• Tidak ada hasil yang ditemukan

哺乳動物における新基質の発見

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "哺乳動物における新基質の発見"

Copied!
9
0
0

Teks penuh

(1)

細菌におけるグリセロホスホジエステラーゼは,グリセロリ ン脂質の二つの脂肪酸が切断された水溶性代謝物であるグリ セ ロ ホ ス ホ ジ エ ス テ ル を 分 解 す る こ と で グ リ セ ロ ー ル3- ン酸を獲得し,リンや炭素の栄養源としての利用において重 要な役割を担う.一方,酵母,植物,線虫,哺乳動物におい てもグリセロホスホジエステラーゼが同定されたが,哺乳動 物においてはグリセロホスホジエステル以外の基質も発見さ れ,多彩な生理的役割が明らかにされている.グリセロホス ホジエステラーゼの酵素タンパク質としての分子進化上の特 徴,さらに哺乳動物における生理機能の新展開について紹介 する.

グリセロホスホジエステラーゼファミリーの分子  進化における大きな特徴

細菌から哺乳動物まで,すべての生物の細胞膜の主成 分はグリセロリン脂質である.グリセロリン脂質の代謝 は,細胞生物の成長や生存において極めて重要な生命機

構であるが,その代謝機構や意義においては未解明の部 分も多い.本稿において解説する一群のグリセロホスホ ジエステラーゼ(glycerophosphodiester phosphodiester- ase: EC 3.1.4.46)は,グリセロリン脂質の2つの脂肪酸が 切断された水溶性代謝物であるグリセロホスホジエステ ルを分解する酵素として微生物においてその機能が明ら かにされ,リン源や炭素源としてリン脂質を栄養資化す るために大きな役割を果たしている(図1.しかしな がら,本酵素ファミリーは細菌から哺乳動物までの酵素 進化の中で,酵素の基質,局在から生理的意義までを大 きく変化させた希有な例である(1).細菌のグリセロホス ホジエステラーゼについては,グリセロリン脂質からの リン源,および炭素源の供給経路としての役割を担うた め,ホスファチジルコリンやホスファチジルエタノール アミンなどに由来するすべてのグリセロホスホジエステ ルの分解が可能であり,グリセロール3-リン酸(G3P)

を獲得するために理にかなっている.ところが,哺乳動 物のグリセロホスホジエステラーゼはグリセロホスホイ ノシトール(Gro Ins),あるいはグリセロホスホコリ ン(Gro Cho)などに対して限定した基質特異性を有 する点は細菌と大きく異にする.哺乳動物において

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

【解説】

Molecular Evolution and New Insight of Glycerophosphodiesterase  Family: Recent Findings on Substrates of Mammalian Glycero- phosphodiesterases

Noriyasu OHSHIMA, Minako NAKAMURA, Noriyuki YANAKA, 

*1 群馬大学大学院医学系研究科,*2 広島大学大学院生物圏科学研 究科

グリセロホスホジエステラーゼの分子 進化から生理的役割の新たな展開

哺乳動物における新基質の発見

大嶋紀安 * 1 ,中村美奈子 * 2 ,矢中規之 * 2

(2)

Gro Ins,あるいはGro Choは細胞増殖や細胞分化に おいて極めて重要な生理活性物質であり,グリセロホス ホジエステラーゼがそれぞれの基質特異性によって細胞 内のGro Ins,あるいはGro Cho濃度を厳密に調節する 重要な役割を担うことが示されている.さらに,細菌か ら哺乳動物まで推定の酵素活性領域のアミノ酸配列はよ く保存されているものの,哺乳動物のグリセロホスホジ エステラーゼの基質はグリセロホスホジエステルにとど まらず,GDE2はグリコシルホスファチジルイノシトー ルアンカー型タンパク質の切断に,GDE4,およびGDE7 はリゾリン脂質からリゾホスファチジン酸の生成に関与 するなど,多彩な生命現象を担う可能性が明らかにされ ている.

大腸菌における2つのグリセロホスホジエステルの 利用経路

細菌で最もグリセロホスホジエステル代謝についての 研究が行われているのは大腸菌( )であ る.大腸菌はグリセロホスホジエステルを利用する2つ の経路,Glp系とUgp系を有している.いずれの経路も 細胞外からグリセロホスホジエステルをリンや炭素の栄 養源として利用する役割を有するが,各経路においてそ れぞれ異なったタンパク質群がこの機能を担っている.

