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2021(令和3)年度入学試験問題

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2021 (令和 3 )年度入学試験問題

(2)

(3)

(4)

(1)

(2)

 次の文章を読んで︑後の問いに答えなさい︒

   Ⅰ   

 社会構造はハードとソフトに分けることができます︒ハードは堤防のような︑災害を封じ込める機能を持った構造物です︒地震多発国日本では︑

耐震・免震・制震機能を持った建物は重要なハードといえます︒

 ハードによる防災は二つの課題を持っています︒

 一つは︑莫大な金がかかるという問題です︒ダム︑堤防の建設は︑財政問題の中心課題として︑政治的論争を頻繁に引き起こしています︒

 建築物についていえば︑日本では厳しい耐震基準が採用されており︑耐震性に問題はないと考えていいでしょう︒もちろん︑セッケイから工事ま

でしっかりと監理されているというのが前提です︒これまで構造計算書の偽造や免震ゴムの性能偽造が社会問題となったことがあります︒コストよ

りも安全を最優先にしたシソウが︑災害大国には必要です︒

 一方︑戦後すぐに建てられた古い家屋が密集する地域では︑耐震化が急務であることはわかっていても︑なかなか進みません︒補助金制度がで

き︑行政が広報に力を入れても︑利用者がなかなか増えていかないのが現状です︒

 市街地の︑古い住宅地が密集する地域には︑その土地に長く住む人々︑つまり高齢者が暮らしています︒一〇〇年や一〇〇〇年に一回起こるか起

こらないかの地震に備えて大金をかけたくない︑ A 自分はもう歳だから︑無駄なお金は使いたくない︑というのが高齢者の本音でしょう︒

 こういう状況を打開しようとココロみた防災教育の実践事例があります︒千葉県立市川工業高等学校は︑防災教育の草分け的存在です︒建築を学

ぶ高校生が︑地域の家屋を簡易耐震診断し︑安全性と危険性を住民に知らせ︑耐震化を勧めるとりくみをしてきました︒行政ではなく高校生による

提言であるため︑住民にも受け入れられたといいます︒ B ︑この実践が日本全国で行われたわけではなく︑残念ながら︑点としての存在にしか

なりませんでした︵もちろん︑光り輝く点ですが︶︒

   Ⅱ   

 ハードによる防災の二つ目の課題は︑想定に関わるものです︒

 東日本大震災以降︑爆発的に使われた言葉に﹁想定外﹂があります︒今回の地震・津波は︑貞観地震以来の一〇〇〇年に一回の規模だったため︑

堤防の建設などのハード面の備えができていなかったとか︑ハザードマップは明治三陸大津波︑昭和三陸大津波︑チリ津波の浸水地域を想定して作

られていたので︑今回のような想定をはるかに超えた大津波では役に立たなかった︑といった説明をよく聞きます︒想定されていなかったことが起

こったので︑守れなかったというわけです︒

 ハードによる防災は︑想定外の事態には極めて弱いのです︒

 そもそもハードの発想では︑災害の想定を前提とし︑その想定の範囲内の被害に対抗できるものを作ろうとします︒過去には︑行政の財政と照ら

し合わせて︑想定をあえて低く見積もってハードを建設するということもありました︒これでは︑想定外の災害を食い止めることができないのは当

然です︒

   Ⅲ   

 一方ソフトは︑ハードのような形や構造を持ちません︒決まった形を持たないので︑相手によってこちらの形を変えることも可能です︒地震なら

地震対応の防災訓練︑水害なら水害対応の避難訓練︑といった具合に︑ハザードによって︑こちらの訓練の内容を変えることもできます︒このよう

な訓練を繰り返し行っておくことが︑実際の災害時に役立ちます︒

 兵庫県神戸市にある県立盲学校︵当時の呼称︶は︑阪神・淡路大震災の前から避難訓練を何度も繰り返し行っていました︒平日は寄宿舎に泊まり

込む子どもたちもいたため︑宿泊勤務の職員と子どもたちが一緒になって夜間避難訓練も行っていました︒その体験の蓄積のおかげで︑大地震が発

生した早朝︑落ち着いて行動できたといいます︒地震発生時に寄宿舎にいた先生が︑﹁目が見えない子どもには︑昼も夜も同じだし︑テイデンして

も関係ないけど︑私たち教員が落ち着いて行動できた︒訓練は絶対繰り返してやっておくべきだ﹂と話していたのが印象に残っています︒

 東日本大震災では︑釜石東中学校の生徒が︑隣の鵜住居小学校の子どもたちと手に手を取って走って逃げました︒その姿を見て︑地域の人も避難

したそうです︒率先避難という言葉で有名になりました︒

 これらの事例は奇跡ではありません︒訓練の積み重ねが起こした事実です︒この訓練の積み重ねがソフトによる防災にあたります︒もちろん訓練

だけでなく︑防災教育の様々なとりくみのすべてが︑ソフトによる防災活動だと考えてください︒  神戸市役所に長年勤務し︑在勤中に阪神・淡路大震災を体験し︑その対応やその後の復旧・復興に尽力したある職員は︑このような話をしてくれ

