以下は、更新講習の最後でグループ毎に作業していただいた、「ほかの学校に言いたいことは ありますか(接続の観点から)」について簡単にまとめてみたものです。重複意見は割愛させてい ただいており、また整えるため適宜手を加えてしまったものもありますがご了承ください。
幼稚園=小学校間
あとの学校間の問題でも出てくるのであるが、前の学校の最上位学年が次の学校の最下位 学年に入ると、できることができなくなったり、自立心が低下したりする、ということがしばしば起 こるようである。小1プロブレムは、幼稚園教育の問題というよりも、やはり幼稚園教育と小学校 教育のギャップの問題として捉えるべきなのであろう。
また、非義務教育である幼稚園は学校毎に教育内容の違いが大きい。その違いを小学校が 引き取るべきなのか、幼稚園間で何等かの話し合いをすべきなのか、という問題も指摘できると 思う。
幼→小
○何もできないと思いすぎないでほしい(年長児として何でもやってきているのに)。
○自律的な行動をとれる子どももいるので、個人差を理解してほしい。
○しっかりしている子どもでも最低学年になることで自律的な部分が発揮されないので は。
○小学校に情報を渡すことに難色を示す保護者がいる。
小→幼
○小1プロブレム多い。
○(卒園前は)小学校に慣れられるような落ち着いた環境を整えてほしい。
○落ち着いて学習ができるようなしつけをしてほしい。
○幼稚園での情報を伝えてほしい。
○きちんと座る、マット運動や鉄棒での基本的運動、走る、などをやっておいてほしい。
○基本的な生活習慣を身につけさせてほしい。
○椅子に座って話を聞けない。
○引き継ぎ場面で「大変な場面」などについて幼小間で認識の違いがある。
○筆順などを教えてくれていてもよいが、めちゃくちゃである。
○生活習慣や学習習慣の個人差が大きすぎる。
○申し送りがない。
○クラス分けに必要なので情報がほしい。
○鉛筆の持ち方や筆順などは(教えるのであれば)きちんと教えてほしい。
小学校=中学校間
基本的な生活習慣や学習習慣、基礎学力を身につけておいてほしい、という中学校側の要 望に対し、中学校入学後もていねいな指導をお願いしたい、という小学校側の希望が対照的。
小学校高学年での教科担任制は中学校的学習方法の先行的実施という点で、小学校から 中学校への円滑な移行の一助となるが、中学校段階においても一定期間小学校的な教育を
残存させる、という発想も大切かも知れない(しかし、具体的な教授=学習スタイルが思い浮か ばない…)。
小→中
○卒業後も情報交換を行い、互いの要望を伝え合っている。
○学力の定着に気をつけ、基礎基本を身につけて進学できるようにしてあげたい。
○小学校で一度教えたからと言って確実に身につくとは限らないので、その場合は中学 校でも再度学習指導をお願いしたい。
○体育など実技的教科は専門ではないので、しっかり身につけさせることができない場 合もあり中学校には申し訳ない。
○中学校からの具体的な要望がほしい。
○もっと面倒を見てあげてほしい(ていねいにケアしていたが中学校で崩れてしまう卒 業生がいる)。
○掃除や挨拶など基本的な生活習慣を身につけさせていても、中学校で崩れてしまう。
○小学校でも努力しているので学習習慣の確立を継続してほしい。
○中学に入って子どもっぽくなる卒業生がいる。
○学ぶ楽しさを中学校でも引き続き教えてあげてほしい。
○小学校の課題を終えることで精一杯の部分もある。
○中学校から小学校の授業を見に来てほしい(特に高学年へ)。
○進学したその後についてその結果を知らせてほしい。
○学習の仕方が違うと思われるので、指導方法を知らせてほしい。
○学級担任制なので手をかけている分、中学校でギャップを感じる子どももいるのでは。
○小学校で育てたものを中学校でも伸ばしてほしい。
○引き継ぎの情報が上手く伝わらない(その人が学級担任になるとは限らないので)。
○外国語活動が始まったが、その意義や成果が中学校に上手く伝わるか。小学校からス タートすることで、中学校で英語の学力の差が広がるのでは。
○直後から「中学生」扱いされることにつらさを感じる子どももいるようだ。
○中学校として要求するミニマムを知りたい。
○引き継ぎを活かしてほしい。
○小学校の時に優秀な子どもが中学校に入ると変わってしまうことがある、何故か?
