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終 章

(1)総合的評価

本学園は1924(大正13)年に創立者島田依史子の理想のもとに発足し、激動の時代を 乗り越え81年の歴史を刻んでいる。甲種実業学校の時代から、高校、中学、専門学校、短 期大学そして大学に至るまで、時代に対応し、社会の要請を受け、今日の総合的な学園と しての組織に至った。大学としては1991(平成3)年の設置から20年目を迎え、経営学部、

人間学部、外国語学部、保健医療技術学部の4学部と経営学研究科、人間学研究科、外国 語学研究科の大学院3研究科を擁し、総合的教育研究大学として、より一層社会的使命を 自覚し、責任をもって社会に貢献していかなければならない。

本学は、学園の建学の精神である「自立と共生」を大学の理念として、専門的知識と技 能を身につけ、社会に貢献することのできる有能な人材の育成を行ってきた。これまで一 貫してこの精神に基づく教育を行い、多くの有能な卒業生を世に送り出してきたと自負し ている。

大学を設置し初の完成年度を迎えた1994(平成6)年から、学内に「自己点検評価委員 会」、「将来構想委員会」を設け、点検の結果を将来構想に生かすべく協議を重ね、「教 育内容・教育方法」、「学生生活の支援と活性化」、「大学と地域との連携」、「高大連 携」、「特色ある研究・教育」、「大学の質の保障」、「入学者選抜の工夫・学生募集」、

「情報化への対応」、「学長のリーダーシップと組織改革」など、テーマを定め、大胆な 大学改革を進めてきた。開学当時、経営学部のみの単科大学であった組織も、現在は、経 営学部、人間学部、外国語学部、保健医療技術学部そして大学院経営学研究科、人間学研 究科、外国語学研究科となり合計4学部、3研究科となった。全体で現在4学部9学科、

3研究科4専攻の組織である。さらに、2010(平成22)年4月には保健医療科学研究科も開設 予定である。

以下に、これまで行ってきた本学での改革の主なものを総括的に列挙してみる。

1.特色ある教育

a.シラバスの開示(1991年・平成3年から)

全学部・全授業科目について年間授業計画を学生に提示し、事前の予習、事後の復習を はじめ、計画的な学習を進められるようにしている。各授業科目とも年間30週(半期科目 は15週)の授業を確実に実施して、休講の場合は必ず補講あるいは課題提出など、補う体 制がとられている。

b.オープンカリキュラム(2002年・平成14年から)

幅広い見識を持つスペシャリストを育成するため、学部や学科の垣根を越えて授業科目 を履修することができる。各学部が40科目程度をオープンカリキュラムとして掲げ、他の 学部の学生が履修登録することができる制度を採り入れている。さらに他大学とも協定を 結び単位互換を行っている。

c.ゼミナール教育(1991年・平成3年から)

懇切丁寧に一人ひとりを教育していく本学の教育方針に基づき、「ゼミは一生の財産」

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をスローガンに掲げ、各学部・学科(短期大学を含む)ともゼミナールを置いている。各 専門の分野の教員が指導教員となり、学生各自が研究テーマを設定し、卒業論文につなげ ていく。経営学部では3年間、人間学部、外国語学部では2年間のゼミナールを実施して いる。歴代の卒論は製本し図書館に配架して後輩学生の参考に供している。毎年11月に開 催される学内大会においても、他大学とのゼミ対抗の討論会においても活発な討論が行わ れ、インナー大会等への参加ゼミも増加傾向にある。

d.インターンシップ(1999年・平成11年から)

企業や会社の現場で、体験学習することにより、現実に求められている能力や創造性を 育てる取組みを行っている。企業実習体験プログラム。

後述するように、2003(平成15)年からは社会貢献学習の一貫として学校インターンシ ップの制度が採り入れられ、学生達は小・中学校で社会貢献すると同時に多くのことを学 校体験から学び取り、自らの豊かな大学生活を築き上げている。

e.海外インターンシップ(2005年・平成17年)

本学の海外インターンシップの実績は、日本の大学でもトップクラスである。海外イン ターンシップの研修先は、グアム、パラオ、北京、大連、杭州、台湾などの一流ホテルや 空港である。海外インターンシップは、現地での研修中の滞在費(宿泊費・食事)を受け 入れ先が負担することも多く、自己負担が軽減される。さらに、英語、中国語、韓国語な ど所定の語学資格を取得すると奨励金(5万から10万円)が支給される。また、グアム では、グアムコミュニティカレッジと提携して、語学研修とリゾートホテルでのインター ンシップを組み合わせたプログラムをスタートさせている。インターンシップ先のホテル で、午前中は、グアムの文化や歴史、ビジネス英会話など、30時間に及ぶ授業をグアム コミュニティカレッジ教員より受け、合格すると修了書が授与される。午後ホテルの各部 署でインターンシップを行う。平成21年度は、このプログラムに参加し、6名が修了書 を授与されている。

f.全学共通の多彩な留学システム(1992年・平成4年から)

短期(1ヵ月程度)、フィールドスタディーズ(3ヵ月~6ヵ月)、長期(10ヵ月程度)、

交換留学(1年~2年)等の多彩な留学システムを構築し、各種奨学金(10万円~130万円)

