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獣医師国家試験および獣医学共用試験に関する

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獣医 医師 師国 国家 家試 試験 験お およ よび び獣 獣医 医学 学共 共用 用試 試験 験に に関 関す する る 岡

岡山 山理 理科 科大 大学 学獣 獣医 医学 学部 部獣 獣医 医学 学科 科学 学生 生の の知 知識 識と と意 意識 識

-試験対策に関する若干の考察とともに-

深瀬 徹・中村有加里・向田昌司・尾崎 博

岡山理科大学獣医学部獣医学科

1.はじめに

獣医師は、“飼育動物に関する診療及び 保健衛生の指導その他の獣医事をつかさど ることによつて、動物に関する保健衛生の 向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公 衆衛生の向上に寄与する”〔獣医師法 (昭 和 24 年 6 月 1 日法律第 186 号,最終改 正:令和元年9月14日法律第37号) 第1 条〕ことを任務とする国家資格である。獣 医師免許を取得するためには“獣医師国家 試験に合格”〔同法第 3 条〕する必要があ る。そして、獣医師国家試験を受験するに は、“学校教育法 (昭和二十二年法律第二 十六号) に基づく大学 (短期大学を除く。)

において獣医学の正規の課程を修めて卒業”

〔同法第 12 条〕することなどの要件が定 められている。

これらの大学における獣医学の教育課程 においては現在、「参加型臨床実習」を履 修することが必須となっている。「参加型 臨床実習」は、学生が実際の症例に対して 診療を行う形態の実習である。しかし、獣 医師免許の取得以前の大学生が臨床に従事 することは、“獣医師でなければ、飼育動 物 (牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、

鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要 があるものとして政令で定めるものに限

る。) の診療を業務としてはならない”と 定めている同法第17条と矛盾する [1]。 そこで、医学、歯学、薬学の教育におけ るのと同様に、獣医学教育にあっても、こ の違法性を阻却するために共用試験制度を 設けており、これを受験して合格すること が「参加型臨床実習」を履修する条件とな っ て い る [1]。 獣 医 学 共 用 試 験 は 、 vetCBT (computer based testing) と vetOSCE (objective structured clinical examination,客観的臨床能力試験) から なり、獣医系大学間獣医学教育支援機構が 主体となって行われている [2]。

獣医師国家試験とその前段階に設けられ ている獣医学共用試験に合格することは、

獣医師免許の取得を目指して獣医学科に在 籍する学生にとって必須である。本調査は、

獣医学科に在学する学生を対象として、獣 医師国家試験と獣医学共用試験に関する基 本的な知識の保有状況を調査し、加えてそ れらの試験への合格の可能性と受験対策に 関する意識を把握することを目的として実 施した。

2.調査対象および調査方法 2-1 調査対象

岡山理科大学獣医学部において 2021

(2)

表1 獣医師国家試験および獣医学共用試験に関するアンケートの設問

年4月4日~9日に実施した2021年度春 学期オリエンテーションに際して、この時 点で獣医学科に在籍していた1年次から4 年次の学生を対象としてアンケート調査を 実施した。ただし、留年経験者については、

当該学年の他の学生よりも在籍期間が長く、

これによって獣医師国家試験および獣医学 共用試験に関する知識量が多くなっている

と考えられるため、アンケート結果の集計 から除外した。

2-2 調査方法

アンケート調査の設問は、獣医師免許取 得への希求性 (1問)、獣医師国家試験およ び獣医学共用試験に関する知識 (8問)、同 試験およびその対策に対する意識 (4 問)

(3)

の3部から構成した (表1)。これらの設問 への回答は選択肢から選び、マークシート へ記入することとした。マークシートに記 入 さ れ た 回 答 の 読 み 取 り は ス キ ャ ナ ー (ScanSnap iX1500,富士通株式会社)を用 いて行った。

次いで、獣医師国家試験および獣医学共 用試験に関する知識を問う設問の各々で

「知っている」と回答した場合に 1 点と し、設問 8 問で 8 点満点で点数化した。

さらに2年次と3年次、4年次の学生につ いては、この点数と前年度までの成績 (2 年次学生は1年次の成績、3年次学生は1 年次と2年次の成績、4年次学生は1年次 から3年次の成績) との相関を検討した。

