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山口大学大学院医学系研究科 高次脳機能病態学 松原 敏郎 

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山口大学教職員定期健康診断における生活習慣病の傾向と 予防対策の取り組み 

山口大学保健管理センター 山本 直樹 森福 織江 梅本 智子 藤勝 綾香 原田 有希子 中原 敦子 波多野 弘美 小林 久美 住田 知子 森本 宏志 奥屋 茂 

山口大学大学院医学系研究科 高次脳機能病態学 松原 敏郎 

要旨 

近年,労働安全衛生法によって定期健康診断が義務化され,山口大学においても教職員 に対する学内での定期健診を毎年実施し,外部医療機関での健診への受診勧奨を毎年行っ ている。生活習慣病の罹患率は年々増加しており,早期予防と治療対策のための啓発活動 が必須となってきている。保健管理センターでは個別の健康相談や食事・生活指導や専門 病院への早期紹介等様々な教職員向けの取り組みを平成 23 年より強化してきたので紹介 する。

キーワード 

  定期健康診断, 生活習慣病,産業医, 健康相談,

1 はじめに 

健康診断とは,診察および各種の検査で健 康状態を評価することにより,健康の維持や 疾患の予防・早期発見に役立てるものであ る。我が国における近代的な企業の健康診断 の仕組みは,今から約100年前の明治 44(1911)年に公布された「工場法」によって 感染症で国民病であった結核の撲滅という目 的のために始まった1)。また,一般的に行わ れている健診車で巡回するスタイルも結核予 防を目的とするレントゲン車が始まりとなっ ている1)

現在,我が国では労働安全衛生法による健康 診断を労働安全衛生の観点から実施され,そ の第 66 条1項では「事業者は,労働者に対 し,厚生労働省令で定めるところにより,医

師による健康診断を行なわなければならな い。」と規定されている。これは一般健康診 断とされ,雇入時および年1回以上行う必要 がある。ただし,雇い入れ時の健康診断・海 外派遣労働者の健康診断を受けた者について は,当該健康診断の実施日から1年間に限 り,その者が受けた当該健康診断の項目に相 当する項目を省略できる。

定期一般健康診断は,学校や企業,公共団 体で行われる法令により実施が義務付けられ ているものと,受診者の任意で行われるもの と二種類ある。任意に行われる健康診断は主 として診断書の発行を目的とした一般的評価 項目のことが多いが,最近では全身的に詳細 な様々な検査を行い多種の疾患の早期発見を 目的としたサービスが広く普及しており,船

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舶のオーバーホール施設になぞらえて人間ド ックと呼ばれる。

また労働安全衛生法第 66 条2項では「事 業者は,有害な業務で,政令で定めるものに 従事する労働者に対し,厚生労働省令で定め るところにより,医師による特別の項目につ いての健康診断を行なわなければならな い。」と規定されており,危険物・特定の化 学物質などを扱う職業の従事者はそれに応じ た健康診断を定期的に受けることが義務づけ られており,特殊健康診断と言われる。この 健康診断は重大な職業病の発生を未然に防ぐ ことが目的という健診のため一般的な健診項 目とはやや違うものとなっている。

加えて 2015 年(平成 27 年) 12 月から は産業精神保健の観念より,職業性ストレス チェックの実施が,常時使用する労働者数が

50 人以上の事業者の義務となった。

具体的な健診内容項目に関しては,厚生科 学研究班が一般向けに作成した各種疾患のガ イドライン (Minds 医療情報サービス) に記 載されており,受診して健診すべき項目と対 象疾患についての解説されてある2)

1.喫煙に関する問診(対象疾患:喫煙行為)

2.身長・体重(対象疾患:肥満,その結果と して生じる疾患)

3.血中脂質(対象疾患:脂質異常症)

4.血圧(対象疾患:高血圧症,高血圧症に続 発する疾患)

5.空腹時血糖・グリコヘモグロビン HbA1c

(対象疾患:糖尿病)

しかし,医師が必要でないと認めるときは,

以下の検査項目を省略できる。

・ 20 歳以上の者については,身長の検査を 省略できる。

・ 40 歳未満の者( 35 歳の者を除く),妊 娠中の女性等で腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映 していないと診断された者, BMI が所定値 未満の者については,腹囲の検査を省略でき

