基準11 社会的責務(組織倫理、危機管理、広報活動等)
【11-1.社会的機関として必要な組織倫理が確立され、かつ適切な運営がなされてい ること。】
(1)11―1の事実の説明(現状)
11-1-① 社会的機関として必要な組織倫理に関する規定がされているか。
建学の精神に定める大学の基本理念の下、本学では社会的機関として必要な組織倫理を
「学校法人樟蔭学園規程集」において、規定、規則を定め、教職員の法令遵守の徹底に努 めている。
教職員が遵守すべき行動基準、倫理基準について「服務規律」を就業規則にて規定して いる。また、「大阪樟蔭女子大学学則」、「大阪樟蔭女子大学大学院学則」において、教育研 究水準の向上と社会的使命の達成を目的として、教育活動の状況並びに研究について、自 ら点検及び評価を行うこととしている。
本学は伝統ある女子大学として、人間性をはぐくむ教養と各専門領域の学術技芸との融 合を重視した教育と研究を推進し、地域社会、企業社会、さらには国際社会に貢献しうる 人間性豊かな人材を育てるとともに、総合的な「知の拠点」として先進的な研究を展開し、
学術的な新知見を国内外に発信して地域の活性化と我が国の発展、人類の幸福に貢献する ことを大学設置における重要な使命としている。
この使命を遂行していく上で、本学に属する研究者各自は基本的な倫理的規範を遵守し、
本学の学術研究が社会の厚い信頼と尊敬を得るために、研究を遂行する上で遵守すべき内 容や、研究を遂行する上で求められる行動・態度の倫理的規準を定め、またそれを実施展 開するための諸規程を整備している。研究倫理に関する規程としては、「大阪樟蔭女子大学 研究倫理規準」、「大阪樟蔭女子大学研究倫理委員会規程」、「大阪樟蔭女子大学研究活動の 不正行為対応規則」、「『人を対象とする研究』計画等の審査についての申し合わせ」、「『生 命体を直接対象とする研究』に関する規程」を平成 19(2007)年度から整備している。
また、個人情報保護に関して、「学校法人樟蔭学園における個人情報保護についての考え 方」並びに「学校法人樟蔭学園における個人情報保護についてのガイドライン」を平成
17(2005)年4 月に定め運用している。
〈主な規程及び規則〉
・学校法人樟蔭学園 就業規則
・学校法人樟蔭学園 セクシュアル・ハラスメントの防止に関する要項
・学校法人樟蔭学園 セクシュアル・ハラスメントを防止するために 職員が認識すべき事項(指針)
・大阪樟蔭女子大学 研究倫理基準
・大阪樟蔭女子大学 研究倫理委員会規程
・「人を対象とする研究」計画等の審査についての申し合わせ
・大阪樟蔭女子大学 研究活動の不正行為対応規則
・「生命体を直接対象とする研究」に関する規程
・大阪樟蔭女子大学研究費の適正な運営・管理のための基本指針
・大阪樟蔭女子大学科学研究費補助金取扱要綱
・研究審査会の審査手続きについてのガイドライン
・学校法人樟蔭学園危機管理対策要項
・学校法人樟蔭学園における個人情報保護についての考え方
・学校法人樟蔭学園における個人情報保護についてのガイドライン
11-1-② 組織倫理に関する規定に基づき、適切な運営がなされているか。
・就業規則について
本学では、入職時に初任者研修会を開催し、各教職員に就業規則その他の諸規程、規則 を周知し適切な行動を行うよう指導を徹底している。
・セクシュアル・ハラスメントの防止について
規定とガイドラインを定め、セクシュアル・ハラスメントの定義と防止に関する基本姿 勢を示している。また、セクシュアル・ハラスメントの対象、組織、秘密厳守と不利益扱 いの禁止、セクシュアル・ハラスメント防止のための啓発活動、相談及び苦情処理の体制、
手続きを定めている。毎年リーフレットを全ての教職員及び学生へ配布し、教職員を対象 に研修会の企画、開催を行っている。
・研究倫理について
規程を整備し、学外委員を含めた形で「研究倫理委員会」を組織し、設置している。ま た、研究計画の審査に関しても、「研究計画審査会」と「生命倫理分科会」を設置している。
例年、「生命体を直接対象とする研究」に関して、10 件弱の研究計画について、ヒアリン グおよび審査を行っている。また、「生命体を直接に対象としない研究」については、研究 計画審査会が、専門委員(臨時委嘱)の意見を容れながら審査を行っている。
・公的研究費等の管理・監査について
前項に示すように基本指針と取り扱い要綱を定め、公的研究費等の適切な管理・監査を 図っており、研究倫理委員会及び大学事務局が管理・運営にあたっている。
(2)11-1の自己評価
本学においては、社会的機関として必要な組織倫理に関する種々の規程や規則、ガイド ライン等が定められ、これらの規程等に基づいて業務が行われるよう体制が整備され、適 切に運用されていると評価できる。
研究倫理の内容を定めた「倫理規準」および、その実施体制、研究計画審査、不正行為 への対応について定めた「研究倫理委員会規程」、「不正行為対応規則」、「研究計画等の審 査についての申し合わせ」、「生命体を直接対象とする研究に関する規程」など、実体・内 容に関するルールと、手続きに関するルールの双方について定めている。また、研究計画 の審査のあり方については、「生命を直接対象とする研究」に関しては平成 16(2004)年か ら運営の実績があり、また平成19(2007)年度からは「生命体を直接対象とする研究」に限 らず、全学的な取り組み体制が整備されている。研究計画の申請があってからおよそ2週 間をめどに審査結果を通知するなど、適切な運営がなされてい る。
大きく変貌しつつある高等教育や社会現象に迅速、的確に対応することが必要であり、
規定と運用の内容については常に見直しを行っていかなければならないと考える。
(3)11-1の改善・向上方策(将来計画)