大腸菌の オペロンには,G3Pをペリプラスムから細 胞質に能動輸送するトランスポーターをコードする と,グリセロホスホジエステラーゼをコードする が 含 ま れ る(2).GlpQは ペ リ プ ラ ス ム に 局 在 し,

GlpQによりグリセロホスホジエステルから生じたG3P はGlpTによって細胞内へと輸送されて利用される(3)

(図1).GlpQはグリセロホスホエタノールアミン(Gro Eth),Gro Cho, Gro Ins,グ リ セ ロ ホ ス ホ セ リ ン

(Gro Ser),グリセロホスホグリセロール(Gro Gro), カルジオリピンの脱アシル化産物であるビスグリセロホ スホグリセロールを加水分解する.一方,ホスファチジ ルグリセロールやリゾホスファチジルグリセロールは加 水分解しない(2, 3).GlpQの酵素活性には,特にCa2+

必要とするが,Mg2+の存在下では活性が認められない.

もう一つのグリセロホスホジエステル利用経路は5つ の遺伝子を含む オペロンによって担われている(4)

,  ,および がグリセロホスホジエステル のトランスポーターをコードしており,ペリプラスムか ら細胞質へのグリセロホスホジエステルの能動輸送を 担っている(図1).ペリプラスムに存在するUgpBはグ リセロホスホジエステルと結合し,トランスポーターと ともにグリセロホスホジエステルの輸送に関与する(5)

は27 kDaのグリセロホスホジエステラーゼタンパ ク質をコードしており,アミノ酸配列においてGlpQと の高い相同性があるが,GlpQとは対照的に,UgpQは 細胞質に存在するタンパク質である.以前の オペロ ン の 研 究 で は 単 離 し たUgpQは 酵 素 活 性 を も た ず,

UgpA, UgpC,およびUgpEから構成されるグリセロホ スホジエステル輸送タンパク質に結合し,輸送に共役す ることで酵素活性を発現すると提唱されていた(4).しか しながら,精製したUgpQはCa2+の代わりにMg2+の存 在下で酵素活性を示すことが後に明らかとなった(6). UgpQのグリセロホスホジエステルに対する基質特異性 を解析したところ,Gro Eth, Gro Cho, Gro Ins, Gro Ser,およびGro Groに対してほぼ同等の分解活性を示 した(6). を含む オペロンはリン酸飢餓状態の 大腸菌で顕著に遺伝子発現が誘導されることや,

の欠損によりグリセロホスホジエステルを添加したリン 酸欠乏培地中で増殖ができなくなることからから(4), UgpQの第一義的な生理機能は細胞内のグリセロホスホ ジエステルを分解し,リン源としての利用であると考え られており,得られたG3Pはグリセロリン脂質の生合 成や解糖系など,さまざまな代謝経路に利用される(7). 大腸菌のGlpQとUgpQの一次構造は顕著な相同性を示 すことから,共通の祖先から進化したと考えられるが,

系統樹解析の結果(図2)から大腸菌のUgpQは真核生 物やほかの細菌の細胞質型のグリセロホスホジエステ ラーゼ類と近縁であることがわかる.GlpQはUgpQと は異なる一群を形成し,植物のグリセロホスホジエステ

図1大腸菌の2つのグリセロホスホジエステル

利用経路としてのGlp系とUgp

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(3)

ラーゼと近縁である.

細菌の病原性にかかわるグリセロホスホジエステ ラーゼ

インフルエンザ菌( ),特にb

型莢膜株( )は小児において髄膜炎や敗血症を引き 起こす病原菌である.そのワクチンには,抗原としてイ ンフルエンザ菌を不活化したうえで精製した細菌表面の 莢膜が使用されるが,抗体価を上昇させるために莢膜を キャリアタンパク質と結合させている.インフルエンザ 菌の細胞表面に存在するprotein Dが大腸菌GlpQのオ ルソログであり,ワクチン製造時に用いるキャリアタン パク質として有効であることが示された(7).一方で,

protein Dはインフルエンザ菌の病原性にも関与してい る.protein Dは大腸菌のGlpQと同様の酵素活性を有 し(8),N末端残基に脂質修飾を受け,細胞表面に局在す る(9).protein Dがラットの中耳炎モデルにおいて病原 性に大きく関与していることや(10),気道へのインフルエ ンザ菌の感染にも関与し(11),ヒト単球への接着や内在 化に重要であることが報告されている(12).protein Dが 宿主細胞への接着や内在化に関与する分子機序は,以下 のように説明されている(13, 14).細菌の表面で宿主のホ スファチジルコリンの分解によりprotein Dによって産

生されたコリンは細菌表面のリポ多糖‒ホスホコリンの 合成に利用され,この細胞壁の修飾により宿主細胞の特 徴が模倣されることで,細菌が宿主の免疫系から逃れる ことが可能となる.

一方,マイコプラズマ( )の

GlpQは,一次構造上では細胞質型のタンパク質であり,

大腸菌UgpQのオルソログであると考えられる.

