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高炉セメントを用いた多空隙製品の養生方法と基礎的物性の評価

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工学院大学建築学部卒業論文概要集 田村研究室 2015 年度

高炉セメントを用いた多空隙製品の養生方法と基礎的物性の評価

DB-12114 河野 亜沙子

1.はじめに

近年、セメントクリンカー製造時に生じる CO2 排出量とそ れに伴うエネルギー消費量が地球環境に与える負荷が問題視 されている。その対応策としてポルトランドセメントを高炉 スラグ微粉末やフライアッシュにて置換した混合セメントと それを用いたコンクリートが注目されており、温室効果ガス の 1900 年比 6%削減を国際公約とした京都議定書を達成する ための「京都議定書目的達成計画」の中にも、混合セメント の生産割合・利用を拡大するといった目標が示されている。

グリーン購入法における公共工事分野では高炉セメントが特 定調達品目に指定されるなど、自然環境にやさしいセメント として活躍の場が広がっていくだろう。高炉スラグの生産量 は年々増加傾向にあり、中でもセメントへの利用率は大変多 く平成 26 年度の統計では生産された高炉スラグのうち 72.5%

がセメント用として使用されている(図 2)1)

しかしながら高炉セメントの生産量の増加傾向に比べ、そ れをプレキャスト製品に使用した実績は未だに少なく、デー タが少ないためにコンクリート製品の原料として使用し難い といった問題がある。実際、鐵鋼スラグ協会が発行している

「鉄鋼スラグの高炉セメントへの利用」に掲載されている経 済産業省の推計(図 3)によると、プレキャスト製品において 使用される高炉セメントの率は約 2%である。

しかしプレキャスト製品では初期強度発現性の高い蒸気養 生を行うことが多く、さらに配合が低水セメント比であるた めに、高炉セメントのデメリットである初期強度の低さが補 われると考えられ、プレキャスト製品における高炉セメント 使用は有用であるといえる3)

本研究ではプレキャスト製品における高炉セメントの利用 を促進するべく、高炉セメントを用いた多空隙型コンクリー ト製品の養生方法について検討し、養生方法の確立を目指す。

図 1 で本研究の流れを示す

2.研究概要 2.1 実験項目

表 1 に研究内容、表 2 に研究 2~4 で行った実験の要因と水 準を示す。研究 1 によって日本での高炉セメント使用を調査 し、現状を把握する。研究 2 にて高炉スラグ微粉末を混入し たモルタルの初期強度発現を普通ポルトランドセメントのも のと比較、また水中養生の際の水温による強度発現の変化を 測定。その後研究 3 において水セメント比によっての水温変 化がもたらす比較、研究 4 にてポーラスコンクリートの特徴

である空隙がもたらす養生温度による強度変化を測定。以上 の研究より多空隙コンクリートの養生方法を検討する。

図 1 研究の流れ

図2 平成26年度高炉スラグ生産量及び利用量2)

図 3 用途ごとの高炉セメント B 種使用状況2)

(H19 年を前提とした推定)

(2)

表 1 研究内容

表 2 実験の要因と水準

2.2 セメント種類による強度発現変化の測定(研究 2)

2.2.1 セメント種類による強度発現変化の測定に関する概 要

40mm×40mm×160mm の角柱供試体を普通ポルトランドセメ ント 100%のものと、普通ポルトランドセメントに高炉スラグ 微粉末を 40%混合し高炉セメント B 種と同条件としたものの 2 種類作成し、それらを水温 20℃の水中と水温 60℃の水中で 養生する。それらを養生 7 日、28 日で曲げ試験を行い曲げ強 さを測定し、その断片を用いて圧縮試験を養生 7 日、14 日、

30 日、35 日に行い圧縮強度を測定する。実験の方法を図 4、

図 5 に示す。計算には以下の式(1)(2)を用いた。

曲げ強度=1.5Ft/b3–(1)

ここに, Ft:破壊時に角柱の中央に加わる荷重(N),l:支点間の距離(mm)

圧縮強度=Fc A⁄ –(2)

ここに, Fc:破壊時の最大荷重(N),A:加圧板または補助板の面積(mm)

2.2.2 セメント種類による曲げ応力変化の測定

図 6 にセメント種類による曲げ強度の比較を示す。高炉セ メントのほうが普通ポルトランドセメントのものよりも強度 発現が低いという結果がでたが、養生温度が 60℃の供試体は 普通ポルトランドセメントとほぼ同じ曲げ強度となっている。

養生温度を高くすることで高炉セメントコンクリートの初期 強度問題は改善するということが言えるだろう。

2.2.3 セメント種類による圧縮強度変化の測定

図 7 に各養生段階での実験結果を示す。初期段階では曲げ 強度と同じように、高炉セメントを用いたものは普通ポルト ランドセメントを用いたものよりも一回り下回る値となって いる。しかし水温 60℃による水中養生をしたものは通常の水 中養生を行った普通ポルトランドセメントのものと同じ、も しくはそれを上回る結果が出た。図 8 にセメント種類による 強度発現の変化を示した。強度発現の差は養生 30 日の段階で ほぼなくなり一定の強度発現となった。

図 4 曲げ試験方法4)

a)研究 2 b)研究 3 図 5 圧縮試験方法 図 6 試験体写真

a)7 日 b)30 日 図 7 養生 7 日、30 日の曲げ強度比較

図 8 養生時間による圧縮強度発現の変化

実験項目 方法

研究 1 日本での高炉セメント使 用の現状調査

・2014 年 11 月コンクリートサステイナビリティフォーラムでのヒアリング調査 研究 2 セメント種類 普通ポルトランドセメントと高炉スラグ微粉末混合セメントの比較

