世界大手化粧品メーカーの資生堂は、1872年に日本初の洋風調剤薬局として誕生した。
今や日本を含め、世界89の国と地域でグローバルブランド「SHISEIDO」を販売している。
2013年3月期の海外売上高比率は、44.9%となっている。国内外合計15拠点に工場を配置し、
現地生産を進めている。また、研究開発体制 を整え、各地域の特性を踏まえた商品開発を 進めている。中国市場において、資生堂はこれまで高級ブランドとして高いイメージを維 持している。本研究は、資生堂のグローバル戦略と国内のマーケティング戦略を説明し、
中国市場における資生堂のブランド構築の経緯を調査して、資生堂の中国でのブランド構 築の特徴と成功要因を究明して行く。
本論の構成は、第1章「資生堂のグローバル化」では、資生堂の概要、現状とグローバ ル戦略を紹介する。第2章「資生堂のマーケティング戦略」では、日本におけるマーケテ ィング戦略を説明する。第3章「中国市場における資生堂」では、資生堂は中国での経営 活動、中国昨年の現地通貨ベース売上高などを紹介する。第4章「資生堂の中国市場にお けるブランド構築」では、資生堂が中国市場での参入とブランド構築の経緯を説明しなが らブランドを構築の特徴を述べる。主に国民ブランド「オプレ」の開発と販売、高形象・
高品質・高服務のサービス精神、顧客との接点を拡大するための販売チャネルの設定、コ ーポレート・ブランド構築、中国でのCSR 活動をめぐって説明する。第5章「まとめ」で は、最後は資生堂の成功の原因をめぐって、特にグローバル戦略と中国でのブランド構築 の特徴と成功の鍵をまとめる。
資生堂の中国市場でのブランド構築の特徴と成功した要因は、以下のようにと考えてい る。
①参入時期
資生堂が中国へ参加した時期は、ちょうど中国政府が「改革開放」政策を打ち出し たばかりの時期であった。中国での政治経済体制大転換のタイミングで進出し、大き な市場チャンスをつかまえた。
②国民ブランド「オプレ」の開発と販売
長年にわたる技術提携に基づいて中国人女性の肌を徹底 的に研究し、中国の女性の ための専用化粧品「オプレ」を独自に開発し、現地生産、現地販売をしてきた。
資生堂のブランド構築の事例
張 菡 論文要旨
③高形象・高品質・高服務
資生堂のサービス特徴は、いち早くカウンセリングセールスを導入したことである。
高形象・高品質・高服務という企業の価値を、中国国民に伝えることができたのであ る。
③顧客との接点を拡大するための販売チャネルの設定
資生堂は顧客との接点を拡大するため、沿海部の大都市においてデパートチャネル で高級ブランドイメージを保ちながら、内陸部(農村部を含む)を中心に契約店を拡 大し、現在では自社サイトでのネット通販も行うなど、様々な販売チャネルを設定し ている。
④コーポレート・ブランド構築
資生堂は中国の所得格差の大きさに対応するため、各ブランド別の価格帯も充実し ている。
⑤中国での CSR 活動
資生堂は中国の上海に「資生堂 ライフクオリティービューティーセンター」を開 設し、植林活動などを行っている。
以上が、資生堂の中国市場でのブランド構築の特徴と成功する要因であると考えている。