ました︒彼は︑東日本大震災のある被災地で︑まちづくりの支援者として関わっている方です︒ ﹁一〇〇年に一回の津波はハードで抑え込むことができるが︑一〇〇〇年に一回の津波は無理だ︒避難というソフトで対応するしかない﹂

 また︑津波研究の第一人者である東北大学の今村文彦教授は﹃防災教育の展開︵シリーズ・防災を考える︶﹄︵東信堂︶の中で︑災害時の被害を小

さくし︑復旧・復興の過程での社会の回復力を向上させるためには︑ハード面での準備・知識だけではなくソフト面でのとりくみも必要であると指

摘しています︒そのソフトとは︑住民への適切な防災教育です︒今村氏は面白い表現でソフトとハードの関係をわかりやすく教えてくれています︒

要約してみましょう︒

 コップがあります︒そこに水を注ぎます︒水は津波︑コップは堤防です︒コップが水を受け止めるように︑堤防が津波を食い止めます︒コップ︑

つまり堤防というハードによる防災が行われているのです︒しかし︑水を注ぎ続けるといつかはコップから水があふれ出します︒津波が堤防を乗り

越えていくのです︒こぼれる水を別の器で受け止めるとしましょう︒その別の器がソフトです︒津波であれば︑避難という防災教育がソフトにあた

ります︒

 防災ではハードとソフトの両方が必要なのです︒ 

   Ⅳ   

 宮城県石巻西高校の自然科学部の生徒が面白いハードの実験をしています︒

 東日本大震災では津波が堤防を越えたり︑巨大な堤防を破壊したりしました︒生徒たちは︑どんな形状の堤防が津波の破壊力を抑えるのに有効

か︑津波の到達時間を少しでも遅らせ︑逃げる時間を稼ぐことができるかを︑模型を使った実験を繰り返して調べました︒津波によって堤防が破壊

され︑壊滅的な被害を受けた地域を目の当たりにして︑たとえ堤防を越えるような津波であっても︑避難の時間を稼ぎたいと考えたのです︒

 繰り返した実験の結果︑コの字型の堤防が一番強かったそうです︒逆に︑海岸でよく見かけるなだらかな斜面や腰を掛けて海をナガめるのに向い

ている階段状の堤防は︑津波が容易に駆け上がり︑すぐに越流してしまったそうです︒

 もし︑生徒たちが考案した形状の堤防が実際に自分たちのふるさとの堤防に採用されれば︑大きな社会貢献にもなり︑彼らの達成感は計り知れま

せん︒

 徳島県を流れる吉野川は︑日本三大暴れ川の一つです︒関東平野を貫く利根川︵坂東太郎︶︑九州の大河である筑後川︵筑後次郎︶とならんで︑

四国三郎の異名を持ち︑中央構造線の真上を西から東へ流れています︒︵三兄弟の順番については︑少し議論があるようです︒誰もがふるさとの川

や山を一番だと思いたいのでしょうね︶︒流域に住む住民は︑この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだようです︒古くから︑

源流地域への植林や︑石囲いで住居を囲んで水害から守ったり︑石垣を積み上げて住居をかさ上げしたりする工法で水害と共存する方法を選んでき

ました︒

 吉野川の堤防があえて低く造られていた理由は︑流域が藍の産地だからです︒藍は︑藍染めの染料につかわれる植物ですが︑一度栽培すると地力

がガクンと落ちます︒そこで︑年に一度︑吉野川の洪水を畑に導き︑肥沃な土砂が畑にたまるように仕向けたというのです︒あえてハードのレベル

を下げたのです︒

 一方︑家屋の軒先に船をつるしていつでも避難できるようにするなど︑水と共存する防災の知恵も発達しました︒これは素晴らしい防災のソフト

といえるでしょう︒

 吉野川という一本の流れをテーマにして︑歴史︑植林などの環境保全︑藍染め︑堤防や家屋の構造など︑様々な学習が可能です︒

 このように︑自然と社会︑ハードとソフトが見事に作用しあった防災を学ぶことは︑子どもたちの総合的な知識を育てます︒科目に細切れにされ

た知識ではなく︑理科も︑社会も他の科目も︑災害と生きる中ではつながっているという実感がわくのではないでしょうか︒

︵諏訪清二﹃防災教育の不思議な力 子ども・学校・地域を変える﹄による︶

 ※急務⁝すぐに対策が必要な課題   

 ※ハザード⁝危機︑危険 

 ※藍⁝タデ科の一年草︒藍染めの染料をとるため︑古くから各地で栽培されていた︒ 

 ※肥沃⁝土地が肥えていて︑農作物がよくできること︒

(3)

(3)

(4)

(1)

(2)

