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近年の日本の保険行政における 健全性規制の動向とその考察

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(1)

2017 年 7 月 29 日 日本保険学会九州部会 キャピタスコンサルティング 植村信保

近年の日本の保険行政における

健全性規制の動向とその考察

(2)

自己紹介

 植村 信保(うえむら のぶやす)

1990

4

-

安田火災海上保険(現・損保ジャパン日本興亜)

資産運用部門で勤務

1997

5

-

格付投資情報センター(

R&I

格付アナリストとして主に保険会社の経営分析を担当

2010

4

-

金融庁

※任期付職員(監督局保険課と検査局を兼務)

統合リスク管理専門官として、保険会社のモニタリング・検査支援のほか、

「保険検査マニュアルの全面見直し」「

ERM

ヒアリング」などに従事

2012

11

-

キャピタスコンサルティング

保険会社の経営分析や経営管理に関するコンサルティングなどを実施

アナリストや行政官として、外部から生損保の経営を約

20

年間観察

著書「経営なき破綻 平成生保危機の真実」(日本経済新聞出版社)など

週刊東洋経済臨時増刊「生保・損保特集」、週刊ダイヤモンドなどに寄稿

保険アナリスト植村信保のブログ

http://nuemura.com

2

(3)

3

発表の内容

1.保険行政はなぜ破綻を防げなかったのか 2.その後の保険会社と健全性規制の動向

3.行政当局による自己規律活用の利点と限界

4.質疑応答

(4)

4

1.保険行政はなぜ破綻を防げなかったのか

 植村信保 「経営なき破綻 平成生保危機の真実」( 2008 年)から

監督当局の姿勢(

1995

年の保険業法改正まで)

 大蔵省の健全性確保は純保険料式責任準備金の積立推進(いわゆる 純保行政)と株式含み益への依存

 そのなかで予定利率引き上げや高水準の契約者配当を認めたため、

その後の生保危機を増幅

ソルベンシーマージン比率(

SMR

)の導入と公表

 (すでに中堅生保の経営が相当厳しくなっていた)

1996

年に導入

 早期是正措置の発動基準である「

200

%」を上回っていた会社が次々 に破綻し、指標としての信頼性が揺らぐ

⇒ 段階的見直しへ

当局は保険会社に固有のリスクについて、ほとんどノーチェックだった

⇒ 将来収支分析/早期警戒制度/日本版 ORSA

(5)

健全性規制の動向

5

1996年 ソルベンシー・マージン比率の導入 1999年 早期是正措置の導入

2000年 千代田生命や協栄生命などが経営破綻

2007年 「ソルベンシー・マージン比率の算出基準等について」

(金融庁検討チーム報告書)の公表

2008年 リーマン・ショック、AIGの経営危機など

2010年 ソルベンシー・マージン比率の見直し(「短期的見直し」)

2010年 経済価値ベースのソルベンシー規制導入に向けた

フィールドテストを実施(2014年、2016年にも実施)

2012年 IMFが「FSAP Japan」の評価報告書を公表

2014年 日本版ORSA導入(ORSA報告書は2015年から)

2020年頃 経済価値ベースのソルベンシー規制導入?

(6)

6

中堅生保の経営破綻

(7)

破綻保険会社のSMR

(資料)ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チーム(第5回:2007129日)

(8)

(資料)植村作成 8

2017/4から

0.25%に

(9)

大成火災の経営破綻

(10)

10

2.その後の保険会社と健全性規制の動向

 保険会社の取り組み

契約者配当を抑え、毎期の利益を可能なかぎり内部留保

株式などリスクの高い資産を減らすとともに、

ALM

の観点から超長期国債 を積極的に購入し、金利リスクを抑制

収益性の高い保障性商品(特に医療保障分野)に集中

 ただし、銀行チャネルを中心に貯蓄性商品の販売にも積極的

 ERM

Enterprise Risk Management

)の導入

 保険行政の取り組み

ソルベンシーマージン比率の見直し

 中期的見直し(=経済価値ベースの枠組み)は未だ検討中

リスク管理の高度化促進

 どんなに形を整え、きちんと数値を算出しても、経営に活用されなけれ ばリスク管理にはならない

⇒ ERM

導入の促進

(11)

国内系生保 9 社の国債保有

(資料)ニッセイ基礎研究所 2015年度生保決算の概要(2016.7.7

(12)

12

保険負債の現状

(資料)各社公表資料より植村作成 責任準備金の内訳(個人保険・個人年金保険)

単位:億円、% <日本生命> <第一生命> <住友生命> <明治安田生命>

2015年度 2015年度 2015年度 2015年度

予定利率 予定利率 予定利率 予定利率

~1980年度 797 2.75~5.00 7,285 2.75~5.50 1,457 4.00~5.00 3,132 2.75~5.00 1981年度 ~1985年度 17,266 2.75~5.50 12,538 2.75~5.50 3,740 5.00~5.50 8,345 2.75~6.00 1986年度 ~1990年度 61,665 2.75~5.50 47,855 2.75~5.50 25,642 5.50 30,884 2.75~6.00 1991年度 ~1995年度 77,628 2.75~5.50 41,873 2.75~5.50 31,875 3.75~5.50 38,468 1.00~5.50 1996年度 ~2000年度 32,929 1.50~2.75 15,279 2.00~2.75 13,820 2.00~2.75 12,894 1.00~3.75 2001年度 ~2005年度 29,819 1.00~1.50 17,402 1.50 13,312 1.00~1.50 8,203 0.55~2.35 2006年度 ~2010年度 58,621 1.00~1.50 36,460 1.50 39,211 1.00~1.50 36,318 0.55~1.85 2011年度 ~2015年度 91,185 0.60~1.50 49,871 1.50 68,253 1.00~1.50 84,411 0.35~1.50