は非定型肺炎を引き起こす細菌の一種であ り,宿主細胞から自身の構築分子の材料を獲得する.肺 への感染時には肺胞サーファクタントのリン脂質を栄養 源とする.マイコプラズマの 遺伝子を欠失させた 際には,細菌の増殖能の低下,HeLa細胞に対する細胞 毒性の低下が引き起こされる(15)

そのほかの細菌のグリセロホスホジエステラーゼ 枯草菌( )には,細胞質型グリセロホ スホジエステラーゼであるYqiKが存在し,浸透圧調節 に関与していると報告されている(16). は オペロンに存在し,大腸菌のUgpQのオルソログであ る. の発現は高塩濃度の環境下で誘導され,

オペロンを欠失させると枯草菌の高塩濃度環境下 での増殖が障害される(17).放線菌(

図2各生物種のグリセロホスホジエステラーゼ,

および一次構造上類縁のファミリータンパク質の系 統樹解析

生物種̲タンパク質名̲NCBIまたはSwissProt IDとし て表記した

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(4)

)ゲノムは7種もの推定グリセロホスホジエステ ラーゼ遺伝子をコードしている.そのうちのGlpQ1-3は 分泌型であり,UgpQ1-4は細胞質型であるが,酵素活 性についての報告はない(18)

細菌由来のグリセロホスホジエステラーゼの立体構造 グリセロホスホジエステラーゼに共通の立体構造上の 特徴は,トリオースリン酸イソメラーゼが名前の由来で あるTIMバレルフォールドを有することである(図 3A).好熱菌 の細胞質型グリセ ロホスホジエステラーゼ(TM1621)の立体構造が最初 に報告されたが,活性に必要な金属イオンの非存在下で のものであった(19).理研SPring8のタンパク3000プロ

ジェクトでは,好熱菌 の細胞質

型グリセロホスホジエステラーゼ(PDB ID; 1VD6)の 基質結合部位にグリセロールが結合した構造が得られて

いる.好熱菌 の細胞

質型グリセロホスホジエステラーゼの立体構造解析によ ると,その活性中心にはCa2+とグリセロールが結合し ており,これらは基質結合や触媒機構の解明のために重 要である(20)(図3B).Ca2+に結合しているのはGlu44,  Asp46, Glu119であり,いずれの残基をAlaに置換して も酵素活性は失われる.Arg18とLys121は基質のリン 酸基に結合し,His17とHis59による酸塩基触媒の反応 機構が提唱されている.

酵母のグリセロホスホジエステラーゼ

細菌のGlpQとのアミノ酸配列の相同性から,酵母

( ) のYPL110c(Gde1p) と YPL206c(Pgc1p) が 単 離 さ れ た(21).Gde1pは1223ア

ミノ酸からなる細胞質のタンパク質であり,Gde1pを欠 損させた酵母ではGro Choの細胞内での蓄積が観察さ れ,Gde1pは酵母がGro Choを唯一のリン源として増 殖するのに必要であった(21).Gde1pの発現は大腸菌 UgpQと同様に低リン酸濃度の培養条件で上昇すること が報告されており(22),Gde1は多くのリン酸恒常性に関 与するタンパク質に含まれるSPXドメインを有してい る.これらのことから,酵母のグリセロホスホジエステ ラーゼは大腸菌の場合と同様にグリセロホスホジエステ ルからリン酸を獲得するために機能していると考えられ ている.一方,Pgc1pはホスファチジルグリセロールを ジアシルグリセロールとG3Pに分解する活性を有し,

生体膜のホスファチジルグリセロール量を制御している と考えられている(23)

植物由来のグリセロホスホジエステラーゼの同定と 機能解析

シロイヌナズナのゲノム中に13種類のグリセロホス ホジエステラーゼ相同性遺伝子が単離され,タイプA とタイプBの2つのグループに分類された(24).タイプA は一つの酵素活性ドメインを有するAtGDPD1-6であ り,タイプBは2つの酵素活性ドメインをもつ “Long  form” であるAtGDPDL1-7である.シロイヌナズナの 精 製AtGDPD1の 酵 素 活 性 に はMg2+が 必 要 で あ り,

Gro Gro, Gro Cho, Gro Ethに対する分解活性が報告 されている(24).一方,AtGDPDL1はグリセロホスホジ エステルに対してAtGDPD1よりも極めて低い酵素活性 を示すことから(25),タイプBの酵素にはグリセロホス ホジエステル以外の基質が存在する可能性も示唆されて いる. 遺伝子はリンの欠乏により発現が上昇 するが,葉緑体に局在するAtGDPD1を欠損させると G3Pや無機リン酸濃度が減少し,実生の成長速度も低下 する(24)

シロバナルーピンではタイプAに属する2つのグリセ ロホスホジエステラーゼが報告されており,いずれもリ ン酸飢餓で遺伝子発現が誘導される(26).またグリセロ ホスホジエステラーゼ活性を有し,根毛の発生や密度の 制御に関与している.以上の知見は,これらの植物のグ リセロホスホジエステラーゼが,細菌のUgpQと同様に 植物のリン酸飢餓環境への適応に関与することを示唆し ている.

