家庭調理及び調理済冷凍食品

(1)

調理条件および食品廃棄物の観点からの

家庭調理及び調理済冷凍食品

との LC-CO 2 比較

株式会社ニチレイ小柳津新一 2014.3.20

食品研究会 Part.2

於・工学院大学

【話題提供】

(2)

研究目的および背景

 両者の環境負荷量は大差がない。

 条件次第では、冷凍食品に優位性。

冷凍

食品「エネルギー多消費型」！？

 比較条件により結果が異なる

 比較検討例が少ない

 比較によっては他業種を攻撃（ cf. チルド）

 家庭調理条件視点からの評価は皆無。

冷食の LCA 評価に関する課題

仮説

(3)

プロセス梱包・出荷準備

原料ほうれん草

保管カット・選別・洗浄

ブランチング凍結秤量・包装

梱包保管

店舗アクセスプロセス原材料調達

段階生産段階流通・販売

段階

使用・維持管理段階

廃棄・

リサイクル段階システム境界

種苗製造・輸送

製造・輸送容器包装付属品製造・輸送肥料・農薬

原料ほうれん草

副資材

製造・輸送

廃棄物廃水輸送・処理処理段

ボール包材

製品

副資材製造・輸送輸送保管プロセス

販売プロセス

廃棄物輸送・処理販売準備プロセス

製品

廃容器包装廃資材家庭保管家庭調理

調理品

廃棄物輸送埋立

輸送焼却リサイクル

製造・輸送肥料・農薬

廃棄物栽培プロセス

サイト間輸送、保管出荷準備プロセス

廃水副資材種苗

ほうれん草

廃容器包装

IDEA

製造・輸送

廃資材製造・輸送

製造・輸送

輸送・処理処理

副資材製造・輸送

販売準備プロセス輸送保管プロセス

販売プロセス原材料調達

段階生産段階

家庭保管家庭調理流通・販売

段階

使用・維持管理段階

廃棄・

リサイクル段階

調理品廃棄物容器包装

付属品

輸送埋立輸送焼却

リサイクルシステム境界

廃棄物輸送・処理

家庭調理品検討内容

◇検討したパラメータ

1. 1 調理あたりの食数

◇対象アイテム

ゆでホウレン草

◇機能単位

12 食分 (33.3g/1 食）

家庭調理品；生鮮ホウレン草

3

束分冷凍食品

；

2

パック分

2. 単位期間あたりの調理頻度 3. 食品廃棄物量

冷凍食品

(4)

研究発表会 (2014.3.5) からの変更点

 家庭調理品の計算結果の一部修正

・家庭における原料保管に関する算定式の修正

→ 家庭調理品の結果（結論に及ぼす大きな影響は無し）

 家庭調理品と冷凍食品の水・電気・ガス等使用量に関する詳細比較

 家庭調理品における LC-CO2 低減方法

→ ホームフリージングのデータの追加

 食品廃棄物での解析結果の補足

・機能単位設定に関する考察

12 食分喫食あたりの機能単位および

12 食分調理あたりの機能単位での試算

(5)

手法の手順

シュミレーション計算・解析

設定条件別にシュミレーション計算比較試験別に集計・解析

→

考察

計算ファイル作成

シナリオ設計・計算式反映設定条件の「数値化」

データ収集

家庭調理時データ収集

(

実測

)

製造工場からのデータ収集

試験内容の設定

機能単位比較方法検討

LC

フロー図シナリオ設計

インベントリデータ

・・・製造工場からの提供データ、実調理時の実測データ計算ルール・・・弊社グループの算定ルールに準拠。

計算ツール・・・弊社グループの製品用

LC-CO2

算定ツールを利用。

(6)

1. 1 調理あたりの調理食数に関する検討 ( 方法 )

 n

人世帯のうちの一人が対象



原料は

12

食分

(3

束

)

購入、未使用分は冷蔵保管。

→

使い切ったら、新たに

12

食分購入。



一回あたり

1 ～ 12 人分

のゆでホウレン草を調理、

12

日間繰返し

→

一人当たりの環境負荷を比較

 1

回

(1

日

)

あたりに調理するホウレン草の食数

(1

食～

12

食分

)