この際の成 績評価の指 標としては GPA (grade point average) を用いた。

加えて、獣医師国家試験と獣医学共用試 験への合格の見込みに関する意識について も、2年次から4年次の学生について、同 様に前年度までの成績との相関を検討した。

3.調査結果 3-1 調査回答者

2021 年4 月4日~9日の時点で岡山理 科大学獣医学部獣医学科に在学する学生の うち、本アンケート調査の対象者は1年次 から4年次の学生の合計で572名 (1年次 138 名、2年次 144 名、3年次 151 名、

4年次139名) であり,このうちの544名 (1年次 138 名、2年次 133 名、3年次 141 名、4年次 132 名) から回答を得た (表2)。

3-2 獣医師免許取への希求性

設問1「獣医師免許の取得を目指していま すか」に対しては、1年次から4年次の各 学年の学生ともに「絶対に取得したい」と の回答がほとんどであり、「取得できるも

のならば取得したい」と回答したのはご

表2 アンケート調査回答者

図1 獣医師免許取得への希求性

〔設問1 (表1参照) に対する回答〕

絶対に取得したい

取得できるものならば取得したい 積極的に取得したいとは思っていない 取得は目指していない

く少数であり,「積極的に取得したいとは 思っていない」と回答者はなかった。ただ し、2年次学生の 1 名は「取得は目指し ていない」と回答した (図1)。

3-3 獣医師国家試験および獣医学共用 試験に関する基本的な知識の保有状 況

獣医師国家試験と獣医学共用試験に関す る基本的な知識に関する設問 8問 (質問2

~9) への回答は以下のとおりであった。

すなわち、設問 2「獣医師になるためには,

獣医師国家試験に合格する必要があること を知っていますか」に関しては、1年次か ら4年次の学生の全員が「知っている」と

(4)

回答した。これ以外の設問 3~9 について は、「知らなかった」とした回答者も多か ったが、「知っている」との回答者の割合 は学年が進行するにともなって大きくなり、

とくに1年次から2年次に進級すると「知 っている」とした者の割合が急増する傾向 がみられた (図2)。

ここで、これらの設問 2~9 の8つの設

問の回答を点数化したところ、1年次から 4年次と進級するにしたがって合計点数が 増し、とくに1年次から2年次の間で値の 大きな上昇が認められた。また、合計点数 には、各々の学年の間で有意な差 (p<0.05、 Wilcoxonの順位和検定) がみられた (図3)。 ただし、いずれの学年においても、これら の8つの設問の合計点数と成績との間に相

図2 獣医師国家試験および獣医学共用試験に関する知識の保有状況

〔設問2~9 (表1参照) への回答〕

(5)

図 3 獣医師国家試験と獣医学共用試験に 関する知識を問う8つの設問 (設問 2

~9) の学年別回答スコア 関は認められなかった (図4)。

3-4 獣医師国家試験および獣医学共用 試験への合格の可能性と受験対策に 関する意識

獣医学共用試験への合格の可能性につい ての意識を学年ごとにみると「とても自信 がある」と回答したのが 11~14%、「少し 自信がある」と回答したのが 36~57%で あり、この両回答を合すると 50~68%で あった。これに対して、「あまり自信がな い」との回答は 28~44%、「ほとんど自信 がない」との回答は 2~6%、両回答を合 すると 32~50%であった。ここで、1年 次と2年次に比べて、3年次になると合格

の可能性を否定的に考える学生の割合が大 きくなり、4年次になるとこの傾向はさら に大きくなっていた (図5)。

獣医師国家試験への合格の可能性につい ても、獣医学共用試験への合格の可能性に 関する意識と同様の結果であった。すなわ ち,獣医師国家試験への合格の可能性につ いての意識は「とても自信がある」が 8~ 15%、「少し自信がある」が 23~50%であ り、この両回答を合すると 39~59%であ った。一方、「あまり自信がない」は 36~ 52%、「ほとんど自信がない」は 2~9%で、

両回答を合すると 41~61%となった。獣 医学共用試験の場合と同じく、獣医師国家 試験についても,1年次と2年次に比べて、

3年次、4年次と学年が進行するにともな って合格の可能性を否定的に考える学生の 割合が大きくなった。また、獣医師国家試 験合格に関しては、獣医学共用試験よりも 悲観的に考えている者の割合が大きかった (図5)。

獣医学共用試験と獣医師国家試験への合 格の可能性について「とても自信がある」

および「少し自信がある」と回答した学生 の GPA と「あまり自信がない」および

「ほとんど自信がない」と回答した学生の GPA は、2年次では統計学的に有意な差 は認められなかった。しかし、3年次では、

図4 獣医師国家試験と獣医学共用試験に関する知識の保有と成績との関係

(6)

