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Academic year: 2023

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平成 2 7 年度サバテイカル研究者 (A ) 研究成果報告書 平成 2

8 年 1 0 月 3 1 日

福岡教育大学長 殿

所属講座 ・センター 英語教育講座

職 名 准教授

氏 名 吉武 正樹

(

、 ノ◎

     

研究実施場所

U n i v e r s 1 t y o f H a w a 1'

1 a t M a n o a

D e p a r t m e n t o f S e c o n d L a n g u a g e S t u d 1e s

受入教員の職 ・氏名

P r o f e s s o r G r a h a m C r o o k e s

研究期間

平成 2

7 年 1 0 月 1 日 平成 2 8 年 9 月 3 0 日

研究題目

批判的コミュニケーション教育としての英語スピーチ指導の理論と実践法の研究

研究成果概要 (別紙のとおり)

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別 紙

1 / 3 研究成果概要

1.研究の目的

日本の英語教育において、コミュニケーション能力の育成の重要性が指摘されて久しい。文部科学省が目指す 方針においても、小学校への外国語活動の導入、中学校における読み書きを含めるバランスのとれた四技能の指 導、高等学校における英語による指導の原則など、生徒の英語のコミュニケーション能力の育成が図られている。

本研究は、小中高大が連携したコミュニケーション重視の英語教育への対応を模索すべく、コミュニケーション 教育研究と第二言語習得・英語教授法研究を融合した、英語教育の理論的モデルおよび実践法を探求することを 目的とした研究である。

2.研究の内容

現在の英語教育は、コミュニケーション能力の育成を謳いつつも、そのコミュニケーション観は情報交換モデ ルに依拠している。確かに、コミュニケーションとは情報を交換する行為ではあるが、それはコミュニケーショ ンにおいて機械的な作業に過ぎず、そのような機械的コミュニケーション観において、言語は知識の習得、コミ ュニケーションは単なるその適用、という意味に縮減されてしまう。そのため、本来コミュニケーションが持つ 感情の交感、アイデンティティの形成、社会や文化の出現や再生産という、人間存在や共存におけるコミュニケ ーションの中心性を捉え損ねている。英語教育における多くの躓き、児童生徒の興味関心の低さや苦手意識など の背景には、コミュニケーションの本質のこうした「誤解」がある。

したがって、「真」にコミュニケーション教育としての英語教育を目指すに当たり、本研究は、批判的コミュ ニケーション教育研究の見地から、外国語学習が学習者の認知・行動システムへ与える影響に着目しつつ、コミ ュニケーション学的に英語教育の原理、あり方、そして実践法についての読み替えを試みるものである。ここで いう批判的コミュニケーション教育とは、先述のように、コミュニケーション教育を単なる情報交換の技術の訓 練と捉えるのではなく、市民社会の一員としての資質の養成を図り、他者との関係性を構築しつつ公正なコミュ ニケーションを通じた市民社会の実現を目指す教育の一環である。特に、本研究では、コミュニケーション活動 において「最後の発表」として位置づけられがちな「英語スピーチ」に着目し、スピーチがスピーカーから聴衆 への情報伝達ではなく、実は人々のアイデンティティや社会の形成と結びついたコミュニカティブな活動である ことを認識したうえで、コミュニケーションの本質を生かしながら英語スピーチ活動をコミュニケーション能力 の育成にどのように利用するか、その実践法について研究した。

3.研究の方法・進め方

本研究を進めるにあたり、文献研究により、特に批判的教育学、対話の哲学といった本研究の枠組み、そして、

応用言語学や第二言語習得理論といった現在の言語教育分野の研究についての理解を深めると同時に、コミュニ ケーション教育としてのスピーチ活動の実例の研究を把握しながら、本研究の柱となる理論的枠組みを構築す る。これらの枠組みをもとに、日本の英語教育に適したスピーチ指導法をクルックス教授と協議しながら模索す る。

4.研究体制

ハワイ大学マノア校の第二言語研究学科は、常に日本及び英米における応用言語学や言語習得研究の最先端の 研究機関であり、大学の図書館やオンライン文献検索システムに多くの関連文献が存在している。また、受け入 れ教員であるクルックス教授は、応用言語学の分野において批判的教育学の必要性をいち早く感じ、その知見を 取り入れた研究者として活躍するお一人である。私の批判的コミュニケーション教育やその英語教育との融合に ついても関心を共有しており、将来的な共同執筆を視野に入れつつ、クルックス教授とは共同研究という形で研

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別 紙

2 / 3 究を行える関係を築いている。

5.平成27年度実施による研究成果

研究の成果として、以下のことが明らかになった。

第一に、応用言語学や英語教育がコミュニケーション能力に着目して以来40年近く経つが、心理学や社会学な ど社会科学における主たる分野への言及はあるものの、この分野においてコミュニケーション学との接点は驚く ほど尐ないことが分かった。したがって、「コミュニケーション」への注目にもかかわらず、ほとんどの場合コ ミュニケーションとは何かについての深い議論はなく、常識的な意味でのコミュニケーション、すなわち、主と して機械的な情報交換モデルに依拠したコミュニケーションを採用するにとどまっていた。一方、コミュニケー ション学においては、テーマとして外国語教育を扱った記述もあるものの、その数はさほど多くなく、外国語教 育関連の研究とコミュニケーション研究の間に深い乖離があることが明らかになった。