トータルで調理する原料ほうれん草の量

→

原料ホウレン草の保管量、保管日数前提条件

変動パラメータ

1調理あたりの

調理食数 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 11日目 12日目

1食分/1調理 ^{1食分調理}

残11食分保管 1食分調理残10食分保管

1食分調理残9食分保管

1食分調理原料保管無

残10食分保管 2食分調理残8食分保管

残9食分保管

4食分/1調理 _{残8食分保管}^{4食分調理} _{残4食分保管}^{4食分調理} _{原料保管無}^{4食分調理} 6食分/1調理 _{残6食分保管}^{6食分調理} _{原料保管無}^{6食分調理}

原料保管無

冷凍食品家庭調理品

1

人あたり

12

日間で

12

食喫食

1回繰り返し 2回繰り返し

3回繰り返し 5回繰り返し

11回繰り返し



当日食べる分のみを調理



世帯にいる人は必ず毎日

1

食喫食



食べ残しは無し。

 12

日間まで繰り返し。

(7)

0 0.5 1 1.5 2 2.5

1

食分

2

食分

3

食分

4

食分

6

食分

12

食分

ゆでたほうれん草の

LC -CO

2

[kg C O

2

/u n it]

家庭調理品冷凍食品

1. 1 調理あたりの調理食数に関する検討 ( 結果 )

→ 個食化が進む中、冷凍食品が環境上メリットを訴求できる可能性。

 単身世帯・核世帯数・・・国内全体の 9 割、単身世帯は増加傾向

単身者や個食化した世帯での冷凍食品の使用は環境負荷低減に貢献可能。

(8)

2. 調理頻度に関する検討 ( 方法 )

1調理あたり

の調理食数 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 11日目 12日目 4食分調理

+ 残り3食冷蔵保管

4食分調理 1食喫食

冷蔵保管 (3食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (2食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (1食)

1^食分喫食 4食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (3食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (2食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (1食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (3食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (2食)

1^食分喫食

冷蔵保管 (1食)

1^食分喫食

2食分調理 + 残り1食冷蔵保管

2^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (1食)

1食分喫食

2^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (1食)

1食分喫食

2^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (1食)

1食分喫食

2^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (1食)

1食分喫食

2^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (1食)

1食分喫食

2^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (1食)

1食分喫食

毎日

1食分調理 1食分調理 1食喫食

冷凍食品

毎日

1食分調理 1食分調理 1食喫食

1食分調理 1食喫食家

庭調理品



単身者が一度に調理したものを

複数日に分けて喫食する

ケース。



一度に調理する食数

(

調理頻度

)

を変えて検討。



単身者



原料は

12

食分

(3

束

)

購入、

未使用分は冷蔵保管。

前提条件

 1

回あたりに調理するホウレン草の食数

(1

・

2

・

4

食

)



調理品の保管数量、保管日数



原料ホウレン草の保管数量・保管日数変動パラメータ

12

日間で

12

食喫食



毎日

1

食ずつ喫食

(12

日間）



複数日に分けて喫食

(

冷蔵庫

)



食べ残し・食べ忘れ無し

(9)

2. 調理頻度に関する検討 ( 結果 )

0 0.5 1 1.5 2 2.5

4食分調理 (残冷蔵・喫食)

毎日1食分調理毎日1食分調理

ゆでホウレン草の

LC -CO

2

[kg CO

2

/u n it]

廃棄・リサイクル使用・維持

(

調理）

使用・維持

(

保管）

流通・販売生産

原材料調達

 原料を 12 食まとめて購入した場合の家庭調理品

→ 総じて冷凍食品の環境負荷に比べて高い傾向。

家庭調理品冷凍食品

<保管時のCO2排出量>

保管プロセス合計0.276 0.335 0.364 [kgCO2/unit]

0.096

＜製品生産時 CO₂排出量＞

生産プロセス合計 0.601 [kgCO2/unit]

冷凍食品

水使用量 0.006

ガス使用量 ― 石油使用量 0.188 電力使用量 0.320

その他 0.088

調理プロセス合計 0.301 0.600 1.197 [kgCO2/unit]

＜調理時のCO₂排出量＞

0.043 4食

毎

2食毎

毎日 1食

冷凍食品

水使用量 0.002 0.002 0.003 ―

ガス使用量 0.299 0.598 1.194 ― 電力使用量 ― ― ― 0.043

4食毎

2食毎

毎日1 食

冷凍食品

原料保管 0.265 0.331 0.364 ―

調理品保管 0.011 0.004 ― 0.096

(10)

