(62§縷〉
欝舞欝嚢鑓縫雛難重欝縫繕繕灘欝欝妻薬垂
調査報告
懸織垂欝難欝縫欝輩妻雛馨辮繕垂辮嚢継垂垂
整備後における入会林野利用の現状と課題
一福島県旧舘岩村(現南会津町)の事例から一
福島大学行政政策学類塩谷弘康
はじめに
高度経済成長期の欝67年に始まった入会林野整備事 業は,現在,大きな転機を運えている、20総年までの 馨年間(鎗年を工期とする第i期〜第屡期〉に,全 国で5霜,i圭7擁の入会林野(入会林野のほかに爆慣使 屠林野を含むが,本稿では,「入会林野」と略記する〉
が整備された粧年度毎の整備面積は,第3期以降 i万搬を下緩鞍,近年では,i〜2千飴に低迷して
いる(表工〉。20解年からは詩嚢難問を5年闘に短縮して第5期の整備事業に入ったが,醗修会・協議会の 開催を窪めたり入会林野コンサルタントを廃止した冷 する県が相次いでいる。
本来,入会林野整備事業の根鍵法である,「入会林 野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」(昭 和毅年法律第鴛4号,以下,近代化法〉は,林業総生 産の増大や林業従事者の所得海上を目指した林業基本 法の枠鑑みの中で翻定された法律だったが,すでに,
2G雛年には,林業基本法自体が,森林・林業基本法 に衣替えして耽る。それゆえ,「農林業上の利罵を増 進する」ことを目的とした近代化法と,森秣・林業の 多面的機能を発揮させるために森林整備を重観する森 林・林業基本法の整合性が問われているのである。
加えて,近年では,わが国の入会林野を,地域資源 の持続的租欝という観点から再評癒しようとする「コ モンズ」論をめぐって活発な議論が行われている(注 i〉が,その一方で,未整備の入会林野や解散した生 産森林癒合を地方自治法260条の2に基づく「認可地 縁法人まに切嚢)替えるという動きも懲てきた(注2〉。
前近代的な権利である入会権を所有権や地上権など の近代的な権利に転換して,農林業上の科矯の増進を
図ろうとする,入会林野整備事業はすでに歴史的使命 を終えたのだろうか。事業の存在意義が問われている のである。
このような現状においては,今後,未整備の入会林 野(注3〉をどうするかということももちろん重要で ある斌それ以前に,整備後の入会林野がどのような 状溌にあるかについて現況掘握をする必要があるので はないだろうか。というのも,従来は,まずは整備あ
りきというべきか,入会椋野整備の実績を挙げること 自体が自己目的化しておη,整備後の入会林野の所有 や利用がどうなったかについて充分な検証が行われて こなかったように思われる。
とくに,整備後に生産森林縫合が設立されたケース については,縷合の収支が悪化して解散が相次ぎ,そ の経営実態が明らかにされているが,個人分割のケー スについては,実情はほとんど分からない。
そこで,福島県農林水産部森林林業領域捷い手緑化 グループ(綴織変更後は,森林林業総室林業振興課〉
の協力を得て,福島県内の整備後の入会林野の科屠に ついて実態調査を行うこととした。
調査地は,①整備後しばらく時間が経過してお弩,
かつ整備当時の事情が分かる,②同一市町村内に整備 済と未整備の地区があ鯵比較対照ができる,③権利者 数や分割後の面積が極蝿に少なかったり多かったむし ない,などを条件として,優良事例ではなく「普通の 事例」を選定することとし,現在でも,入会林野整備 事業を実施している旧舘岩村(現南会津町〉の岩下集 落の事例を取鞍上げることとした、
以下,本稿では,まず,福島県における入会林野の 整備状況を整理し,次に,旧舘岩村の概況と,入会林 野の整備の実態をまとめる。最後に,具体的な事例を 踏まえた上で,整備後における入会林野利罵の現状と
一66一
整備後における入会替警報屠の現状と課題 (6265〉
表1 全国と福島県における入会林野整備実績
全 国 福 島 察
年 度 件 数 面積(麩議〉 件 数 面積(絵〉
欝67 i3 3.5§群
態 馨
鰺§8 22§ 23,53i § 5倉2
鎗総 3縫 2§,3総 欝 8縫
欝7倉 3蕊 蕊,5簿 圭2 7誌
鐙7i 屡総 33,$32 i7 i,2畿
欝72 麟5 婆2,灘5 欝 i.528
欝73 鶴3 感2.§75 23 玉,§5i
欝7婆 5欝 52.聡3 3i 3,§?§
欝?5 33§ 2§,5饗 32 2.簿8
圭§聡 37茎 3碁.§3§ 2§ i,磯蓬
第i鶏合計 3,3§8 325,2§3i髄.6〉 藁7§
i蓬,s鶴 i82.の
鰺胃 2鱒 32,毅2 鰺 i,7総
鐙7暮 2§5 2圭.簿3 9 5蟹
ig簿 22轡 2倉,磁§ i3 2,銘3
欝総 2藝 2碁.磁7 欝 3欝
欝雛 2欝 玉5,5蔦 3 25圭
欝82 2総 22,322 i2 7儀
i露3 2簸 12,鰺5 8 鶴3
婚艇 鰺3 欝,2総
撃 留7
欝85 蔦2 欝,鱒2 i
警
鐘86 欝轡 i3,i鶴 7 2露
第2鶏合誕 2.2襲 i83.豊縫i8i.§〉 鱒 i聡.6)7,婆簿
至露7 董25 $.欝2
警
騒5
欝88 鐙§ 5,773 i 総
欝8§ 欝2 7.総6 i2 68G
13髄 73 婆,倉4基 慧 総2
欝綴 §3 5,2警5 5 欝i
圭弱2 ε2 3,婆欝 i ig
鰺§馨 6§ 5.2簸 5 722
