物理学 D 自習問題
•(やや難)マークつき問題は授業であつかう範囲を越えた応用問題です。興味がある人はぜひ挑戦して みてください。
• 緑の文字は略解を表しています。解答が間違っている可能性もあります。
問題1 水の分子量は18である。以下の各問に応えよ。
1. グラス1杯の水(約150 ml)の 物質量は,およそ何molになるか? 8.3 mol
2. 上記の水に含まれる水分子の数はおよそ何個か? 5×1024個
問題2 次の各問に答えよ。ただし,全ての場合で熱は外に逃げないとする。
1. 20◦Cの水100 gと50◦Cの水200 gのを混ぜると,温度は何度になるか? 40◦C
2. 20◦Cの水100 gに対し,50◦Cの水を混ぜたところ,全体の温度が40◦Cになった。50◦Cの水を何g 混ぜたことになるか?
200 g
3. 20◦Cの水100 gに対し,ある温度の水200 gを混ぜたら,全体の温度が25◦Cになった。混ぜた水の 温度は何度であったと考えられるか?
27.5◦C
問題3 銅の比熱はおよそ0.38 J/g·Kである。底面の半径が2.00cm,高さが0.70mの銅でできた円柱 があったとする。なお,銅の密度は8.9g/cm3,原子量は63.6であるとする。以下の問に答えよ。
1. 銅のモル比熱はいくらになるか? 24.2 J/mol·K
2. この円柱の熱容量はおよそいくらか? 2970 J/g·K
3. この円柱に5940 Jの熱量を加えると,温度は何K上昇するか? 2 K
問題4 100 gの鉄の塊を,熱せられて気体の流れの中に充分長い時間さらしておき,その後に0.5L,15◦C
の水の中にいれる。その結果,水の温度は18◦Cになった。気体の温度はいくらか? ただし,水の比熱は 4.2 J/g·K,鉄の比熱は0.435 J/g·Kであるとする。
32.5◦C
問題5 圧力を気圧(atm),体積をリットル(L)で測定した場合,気体定数の値はどうなるか? ただし,
atm= 1013.25hPaである。
0.082 atm·L/mol·K
問題6 気体の量を 物質量(mol数)ではなく,気体の質量で表すことにする。このとき,状態方程式は pV =miRiTとなり,気体定数に相当する定数Riは気体の種類によって異なる。気体の質量をg単位で表す とすると,酸素と水素の場合にRiはそれぞれいくらになるか?
水素:4.15 J/g·K,酸素:0.26 J/g·K
問題7 容積41.5 Lのボンベに酸素が入っている。酸素の分子量は32である。気体定数を8.31 J/mol·K とし,以下の問に答えよ。
(a) ボンベの圧力が7.0×106Pa,温度が7◦Cに保たれていたとすると,ボンベに入っている酸素は何mol か?また,質量にするといくらか?
125 mol
(b) 前項の状態で,ボンベが加熱され温度が63◦Cになった。圧力は始めの何倍になったか? 1.2倍
(c) 上記のボンベのバルブがゆるんでしまい,酸素の一部がボンベ外に漏れてしまった。しばらくして圧力と 温度を測ると,圧力が2.9×106Paに下がり,温度は17◦Cになっていた。漏れた酸素の質量はいくらか? 2400 g
問題8 一辺Lの立方体の中に,N個の気体分子が閉じ込められている。気体分子1個の質量はmであ り,気体分子同士は衝突せず,気体分子と壁との衝突は弾性衝突であるとする。
1. 気体の圧力pの正体は,気体分子が壁に衝突するときに壁に与える力積であると考える。分子の運動を 平均的にあつかうことにより,次式を示せ。
pL3= N mv2 3 .
