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「交互配列を有する新規ポリエステル合成法」の開発

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国立大学法人豊橋技術科学大学 Press Release

平成30年5月11日

<概要>

豊橋技術科学大学の辻秀人教授と荒川優樹助教は、L-乳酸および D-乳酸を交互に並べ

た、L-乳酸およびD-乳酸の「純粋な」交互共重合体、すなわち、「シンジオタクチック型」

ポリ乳酸の合成法を開発しました。これにより、従来は合成が困難であった L および D 体のモノマーを交互に並べたシンジオタクチック型のポリエステルを合成することが可 能となり、結晶化速度が高いため製品の生産性に優れるなど、今までにない特性を有する 新規ポリエステルの開発を可能にすることが期待されます。

<詳細>

豊橋技術科学大学の辻秀人教授と荒川優樹助教は、L-乳酸および D-乳酸を交互に並べた、

L-乳酸およびD-乳酸の「純粋な」交互共重合体、すなわち、「シンジオタクチック型」ポリ

乳酸の合成法を開発しました。本研究成果は、英国王立化学会(RSC)の発行する Polymer

Chemistryに4月10日に掲載されました。本研究成果により、従来は合成が困難であったL

および D体のモノマーを交互に並べたシンジオタクチック型のポリエステルを合成するこ とが可能となり、結晶化速度が高いため製品の生産性に優れるなど、今までにない特性を 有する新規ポリエステルの開発を可能にすることが期待されます。

この研究グループでは、トウモロコシあるいはジャガイモ由来のデンプンなど、再生可 能資源からの生産が可能なポリエステルである「ポリ乳酸」を中心とする「バイオベース 高分子」に関する基礎および応用研究を行なっています。ポリ乳酸は、代表的な「生分解 性高分子」でもあり、生体内で加水分解され、分解生成物の乳酸は人体に悪影響を及ぼす ことなく代謝されます。このような特性を利用して、組織再生の足場材料など医療用途や 環境用途で用いられています。

ポリ乳酸のモノマーである乳酸には鏡に映した関係にあるL体とD体が存在し、L体の 乳酸のみからなるポリ(L-乳酸)とD体の乳酸のみからなるポリ(D-乳酸)が存在します。これ らのポリ乳酸は、「アイソタクチック型」ポリ乳酸とも呼ばれます。また、両者が等量存在 するポリ(DL-乳酸)も存在します。ポリ(DL-乳酸)には、主に、L体とD体の乳酸がランダム に配列した「アタクチック型」、L体とD体の乳酸が交互に配列した「シンジオタクチック 型」が存在します。「アタクチック型」ポリ乳酸の合成は容易であるのに対して、「シンジ オタクチック型」ポリ乳酸は、メソ-ラクチド(L-乳酸1分子とD-乳酸1分子からなる環状 エステル)から、特殊な触媒を用いて合成することが可能ではありますが、その配列の「純

度」を100%近くにすることは非常に困難でした。

本研究では、まず、L-乳酸1分子とD-乳酸1分子からなる2量体を合成し、それをさら

「交互配列を有する新規ポリエステル合成法」の開発

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に繋げて高分子量化することで、L-乳酸および D-乳酸の「純粋な」交互共重合体、すなわ ち、「シンジオタクチック型」ポリ乳酸の合成に成功しました(図1)。合成された「シン ジオタクチック型」ポリ乳酸のL-乳酸およびD-乳酸の交互配列性はほぼ100%であり、広 角 X 線回折測定結果より、合成された「シンジオタクチック型」ポリ乳酸の結晶構造は、

ポリ(L-乳酸)やポリ(D-乳酸)とは異なっています(「アタクチック型」ポリ乳酸は非晶性)。

「シンジオタクチック型」ポリ乳酸は、「アイソタクチック型」ポリ乳酸よりも結晶化速度 が高いため、製品の生産性に優れることが分かっています。また、高分子の種類は異なり ますが、「シンジオタクチック型」のポリスチレンは、従来のポリスチレンと異なり高い耐 熱性および耐薬品性を有することが知られています。これらのことから、「シンジオタクチ ック型」ポリ乳酸の種々の特性が「アイソタクチック型」や「アタクチック型」ポリ乳酸 とは大幅に異なることが期待されます。

今回発表した合成法は、乳酸と似通った構造を有する種々の光学活性な「ヒドロキシカ ルボン酸型」のモノマーからなるポリエステルに対しても適用が可能であり、L体およびD モノマーの「純粋な」交互共重合体、すなわち、「シンジオタクチック型」ポリエステルの 合成が可能になると考えられます。本方法により合成された「シンジオタクチック型」ポ リエステルは、「アイソタクチック型」および「アタクチック型」と異なる、今までにない 特性を有する新規材料となることが期待されます。

図1. 「純粋な」シンジオタクチック型ポリ乳酸の合成法とその球晶写真.

Graphical Abstract of Polymer Chemistry, 2018, 9, 2446–2457.

DOI: 10.1039/C8PY00391B-Reproduced permission of The Royal Society of Chemistry.

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ファンディングエージェンシー:

JSPS科研費 No. 16K05912

論文情報:

Hideto Tsuji and Yuki Arakawa, Synthesis, properties, and crystallization of alternating stereo copolymer poly(L-lactic acid-alt-D-lactic acid) [syndiotactic poly(lactic acid)] and its blend with isotactic poly(lactic acid), Polymer Chemistry, 2018, 9, 2446–2457. DOI:

10.1039/C8PY00391B.

http://dx.doi.org/10.1039/C8PY00391B

『Polymer Chemistry 誌』2018 年 9 巻 18 号(英国王立化学会発行)の Inside Front Cover は、辻秀人教授のデザインによるものです。

本件に関する連絡先

担当:環境・生命工学系教授 辻秀人 TEL:0532-44-6922 広報担当:総務課広報係 河合・高柳・梅藤 TEL:0532-44-6506

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