 次の文章を読んで︑後の問いに答えなさい︒

   Ⅰ   

 社会構造はハードとソフトに分けることができます︒ハードは堤防のような︑災害を封じ込める機能を持った構造物です︒地震多発国日本では︑

耐震・免震・制震機能を持った建物は重要なハードといえます︒

 ハードによる防災は二つの課題を持っています︒

 一つは︑莫大な金がかかるという問題です︒ダム︑堤防の建設は︑財政問題の中心課題として︑政治的論争を頻繁に引き起こしています︒

 建築物についていえば︑日本では厳しい耐震基準が採用されており︑耐震性に問題はないと考えていいでしょう︒もちろん︑セッケイから工事ま

でしっかりと監理されているというのが前提です︒これまで構造計算書の偽造や免震ゴムの性能偽造が社会問題となったことがあります︒コストよ

りも安全を最優先にしたシソウが︑災害大国には必要です︒

 一方︑戦後すぐに建てられた古い家屋が密集する地域では︑耐震化が急務であることはわかっていても︑なかなか進みません︒補助金制度がで

き︑行政が広報に力を入れても︑利用者がなかなか増えていかないのが現状です︒

 市街地の︑古い住宅地が密集する地域には︑その土地に長く住む人々︑つまり高齢者が暮らしています︒一〇〇年や一〇〇〇年に一回起こるか起

こらないかの地震に備えて大金をかけたくない︑ A 自分はもう歳だから︑無駄なお金は使いたくない︑というのが高齢者の本音でしょう︒

 こういう状況を打開しようとココロみた防災教育の実践事例があります︒千葉県立市川工業高等学校は︑防災教育の草分け的存在です︒建築を学

ぶ高校生が︑地域の家屋を簡易耐震診断し︑安全性と危険性を住民に知らせ︑耐震化を勧めるとりくみをしてきました︒行政ではなく高校生による

提言であるため︑住民にも受け入れられたといいます︒ B ︑この実践が日本全国で行われたわけではなく︑残念ながら︑点としての存在にしか

なりませんでした︵もちろん︑光り輝く点ですが︶︒

   Ⅱ   

 ハードによる防災の二つ目の課題は︑想定に関わるものです︒

 東日本大震災以降︑爆発的に使われた言葉に﹁想定外﹂があります︒今回の地震・津波は︑貞観地震以来の一〇〇〇年に一回の規模だったため︑

堤防の建設などのハード面の備えができていなかったとか︑ハザードマップは明治三陸大津波︑昭和三陸大津波︑チリ津波の浸水地域を想定して作

られていたので︑今回のような想定をはるかに超えた大津波では役に立たなかった︑といった説明をよく聞きます︒想定されていなかったことが起

こったので︑守れなかったというわけです︒

 ハードによる防災は︑想定外の事態には極めて弱いのです︒

 そもそもハードの発想では︑災害の想定を前提とし︑その想定の範囲内の被害に対抗できるものを作ろうとします︒過去には︑行政の財政と照ら

し合わせて︑想定をあえて低く見積もってハードを建設するということもありました︒これでは︑想定外の災害を食い止めることができないのは当

然です︒

   Ⅲ   

 一方ソフトは︑ハードのような形や構造を持ちません︒決まった形を持たないので︑相手によってこちらの形を変えることも可能です︒地震なら

地震対応の防災訓練︑水害なら水害対応の避難訓練︑といった具合に︑ハザードによって︑こちらの訓練の内容を変えることもできます︒このよう

な訓練を繰り返し行っておくことが︑実際の災害時に役立ちます︒

 兵庫県神戸市にある県立盲学校︵当時の呼称︶は︑阪神・淡路大震災の前から避難訓練を何度も繰り返し行っていました︒平日は寄宿舎に泊まり

込む子どもたちもいたため︑宿泊勤務の職員と子どもたちが一緒になって夜間避難訓練も行っていました︒その体験の蓄積のおかげで︑大地震が発

生した早朝︑落ち着いて行動できたといいます︒地震発生時に寄宿舎にいた先生が︑﹁目が見えない子どもには︑昼も夜も同じだし︑テイデンして

も関係ないけど︑私たち教員が落ち着いて行動できた︒訓練は絶対繰り返してやっておくべきだ﹂と話していたのが印象に残っています︒

 東日本大震災では︑釜石東中学校の生徒が︑隣の鵜住居小学校の子どもたちと手に手を取って走って逃げました︒その姿を見て︑地域の人も避難

したそうです︒率先避難という言葉で有名になりました︒

 これらの事例は奇跡ではありません︒訓練の積み重ねが起こした事実です︒この訓練の積み重ねがソフトによる防災にあたります︒もちろん訓練

だけでなく︑防災教育の様々なとりくみのすべてが︑ソフトによる防災活動だと考えてください︒  神戸市役所に長年勤務し︑在勤中に阪神・淡路大震災を体験し︑その対応やその後の復旧・復興に尽力したある職員は︑このような話をしてくれ

ました︒彼は︑東日本大震災のある被災地で︑まちづくりの支援者として関わっている方です︒ ﹁一〇〇年に一回の津波はハードで抑え込むことができるが︑一〇〇〇年に一回の津波は無理だ︒避難というソフトで対応するしかない﹂