を支給して学生が意欲を持って参加できる仕組みとしている。また事前指導および事後指 導を丹念に行い実りある外国留学制度とし、満足のいく実績を上げている。米国(西海岸、

東海岸、中部等)、カナダ、オーストラリア、ニージーランド、中国、マレーシア等、提 携する大学も多彩となってきた。語学研修だけでなく、異文化・社会・人間について研究 できるフィールドスタディーズ留学も実施し、さらに保育・福祉・心理等の各専門領域の 研修のための短期留学も実施している。

g.英語教育センター(1979年・昭和54年から)

①子ども英語教育センター(CLEC: Child Language Education Center)

本郷キャンパスにあり、幼児・児童を対象とした英語によるコミュニケーション教育に 関する総合研究(教材開発・指導法・指導と評価の一体化による検証授業など)を行うこ

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とを目的に1979年に設置された。同年には、近隣の幼児・児童を対象とした子ども英語教 室が本郷キャンパスで、1998年にはふじみ野キャンパスでも開講された。これまで、約940 名の幼児・児童を対象に英語によるコミュニケーション教育の実践研究を行ってきた。こ のことは附属幼稚園でも実施している。

CLECは、日本の早期英語教育の実践分野ではパイオニア的存在であり、英語教育を通じ て地域貢献の場として重要な役割を担っている。また、同センターでは、巷の児童英語教 室や小学校での児童英語講師を目指す学生たちの教育実習の場としても活動している。具 体的には、文科省が2011年度より全国の全小学校で正規に開始する「外国語活動(英語に よるコミュニケーション活動)」の土台創りに15年間参画してきた渡邉寛治センター長(前 文科省総括研究官)の指導の下、2008年度以降、本学の児童英語教育関連科目の教育内容 と方法を改良。CLECでの教育実習ともリンクさせている。したがって、履修者はこれらの 関連科目の単位を修得すれば、2011年度より小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)が認 定する「小学校英語指導者」の資格を有することができ、卒業後に公立小学校等で指導可 能な道が開ける。

② 文京語学教育研究センター(BLEC)

文京学園が設置する各学校の語学教育の向上に資することを目的として設置されている センターで、主に英語によるコミュニケーション能力養成のための教育活動と英語教育に 関する研究活動を行っている。特に、外国語指導理論、指導法としての「三ラウンド・シ ステム」に基づいたCALL教材を中心とした教材の貸出、英語学習に関する相談、長期休暇 中の英語学習講座の開催、新たな教材の開発等、様々な形で本学学生の英語力向上に向け た取り組みを行っている。

h.多文化共生プログラム[Multi-Lateral Student Exchange Program] (2003年・平成15 年から)

本学が留学提携をしている米国ミネソタ州にあるセント・ジョーンズ大学、セント・ベ ネディクト大学・マレーシアのマラ工科大学の学生(毎年20名程度)を本学に交換留学生 として受け入れて(学内・国際交流会館に寄宿)、9月から12月までの4ヶ月間、「多文 化共生プログラム」を実施している。本学教授陣ならびに先方の教授がプログラムの授業 を受け持ち、日本文化などの授業を英語で行うのみならず、実地見学や体験の機会を提供 し、本学学生も一定の語学レベルがあれば授業に参加することが出来る。また、この期間、

外国人留学生は本学学生とともに学生生活を送るため、クラブ・サークル活動、文化祭等 の活動にも加わり大学内が活性化している要因の一つとなっている。留学生を外国に派遣 するだけでなく、受け入れる制度としては極めて珍しい斬新的な試みといえる。

i.プロジェクト型授業(2003年・平成15年から)

理論の習得と同時に実践型授業で、実際を体験する学習法を導入。ベンチャービジネス 実践、マーケティング実践等の科目をおいている。実際の企業に協力を得て、ショップの オープン企画を立案する、また商店街等の協力を得て実際の店舗を出店しビジネスを展開 する、営業・宣伝・広告・売り上げ管理・在庫管理等を実際に行っていく授業を展開して いる。

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347 j.初年次教育の本格的展開(2008・平成20から)

経営学部では、1年次前期の必修科目「大学学」において、基本的なスキルの修得はも ちろんのこと、担当教員と学生との個人面談を何度も実施し、問題のある学生の早期発見 に役立させている。当初は面談記録を紙ベースで行っていたが、リアルタイムなコミュニ ケーションの実現、教員の負担軽減のためにも、2009年度からは電子ポートフォリオが導 入され、退学率の低下など、その効果が期待されている。

k.電子ポートフォリオによるキャリア教育の展開(2009・平成21から)

経営学部のキャリア教育は1年次後期の「職業とキャリア」から開始され、2年次の「キ ャリアデザインⅠ・Ⅱ」、3年次の「キャリアデザインⅢ・Ⅳ」へと続く体系化されたシス テムとなっている。このキャリア教育に電子キャリアポートフォリオを使用し、学生・ゼ ミ担当教員・キャリア委員会委員・キャリアセンター職員が双方向でのコミュニケーショ ンが即時に実施することが可能となった。学生には種々の就職情報、求人情報を即座に伝 達することなど様々な利点がある。就職環境が極めて厳しい昨今においては、大変有効な システムであり、就職率の向上に資するものである。

l.特別講座の開催(1997年・平成9年から)