ただし,NA はアヴォガドロ定数を表している。また,v2 は気体分子の速度二乗 v2 の平均値を表 しており,速度~vの成分をそれぞれvx, vy, vz とすると,それらの二乗の平均値とv2 との間には v2x=vy2=v2z= v32 が成り立っているとしてよい。
略
2. 温度T の気体の場合,この気体を構成している気体分子1個あたりの運動エネルギーの平均値hKiが hKi=32NR
ATであることを示せ。ただし,Rは気体定数である。
略
問題9 物質量n,圧力p0,体積V0の理想気体がある。気体定数をRとして以下の問に答えよ。以下では 物質量は変化しないとする。
(a) このときの温度T0を求めよ。
T0= pnR0V0
(b) 温度をT0で一定に保ったまま,体積をV1まで変化させた。このときの,圧力pの変化を,横軸を体積 V,縦軸を圧力pにとったグラフで示せ。
略
(c) 温度T0,体積V1となったときの圧力p1を,V0,V1,p0を用いて表せ。
p1= p0VV0
1
(d) 上記のように,体積をV0からV1まで変化させたときに,気体がする仕事W を求めよ。
W =nRT0logVV1
0
問題10 物質量nの理想気体について考える。体積V0,圧力p0の状態から,p=aV−2という関係を満
たしつつ気体の状態を変化させていく。ただし,aは定数とする。以下の問に答えよ。
(a) 最初の状態の温度を求めよ。
p0V0
nR
(b) 定数aを求めよ。
p0V02
(c) この変化を表すp-V 図を描け。また,同じ図に,体積V0,圧力p0の状態から等温変化で体積を変化させ た場合の線を描け。
略
(d) この気体の体積を膨張させたときに温度は上がるか?それとも下がるか? 下がる
(e) 体積を2V0まで膨張させたときに,この気体がする仕事を求めよ。
p0V0
2
問題11 理想気体の状態変化を考える。次のそれぞれの場合に,内部エネルギーがどのように変化するか を「増加する」「減少する」「変化しない」の中から選んで理由つきで答えよ。
(a) 気体の体積を一定に保ちつつ,加熱した。
増加する。理由は略(以下同様)
(b) 気体の体積を一定に保ちつつ,冷却した。
減少する
(c) 温度を一定に保ちつつ,気体を膨張させた。
変化しない
(d) 温度を一定に保ちつつ,気体を圧縮した。
変化しない
(e) 熱の出入りを遮断しつつ,じわじわ気体を膨張させた。
(f) 減少する熱の出入りを遮断しつつ,じわじわ気体を圧縮した。
(g) 増加する気体の温度を上げた。
(h) 増加する気体の温度を下げた。
減少する
問題12 (やや難)物質量nの理想気体の状態を,p-V 図上のp=p(V)という曲線に沿って準静的に変化 させる。体積V,圧力pの状態から,体積をV +dV だけ変化させるとき,
dp dV >−p
V が満たされていれば,温度が上がり,
dp dV <−p
V が満たされていれば温度が下がることを示せ。
略
問題13 cV = 52Rの理想気体が1 molある。この気体が体積V = 25L,温度T = 27◦Cの状態から,断 熱的にじわじわ膨張して,体積がV = 50Lになった。このときの温度と圧力を求めよ。
温度:−45.8 ◦C,圧力:3.77×104 Pa
問題14 物質量nの理想気体に対し,以下のように状態を変化させた。全て準静的に状態が変化したと する。
(a) 温度をT =T0で一定に保ち,体積をV0からV1へ変化させた。
(b) 温度T0,体積V0の状態から,圧力を一定に保ちつつ温度をT1に変化させた。
(c) 体積をV =V0で一定に保ちつつ,温度をT0からT1に変化させた。
(d) 体積V0,温度T0の状態から断熱的に温度をT1まで変化させた。
このとき,下記の表の空欄を埋めよ。Rを気体定数とし,cV を定積モル比熱として答えよ。
∆U W Q
(a)温度一定 0 nRT0logVV1
0 nRT0logVV1
0
(b)圧力一定 ncV(T1−T0) nR(T1−T0) n(cV +R)(T1−T0) (c) 体積一定 ncV(T1−T0) 0 ncV(T1−T0)
(d)断熱変化 ncV(T1−T0) −ncV(T1−T0) 0
∆U は内部エネルギーの変化を,W は気体がした正味の仕事量を,Qは気体に加えられた正味の熱量をそれ ぞれ表している。