養生方法 水中養生で水温 20 度、60 度 養生時間 7 日、14 日、30 日、35 日

研究 3 空隙率 7 号砕石を使用したポーラスコンクリート 養生方法 水中養生で水温 20 度、60 度

項目 要因 水準

モ ル タ ル 調合

水セメント比 45%,60%

セメント 普通ポルトランドセメント 高炉セメント B 種

砂 大井川陸砂

砕石 7 号砕石

養生条件 水中養生(水温 20 度)7 日,14 日,30 日,35 日

水中養生(水温 60 度)7 日,14 日,30 日,35 日

(3)

2.3 高炉セメントを用いた多空隙コンクリートの基礎的物 性の評価(研究 3)

2.3.1 高炉セメントを用いた多空隙コンクリートの基礎的 物性の評価に関する概要

7 号砕石を用いた低水で多空隙のコンクリート供試体を高 炉セメント B 種のものと普通ポルトランドセメントのものと で作成し空隙率を測定する。それらを温度 20℃、60℃の水中 で水中養生した際の初期強度を測定し、養生方法による強度 発現の変化率を調べる。空隙率の算定には容積法として式(3) を用いた。

At=[1-(W2−W1)ρw

V1 ]*100-(3)

ここに, W1:水中質量(g),W2:気中質量 (g) ,V1:供試体容積(cm3),ρW:水 の密度(g/cm3)

2.3.2 高炉セメントを用いた多空隙コンクリートの基礎的 物性の計測

図 9 にセメント種類による圧縮強度の比較を示す。ポーラ スコンクリートの圧縮強度は空隙率や施工状態に大きく左右 され、ばらつきが出やすいため、有効なデータが少ない結果 となった。高炉セメント B 種を用いた供試体では、高温養生 による初期強度発現が高まったと考えられるが、普通ポルト ランドセメントを用いた供試体では高温養生による初期強度 発現促進が確認されなかった。

2.4 養生方法による強度発現速度の検討 2.4.1 強度発現速度についての概要

研究 2、研究 3 の結果を踏まえ、コンクリートの空隙率が養 生方法に対してどのように影響するのかを検討する。材齢 0-7 日、7-14 日で区分し、以下の式(4)により求めた強度グラフの 傾きを強度発現速度とし、比較する。

∆V(7)=(Fc(7)− Fc(0)) (t⁄ (7)− t(0)) -(4)

ここに, Fc:圧縮強度(N),t:材齢(day)

2.4.2 強度発現速度の評価

研究 2、研究 3 の結果を図 10 に、算出された強度発現速度 を図 11、図 12、図 13、図 14 に示す。

水温 60 度で養生したものは水温 20 で養生したものよりも 0-7 日間に強度発現速度が高くなり、7-14 日間に低下するこ とがわかる。またポーラスコンクリートは 0-7 日間での強度 発現速度は低いが、7-14 日間での強度発現速度は大きく高ま り、特に高炉セメント B 種での強度発現速度が優れているこ とが確認された。

3.まとめ

高炉セメント B 種の圧縮強度は高温による水中養生で発現 促進ができると考えられる。これらは特に材齢 0-7 日の初期 強度に影響をもたらすといえる。

ポーラスの場合、特に高炉セメント B 種への影響度が高く、

a)N20 b)N60

c)BB20 d)BB60 図 9 セメント種類による圧縮強度の比較

a)N20-NP20 b)N60-NP60

c)BB20-BBP20 d)BB60-BBP60 図 10 空隙率とセメント種類による圧縮強度の比較

(4)

材齢 7-14 日の強度発現速度は普通ポルトランドのものと比 べて高まっていることが確認できた。

これらのことから、高炉セメント B 種は材齢 0-7 日に高温 養生することで初期強度発現の促進ができると考えられるだ けでなく、空隙率の高いものには温度による影響が大きくで るということも確認できた。これらをふまえて高炉セメント B 種を用いた多空隙のコンクリート製品に対し適切な養生方 法を検討することができるだろう。

参考文献

1) 鐵鋼スラグ協会,高炉スラグ・製鋼スラグの生産量及び利 用量 – 2014 年

2) 経済産業省,平成 20 年度セメント産業における非エネルギ ー起源二酸化炭素対策に関する調査-混合セメントの普及 拡大方策に関する検討 – 2009 年 9 月 30 日

3) 委員会報告 混和剤を大量利用したコンクリートのアジ ア地域における有効活用に関する研究委員会-野口貴文 渡 辺博志 鹿毛忠継 中村英佑

4) JIS R 5201 - 2004 年 謝辞

本研究にあたり、ポーラスコンクリート製造業の関係各位 よりヒアリングで協力をいただきました。皆様に多大なる感 謝の意を表し、謝辞とさせていただきます。

a)N20-N60 b)BB20-BB60

図 11 材齢 0-7 日の養生温度による強度発現速度の比較

a)N20-N60 b)BB20-BB60

図 12 材齢 7-14 日の養生温度による強度発現速度の比較

a)N20-NP20 b)N60-NP60 c)BB20-BBP20 d)BB60-BBP60 図 13 材齢 0-7 日の空隙率による強度発現速度の比較

a)N20-NP20 b)N60-NP60 c)BB20-BBP20 d)BB60-BBP60 図 14 材齢 7-14 日の空隙率による強度発現速度の比較

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