る。

・ 40 歳未満の者( 35 歳の者を除く)につ いては,貧血検査,肝機能検査,血中脂質検 査,血糖検査及び心電図検査を省略できる。

・ 40 歳未満の者( 20 歳, 25 歳, 30 歳 及び 35 歳の者を除く)で,下記のいずれに も該当しないものについては,医師が必要で ないと認めるときは,胸部エックス線検査を 省略することができる。また,胸部エックス 線検査を省略できるものについては,医師が 必要でないと認めるときは,喀痰検査を省略 することができる。

1)感染症の予防及び感染症の患者に対する医 療に関する法律施行令第 12 条第1項第1号 に掲げる者(具体的には,学校(専修学校及 び各種学校を含み,幼稚園を除く),病院,

診療所,助産所,介護老人保健施設又は特定 の社会福祉施設において業務に従事する者で あること)

2)じん肺法第8条第1項第1号又は第3号に 掲げる者(具体的には,常時粉じん作業に従 事する労働者で,じん肺管理区分が管理1の もの又は常時粉じん作業に従事させたことの ある労働者で,現に粉じん作業以外の作業に 常時従事しているもののうち,じん肺管理区 分が管理2である労働者であること)

山口大学では,法令に基づいた一般健康診 断と特殊健康診断を毎年実施している。

2 定期健康診断(労働安全衛生規則   第  44 条)項目 

法令では1年以内ごとに1回,定期的に次の 項目の健康診断を行わなければならないので 山口大学では下記の項目を学内の健康診断で 行っている。

・既往歴・喫煙歴・服薬歴・業務歴の調査

・自覚症状および他覚症状の有無の検査

・身長,体重,視力,腹囲,聴力の検査

(1000Hz ・ 30dB)(4000Hz ・ 40dB)

・胸部X線検査,および喀痰検査

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・血圧の測定

・尿検査(尿中の糖および蛋白の有無)

・貧血検査(赤血球数,血色素量)

・肝機能検査(AST, ALT, γ GTP )

・血中脂質検査( LDL コレステロール HDL コレステロール,中性脂肪)

・血糖検査(空腹時血糖)

・心電図検査

・腎機能検査(クレアチニン)

医師が必要でないと認めて省略している健康 診断項目

・聴力検査: 45 歳未満の者( 35 歳と 40 歳を除く)については医師が適当と認める その他の聴力の検査に代用。

・喀痰検査:胸部X線検査によって疾病の 発見,結核発病のおそれがないと診断され た者

・心電図検査: 35 歳未満と 36 歳以上 40 歳未満の者については希望者のみ可能。

・血中脂質検査 肝臓機能検査 貧血検査 血糖検査等は 35 歳未満と 36 歳以上 40 歳未満の者については希望者のみ可能。

・腹囲測定: 40 歳未満( 35 歳を除く)

の場合,妊娠中の女性その他の者であっ て,その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映して いないと診断された場合を省略している。

3 山口大学における定期健康診断の評価 

【定期健康診断の受診率の経過】

過去 10 年間での山口大学における教職員健 診受診者数と受診者率は大学の独立法人化に 伴う労働安全衛生法の適用により平成 20 年 度(2,285人 )から年々増加しており,男性・

女性受診者ともに増加傾向であった。健診受 診率も平成 20 年度(96.3%)から平成 28 年 度(99.9%)と増加していた。平成 29 年度に 法人化以降,初めて教職員健康診断受診率

100%(3,337/3,337名) を達成した。

【定期健診断結果の解析】

平成 20 〜 28 年度の教職員定期健康診断で の BMI ,血圧,腹囲,体脂肪率,血糖,肝 機能項目(AST,ALT,γ GTP ),脂質項目

(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル, 中性脂肪),尿酸等の各項目別の異常者 の割合を年度毎に集計を行い,解析・評価を 行った。

・肥満関連項目 

BMI 高値(≧25)の割合は,平成20年度か ら徐々に男性・女性ともに増加傾向であった が,平成24年度より男性・女性ともに緩やか に減少傾向を示し,平成28年度では 15% 前後 と平成20年度より減少傾向を呈していた。