社長や企業のトップを招いて特別講座を開催。大学では特別予算を組んでこれを支援し ている。1997(平成9)年から毎年行っていて、カルビー、ユニチャーム、東芝、資生堂、

ぴあ、キングジム等の社長が本学で講義を行っている。

m.現代的教育ニーズ(現代GP)の推進(2005年・平成17年から)

個性輝く大学づくりを目指し、他の大学にない本学の独創的な教育、学生指導を積極的 に構築する努力を行っている。文部科学省の募集した『現代的教育ニーズ』に対しては、

2004(平成16)年には、地域連携教育の分野で「共生社会創造を図る地域貢献活動と雇用 の創出」を提出し、高い評価で選出された。3,600万円の補助金が支出されている。子育 て支援、地域ボランティアの育成等を柱とするもので現在活発に活動を展開している。

n.オフィスアワー(2004年・平成16年から)

学生の意欲に応え、また様々な悩みを抱える学生を支援するため、全学部でオフィスア ワーズを設定している。各専任教員が1週間に2日間の相談日を設けて、学習相談、教育相 談、研究の指導を行う。

2.特色ある研究

a.心理・臨床福祉センター(1997年・平成9年から)

1997(平成9)年から開設している。心理臨床的研究と学生の臨床教育の実践を行って いる。実践面では、保育や教育、福祉に関する悩みや問題に、本学の専門領域の教授が相 談に当たる。また、登校拒否、発達の遅れ、難聴やことばの遅れなどの様々な相談にはカ ウンセリング及び援助を行っている。

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b.臨床心理相談室(カウンセリングルーム)(2000年・平成12年から)

ストレス、不安や悩み、からだや心の症状、または行動の異常に苦しんでいる方などの 相談に応じている。本学相談室には、臨床心理士の教授陣が待機、月~土まで毎日相談室 を開いている。

c.文京語学教育研究センター(BLEC)(2001年・平成13年から)

このセンターでは、英語およびその他の語学によるコミュニケーションに関する理論的 研究、実際的研究、実験的研究を行い、教材の開発や教育法の開発を行っている。

d.子ども英語教育センター(CLEC)(2003年・平成15年から)

このセンターでは、英語およびその他の語学によるコミュニケーションに関する理論的 研究、実際的研究、実験的研究を行い、教材の開発や教育法の開発を行っている。

e.コンテンツ多言語知財化センター(2005年・平成17年から)

このセンターを中心として、経営学部、外国語学部、人間学部の学生が、多言語コンテ ンツプロデュース教育を実施していく。その中心的な手法は、経営学部で取り組んでいる

「長期フィールドワーク実践」(プロジェクト型授業)や外国語学部で取り組んでいる語学 ゼミナール教育の成果である。学内における事前の指導を経て、学生は半年間提携先の企 業でのインターンシップやクリエーターとの共同作業を経験し、CG、ビジュアルコンテ ンツ領域、コンテンツプロデュース領域、コンテンツ多言語化領域の分野について学んで いく。

f. 学習サポートセンター(2009年.平成21年から)

初年次教育を推進するための総合的な学習支援組織として、平成21年度から本郷キャン パスに学習サポートセンターを設置した。初年次生に限らず、大学での学習や生活に支援 が必要な学生への各種対応を中心にして、教職員が一丸となって学生をサポートしていく ための組織である。リメディアル教育に限定せず、学習意欲の高い学生の能力を伸ばす対 応や、授業運営に関する教員自身のFD教育も推進していく計画である。

対応窓口として「学習サポートコーナー」を新設して常時大学院生を配置し、相談内容の 枠を作らず、学生からの様々な学習に関する質問や疑問あるいは生活相談に直接対応して いる。レポートの書き方、ノートの取り方、語学、基礎教育科目から就職相談、大学院進 学のサポートまで幅広い対応が求められる。

また学生によっては苦手意識を持ってしまった「英語や数学の基礎」の対応などには、随 時少人数講座を開講している。健康や心の相談、キャリアに関する相談などサポートコー ナーだけでは対応できない場合は、関係部署を紹介して解決できるように誘導している。

平成21年6月開設後実質約5か月間の実績で、のべ182名の相談者があり、講座受講者 はのべ約50人であった。

3.高大連携

a.高等学校と連携した「総合的学習」(2002年・平成14年から)

高等学校の新課程の導入に伴い、高校生の「生きる力」をはぐくむ「総合的学習の時間」

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に、本学の研究教育を還元していこうとする試みを実施している。人間学部では大宮開成 高校、浦和学院高校と連携して、高等学校の総合的学習の時間に本学内で福祉、心理の講 座を開催して高校生に受講させている。また、外国語学部では、都立芝商業高校との連携 で、英検取得講座を行い、英語に関心のある高校生に大学教育を体験してもらっている。

b.出張講座(2000年・平成12年から)

高等学校の教養講座、文化講座、特別講座などに、本学の教授陣が出張講義を行ってい る。学長を初め、本学教授陣の専門分野について、テーマを一覧として示して各高等学校 に配布。希望があれば出張して講義する(費用は本学負担)。毎年年間約10校の高等学校 へ出張し講義している。