欝鱗 毅 3,25s 3 i3i
i弱5 5i 2.総7 6 222
i§弱 55 垂,倉懸 3 126
第3購合計 7婆7 遵8,8留i薦、s〉 56 i§2.δ〉3,鴉5
欝留 39 3,解蓬 5 2聡
i鱒3 38 2,325 i 57
鱒§9 2嚢 2,737 倉 G
2倉倉馨 25 玉,焉8 3 238
2倉雛 25 i,懲3 玉 38
2β魯2 26 茎,4講 至 1謁
2倉尋3 2書 i,弱8 2 i鋳
2倉縫 2隻 i,229 轡
倉
2倉轡5 2i 玉,§蔦 茎 4
2倉巷6 2i 2,茎騒 2 総
第珪難合計 273 i8,823カ.§〉 i6 毅嚢i63.2)
総計
6,蕃32 576,猛7i8蓉.9〉 3婆3 26,違84i77.2〉※各年度飯野林業統計要覧」「森林・躰業統謎要覧まによる。
※合謙欄の(〉内は,i件当た鯵の平均面積である。
課題をまとめていく、
なお,本稿は,鎗G7年7月〜8月にかけて実施した 現地調査の結果をまとめたものであむ,調査時点の名 称とデータを用いている。
董.福島県における入会林野整備
1葉1入会林野整備の実績
玉髄2年の福島県の調査によれば,実質部落有林野 は,i薮,377搬であ鯵,民有林面積の約4分のiを 占めていた。その後県は,欝81年に,「入会林野 の実態調査」を実施したが,未整備のままの入会林 野は7茎,董27紘であり,2食年闘にほぼ半減している。
この時点で,減少した約7万搬のうち3割程度が
入会林野整備事業によるものである(注4〉。20解年2月現在,入会林野面積は,総,0蔦盤で あむ,欝68年度に入会抹野整備に着手してから鶉年 問の問に,26,48藤3を補助事業で整備してきた(こ のほか,自力による整備がi,265麺ある〉。
欝霞年度から欝77年度にかけては,毎年度,整 備面積が玉千擁を超えて騨たが,第1期廼,540搬,
第2類7,4簿麺,第3難3,5G5擁,第4期9翰麺と大 醸に減少してお穆,i件当た翰の整備面積もまた,
80盤台から6樋3台へと減少傾向にある。
整備前後の利罵形態や方面琴讐には,次のような特 徴がみられる。
第一に,整備前の科矯形態は,全国的には,直轄 利用が最も多い(注萄が,福島県では,共同利矯 と分割利罵が大多数を占めてお鞍,直轄利用と契約 利用はほとんどない(表2〉。
第二に,整備後の状況は,全国的には,協業が個 人を上図る(協業337,3麟擁,個人232,弱5搬〉が,
福島県は,逆に,燧人が協業の2倍に達している。
協業の申の一形態である生産森林綴合は,近代化 法が鱗定されるまでは8結合にとどまっていたが,
鎗72年欝緩合,i留5年3i縄合,i留§年43綴合と急増 している。しかし.ig8倉年代に入ると新設はほとん どなくな雑,i393年の葬鯉合をピークに減少を続け,
20総年には38緩合になっている(注の。第4類以
降は,個人分割が圧倒的多数を占めている。第三に,全県で見ると整備率は46.2%と5割弱で あるが,県内の7つの方部馨響にみると.整備状況に 大きな違いが見られる(表3〉.一番整備が進んで いるのは,浜通りの相双といわきで,7割近くに達 している。これに対して,未整備が多いのが,申通
(§2鋤
表2
福島大学地域創造 第鎗巻
福島県における入会林野整備実績(整備前・整備後〉
第i号騰総、§
整備前の状混
整 備 後 の 状 溌年度 簿所 人数 整備癒積 業縁秘露 甕轄壌彌 分蓄秘矯 契約壌彌 醜業籔漸 鶴業人数 協業醗嚢 餐入籍癖 蕪人人数 籔大纛積 磨@ 合猛襲森稀
爵63 6 藁75 鷲2 唾72 § 28 倉 2 鴇 5ま 5 i5{》 蕊i 曾
董9鎗 憩 玉.i3倉 聡達 4総 唇 3縫 魯 2 73§ 2?2 欝 護綴 5§2 i2
i留{》 王2 隻.縫2 73巷 492 倉 2婆3 G 2 5畦§ i{濾 欝 鋳3 毒27 圭3
i§驚 隻7 7i7 藁,2縫 鱒蓬 o 3§6 3 2 欝8 i雛 i7 鱒3 董,(}総 i5
ig72 欝 蓉7§ i.S28 i,葺2
︵︸
魂欝 G i 78 55董 露 5雛 §77 i6
i留3 23 茎.毯凌 i.総i i,i3倉
む
5鍍 o 9 77$ 5鴇 2i §鱗 董,{}雛 22
茎解義 3玉 i.蕊蓋 3,§7§ 2.き総 倉 簾.鱒3 G 登 鎗§ 露2 2§ i,藁鎗 2.鱒蟻 3碁
三留5 32 i.23§ 2.鴇3 至.蓬認 轡 i,2簿 G 7 2総 62§ 鱒 i.i縫 2,{》簿 3隻
欝総 2暮 i,248 茎.磁媛 i.3藁2 畠
272 o 鮭 88嘆 鱗茎 鰺 逢82 薦3 43 i留7 捻 6{擁 圭.7総 総2 578 鱗麟 o 7 323 総2 圭4 鱒8 董.縫達 43
瓦解8 9 嘆騒 5雛 §2 鯵 纏2 ○ 2 72 2三 8 鱒3 垂総 壌5
欝簿 欝 5馨2 2,馨8蓼 玉.霧雲 参 32§ o 2 欝3 亙.総5 欝 3§{》 蟹》3 逢5
鷺総 鎗 3雛 3簿 3鍵 倉 56 倉 2 留 i2 警 3縫 3絡 妬
緯綴 8 3囎 25茎 2絡 倉 総 倉 董 簸 56 7 23蓉 欝蓬 4δ
i盤2 }2 39G 7雛 §{感 舜 鰺6 § 嘆 認i 44蓬 $ 32董 35{》 47
玉9名3 3 22玉 鶴3 326 i 欝6 倉 3 欝3 8(》 7 鰺3 壌3 藁?
