関西大倉中学校
プレテスト
国語
︵平 成 二 十 八 年 十一 月
十三日 実施 ︶
︵解答はすべて解答用紙に記入しなさい︶
一次の文章を読んで︑後の問いに答えなさい︒
自立に必要な力とはなんですか?と聞かれたら
「 〝人と人は理解し合える〟という思い込みから自由にな
ることだ!
」 と 私 は
こわたし
答えます︒
私たちは︑たくさんの人間関係の中で生きていますが︑どの関係も一〇〇パーセントわかり合っているわけではありません︒
だからといって気持ちよく過ごせないかといえばそんなことはなく︑わからないなりにも楽しく過ごしていたりします︒そんな
5
関係は︑誰にでも︑いくらでもあります︒ だれ
それ こ そ 毎 日 一緒 に過 ごした
り
︑ 学 校や 部 活 で 顔 を合 わ せ て い る人の
こ と を 一
〇〇 パ ー セ ン トわ か っ てい る わ けで は な い で す
いっしょ
が︑それでもお互いを大事に思っていたり︑明日も一緒にいたいと考えたりするでしょう?親子も同じで︑親が子のすべてを たが
わかるわけではないし︑また子も親のことをすべて理解できるとは限らないのです︒夫婦もそうですよ︒そのほうが一緒にいて飽 ふうふあ
きません︒
10
A
︑そ れで は 不 安 な のも 人間 で す
︒ 誰 にで も
﹁ 私 を 一〇
〇 パーセ
ン ト 受 け 入れ て
!
﹂ っ て寄 り か かっ た り 押し 付 け た り す
お
る気持ちや︑﹁あなたを一〇〇パーセント知りたいの!﹂と相手から奪ってこようとする気持ちはあるでしょう︒ うば
束縛でも甘えでもなく︑目の前の人と向き合えるようになったときが︑私にとって﹁自立﹂が出来たときでした︒﹁私は私の身 そくばく
あま
体 と 人生 以 外 は 生 きら れ な い
︒ 他人もまた︑
1のだ︒身体が違うものは︑脳みそが違うのだから一〇〇パーセントはわから ちがのう
ない︒でも︑どのように生まれて来るかを選べなかったことは誰しも同じで︑与えられた生をジタバタと生きるしかないことも あた
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同じ︒そのバラバラなお互いのしんどさを︑労り合うことは出来る﹂と思うようになったのです︒これが精神的に自立するとい いたわ2
うことだと思います︒私の自立は︑なんと四〇歳になった頃でした!つい最近です! さいころ
あなたも﹁ああ︑アイツ
( 自分
がいちばん仲がいいと思っている友だち
) っ
て俺が思うほど俺のことを大事だと思っていないの
おれ
か も
﹂と か
︑ 親 に 対し て も
﹁ お 母さんって私
が 考 え る ほど 私 の こ と を わ か っ て い な い か も
﹂ と 感 じ る こ と があ る と 思い ま す
︒ そ
れで相手からすごく裏切られた気持ちになったり︑﹁わかり合えている﹂と思ったのは実は独りよがりの感情で︑本当はあんまり うらぎ
本文省略 五十六行
︵出 典 小島慶 子 ﹃ 屈折 万歳! ﹄ 岩波ジ ュニ ア新書 に よ る ︶
問一A・Bに入る言葉として︑最も適当なものを次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒
ア
けれ ど
イまたはウところでエだからオするとカなぜなら
問二1に入る言葉として︑最も適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
ア自分が選んだ人生と身体を大切にするしかない
イほかの人の身体や人生をうばうことはできない
ウその人の与えられた身体と人生を生きるしかない
エ望んでも私と同じような人生を歩むことはできない
オどのような人生にしたいかを自分で考えるしかない
問三
線2﹁精神的に自立する﹂とありますが︑どのようになったときにそうなるのですか︒本文中から二十字以内で抜 ぬ
き出しなさい︒︵句読点等記号も一字に数える︒以下の問いも同じ︒︶
問四
線3﹁とまどったり︑びっくりしたりしてしまいます﹂とありますが︑どのようなときにそうなるのですか︒最も
適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
ア友だちの中に知り得ない一面があるのは当然だと知ったとき︒
イ関係がとても近い人の︑思ってもみなかった一面を見たとき︒
ウ知り合ったばかりの人の︑考えもしない一面に気づいたとき︒
エとても親しい友だちの︑信じたくない一面を見せられたとき︒
オ親しい人が持っている別の一面を︑他人から教えられたとき︒
問五
線 4
﹁自 分 の 何が 相手にそのよ
う な 態 度 をと ら せ た ん だ ろ う
?
