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学生男子短距離選手におけるフォーム改善に関する一考察

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Academic year: 2025

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1 .はじめに

陸上競技の短距離走の選手は,百分の一秒,

時には千分の一秒を争う種目特性上,多種多様 なトレーニングに励んでいる。短距離種目の競 技力向上には疾走速度が重要であり,その疾走 速度を増大させるためには,疾走動作の関係が 深いことが報告されている1 , 2 )

短距離走トレーニングにおいて,疾走動作改 善の方法として『もも上げ』や『スキップ』な どの器具を使用せずに行うスプリントドリルや,

ラダーやミニハードルなどの用具を使用して行 うトレーニングなどが行われている。また,疾 走動作中における脚の接地時では,連続的な支 持による筋活動が行われる関係上,ウェイトト レーニングや補強運動などの筋力トレーニング も必須となる。

ハードルを用いたトレーニングに焦点を絞る と,股関節の可動域の増大を目的としたドリル や自重を利用した補強運動などが行われてい る。そもそも,陸上競技種目であるハードル競

技は障害をスムーズに跳び越え,ゴールライ ンを如何に速く通過できるかを競う競技である。

その為,ハードル種目の競技力向上を目指した トレーニングでは,スムーズなハードリングの 為にハードルドリルやスタートからの 1 台目の アプローチ,ハードルのインターバルを正規の 長さよりも短くすること,ハードルの高さを変 えることなど様々な方法が行われている。本来,

ハードル競技は大きな枠組みで考えると短距離 走の延長として捉え,短距離疾走能力が高いこ ともハードル競技の競技力を測る要素としては 重要である。この視点から逆説的な発想すると,

ハードル走を短距離選手のトレーニングに取り 入れると短距離の競技力向上につながる可能性 も考えられる。しかしながら,トップアスリー トの代表的なトレーニングメニューの中にハー ドル走のトレーニングが行われていることが確 認できない。3 )また,短距離選手の成長過程の 中でどの程度,ハードルを用いたトレーニング として組み込まれていることもついても少ない と考えられる。

《研究ノート》

学生男子短距離選手におけるフォーム改善に関する一考察

田中 悠士郎

A study of improvements on running movements in collegiate sprinters

Yujiro TANAKA

キーワード:陸上競技,短距離,疾走フォーム,ハードル走,トレーニング Key Words: Athletics, Sprint, Running Movements, Hurdling, Training

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国際陸上競技連盟が認定しているコーチ教育 認証システム(IAAF Coaches Education and Certification Systems)では,発育発達の段階 に応じて走・跳・投の遊び(楽しみ)から専 門種目への移行が推奨され実行されている。4 )

(図 1 )しかし,我が国においては,中学生や 高校生で専門種目を持ち,その専門種目への取 り組みが行われている。そのため,様々な種目 への経験が少ないように思われる。

このことから,ある程度競技経験を有する大 学生を対象として,これまで短距離の競技力向 上を目指した疾走フォーム改善の為にどのよう なトレーニングを行っていたか,また,ハード ルを使用した経験の有無やその目的や方法を 行っていたのかという実態を把握することが今 後のトレーニング内容の検討に必要な資料と考 えられる。そこで,予備調査として,男子学生 短距離選手を対象に以下の項目について実態を 明らかにする。

・ これまで取り組んだ疾走フォーム善の取り 組みついて

・ ハードルを用いたトレーニング経験とその方 法について

・ ハードル走トレーニングの疾走フォーム改善 への関与

2 .調査方法

調査は流通経済大学陸上競技部の短距離ブ ロックに所属する男子学生18名を対象に実施し た。調査対象の競技歴や競技レベルといった競 技活動の実態に関しては表 1 に示す通りである。

調査期間は平成26年10月27日から11月22日,週 に 2 回ハードルドリルもしくは,ハードル走の トレーニングを行っていた。調査項目は疾走 フォーム改善への取り組みについて,ハードル を用いたトレーニング経験について,ハードル 走のトレーニングによる疾走フォームの意識改 善についてアンケート用紙を用いて調査を実施 した。