<対2011年度> <対2011年度> <対2011年度> <対2011年度>

1995年度以前 157,356 -4.2% 109,551 -2.4% 62,714 -10.5% 80,829 -4.5%

 ウエート 42.5% 47.9% 31.8% 36.3%

1996年度以降 212,554 32.8% 119,011 22.6% 134,595 44.7% 141,827 37.6%

 ウエート 57.5% 52.1% 68.2% 63.7%

合計 369,910 14.0% 228,561 9.2% 197,309 20.9% 222,655 18.6%

契約年度

(13)

資産・負債のミスマッチに伴うリスクは未反映

主要生保グループの支払余力と健全性指標 単位:兆円、%

2015/3 2016/3 差引 2015/3 2016/3 差引

日本生命 13.3 12.5 -0.8

第一生命 6.8 6.0 -0.8 6.0 4.6 -1.3

住友生命 3.4 3.0 -0.4 3.7 2.5 -1.2

明治安田生命 7.0 6.2 -0.8 5.5 3.4 -2.1

T&D 2.3 2.1 -0.2 2.3 1.9 -0.4

ソニー生命 1.1 1.2 0.1 1.3 1.1 -0.3

2015/3 2016/3 差引 2015/3 2016/3 差引

日本生命 943% 924% -19%

第一生命 818% 764% -54% 147% 98% -49%

住友生命 970% 799% -172%

明治安田生命 1068% 984% -85%

T&D 1221% 1156% -65% 217% 162% -55%

ソニー生命 2655% 2776% 121% 177% 104% -73%

非公表 非公表

連結ソルベンシーマージン比率 ESR

ソルベンシーマージン総額(連結) エンベディッドバリュー(EV)

非公表

非公表

(資料)植村作成

(14)

(資料)T&Dホールディングス IR資料(2017年5月24日) 14

資本十分性の推移( T&D

(15)

3.行政当局による自己規律活用の利点と限界

 ERM導入の促進

ERMを通じ、健全性を確保しつつ、企業価値の持続的向上をはかる

 損失の回避・抑制を主眼とした従来型のリスク管理、あるいは、リスクの 種類ごとに捉える個別のリスク管理活動ではない

 企業価値の持続的向上=経営そのもの

(従来は「リスク管理はリスク管理部門の仕事」となりやすかった)

 「リスクとソルベンシーの自己評価( ORSA )」の導入

 狭義の

ORSA

:保険会社が現在および将来のリスクと資本等を比較し、

資本十分性の評価を自らが行う

 広義の

ORSA

ERM

と同義

IAIS

の保険基本原則(

ICP

)で規定され、各国が導入しつつある

 日本でも金融庁が

ORSA

2014

2015

年にかけて制度化 = 行政による保険会社の自己規律の活用

15

(16)

ERMと従来型リスク管理の違い

16

ERM 従来型リスク管理

リスク管理の 目的

健全性を確保しつつ、

企業価値の持続的向上を図る

損失の回避・抑制

対象とする リスク

全てのリスクが対象

(潜在的なものを含む)

特定したリスクが対象

対応する 組織

事業全体で管理(全社的な活動)

リスク管理部門などの専門組織が管理

リスクの 捉え方

あらゆるリスクを 整合的・統合的に捉える

リスクの種類ごとに捉える

(個別のリスク管理活動)

リスクへの 対応

継続的な活動

(経営戦略と密接に関連)

必要があるときに対応

(17)

保険会社ERMの全体像(例) 17

リスクプロファイルの把握、経営計画策定 ストレステスト など

ERMのガバナンス

ERMのPDCAサイクル

個別分野との関係 保険引受 資産運用 資本十分性のモニタリング

パフォーマンス評価 など

活動内容の見直し

リスクアペタイト

PDCAを支える ITインフラと 定量モデル

リスクテイクおよびコントロール

(18)

当局の目線

 「ERM評価目線の概要(2016年6月版)」から

リスク文化とリスクガバナンス

リスクコントロールと資本の十分性

リスクプロファイルとリスクの測定

経営への活用

「定量的・画一的に健全性を評価するのみではなく、適切なリスク 文化・ガバナンスと高度なリスク管理態勢を備えた保険会社にお ける積極的なリスクテイクを合わせて評価する枠組み」

「健全性を維持した上で保険会社の適切な成長を促す観点から、

引き続き ERM の高度化を促進」

18

(19)

(資料)金融庁「ERM評価の結果概要」(2016915日) 19

健全性を確保しつつ、企業価値拡大を図る

(20)

当局によるERM推進の利点と限界

 当局の役割は「普及活動」から「活用促進」へとシフト

ここ数年、日本の保険会社において

ERM

の導入が急速に進んだのは、金 融庁が

ERM

を重視し、検査や各種ヒアリング、

ERM

評価などにより高度化 を継続的に促してきたことも大きかった

今後も保険会社と当局が十分なコミュニケーションをとることによって、保険 業界全体として

ERM

の底上げを図ることが期待できる

ただし、当局が注目することで、

ERM

への取り組みが単なる金融庁対応とな り、形式的な取り組みに陥ってしまう懸念もある

 評価対象項目のチェックリスト化など

保険会社が形式的な取り組みに陥らないよう、当局には画一的な対応では なく、

ERM

の本質をとらえた適切な個別対応が求められる

行政当局自身のレベルアップも不可欠

20

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