欝毅 轡 3§2 §77 584 騒 32§ 倉 8 2解 嘆s8 8 2碁7 §欝 婆7
欝85 董 鎗 嚢 § 容 蓼 & i 欝 警 倉 魯 倉 45
鴛86 7 253 2蜷 欝i 倉 i麗 唇 5 i73 i23 6 i欝 麦7護 婆5
欝留 警 28暮 騒5 2欝 馨 33{》 窃 6 i襲 2i5 $ 223 33倉 尋5
欝器 i 8 68 倉 馨 §8 § 倉 今 馨 i 8 §8 4碁
欝齢 i2 654 68蓉 鰺5 G 認5 § 3 i22 叙 i2 654 蓉93 婆蕎
鐙鱒 鼓 573 総2 372 暮 鱒倉 § 7 3総 3i3 3 薮§ 5鴛 違6
欝雛 5 23奪 欝i 鰺 G i2 倉 倉 o G 5 223 i6蓋 婆7
亙鱒2 i 欝 鐙 婆 § i5 o 圭 茎{) 婆 王 鴻 蔦 藁7
i鱒3 5 297 722 魂?玉 倉 2駐 倉 3 1艇 372 s 277 35(》 襲
欝鱗 3 簸8 董3蔓 憩3 倉 23 参 2 35 37 3 賛8 騒 磁
欝縣 § 董総 222 王5葱 馨 艦 G 5 玉i3 72 6 i縫 蔦蓼 製
欝§6 3 63 王26 85 G 凝 G 3 5§ 32 3 57 9蓬 麟
欝留 5 i83 273 256 倉 22 § 婆 i欝 隻44 s i83 i3遵 製
i鱒8 i 器 57 57 倉 駐 G i i6 憩 夏 2i 蓋7 麓
欝弱 倉 倉 馨 魯 倉 G o 馨 倉 容 倉 倉 倉 嘆3
2昏巷馨 3 82 23窓 縫7 3 i22 9 倉 倉 倉 3 82 2鎗 43
2《}雛 i 欝 38 至 倉 38 G β G β ま i§ 3§ 43
2毒{》2 i 25 i3{》 3尋 §
総 o i 器 34 隻 25 9§ 婆3
2む{}3 2 36 欝5 i 倉 13壕 倉 i 欝 王 2 3§ 董3魂 藪
2蟹擁 § 倉 倉 ◎ 馨 倉 o 倉 倉 窃 諺 倉 β 韓
2綴嬉 i 2倉 淫 轡 倉 婆
o β 倉 倉 i 2碁 婆 39
2春総 2 重46 齢 27 巷 尋2 融 春 倉 馨
2 23 齢 38
合誕 343 里41,9茎δ 26,4総 欝.77s 麟3 8.鱒4 o i緯 6,6書3 8.7鐙 3{総 董茎,艇3 至7,76圭
※察資料から作成。露嬢五入の関係で表董の数値と合致しないところがある。
表3 福島県における地域(方部)別入会林野整備状況
方 謬 入会林野癒積 整備済藪積(整備率〉 未整備面積 慧思あ弩藩手 意思あ鞍未着手 整備意愚なし 全 県 薦.艇5 27.7姶(鶴.2%》 38,2麗 2,纒7 3,772 32,騒7
票 北 2,365 警G倉〈認.i%〉 圭.違6§ 倉 倉 茎,蓬§5
察 中 2,燧2 3倉7(謁.4%〉 2.暮?5 倉 G 2,§75
県 南 7腿 3醗〈嵯2.5%〉 憩7 38 酵 3§9
会 津 22,王87 9.5騒(嘆3.i%〉 i2.623 1.鰺魂 倉
i三.荏39
南 会 津 23,845 憩.喋総(35.9%〉 i3.385 68倉 3,772 i魂,933
(総舘岩村〉 5.鱒s 茎,蕊2(32.7%〉 3.麓3 7倉 韮5 3,2蕊8
帽 双 2.慧2春 玉,§§β㈱.三%〉 8簿 i45 ◎ 725
い わ き 5.欝暮 3.§67(7ま.8%〉 茎.4戯 倉 倉 i.淫4蓬
※県資料による。
68
整備後における入会林野舞欝の現状と課題 (§267〉
むの申でも県単,会津,そして南会津であり,3割 台前半にとどまっている。とくに.会津と南会津は,
面積的にも広く,未整備の入会林野が多数残って塾る。
一方,県では,毎年,市町村を通じて入会集団の 整備意思を確認してきたが,それによれば,未整備 の入会林野は,38,2総搬存在している。そのうち,
「整備意思がないもの」が32,447擁あ鞍,「整備意 思があるもの」の§,8姫始(整備着手2,縫7搬,整 備未着手3,772搬/を大きく上回って耽る。
岡調査では,その理由も傍せて訊ねているが,整 備意思がな騨ものの申には,「現状でもよい」(現在 の入会集団擾習で森林を適切に管理・運営している,
今のままで入会集団として残したい,など〉とする ものと,「現状で止むを得ない」「整備毯難」とする ものの双方が含まれて》・る、また,「現状で止むを 得ない」「整備困難」という理由としては,入会集 団の慣習が変わ鯵総有から共有林管理に変化してき た,集団に反対者がいたり権利者が転鐵した輸して 合意形成ができない,正確な灘量が実施されておら ず境界が未画定である,などの理由が多くなっている。
2.旧舘岩村における入会林野整備の概況
紛 旧舘岩村の概況照舘岩村(南会津町舘岩地区〉は,福島察の南西 部,栃木県との境を接する位置にある出村で,周囲 を2千盤級の山に囲まれている。27の集落が.標高 600〜8倉G溢の渓流沿いに広がっておむ,耕地はわず かにi%足らずである。
県内有数のリゾート地である,会津高原たかつえ スキー場をはじめとして,湯ノ花温泉,木賊温泉,
2G艀年に尾瀬新国立公園に編入された蟹代出と帝釈 山など,豊富な観光資源に恵まれている。茅葺屋根 の前沢麟家集落は,田本の原風景を伝えるものとし て,アメニティ欝本一に選ばれている。
鰺90(明治22〉年の町村舗の際に,宮里村ほか7 か村が合倍して舘岩村が誕生したが,昭報の合傍は なく,20総年3月,田島町,南撫付,俘南村と合盛 して,南会津町になった。
国勢調査によれば,2倉蒔年の人口は2,2輸入,糧 帯数は796である。人口は董§60年時点に比べて45ポ イントも減少しておむ,鴛弱年以降,量帯数も減少 に転じている。高齢化率は35、5%に達してお鞍,こ れは,県内では憩番目の高さである。
産業溺就業者数(玉,298人)は,スキー場・ゴル
フ場や宿泊施設関係のサービス業が422入(32.5%〉
でもっとも多魏。以下,建設業283人(蟹.$%〉,農 業i㌶人(慧.8%〉と続》て継るが,公共事業の減 少に伴い,建設業従事者も減少している.
