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2019 ラグビーW 杯を興行として成功させる為にはどう ... - pweb

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2011年度上智大学経済学部経営学科網倉ゼミナール卒業論文

2019 2019

2019 2019 ラグビー ラグビー ラグビー ラグビーW W W W 杯 杯を興行として成功させる為にはどうすべきか 杯 杯 を興行として成功させる為にはどうすべきか を興行として成功させる為にはどうすべきか を興行として成功させる為にはどうすべきか

経済学部経営学科4年 A0842873 田中雄太

2012年1月15日(日)

(2)

2 目次

Ⅰ.はじめに

Ⅱ.ラグビーについて

1.ラグビー小史

2.2019年ラグビーワールドカップについて

Ⅲ.ラグビーワールドカップ成功条件

Ⅳ.ラグビーワールドカップの収入源の現状

1.入場料収入

2.放映権収入

3.スポンサー収入

Ⅴ.過去の例に学ぶ

Ⅵ.日本はどうすればいいのか

Ⅶ.おわりに

参考文献・参考URL

(3)

3

Ⅰ.はじめに

私は大学 4 年間部活でラグビーを続ける中で、仲間とともに日々練習や分析を積み重ね体を動かし ながら仲間や相手と競い高めあうスポーツをプレーする楽しさや、自分がプレーする以外にも日々の鍛 練や経験、様々な思いの詰まったプレーを見ることの感動を知ることができた。

それと同時に経済学部の学生として4年間勉強を続けてきた中で、おおよそ人間が現代社会で文化 的に生きるためには金銭的な収入が必要なことや、より頭を使いより効率的に行動することがよりよく生 きるための近道だという考え方があることも知ることができた。

大学生活の4年間でこれらの2つの視点を得たことで、プロスポーツはこの2つの視点の両側から捉 えることのできる、文化としても商業としても捉えやすい分野だということに気づいた。プロやセミプロのス ポーツ選手は生活の多くを犠牲にすることでその技術や体力を養い、練習や研究の成果を試合で披露 することで人々に感動を与えている。そして、スポーツ選手やそれを周囲で支える人々も人間であり、生 活していくためには収入を得なければならない。プロのスポーツ選手は、副収入があるものも含めスポ ーツをすることで収入を受け生活しているし、実際問題現代社会においてプロスポーツは商業として存 在、成立している。

この問題が特に顕著に表れていると思われるスポーツの一つがラグビーである。ラグビーというスポー ツの非常に大きな特徴として考えられるのは、そのアマチュアリズムの強さである。ラグビーの競技規則 には1995年までアマチュア宣言というものが記載されていた。条文を要約すると「ラグビーはアマチュア の競技であって、ラグビーをすることで金銭的、物的な報酬を受け取ったり求めたりしてはいけない」とい うものであった。このアマチュアリズムの存在はラグビーの一つの大きな特徴、誇りでもあり、商業化、プ ロ化を遅らせている原因でもある。事実、小史でもふれたように 1871 年にイギリスでラグビー連合が組 織されてから1995年にアマチュア宣言が撤廃されオープン化が宣言されるまでに124年もかかってお り、ラグビーのオープン化が宣言されてから 16 年経つ現在もなおラグビーにはアマチュアリズムが強く 残っている。これから先ラグビーを商業、興行として考えていくのであれば、この問題が厄介に絡みつい てくることは想像に難くない。

都合の良いことに、来る2019年9月、日本でラグビーのワールドカップが開催される。しかし、正直な ところ日本でラグビーのワールドカップが成功する姿が想像できない。そこで、人々に夢を与えるスポー ツを、興行として成功させるためにはどうすべきで、何ができるのかについて考え、過去のワールドカッ プの成績を踏まえながらラグビーのワールドカップを成功させる方法を模索しようと思う。

ちなみに、一般にラグビーフットボールと呼ばれるスポーツにはラグビーユニオンとラグビーリーグの2 種類の競技が含まれるが、日本で知られている「ラグビー」とはラグビーユニオンの方であること、さらに、

最近では以前に比べて女子ラグビーが盛んになってはいるものの男子よりも小規模であることから、今 回は特に記述のない場合、「ラグビー」とは「男子のラグビーユニオン」のことを指すものとする。