4.地域連携

a.市民カレッジふじみ野(旧大井町町民カレッジ)(2000年・平成12年から)

本学の研究教育の成果を地域に還元し、併せて地元市民のリカレント教育を目的として、

埼玉県ふじみ野市と共同で市民カレッジふじみ野を実施している。ふじみ野市民を初め富 士見市、三芳町など近隣からも受講生がある。毎年1シリーズ(4回)を行い、各回10 0名程度の市民が参加している〈上福岡市と大井町は市町村合併により、2006(平成17)

年からふじみ野市に変更〉。

b.社会貢献実習(学校インターンシップ)(2003年・平成15年から)

東京都文京区、埼玉県ふじみ野市とそれぞれ協定し、管内の公立小学校・中学校に本学 学生を派遣し、教室の補助、生徒の相談役、クラブ活動の援助などのボランティア活動を 行っている。各学校とも教員の高年齢化が進み平均年齢は45~50歳前後となっている。

その中で若い活力が、児童・生徒たちのへ援助のひとつとなっている。

c.地域連携センター(BICS) (2005年・平成17年から)

人間福祉学科の教員が中心となって大学内に地域連携センターを開設している。学生の 社会福祉実践を行う臨床の場としての機能の他、地域の各種ボランティア団体と連携して 福祉人材の育成、ボランティア活動の情報交換、地域連携としては「バウムクーヘン」、

「まなびの教室」、「まるびぃの森」、「ピース☆」、「スマイル」の5事業を展開して いる。

d.環境教育センター(2007年・平成19年から)

環境教育コーディネーターの育成とコーディネーターを育成する人材育成プログラム

「糸車プログラム」の開発を目的にして設置された。共生社会学科(2010(平成22)年度 よりコミュニティ社会学科に変更)の教員が主導して学生と地域住民が休耕田になってい る水田で無農薬作りを体験し、地球規模の環境問題を考える実施課題を行ったりしている。

5.開かれた大学づくり/社会貢献

a.公開講座ウィークエンドフォーラム(1991年・平成3年から)

1991(平成3)年から始め、本年で14年になる公開講座で、毎年春と秋に週末に連続3

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回開催。すっかり定着し、登録会員は1,500名以上。毎回300名程度が参加している。タイ ムリーなテーマを設定した講演と少人数で行うゼミナール方式の2コースがある。

b.生涯学習センター(1996年・平成8年から)

文京学院大学生涯学習センターを設置。近隣住民、市民、首都圏ビジネスマン等の再教 育・リカレント教育を行っている。本学のもつ教育ノウハウを広く社会に提供し、

「実務・資格」「語学」「保育・福祉・心理」「ビジネス」「教養」の5分野の学問領域 について年間450講座を開講。4,500人を超える社会人の学問意欲に応えてきた。

6.国の政策課題に対する対応

a.委託訓練(1)(2002年・平成14年から)

厚生労働省が雇用失業情勢の厳しさの中で国の政策として導入した「大学等委託訓練」

の呼び掛けに本学が応じて講座を開いている。本学の他、法政大学、東海大学等が協力し、

雇用・能力開発機構の主催で、中高年ホワイトカラーを初めとする失業者を対象とし、職 業資産を生かした、管理職高度な専門職等としての再就職を支援する職業訓練の講座。

b.委託訓練(2)(2003年・平成15年から)

経済産業省では、わが国の経済の低迷を打開する一つの方策としてコンテンツ産業の役 割に注目しこの分野の人材養成を提唱した。これに応えて経産省の支援を受け、本学でプ ロデューサーの養成講座を開設した。

c.子育て支援(2004年・平成16年から)

厚生労働省では、都道府県と連携し『少子化対策プラスワン-少子化対策の一層の充実 に関する提言-』を発表しており、地域社会への協力を呼掛けている。これに呼応して人 間学部を持つ本学では、子育て支援施設「ふらっと文京」を立ち上げ、子育ての悩みや保 育の技術、父母ネットワークづくりの支援等を通して地域と連携を行っている。保育実践 研究センター(ふらっと文京)は、保育学科の教員が中心となって大学内に育児支援センタ ーを開設している。学生の保育実践を援助する臨床の場としての機能の他、地域の若い母 親らに育児支援を行う場として活動を行っている。子育ての悩み、保育方法・保育技術の 習得など本学の教員の指導の下学生がお手伝いをして地域の親子の支援をおこなっている。

d.カウンセリングルームの設置(1999年・平成11年から)

学生生活、教育関係を初めとして、個人的な悩みや相談についてもカウンセリングを行 う相談室を設置。医師、看護師、保健師、臨床心理士等が交替で在室している。相談記録 の保管を初め、月刊統計・年間統計も集計しており、悩みの種類、性質、傾向、退学率へ の関連性等も分析している。

7.学生支援/奨学金

a.クラブ・サークル顧問制度(2002年・平成14年から)

クラブ活動の活性化を図るため規程を整備し、教員が顧問としてクラブを支援していく。

合宿費の援助、合同の顧問会議の設置、リーダー育成合宿の開催、クラブ活性化補助金の 支出を行っている。

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351 b.奨学金制度(1993年・平成5年から)