農業は,南郷トマト,花き(サンドウ,カスミソ ウなど〉,水稲の複合経営で,農業産出額は3§千万 円である。総農家2総戸のうち販売農家はi53戸,農 業経営体のうち家族経営は蔦6戸である。家族経営 の経営耕地面積は捻6麺(鐙鍍2擁,鯉2誌a〉と狭 小で,圭搬未満層が8割以上を占めてお鞍,平均 面積でも87&と,県平均董483を大きく下回ってい る。販売金額も,9割近くは紛0万円以下である。
第三セクターの農業法人「会津高原たていわ農産j が農地の保全管理を支援してきた。
(21旧舘岩村の森林・林業
霞舘岩村の森秣・林業の指標を見ると,総土地面 積26,355雛のうち,林野面積は24,8鐙搬を占めて お鯵,林野率鱗.i%(県§8.4%〉は県内でもっとも 高恥。所有形態劉には,国有林鴛,9総撫,民有林 1i,8嵯絵(緑資源機構1,鰺誌&,県蓑2搬,森替整 備法人穏7搬,村i,33麹3,私有9,縫6搬〉であむ,
国有林野率は52.3%(県3§.7%/と5割を超えている。
広大な森林が広がっているが,天然林の占める割 合が高い。人工稼率(森林計薩区〉は,欝60年代に は,i割台にすぎず,簿年代から8倉年代にかけては,
急速に伸びているが,現在でも2割そこそこで,県 平均37.4%を大きく下回っている(表4〉。とくに,
民有林の所有形態疑の人工林率を見ると,全体では 2倉.8%であるが,私有林は捻.1%と非常に低い.人 工林の齢級構成は,6齢級(麗〜3倉年生〉が最大で,
7齢級,5齢級と続いてお穆,欝70年代蔚半に造林 したところが多くなっている。
林家数は,2巻絡年時点で273戸と,農家数を上回っ ている。農林業センサス上は,総年までは増撫して
表4 材種罰樹林地面積(森林計颪区〉及び人工林率
樹稼地
@(撫〉人工繍
@(翻
天然秣
@(難al
人工林率
@(%〉
重9§食年 23,雛3 真.2総 22,淫35 5.蓼
欝簿隼 23.87婆 2.雛7 2i,暮57 3.珪
欝§巷隼 2感,3§7 嘆,25i 2倉.i欝 i7、婆
欝総年 2雀,3弱 5,難婆 鐙.25§ 2i.i
鎗馨倉隼 2婆,5§5 s.273 鎗,2§2 2i.2
※穫1罪農稼業センサスによる。
(碁2§8〉 福島大学地域麟造 第欝巻 第圭号 騰銘.9
おむ,5〜憩離層と驚〜20搬層の檸びが顕著であ るが,その後は,全体的に減少領海にある(表5〉。
ただし,このような林家数や保有山林の増大に,入 会林野整備がどのように影響しているかについて は,はっきりしていな》㌔
私有林のうち,不在村所有の割合は9.3%(県平 均難.8%〉である。2GOβ年以降,急速に増撫してお 鞍,入会林野整備が進まな秘一つの要霞になって駆 る(表6〉農
このように,照舘岩村は,人工林と》う観点から すれば後進地域である粧 しかし,林野利罵と恥う 観点からすれば,昔から無常に多様な林野利矯が行 われてきた。
事例で取鯵上げる岩下集落も含めて,旧舘岩村に は,木地緬が定着したと伝えられる集落が数多くあ る。戦前から昭和30年代前半までは,木炭生産が盛 んに行われてレ・たが,統計上は,欝翻(昭和37〉年 を境に激減している。また,牛馬の採草地としての 利罵も昭和30年代に終わっている。その後謁年代 から50年代前半にかけては,ナメコやシイタケの生 産が盛んに行われたが,これもその後衰退している.
素材生産は,広葉樹が主体であむ,昭和60年代 半ばにピークを迎えている。当時は,パルプ・チ ップ材として麺当た髄0万円,20万円で売れたと
いう。
舘岩村での人工造林は,戦後の食料不足のときに,
耕地が少なかったことから,山が麗墾されて,食糧 事情が一段落して,跡地にカラマツなどの植林が行 われたことに始まるが,人工造林のピークは昭和菊 年〜50年代藩半である。
このように,旧舘岩村における林野利用は形態を 変えながら続いてきた。森林以外に目立った資源が ないことから,昭秘鑰年代後半から尋0年代前半にか けては,村の生産所得の5割を林業が占めていた時 期もあったが,昭稲船年代以降は低迷状況にある。
しかし,近年では,豊かな自然資源を活かして,
NPO法人によって自然学校が闇設された鞍,環境 学習の場として旧舘岩村を訪れる人々が増加するな
ど,森林の新たな役割が注目されている。
{3} 旧舘岩載における入会林野整備
旧舘岩村における入会稼野整備の状況は,図i,
表7に示したとお鯵である。
簿72(昭和47〉隼の寺沢撫地区を初めに.これま でに2倉地区(整理番号錘とisは嗣一事業なので,鐙 事業〉,i,652撫で入会林野整備が行われた。欝事 業のうち難事業は,昭和50年代までに実施されたも のである。地域的には,民有林が多い,大字湯ノ花 や大字八総に集中している。
表5 保有霞林面積規模別林家数
抹家数 馨.董擁以上〜
c諌満 i〜3絵 3〜5飴
5〜i徳a 欝〜2縫農 2倉〜鍵盤 3警〜5脇縫 30〜欝徳3 欝脇3以上欝6倉隼 3参警 董38 捻暮 6§ 36 5 2 董 3 i
ig7書年 畦欝 i22 1嚢3 違2 3§ 7 6 鐙 倉
i§総隼 436 簸5 i83 63 騒 欝 嘆 5 2
魏食年 蓬懲 9§ 96 6倉 5倉 1i 2 蓬 i
2碁暮春年 276 } i22 46 5§ 38 8 2 i 倉
2倉弱年 273 疇 玉2馨 蓬7 63 3婆 6 3 暮 倉
