• Tidak ada hasil yang ditemukan

巻頭言 Top Column - J-Stage

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "巻頭言 Top Column - J-Stage"

Copied!
1
0
0

Teks penuh

(1)

化学と生物 Vol. 50, No. 8, 2012

559

昨年度は学科長を務めていたこともあ

り,学部教育について考えさせられる機会 が多かったが,今年はじめの「東大秋入学 移行へ」のニュースには驚かされた.入学 時期変更の影響は,教育界全体,さらに学 生の就職時期をめぐって官公庁や産業界全 体に及ぶ.世界の主流である秋入学への移 行は,四半世紀前の中曽根内閣や最近でも 安倍内閣の諮問会議で提案されたが実現し なかった.半年分の授業料収入の補填も必 要で,費用と労力に見合う効果は疑問とい うのが理由のようだ.しかし,その後も多 方面でグローバル化は急速に拡大してお り,今回は現場の大学からの提案で今まで とは状況が異なる.なぜまた秋入学なの か.アメリカにおける留学生数の出身国別 では,かつて日本が1位であったが,2010 年の調査によれば,1位,2位の中国,イ ンドはともかく,3位の韓国の三分の一に も満たない.一方,日本における留学生受 入数は,中曽根内閣の「留学生10万人計 画」によって,当時の1万余人から2003年 には目標が達成され,おおいに国際化が進 んだといえる.しかし,その後は漸増で 2011年は13.8万人の横ばい状態である.

少子高齢化で労働者人口・学生数減少が 懸念され,経済界からの後押しで登場した のが福田内閣で策定された「留学生30万 人計画」だ.2009年に国際化拠点整備事 業(グローバル30,以下G30)がスタート し,13の大学が選定された.外国の大学 と同じ土俵での競争のもとに優秀な留学生 を確保しようというものであり,秋入学移 行の発想もここにある.G30では人材確保 のための国際競争力を重視しており,英語 の講義だけで学部が卒業できるコースを設 けている.理系専門分野の外国人教員も雇 い,大学世界ランキングの評価指標の一つ

である国際化率を高めることにつながる.

名古屋大でも昨年10月に国際プログラム の学部学生37名が秋入学した.外国人教 員だけで必要単位数の講義が十分できるは ずはなく,われわれ日本人教員が実験実習 を含め専門科目を英語で講義することに なっている.グローバル化に熱心な韓国の 大学では,講義の英語化が進行中で,その 割合が多い大学では30%にも達するとい う.しかし,受講前の高い期待に反して受 講後は満足度が大幅に減少し,学生に伝え られる情報量が減り,学生の思考力向上に 支障をきたすとの問題が指摘されている.

講義を英語化しても留学生は増えず,近隣 各国からの留学生は,英語では理解が不十 分なうえに,韓国語が身につかないとの不 満もあるという.日本では半年間入学時期 がずれているので,むしろ日本語習熟の準 備期間があって,日本語で学びたい春入学 の留学生にとっては都合がいいともいえ る.G30では在学中に日本語を学習すれば よいとの発想のようだが,はたしてどうで あろう.あるG30学生に尋ねたところ,将 来,外国の大学院進学を希望しているとい う.世界的視野をもった学生の入学で結構 ではあるが,素直に喜べないのは私だけで あろうか.

ところで,秋入学移行でいいこともあ る.昨今,就職活動のため学習・研究に専 念できない学生・大学院生が多く,たいへ んな損失である.この際,卒業見込みで1 年以上も前から就職活動をするという日本 独特の慣習をやめ,グローバルスタンダー ドに従ってはどうか.卒業時期を5, 6月に し,その後に就職活動を可能にするルール を採用すれば,本来の大学教育が健全化 し,日本人学生や教える側にもメリットは おおいにあると思うが,いかがであろうか.

巻頭言

Top Column

秋入学移行で議論再燃―大学教育のグローバル化

牧 正敏

名古屋大学大学院生命農学研究科

Top Column

Referensi

Dokumen terkait

はじめに 行動学の創始者の一人であるNiko Tinbergenは,生 物学の問題に答えるには主に4つの問題設定のやり方が あることを強調した.今ではTinbergenの「4つのな ぜ」としてよく知られている.それは「生物の行動はど のような仕組みで誘発されるか」,「その行動は発育のど の段階で誘発されるか」,「その行動は,その生物にとっ