【参考】家庭調理品・ホームフリージング (HF) との比較

冷凍食品

0 0.5 1 1.5 2 2.5

毎日

1

食分調理毎日

1

食分調理

12

食一括調理

(HF）

LC -CO

2

[kg CO

2

/u n it]

(

調理）

使用・維持

(

保管）

原材料調達

0 0.5 1 1.5 2 2.5

毎日

1

食分調理毎日

1

食分調理

12

食一括調理

(HF）

LC -CO

2

[kg CO

2

/u n it]

(

調理）

使用・維持

(

保管）

原材料調達

家庭調理品家庭調理品

初日

12

食一括調理

→

残り

11

食

HF

→12

日間食切

(11)



廃棄物の発生パターンを

2

種類想定（原料

/

調理品）

 4

食分の原料のうち廃棄される量

(

廃棄頻度

)

を変え検討。



廃棄される分は

12

日間冷蔵庫に入れられ、

12

日目に廃棄。

 4

食分原料を

1

サイクルとし、都合

12

食喫食するまで繰り返した。

3. 食品廃棄物量に関する検討 ( 方法 )

廃棄頻度 1日目 2日目 3日目 4日目 0/4食廃棄

1

食分調理

1食喫食

1

食分調理 1食喫食

1

1/4食廃棄

1

原料冷蔵保管

(1食分)

2/4食廃棄

1

原料冷蔵保管

(2食分)

原料冷蔵保管

(2食分)



冷凍食品では食品廃棄物は発生しないと仮定。



生鮮原料を家庭調理した時に廃棄物が発生する場合と比較。

4

^食分調理

1食喫食

冷蔵保管 (3食) 1食分喫食

1/4食廃棄

4

^食分調理

1食喫食

調理品冷蔵保管

(1食分)

2/4食廃棄

4

^食分調理

1食喫食

(2食分)

※使用しなかった原料は 12

日目に廃棄。

※使用しなかった調理品は 12

日目に廃棄。

前提条件

変動

パラメータ



廃棄した量

/

原料の量の割合

(0/4

・

1/4

・

2/4

食分

)



原料ホウレン草の量

＜原料ほうれん草を廃棄するケース＞＜調理品を廃棄するケース＞

×

3

×

3

×

4

×

6

×

4

×

6

(12)

3. 食品廃棄物量に関する検討 ( 結果 )

家庭調理品

(

原料廃棄

)

 食品廃棄物量の増加と供に家庭調理品の環境負荷は増加。

家庭調理品

(

調理品廃棄

)

冷凍食品

 冷凍食品の環境負荷は家庭調理品 ( 廃棄有 ) に比べ低い。

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6

廃棄無し

廃棄

25%

廃棄

50%

廃棄無し

廃棄

25%

廃棄

50%

廃棄無しゆでたほうれん草の

LC -CO

2

[kg C O

2

/un it ]

(

調理

)

使用・維持

(

保管

)

流通・販売

生産原料調達

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6

廃棄無し

廃棄

25%

廃棄

50%

廃棄無し

廃棄

25%

廃棄

50%

LC -CO

2

[kg C O

2

/un it ]

(

調理

)

使用・維持

(

保管

)

流通・販売

生産原料調達

「

12

食分喫食」

＝一機能単位

原料使用量

3

束

4

束

6

束

3

束

4

束

6

束

(13)



廃棄物の発生パターンを

2

種類想定（原料

/

調理品）

 4

食分の原料のうち廃棄される量

(

廃棄頻度

)

を変え検討。



廃棄される分は

12

日間冷蔵庫に入れられ、

12

日目に廃棄。

 4

食分原料を

1

サイクルとし、

3

サイクル繰返した

(12

食分調理

)

。

1

食分調理

1食喫食

1

1/4食廃棄

1

原料冷蔵保管

(1食分)

2/4食廃棄

1

原料冷蔵保管

(2食分)

原料冷蔵保管

(2食分)



冷凍食品では食品廃棄物は発生しないと仮定。



生鮮原料を家庭調理した時に廃棄物が発生する場合と比較。

4

^食分調理

1食喫食

1/4食廃棄

4

^食分調理

1食喫食

(1食分)