 また︑津波研究の第一人者である東北大学の今村文彦教授は﹃防災教育の展開︵シリーズ・防災を考える︶﹄︵東信堂︶の中で︑災害時の被害を小

さくし︑復旧・復興の過程での社会の回復力を向上させるためには︑ハード面での準備・知識だけではなくソフト面でのとりくみも必要であると指

摘しています︒そのソフトとは︑住民への適切な防災教育です︒今村氏は面白い表現でソフトとハードの関係をわかりやすく教えてくれています︒

要約してみましょう︒

 コップがあります︒そこに水を注ぎます︒水は津波︑コップは堤防です︒コップが水を受け止めるように︑堤防が津波を食い止めます︒コップ︑

つまり堤防というハードによる防災が行われているのです︒しかし︑水を注ぎ続けるといつかはコップから水があふれ出します︒津波が堤防を乗り

越えていくのです︒こぼれる水を別の器で受け止めるとしましょう︒その別の器がソフトです︒津波であれば︑避難という防災教育がソフトにあた

ります︒

 防災ではハードとソフトの両方が必要なのです︒ 

   Ⅳ   

 宮城県石巻西高校の自然科学部の生徒が面白いハードの実験をしています︒

 東日本大震災では津波が堤防を越えたり︑巨大な堤防を破壊したりしました︒生徒たちは︑どんな形状の堤防が津波の破壊力を抑えるのに有効

か︑津波の到達時間を少しでも遅らせ︑逃げる時間を稼ぐことができるかを︑模型を使った実験を繰り返して調べました︒津波によって堤防が破壊

され︑壊滅的な被害を受けた地域を目の当たりにして︑たとえ堤防を越えるような津波であっても︑避難の時間を稼ぎたいと考えたのです︒

 繰り返した実験の結果︑コの字型の堤防が一番強かったそうです︒逆に︑海岸でよく見かけるなだらかな斜面や腰を掛けて海をナガめるのに向い

ている階段状の堤防は︑津波が容易に駆け上がり︑すぐに越流してしまったそうです︒

 もし︑生徒たちが考案した形状の堤防が実際に自分たちのふるさとの堤防に採用されれば︑大きな社会貢献にもなり︑彼らの達成感は計り知れま

せん︒

 徳島県を流れる吉野川は︑日本三大暴れ川の一つです︒関東平野を貫く利根川︵坂東太郎︶︑九州の大河である筑後川︵筑後次郎︶とならんで︑

四国三郎の異名を持ち︑中央構造線の真上を西から東へ流れています︒︵三兄弟の順番については︑少し議論があるようです︒誰もがふるさとの川

や山を一番だと思いたいのでしょうね︶︒流域に住む住民は︑この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだようです︒古くから︑

源流地域への植林や︑石囲いで住居を囲んで水害から守ったり︑石垣を積み上げて住居をかさ上げしたりする工法で水害と共存する方法を選んでき

ました︒

 吉野川の堤防があえて低く造られていた理由は︑流域が藍の産地だからです︒藍は︑藍染めの染料につかわれる植物ですが︑一度栽培すると地力

がガクンと落ちます︒そこで︑年に一度︑吉野川の洪水を畑に導き︑肥沃な土砂が畑にたまるように仕向けたというのです︒あえてハードのレベル

を下げたのです︒

 一方︑家屋の軒先に船をつるしていつでも避難できるようにするなど︑水と共存する防災の知恵も発達しました︒これは素晴らしい防災のソフト

といえるでしょう︒

 吉野川という一本の流れをテーマにして︑歴史︑植林などの環境保全︑藍染め︑堤防や家屋の構造など︑様々な学習が可能です︒

 このように︑自然と社会︑ハードとソフトが見事に作用しあった防災を学ぶことは︑子どもたちの総合的な知識を育てます︒科目に細切れにされ

た知識ではなく︑理科も︑社会も他の科目も︑災害と生きる中ではつながっているという実感がわくのではないでしょうか︒

︵諏訪清二﹃防災教育の不思議な力 子ども・学校・地域を変える﹄による︶

 ※急務⁝すぐに対策が必要な課題   

 ※ハザード⁝危機︑危険 

 ※藍⁝タデ科の一年草︒藍染めの染料をとるため︑古くから各地で栽培されていた︒ 

 ※肥沃⁝土地が肥えていて︑農作物がよくできること︒

(4)

(3)

(4)

(1)

(2)