※燈界農鉢業センサスによる。林家の定義は、蛤隼までは雛麺以上、2碁馨む年からは惣3以上である。
表6 在材者・不在糧者別私有林面積
不在村者面積
私有林面積 在村老面積
合 計 うち桑海 うち梁外
欝3倉隼 8.7§3 8,6 8§ 5i 35
i§弱年 警,総i 9.縫i 韓 27 至3
欝鬱鬱年 3,総§ 8,艇3 i欝 8婆 32
2鰯年 8,弱7 3,圭58 83§ 婆5ア 3暮2
※徴募農秣業センサスによる。
一7倉一
整備後における入会林野趨矯の現状と課題 (52鋤
⑦
③
①
㊥轡麟
㊥棄難躯
○整講躯
図葉 舘岩村入会林野整備位置図
表7 旧舘岩村における入会林野整備実績
整備薄の綾溌 整備後の穂環
番号 糞壷年震 整備地覆(選秘 大字 霧達集落 申請受理 認可公吉 登記済 入会権
ネ薮
認薄
U稜ュ雛》
井溝
L稽i盤〉
分舞
驩Ti麺〉
協業 i人数>
協業
i麺)瀬
健人 i人数》
綴人
ン瀬q麺〉
i 蕪 寺 沢 霞 湯ノ荏 湯ノ花 藁7.?、董3 魂7.憩.ii 囎.簸.垂 護7 3§ 3登 蓉 琶
§
婆7 3§
2 45 真 泰 沢 露 湯ノ花 湯ノ穂 達7.茎2.尋 婆8.3.2 騒.§.25 2碁 藝 2 些2 暮
倉 26 襲
3 薦 真 葛 ケ 療 湯ノ花 湯ノ花 鰺.3.亙 雀8.S.2§ 鰺、鐙.2§ i8 62 倉 62 倉 駐 i8 縫 蓬 騒 湯 ノ 上 露 湯ノ蕊 湯ノ花 垂8.3.欝 4$.§、i2 墾.7.鰺 3屡
M3
簸 欝2 5 簸 誕 i32s 妬 宮 沢 入 幽 塩ノ原 塩ノ原 鐙.婆.23 鱒.7.3碁 49.鎗.2箋 2達 露 2馨 露 登 馨 2填 灘
§ 些8 一 ノ 谷 湯ノ花 湯ノ花 5倉.董.簸 5騒.3.28 総.i2.§ 3i 22 倉 22 倉 轟 3i 22 7 菊 木 殿 沢 湯ノ花 承 弓1 駐.i.圭3 5i.3.2§ 灘、§.鐙 3i 2燧 倉 2露 馨 麟 3茎 2燧 8 騒 鍛 治 沢 由 湯ノ花 湯ノ葛 騒.i.i3 5i.3、鎗 5i.8.2§ 基3 縫3 倉 縫3 暮 魯 鱈 縫3
§ 妬〜鰺 手 取 八 縫 八 慧 s2.茎2.i墨 53.3.2婆 53.3.3玉 32 25違 毒
253 轟 倉 32 254 鐙 騒 凄 沢 湯ノ花 員 原 §5.i.鯵 55.i玉.鰺 55.至2.騰 22 蓬7 47 酵 春 轟 22 護掌 鍍 4s 承 贋 湯ノ蕉 松戸原 5§.豊.欝 s§.3.3欝 59.荏.2遵 2倉 留 倉 留 § む 2奪 蟹
玉2 57 手 取 八 総 八 総 i.i2.4 2.3.釜3 2.3.2難 2馨 盤 倉 戯 28 i 2§ 鎗 i3 5書〜2 白 倉 幽 八 総 精 舎 3.蓬.3嚢 3、§.27 垂.i、至7 欝 弱 鱒 唇 蓼 警 韓 鱒
M
鶴 露 蓉.8.難 鍾 2遵 o 2垂 段 倉 慧 2蓬蔦 3
高 平 八 総 精 舎 垂.i2.2§ s.5、25
欝 磁 末 戸 沢 八 総 岩 下 2.i2.§ 3.3.5 3.3.25 23 33 2 37 23 2 23 37 i7 5 大 久 保 八 総 八 総 §.2、2縷 駐.8.2§ §.8.2§ 総 27 § 鰺 購 3 鰺 i8 鰺 9〜i2 木 欝 沢 2
八総
岩 下 i3.欝.s 懇.蓬.5 慧.§.2蓬 25 i3毒 3婆 §6 25 3遵 25 鱒欝 i2〜i3
了解予戸称
熨斗戸 葎与戸 欝.3、錘 欝.憩、7 欝.i.鍵 欝 葬 i 蓬§ 欝 i 欝 垂§2倉 欝 三倉野上欝与戸鉢 熨斗声 僻写声 麦7.蔓2.欝 鰺.3.3倉 i8.4、8 縁 §8 27 蓬i 翼 27 錘 薮
※南会津跨(摂舘岩村〉資料による。
(62勘 福島大学地域麟造 第鎗巻 第圭号 騰総.§
入会林野の利用状況は,整備前は分離利屠が主で あ鞍,整備後は共同利罵部分も含めて綴人に分割す ることが多かったが,近年では,共同穂矯部分をそ のまま協業として残す傾向が見られる。ただし,岩 下集落の事例で述べるように,積極的に共厨作業を 行うというのではなく,尾根沿いの林野などを共有 地として残しているようである。
簿資料によれば,旧舘岩村には,整備着手・未 整備が5地区,23麹3,未整備・未着手が4地区,
2,8総掘残されている。未着手・未整備の入会林野 はほとんどが天然林で,地元から整備したいという 要望はとくにないということである。
整備着手・未整備の入会林野において入会林野整 備が進まないのは,主として次の理由による。
まず,入会集団麗の事情としては,①権利者・関 係者が弛の市町村に転出してしまい,同意書・確認 書が取れない,②集落内に整備に反対する者がいる,
③壮年層と若年屡との問に,林野や入会林野整備に 対する極値鶴・温度差の違獅がある,などである。
一方,行政働の事情としては,①正確な灘量が行 われて恥ないため,境界が蚕定できない(この点は,
入会集団麗の理由でもある〉,②入会林野の整備に は時間がかかるため,撞当者が異動すると業務が円 滑に進まない,③合併した勉の地区でも多くの未整 備の入会林野が残っているため,なかなか順番が 回ってこない,ということが挙げられる。また,合 併の影響としては,今後,支所(覆町村〉を超えた 人事異動が行われると,地元の状況が分からず,入 会林野の整備がよむ困難になるのではないかと懸念