学園創立者の名を冠し授業料相当分を貸与する『島田依史子記念奨学金』がある〈1991

(平成3)年から〉。また留学を支援する奨励金、奨学金として、短期留学生に10万円を 支給する「語学留学奨励金」、半年留学を支援し半期授業料を支給する「長期留学生 奨 学金」、1年間の留学または交換留学生を支援し130万円を支給する「特別留学奨学金」等 がある。

c.特別被災者への対応(2004年・平成16年から)

三宅島被災島民の指定の入学に際して、入学金、授業料の40%減免を行った。〈2004

(平成16)年からですでに修了〉。また新潟地震の被害家庭の師弟についても入学金、授 業料の40%減免を行っている。

d.外国人留学生支援(2002年・平成14年から)

経営学部では、中国を初めとするアジア諸国から「日本のビジネスを学びたい」との意 欲をもって多くの留学生が志望してくる。これらの諸国は必ずしも経済的に豊かとは言え ず、留学についての支援を必要としている者が多い。本学では、「私費外国人留学生奨学 金」として、外国人入試での入学者に対して入学金、授業料の40%を減免している。

e.中国提携大学からの入学者の減免(2003年・平成15年から)

本学が提携している中国の北京語言文化大学経済短期大学からの特別編入生については、

入学金、授業料の40%を減免している。

8.学長のリーダーシップを補佐する体制や教職員組織の充実 a.学内組織の充実

①経営学部

経営学部では完成年度を迎えた1994(平成6)年に将来構想の検討に入り、1995(平成 7)年度から大幅なカリキュラム変更を行い、教育組織を見直し、それまでの経営学科1 学科4コース体制から、1学科2専攻(マネジメント専攻、経営情報デザイン専攻)・4 コース体制に改編し学生の進路に合わせた教育を推進することとした。その後、学生のニ ーズを受けてマネジメント専攻を経営コミュニケーション専攻に経営情報デザイン専攻を コンテンツ・ネットワーク専攻に改編し、さらに2010(平成22)年度よりコンテンツ・ネッ トワーク専攻をコンテンツ・マーケティング専攻に改編する。

②人間学部

人間学部では2000(平成12)年に完成年度を迎えた後、2001(平成13)年から新たに「心 理学専攻」を設置。2003(平成15)年には、専攻を学科へと改編し新たな「共生社会学科」

を加えて、「保育学科」、「人間福祉学科」、「心理学科」の4学科制へと教育組織を改 編した。2008(平成20)年度には保育学科を児童発達学科に名称を変更、2010(平成22)

年度には共生社会学科からコミュニケーション社会学科となり、この数年の間に人間学部 の体制は大きく変わった。これにより、人間学部の理念・目的である専門的職業人の育成

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が充実し、現場のニーズを反映した実学志向が着実に進行してきている。カリキュラムも 一新し、現場のニーズを反映した実学志向の教育課程とした。

③外国語学部

2004(平成16)年に完成年度を迎える外国語学部は、新たな飛躍の年とするべく現在将 来構想を検討して、カリキュラムの改編およびコースの設置を行い、来年度以降の在り方 を再構築しているところである。

b.大学運営会議(2003年・平成15年から)

大学運営会議は学長を議長とし、副学長(計3人)、各学部長(計4人)、大学を担当す る理事2人および総括ディレクター(事務局長)によって構成され、毎月定例に開会されて いる。本会議は学長の方針を各学部に伝達し、学長を補佐する機関であると同時に、各学 部の意思を汲み上げ、大学としての意思を形成する機関でもある。本学の大学運営会議は、

21世紀の循環型社会に相応しい意思形成機関として、まさに循環ポンプ(心臓)としての 重要な機能を果たしている。

c.学長を補佐する役職者の配置

学則上は任意となっている副学長については本郷キャンパスに2名、ふじみ野キャンパス に1名の計3名を配置した。また、学長補佐を1名置き副学長とともに分掌を決め学長を補 佐している。さらに学長特命委員を置き、地域連携について担当させている。大学事務の 統括については、統括ディレクターを配置して学長を補佐する体制をとっている。

9.大学の質の保証 a.自己点検

学内組織を作り、規程を整備して、項目を定め、各学部ごとに自己点検・自己評価を行 っている。5年に1回のペースで点検報告書を発表してきた。すなわち1994(平成6)年と 1999(平成11)年に報告書を出版し、さらに2001(平成13)年にも報告書を作成し大学基 準協会正会員の審査を受け、2006(平成18)年には大学基準協会の第三者評価を受け適格と の評価を受けた。今回の自己点検は、義務づけられている7年ごとの第三者評価の中間年に 当たり最新の本学の情報をホームページ上に開示することを目的としている。

b.外部評価 (1999年・平成11年)

外部委員として、他大学、企業、高等学校校長等を委員に委嘱し、これまでの成果で冊 子となっているもの等を閲覧点検を受け、本学側、学長、副学長、学部長、学生部長、教 務委員長、図書館長、事務局長らにヒアリングを行い、本学の教育や研究、学生指導等に ついて評価を受けた。

c.学生生活(満足度)調査 (1995年・平成7年)