素朴な疑問

2019年ラグビーワールドカップを興行として成功させるにできること、すべきことは何か

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4

Ⅱ.ラグビーについて

Ⅱ.1.日本ラグビー小史

ラグビーやサッカー等の原型である「原始フットボール」はローマ時代に行われていたハルパストンと いう競技を原型としており、後にイギリスにわたったフットボールは 12 世紀以降若者たちの間で人気を 博した。その後、イギリスで「ラグビー連合」が発足されるのが 1871 年のことであるが、原始フットボール からラグビーが分化した詳細な時期はわかっていない。なお、ラグビーの起源は 1823 年にイギリス、ラ グビー校のウィリアム・ウェッブ・エリスがボールを抱えて走ったことという説が有名だが、当時はラグビー やサッカーが未分化の状態であり多くの場合において手の使用も認められていたため、現在ではこの 説は誤りとされている。

そのラグビーが日本に初めてやってきたのは1866(慶応2)年のことで、開港したばかりの横浜の治安 を守る名目で派遣されたイギリスの軍人が横浜フットボールクラブというラグビーチームを作ったという記 録が残されている。7年後の1873年にはアジアで初めてラグビーの試合(イギリス対アイルランド・スコッ トランド連合)も行われた。

日本人がラグビーをするようになったのはそれからしばらく後の1899年のことで、慶應義塾の英語講 師エドワード・ブラムウェル・クラークがケンブリッジ大学での留学を終えた田中銀之助の協力のもと塾生 にラグビーのルールや精神性を教えたことが始まりとされ、19年後の1918年には大毎主催第1回日本 蹴球ラ式大会が開催され、現在まで続くことになる多くの大会や定期戦の歴史が始まったのもこのころ のことである。1926 年の日本ラグビー蹴球協会発足をきっかけに、大学間の対抗戦や定期戦、他にも 海外遠征や外国チームの来日等が盛んにおこなわれ、ラグビーは急激に普及、隆盛の一途をたどった。

1943年には戦時体制のため活動中止となるも、1945年に再開、更に 1947年には日本ラグビー協会 総裁に秩父宮雍仁親王を迎え入れ、1949 年には資金繰りの苦しい中他のスポーツに先駆け東京にラ グビー専用のグラウンド(現在の秩父宮ラグビー場)を建設する等、ラグビーは急速に復興し、チーム数 も伸ばしていった。その後の日本ラグビーはニュージーランドやイングランド、ウェールズなどの世界の 強豪国のチームに勝利、善戦したり、1984年にはTVドラマ化もされたりと、国民的な人気スポーツとな ったが、徐々に世界との差が広がりつつあった。

そして、1987年にはニュージーランド・オーストラリアで第1回ワールドカップが開催された。この大会 に日本も参加したが、この頃には強化を強豪国との実力差は歴然であり結局一勝も上げることができな かった。その後も強豪国との実力差の拡大は続き、1995 年第 3 回大会、対ニュージーランド戦での

145-17 という大会史上最多失点で大敗したことを大きなきっかけとし、日本でのラグビー人気は急激に

衰退することとなった。この直後、国際ラグビー評議会(International Rugby Board,以下、“IRB”)が 124年にわたった続いたラグビーアマチュア宣言を撤廃、オープン化を宣言したことを受け2003年から は 55 年の歴史を持つ全国社会人ラグビーフットボール大会を終了し、新たにラグビーのシーズン中は ラグビーに専念するセミプロの団体、ジャパンラグビートップリーグとして組織し直した。これにより、日本 のラグビーも以前に比べ強化、活性化されつつあるが、落ち込んだ人気は回復していない。

そんな折、2019年ラグビーワールドカップの日本開催が決定した。

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Ⅱ.2.2019年ラグビーワールドカップについて

2009年7月、アイルランド、ダブリンにあるIRB本部で2019年のラグビーワールドカップ第9回大 会が日本で開催されることが決定された。ラグビーのワールドカップは1987年の第1回大会から4年 に1度ずつ開催されていて、去る2011年にはニュージーランドで第7回大会が開催され、見事開催国 のニュージーランドが優勝に輝いている。日本でのワールドカップ開催のために日本ラグビー協会が 2004 年から続けていた誘致活動がこの時ようやく実を結び、史上初のアジアでのラグビーワールドカッ プの開催となった。

