理学部体験ツアー 2006 プログラム
2006 年 7 月 22 日(土曜日)
タイトル (担当者) 場所と時間 行事の内容とその説明
数 理 科 学 科
数学への招待
(講義および在学生 との懇談会)
講義: 木本 一史
理系複合棟 412 室 12:30-16:30
講義時間:
12:50-13:50
(1) 講義「My Favorite Things
」
たぶん、高校生の皆さんが生まれて間もない頃にあったエピソードです が、ある数学者が某雑誌の取材を受けたときに、「数学者はよく『美しい式』
や『美しい定理』という表現をしますが、どのような数式が美しいのか、具 体的に例を挙げてもらえませんか?」と尋ねられたので、黒板に
という数式を書いたそうです(ちなみに、これはコーシーの積分定理と呼 ばれるものです)。取材記者はこの数式を写真に収めて編集部に持ち帰っ たのですが、そこでは誰もが「これのどの辺が『美しい』のか全然分からな い・・・」という状態だったそうです。その数学者はきっと「こんなシンプル な形の公式が成り立つということが、まずすごい」「それにもかかわらず、
この公式からあらゆる重要な帰結が導かれる」などといった、いわば「数式 の向こう側に見える背景」を込みで『美しい』と言ったのでしょう。もちろ ん、このエピソードのようなこと以外にも、多少くだけて「不思議な感じが する式だ」とか「なんだか面白い形の式だ」とかいった主観的な好みで決ま る『美しさ』だってあるはずです。講演では、私自身が個人的に「これはお気 に入りだなあ」と思う公式や定理などについてお話しできればと思ってい ます。お楽しみに。
(2) 懇談会
数理科学科の先輩達が皆さんの質問に親切に答えてくれます.
数学が大好きな人,コンピュータに興味がある人 サークル活動,就職,進学などについて知りたい人など 皆さんのご来場をお待ちしています.
楽しい時間を過ごしてもらおうと思います.
物 質 地 球 科 学 科
・ 物 理 系
「理論物理への入門」
(梯 祥郎 前野 昌弘)
研究室紹介:磁性体研究 室
(矢ヶ﨑 克 馬 ・ 仲間 隆男)
研究室紹介:NMR 物性 研究室
(與 儀 護 ・ 二木 治 雄)
理系複合棟 202 室 12:30-16:30
講義1 梯 祥郎 13:00-14:00
講義 2 前野 昌弘 14:30-15:30
理 学ビル 106 室
および 極 低 温 セン タ ー
12:30–16:30
極 低 温 セン タ ー
12:30-16:30
講義 1「物性理論入門 -電子が作る磁石の世界-」
皆さんが小さいころ砂場で一度は遊んだことがある磁石はクレジット カードやマグネットク リップ等の身の回りの小道具からリニアモー ター カーやMRIなどの先端科学機器まで色々なところで目にします。これら の磁気現象は現代物理学の重要な研究テーマになっています。この講義で は,磁石の物理学の歴史的な発展を高校生に もわかるように解説して,
磁石の起源がスピンと 言われる電子の磁石に よるものであることを明ら かにします。そして,スピンを担うアボガドロ数個の電子が,磁石だけで なく,磁石の性質を持 たないアモルファス鉄や超重い電子や超伝導 など 物質の多様で不思議な振る舞いを引き起こす ことを量子論という考え方 に基づいてわかりやすくお話します。
講義2「一般相対論入門 -ブラックホールの表面で何が起こるか?