 次の文章を読んで︑後の問いに答えなさい︒

   Ⅰ   

 社会構造はハードとソフトに分けることができます︒ハードは堤防のような︑災害を封じ込める機能を持った構造物です︒地震多発国日本では︑

耐震・免震・制震機能を持った建物は重要なハードといえます︒

 ハードによる防災は二つの課題を持っています︒

 一つは︑莫大な金がかかるという問題です︒ダム︑堤防の建設は︑財政問題の中心課題として︑政治的論争を頻繁に引き起こしています︒

 建築物についていえば︑日本では厳しい耐震基準が採用されており︑耐震性に問題はないと考えていいでしょう︒もちろん︑セッケイから工事ま

でしっかりと監理されているというのが前提です︒これまで構造計算書の偽造や免震ゴムの性能偽造が社会問題となったことがあります︒コストよ

りも安全を最優先にしたシソウが︑災害大国には必要です︒

 一方︑戦後すぐに建てられた古い家屋が密集する地域では︑耐震化が急務であることはわかっていても︑なかなか進みません︒補助金制度がで

き︑行政が広報に力を入れても︑利用者がなかなか増えていかないのが現状です︒

 市街地の︑古い住宅地が密集する地域には︑その土地に長く住む人々︑つまり高齢者が暮らしています︒一〇〇年や一〇〇〇年に一回起こるか起

こらないかの地震に備えて大金をかけたくない︑ A 自分はもう歳だから︑無駄なお金は使いたくない︑というのが高齢者の本音でしょう︒

 こういう状況を打開しようとココロみた防災教育の実践事例があります︒千葉県立市川工業高等学校は︑防災教育の草分け的存在です︒建築を学

ぶ高校生が︑地域の家屋を簡易耐震診断し︑安全性と危険性を住民に知らせ︑耐震化を勧めるとりくみをしてきました︒行政ではなく高校生による

提言であるため︑住民にも受け入れられたといいます︒ B ︑この実践が日本全国で行われたわけではなく︑残念ながら︑点としての存在にしか

なりませんでした︵もちろん︑光り輝く点ですが︶︒

   Ⅱ   

 ハードによる防災の二つ目の課題は︑想定に関わるものです︒

 東日本大震災以降︑爆発的に使われた言葉に﹁想定外﹂があります︒今回の地震・津波は︑貞観地震以来の一〇〇〇年に一回の規模だったため︑

堤防の建設などのハード面の備えができていなかったとか︑ハザードマップは明治三陸大津波︑昭和三陸大津波︑チリ津波の浸水地域を想定して作

られていたので︑今回のような想定をはるかに超えた大津波では役に立たなかった︑といった説明をよく聞きます︒想定されていなかったことが起

こったので︑守れなかったというわけです︒

 ハードによる防災は︑想定外の事態には極めて弱いのです︒

 そもそもハードの発想では︑災害の想定を前提とし︑その想定の範囲内の被害に対抗できるものを作ろうとします︒過去には︑行政の財政と照ら

し合わせて︑想定をあえて低く見積もってハードを建設するということもありました︒これでは︑想定外の災害を食い止めることができないのは当

然です︒

   Ⅲ   

 一方ソフトは︑ハードのような形や構造を持ちません︒決まった形を持たないので︑相手によってこちらの形を変えることも可能です︒地震なら

地震対応の防災訓練︑水害なら水害対応の避難訓練︑といった具合に︑ハザードによって︑こちらの訓練の内容を変えることもできます︒このよう

な訓練を繰り返し行っておくことが︑実際の災害時に役立ちます︒

 兵庫県神戸市にある県立盲学校︵当時の呼称︶は︑阪神・淡路大震災の前から避難訓練を何度も繰り返し行っていました︒平日は寄宿舎に泊まり

込む子どもたちもいたため︑宿泊勤務の職員と子どもたちが一緒になって夜間避難訓練も行っていました︒その体験の蓄積のおかげで︑大地震が発

生した早朝︑落ち着いて行動できたといいます︒地震発生時に寄宿舎にいた先生が︑﹁目が見えない子どもには︑昼も夜も同じだし︑テイデンして

も関係ないけど︑私たち教員が落ち着いて行動できた︒訓練は絶対繰り返してやっておくべきだ﹂と話していたのが印象に残っています︒

 東日本大震災では︑釜石東中学校の生徒が︑隣の鵜住居小学校の子どもたちと手に手を取って走って逃げました︒その姿を見て︑地域の人も避難

したそうです︒率先避難という言葉で有名になりました︒

 これらの事例は奇跡ではありません︒訓練の積み重ねが起こした事実です︒この訓練の積み重ねがソフトによる防災にあたります︒もちろん訓練

だけでなく︑防災教育の様々なとりくみのすべてが︑ソフトによる防災活動だと考えてください︒  神戸市役所に長年勤務し︑在勤中に阪神・淡路大震災を体験し︑その対応やその後の復旧・復興に尽力したある職員は︑このような話をしてくれ

ました︒彼は︑東日本大震災のある被災地で︑まちづくりの支援者として関わっている方です︒ ﹁一〇〇年に一回の津波はハードで抑え込むことができるが︑一〇〇〇年に一回の津波は無理だ︒避難というソフトで対応するしかない﹂