全学生を対象として、教育・授業の充実度、学生生活、施設利用など20項目程度のテー マを挙げて毎年その満足度を調査している。この中から、学部ごとの集計、大学全体とし

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ての集計をまとめ、次年度以降の大学改善に生かしている。

d.学生による授業評価(2001年・平成13年から)

毎年7月と1月に開講されている授業について行うもので、授業の進め方、資料の活用、

分かりやすさ、板書、学生本人の努力や事前準備等、10項目程度の設問に対して学生が回 答するアンケート方式。教員ごとの集計、講義と演習等の授業科目に分けた集計、学部ご との集計等を行って、次年度の授業改善に生かしている。結果を図書館に置いて学生にも 公表していたが、2009(平成21)年度後期科目よりイントラネット上で公表される。

e.保護者の満足度調査(2003年・平成15年から)

4年生在学者の父母(保護者)を対象として、親の視点から見た学生本人の成長度、教 育・授業の充実度、学生生活の充実度、就職指導に対する満足度、親自身の満足度など20 項目程度の設問を挙げて、総合的な満足度を調査している。この中から、学部ごとの集計、

大学全体としての集計をまとめ、次年度以降の大学運営に生かしている。

f.第三者評価(2001年・平成13年から)

財団法人大学基準協会の維持会員として相互評価を受けている。ここでは、同協会が設 定している項目について学内点検を行い、第三者評価として財団法人大学基準協会が審査 を行う。評価できる点や今後の課題、指摘事項など上げられ、次年度以降の大学運営や将 来計画の策定に生かしている。

g.FD(ファカルティ・ディベロップメント)(2004年・平成16年から)

教員の質の向上を図るため、「教育方法に関する研究会」、「研究方法に関する研究会」

を定期的に開催している。内部の教員が持ち回りで講師を勤め、事例紹介、新たな方法の 紹介、学生の反応、教育効果など測定していく。現在1年に2~4回程度のペースで行っ ている。

10 大学院の改革充実

a.経営学研究科(1997年・平成9年開設)

経営学部を基礎とする大学院研究科である経営学研究科については、1997(平成9)年 に昼間主の課程として設置したが、社会人の強い要請を受け、東京本郷キャンパスで一部 夜間にサテライト授業を展開し多くの社会人を受け入れた。2009(平成21)年度より昼間を 主とするマネジメントコースを廃止し、夜間を主としたビジネス・マネジメントコース(夜 間主)、医療関係機関のマネジメントを研究する医療マネジメントコース(夜間主)、税 理士の養成を目指す税務マネジメントコース(夜間主) の3コースで設立当初の入学定員10 名から、現在では入学定員30名に変更し社会の期待に応えている。

b.人間学研究科(1999年・平成11年開設)。

人間学部を基礎とする大学院人間学研究科では、保育学、社会福祉学、心理学、臨床心 理学の4コースを備え、人間学分野の様々な学習ニーズ、研究ニーズに応えられるようにし

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ている。社会人を受け入れるための「随時入試制度」、「社会人入試」などを行っている。

また臨床心理士養成のための臨床心理士協会1種指定校として、学内に臨床心理相談センタ ーを備え地域の相談にもあたりニーズに応えている。

c.外国語学研究科(2005年・平成17年開設)

2005(平成17)年に外国語学部を基礎とする大学院外国語学研究科学を設置した。ここ ではこれからますます必要となる「仕事で英語を使える人材の育成」が目標とされ、現職 の高校・中学の英語教員のスキルアップ、国際機関で働く人材の育成など高度専門職業人 を養成していく。現職学生だけでなく、社会人が入学できるように夜間主での教育を行う。

以上、本学における改革の主立った項目を記述したが、このように、「自己点検評価委 員会」、「将来構想委員会」の報告を教授会でよく吟味して、理事会においても慎重に検 討し、将来構想に生かすべく協議を重ね迅速に改革を進めてきた。多岐の項目にわたって 改革を進められたことは、何よりも本学を構成する教職員の熱心な姿勢があってこそ、な し得たものであった。

(2)評価項目ごとの目標達成状況

これまで20年にわたって大学を運営しまた改革を行ってきた結果を踏まえて、今回の自 己点検の大項目ごとに目標の達成状況を以下に記述することとする。

1 理念・目的および学部等の使命・目的・教育目標

本学の目指す到達目標は、人々が共に支え合い、共に幸せを求める共生社会の実現に寄 与することのできる人材の育成にある。本学の歴史は、経営と情報に関する専門分野の知 識と技術を修得し、社会に貢献できる人材の育成を目的とする経営学部の設立に始まり、

保育、社会福祉、こころのケアなど、福祉社会を支える人間学部、国際多文化社会に貢献 する外国語学部、健康と福祉に貢献することのできる高い倫理観を持った優れた専門家を 育成する保健医療技術学部へと発展している。それぞれの特色を活かして有為な人材を育 成し社会に寄与している。90パーセント台の就職率から教育成果を評価することができる。

2 教育研究組織

本学では「自立と共生」を建学の精神として、それぞれの学部・研究科がこの精神に基 づいた教育理念を掲げ、それぞれの教育目的・目標を立て、教育研究を行っている。さら に総合研究所、図書館、各種センター等は、学部・大学院研究科に、実践的・臨床的な教 育研究の場を提供するだけでなく、同時に大学と社会の融合を図り、大学の社会貢献を促 し、多大な成果を上げている。