-」
ブラックホールというと、「光すら出てくることができないほどのもの すごい重力で何もかも飲み込んでしまう星」というイメージを持っている 人が多いのではないかと思います。しかし、実はブラックホールの怖いと ころは重力の強さ ではなく、「その表面では時間がとまってしまう
(!?)」ことなのです。脱出できないのは重力のせいではなく、時間が止 まるからなのです。
もちろん、地球の近所にはブラックホールはないので、誰も行ったこと はないのですが、アインシュタインの一般相対論という理論から、それが 予言されます。実はブラックホールに限らず、地球上でも高さによって時 間の進み具合は違います。ブラックホールは特にその時間差が大きいだけ なのです。
では 、いったいどうしてそんなことが起こるのでしょうか。
この講義では、アインシュタインが一般相対論をどのようにつくりあげ ていったのかという話から始め、時間と空間のゆがみと重力の関係につい てお話しします。そして、ブラックホールの表面に人が住んでいたとした ら、いったいどんな不思議な現象が起きるのかを物理的に、SF的に説明し ます。
物質の性質として電気伝導,熱電能 ,磁性,結晶性等を総合的に研究 しています。今回は、室温以下1.5 K(ケルビン)まで(約-270℃)までの低温 領域と、
室温以上1300K(約1000℃)までの高温領域の電気伝導度と熱電 能が同時 測定できる装置と熱電気現象について実物を展示しながら説明いた しま す。
私たちの研究室では、核磁気共鳴(NMR)という方法を用いて、物質の 磁気的,電気的性質を極低温から高温まで温 度変化させて研究して いま す。NMRの実験には磁石が必要ですが、高磁場を実現するために超伝導マ グネットを磁石として使用しています。超伝導マグネットを動かすために は,多量の液体ヘリウムを必要とします。この液体ヘリウムは極低温セン ターで生産し、供給されています。体験ツアーでは、これらの装置とその装 置を用いてどのような実験が行われているか をご覧に入れようと思 いま す。興味のある方は立ち寄って下さい。
学内共同利用研究施設 極低温センター
(宗本 久弥)
極 低 温 セン タ ー
12:30–16:30
14:00-15:30
極低温センターでは、液体窒素と液体ヘリウムを製造し、大学内の研究 室に供給しています。施設公開ではこの製造設備をご覧いただきます。ま た液体窒素を使った実験も行い、みなさんに楽しんでもらおうと思います。
液体窒素の実験
物 質 地 球 科 学 科
・ 地 学 系
光学と電子顕微鏡で探る 岩石鉱物の世界
(新城 竜一)
目で見る地震災害・・・
津波と液状化の実験
(中村 衛)
大気の重圧:トリチェリ ーの実験
理 106A(光学 顕 微 鏡) と 理 207A室(電子 顕微鏡)
光学顕 微 鏡: 12:30-16:30 電子顕微鏡:
1) 13:00-13:30, 2) 14:00-14:30, 3) 15:00-15:30 の 3回行う。一 回5-6名程度。
途中退出可能。
理系複合棟 203 室
12:30-16:30
理 系 複 合 棟 の 東 壁と同714
光学顕微鏡:光学(偏光)顕微鏡を使って岩石薄片を観察し、鉱物の光 学的な性質について理解を深めます。偏光顕微鏡でしかみえない鉱物の世 界をのぞいてみませんか。
電子顕微鏡:電子顕微鏡と化学分析用X線装置の原理を学び、実際に操 作してみます。ためしに鉱物生成時の温度を推定してみます。
大地震が発生すると、埋立地では液状化災害がおこる。また、沖縄のよう に海に面した地域は津波に襲われる危険性がある。ここでは、液状化と津 波の模型実験をおこない、それぞれどのような現象か、危険度の高い地域 はどこなのか、実演を交えて解説をおこなう。
海は 10 m 潜ると 1 気圧の水圧がかかります。大気こそ 1 気圧あり、これ が水を 10 m 押し上げます。このトリチェリーの実験を実際にお目にかけ
サンゴ礁の島を造る単細 胞生物-有孔虫-
(藤田 和彦)
12:30-16:30
理 学 部棟 323 室
12:30-16:30
れを調べます。
熱帯の太平洋に浮かぶサンゴ礁の島々は、今、海面上昇による水没の危 機に瀕しています。これらの島々の多くは、主に有孔虫と呼ばれる単細胞 生物の砂粒大の殻で造られています。この有孔虫の“砂をつくる力”を利用 すれば、サンゴ礁の島を水没の危機から救えるかもしれません。みなさん にこの単細胞生物の“砂をつくる力”を紹介します。
海 洋 自 然 科 学 科
・ 化 学 系
化合物の構造と特性に ついて考える
−分子の極性を調べてみ よう−
(国吉 正之)
芳香族アジンの合成
-針状結晶を作ってみよう-
(比嘉 松武)
サンゴの代謝を測る
-光合成による酸素の変化-
(新垣 雄光)
いろいろな電池をつく ろう
(荻原 和仁)
共通 教 育棟 1- 217
12:30-16:30
理系複合棟 405 室 12:30-16:30
理系複合棟 405 室 12:30-16:30
理系複合棟 405室 12:30-16:30
化学系プログラムの参加者のうち、先着60名に周期表などをプレゼン ト!