昆虫由来のグリセロホスホジエステラーゼ

昆虫では,イエバエ( )の幼虫のグ

図3 の細胞質型グリセ

ロホスホジエステラーゼの立体構造A, グリセロホスホジエス テラーゼファミリーに共通の特徴としてTIMバレルフォール ドを有する.B, 活性中心付近の構造

Glu44, Asp46, Glu119およびグリセロールの2位の酸素原子がCa2

と結合している.His17とHis59の酸塩基触媒による反応機構が提 唱されている

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(5)

リセロホスホジエステラーゼ活性が解析されている(27). NCBIにはキイロショウジョウバエ(

)のグリセロホスホジエステラーゼと考えられ る複数のタンパク質が登録されているが,機能解析の報 告はない.

哺乳動物におけるグリセロホスホジエステラーゼ 1. 哺乳動物におけるグリセロホスホジエステラーゼの 発見とGDE1の生理機能

哺乳動物のグリセロホスホジエステルに対する分解活 性は,ラット腎臓や脳由来の膜画分と可溶性画分におい て古くに見いだされている(28, 29).特に,ホスファチジ ルコリンの代謝産物であるGro Choが,尿細管での高 濃度のNaClや尿素による浸透圧ストレスに対抗するた めの細胞内有機性浸透圧物質として重要な役割を果たす と考えられており,Gro Choに対する分解活性に興味 がもたれていた.一方,ラットの各脳領域のGro Cho に対する分解活性が明らかにされ(30),脳における分布 や発生過程における解析が行われている(31).しかし一 方で,哺乳動物におけるグリセロホスホジエステラーゼ 遺伝子の単離は進まず,タンパク質の一次構造は未解明 のままであった.最初に単離されたGDE1は細胞内の膜 輸送の研究分野において,またGDE3は骨形成関連因子 の探索の過程で偶然に発見され,さらに推定の酵素活性 領域のアミノ酸配列から,現在では7種類のグリセロホ スホジエステラーゼ相同性遺伝子が単離されている(32)

(図4.哺乳動物におけるグリセロホスホジエステラー ゼは,細胞質型であるGDE5以外はタンパク質構造内に 膜貫通領域を有している.さらに,グリセロホスホジエ ステルを基質とするGDE1, GDE2, GDE3, GDE5,さら にグリセロリゾリン脂質を基質とするGDE4, GDE7の ようにグリセロホスホジエステル以外の新しい基質が見 いだされており,その生物学意義は大きな展開を見せて いる.

FarquharらはG

α

iファミリーのGTPaseの活性化を担 うregulator of G-protein signaling(RGS)16の膜輸送 における生理機能を解明する中で,RGS16をbaitとし た酵母ツーハイブリッド法によってMembrane Inter- acting Protein of RGS16(その後,GDE1と命名)を単 離した(33).GDE1は2回膜貫通型タンパク質であり,細 胞外,あるいは細胞内腔において酵素活性を発現すると 考えられている.GDE1はGro InsをG3Pとイノシトー ルに分解するホスホジエステラーゼ活性をもつことが明 らかにされた(34).Mg2+の存在下で活性は上昇し,ま

た,Gro Ins以 外 に もGro Ins-4,5P2,お よ びGro Ser を基質とすることが示された.一方,GDE1欠損マウ ス(35)では,Gro Serレベルの上昇が認められることか ら,GDE1がGro Serの加水分解を担うことが示され,

また,GDE1欠損マウスの中枢神経系においてGro Ins レ ベ ル も 著 し く 上 昇 し, で の 活 性 と 同 様 に Gro InsはGDE1の良好な基質であることが確認された

(図5.一方,GDE1はカンナビノイド受容体の内在性 リガンドの一つである神経伝達物質anandamide(ara- chidonoyl ethanolamine)の生合成においても関与する ことが で示され,GDE1のグリセロホスホジエ ステルとは異なる基質として報告されていたが(36, 37), GDE1欠 損 マ ウ ス に お い て は 中 枢 神 経 系 に お け る,

anandamideの 産 生 量 に 変 化 が な か っ た こ と か ら,

GDE1は生体でのanandamideの生合成には関与しない と考えられている.

