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米大統領選に思う=問題は日本国内にあり

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時事通信社「Janet」「週刊 e-World」5月14日号 巻頭言

米大統領選に思う=問題は日本国内にあり

佐藤行雄

今回の米大統領選挙は全てが目新しい。共和党のマケイン候補が当選すれば史上最高齢(72歳)

の大統領が誕生するし、民主党の場合には、オバマ、クリントン両候補のいずれが選ばれても、黒人か 女性という、これまでの常識を破る大統領が登場する。

米国の政治が大きく変わりつつあることの証左で、誰が大統領になっても新政権は、この変化を反映 する政策を打ち出してくるだろう。

例えば、地球温暖化については、民主党政権の場合には言うに及ばず、マケイン政権においても米 国は、一転、積極的になると予想され、日本が米国を説得するという役回りを演じることが出来るのも今 年限りとなりそうだ。

その一方で、ベトナム戦争とウォーターゲート事件の後に登場したカーター大統領(民主党)がいきな り在韓米軍の撤退を言い出した時のような、孤立主義的発想は今回は全く聞こえて来ない。

如何にしてイラクからの撤兵を実現し、伸び切った米軍の態勢を立て直すかが次期政権が直面する 課題であろうが、パキスタンからパレスチナまでを視野に入れた大胆な中東外交なしにはそれも難しい。

また、最早止めようのないグローバリゼーションの流れの中で如何にして米国経済の回復を図るか、地 球温暖化対策で如何に指導力を発揮するか、あるいは、大国の復活を目指すロシアや、長期的には 米国の地位を脅かす存在にもなりうる中国に如何に対応していくかといった、大きな戦略的課題も新政 権を待ち受けている。

その上、イラク政策の失敗によって米国の影響力も減じており、孤立主義的な発想が出て来る余地は ないということであろう。

それどころか今回は、外交、安全保障政策に関心のある米国の識者の間に、外国の意見を聞こうとす る姿勢が見られる。

そうは言っても、何事につけ世界をリードしたいアメリカ人気質を考えると、この姿勢が続くのは新政権 成立直後ぐらいまでであろうし、だからこそ、各候補の周辺に日本の考えを早く伝えることが求められ る。

しかし、問題はむしろ、日本側に今、新政権の関心を惹き付けられるような新しい発想を示す用意が あるかどうかにあると言わざるを得ない。

例えば、アーミテージ報告でもすでに指摘された通り、日米自由貿易協定の締結が同盟関係を一層 強化するための課題として浮上しているが、この面で日本側が米国の関心に前向きに応えるためには、

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農業政策での大きな政策転換を必要とする。

軍事面での対米協力強化は今後とも重要である。しかし、米国から見ればこれは、同盟国が本来果 たすべきことを果たすまでのことで、日本に対する期待の高い経済面での措置に比べて、付加価値は それほど大きくない。

また、国際政治上の日米協力を深めるためには、これからの世界で日本がどのような役割を果たす用 意があるかを明らかにすることが不可欠だが、まさに日本国民自身がかねて答えを求めているこの課題 を前にして、日本の政治は停滞している。

大統領選挙にすでに現れている米国の変化を見るにつけ、果たして日本の政治がこの変化にうまく 対応していけるだろうかという心配が先に立つ昨今である。

佐藤行雄(さとう・ゆきお)

(財)日本国際問題研究所理事長。

1961年、外務省入省。大蔵省主計局主査(科学技術・文化担当)、安全保障課長、外務大臣秘書官、

国際戦略問題研究所(IISS、ロンドン)研究員、在英大使館参事官、宮崎県警察本部長、官房総務課 長、在香港総領事、情報調査局長、北米局長、駐オランダ大使、駐オーストラリア大使、国際連合日本 政府常駐代表(大使)等を歴任。2003年より現職。

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