Ⅲ.ラグビーワールドカップの成功条件

日本でのワールドカップの開催あたり、IRB のマイク・ミラー事務局長は会見でラグビーワールドカッ プの開催国となるための5つの条件について述べている。その条件とは

1.収益性:約100か国のIRB加盟国への、次のW杯までの育成補助金となる収益をあげられること

2.観客動員:ラグビーの知名度、人気向上のためにもスタジアムには必ず多くの観客が入っていること 3.インフラの整備:国際大会を開催できるインフラが十分整備されていること

4.警備:滞在チームが安心して参加できる環境にあること

5.政財官界からのサポート:その国の政財官界から支援を受けていること

以上の 5 つである。2019 年大会において日本はこれらのことを期待されており、これらのことを達成 できればIRBとしてはラグビーワールドカップが成功したといえるのだろう。

今回、上の条件の中でスポーツの興行としての成功について触れたものは1の収益性だと判断した。

この中で興行について考える際に最も関係が深いのが収益性だと判断したためである。

少し古いデータではあるが、日本ラグビーフットボール協会の真下昇専務理事(当時)は2004年の日 本ラグビーフットボール協会の収入の内訳を、全国大学選手権やトップリーグといった大会の収益が約 4割、残りの6割は協賛金、放送権料、代表関連のスポンサー料、補助金、寄付金といった事業収入で あり、毎年平均して総額20~22億円の収入を得ており、2004年に関しては収支で3億円ほど黒字が 出たとしている。この中から額の大きそうなものを選び、収入を

1.入場料収入 2.放映権収入 3.スポンサー収入

の3つに分けてそれぞれ考えることにする。

その他の条件もワールドカップの成功の為には重要なことではあるが、収益を上げるために必要なこと だとも考えられるため、今回は収益についてのみ考える。

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Ⅳ.ラグビーワールドカップの収入の現状

Ⅳ.1.入場料収入

まずは入場料収入について考えていく。入場料収入とは試合を直接観戦する人にチケットを売ること で発生する収入のことだが、ここで疑問に思ったことが、そもそも日本にどれだけラグビーを観戦する人 がいるのかという点である。調べたところ日本人の中で過去 11 年間にスポーツを観戦した成人の戦状 況は以下のとおりである。

※2002年調査の回答選択肢には公営競技が含まれていない

SFF笹川スポーツ財団『スポーツ白書‐スポーツが目指すべき未来‐』2011:p31

つまり、日本人の1/3程度、日本の成人人口を1億人として3000万人強が1年に1度以上何らか のスポーツを直接観戦していることになる。更に、乱暴ではあるがたまたま公営競技のデータが含まれ ていない2002年のデータとその他の年のデータとを照らし合わせると、スポーツ観戦者の中で、賭博を 目的としない純粋な観戦者は2500万人程度と推測される。更に、日本の人口減少、観戦者数の2004 年からの減少傾向が続くとしても、2019 年になっても 2500 万人程度の日本人はスポーツを直接観戦 するために時間、労力、財産を消費し続けているであろうことが推測できる。過去最大である第6回大会 の観客動員数が 220 万人であることから考えても十分すぎる数字である。ラグビーワールドカップを直 接観戦しに来る可能性があるのは3000万人の中でもラグビーの観戦に興味を持っている人だと考えら れる。ラグビーはプロスポーツではないため、プロスポーツ直接観戦者の資料には載っておらず、全体 としての資料は得られなかった。野球、サッカーという日本における2 大スポーツの直接観戦者のうちど の程度が他のスポーツに興味を持っているのかという資料によると、ラグビーに興味を持っているのは 野球ファン、サッカーファンともに2割程度とあった。野球とサッカーはともに観戦者数は多いが競技とし ての性質は大きく異なっており、それらのスポーツの観戦者のうちの同程度がラグビーに興味を持って

0 5 10 15 20 25 30 35 40

2000 2002 2004 2006 2008

成人の直接スポーツ観戦率の推移 成人の直接スポーツ観戦率の推移 成人の直接スポーツ観戦率の推移 成人の直接スポーツ観戦率の推移

割合(%)