2. 腎臓および運動ニューロンにおけるGDE2の多彩な

生理機能

GDE2タンパク質は6回膜貫通領域を有し,細胞内小 胞 膜 と 形 質 膜 に 局 在 す る(38).マ ウ ス 腎 集 合 管 細 胞 mIMCD3細胞を用いた解析によって,GDE2がGro Choを加水分解することが明らかにされた.mIMCD3 細胞においては,細胞外の高Na濃度による浸透圧スト レスがGDE2の発現量を減少させ,結果的に細胞内の Gro Cho量を増加させるとした(39).Gro Choはタンパ ク質などの高分子化合物の構造を安定化させ,細胞外の 高Na,あるいは高尿素に対する細胞内の浸透圧保護 物質としての重要な働きをもつことから,GDE2は細胞 内のGro Choレベルの調節を通して浸透圧の適応にお いて重要な役割を果たすと考えられている.一方,

GDE2はGro Choを加水分解とは異なる重要な生理機 能も報告された.Sockanathanらは運動ニューロンの発 生分化において重要であるレチノイン酸によって発現誘 導する因子群を探索する中でGDE2を見いだした(40). GDE2は主に成熟した運動ニューロンには発現し,さら に,GDE2の発現抑制により分裂後期の運動ニューロン 数の減少,および細胞死の増加が認められた(40).その 後,Yanらによって運動ニューロンの細胞分化過程にお いて酸化還元酵素peroxiredoxin 1がニワトリGDE2の Cys25とCys576のS‒S結合を阻害することで,GDE2タ ン パ ク 質 が 活 性 化 さ れ る こ と が 示 さ れ た(41).運 動 ニューロンの発生におけるGDE2の生理機能は,腎臓に おける浸透圧調節とは大きく異なっており,GDE2の RECK(reversion-inducing cysteine-rich protein with 

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(6)

Kazal motif s)タンパク質のグリコシルホスファチジル イノシトールアンカーからの切断活性に基づくと考えら れている(42).RECKはノッチリガンドであるDelta-like1 のメタロプロテアーゼによるプロセシングを阻害するこ とで,大脳皮質ニューロン前駆細胞のノッチシグナルを 活性化していることから,GDE2はRECKのGPIアン カーからの切断(図5)によってDelta-like1を不活性化 し,大脳皮質神経細胞の分化誘導を調節していると考え られている(43).以上のように,GDE2によるRECKの GPIアンカーからの切断は,グリセロホスホジエステ ル,つまりGro Choの加水分解とは異なるホスホジエ ステラーゼ活性を示す点において極めて興味深い.

3.GDE3は骨芽細胞分化を誘導する

GDE3は骨芽細胞の分化過程において発現が上昇し,

マウス大腿骨や頭頂骨において発現量は極めて高い(44). GDE3はGro Insに特異的な分解活性を示すが,GDE1 がホスホリパーゼD様に加水分解するのに対して,興味 深いことにGDE3はホスホリパーゼC様の活性を示し,

グリセロールとイノシトール1-リン酸へと分解する(45)

(図5).また,Gro Ins-4P, Gro Cho, Gro Serは基質と せず,酵素活性はCa2+依存性であるなど,GDE1とは 性状は大きく異なる.GDE3の推定の酵素活性領域内に 保存されているArg231(図4)の変異は,Gro Ins分解 活性を完全に消失させる.また,GDE3タンパクは7回膜 貫通領域を有し,酵素活性領域は細胞外に面しており(44), 事実,HEK293細胞でのGDE3の過剰発現やMC3T3-E1 細胞の分化誘導において培養液中のGro Insレベルは低 下する.さらに,HEK293細胞においてGDE3は細胞周 縁部や膜状仮足の伸長部に局在し,アクチン線維を消失 させ,細胞の球状化を引き起こした.酵素活性を有さな いGDE3変異体では形態変化は生じなかったことから,

GDE3の 酵 素 活 性 が 重 要 で あ る と 考 え ら れ て い る.

MC3T3-E1細胞においてもGDE3の発現がアクチン骨格 の分解を引き起こされることから,GDE3の酵素活性依

存的なアクチン骨格調節機構は極めて興味深い.GDE3 を安定発現させたMC3T3-E1細胞株において,アルカ リフォスファターゼやCa含量の増加などの石灰化が促 進し,骨細胞分化マーカーの発現誘導が認められた(45). 一方,GDE3安定発現は,骨芽細胞の増殖能の低下を引 き起こしたが,この増殖能に与える影響はGro Insの加 水分解によって引き起こされており,以前のGro Insが 培養甲状腺細胞の増殖因子として働くとする実験結 果(46)と一致する.すなわち,GDE3の発現量の増加によ る骨芽細胞の増殖能の低下が,骨芽細胞の分化の促進に 寄与したと考えられている.