問題15 物質量n,定積モル比熱cV =52Rの理想気体が,図のような変化をした。
1. この一連の変化で気体がする仕事を求めよ。
7p0V0
2. この一連の変化における内部エネルギーの変化を求めよ。2 25p0V0
3. この一連の変化で,気体が吸収した熱量を求めよ。2
9p0V0
V p
V0 2V0 3V0
p0 2p0
問題16 (やや難)ファンデルワールス気体は,状態方程式が
p= nRT
V −bn−an2 V2 ,
であり,内部エネルギーが
U =ncVT−an2 V ,
である。この気体に対して,ポアソンの関係式に対応するものを求めよ。
T(V −nb)cVR =一定,もしくは p+anV22
(V −nb)cVR+1=一定
問題17 定積モル比熱がcV の理想気体を考える。断熱的に状態を(T0, V0, n)から(T1, V1, n)までじわじ わ変化させた。物質量はこの変化の途中で一定に保たれているとする。また,気体定数をRとする。次の各問 に答えよ。
1. 内部エネルギーの変化∆Uを求めよ。
∆U =ncV(T1−T0)
2. V1をT0,V0,T1を用いて表せ。
V1=V0
T0 T1
cV/R
3. 変化の途中の状態を(T, V, n)とする。断熱準静変化の際に成り立つポアソンの関係式を用いて,T を T0,V0,V を用いて表せ。
T =T0 V0
V
R/cV
4. 上の状態の圧力pをV,T0,V0を用いて表せ。
p= nRTV(cV0+R)V0R/cV/cV
5. pをV0からV1まで積分することによって,気体がする仕事を求め,T0およびT1を用いて表せ。ま た,ここで求めた仕事が1で求めた−∆U と一致していることを確認せよ。
W =RV1
V0 pdV =−ncV(T1−T0)を直接積分を計算することによって確認する。
問題18 理想気体を考える。定積モル比熱cV と定圧モル比熱cpの間に,cp=cV +R,の関係が成り立つ ことを示せ。
略
問題19 熱機関について,以下の問に答えよ。
(a) 熱機関の効率とは何かを説明せよ。
略
(b) カルノーサイクルとは,4つの状態A,B,C,Dの間を
A–[等温膨張]–B–[断熱膨張]–C–[等温圧縮]–D–[断熱圧縮]–Aのような準静変化で結んでできるサイクルで ある。AとBの温度をTH,CとDの温度をTLとするとき,カルノーサイクルの熱効率がη= 1−TL
TH
となることを示せ。
(c) 略理想気体を用いたカルノーサイクルにおいて,低温熱源の温度を10◦Cとしたとき,熱効率0.9を実現す るためには高温熱源の温度は何◦Cでないといけないか?
2558.35◦C
問題20 (やや難)ファンデルワールス気体は,状態方程式が
p= nRT
V −bn−an2 V2 ,
であり,内部エネルギーが
U =ncVT−an2 V ,
である。この気体を用いたカルノーサイクルについて,熱効率を計算して求めよ。
問題16で得られる関係式などを駆使して計算すると,問題19と同じ設定のカルノーサイクルの場合に,
η= 1−TTL
H となる。
問題21 オットーサイクルとよばれる熱サイクルについて以下の問に答えよ。
1. どのようなサイクルなのかを自分で調べ,その熱効率を計算して求めよ。
このサイクルに現れる2つの体積をV1,V2(V2> V1)とすると,熱効率はη= 1−V
1
V2
γ−1
2. オットーサイクルに登場する4つの温度のうち,一番高い温度をTH,一番低い温度をTLとする。こ のとき1で求めた熱効率が1−TTL
H より小さくなることを示せ。
略
3. オットーサイクルはガソリンエンジンのモデルであるといわれる。オットーサイクルを構成する4つの 変化のひとつひとつが,ガソリンエンジンの動作とどのように対応しているかを説明せよ。
略
問題22 スターリングサイクルという熱サイクルについて,その概要を自分で調べた上で以下の問に答 えよ。
1. 熱再生器を用いない場合の熱効率を計算せよ。
サイクルに現れる2つの温度をTH,TL(TH > TL),2つの体積を V1,V2(V2 > V1)とすると,η = 1− RTLlog
V2
V1+cV(TH−TL) RTHlogVV2
1+cV(TH−TL)
2. 熱再生器を用いた場合の熱効率を計算せよ。
η= 1−TTL
3. このサイクルの状態変化を実現するためには,具体的にどのような機構を用いればよいかを考えよ。H
略