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7

いたということは、スポーツファンの2割は潜在的にラグビーに興味を持っていると推測が立てられる。以 上のことから考えたラグビーの観戦者数は年間500万人程度であり、この人数を2011年に主要な試合 数(トップリーグ(91試合)、日本選手権(9試合)大学選手権(15試合)、関東大学対抗戦Aリーグ(28試 合)、関東大学リーグ戦1部(28試合)、関西大学リーグ戦1部(28試合)、全国高校大会(50試合)、日 本開催の日本代表戦(2試合))で割ると、ラグビーの試合には1試合に約2万人が訪れる計算になる。

2 万人も集客できれば十分な気もするが、それは日本戦だけの話であり、外国同士の試合にどうやって 人を呼ぶかが課題になる。

Ⅳ.3.放映権収入について

ジェイ・スポーツ社長の笹島一樹によれば、第3回大会から第6回大会までの収入は

第3回 第4回 第5回 第6回 開催国 南アフリカ共和国 ウェールズ オーストラリア フランス

放映権料(億円) 28 88 104 137

TV視聴者(億人) 23 31 34 23

放送された国の数 124 209 193 124 総放送時間(h) 1180 2425 5414 1180

となっている。1995年からの12年間で入場料収入は11倍、放送権収入は5倍、スポンサー料は4 倍になっている。特に差が顕著なのが第3回大会と第4回大会である。第4回大会は日本ではジェイ スポーツによる衛星放送での全試合生中継を開始した大会であり、ワールドカップがテレビで放送され た国の数が第4回大会から跳ね上がり現在の水準に達したことの要因も衛星放送の普及に起因してい ると考えられる。

放送先の国の数の増加が止まった後も放映権料の高騰は収まる気配を見せない。これはラグビーに 限ったことではなく、多くの国際スポーツに同じ現象が起こっている。家に居ながらにして、地球の裏側 で行われているレベルの高い試合を、しかもスタジアムに行くよりも安価で実況解説まで付いているので あれば、見ない手はない。特にラグビーのようなスポーツになるとどの国にもある程度は固定需要が期 待できるため、スポーツ専門チャンネルをうたっているようなテレビ局は放映権を買うために多少の無理 をしてでも高額な放映権料を払うようになったと考えられる。

これは運営する側としては、たとえ日本でラグビーの人気がなくても安定した、しかもチケット収入をは るかに上回る収入が期待できるというメリットでもある。

スポンサー収入

スポンサー料も入場料や放映権料とともに増加を続けている。これもラグビーのオープン化、商業化が 進んだ結果だと考えられるが、ラグビーワールドカップでは大会中にチームスポンサーを露出させること を禁止している。これはラグビーのアマチュアリズムを保つためだと言われている。ただし、禁止されるの は個々のチームのスポンサーであって、大会のスポンサーの露出は許可されている。アマチュアリズム

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8

は保ちたいがお金がなければ大会が開けないという、今回のテーマが最も色濃く反映されている分野 である。

Ⅴ.過去の失敗に学ぶ

上記のとおり、日本ではあまり注目されていないラグビーワールドカップではあるが、一部の国では高 い人気を誇っている。2007年にフランスで開催された第6回大会は、黒字は7000万ポンド、開催国へ の経済効果は 21 億ポンドに及んだ。これは FIFA ワールドカップとオリンピックに次ぐもので、

Wikipediaにはラグビーワールドカップはこの二つの大会と並び世界3大スポーツイベントの一角であ

るとまで書かれている。

これだけの利益を生み出す大会であれば、各国のラグビー協会、ラグビー連盟が誘致に力を入れる のもうなずける。事実、ラグビーワールドカップは第一回大会から開催国のラグビー協会に収益をもたら し続け、第5回大会では32億円、第6回大会では24億円の黒字がそれぞれオーストラリアラグビー 協会、フランスラグビー連盟に発生している。

しかし第7回大会ニュージーランド大会、ニュージーランドラグビー協会に発生したのは約30億円も の赤字だった。ニュージーランドといえばラグビー王国として広く知られており、1987年の第1回大会で も主催国を務めている。そしてその時にはニュージーランドラグビー協会に赤字は発生していない。