4.GDE5の骨格筋組織における生理機能

GDE5は骨格筋に高発現しており,老化や脱神経に よって起こる骨格筋委縮や糖尿病モデルの骨格筋におい てはその発現量が低下することから,種々の骨格筋の病 態との関連性が示唆されている.GDE5タンパク質は細 胞質に局在しており,他哺乳動物由来GDEとは細胞内 局在の面で大きく異なっている(47).バキュロウイルス を利用したSF9昆虫細胞から精製したGDE5タンパク質 は,Gro Choに対してMg2+依存的に分解活性を示し,

Gro Gro, Gro Ins,およびGro Serに対する酵素活性 は小さかった(47).マウス筋芽細胞株C2C12細胞の筋細 胞分化において,GDE5の発現抑制はmyogeninなどの 筋分化マーカーを発現上昇させ,筋管形成を劇的に誘導 した.これに対して,GDE5の安定発現はC2C12細胞の 筋分化を抑制した.一方,予期せぬことに,酵素活性の ないGDE5のC末欠失変異体(GDE5⊿C471)も,野生 型のGDE5と同様に筋細胞分化を抑制し,GDE5⊿C471 を骨格筋で過剰発現させたマウスでは,II型筋線維遺伝 子の発現減少に伴って筋管の小型化を示した(47).GDE5

⊿C471の発現はheat shock proteinレベルの増加など,

ストレス反応を誘導することも示されており,ストレス 誘導が筋細胞分化能の低下を招いたと考えられる.一方,

GDE5遺伝子はヒト脳においても高発現しており,ヒト 図4細菌,酵母,および哺乳動物のグリセロホスホジエステラーゼタンパク質の推定酵素活性領域のアミノ酸配列の比較

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(7)

染色体DNAの一塩基多型解析によってGDE5遺伝子の 変異と視覚野表面積との関連性が示唆されており(48), Gro Choからのコリン生成経路が脳機能において果た す生理的意義はさらに展開するものと考えられる.

5. 近年明らかになった哺乳動物由来のほかグリセロホ スホジエステラーゼ

GDE4タンパク質は2回膜貫通領域を有し,主に核周 縁部の膜に局在する.一方,最近単離されたマウス GDE7はアミノ酸配列においてマウスGDE4と53.4%の 相同性を有し,ともに2回膜貫通領域を有する点や細胞 内局在において極めて類似した性質を有する.一方,

GDE4とGDE7は,Gro InsやGro Choなど,これまで 想定されていたグリセロホスホジエステルに対する分解 活性を示さなかった.ところが,興味深いことに,リゾ ホスファチジルコリンなどのリゾリン脂質に対するリゾ ホスホリパーゼD活性を有し,G-タンパク質共役型受容 体のリガンドであり,がん細胞の増殖や遊走などの生理 活性を有するリゾフォスファチジン酸(LPA)の産生 に関わることが示された(49)(図5).リゾホスファチジ ルコリンに対するリゾホスホリパーゼD活性はオート タキシンと呼ばれる血清型酵素において報告されてお り,オートタキシン阻害によるがん治療法が模索されて いる.GDE4とGDE7は細胞内型の新規LPA産生酵素で あると考えられるが,さらに,バキュロウイルスを利用 したSF9昆虫細胞から精製したGDE4,およびGDE7タ ンパク質は,アルキル型リゾリン脂質であるリゾPAF

(1- -alkyl- -glycero-3-phosphocholine) も 良 好 な 基 質 とし,アルキル型LPAを産生することも明らかになっ た(49).以上の結果から,GDE4,およびGDE7はLPAや アルキル型LPAを介したさまざまな細胞機能に対して 重要な役割を担う可能性が示され,がん細胞の増殖や遊 走などへの生理的関与を検証することで創薬における応 用が期待される.

まとめ

細菌のグリセロホスホジエステラーゼは,グリセロホ スホジエステルをリン源や炭素源などとして利用するた めに機能しており,ある種の細菌の病原性への機能的関 与も示されている.また酵母や植物においても,細胞内 のリン酸が枯渇した際にグリセロホスホジエステルをリ ン源として利用するために機能していると考えられてい る.一方,哺乳動物のグリセロホスホジエステラーゼ ファミリーの役割が精力的に解析された結果,グリセロ

ホスホジエステルを選択的に加水分解することが示され てきたが,現在では,新たな酵素基質が次々と見いださ れている(図5).以上のように,哺乳動物のグリセロ ホスホジエステラーゼの酵素活性のみならず,生理的,

あるいは病態的機能解析を進めることで,リン脂質生化 学の基礎分野のみならず,創薬などの応用研究において さらなる貢献が期待される.

文献

  1)  D. Corda, M. G. Mosca, N. Ohshima, L. Grauso, N. Yanaka 

& S. Mariggiò:  , 281, 998 (2014).

  2)  T.  J.  Larson,  M.  Ehrmann  &  W.  Boos:  ,  258, 5428 (1983).

  3)  T. J. Larson & A. T. van Loo-Bhattacharya: 

260, 577 (1988).

  4)  P. Brzoska & W. Boos:  , 170, 4125 (1988).