3 学生の受け入れ

本学の教育理念は「自立と共生」である。この理念の基に共生社会の実現に寄与するこ とのできる専門的職業人を育成することが本学の教育目的であり、この教育目的に基づく 各組織の専門領域においてそれぞれの領域に相応しい人材を育成することをそれぞれの教 育目標としている。この教育目標を達成するため、多様な学生募集の方法・選抜者方法を

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取り入れ、本学部の教育理念・目的・目標に相応しい人柄と基礎的学力を備えた人材の選 別に重点を置き、学生受け入れの目標としている。受験生応募者の倍増が実現し他の大学 からも注目されており目標は達成できている。

4 教員組織

本学では本学の教育理念に基づいて、(1)専門職業人の養成(2)地域・職場のリー ダーとなる人材の育成を行うことを目標としている。そのための教員組織として、高度な 学識を有する教員と専門的資格を有する実務家教員を配置して、理論と実践の両面から指 導できる体制としている。教育課程の種類、性格、学生数との関係における本学の教員組 織は適切に配置されている。

5 施設・設備等

本郷キャンパスへの経営学部移転後6年を経過し、各キャンパス内の適正配置を行った結 果、施設・設備には大きな問題点が無いと言える状態になっている。本郷キャンパスでは、

一部校舎のバリアフリー設備の向上という問題は残るものの、体育器具等の補強、

e-Learning対応施設についてはかなり改善された。また、ふじみ野キャンパスにおいては、

保健医療技術学部が2006(平成18)年に開設され、2008(平成20)年中央館を新築し教室 環境の更なる整備を行ったので、大幅な指摘事項は見あたらなくなっている。

6 図書館及び図書・電子媒体等

大学4学部、大学院3研究科を擁する大学として、ふさわしい図書館にしていく。蔵書 数、雑誌、電子資料、サービス体制等のこれまでの課題が整備できたため、目標はほぼ達 成されている。今後の当面の到達目標は、予算の有効活用、利用しやすい資料配置、文献 複写・相互貸借の活用、当館の方針・方向性に沿った職員の指導研修、地域への図書館の 開放、両キャンパス間を結ぶ回線の容量が大幅な増強などあるが、いずれもすでに着手に 入っている。

7 社会貢献

「自立と共生」を教育理念とし、共に支え合い、共に幸せを願う福祉社会に貢献するこ とのできる資質と技能とを備えた人材の育成を教育目標とする本学にとって、「社会への 貢献」は最重要事項であるといえる。生涯学習センターの設立をはじめとし、本大学・学 部は「社会への貢献」に深く関与してきたが、これからはさらにその拡充に尽力していく。

8 学生生活

1924(大正13)年、我が文京学園の創設者島田衣史子は、「女性の自立」を願って「島 田裁縫伝習所」を開設した。「女性の自立」を願うこの女子教育は、同時に、「同性であ る女性の味方になる仕事」であり、「仁愛」が、校訓として掲げられた。この「仁愛」の 精神は、現在でも学生生活の福祉を願う学内の諸制度として生きている。「家庭的な、き め細かな学生指導の文京」という世評もその現れであり、学生に対する教職員の基本的な 姿勢となっており、激動する社会状況の中で、この「仁愛」の精神を学生支援として実践 していく。

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356 9 管理運営

21世紀は循環型社会である。本学部の目指す管理運営も循環型管理運営である。それは 下からの一方的なボトムアップ方式でもなく、また上からの一方的なトップダウン方式で もない。全学においては大学運営会議が、学部教授会においては学部運営協議会が大学・

学部の管理運営における、いわば心臓として位置づけられ、ポンプとなって意思の循環を 図り、全学的なコンセンサスの確立に努めている。

10 財 務

財務に関する本学の到達目標は、教育研究を実施するための財政基盤の確立と適正な会 計処理の推進にある。本学の静態的な財務体質は、自己資金構成比率、流動比率等に見ら れるとおり安定的である。

2008(平成20)年度までの4年間は、保健医療技術学部が完成年度に向かう過程で学生数の 順調な増加が見られたことにより、帰属収入において当初の計画比約20億円のプラスの実 績値となった。一方、支出項目では、人件費支出実績の計画値超と教育研究費実績値の計 画値超とを夫々予備費相当額と管理経費の抑制でカバーし、消費支出実績値においては、

ほぼ計画値と同水準となった。その結果、帰属収支差額ベースにおいてトータル計画比約 20億円のプラス実績となり、総じてこの4年間は良好且つ安定した財務運営がなされたと 認識している。

11 事務組織

本学では、大学として2つのキャンパスを有しているため、事務組織についても統一し て行うものと個々に対応するものを工夫して運営している。大学事務局は、従来の部課制 度を廃止して、学生サポート・支援を第一義の目標とする「学生の支援センター」として 位置づけ、名称も「学生支援センター」「学習支援センター」「キャリアセンター」「社 会教育センター」「国際交流センター」などとしている。