この原因の一つとして考えられるのが、ラグビーワールドカップの大規模化である。第1回大会と第7 回大会とを比較すると、第1回大会は予選すら行われない完全招待大会であり、さらに直前になるまで ラグビー関係者ですら大会の詳細を把握していなかったり企画自体が何度も立ち消えそうになったりす るレベルの大会であった。それに比べて第7回大会は概数で100か国が予選に出場して200か国で 中継されるような大会にまで成長し、観客動員数も第1回大会の60万人から、165万人(推定)へと2.75 倍に増加している。ちなみに第1回大会はオーストラリアとの共催であるため、ニュージーランドラグビー 協会への負担は数字以上に大きかったはずである。ラグビーワールドカップは20余年の間に大規模化、

商業化が進み、人口およそ400万人のニュージーランドで運営していける規模の大会ではなくなってし まっており、今回のニュージーランドはミラー事務局長の言うところの4.インフラの整備が大会規模に追 いつかなかったということになる。この点においては日本問題ないといって差し支えない。そして途上国 での大会の開催が困難であることが露呈してしまった以上、先進国で、なおかつあくまで諸外国と比較 してではあるがラグビーが盛んである日本にとっては、定期的にラグビーの国際大会を開催し利益を得 られる絶好の機会が訪れようとしているのだ。そのためにも、2019 年の大会は成功をおさめ、次回開催 に繋げたいところである。

と言いたいところだが、これだけの収入があるにもかかわらず、開催国が大国ではないというだけの理 由でここまで大きな赤字が出るのは、ワールドカップの商業化のペースが速いとはいえ不自然である。

なぜ IRB はニュージーランドでの開催を認めたのだろうか。実は、上で挙げたチケット収入、放映権収 入、スポンサー収入のうち、放映権収入と大会スポンサー収入は全額 IRB に入る仕組みになっている ので、開催国が黒字だろうと赤字だろうと IRB は安定して黒字であり、特に開催を止める理由もないの だ。

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更に、条件にもあった通り、IRB は収益を次の大会までのラグビーの普及や発展の為の助成金に充 てており、少なくともニュージーランドのようにラグビーが盛んな国にはあまり還元されないことになって いる。ニュージーランド代表は優勝したにもかかわらず、強すぎるせいで IRB からの恩恵を受けられな かったのだ。

他にも、ラグビーワールドカップでは大会組織委員会がローカルスポンサーをつけることも認められて おらず、大会期間中は個々のチームのスポンサーの露出も禁止され大会中に露出できるのは大会スポ ンサーだけである。こうして利益を得る手段をことごとく封じられてしまっていたことが、ただでさえ苦しい 状況に拍車をかけてしまったのだろう。ただ、ニュージーランドラグビー協会のスティーブ・チュー最高経 営責任者は、ワールドカップ期間はスポンサーもつかず国際試合も出来ず収益が大幅に下がるのでこ のままでは次回大会に参加する可能性は低い、と発言している。

考え様によってはIRBがアマチュアリズムを守るためにあえて個々のチームから経済的な要素を切り 離しているようにも考えられるので、今回はそう解釈する。

Ⅵ.日本はどうすべきなのか

結局のところ、現状のままではラグビーワールドカップの開催は成功しない可能性が高い。ワールドカ ップの放映権収入やスポンサー収入等を IRB に牛耳られてしまっている現状では、ラグビーの人気、

実力ともに低い日本では大きな収益を上げるのは難しいだろう。

まずは日本人の観客動員を考えなければならない。そこで重要になるものの一つがマスメディアの存 在である。マスメディアによって、まずラグビーに興味がなかったり知らなかったりする人たちにラグビー の存在を知って貰わなければならない。特に放映権料を払っている以上ラグビーの人気が出ないと困 るはずなので、日本ラグビー協会と協力してラグビーの知名度を上げるための努力が期待される。スポ ーツニュースでラグビーを大きく特集したり、トップリーグのコーナーを作ったり、ラグビー経験者をコメン テーターに起用したりといった努力が求められる。

他には芸能人、特にお笑い芸人にはラグビー経験者も多いため、そういった芸能人やラグビー日本 代表の OB 等を集めてラグビーのニュースやルールや魅力の説明、副音声での実況、解説といった形 で活動を続ければ、それまで接点のなかった人もラグビーに接する機会が出来るのではないか。触れ てみれば、ラグビーの魅力に気付く人も少しは出てくるはずである。

