200 250
圧縮強度(N/mm2)
加熱温度(℃)
N40-0 N40-20S BB40-0
① ②
a)W/C=40%シリーズ b)W/C=55%シリーズ
c)W/C=70%シリーズ
図10
加熱処理前後のセメントペースト圧縮強さ変化(水中養生)2.9
細孔分布測定による耐久性能評価(実験3)
図12
に加熱前後の細孔量分布と累計細孔量の変化(W/C=40,
55, 70%)を示す。加熱処理後,温度養生の
影響を適切に評価するために,全試料を乾燥温度から常 温で保管後に測定を行った。なお,ゲル空隙(1nm~5nm)毛細管空隙(5nm~50μm)は,耐久性や強度に影響を及 ぼすと言われていが,図より,加熱により空隙のピーク
が
100nm
前後から1μm
手前の右方向に全てずれており,加熱による蒸発で物理吸着水の増加が考えられた。なお,
g)に示すように,一般には中性化の場合,空隙のピーク
が小空隙側の左方向に変移する。これらの傾向が図8で 確認でき,水セメント比問わず加熱により累積細孔量が 増加している。0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔容積(mL/g)
細孔径(nm)
20℃ 150℃
250℃
10 100 1000 10000 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔径(nm)
20℃
150℃
250℃
10 100 1000 10000 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔径(nm)
20℃
150℃
250℃
10 100 1000 10000
a)N40-0 b)N40-20S
c)BB40-0
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔容積(mL/g)
細孔径(nm)
20℃
150℃
250℃
10 100 1000 10000 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔径(nm)
20℃
150℃
250℃
10 100 1000 10000 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔径(nm)
20℃
150℃
250℃
10 100 1000 10000
d)N55-20S e)N55-20H f)N55-20S
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔容積(mL/g)
細孔径(nm)
熱的影響 中性化
10 100 1000 10000 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔径(nm)
20℃
150℃
250℃
10 100 1000 10000 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40
細孔径(nm)
20℃
150℃ 250℃
10 100 1000 10000
g)中性化-温熱影響の細孔分布モデル f)N70-40S g)BB70-40S
図
11 加熱前後の細孔量分布特性(W/C=40,55,70%)
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35
20 60 100 150 200 250
累計細孔量(mL/g)
養生温度(℃)
N40-0 N40-20S BB40-0
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35
20 60 100 150 200 250
累計細孔量(mL/g)
養生温度(℃)
N55-20S N55-20H BB55-20S
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35
20 60 100 150 200 250
累計細孔量(mL/g)
養生温度(℃)
N70-40S BB70-40S
a)W/C=40%シリーズ b)W/C=55%シリーズ
c)W/C=70%シリーズ
図
12 加熱前後の累計細孔量の変化(W/C=40,55,70%)
3.まとめ 本研究により,以下の知見が得られた。
1)各種セメントペーストを用いたブリーディング量は,高
水セメント比の場合,一定量の石粉を混入することで抑 制することができた。2)一定時間の加熱処理を施した各種水セメント比のペー
スト供試体質量は,自由水およびセメント硬化体組織へ の物理吸着水の蒸発・移動などにより,常温から250℃
までの範囲で段階的に減少した。
3)加熱処理を施したペースト供試体の曲げ強度は 100℃前
後で最大となった。自由水等の蒸発・移動により,セメ ント硬化体との水素結合力の低減作用の緩和が考えら れる。また
100℃以後は,緩やかに低下し,空隙部分の
増大および温度変化に伴う微細ひび割れの影響が考え られた。4)加熱処理を施したペースト供試体の圧縮強度は 100℃前
で一端低下した。自由水等の蒸発・移動により,セメン ト硬化体と局所的に増大した水空隙により圧縮力が作 用した状態で表面張力の低下と機械的な摩擦伝達作用 が低下したためと考えられる。100℃以後は,再び強度 が増加したが,これは水空隙の蒸発後,セメント硬化体 組織の機械的なかみ合わせ力が作用したことが考えら れ,250℃にむけて空隙部分の増大等により大きく低下 した。
5)加熱処理を施したペースト供試体の細孔構造は,常温
20℃の状態で多くの供試体が 100nm
前後に最大量があり,加熱により段階的に
500nm~1μm
までの範囲の空 隙が増大した。加熱による膨張を伴いながら自由水等の 蒸発・移動により,相対的に空隙径が増大したと考えら れる。6)セメントペーストの長期的な高温加熱により,セメント
および混和材種類の影響を受けながら力学特性および 耐久性に影響が生じると考えられる。参考文献
1) 岸谷孝一,嵩 英雄:300℃までの高温に長期間さらさ れたコンクリートの性状に関する実験の研究,セメン ト・コンクリート,No.444,1984.2,pp.7-14
2) セメント・コンクリート中の水の挙動,JUCC,1993 3) 河辺他,粗骨材と細骨材に石灰石を用いたコンクリー
トの高温加熱後の力学特性,日本建築学会学術講演論 文集,2010
謝辞
本研究の一部は,平成
22
年度工学院大学プロジェクト 研究(代表田村),平成22
年度工学院大学都市減災セ ンター(中課題3)による。なお,実験の実施にあたり,
平成
22
年度卒論生の徐氏に助力を得た。