12 自己点検・評価

本学では、大学設置基準および本学学則に基づき、大学の教育研究水準の向上を図り、

本学の目的と社会的使命を達成するため、教育研究活動等の状況について自ら点検・評価 を行い、併せて結果の公表に努め本学の積極的なPRも図ることを目標とする。自己点検 の結果は報告書としてまとめ、国の認証機関である財団法人大学基準協会の第三者評価を 得るために提出する。また、監督官庁を初め、関係大学等に送付して公表に努めることと する。これまでに、定期的に「自己点検・評価」を行い『自己点検・評価報告書』を出版 し、また「第三者評価」を受けて『第三者評価報告書』を作成してきた。その中で、「学 生による授業評価」「学生の満足度調査」「ご父母の満足度調査」「卒業生満足度調査」

も行ってきている。今後はこれらをより積極的に公表していくこととする。

13 情報公開・説明責任

本学では、インターネットによる「文京学院大学ホームページ」での情報提供、出版物 による「人間学部紀要」「経営学部紀要」「外国語学部・短期大学紀要」「総合研究所紀 要」での情報提供、冊子・リーフレットによる「ぶんきょう春秋」「文京学院大学ニュー

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ス」「入学案内・要覧」「講義要綱」「学生生活ノート」等を活用した情報提供等で、大 学の教育内容、研究活動、入学者選抜に関する情報等を公開してきている。これらをさら に進めて、広く社会に対して積極的な情報提供を行い、大学設置基準及び学則に基づく大 学の教育研究水準の向上を図っていくことを目標とする。

14 生涯学習に対する取り組み(社会人教育)

本学の誇り得る事項として生涯学習に対する取り組み(社会人教育)を特記することが できる。短期大学時代1987(昭和62)年から取り組んできた公開講座を足掛かりに、社会 に開かれた、地域に開放された大学での生涯学習を目指し、現在では「公開講座=ウィー クエンドフォーラム」は春・秋の年2回にわたって、それぞれ1ケ月程度の期間(毎週土 曜日)の講座を実施し、地域ではすっかり定着している。地元の自治体と共催での講座(町 民カレッジ)も毎年行っていて好評である。公開講座の定着、自治体との共催講座の実施 で、市民に開放された大学としての大きな役割を果たしてきたといえる。大学の知的財産 を社会に還元できたことは大いに評価できる。社会人の再教育の場を提供する「文京学院 大学生涯学習センター」は年間延べ約4,500人が学ぶ、社会人教育機関として実績を上げて きたが、採算上の問題と本郷の一等値に位置するキャンパスの特性から、限られたキャパ の中で優先順位の観点から2,009年9月より残念ながら縮小を余儀なくされた。

(3) 本学の特色:教育力と革新性の発揮

大学としての歴史が浅いだけ、新設大学は人一倍努力をしなくてはならない。その成果 として築き上げてきた「教育力と革新性」は、本学の誇りとするところである。

まず「教育力」という点で述べる。新設大学の場合、入学時にいわゆる“偏差値”の高 い学生を迎えることはきわめて難しいのだが、その代わり入学してから一人ひとりを尊重 して、さまざまな教育機会を提供して「学力」ばかりか「人間力」を成長させることは本 学規模の大学なら可能なことと信じて実行してきた。教職員が一丸となって、教育の部面 であるいは学生生活指導という部面で、創意工夫して熱意をもって実行し、卒業時には学 生一人ひとりの成長が強く感じられるのである。この高い「教育力」こそ本学の最大の評 価点である。実際、卒業生は社会において着実に活躍しており、官庁、事業団、企業、病 院、幼稚園、保育所、施設等から高い評価を得ている。

「革新性」という面では女子大学としてわが国で初めての経営学部を開設したことに始 まって、以来、女性が社会に進出していく上で、また自立するために有利な諸分野の新学 部や新専攻を、大学をあげて開設してきた。具体的には、学部段階で、保育・福祉・心理・

共生社会等の人間学の分野(人間学部)を切り開いてきたこと、デザインやコンテンツ等 の新しい社会的ニーズ(経営学部)を取り入れてきたこと、語学にとどまらず異文化理解・

国際理解(外国語学部)をコアの一つとして導入してきたこと、高齢化の進展による医療 やリハビリの重要性に着目した人材育成の学部の開設(保健医療技術学部)等が挙げられる。

大学院段階では、経営学の分野に社会人を対象としたビジネスコース(夜間主)を設定し たこと、医療マネジメント、税務マネジメントの分野を導入したこと(いずれも経営学研 究科)、大学院で子育て支援を教育の柱の一つとしたこと、臨床心理士の養成を手がけた

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こと(いずれも人間学研究科)などの他、学部のキャンパス移転、女子大学から男女共学 への移行、生涯学習への取り組みなど、いずれも他の大学にはない本学ならではの革新的 な試みであると確信する。

人間は自らを省みることによって、自らを乗り越え、自らを新たに創り出し、創造する 存在である。大学もまた常に自らを点検し、社会の客観的な評価に自らを照らし合わせな がら、自らを改善し、自らの進むべき方向を定めていかなければならない。ここに、「自 己点検・評価」の意義を新たに確認し、「文京学院大学自己点検・評価報告書2009」を閉 じることにする。

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