図5哺乳動物のグリセロホスホジエステラーゼにおいて示さ れている酵素基質

GDE1とGDE3はいずれもGro Insを分解するが,その切断箇所 は異なる

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(8)

  5)  P. Brzoska, M. Rimmele, K. Brzostek & W. Boos: 

176, 15 (1994).

  6)  N. Ohshima, S. Yamashita, N. Takahashi, C. Kuroishi, Y. 

Shiro & K. Takio:  , 190, 1219 (2008).

  7)  A. Forsgren, K. Riesbeck & H. Janson:  ,  46, 726 (2008).

  8)  R.  S.  Munson  Jr.  &  K.  Sasaki:  , 175,  4569  (1993).

  9)  H. Janson, L. O. Heden & A. Forsgren:  ,  60, 1336 (1992).

10)  H. Janson, A. Melhus, A. Hermansson & A. Forsgren: 

62, 4848 (1994).

11)  H. Janson, B. Carln, A. Cervin, A. Forsgren, A. B. Mag- nusdottir,  S.  Lindberg  &  T.  Runer:  , 180,  737 (1999).

12)  I. L. Ahren, H. Janson, A. Forsgren & K. Riesbeck: 

31, 151 (2001).

13)  X. Fan, H. Goldfine, E. Lysenko & J. N. Weiser: 

41, 1029 (2001).

14)  L. Serino & M. Virji:  , 35, 1550 (2000).

15)  S. R. Schmidl, A. Otto, M. Lluch-Senar, J. Pinol, J. Busse,  D. Beche & J. Stulke:  , 7, e1002263 (2011).

16)  K. E. Fische & E. Bremer:  , 194, 5197 (2012).

17)  L. Steil, T. Hoffmann, I. Budde, U. Volker & E. Bremer: 

185, 6358 (2003).

18)  F. Santos-Beneit, A. Rodriguez-Garcia, A. K. Apel & J. F. 

Martin:  , 155, 1800 (2009).

19)  E. Santelli, R. Schwarzenbacher, D. McMullan, T. Biorac,  L.  S.  Brinen,  J.  M.  Canaves,  J.  Cambell,  X.  Dai,  A.  M. 

Deacon, M. A. Elsliger  :  , 56, 167 (2004).

20)  L. Shi, J. F. Liu, X. M. An & D. C. Liang:  , 72, 280  (2008).

21)  E.  Fisher,  C.  Almaguer,  R.  Holic,  P.  Griac  &  J.  Patton- Vogt:  , 280, 36110 (2005).

22)  N. Ogawa, J. DeRisi & P. O. Brown:  , 11,  4309 (2000).

23)  M. Simockova, R. Holic, D. Tahotna, J. Patton-Vogt & P. 

Griac:  , 283, 17107 (2008).

24)  Y. Cheng, W. Zhou, N. I. El sheery, C. Peters, M. Li, X. 

Wang & J. Huang:  , 66, 781 (2011).

25)  S. Hayashi, T. Ishii, T. Matsunaga, R. Tominaga, T. Kuro- mori, T. Wada, K. Shinozaki & T. Hirayama: 

49, 1522 (2008).

26)  L. Cheng, B. Bucciarelli, J. Liu, K. Zinn, S. Miller, J. Pat- ton-Vogt, D. Allan, J. Shen & C. P. Vance:  ,  156, 1131 (2011).

27)  G. R. Hildenbrandt & L. L. Bieber:  , 13, 348  (1972).

28)  J.  J.  Baldwin,  P.  Lanes  &  W.  E.  Cornatzer: 

133, 224 (1969).

29)  K. Zablocki, S. P. Miller, A. Garcia-Perez & M. B. Burg: 

88, 7820 (1991).

30)  G.  R.  Webster,  E.  A.  Marples  &  R.  H.  Thompson: 

65, 374 (1957).

31)  J.  N.  Kanfer  &  D.  G.  McCartney:  , 13,  803 (1988).

32)  N. Yanaka:  , 71, 1811 (2007).

33)  B. Zheng, D. Chen & M. G. Farquhar: 

97, 3999 (2000).

34)  B. Zheng, C. P. Berrie, D. Corda & M. G. Farquhar: 

100, 1745 (2003).

35)  F. Kopp, T. Komatsu, D. K. Nomura, S. A. Trauger, J. R. 

Thomas, G. Siuzdak, G. M. Simon & B. F. Cravatt: 

17, 831 (2010).

36)  G. M. Simon & B. F. Cravatt:  , 283, 9341  (2008).

37)  G. M. Simon & B. F. Cravatt:  , 6, 1411 (2010).

38)  Y. Nogusa, Y. Fujioka, R. Komatsu, N. Kato & N. Yanaka: 

337, 173 (2004).

39)  M.  Gallazzini,  J.  D.  Ferraris  &  M.  B.  Burg: 

105, 11026 (2008).