る。そのため、様々な種目への経験が少ないように思われる。

このことから、ある程度競技経験を有する大学生を対象として、これまで短距離の競 技力向上を目指した疾走フォーム改善の為にどのようなトレーニングを行っていたか、

また、ハードルを使用した経験の有無やその目的や方法を行っていたのかという実態を 把握することが今後のトレーニング内容の検討に必要な資料と考えられる。そこで、予 備調査として、男子学生短距離選手を対象に以下の項目について実態を明らかにする。

・これまで取り組んだ疾走フォーム善の取り組みついて ・ハードルを用いたトレーニング経験とその方法について

・ ハードル走トレーニングの疾走フォーム改善への関与

2. 調査方法

調査は流通経済大学陸上競技部の短距離ブロックに所属する男子学生18名を対象に 実施した。調査対象の競技歴や競技レベルといった競技活動の実態に関しては表1に示 す通りである。調査期間は平成261027日から1122日、週に2回ハードルド リルもしくは、ハードル走のトレーニングを行っていた。調査項目は疾走フォーム改善 への取り組みについて、ハードルを用いたトレーニング経験について、ハードル走のト レーニングによる疾走フォームの意識改善についてアンケート用紙を用いて調査を実 施した。

図 1  IAAFが推奨するアスリート発達における五段階の過程

(3)

3 .トレーニング実態及びハードルを 用いたトレーニング方法

流通経済大学陸上競技部のトレーニング実態 として,週 5 日のトレーニング日があり,その 中,スピードを高める為のトレーニング・ス ピード持久を高める練習・ウェイトトレーニン グ・補強運動・バランスや調整力といった巧緻 性を高めるトレーニングを配分して実施してい る。とくに調査期間は,来シーズンに向けた鍛 錬期に備える移行期間であり,フォーム改善な どを取り組むにあたり適しているとされる時期 である。これまで,ハードルを用いたトレーニ ングについては,ハードルドリルやギャロップ のようなステップをつけてリズミカルに跳び越 える「 1 歩跳び」などを定期的に(週に 1 回程 度)行っていた。今回の移行期間においては,

ハードル走をメインとして,100〜120mの直線 を利用し,ハードルのインターバルや高さは正 規(男子110mハードル)とは異なるものを採 用した。

4 .結果と考察

Ⅰ.疾走フォーム改善への取り組みに関す る質問では,ほとんどの選手がこれまで疾走 フォームの改善に取り組んだ経験を持っていた

(図 2 )。

また,その中で多く占めていたトレーニング 方法としては,ミニハードルを用いたトレーニ ングが特に多く,次に器具を用いないスプリン トドリル,ラダー,腕振りの改善,ハードルを 用いたトレーニングの順であった(図 3 )。 こ のことから,中学や高校といった導入段階での 疾走能力改善の為のトレーニング方法として,

ミニハードルやスプリントドリルといった種目 が中心であるという実態が見受けられた。

Ⅱ.ハードルを用いたトレーニング経験とそ の方法についての質問では,ハードルドリルと ハードルジャンプが一際多く,続いてシャトル ハードルやサーキット種目として行われるハー ドル走や補強運動が多く, 3 歩や 5 歩以上で 越えるハードル走の経験数は少なかった(図 4 )。 これらのことから,これまで行われてい るハードルを用いたトレーニングとしては,股 関節の可動域を広げる為のハードルドリルや,

表 1  調査対象における競技活動の実態

専門種目 人数 競技歴 人数 競技レベル 人数

100m 5 1 年未満 0 全国 1

200m 1 1 - 3 年未満 6 地域 4

400m 5 3 - 6 年未満 5 都道府県 5

110mH 3 6 年以上 7 地域 6

400mH 4 n=18 該当なし 2

n=18 n=18

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接地時間の短縮を求めたプライオメトリックス として行われるハードルジャンプなどが主たる 目的として行われている傾向が伺えた。

