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巻頭言 Top Column - 化学と生物

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化学と生物 Vol. 56, No. 1, 2018

食(=農芸化学)ブームの再来に乗ってさらなる発展を

駒井三千夫

東北大学大学院農学研究科(栄養学分野)

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

巻頭言 Top Column

Top Column

農芸化学は,われわれが大学に入学した 1970年代は高度成長期後半で工学系の陰に 隠れて一見古めかしい言葉として聞こえた 時代だった.しかし,今はこの「農芸化学」

が復活しつつある状況にあると言っても過 言ではない.昨今,一時は消えた旧国立大 学で使われていた農芸化学科も復活しつつ あるし,大学受験生の農学部希望者が増え ているのは全国的な傾向であろうと思われ る.大震災やそれに伴う原発事故があり,

環境問題がクローズアップされたことや,

食と健康の問題が重要であると,多くの国 民が認識し直したことなどによるものであ ろう.こうした環境・食料・健康の課題は,

まさに農学部が扱う研究領域にある.最近 88歳を過ぎた恩師にうかがったところ,大 戦直後の1950年頃の食糧難時代には「食」

のブームがあり,多くの優秀な受験生が農 学部を受験したそうである.「食」が人類の 生存に最も大切であることを,当時の国民 全体が認識した時代だったからであろう.

昨今,わが国は超高齢化時代に入り,国 民の病気を治療するのに要する経費が多過 ぎて,医療費が国の負担になっているとい う.医療費を削減するには,病気にならな いような食生活をしなければならないとい う国の施策もあり,厚生労働省の受託研 究・委託研究なども,食品による疾病予防 などの公募項目が増えてきたと言って良 い.「食」ブームの再来と言えよう.しか し,厚労省の採択課題と配分先を見ると,

非臨床試験でも医歯薬学系の研究者に偏っ ている傾向があるように見受けられる.食 品や栄養を専ら研究してきた農芸化学領域 の研究者が少ないのでは,役立つ研究も少 なくなるのではないかと危惧される.一方 で,農水省関係の受託研究・委託研究公募 では,医歯理薬学系の先生方の応募が多く 見られるようになった.いずれにしても国 民の健康を第一に考えるのであれば,異分 野連携の取組が必要であろう.その観点か ら,最近以下のようなパブリックコメント

意見を厚労省宛に提出した.ご批判をいた だければ幸いである.

すなわち,「平成30年度厚生労働科学研 究に対する意見募集について」の「生活習 慣病・難治性疾患克服総合研究事業,およ び食品医薬品等リスク分析研究事業」に対 して,以下のような意見を厚労省大臣官房 厚生科学課宛に提出した:「これまでの厚 労省研究事業の採択者を見ると医歯薬学系 の方々が中心です.縦割り行政に依存して いる採択となっていますが,これからの医 療費削減が必須の時代では,医療や薬だけ に頼らない対策が必要であります.すなわ ち,食品や農畜水産物の科学を得意とする 領域の研究者の協力が必須です.ビタミン の発見者も結局は農芸化学者であった史実 もありますので,この領域からも多くの協 力者が必要だと思っております.異分野連 携と産学官等連携によって,良いアイディ アが生まれて,ようやく国民の健康を守っ ていくことができましょう.具体的な提案 としましては,以下のような食関連の学会 に依頼して,研究チーム体制を作ってもら い,懸案の事業について対応してもらう枠 を一部設けていただきたい.具体的には,

日本農芸化学会,日本ビタミン学会,日本 栄養・食糧学会,日本微量元素学会,など の学会に事業を委託するシステムです.ぜ ひご配慮ください.」というものです.

今 は,医 療 系 の 研 究 費 の 配 分 が

「AMED」(国立研究開発法人日本医療研 究開発機構)にまとめられたと聴く.多く の農芸化学領域の研究者がこの公募研究に 応募して,資金を獲得して欲しいと思う.

しかし,審査する側が医歯薬学系に偏って いれば問題であるが,国民が期待する研究 を行ううえではこうした状況を改善してい ただく必要があろう.

Copyright © 2018 公益社団法人日本農芸化学会 DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.56.1

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プロフィール

駒井 三千夫(Michio KOMAI)

<略 歴>1976年 東 北 大 学 農 学 部 卒 業/

1981年同大学大学院農学研究科博士後期3 年の課程単位修得退学/同年東北大学農学 部助手/1990〜1992年米国モネル化学感 覚研究所客員研究員/1996年東北大学農 学部助教授/1998年農学研究科准教授,

を 経 て/2002年 同 教 授(現 在 に 至 る)/

2009年 台 北 医 學 大 学 客 員 教 授/2013〜

2017年3月東北大学農学研究科長・農学部 長<研究テーマと抱負>栄養学(栄養素お よび食品中の機能性成分の研究),ビタミ ン学(ビタミンK2およびビオチンの新規 機能の解明),味覚生理学(味覚機能維持 への亜鉛酵素の寄与,味覚修飾物質に関す る神経生理学,ヒト苦味受容体の遺伝子多 型解析).今後は,個人ごとに適用される テーラーメード栄養指導の基盤形成に貢献 したい<趣味>旅行,等

日本農芸化学会

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