 また︑津波研究の第一人者である東北大学の今村文彦教授は﹃防災教育の展開︵シリーズ・防災を考える︶﹄︵東信堂︶の中で︑災害時の被害を小

さくし︑復旧・復興の過程での社会の回復力を向上させるためには︑ハード面での準備・知識だけではなくソフト面でのとりくみも必要であると指

摘しています︒そのソフトとは︑住民への適切な防災教育です︒今村氏は面白い表現でソフトとハードの関係をわかりやすく教えてくれています︒

要約してみましょう︒

 コップがあります︒そこに水を注ぎます︒水は津波︑コップは堤防です︒コップが水を受け止めるように︑堤防が津波を食い止めます︒コップ︑

つまり堤防というハードによる防災が行われているのです︒しかし︑水を注ぎ続けるといつかはコップから水があふれ出します︒津波が堤防を乗り

越えていくのです︒こぼれる水を別の器で受け止めるとしましょう︒その別の器がソフトです︒津波であれば︑避難という防災教育がソフトにあた

ります︒

 防災ではハードとソフトの両方が必要なのです︒ 

   Ⅳ   

 宮城県石巻西高校の自然科学部の生徒が面白いハードの実験をしています︒

 東日本大震災では津波が堤防を越えたり︑巨大な堤防を破壊したりしました︒生徒たちは︑どんな形状の堤防が津波の破壊力を抑えるのに有効

か︑津波の到達時間を少しでも遅らせ︑逃げる時間を稼ぐことができるかを︑模型を使った実験を繰り返して調べました︒津波によって堤防が破壊

され︑壊滅的な被害を受けた地域を目の当たりにして︑たとえ堤防を越えるような津波であっても︑避難の時間を稼ぎたいと考えたのです︒

 繰り返した実験の結果︑コの字型の堤防が一番強かったそうです︒逆に︑海岸でよく見かけるなだらかな斜面や腰を掛けて海をナガめるのに向い

ている階段状の堤防は︑津波が容易に駆け上がり︑すぐに越流してしまったそうです︒

 もし︑生徒たちが考案した形状の堤防が実際に自分たちのふるさとの堤防に採用されれば︑大きな社会貢献にもなり︑彼らの達成感は計り知れま

せん︒

 徳島県を流れる吉野川は︑日本三大暴れ川の一つです︒関東平野を貫く利根川︵坂東太郎︶︑九州の大河である筑後川︵筑後次郎︶とならんで︑

四国三郎の異名を持ち︑中央構造線の真上を西から東へ流れています︒︵三兄弟の順番については︑少し議論があるようです︒誰もがふるさとの川

や山を一番だと思いたいのでしょうね︶︒流域に住む住民は︑この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだようです︒古くから︑

源流地域への植林や︑石囲いで住居を囲んで水害から守ったり︑石垣を積み上げて住居をかさ上げしたりする工法で水害と共存する方法を選んでき

ました︒

 吉野川の堤防があえて低く造られていた理由は︑流域が藍の産地だからです︒藍は︑藍染めの染料につかわれる植物ですが︑一度栽培すると地力

がガクンと落ちます︒そこで︑年に一度︑吉野川の洪水を畑に導き︑肥沃な土砂が畑にたまるように仕向けたというのです︒あえてハードのレベル

を下げたのです︒

 一方︑家屋の軒先に船をつるしていつでも避難できるようにするなど︑水と共存する防災の知恵も発達しました︒これは素晴らしい防災のソフト

といえるでしょう︒

 吉野川という一本の流れをテーマにして︑歴史︑植林などの環境保全︑藍染め︑堤防や家屋の構造など︑様々な学習が可能です︒

 このように︑自然と社会︑ハードとソフトが見事に作用しあった防災を学ぶことは︑子どもたちの総合的な知識を育てます︒科目に細切れにされ

た知識ではなく︑理科も︑社会も他の科目も︑災害と生きる中ではつながっているという実感がわくのではないでしょうか︒

︵諏訪清二﹃防災教育の不思議な力 子ども・学校・地域を変える﹄による︶

 ※急務⁝すぐに対策が必要な課題   

 ※ハザード⁝危機︑危険 

 ※藍⁝タデ科の一年草︒藍染めの染料をとるため︑古くから各地で栽培されていた︒ 

 ※肥沃⁝土地が肥えていて︑農作物がよくできること︒

(5)

(3)

(4)

(1)

(2)

