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香港人広東語母語話者の複合名詞アクセントの生成について

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Academic year: 2024

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香港人広東語母語話者の複合名詞アクセントの生成について    雷寶茵(ルイ ポー ヤン イバ) [email protected]

1 .はじめに 

これまで多くの先行研究が外国語母語話者を対象に、日本語のアクセントについて考察してきた。

その結果、中国人日本語学習者によるアクセントの生成に関する先行研究の数も少なくない。しかし、

北京語母語話者を対象とする研究が殆どであり、広東語母語話者を対象とする先行研究は非常に少な い。中国人日本語学習者の中でも、香港人広東語母語話者の日本語はよく起伏が激しいと言われるが

Lai2002)、それとは逆に、特殊拍と二重母音を含む語において、音節ごとに「平ら」なアクセント

になるという、相反する結果を報告したもの(野沢・重松

1998

、1999)もある。 

本研究は、これまでの先行研究では取り上げられていない複合名詞を中心に、香港人広東語母語話 者の日本語アクセントにはどのような特徴があるのかを明らかにする。 

 

2 . 調査概要 

2-1 

調査協力者 

香港大学日本語学科で日本研究を専攻している

2

年生

14

名と

3

年生

12

名の計

26

名である。全て

20

代の香港出身の広東語母語話者である。   

2-2 

調査語 

調査語は「がいこくさん(外国産)、こうそくどうろ(高速道路)、じどうしゃきょうしゅうじょ(自 動車教習所)」のように、4拍以上の有意味の漢語の複合名詞計

108

語とした。 

2-3 

調査方法 

調査語を漢字と振り仮名の両方を明記したフラッシュカードをランダムに並べ替え、協力者に提示 し、個別で3回ずつ読み上げてもらい、

DAT

に録音した。協力者の発音生成の実態を把握するため、

フラッシュカードにはアクセントの記号は一切提示せず、発音練習も指導も一切行わなかった。 

2-4 

発音の評価 

生成調査で得られた音声データを用いて、音声知識を有する音声専門の東京方言日本語母語話者の 聴覚印象により、発音の評価調査を実施した。広東語母語話者の日本語アクセントの生成に共通した 特徴と傾向を探るため、単語内の音の上下を線で示してもらい、判定音声のアクセントに対して、「正 しい」または「正しくない」を選択してもらった。単音の誤用は評価対象外とした。また、気になる 点についてコメント欄に自由記述の形式で記入してもらった。本研究では、評価者の聴覚印象を最優 先とし、評価基準の「正しい」ものは日本語母語話者の評価者が聞いて日本語として「自然」だと考 える、「日本語らしさ」の観点から評価したものである。

 

判定用紙の一例である。      例:      し  ん  こ  ん  りょ  こ  う      正しい  調査語が「新婚旅行」の場合:            [コメント       ]       正しくない

3 . 結果

発音の評価調査から得られた評価の結果を集計し、アクセントが「正しい」と「正しくない」と評

(2)

価されたものを学習者ごとそれぞれの正用・誤用率を計算した。その結果、

26

名の学習者の

2808

の 単語での平均正用数は1266個(45.1%)と低く、誤用数は1542個(54.9%)と半数を超える数字で あった。よって、広東語母語話者の日本語発話にあるアクセントの生成は、日本語母語話者にとって 不自然に聞こえる可能性が非常に高いことが明らかになった。 

次に、

1542

個の誤用の傾向について分析した。誤用となったものはどのようなアクセントパターン になったかを探るために、誤用をパターンに分けて分析を行った。誤用のパターンは「平板型」、「上 げ下げ型」、「頭高型」、「−2型」、「−3型」、「−4型」、「−5型」と「−6型」の8種類に分類され た。「上げ下げ型」というのは、一語内のピッチの起伏が頻繁に起こり、従来の東京方言日本語アクセ ントにある「一語内でピッチが一度下がったら二度と上がらない」という規則に違反しているものの ことを指している。また、「−2型」というのは語末から

2

拍目にアクセント核を置く型である。「−

3型」、「−4型」、「−5型」と「−6型」はそれぞれ前文と対応するものである。 

前述の8つの誤用になったアクセントパターンの分布を明らかにするため、複合語を分類し分析を 行った。本研究で扱っている複合語は4拍から10拍のものであるが、9拍と10拍のものは少数で あるため、今回の調査では分析対象外とする。したがって、誤用パターンは4拍、5拍、6拍、7拍、

8拍と拍数ごとにそれぞれ5つを分類し、分析を行った。 

その結果、複合語の拍数の違いが日本語アクセントの生成の誤用傾向に影響を与えていることが分 かった。この点に関して述べた先行研究がなく、本研究の成果により新たに明らかになったことであ る。本調査結果では、4−6拍という短い複合語の場合において、「平板型」になる傾向が大きく、次 に「−2型」のような中高型の誤用になる傾向が見られた。一方、7−8拍の長い複合語において、広 東語の声調の特徴と類似する「上げ下げ型」の誤用が圧倒的に多く、「平板型」の誤用は比較的少なか った。したがって、複合語の拍数が多いほど広東語母語話者の日本語アクセントの生成には「上げ下 げ型」のアクセントパターンになる傾向が大きいと考えられる。

4 . まとめと今後の課題 

本研究の結果から、広東語母語話者の日本語アクセントの生成は、日本語母語話者にとって不自然 に聞こえる可能性が高く、複合語の拍数の違いによって異なる誤用パターンの傾向が見られ、興味深 い結果が得られた。本研究における調査結果は、今後広東語母語話者への音声指導を行う際に、参考 となることを期待する。複合動詞、複合形容詞においても本調査が扱っている複合名詞と同様の傾向 が現れるかに関して非常に関心があるので、今後の課題として、更なる研究を進めていきたい。 

 

参考文献 

野沢素子・重松淳(1998)「広東語話者の日本語の学習におけるアクセントの問題について(1)−長音節を中心にして− 

『日本語と日本語教育』第27号,120

________(1999)「広東語話者の日本語の学習におけるアクセントの問題について(2)−撥音節、促音節、二重  母音音節を中心にして−」『日本語と日本語教育』第28号,1‐16

Lai Yuk Wah, Esther(2002)“Prosody and Prosodic Transfer in Foreign Language Acquisition: Cantonese and Japanese”, München:LINCOM Europa

 

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