BMI ≧30の割合は2.7%(平成20年)から1.9%

(平成28年)と減少傾向を示していた。 

腹囲異常腹囲高値(≧男性85cm・女性 90cm)の割合は,平成24年度以降男性・女性 ともに緩やかに減少傾向を示し, 14% 前後と 平成20年度より減少傾向を示した。 

・肝機能関連項目 

AST/ALT 高値(AST≧40,ALT≧ 45),γGTP 高 値(≧50)の割合は,平成20年度からは増加 傾向であったが,平成24年度以降は男性・女 性ともに大幅に減少傾向を示し,平成28年度 には全体の約3%と大幅な減少傾向を示した。 

・血糖項目 

血糖高値(空腹時血糖≧110mg/dL)の割合

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は,最高11%と男性・女性ともに平成20年度 から増加傾向であったが,平成25年度から男 性は減少傾向に転じ,平成27年度からは女性 も減少傾向を示した。 

・尿酸項目 

尿酸高値(≧7.0mg/dL)の割合は,最高 11% 以上特に男性優位で増加してきたが,平 成28年度は7%に減少を示した。女性は緩やか に減少傾向であった。 

・脂質関連項目 

中性脂肪高値(≧150mg/dL)の割合は,平 成20年度からは男性・女性ともに増加傾向を 示していたが,平成24年度以降から男性・女 性ともに緩やかに減少傾向を示していた。 

HDL 低値(< 40mg/dL )の割合は,平成26 年度から男性は緩やかな減少傾向を示した。 

LDL 高値(≧140mg/dL)の割合は,男性・

女性ともに年々緩やかな減少傾向を示した。 

・血圧項目 

血圧高値(≧130/85mmHg)の割合は,最高 16% と増加傾向を平成20年度以降示した年度 もあったが,平成25年度以降は減少傾向に転 じ,平成28年度には10%以内に減少した。 

4 おわりに 

山口大学の教職員定期健康診断の年度毎の 解析より,教職員定期健康診断の受診率も

100 %を達し,過去 9 年間で増加しているに も関わらず,生活習慣病関連の項目異常の教 職員の割合はほぼ全ての項目において,年々 減少傾向を示し,生活習慣病罹患率は減少し ている。 

我々保健管理センターでは,平成23年度よ り教職員に対して前年度の健診データと比較 可能な健診結果報告書への様式変更を行い,

平成25年からは,健診結果通知の際に産業医 による個別健康相談の案内状を添付し,産業 医からの健診結果の詳細な説明・指導や二次 健診受診,治療勧奨等様々な啓発活動を開始 している。また各項目異常者に対して電話・

メールでの保健管理センターの看護職・医 師・専任衛生管理者による個別相談・指導も 開始している。また相談後の山口大学医学部 附属病院を含む常勤専門医の総合病院への早 期紹介や簡略化した紹介を行ってきている。 

直接的な要因ではないかもしれないが,

我々保健管理センター職員と産業医によるこ のような教職員に対する積極的な啓発活動が 間接的に生活習慣病の改善や罹患率の減少に 影響を及ぼしている事が推測される。 

今後も定期健康診断の各項目異常者に対す る指導の徹底と啓発活動の強化を行い,更な る生活習慣病罹患率の減少を目指していく。 

(保健管理センター・准教授) 

【参考文献】 

1)  岩塚徹 ,1994,  日本における総合健診の 歴史と現状 ,   日本総合健診医学会誌 

JMHTS Vol.21 No.4 370-376  

2)  厚生労働省委託事業  公益財団法人日本 医療機能評価機構  Minds ガイドライン 

https://minds.jcqhc.or.jp/   

3)  厚生労働省   死亡順位別にみた年齢階級 

・性別死亡数・死亡率 ( 人口 10  万対 ) ・ 構成割合

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin /hw/jinkou/suii09/index.html 

4)  篠原幸人, 2017, 人間ドック健診の実 際, 日本人間ドック学会 

5)  圓藤吟史, 萩原聡,2015,事例で学ぶ一般 健診・特殊健診マニュアル , 克誠堂出版  6)  勝木美佐子 ,2018, 嘱託産業医スタート

アップマニュアル   ゼロから始める産業 医 , 日本医事新報社 

7)  石井義脩 , 2017, 産業医・産業保健スタ ッフ必携   産業保健の基礎 - 法令と実務 -,新日本出版 

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