図 5 獣医学共用試験および獣医師国家試 験への合格に関する意識

〔設問10-11 (表1参照) に対する回答〕

とても自信がある (確実に合格すると思う) 少し自信がある (たぶん合格すると思う)

あまり自信がない (合格できないかもしれないと思う) ほとんど自信がない (合格できるとは思えない)

獣医学共用試験、獣医師国家試験ともに、

「自信がある」学生の GPA は「自信がな い」学生の GPA と比べて有意 (p<0.05、

Wilcoxon の順位和検定) に高かった。ま

た、4年次では、獣医学共用試験に関して はこの両群の学生の GPA に有意 (p<0.05、

Wilcoxon の順位和検定) な差がみられた

が、獣医師国家試験については有意差は認 められなかった(図6)。

これらの試験への対策として大学で補講 を実施する必要性、および実施する場合の 開講時期に関する質問では、補講の実施に 肯定的な学生がほとんどであり、「補講は 必要ない」と回答したのはわずかであった。

補講の開講時期については、各学年とも

図6 獣医学共用試験および獣医師国家試験への合格に関する意識

〔設問10~11 (表1参照) に対する回答〕

回答者数が20名以下の項目については箱ひげ図を用いずに実数をプロット〔荒瀬 (2018) [3] の推奨にもとづく〕

(7)

図7 獣医学共用試験および獣医師国家試験への対策のための補講の必要性と その開始時期への希望〔設問12~13 (表1参照) への回答〕

に様々な回答がみられた。1年次では、獣 医学共用試験、獣医師国家試験ともに、1 年次の早期からの補講を望む学生が一定数 は存在し、また、獣医学共用試験対策の補 講は3年次から、獣医師国家試験対策の補 講は5年次からを望む学生が多かった。2 年次と3年次では、獣医学共用試験は3年 次から、獣医師国家試験は5年次からの補 講を望む学生が比較的多い傾向がみられた。

一方、4年次では、獣医学共用試験につい ては4年次から、獣医師国家試験について

は5年次からの補講を望む学生が多かった (図 7)。

4.考 察

獣医学科は、基本的には獣医学に関する 教育と研究を行う学科であり、獣医師養成 のみを目指しているわけではない。獣医師 免許の取得のためには、例外的な条件を除 いて、大学において獣医学の正規の課程を 修める必要があるとはいえ、大学の獣医学 科における学習は獣医師免許の取得のみが

(8)

目的となってはならないことは自明である。

また、将来に就業を希望する職業として研 究者や官僚を想定している場合には、獣医 師免許の取得は必ずしも絶対に必要とはい えないことも事実である。

しかし、その一方、獣医学科に入学する 学生のほとんどは、獣医学という学問を志 向しているとしても、併せて獣医師免許の 取得を希望していることは明らかであろう。

本調査においても、岡山理科大学獣医学部 獣医学科では、「絶対に獣医師免許を取得 したい」と考えている学生がほとんどであ り、「取得できるものならば取得したい」

という消極的な希望の学生はごくわずかに すぎず、「取得は目指していない」という 学生は1~4年次の学生のなかで 1 名に すぎなかった。獣医師免許取得というほと んどの学生が有する希望への対応として、

獣医学科では、獣医学に関する本来の教育 と研究に加えて、獣医師免許取得のための 支援、具体的にいえば獣医師国家試験およ びその前段階に設けられている獣医学共用 試験への合格のための対策事業を行うこと が望まれる。

獣医師国家試験と獣医学共用試験に関す る基礎的な知識の保有に関しては、獣医師 免許を取得するためには獣医師国家試験に 合格しなければならないことは、すべての 学生が認識していた。しかし、これ以外の 事項に関しては、知識が不十分な学生も多 く、とくに獣医学共用試験に関係する知識 量は少ないようであった。とくに、入学直 後の1年次学生の知識量が少ないことは、

獣医師免許の取得を志してはいても、入学 前にはそれに至る過程を十分に把握してい ない者が多く存在することを示している。

ただし、2年次以降には、学年が進行する にともなって知識量は次第に増大しており、

大学における教育等のなかで獣医師免許を 取得するまでの過程を認識していくことが

確認できた。とはいえ、獣医学科への入学 者が獣医師免許取得のための条件を熟知し ていることは、入学後の齟齬感の解消に寄 与すると思われる。大学入学試験受験者の 募集に際しては、このような事項の周知を より積極的に進めるとよいと考えた。