分子の形(構造)によ って物質の特性にどの ような違いがでるのか を説 明し、その性質の違いを利用して化合物を分離精製できることを実験(ク ロマトグラフィー)をとおして理解させる。また、分子模型を実際に組ま せることによって、分子の立体構造に関する理解を深めてもらう。さらに、
スペクトル機器の見学及びスペクトル測定データの解析を通して化合物 の構造がどのように決定されるのか解説する。
無色液体のベンズアルデヒドと抱水ヒドラジンからあざやかな黄色固体 であるベンズアルダジンを合成します。 さらに、これをメタノールから再 結晶することによって美しい黄色針状結晶にします。 実験の参加者にはき れいなサンプルビンに入れて体験ツアーの記念にプレゼントします。実験 時間は約1時間です。
サンゴは動物のサンゴ 骨格と植物の褐虫藻に よる共生関係で生きて いま す。日中は、太陽光をうけ褐虫藻により光合成が行われます。このサンゴの 代謝を化学的に測ってみましょう。サンゴは光合成することによって、海 水中の二酸化炭素を消費し、酸素を発生します。光合成によって作られた 酸素を化学分析によって測る実験をします。
身近にある電池として化学反応を利用した乾電池がありますが、その他、
くだもの電池、備長炭電池、太陽電池および燃料電池などがあります。今回 はこの中のいくつかの電池を実際に作成してもらい、オルゴールやプロペ ラを回すことができる か確かめてもらいます 。本ツアーでは、1回(4 名)60 分程度、4回に分けて電池の作成を行ないます。
海 洋 自 然 科 学 科
・ 生 物 系
サンゴは動物?植物?鉱 物?
(日高 道雄)
チョウの色 模様の形成 と進化
(大瀧 丈二)
海に沈む昆虫たち ~そ の不思議な生態について
~ (佐藤 綾)
理系複合棟 204 室 12:30-16:30
理系複合棟 205 室 12:30-16:30
理系複合棟 207 室 12:30-16:30
サンゴはイソギンチャクの仲間の動物ですが、体内に藻類を共生させてい るため植物のようにも見えます。また死んだサンゴは鉱物のようにも見え ます。生きたサンゴやサンゴの骨格、そして共生する褐虫藻を顕微鏡で見 てみましょう。培養褐虫藻は2本の鞭毛を生やして泳ぎ出します。このこ とからサンゴに共生する褐虫藻は渦鞭毛藻であることが分かりました。サ ンゴの光合成を計る方法も展示します。
沖縄をはじめとした熱帯・亜熱帯の島々には、多様な色模様の翅 を持つチョウが生息しています。チョウの色模様はどのようにして 形成されるのでしょうか。色模様の形成と進化のしくみをタテハチ ョウとシジミチョウを例に紹介します。また、色模様形成過程の機 序を示唆するような美しい色模様を持つチョウの展示、飼育中の幼 虫の展示、鱗粉の顕微鏡観察なども行います。
海の満ち引きの影響を受ける陸地のことを潮間帯と言います。潮間帯は、
水位が最も低い干潮時には地面が露出していますが、最も高い満潮時には 一面海となります。満潮ごとに海面下に沈む潮間帯には、昆虫など住んで いないように思うかもしれません。しかし、潮間帯にも少ないながら昆虫 がおり、干潮時に活動して満潮になると海に沈む生活を送っています。潮 間帯に見られる昆虫の知られざる不思議な生態についてご紹介します。
熱帯生物圏研究センター
サンゴ礁の魚はとっても不思 議
(サンゴ礁生物機能学領域)
理系複合棟 608室 12:30-16:30
沖縄に住んでいる私たちにとって、サンゴ礁に住んでいる魚はとて も身近な生き物です。私たちは彼らの生き方を良く知っているよう ですが、まだまだわからないことがたくさんあります。熱帯生物圏 研究センターの私たちの 研究室ではサンゴ礁に棲 息している魚が
「時間」をどのように理解しているのかについて研究しています。今 回の体験ツアーでは、実験に使っているサンゴ礁の魚たちを展示し 彼らがどのようにして一日、一月そして一年を測っているのかにつ いて紹介します。
<在学生との懇談会>
物質地球科学科
(物理系・地学系)
理系複合棟 209室 12:30-16:30
随時
琉球大学理学部の物質地球科学科と海洋自然科学科に 在籍する学部学 生たちから進学後の学 生生活全般についての情報とアドバイスを聞くこ とができますので、どのようなことでも遠慮なく相談してみてください。
海洋自然科学科
(化学系・生物系)
懇 談希 望者 は 受付・案内係 に
申し出て く だ さい
■将来自分が希望する研究分野の専門家が琉球大学理学部にはいるのか。
■入学後の沖縄での学生生活についてのアドバイス
■奨学金制度、サークル活動、就職、大学院への進学のことなどについて 詳しく知りたい。
(数理科学科の懇談会については同学科の行事案内を見てください)