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酸化亜鉛ナノパゴダアレイ光電極の開発

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Academic year: 2024

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国立大学法人豊橋技術科学大学 Press Release

2023年12月18日

<概要>

豊橋技術科学大学 機能性材料科学研究室とエジプト石油研究所の研究チームは、ユニー クな形態を有する酸化亜鉛ナノパゴダアレイを透明電極上に形成し、さらにその表面に銀 ナノ粒子を修飾することで、新規な高機能光電極を開発しました。酸化亜鉛ナノパゴダは、

サイズの異なる六角柱が積み重なった形状であり、多くのステップ構造を有することが特 徴です。また、結晶欠陥が極めて少なく、電子伝導性に優れています。酸化亜鉛ナノパゴ ダアレイ光電極に銀ナノ粒子を修飾することで、可視光吸収特性が付与され、太陽光照射 下で機能する光電極としての利用を可能とします。

<詳細>

クリーンなエネルギーである水素を製造する技術の1つとして、太陽光を利用した光電 気化学的水分解の活用が期待されています。この技術のキーマテリアルである光電極には、

高い太陽光吸収効率や電荷の移動効率に加えて、水分解反応に対する低い過電圧を有する ことなどが求められます。また、主となる素材にレアアースやレアメタルを使用しないこ とや、作製プロセスが産業化に適していることなども実用上重要になってきますが、それ らすべての要求を満足する材料は開発されていません。

そこで研究チームは、原料枯渇の心配がない、価格が安価、高い電子伝導性を有するな どの特徴を持つ酸化亜鉛ナノパゴダアレイに注目しました。酸化亜鉛ナノパゴダアレイは、

そもそも再現性良く作製することが困難とされていたため、筆頭著者である博士後期課程

3年の Marwa Abouelela を中心に、まずはその合成プロセスを最適化し、高い再現性の確

保を実現しました。得られた光電極の光電気化学特性を評価したところ、疑似太陽光照射 下で比較的大きな光電流が得られるとわかりました。これは、低欠陥量に伴う高い電荷移 動効率と、多くのステップにおける高い表面化学反応活性に加えて、ナノパゴダの特異な ナノ構造が入射光に含まれる紫外線を効率的に取り込むことができるということが電磁界 解析等から明らかとなりました。

さらに研究チームは、太陽光の55%を占める可視光の有効利用に向けて、表面プラズモン 共鳴を示す銀ナノ粒子を、酸化亜鉛ナノパゴダ表面に修飾することで、光電気化学特性の 一層の向上を試みたところ、銀ナノ粒子修飾前に比べて約 1.5 倍の光電流が得られるとわ かりました。光電流値の作用スペクトルから、この光電気化学特性の向上が、主に銀ナノ 粒子の表面プラズモン共鳴による可視光吸収によって引き起こされる熱電子移動に帰属す るものであることがわかりました。銀ナノ粒子の修飾方法を最適化することで、酸化亜鉛 ナノパゴダ自体の特性への悪影響をなくして、光電気化学特性のみを向上できることもわ かりました。

酸化亜鉛ナノパゴダアレイ光電極の開発

~光電気化学的水分解水素製造に向けて~

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<開発秘話>

責任著者の一人である河村剛准教授は、以下のように言います。「当初、酸化亜鉛ナノパ ゴダは、その高い電荷移動効率を利用した電子銃エミッターへの応用のみが検討されてい ました。ただ、その構造が多くのステップを有していることから、表面化学反応に対する 活性が高く、光電気化学反応を起こすのに適しているのではないか、というのが最初のア イデアでした。実際にナノパゴダの作製に成功した後、太陽光利用効率を向上するために、

表面プラズモン共鳴を示す銀ナノ粒子を修飾し、その効果を電磁界解析によって評価した のですが、その際に酸化亜鉛ナノパゴダには、入射光、特に紫外線を酸化亜鉛の内部に取 り込む特性があることがわかりました。これは全く想定していなかったものでしたが、光 電気化学特性の向上に寄与する特性であり、幸運な発見でした。」

<今後の展望>

現在 Marwa と同研究室の学生が中心となり、酸化亜鉛ナノパゴダの精密構造制御や、銀

ナノ粒子以外の物質による表面修飾を行うことで、光電気化学特性にどのような影響があ るかを調べています。酸化亜鉛は光溶解性のために、単体では長時間の太陽光照射に耐え られないため、表面修飾による耐久性の向上が現在の主なテーマとなっています。高い光 電気化学特性と耐久性の両立が実現できた際には、実環境(太陽光による河川水や海水の 分解)における水分解水素製造を行い、実課題の抽出をする予定です。

<謝辞>

本研究は JSPS 科研費21K18823、21K18824、22K04737、及び、カシオ科学振興財団、ENEOS 東燃ゼネラル研究奨励・奨学会の助成を受けたものです。

<論文情報>

Abouelela MM, Kawamura G, Tan WK, Amiruldin M, Maegawa K, Nishida J, Matsuda A (2024) Ag nanoparticles decorated ZnO nanopagodas for photoelectrochemical application.

Electrochemistry Communications, 10.1016/j.elecom.2023.107645.

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図 作製した光電極の走査型電子顕微鏡像。(a)(b):酸化亜鉛ナノロッドアレイ、(c)(d):

酸化亜鉛ナノパゴダアレイ、(e)(f):銀ナノ粒子修飾酸化亜鉛ナノパゴダアレイ。上段が それぞれの表面像で下段が断面像。

本件に関する連絡先

広報担当:総務課広報係 岡崎・高橋 TEL:0532-44-6506 FAX:0532-44-6509

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