されている。
3.整備後における入会林野利用の現状と 課題
(藩1検討課題と手法
今回の調査醗究では,2つの視点から,入会林野 整備事業の成果を検証しようと考えた。
第一は,整備後の入会林野とそれ以外の林野,た とえば個人有林や未整備入会林野との問で,林溌,
林野の釈用状溌,在村・不在村の割合,転用.権利 の移動などが異なるのか,というマクロの視点であ る。第二は,入会林野整備蹴個劉林家の経営や集 落,コミュニティの運営などにどのような影響を与 えたかというミク縫の視点である。
ただ,実際に作業に着手してみると,未整備入会
林野の位置が特定できず,整備したところも,一つ ずつ地番を拾って恥かないと人工林率も計算できな いなど,現段繕で入手できる資料やデータでは,全 体状況を把握できないことが判明した。また,未整 備の入会集団がどのような状況にあるかについて は,県や町の鐘当者も実態を掘握して恥な塾ことが 分かった。
そこで,今興の調査では,次善の策として,入会 林野整備事業の際に作成される,「入会林野整備計 薩書」と「森林簿」(2倉薦年〉及び「土地課税台帳」
とをつき合わせることによって,整備後の入会林野 の変化を読み取る(注7〉とともに,整備趨合長(区 長〉,権利者(舘岩村森林親合〉,町握当者に対する ヒアリング.権利者に対するアンケート調査によっ て,入会林野整備の成果と課題の一蟻を探ることと
した。
(21岩下隻落における入会林野整備の概要
今回,調査事例として取鞍上げた岩下集落は.も ともとは本地麟が住み着癖て形成した集落の一つで あると言われて雛る。
編入総村の一部を構成し,岩下集落(66戸〉・精 舎集落(8戸〉・番屋集落(9戸〉を合わせて一つ の農業集落を構成している。
総戸数と農家数の推移を見ると,欝鴇年が総戸数 7i戸中農家数50戸(以下,同じ〉,欝80年が85戸中 43戸,欝9食年が77戸中35戸,2今春0年が綴戸車24戸と,
総戸数にそれほど変化はないが,農家数が大きく滅 少している。一方,経営耕地面積は,2,9総盆(欝簿 年〉,2,054食(欝8G年〉,i,6簿袋 (欝90年〉,i,0難
a(2倉GO年〉と大輪に減少しておむ,ほとんどの農 家は,自給的農業にとどまっている。
ヒァ琴ングによれば岩下集落の旧戸は20〜22戸 で,ほかは,新戸(分家/や転入者(ペンション経 営など〉である。もともと,岩下集落には,入会林 野以外の私有林はほとんどなく,隣接地は村有林か 国有林である。ただ.村有林の中にも一部,永代貸 付地があった弩,国有林の申にも共矯林野があった りと,村有林及び国有林の科用もなされてきた。耕 地も鬆入有林も少なく,覆舘岩村の申でも「まずし く目覚めの遅い集落」だったという。
岩下集落では,これまでに,「木戸沢地区涯と「木 戸沢2地区」の2か所で入会林野整備事業が実施さ れてきた。村内の飽の地区での入会林野整備事業を 見聞きしていたため,岩下集落でも入会林野を整備
一72一
整備後における入会林野稽罵の現状と課題 (§鍛〉
したいという要望はあったが,境界争いが原因で整 備が遅れたと恥う毒なお,岩下集落には,整備着手・
未整備の入会林野である「大上沢地区」(権秘者鐙名,
3統帥があるが,境界未颪定のため整備が進んで
いない。
入会林野整備計藏書には,籔慣の状溌が記述され ているが,地の地区の旧慣とほぼ続様の記載内容で あむ,岩下集落の入会林野の旧慣の詳綴は,規約も なく不明である。
区長(鐙48年生まれ,木戸沢2地区の整備懇合長〉
は,20代から毎貸のように山に入って恥たというが,
その当時(菊年以上講から〉分割利罵が行われ,寄 鞍合》・や集団での共繕作業はなかったと恥う。分割 秘驚の契機となったのは,戦後の食糧難の際に,山
を割勢地利駕しながら耕作を行ったことにあり,食 糧事情が改善した後に,各自が植林をするなどして 科駕していたようである.
木戸沢地区の権利者はすべて旧舘岩村内居住者で あるが,木戸沢2地区の場合は,3名の村外転出者 が含まれておむ,税金を負極して塾る限翰権秘は認 めていたという。また,木戸沢地区の権利者のうち i綴は親子であη,権利者の持ち分には大きな差が ある(鱒分のiがi名,45分の重がi名,3G分の1 が葺名,3食分の2が2名,駐0分の7が玉名,30分の
6がi名〉。金策に困って権利者の問で権利を売買 したこともあったということであむ,このような状 況から総合的に覇断ずると,岩下集落の入会慣習は
限翰なくゼ共有」に近づいて塾たものと考えられる。
木戸沢地区と木戸沢2地区の入会林野整備状溌は 次のとお馨である(整備時の現況は麟2参照〉。
イ.木戸沢地区(給鱗年3月認可〉
木戸沢地区は,岩下集落のはずれの木戸沢沿い,
村有地を挟むようにして「ハ」の字に広がる林野 である。沢の南灘の林野は,かつては村有地だっ たところであるが,集落に耕地が少なかったた め,昭和3倉年代〜菊年代にかけて「カノ(焼き畑/j として利矯されて恥た(そのため,短羅状に土地 科矯がなされている〉ところで,欝82年に縁故特 売で買い受けている。
入会権者は23名(うち至親は親子/で,現在の 居住地は岩下集落欝名,精舎集落3名,番屋集落 i名,井桁集落2名,八総集落玉名〉である.