﹂ と あ り ま す が
︑ こ の よ う に 考え 始 め るこ と に 対す
る筆者の意見として最も適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
アどうでもいいことで怒ったり機嫌が良くなったりする人を理解するのは難しいので︑相手の行動の理由は気に むずか
しない方が良い︒
イなぜそのような態度を相手がとったのかを考えることは大切だが︑考えてもわからない場合はいつまでもこだ
わらない方が良い︒
ウ相手をよく見てその動機を考えるのはとてもすばらしいことで︑このように考える習慣をつけられるように努
力した方が良い︒
エすべての原因は自分にあると思い込むクセがついて度をこした自己否定につながることが多いため︑このよう
に考えるのは良くない︒
オ
自分 の こ とだ けでなく︑自
分 に 対 し てそ の よ う な 態 度 を と っ た 相 手 の こ と も 否 定 す る こ とに な り 二人 の 関 係 が
悪くなるため︑良くない︒
問六
線5﹁コミュニケーション力﹂とありますが︑どのような力だと筆者は考えていますか︒四十字以内で説明しなさ
い︒
問七
線6﹁自立する上では大事な流儀﹂とありますが︑どのような流儀ですか︒本文全体の内容をふまえて︑七十五字
以内で説明しなさい︒
二 ピア ノの 調 律 師と して 働い てい る 僕
︵外 村︶
は︑
一ヶ 月 前 にし た調 律の や り 直 し を求 め ら れ︑
先 輩 の 柳 さ ん と と もに 客 先
注1ちょうりつし
ぼく
とむら
せん ぱ い
やなぎ
に行った︒次の文章を読んで︑後の問いに答えなさい︒
柳さんが唇をぎゅっと引き締め︑僕を見た︒ くちびるし
﹁気を落とすなよ﹂
ぽんと肩を軽く叩いてくれる︒ かた
たた
﹁ぜんぜん悪くなかった﹂ 1
5
﹁ありがとうございます﹂
気を遣わせて悪いなと思う︒もしもほんとうに悪くなかったのならどうしてクレームをつけられるだろう︒腕はない︑とまで つか注2うで
断言された︒
﹁単にAの居所が悪かったんだ︒よくある話なんだ︒気にするだけばかばかしい﹂
柳さんはそれでも言い足りないというふうにしばらく傘の縁から白い空を見上げて歩いていたが︑僕のほうを見ないまま言っ かさふち
10
た︒
﹁外村ががんばってるのは無駄じゃない﹂ むだ
﹁⁝⁝えっ?﹂
思わず聞き返すと︑柳さんも驚いたように︑えっ︑と小さく声を上げた︒僕たちは立ち止まって顔を見合わせた︒ 2おどろ
﹁無駄かどうかは︑考えたことがありませんでした﹂
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正直に言うと︑柳さんは︑ふふふと笑って︑
﹁いいよなあ︑外村は︒そうか︑無駄だと思ってないか﹂
ふふふがそのうちはははになり︑柳さんは車のドアに手をかけたまま︑あははははと笑った︒それから不思議そうに聞いた︒
﹁無駄だったんじゃないかと後悔したり反省したりすることもないの?つまりさ︑無駄っていう概念がないの?﹂ こうかいがいねん
次 の文章 を読 んで︑ 後の 問い に答 えなさ い︒
本文省略 百一行
注1調律師⁝楽器を正しい音の基準に調整するのを仕事とする人︒
注2クレーム⁝苦情︒
問一Aに入る言葉として︑最も適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
ア腹イ気ウ虫エ風オ口
問二線1﹁ぜんぜん悪くなかった﹂とありますが︑
( 1 )
このときの柳さんの気持ちとして︑最も適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
アお客さんに苦情を言われて気落ちしているであろう﹁僕﹂を︑なぐさめたいと思っている︒
イ一度ひどい言葉を言われただけで落ちこむ様子を見て︑﹁僕﹂の先行きが心配になっている︒
ウ腕がないとお客さんに断言されてやけくそになっている﹁僕﹂を︑なだめたいと思っている︒
エピアノの調律に失敗してお客さんを失ってしまった﹁僕﹂を︑はげましたいと思っている︒
オ調律の腕を否定された﹁僕﹂がやる気を失い仕事をやめるのではないかと︑不安になっている︒ ひてい
( 2 ) この よ う に 言われ
たと きの
﹁僕
﹂ の気持
ちと して
︑最 も 適 当 なもの
を次 の中 から 選 び
︑記 号で 答え なさ い︒
ア柳さんから温かい言葉をかけられ︑お客さんにしかられて傷ついた気持ちがやわらいでいる︒ きず
イ柳さんにめいわくをかけたことが情けなく︑自分は調律師を続けていいのかとなやんでいる︒
ウ柳さんのやさしさはうれしいがその言葉をすなおには信じられず︑柳さんをうたがっている︒