40)  M. Rao & S. Sockanathan:  , 309, 2212 (2005).

41)  Y.  Yan,  P.  Sabharwal,  M.  Rao  &  S.  Sockanathan:  ,  138, 1209 (2009).

42)  S. Park, C. Lee, P. Sabharwal, M. Zhang, C. L. Meyers & 

S. Sockanathan:  , 339, 324 (2013).

43)  P. Sabharwal, C. Lee, S. Park, M. Rao & S. Sockanathan: 

71, 1058 (2011).

44)  N. Yanaka, Y. Imai, E. Kawai, H. Akatsuka, K. Wakimoto,  Y. Nogusa, N. Kato, H. Chiba, E. Kotani, K. Omori  : 

, 278, 43595 (2003).

45)  D. Corda, T. Kudo, P. Zizza, C. Iurisci, E. Kawai, N. Kato,  N.  Yanaka  &  S.  Mariggiò:  , 284,  24848  (2009).

46)  S. Mariggiò, J. Sebastià, B. M. Filippi, C. Iurisci, C. Volon- té,  S.  Amadio,  V.  De  Falco,  M.  Santoro  &  D.  Corda: 

20, 2567 (2006).

47)  Y.  Okazaki,  N.  Ohshima,  I.  Yoshizawa,  Y.  Kamei,  S. 

Mariggiò, K. Okamoto, M. Maeda, Y. Nogusa, Y. Fujioka, 

T. Izumi  :  , 285, 27652 (2010).

48)  T. E. Bakken, J. C. Roddey, S. Djurovic, N. Akshoomoff,  D.  G.  Amaral,  C.  S.  Bloss,  B.  J.  Casey,  L.  Chang,  T.  M. 

Ernst, J. R. Gruen  : Alzheimer s disease neuroimag- ing initiative; pediatric imaging, neurocognition, and ge-

netics  study.  , 109,  3985 

(2012).

49)  N. Ohshima, T. Kudo, Y. Yamashita, S. Mariggiò, M. Ara- ki, A. Honda, T. Nagano, C. Isaji, N. Kato, D. Corda  : 

290, 4260 (2015).

プロフィール

大嶋 紀安(Noriyasu OHSHIMA)

<略歴>1996年東北大学理学部生物学科 卒業/1998年同大学大学院理学研究科修 士課程終了/2002年東京大学大学院医学 系研究科博士課程修了/同年理化学研究所 播磨研究所リサーチアソシエイト/2005 年理化学研究所基礎化学特別研究員/2008 年群馬大学大学院医学系研究科研究員/

2009年同大学大学院医学系研究科助教

<研究テーマと抱負>脂質生化学.酵素 学.グリセロホスホジエステルの代謝から 脂質代謝を理解したい<趣味>魚釣り,料 理

中村 美奈子(Minako NAKAMURA)

<略歴>現在,広島大学大学院生物圏科学 研究科在学中<研究テーマと抱負>分子栄 養学,常にチャレンジャーの精神をもって 物事に取り組みたい<趣味>クラシックギ ター,食べること

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(9)

矢中 規之(Noriyuki YANAKA)

<略歴>1989年京都大学農学部農芸化学 科卒業/1991年同大学大学院農学研究科 修士課程修了/同年田辺製薬株式会社

(現,田辺三菱製薬)応用生化学研究所/

2001年 広 島 大 学 生 物 生 産 学 部 助 教 授/

2007年同大学大学院生物圏科学研究科准 教授<研究テーマと抱負>分子栄養学,新 規酵素の生理的意義を発見しつつ,新しい 研究分野を開拓したい<趣味>瀬戸内海で 釣り糸を垂らし,美しい島々を眺めつつ,

たまに研究を思い出す

Copyright © 2016 公益社団法人日本農芸化学会 DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.54.387

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

Referensi

Dokumen terkait

によって引き起こされる トマトの根腐れを防除することやコウチュウ目昆虫に対 して殺虫活性を示すことが報告されている12, 13.また, はその代謝物を使用して開発された液体 製剤に,蚊の幼虫に殺虫活性があることが報告されてい る14.したがって, および のアカイエカに対する殺虫活性は世界初の報告とな る. 本研究では殺ボウフラ活性を示す4種類の細菌を土壌

現状において主なワクチン接種方法は,注射型ワクチ ンであるが,近年注目されているのが粘膜ワクチンであ る.注射型ワクチンが全身性免疫(IgG)を誘導し予防 効果を発揮するのに対し,粘膜ワクチンは経鼻粘膜また は腸管粘膜上において,全身性免疫と粘膜免疫(IgA) の両方を誘導する.ヒトの体内で病原体が最初に接触す る部分は粘膜上皮であるため,粘膜上の免疫効果を高め