Ⅲ.ハードル走をトレーニングとして導入し た結果,「難しい」もしくは,「やや難しい」と 答えた選手が多かった(図 5 )。この結果から,

これまでのトレーニング過程において,ハード ル走の経験不足が影響していることが考えられ た。

また,適性だと思うハードルの高さやイン ターバル設定については,実際に今回のトレー ニングに採用されているユースの高さ(男子 400mの高さ)と7.5m- ₈ mが含まれる「楽に 3 歩で走れる距離」が多かった(図 6 , ₇ )。こ

れは,前述した難易度の質問と合わせてみると,

「難しい」と考える一方で今回のハードル走ト レーニングで用いられた高さやインターバルが 適性であったことが伺える。

そして,ハードル走を取り入れたことによる フォーム改善の意識づけへの関与についてであ る。股関節の可動域増大に繋がったかどうかと いう問いに対して,「やや思う」や「ふつう」

という回答が多かった。(図 ₈ )次に「リード 脚を意識することにより,支持脚(接地脚)の地 面への,力の伝達や重心移動が意識できるよう になった」と答えた選手が多かった。(図 ₉ )。

また,ハードルの抜き足の素早い霧替え動作が 短距離疾走中の接地時間の短縮意識に繋がっ たかどうかという問いに関して,「思わない」

図 ₂  これまで疾走フォーム改善に取り組んだ 経験の有無      

図 ₃  これまで取り組んだ主なフォーム改善    トレーニング方法( ₃ つまで回答可)

図 ₄  これまで取り組んだハードルを用いた   トレーニング例( ₃ つまで回答可)

図 ₅  調査対象者におけるハードル走の主観的難易度

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や「やや思わない」というネガティブな意見は 少数であった。(図10)さらに,ストライドコ ントロールが短距離疾走中の速度に合わせた接 地の意識改善に多くの選手が「思う」「やや思 う」と答えた。(図11)以上のように,すべて の質問に関して,「思わない」「やや思わない」

というネガティブな回答が少なく,ハードル走 のトレーニングが短距離疾走フォームの意識改 善につながっていることが伺えた。また,「普 通」と答える選手も多かったが,トレーニング の継続期間が短かったということが,影響して いたのではないかと推測される。いずれにして

図 ₆  調査対象者の主観的な適性ハードル高 図 ₇  調査対象者の主観的な適性ハードルインターバル間

図 ₉  ハードル走におけるリード脚意識が短距離疾走中    の支持脚による力の伝達や重心移動の意識改善へ

の主観的関与       

図1₀ ハードル走における抜き足の素早い切り替え    動作が短距離疾走中の接地時間の短縮の意識

改善への主観的関与        

図11 ハードル走におけるスピード低下の軽減のため    のストライドコントロールが短距離疾走中の速

  度に合わせた接地の意識改善への主観的関与 図 ₈  ハードル走の実施による股関節可動域増大

への主観的関与         

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も,ハードル走のトレーニングがフォーム改善 への意識づけに有用的なものであると考えられ た。

5 .今後の課題として

男子学生短距離選手に対して行ったハードル 走トレーニングが短距離疾走フォームへ改善へ の意識づけとなったことが伺えた。ただし,実 際にどの程度貢献しているかについては,長期 的な調査を実施し,疾走動作の改善の有無につ いても検討する必要がある。

さらには,今回のアケート調査により,大学 生短距離選手がこれまでのトレーニング過程の 中で,ハードルを用いたトレーニング(特に

ハードル走)の経験が少ないと言う結果が得ら れた。前述した,国際陸上競技連盟の提唱する 段階的トレーニングでのオールラウンドから専 門種目への移行やクロストレーニングの導入と いう点で我が国のトレーニング方法の課題が考 えられる。

引用文献

1 )小林寛道:ランニングパフォーマンスを高めるス ポーツ動作の創造.杏林書院:東京, pp16-23, 2001 2 )伊藤章,短距離選手に関する研究:コーチングに

役立つ科学的根拠を求めて,体育学研究,2003, 48

⑷, pp355-367

3 )佐久間和彦,高瀬慧選手の成長に合わせたトレー ニング,陸上競技研究,2014, 96⑴, pp39-42 4 )IAAF : INTRODUCTIONTO COACHING :

International Association of Athletics Federations, pp57-64, 2005

Referensi

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