エ柳さんはなぐさめてくれるが自分には才能がないことを知っているため︑落ちこんでいる︒
オ柳さんにもうしわけないと思う一方で︑ほんとうに自分は悪くなかったのかと考えている︒
問三線2﹁思わず聞き返す﹂とありますが︑そのような態度をとったのはなぜですか︒説明しなさい︒
問四
線3﹁一足飛びに行けたなら﹂とありますが︑実際にはそれはできないと思っているのはなぜですか︒最も適当な
ものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
ア目的地へ一気に進めるほどの素晴らしい能力が自分に備わることは︑この先ないだろうと考えているから︒
イ
調 律 師 の 仕事はピ
アノ を弾 く 人 が い て 初めて
成立 する も の で
︑ 演奏 者 の 要 望 を 聞 く こ とが 大 切 だ と 思う か ら
︒
ウ
自分 以外 の者が調
律す ると きに
︑ ど こ を修正
した らよ い か を わ かりやすくし
て お く べ きだ と 考 え て いる か ら
︒
エ
相手 の要 望を きき なが ら調 律す るのが
自 分 の や り 方 で
︑ 一気 に進 める の は 本 来 の性 格 に 合 わ ない と 思 う か ら︒
オどこで間違えたのかを説明できるようにしたいので︑つらくても一歩ずつ進む方が良いと考えているから︒
問五線4﹁怖い?﹂とありますが︑﹁僕﹂はどのようなことを怖いと感じたのですか︒適当でないものを次の中から一つ
選び︑記号で答えなさい︒
ア柳さんにはできて自分にはできないことがある事実と︑向き合わされたこと︒
イ自分が調律したピアノの音には何が足りないのかを︑わかっていないこと︒
ウ調律において具体的に何ができていないかを︑自分がつかめていないこと︒
エ努力して調律したピアノが相手の気分だけで評価され︑否定されること︒
オお客さんから拒否されて︑自分の調律の未熟さを痛感させられたこと︒ きょひみじゅく
問六線5﹁才能も必要に決まってるじゃないか﹂とありますが︑
( 1 )
そのように言われたときの﹁僕﹂の気持ちを八十字以内で説明しなさい︒︵句読点等記号も一字に数える︒以
下の問いも同じ︒︶
( 2 )
柳さんは才能とはどのようなものだと考えていますか︒十五字で抜き出しなさい︒ ぬ
問七本文中から読み取れる内容として︑最も適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
ア
思 う よ う な 調律 がで きず に悩 む
﹁ 僕﹂
を 見 守 り つつ
︑ さ り げ なく そ の 解 決 方 法 を 示 す柳 さ ん の や さし い ひ と が
なや
ら︒
イ
柳さ んに 相談 する こと で調 律へ の怖さ
がな くな り
︑ 自 分 の 才 能を 信じ て 突 き 進 もう と す る
﹁ 僕﹂
の 前 向 き な 様
子︒
ウ調律の難しさに悩みながらも︑いつか思い描いた音を自分でつくり出せる日を目指して努力を重ねる﹁僕﹂の むずか
姿︒
エ
客 か ら し か られ たこ とで 調律 す る こと が 怖 く な った
﹁ 僕
﹂ と
︑そ れ を は げ ま す 柳 さ んと の 間 に め ばえ た 信 頼 関
しんらい
係︒
オ
才能 が な い
﹁ 僕
﹂ がそ れ以 外の 能 力 で お ぎな え る よ う 地道 な 努 力 を 続け た 結 果︑
一 人 前 の 調律 師 に な る まで の
過程︒
三次の各問いに答えなさい︒
問一次の線部のカタカナを漢字に直しなさい︒
①虫はカフンを運ぶ︒
②テレビのガメンが映らない︒
③手紙がトドく︒
④カブシキ会社を設立する︒
⑤桜のナミキが美しい︒
問二次の線部の漢字の読みをひらがなで答えなさい︒
①会議の記録を開示する︒
②究極の選択をせまられる︒
③魚を川に放つ︒
④選手を育成していく︒
⑤舞台の幕が上がった︒ ぶたい
問三次の線部の意味として最も適当なものを次の中から選び︑記号で答えなさい︒
ア努力している
イ誰でも知っている
①彼は指折りの画家だ︒ウ優れている すぐ
エ好かれている
オ苦労している
ア悲しくて涙が出る なみだ
イはらはらして汗が出る
②胸がすくような演技だ︒ウ気持ちが重たくなる
エ気分がすっきりする
オ心がうきうきする
アのんきな
イちいさな
③ささやかな願い︒ウわがままな
エすてきな
オまじめな
問四次の各文には誤った文字が使われています︒その文字を抜き出し︑正しい漢字に直しなさい︒ ぬ
①多くの有名選手が出場している大会で︑初新者の兄が準優勝した︒
②午後からは雨が心配されたが︑運動会は準調に行われ︑赤組が優勝した︒