獣医師国家試験と獣医学共用試験への合 格の可能性については、多くの学生が「少 し自信がある」または「あまり自信がない」

と回答していた。極端な選択肢、この場合 では「とても自信がある」および「ほとん ど自信がない」を選んだ学生が少ないのは、

このようなアンケート調査の常であろう。

ただし、学年が進行するにともなって、獣 医学共用試験、獣医師国家試験ともに、合 格に不安を感じている学生が増加している ことが明らかになった。とくに獣医師国家 試験への合格に不安を抱いている者は、獣 医学共用試験への合格に不安を抱いている 者よりも多いことが示されている。このよ うな現象は、学生が日々の学習の難度に苦 慮し、また、獣医学共用試験と獣医師国家 試験の詳細や現状を知るに及んだ結果であ ると思われる。

また、本調査において獣医学共用試験と 獣医師国家試験への合格に対する自信の有 無と成績との相関に関して、2年次では

「とても自信がある」および「少し自信が ある」と回答した学生と「あまり自信がな い」および「ほとんど自信がない」と回答 した学生の GPA に有意な差はみられなか ったが、この学年にあっては、いまだ自身 の成績を明確に理解しておらず、試験への 合格の可能性について根拠なく想像してい ると推察された。これに対して、3年次で は獣医学共用試験、獣医師国家試験ともに、

「自信がある」学生の GPA は「自信がな い」学生の GPA よりも有意に高くなって おり、自身の成績をもとに獣医学共用試験 や獣医師国家試験への合格の可能性を判断

(9)

するようになっていることがうかがわれる。

さらに4年次では、共用試験については合 格の可能性の意識と成績に相関がみられた が、国家試験に関しては相関が認められな かった。4年次になると、獣医学共用試験 よりも獣医師国家試験の難易度が高いこと を把握し、獣医師国家試験への合格に不安 を感じる学生が増えたためであろう。

学生の集団としては、上記のように試験 への合格に対する自信の有無と成績の間に 相関がみられた部分があったが、しかし、

その一方、個々の学生についてみると、成 績が優秀であっても、これらの試験に対し て不安をもっている者が存在し、逆に成績 不振であっても、試験合格に自信を有する 者も少数ながら存在していた。このことは、

自身の学力にもとづいて試験への合格の可 能性を考えているというよりも、悲観的か、

楽天的かという学生個人の性格も影響して いると思われる。成績不振であるにもかか わらず、獣医学共用試験と獣医師国家試験 への合格に危機感を有していない学生に関 しては、その学力の現状を伝えていく必要 があろう。また、成績が優秀な学生に対し ては、過度に不安になる必要がないことも 伝えるべきである。そのための方策として、

定期的に獣医学共用試験ないしは獣医師国 家試験の模擬試験を実施し、その結果をフ ィードバックして適切な学習指導を行って いくのも一法であると考えた。

なお、獣医師国家試験および獣医学共用 試験の受験への対策として、ほとんどの学 生は補講の開講を望んでいた。その開講時 期に関する学生の希望は様々であったが、

獣医学共用試験は4年次の末に実施予定 (岡山理科大学の場合) であるためと思われ るが、補講は 3 年次の春学期からを希望 し、一方、獣医師国家試験に関しては6年 次の末に受験するためと考えられるが、補 講は5年次の春学期からを希望する学生が

多い傾向がみられた。すなわち、各々の試 験の受験の前 2 年間近くを対策に費やし たいと考える学生の割合が比較的多いこと が明らかになった。なお、4年次では獣医 学共用試験対策の補講の開始時期を4年次 からと回答した学生が多かったのは、3年 次がすでに終了しているためであろう。

獣医師免許の取得は、獣医学科に入学す るほとんどすべての学生が強く希望してい ることである。しかし、現状では、その全 員がこの免許を取得できるわけではないの が現実である。たとえば、直近 6 年間の 第67回 (平成27年度) ~第72回 (令和2 年度) 獣医師国家試験における大学新卒者 の合格率は、87.5~96.9%である [4, 5]。 しかし、学生が獣医師免許の取得を目指し ている以上、より多くの学生が獣医師国家 試験に合格するように支援するのは大学の 責務であろう。また、この国家試験の合格 率は、大学の評価にも直結する。