 次の文章を読んで︑後の問いに答えなさい︒

   Ⅰ   

 社会構造はハードとソフトに分けることができます︒ハードは堤防のような︑災害を封じ込める機能を持った構造物です︒地震多発国日本では︑

耐震・免震・制震機能を持った建物は重要なハードといえます︒

 ハードによる防災は二つの課題を持っています︒

 一つは︑莫大な金がかかるという問題です︒ダム︑堤防の建設は︑財政問題の中心課題として︑政治的論争を頻繁に引き起こしています︒

 建築物についていえば︑日本では厳しい耐震基準が採用されており︑耐震性に問題はないと考えていいでしょう︒もちろん︑セッケイから工事ま

でしっかりと監理されているというのが前提です︒これまで構造計算書の偽造や免震ゴムの性能偽造が社会問題となったことがあります︒コストよ

りも安全を最優先にしたシソウが︑災害大国には必要です︒

 一方︑戦後すぐに建てられた古い家屋が密集する地域では︑耐震化が急務であることはわかっていても︑なかなか進みません︒補助金制度がで

き︑行政が広報に力を入れても︑利用者がなかなか増えていかないのが現状です︒

 市街地の︑古い住宅地が密集する地域には︑その土地に長く住む人々︑つまり高齢者が暮らしています︒一〇〇年や一〇〇〇年に一回起こるか起

こらないかの地震に備えて大金をかけたくない︑ A 自分はもう歳だから︑無駄なお金は使いたくない︑というのが高齢者の本音でしょう︒

 こういう状況を打開しようとココロみた防災教育の実践事例があります︒千葉県立市川工業高等学校は︑防災教育の草分け的存在です︒建築を学

ぶ高校生が︑地域の家屋を簡易耐震診断し︑安全性と危険性を住民に知らせ︑耐震化を勧めるとりくみをしてきました︒行政ではなく高校生による

提言であるため︑住民にも受け入れられたといいます︒ B ︑この実践が日本全国で行われたわけではなく︑残念ながら︑点としての存在にしか

なりませんでした︵もちろん︑光り輝く点ですが︶︒

   Ⅱ   

 ハードによる防災の二つ目の課題は︑想定に関わるものです︒

 東日本大震災以降︑爆発的に使われた言葉に﹁想定外﹂があります︒今回の地震・津波は︑貞観地震以来の一〇〇〇年に一回の規模だったため︑

堤防の建設などのハード面の備えができていなかったとか︑ハザードマップは明治三陸大津波︑昭和三陸大津波︑チリ津波の浸水地域を想定して作

られていたので︑今回のような想定をはるかに超えた大津波では役に立たなかった︑といった説明をよく聞きます︒想定されていなかったことが起

こったので︑守れなかったというわけです︒

 ハードによる防災は︑想定外の事態には極めて弱いのです︒

 そもそもハードの発想では︑災害の想定を前提とし︑その想定の範囲内の被害に対抗できるものを作ろうとします︒過去には︑行政の財政と照ら

し合わせて︑想定をあえて低く見積もってハードを建設するということもありました︒これでは︑想定外の災害を食い止めることができないのは当

然です︒

   Ⅲ   

 一方ソフトは︑ハードのような形や構造を持ちません︒決まった形を持たないので︑相手によってこちらの形を変えることも可能です︒地震なら

地震対応の防災訓練︑水害なら水害対応の避難訓練︑といった具合に︑ハザードによって︑こちらの訓練の内容を変えることもできます︒このよう

な訓練を繰り返し行っておくことが︑実際の災害時に役立ちます︒

 兵庫県神戸市にある県立盲学校︵当時の呼称︶は︑阪神・淡路大震災の前から避難訓練を何度も繰り返し行っていました︒平日は寄宿舎に泊まり

込む子どもたちもいたため︑宿泊勤務の職員と子どもたちが一緒になって夜間避難訓練も行っていました︒その体験の蓄積のおかげで︑大地震が発

生した早朝︑落ち着いて行動できたといいます︒地震発生時に寄宿舎にいた先生が︑﹁目が見えない子どもには︑昼も夜も同じだし︑テイデンして

も関係ないけど︑私たち教員が落ち着いて行動できた︒訓練は絶対繰り返してやっておくべきだ﹂と話していたのが印象に残っています︒

 東日本大震災では︑釜石東中学校の生徒が︑隣の鵜住居小学校の子どもたちと手に手を取って走って逃げました︒その姿を見て︑地域の人も避難

したそうです︒率先避難という言葉で有名になりました︒

 これらの事例は奇跡ではありません︒訓練の積み重ねが起こした事実です︒この訓練の積み重ねがソフトによる防災にあたります︒もちろん訓練

だけでなく︑防災教育の様々なとりくみのすべてが︑ソフトによる防災活動だと考えてください︒  神戸市役所に長年勤務し︑在勤中に阪神・淡路大震災を体験し︑その対応やその後の復旧・復興に尽力したある職員は︑このような話をしてくれ

ました︒彼は︑東日本大震災のある被災地で︑まちづくりの支援者として関わっている方です︒ ﹁一〇〇年に一回の津波はハードで抑え込むことができるが︑一〇〇〇年に一回の津波は無理だ︒避難というソフトで対応するしかない﹂

 また︑津波研究の第一人者である東北大学の今村文彦教授は﹃防災教育の展開︵シリーズ・防災を考える︶﹄︵東信堂︶の中で︑災害時の被害を小

さくし︑復旧・復興の過程での社会の回復力を向上させるためには︑ハード面での準備・知識だけではなくソフト面でのとりくみも必要であると指

摘しています︒そのソフトとは︑住民への適切な防災教育です︒今村氏は面白い表現でソフトとハードの関係をわかりやすく教えてくれています︒

要約してみましょう︒

 コップがあります︒そこに水を注ぎます︒水は津波︑コップは堤防です︒コップが水を受け止めるように︑堤防が津波を食い止めます︒コップ︑

つまり堤防というハードによる防災が行われているのです︒しかし︑水を注ぎ続けるといつかはコップから水があふれ出します︒津波が堤防を乗り

越えていくのです︒こぼれる水を別の器で受け止めるとしましょう︒その別の器がソフトです︒津波であれば︑避難という防災教育がソフトにあた

ります︒

 防災ではハードとソフトの両方が必要なのです︒ 

   Ⅳ   

 宮城県石巻西高校の自然科学部の生徒が面白いハードの実験をしています︒

 東日本大震災では津波が堤防を越えたり︑巨大な堤防を破壊したりしました︒生徒たちは︑どんな形状の堤防が津波の破壊力を抑えるのに有効

か︑津波の到達時間を少しでも遅らせ︑逃げる時間を稼ぐことができるかを︑模型を使った実験を繰り返して調べました︒津波によって堤防が破壊

され︑壊滅的な被害を受けた地域を目の当たりにして︑たとえ堤防を越えるような津波であっても︑避難の時間を稼ぎたいと考えたのです︒

 繰り返した実験の結果︑コの字型の堤防が一番強かったそうです︒逆に︑海岸でよく見かけるなだらかな斜面や腰を掛けて海をナガめるのに向い

ている階段状の堤防は︑津波が容易に駆け上がり︑すぐに越流してしまったそうです︒

 もし︑生徒たちが考案した形状の堤防が実際に自分たちのふるさとの堤防に採用されれば︑大きな社会貢献にもなり︑彼らの達成感は計り知れま

せん︒

 徳島県を流れる吉野川は︑日本三大暴れ川の一つです︒関東平野を貫く利根川︵坂東太郎︶︑九州の大河である筑後川︵筑後次郎︶とならんで︑

四国三郎の異名を持ち︑中央構造線の真上を西から東へ流れています︒︵三兄弟の順番については︑少し議論があるようです︒誰もがふるさとの川

や山を一番だと思いたいのでしょうね︶︒流域に住む住民は︑この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだようです︒古くから︑