組織倫理に関する諸規程について、適切な運用が維持されるよう努力し、改善、見直し 等を各委員会、事務局を中心に継続して推進していく。
研究倫理については、研究計画審査について意義の理解を広めていくことが必要である。
そのためには、時宜に応じた研究審査手続きの確立(継続)と厳正・公平な運用によって、
学内研究者への認知と信頼を獲得していくことが、着実な方策であろう。
【11-2.学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能していること。】
(1)11―2の事実の説明(現状)
11-2-① 学内外に対する危機管 理の体制が整備され、かつ適切に機能しているか。
各部局で個別に準備されていた諸規定をとりまとめ、「学校法人樟蔭学園 危機管理対策 要項」の制定作業を進めている(平成 21(2009)年 5 月 29 日制定)。本学では、現在までの ところ大きなトラブルがなく推移しているが、将来発生が予想される様々な事象による危 機を未然に防ぎ、本学教職員、学生及び近隣住民等の安全確保、社会的な責任を果たすた めの要項を整備しつつある。
個人情報保護については、「学校法人樟蔭学園における個人情報保護についてのガイドラ イン」に基づき理事長を個人情報保護統括管理者に充てている。法令を遵守し、個人情報 を保護するとともに、個人の意思を尊重して当該個人情報を取り扱うことが社会的な責務
(2)11-2の自己評価
危機管理に関しては、前述の「学校法人樟蔭学園 危機管理対策要項(又は大学の規程)」
を基準として、部局ごとに発生が予想される危機事象に対応した体制は着実に整備されつ つあるが、全学的な連携については未だ構築途上にある。想定されるいかな る状況に対し ても柔軟に対応できるように、一層の整備・拡充を図る必要がある。
個人情報保護については、法人制定のガイドラインにより適正に取り扱いがおこなわれ ている。
なお、平成 21(2009)年 5月の新型インフルエンザ発生に当たっては、上記危機管理対策 要項に沿った対応が可能になり、迅速・的確に運用されて感染拡大と無用の混乱を防ぐこ とができた。
(3)11-2の改善・向上方策(将来計画)
現在、全学園を包括した防災マニュアル、管理体制の構築に取り組んでいるが、早期の 完成を期す。また、防災対策では地域との協力・補完関係を重視する立場から、広域避難 誘導及び避難場所の確保について、周辺地域の行政担当者との連携を図っていく。
【11-3.大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備され ていること。】
(1)11-3の事実の説明(現状)
11-3-① 大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備さ れているか。
大学の教育研究成果を学内外に広報活動する体制としては、まず委員会組織として学術 研究委員会がある。各学科から選出された、12人の委員が委員長の指揮下で 公開講座の企 画・運営、それぞれ年に 1号刊行される研究紀要としての「大阪樟蔭女子大学(学芸学部)
論集」と「大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要」の企画・編集と発行前の点検を担当して いる。また、事務部局には平成 19(2007)年度から学術振興課を設置し、学術研究委員会の 活動を事務的に支えると同時に、企画・実施・点検に幅広く参画している。また、公開講 座についての事前告知や実施報告については、大学ホームページも活用している。
法人本部企画広報室ではイントラネットを通じ、学園内の教育研究活動について紹介を 行い、また、学園報「くす のき」を発行し、全学園の在学生並びに卒業生に送付の他、ホ ームページにより学外へ積極的に広報活動を行っている。
(2)11-3の自己評価
学術研究委員会と学術振興課の連携によって、本学の教育研究活動の広報体制は、教職 員一体となって取り組む体制ができている。本学は教育研究成果の社会還元に積極的に取 り組み、学外向けのイベントとしては平成 19(2007)年度から「日本文化塾」が開催される などしているが、多くの企画が土曜日に開催されており、他の 公開講座などと重複するな ど、限られた事務局の人的資源の配分に苦労している。こうした多忙化への配慮は必要で ある。
(3)11-3の改善・向上方策(将来計画)
教育研究活動の適切な広報のために、委員会・事務局との連携ができたことは良いが、
他の業務での多忙化を解消することが必要である。学術研究委員会を中心に 公開講座の整 理・統合などを検討している。
また、大学ホームページの活用を図りながら、より見やすく、正確でアクセスしやすい 成果公表と広報活動に努める。
【基準11の自己評価】
組織倫理は各種の規定として明文化されており、大学の運営はそれに基づいて適切にな されていると評価できる。
危機管理体制は各部局において整備が進められているが、全学的連携になお改善の余地 がある。
教育研究成果は様々な機会と手段を用いて積極的に公開されており、社会的還元におい ても成果を上げていると評価できる。
【基準11の改善・向上方策(将来計画)】
組織倫理規定は整備されているが、それを教育研究、大学運営に具体化するのは各々の 構成員である。随時研修会等を催し周知徹底をはかるとともに、意識を高める啓発活動に も力を入れていく。
危機管理体制が実効的に機能することを確認、保証するため、組織・規定の整備を進め るとともに、防火・避難訓練を平成21(2009)年度中の実施を予定している。また、災害対 応シミュレーションなどを計画・実施していく。