だが、学生は獣医師免許の取得、そのた めの獣医師国家試験への合格を目指してい るとはいえ、なかなか自発的には学習しな いのが実際である。大学の側から積極的な 支援策を提供していく必要がある。このと き、大学側から一方的に支援事業、たとえ ば受験対策の補講などを提示しても、学生 がその必要性を十分に理解し、納得してい ないと、その補講等を継続的には受講しな くなることが予期される。

医療では、かつては医師ないしは医療者 の側から患者に対して、一方的に指示を出 していることが多かった。たとえば、服薬 指導にあたって医師が指示した薬の服用方 法を厳守する患者を「治療上の問題がない 患者」とし、医療者による指示を患者が確 実に守るか否かをその評価の基準とするよ うな考え方である。これをコンプライアン スモデルという。しかし、このコンプライ アンスモデルでは、急性期に体調が著しく

(10)

悪化しているときには患者は医療者側の指 導にしたがうのだが、慢性疾患などで、と くに体調が目立って悪くはないが、服薬を 続けなければならない場合には、服薬を継 続しなくなりがちである。これは、服薬の 必要性や重要性を患者が十分に理解してい ないためであるといわれている。こうした 事象に対応するために、近年は、患者自身 が疾病に対して積極的に向き合い、治療内 容やその必要性を十分に理解したうえで治 療に臨むこととするアドヒアランスモデル が重要視されている。そして、さらには患 者を医療者のパートナーと考え、相互の協 調のもと、患者の意向を反映して治療に取 り組むべきであるとする、たとえば治療方 針の決定や薬物の選択等に患者の意見を反 映するコンコーダンスモデルも提唱されて いる。アドヒアランスモデルでは医療の主 体が医師などの医療者であるのに対し、ア ドヒアランスモデルとコンコーダンスモデ ルでは医療の主体は患者に移行している [6, 7]。

獣医学共用試験と獣医師国家試験への対 策についても、教員から、あるいは大学側 からの一方的な指示ではなく、アドヒアラ ンスを考え、これらの試験に関する詳細な 説明を学生に対して行い、十分な理解を求 めたうえでの納得を得ることが重要であろ う。さらに、できることならば、学生を試 験対策のための組織の一員とし、コンコー ダンスの向上を図るとよいと思われる。コ ンコーダンスの推進の方策としては、たと えば、獣医師国家試験対策のための学生の 組織を構築し、それに助力していくことが 想定される。

獣医学共用試験と獣医師国家試験の受験 は、それぞれ4年次の末 (岡山理科大学の 場合) と6年次の末に行われる。その試験 範囲は膨大であり、直前の試験勉強のみで は合格はおぼつかない。長期間にわたる勉

学の継続が求められることになる。これは、

上記の医療のモデルでいえば、慢性疾患に おける服薬に似たものといえるだろう。こ れらの試験への対策に関しては、コンプラ イアンスモデルではなく、アドヒアランス モデル、可能であればコンコーダンスモデ ルの考えを取り入れた学習指導を行うとよ いと結論した。

本調査の実施にあたりご協力を賜った岡山理科大学 今治キャンパス 教学学生支援部 教学・学生支援課の各 位に深謝いたします。

参考文献

1) 高井伸二:獣医学教育改革の課題:獣医学共用試験 までの歩み:入試の視点から見た獣医師偏在の必然,

日本獣医師会雑誌,71 (5),212-215 (2018)

2) NPO法人獣医系大学間獣医学教育支援機構:獣医学

共用試験 (2021)

https://www.veteso.or.jp/exam/ (20211018 閲覧)

3) 荒瀬 康司:論文投稿に際しての統計学的記述の留意 点 , 人 間 ド ッ ク (Ningen Doc)33 (4)557-570 (2018)

4) 農林水産省:第72回獣医師国家試験 (令和2年度) 結果について (2021)

https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/2103 15.html (20211018日閲覧)

5) 農林水産省:第72 回獣医師国家試験 (令和 2年度) の結果について 添付資料 72回獣医師国家試験の 結果 (過去5年間及び大学別) (2021)

https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/attac h/pdf/210315-2.pdf (20210000日閲覧) 6) 深瀬 徹:動物の飼い主とともにチーム獣医療を実

現するために,獣医畜産新報,64 (3)183-185 (2011)

7) 町田いずみ:医療および獣医療におけるアドヒアラ ンスとコンコーダンスとは,獣医畜産新報,64 (3) 186-188 (2011)

Referensi

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