第二に、外国語教育関連の研究とコミュニケーション教育の両分野において、シティズンシップ教育や批判的 な視座から研究を進める潮流が見られ、両分野の接続が可能であることがわかった。例えば、コミュニケーショ ン教育において、従来の討論ベースのレトリックではなく、招待ベースのレトリックという他者との共存を前提 とした研究の機運がある。一方、応用言語学や第二言語習得研究においても、不当な社会とそれを支える意識の 変革を目指した批判的教育との接続がみられる。また、両分野での既存の研究においても、例えばペア活動の有 効性において、教育学における協同学習や「発達の最近接領域」(ヴィゴツキー)への言及があり、外国語学習 とコミュニケーションの融合が確認できる。これらの重なりの部分に、真のコミュニケーション教育としての英 語教育が可能となる道筋が見て取れる。

第三に、外国語学習の主体である日本人学習者に必要なのは、近代的な意味での主体性であり、その立ち上げ に英語スピーチ活動は寄与できる可能性があることがわかった。日本では、家社会や封建社会的な意識やそれに もとづく集団意識という前近代的な意識が強固である一方、戦後において近代的な自律的主体を立ち上げること なく、グローバリゼーションと並行した(例えば「日本」や「家」という)「大きな物語の終焉」による世界・

主体の脱中心化が進んできた。したがって、本来脱中心化されるはずの近代的主体の変わりに、前期代的な意識 が持っていた物語のみが脱中心化された。その結果、共同体が解体され単なる個の集団となり、しかし近代的主 体の欠如のためにアトム化した個が主体的に新しく社会を構築することなく、他者を排除した心地よい島宇宙に とどまる傾向がある。一方で、資本主義を支える消費者としての主体が顕著となり、他者と生きる共同体への参 与は拒否するが自己の欲望の増殖は止められない個が再生産され続けている。このような「大人」になれない日 本人において、他者と向き合い、自己と他者が互いに意見を共有・吟味し、共生社会を構築できるような主体を 立ち上げる必要がある。こうしたコミュニケーション・スタイルや主体意識を涵養するにあたり、コミュニケー ションの本質を見つめることにより、他者、自己開示、言語・非言語、コミュニケーションによる共同体の立ち 上げ、共同体における自由と平等という条件の保持など、市民社会を生きる人々の資質やそれを支える条件と英 語スピーチ活動を結びつけることが可能であるとわかった。

第四として、日本の英語スピーチ活動の一環として行われている英語スピーチコンテストが、必ずしも本研究 が目指すコミュニケーション教育として機能しておらず、現在のコミュニケーション能力の育成を目指した教育 の問題点を反映していることが明らかになった。各市町村において行われている当イベントは、地域における英 語教育の推進の「目玉」として行われることが多いが、参加者は英語に関心があり比較的英語が得意な児童生徒 が主であり、派手で目立つイベントではあるものの日々の英語指導に結びついている教育実践であるとは言えな い。日々の実践としての英語スピーチ活動をよりコミュニカティブな取り組みとし、その先に自然とスピーチコ ンテストへと結びつくようなスピーチ観やコミュニケーション観の変革が必要であり、そのための実践法の開発 の必要性がある。

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別 紙

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6.今後の予想される成果(学問的効果、社会的効果及び改善点・改善効果)

本研究は、日本における英語教育に限らず世界の外国語教育に関する研究において、コミュニケーション観の 転換に大きく寄与する研究であると考えられる。具体的には、「他者との対話」を基盤とし、シティズンシップ 教育の理念やそれを支えるアイデンティティと結びついたコミュニケーション教育としての英語教育の可能性 を示唆している。また、日本において、コミュニケーション能力の捉え方を修正する必要性を認識し、真にコミ ュニカティブに変革するための方向性を示すと思われる。さらには、現職の先生方との共同研究、研究授業への 指導助言、教員免許状更新教習などを通して、英語教育の現場での視座の適用が期待される。

7.研究の今後の展望

本研究では、理論的枠組みの融合やその実践における現在の問題点を明らかにすることはできたものの、具体 的にどのように英語スピーチ活動を取り入れ、指導すればよいのかという点まで議論を深めることができなかっ た。このテーマは私が研究代表を務める科学研究費助成事業「シティズンシップ教育を基盤とした英語教育再編 のための『対話的』英語スピーチ活動」に直接関係しており、今後実践法の研究を試みる予定である。

8.主な学会発表及び論文等(予定を含む)

クルックス教授との共著として本研究の成果をまとめ、数本の論文として出版するための準備をしている。ま た、本研究は現在の科研の研究テーマでもあるため、学会での研究発表の可能性も探っている。

本研究は、JSPS 科研費 JP「批判的コミュニケーション教育としての英語教育実践法の開発」(JP24520624)

および「シティズンシップ教育を基盤とした英語教育再編のための『対話的』英語スピーチ活動」(JP16K02839)

による助成を受けたものである。また、サバティカル研究を行うにあたり、ご理解とご協力いただいた福岡教育 大学関係者の皆様に深く感謝したい。

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