整備面積38.§擁(58筆 うち山林57筆〉のう ち,分割利用をしていた林野37.0擁は,すべて 個人に分割した。権秘者全員が林野を取得したが,
取得面積は,持ち分の違いを反硬して倉.3〜5.4絵 と大きな差がある。共慰種欝(権利者22名〉分の 圭.9搬は林道敷であ鞍,22名の共有名義にした後 に,舘岩村に寄付して拠る。
整備時点での土地利矯計蓑龜ま,スギ植林7.8麺,
カラマツ・スギ保続欝.2擁,ナラ用材林育成 5.9搬,ホダ木原木林の造成欝.2擁,林道敷i.9撫 となっていた。
㊧天然躰 ㊧人工林
○懸象外 ●その紬{雑種地淋遵}
図2 整備時現況図
(§272〉 橿鳥大学地域鰯造 第鎗巻 第夏号 鱒総.§
霞.木戸沢2地区(20G2年4月認可〉
木戸沢地区における入会林野整備事業実施から 約鎗隼後に.購地区の隣接地であ鞭,岩下集落の 背後に位置する木戸沢2地区において,整備事業 が実施された。
木戸沢2地区は,入会権者が25名であ鯵,その 居住地は,岩下集落鎗名,熨斗戸集落i名,俘与 戸集落玉名,八総集落1名,千葉市室名,盤台市 i名,会津若松市1名となっている。25名のうち,
13名は木戸沢地区と岡一一の権利者である。
整備面積は捻O.5擁(i鴛筆,うち山林欝3筆〉
で,整備煎の稽用状溌は,個人分割総.5擁,共 同(2名,5名,7名,総名〉34.趣a(うち山林 駁.顛3〉となっていた。共嗣は,かつては,自家 用の薪の採取に利用されていた林野である。
整備後の利罵状溌は,分割耕馬の麓所がそのま ま個人分麟に移行してお鯵,22名が林野の所有権 (倉.2擁〜欝.熱3〉を取得しているが,3名は共有 地のみの権利者である。
権利者の問には,共縁利屠の山林についても個 人分割してほしいと奪う声もあったが,分割して も一人当た鯵ではたいした面積にならないこと と,将来,災害が起きたときに備えて集落の財産 として残しておいたほうがよいということにな り,分割せずに共有のまま残している・
整備当時の土地科罵計薩は,スギ植林0.癒a,
スギ保続n.7擁,カラマツ保続49、8擁,天然林
更新66.誌a(共同3i.4擁,分割34.脇a〉,その飽(用 悪水露など〉2.脇3となってお鯵,木戸沢地区と 比べると,植林が減少し,逆に天然林更新(現状 維持〉が大幅に増えている。
紛 入会林野整備の与えた影響 イ.入会林野整備計画書等から
入会林野整備から十数年が経過した木戸沢地区 について,入会林野整備計画書,森林簿及び土地 課税台帳を用いて,林況と林野所有の移動状溌を 示したのが表8である。
これによれば,木戸沢地区では,スギ植林が 7.8擁予定されていたが,実際に実施されたのは,
林道沿いのごくわずかな土地に過ぎず,残鞍は,
雑木のままで推移している。
ヒアリングよれば,旧舘岩村では,昭和鎗年代 〜50年代にかけては,整備された入会林野で団地 造林が行われていたが,その後は,公的造林が少
しずつ行われる程度にな鞍,平成になってからは,
個人が少しずつ造林を行っているということであ る(注8〉。
一方,林野所有は,相続や交換などで若干の所 有権移転があるが,ほぼ整備時のままである。こ の結果,整備前に存在した小規模分散の利用状況 は,整備後にそのまま固定されてお鯵,解消され ていない。たとえば,整理番号4の者は,木戸沢 地区では2番盤に多い合計4.8雛の林野を取得し たが,2.2擁,i,8擁,G,硫3,G.2雛の4つの林 地は互いに離れたところに位置している(図2参 照〉。また,詞人は,木戸沢2地区においても最大 の欝.麹3を取得したが,林地は,難か所(醗〜
婆.協議〉に分散している。
麟、権聡者アンケート調査結果から
今画の調査では,19舘岩村内に居住している木 戸沢地区または木戸沢2地区の権利者32名を対象 にして,「入会林野整備と森林施業に関するアン ケート調査」を実施した(質問票及び集計結果 は資料を参照〉。質問票は区長を通じて配付と経 収を行った。國答者は24名,國答率は篶.0%であ る。醗答者の属性は,全員,男性(不嘆i名を除 く〉で鶴代以上であむ,硲代と6今代が各8名ずつ でもっとも多い。職業は,年金5名,建設業5名,
農業4名,自営業3名の願である。
自分の所有している森林の位置や林溌(問4〉
については,「すべて正確に分かる」(9名〉は半 数を下同勢,「一部は正確に分からない」と「ほ とんど分からない」の合計は圭2名に達している。
避去鎗年間の林産物の売鯵上げ(問6)は,「な し」がM名に達してお鯵,鐙0万円以上の者は2 名にすぎない。しかし,人工林の保育作業(問5〉
を「何もしていな恥」は8名で,鴛名は,「自家 労働だけで森林を保育している」ことから,緩々 ながらも森林施業を実施していることが分かる。
ただし,森林施業の後継者の有無(問紛〉は,「後 継者はいるが,森林施業に従事するかどうか分か らない」が難名と多数を占めてお鯵,森林施業を 進める上での最大の障害(問難,2つまで回答〉は,