2/4食廃棄

4

^食分調理

1食喫食

(2食分)

※使用しなかった原料は 12

日目に廃棄。

※使用しなかった調理品は 12

日目に廃棄。

前提条件

変動

パラメータ



廃棄した量

/

原料の量の割合

(0/4

・

1/4

・

2/4

食分

)



原料ホウレン草の量

＜原料ほうれん草を廃棄するケース＞＜調理品を廃棄するケース＞

× 3 × 3

× 3

【参考】食品廃棄物・ 12 食分調理を一機能単位とした場合

(14)

 調理品廃棄するケース → 廃棄率の上昇に従い LC-CO2 増加。

 原料廃棄するケース → 保管と調理がトレードオフになる。

【参考】食品廃棄物・ 12 食分調理を一機能単位とした場合

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

廃棄無し

廃棄

25%

廃棄

50%

廃棄無し

廃棄

25%

廃棄

50%

LC -CO

2

[kg C O

2

/un it ]

(

調理

)

使用・維持

(

保管

)

流通・販売

生産原料調達

家庭調理品

(

原料廃棄

)

家庭調理品

(

調理品廃棄

)

冷凍食品

「

12

食分調理」

＝一機能単位

(15)

まとめ

 一回あたりの調理食数

 単身者 ( 個食 ) のシーンで冷食の LC-CO 2 は低い

 12 食原料まとめ購入した場合の調理頻度

 概して冷凍食品で低く、まとめ調理 4[ 食 / 回 ] と同等。

 食品廃棄物量

 廃棄物量増加と LC-CO 2 上昇が対応

 冷食に比べ廃棄有で LC-CO 2 高い

※廃棄物増加による LC-CO2 の増加の原因 ( 原料量以外 ) ・廃棄物の廃棄までの冷蔵庫での保管による寄与大

単品原料の加工調理品を対象とした、

家庭調理品と冷凍食品の LC-CO 2 の比較を実施。

(16)

今後の課題

 食シーンにより即した検討

 複合原材料を対象とした加工食品

 実態に則したシナリオの設定（廃棄・調理・保管）

 農産物原料 LCI の不確実性の考慮

 原料調達段階の比較 ( 原料産地の反映、価格調整による廃棄等 )

 国産と海外産の違い

 廃棄物増加に伴う他の環境影響の評価

 冷凍食品の既存価値の数値化

家庭調理及び調理済冷凍食品

調理条件および食品廃棄物の観点からの

於・工学院大学

冷凍

 家庭調理条件視点からの評価は皆無。

家庭調理品 検討内容

12 食分 (33.3g/1 食）

研究発表会 (2014.3.5) からの変更点

 家庭調理品における LC-CO2 低減方法

12 食分調理あたりの機能単位での試算

計算ファイル作成

1. 1 調理あたりの調理食数 に関する検討 ( 方法 )

変動パラメータ

1. 1 調理あたりの調理食数 に関する検討 ( 結果 )

単身者や個食化した世帯での冷凍食品の使用は環境負荷低減に貢献可能。

2. 調理頻度 に関する検討 ( 方法 )

複数日に分けて喫食する

未使用分は冷蔵保管。

2. 調理頻度 に関する検討 ( 結果 )

 原料を 12 食まとめて購入した場合の家庭調理品

【参考】家庭調理品・ホームフリージング (HF) との比較

3. 食品廃棄物量 に関する検討 ( 方法 )

※使用しなかった原料は 12

前提条件

3. 食品廃棄物量 に関する検討 ( 結果 )

 冷凍食品の環境負荷は家庭調理品 ( 廃棄有 ) に比べ低い。

※使用しなかった原料は 12

前提条件

【参考】食品廃棄物・ 12 食分調理を一機能単位とした場合

まとめ

 食品廃棄物量

家庭調理品と冷凍食品の LC-CO 2 の比較を実施。

 農産物原料 LCI の不確実性の考慮

ご清聴ありがとうございました。

家庭調理品検討内容

1. 1 調理あたりの調理食数に関する検討 ( 方法 )

1. 1 調理あたりの調理食数に関する検討 ( 結果 )

2. 調理頻度に関する検討 ( 方法 )

2. 調理頻度に関する検討 ( 結果 )

3. 食品廃棄物量に関する検討 ( 方法 )

3. 食品廃棄物量に関する検討 ( 結果 )