国内で足りない部分は外国に頼るしかない。ワールドカップを開催すればフランスやイギリス、オース トラリア等からの観光客が押し寄せてくることが予測される。2011 年の第 7 回大会の時も、大会期間中 だけで観光客は 10万人を超えた。しかもそういった観光客は複数の試合を見に来るので、まずは外国 人が十分に試合を楽しめるような工夫をするべきである。英語やフランス語のパンフレットやポスター、ホ ームページ等の広告、広報活動はもちろん、観戦以外の時間も充実した時間を過ごして貰えるように、

宿泊所やツアー等の企画を用意するのもよいだろう。

いくつか例を上げて見たが、決定的なものは存在しない。やはり2019年のワールドカップ開催は厳し いと考える。日本を強くすればまだ目があるが、それも現実的に不可能である。ただ、今回駄目であった

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としても、諦めずにもう一度挑戦してほしいと思う。今は制度が整っていない上に、商業、興行としてのラ グビーはまだ非常に若く、伸び白のある分野だと思える。今は弱く、国民からも見向きもされていない日 本代表だが、商業としてのラグビーとともに挑戦を続ければいつかは成功できるはずなので、是非挑戦 を続けてほしい。

Ⅶ.おわりに

結局、ラグビーワールドカップを成功させる画期的な手立ては見つからなかった。日本でのラグビーの 不人気の問題は単純にその弱さだけの問題ではないため、すぐに解決するのは困難である。図書室の 資料をあさっても、ラグビーの本は、まだ人気があった頃のものや練習方法について書かれたものばか りだし、ラグビーの情報が載ったホームページは日本語表記のないものも多く、それだけでも日本がラグ ビーにおいて後進国であることの表れだと思った。そして、この研究のおかげでスポーツマーケティング、

スポーツマネジメントという分野の存在を知ることが出来た。人や金が動いているので調査対象となるの も当然ではあるが、上智大学の図書館だけでもあれだけたくさんの本があるとは思わなかった。こうした ことを研究している人がたくさんいるのだから、みんなで力を合わせ、いつになるかは分からないが次の 日本開催のワールドカップは成功させたいと思う。辛い時も逃げ出さないことは、私がラグビーから学ん だ最も重要なことである。

(11)

11 参考:過去のラグビーワールドカップの実績

各大会の情報を表にすると以下のようになる ラグビーワールドカップデータ

回数 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回

開催年 1987 1991 1995 1999 2003 2007 2011

開催国 NZランド・

オーストラリア イングランド 南アフリカ

共和国 ウェールズ オーストラリア フランス NZランド 優勝国 NZランド オーストラリア 南アフリカ オーストラリア イングランド 南アフリカ NZランド 地区予選

参加国数 16 33 52 65 83 91 94 日本の

成績※1

3試合 0-3-0

3試合 1-2-0

3試合 0-3-0

3試合 0-3-0

4試合 0-4-0

4試合 0-3-1

4試合 0-3-1 観客動員

数(万)※2 60 100 100 175 180 220 (165) TV視聴

者(億人) 2.3 14 23 31 34 43 ‐ 放送され

た国の数 17 103 124 209 193※3 202 ‐ 総放送時

間(時間) 103 1100 1180 2425 5414 8500 - 総広告収

入(万£) 330 2360 3030 7000 8180 - 利益

(万£) 100 410 1760 4700 6430 1224 -

総入場料 収入 (億円)

- - 22 110 140 246 -

総放映権

料(億円) - - 28 88 104 137 - 総スポン

サー収入 (億円)

- - 11 36 28 47 -

※1日本の成績の下の段は{勝ち数-負け数-引き分け}、成績は本大会予選リーグのもの

※2ニュージーランド政府観光局公式観光情報より 第7回大会については同サイトのチケット売り上げ 枚数(予定)の値

※3ユーロスポーツ(フランスのスポーツ専門局)は除く

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12 参考文献・参考URL

参考文献

浅見俊雄、宮下充正、渡辺融『現代体育・スポーツ体系第 25 巻‐ラグビー・アメリカンフットボール‐』講 談社,1984.

藤島勇一『写真で見るラグビー』成美堂出版,1977.