「木材極格の低迷」(捻名〉と「高齢化などによる 担い手不足」(9名〉が多い。今後の森林施業の 方向(問i2〉は,人工林施業,天然林施業,複層 林地業など見解が分かれたが,「とくに何もしな い」は6名にとどまっておη,木材懸格の好転に
一7尋一
整備後における入会椋野稽罵の現状と課題 (δ273〉
表8 木戸沢地区の林況の変化
整理番号 住 所 整備蔚 整備後
面積
整備時(i鱒i〉 森稀薄(2倉㈲ 土地課税台帳i 岩 下 3難一5 3盤一5 馨、婆 ナ蔦・ホダ ナ32 2馨と交換
一27 馨.3 平3〜7・スギ植 ザ23 鱒と交換
一3暮 ナ蔦・ホダ ナ32 2轡と交換
畦i 平3・スギ植 ザi7 騰と交換
3駐一7 3薮一S2 轡.垂 ナ騰・稽 ナ37 ママ
略倉 暮.3 平3〜7・スギ櫨 ナ3? ママ 計 i.5
2 岩 下 誕レ§ 3蓬レ鍵 倉.5 力篇・保 力媛2 穏続
計 魯.5
3 精 舎 3屡レs 3蓬ト蔦 暮.3 ナ3β・欝 ナ翻 ママ
3蓬ト3攣 ナ鎗・矯 ナ嘆7 ママ
計 唇.3
婆 岩 下 3蓬レ5 3蓬ト欝 倉.§ 力蕊・保 毒縷2 ママ
一器 2.2 ア鐙・保 ア魂2 ママ
一3嗅 i.8 ナ暮・本ダ ザ27 ママ
纏2 倉.2 スギ憩・保 ス27 ママ
計 珪.暮
5 岩 下 3垂レ5 3盤畷7 倉.婆 ナ認・霧 ナ葬 舘岩村と交換
計 §.嵯
§ 岩 下 3達ト5 3尋ト捻 i.i カ35・保 カ52 ママ
3蓬レ7 3垂i−58 3.6 ナ齢・矯 ナ蘇 ママ
一纏 馨.3 平3〜7・スギ植 ナ羨7 ママ 計 2.i
7 岩 下 3壊ト5 3薮一2春 奪.3 ナ33・罵 ナ葬 ママ
計 倉.3
8 岩 下 3垂i−5 3薮一2i §.5 スギ5・保 ザ22 ママ
計 倉.5
§ 井 桁 3壕トs 3毅一22 i.春 平3〜7・スギ櫃 ザ22 ママ
3嵯ト7 3戯一総 G.3 平3〜7・スギ植 ザ2§ ママ 計 i.蓬
欝 岩 下 34レ5 3違レ23 G.2 ナ鶴・屠 ナ57 相続
3壌一鶴 平3・スギ植 ザ25 相続
計 倉.3
蕪 岩 下 3壌る 3蓬i−2蓬 倉、3 ナ講・矯 ナ縷7 ママ
3募一7 3婆i−7圭 2.7 ナ5・ホダ ナ鍛 ママ
計 3.倉
捻 岩 下 3戯る 3凝一25 倉.3 ナ鎗・驚 ナ葬 ママ
計 轡.3
i3 岩 下 騒i−5 3蓬卜26 倉.遷 平3〜7・スギ植 ザ22 ママ
3壕レ7 3嘆レ5i 倉.7 カ2翻保 カ37 ママ
一67 o.3 平3〜7・スギ植 ザ鎗 ママ.
計 i、5
(627蓬〉 福島大学地域製造 第鎗巻 第圭号 騰総、警
整瑳番号 住 所 整備蕩 整備後
面積
整備時(璽鱒b 森林簿(2碁蕊/ 土地課税台鰻欝 井 椿 3護レ5 3蓬レ28 巷.警 ナ慧・ホダ ナ2§ ママ
討 馨.嚢
1s 番 屋 3嘆レ5 3壌一鎗 i.3 ス鎗・保 ザs2 ママ
纏3 平3・スギ植 不瞬 ママ
計 i.3
鯵 岩 下 誕i−5 3遵ト3董 墨.倉 ナ5・ホダ ザ52 ママ
穫婆 平3・スギ植 ザ縷7 ママ
3婆ト7 3珪レ56 倉.垂 ナ3か矯 ナ感7 ママ
略5 倉、3 平3〜7・スギ植 ナ婆7 ママ 講 i.8
i7 精 舎 3蓬ト5 3毅一32 圭.i 平3〜7・スギ植 ザ27 ママ
一蕊 平蓬・スギ穂 ス欝 ママ
畷6 平屡・スギ植 ス欝 ママ
3嘆レ7 3嘆レ57 轡、5 ナ鐙・罵 ナ47 ママ
一62 碁.塵 平3〜7・スギ植 ナ凝 ママ 計 2.馨
雄 精 舎 3毅一5 3磁一33 i.i 平3〜7・スギ植 ザ27 ママ
3蓬ト7 鍛ト53 倉.逢 ナ騰・罵 ナ3? ママ
一畿 9.3 平3〜7・スギ植 ナ37 ママ 計 i.8
欝 岩 下 3遂i−5 3壌一35 董.8 ナ5・ホダ ザ27 ママ
3楼レ7 3遵レ55 G.蓬 ナ2翻罵 ナ37 ママ
略6 酵.塁 平3〜7・スギ植 ザ箆 ママ 計 2.彗
2倉 岩 下 3蓬レ5 駿卜3§ i.6 ナ5・ホダ ザ27 ママ
3蓬レ7 3逢卜63 倉.7 力鎗・保 力漿7 iと交換
一6§ ○.3 平3〜7・スギ櫨 ザ2倉 iと交換 計 2.7
2i 岩 下 3婆レ5 3毅纏7 ナ欝・ホダ 不絹 歪が禰続
一4§ 2.7 力鐙・保 力貌,更羅 iが相続
一5暮 i.7 カ3翻保 力縷7 iが相続
一欝 i.倉 ナ謁・ホダ ナ幹 iが根競
計 5.蓬
22 岩 下 3戯一7 34レ5逢 蓉.§ ナ箆・驚 ナ37 ママ
ヲ倉 倉.3 平3〜7・スギ植 ザ2巷 ママ 謎 倉.8
23 八 総 3蓬レ5 3壌一欝 i.巷 カ2倉・保 カ37 贈与
計 ま.窃
※ナ(ナラ/.ア(アカマツ〉,カ(カラマツ1,スギ植(スギ檀林〉.屠(矯材〉,ホダ(ホダ木〉.ザ(雑木),保(保続).
ママ(そのまま〉,数値は年数を表す。擁えばドナ2鑓は,ナラ2倉年生を意味する。