中→小
○制服や頭髪の規則について話しておいてほしい。
○挨拶、返事、時間を守る、話を聞くといったことを身につけてきてほしい。
○基礎学力が身についていない。
○席に着いていられない。
○ひとりひとりへの対応をしっかりして、中学校になって問題行動を取らないように支 援してほしい。
○6年間の情報を伝えてほしい。
○しつこいくらいに基礎基本を身につけておいてほしい。
○子どもの情報が伝わってこない(その結果親にも伝わらず、教師不信になっている)。
○教師と子どもの距離(だんだん広がっていくこと)を教えてほしい。
○思春期の大変さを理解してほしい。
○学習習慣をしっかり身につけてさせてほしい。
○小学校間で学力や身につけてほしい技能に差がある。
○発達段階に応じた指導が低学年、中学年、高学年でどうなっているのか知りたい。
○学習のしつけをきちんとしてほしい。
○二極化がもうできあがってしまっている。
○生活習慣が定着していない。
○生徒指導の引き継ぎはうまくいっているが、学習指導の方がうまく継がれいない。
○基本(例えばかけ算)をしっかり身につけさせてほしい。
○引き継ぎ時に詳しい情報がほしい。
○学級崩壊をしたまま中学校に上がってくると大変やりにくい。
○小学校できちんとしつけてから中学校に上げてほしい。
○高学年あたりから積極的に教科担任制を導入してほしい。
○しつけ、言葉遣い、器械体操をきちんとやらせてほしい。
○どの教科のどの部分が重複しているのかを知りたい。
○英語嫌いを作らないでほしい。
○前転・後転はマスターしてきてほしい、骨折してしまう。
○4つの小学校と学区を編成しているが、小学校間の格差が大きい。
○個人の学力差が大きい。
○せめてかけ算は覚えてきてほしい。
○公式や理論などを教え込まず、まずは基本をしっかり覚えてきてほしい。
中学校(含義務教育)=高等学校間
非義務教育機関との接続では入試の問題が発生する。多様な尺度による入試を、という要 請は、そのまま高校=大学間の問題にも当てはまるものである。
一方、小中の教育内容や時間数削減にも関わらず、12年間全体としての学習内容はさほど 変わっていない(したがって、大学入試の水準は下がっていない)。これが高校の学習指導に かなりの負担をかけていることは義務教育学校にはあまり知られていないのではないか。
個人的には「高校をゴールとしないでほしい」という意見が目を引いた。大学でも学生に「大 学に入学したらおしまいというわけではない」と注意しているからである。
中→高
○習熟度別などを高校でもっとやってくれるとありがたい。
○推薦入試の改革。高校の方で枠を設定してくるので中学生が主体的な進路決定をでき ない。
○卒業生が高校入学後退学したのをあとから知った、連携できれば防げたかも知れない。
○高校は割と自由なのでしつけ面で中学校の厳しさが突出してしまう形になる。
○発達障害の子を受け入れてくれる高校が少ない。
○入試や学校説明会程度しか接続の機会がない。
○入試では人物評価もしてほしい。
○学力のみで見ないで推薦入試などでまじめな子をすくい上げてほしい。
○入試のレベルが低く、中学生があまり勉強しない。
高→中
○提出物を出す生徒と出さない生徒がいる。出さない生徒は中学校ではどうしていたの か。
○中学校間の差が大きい。
○中学校の積み残しがある(補習で対応)。
○基礎基本を身につけておいてほしい。
○座っていられない、保健室登校といった問題(生徒達は高校で急に厳しくなったと訴 えている)。
○少人数指導ができれば状況はずいぶん変わるのではないか。
○中学校の先生が高校にどんどんきてほしい。
○中学校での問題を知らせてほしい。
○していいこと、いけないことを中学校で厳しく指導してほしい。
○行動の記録があるとやはり参考になる。
○進学校といっても高校でさらに努力を重ねなければ大学入試を突破できないことを知 っておいてほしい。
○高校をゴールにしないでほしい。
○情報が欲しいが多忙なので使い切れないかも知れない。
高→義務
○基本的な計算ができず学習に拒絶反応を示す生徒が増えているので、学力を重視して ほしい。
○基礎的な計算、文章の読み書き。
○算数、数学の時間が少ないのであろうが、基礎的な計算力をしっかり身につけさせて ほしい。内容も大事だが、計算力をつけることも必要。
○理科好きな子どもを育ててほしい。
○小中の学習内容は減っていても大学入試の内容はさほど変わっていないので、教科書 の内容を多少逸脱していても教えておいてほしいことがある。
特別支援学校=他の学校間
ある程度予想していたが、他の学校との連絡が必ずしも良好とはいえないようである。「気軽 に相談して欲しい」という意見にもあるように、拠点校としての今後の役割に注目したい。
特別→他の学校
○早めに相談してほしい。
○学年で学習内容を区切らずに、生活の様子も含めた細かい実態を全体的に伝えてほし い。
○年度途中での編入が多いので、転入元からの情報が不足している。
○「後は任せた」的意識があるのではないか。
○コーディネーターがいるので気軽に相談してほしい。
○入試などではハンディキャップは障害ではなく個性と捉えてほしい。
○年度途中の子どもの対応は困難。
その他
全体として、情報交換の機会や交流の不足が指摘されていた。ありふれたフレーズとは思い つつも、今後もその必要性については指摘し続けていく必要があろう。
今ひとつ、「その時覚えても、次の学年で忘れる傾向がある」という意見に注目した。一度覚 えたことは忘れないはず、というのはかなり危険な認識だと思う。学習前の診断的評価はやはり 重要ではないか。
小中一貫(連携)について
○中学校から出前授業を行ってもらうこともあるが、小学校教員の方も中学校のことが よく分かっていない場合もあるし、こちらのニーズと違う場合もある。
○小学校へは教科担任制として中学校教員を派遣できるが、逆は難しいのでは。
全体として
○情報交換の時間や場をもっとつくってほしい。
○それぞれの学校で精一杯で連携する時間や場の設定が不足しているのではないか。
○どの学校もそれぞれの立場で頑張っていると思うが。
○下からの学校の引き継ぎで得た情報が学級編成に役立たない。
○連携は難しい。小学校で教科担任制などを試みたり、部活で交流してみては。
○通知表といった成績評価も学校間でギャップがある。
○その時覚えても、次学年で忘れる傾向がある。
○部活で中学校と高校の連携を図るのはどうか。
高等学校=大学間
ご意見ありがとうございました。ほかにもありましたら、どんどんお寄せ下さい。
高→大
○専門高校の生徒は入学後ついて行けない実態があるのでフォローしてほしい。
○大学がどのような子どもを入学させたいのか分からない。