平田竹男、中村好男『トップスポーツビジネスの最前線 勝利と収益を生む戦略』講談社,2006;pp.43‐

62.

池田邦雄『激動の昭和スポーツ史⑬ラグビー編』ベースボールマガジン社,1989.

溝畑寛治『ノーサイドの精神に学ぶ人間力』晃洋書房,2007.

SFF笹川スポーツ財団『スポーツ白書‐2001年のスポーツ・フォア・オールに向けて‐』1996.

SFF笹川スポーツ財団『スポーツ白書‐Sport for AllからSport for Everyone‐』2001.

SFF笹川スポーツ財団『スポーツ白書‐スポーツの新たな価値の発見‐』2006.

SFF笹川スポーツ財団『スポーツ白書‐スポーツが目指すべき未来‐』2011.

財団法人日本ラグビーフットボール協会『日本ラグビー史』1964.

参考URL ラグビー関連

フジテレビスポーツコラム Rugby Navigate 第154回 2019W杯日本に決まる http://www.fujitv.co.jp/sports/sports_column/rugbynavi/rugbynavi_154.html ハマスポ.com 特集横浜とラグビー

http://www.hamaspo.com/sport/vol_s027/special01.html International Rugby Board - IRB Organisation

http://www.irb.com/aboutirb/organisation/index.html ジャパンラグビートップリーグ公式サイト

http://www.top-league.jp/index.html J SPORTS社長 笹島一樹のブログ

http://www.jsports.co.jp/blog/sasajima/log/cat13/nz2015201920112019/

競技規則 Rugby Union 2012 http://www.irblaws.com/JA/

MasterCard、IRBラグビー・ワールドカップ2011年大会のスポンサーシップを発表 http://www.mastercard.com/jp/company/jp/press/090209.html

ニュージーランド政府観光局公式観光情報 ラグビーワールドカップ2011(pdfファイル)

http://www.newzealand.com/travel/library/h27561_6.pdf NHKクロニクル NHKアーカイブス保存番組検索

(13)

13 http://archives.nhk.or.jp/chronicle/

日本ラグビーフットボール協会ホームページ http://www.rugby-japan.jp/index.html

日本ラグビー協会メンバーズクラブサイト・コラム・ワールドカップ招致への道 http://www.jrfu-members.com/open/column/wc_back/index.html 日本テレビ ラグビーワールドカップ2011

http://www.ntv.co.jp/rugby/

Official RWC 2011 Site

http://www.rugbyworldcup.com/index.html ラグビー日本代表公式サイト

http://sakura.rugby-japan.jp/

ラグビーワールドカップ asahi.com(朝日新聞社)トピックス

http://www.asahi.com/topics/%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83

%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97.php Rugby World Cup History

http://www.rugbyfootballhistory.com/world_cup.htm

Referensi

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8 さらに、全額返金保障(30 日以内)をつけることで、多少の事では悪い評判をいう人も出ず、 世の中には良い口コミが出回りさらに新規の会員を獲得するという循環を生み出す事業戦略を とっていた。 今までは年間70億ほどの広告宣伝費をかけて集客をしていたが最近では、広告宣伝費を抑え

重要であると述べている。 追随派に対しては、②『説得』段階に注力するべきだろう。なぜなら、彼らの採用に対して最も大 きな影響を与えるのが、医師仲間からのクチコミであるからだ。またロジャーズ(2007)も、追随派 に対してはコスモポライト・チャネルより対人チャネルの方が重要だと述べている。具体的には、M

③流通 ここでは KALDI の流通戦略について検討してみる。流通戦略で一番大切なことは【どこ で売るのか?】という点である。この点において KALDI が他社と違うところは、一般的な スーパーや百貨店と違って、一店舗当たりの面積が200㎡ほどの店舗がほとんどである ということだ。店舗をせまい面積にしているのは、お店の中を商品でいっぱいにすること

4–2 代入 代入: assignment 宣言した変数へ値を代入書き込みするには = を用いる。代入文の書式は次の通り。 数学の“等式”と見た目には同じだが、イ メージとしては「変数名 ← 式の値」と いう感じ。 右辺の式を計算評価した値が、左辺の 変数名又は記憶領域を指し示す式が指 し示す記憶領域に書き込まれる。右辺の 式は単独の定数値や変数でも良い。