源流地域への植林や︑石囲いで住居を囲んで水害から守ったり︑石垣を積み上げて住居をかさ上げしたりする工法で水害と共存する方法を選んでき

ました︒

 吉野川の堤防があえて低く造られていた理由は︑流域が藍の産地だからです︒藍は︑藍染めの染料につかわれる植物ですが︑一度栽培すると地力

がガクンと落ちます︒そこで︑年に一度︑吉野川の洪水を畑に導き︑肥沃な土砂が畑にたまるように仕向けたというのです︒あえてハードのレベル

を下げたのです︒

 一方︑家屋の軒先に船をつるしていつでも避難できるようにするなど︑水と共存する防災の知恵も発達しました︒これは素晴らしい防災のソフト

といえるでしょう︒

 吉野川という一本の流れをテーマにして︑歴史︑植林などの環境保全︑藍染め︑堤防や家屋の構造など︑様々な学習が可能です︒

 このように︑自然と社会︑ハードとソフトが見事に作用しあった防災を学ぶことは︑子どもたちの総合的な知識を育てます︒科目に細切れにされ

た知識ではなく︑理科も︑社会も他の科目も︑災害と生きる中ではつながっているという実感がわくのではないでしょうか︒

︵諏訪清二﹃防災教育の不思議な力 子ども・学校・地域を変える﹄による︶

 ※急務⁝すぐに対策が必要な課題   

 ※ハザード⁝危機︑危険 

 ※藍⁝タデ科の一年草︒藍染めの染料をとるため︑古くから各地で栽培されていた︒ 

 ※肥沃⁝土地が肥えていて︑農作物がよくできること︒

(6)

︵生徒会長︶  私たちができる防災は︑﹁ソフトによる防災﹂ですね︒今年も二学期に避難訓練が行われます︒これまでの反省をもとに生徒

会としても取り組みをしようと考えています︒

︵生徒会副会長︶毎年︑真剣に取り組んでいない生徒や﹁おかしも﹂を守っていない生徒がいることを考えると︑事前事後の学習が必要だと

思います︒

︵書記︶    私は自宅など学校外の場所からの避難についても確認しておいたほうがいいと思います︒小学校では︑家庭での避難場所・避

難経路の確認をするためのワークシートなどが配布されているそうですよ︒

︵生徒会顧問︶ そうなんですね︒わたしもいくつか資料を探す中で︑広島県公式ホームページにある﹁平成三〇年七月豪雨に関する県民の避

難行動の調査﹂という資料を見つけ︑プリントアウトして持ってきました︒その調査では︑災害時に他者の動向や避難を呼び

かけられることによって避難行動が促されることが判明したとして︑﹁自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりマニュア

ル﹂の中で自主防災組織による避難を呼びかける体制づくりの重要性についても触れられています︒

︵生徒会長︶  それでは事前学習として︑生徒会から防災や災害避難をテーマとした通信を発行してはどうでしょうか?

︵書記︶    いいですね! 加えて︑インフルエンザやコロナウイルスなどの感染防止対策も必要ですよね︒

︵生徒会副会長︶わかりました! 災害避難における感染防止対策も含めて通信を作ります︒

  ※おかしも⁝避難時に注意すべき四点︑﹁押さない﹂﹁駆けない﹂﹁しゃべらない﹂﹁戻らない﹂の頭文字 問一 二重傍線部a〜eのカタカナを漢字に直しなさい︒︵楷書で大きくていねいに書くこと︶

問二 傍線部②﹁建設﹂︑⑤﹁容易﹂︑⑦﹁総合﹂の対義語を次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒

   ② 建設  ア 創造  イ 破壊  ウ 過疎  エ 構築

   ⑤ 容易  ア 困難  イ 変更  ウ 共感  エ 簡易

   ⑦ 総合  ア 詳細  イ 分析  ウ 全体  エ 状況

問三  A ・ B に入る語句の組み合わせとして適当なものを︑次の中から選び︑記号で答えなさい︒

   ア A しかし ・ B なぜなら   イ A しかも ・ B そして

   ウ A しかし ・ B そして    エ A しかも ・ B しかし

問四   Ⅰ  〜  Ⅳ  にはその章の小見出しが入ります︒適当なものを次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒

   ア ハードをカバーするソフト   イ ハードとソフトの融合   ウ ハードによる防災   エ ハードと﹁想定外﹂

問五 傍線部①﹁なかなか進みません﹂とありますが︑その理由を次の中から選び︑記号で答えなさい︒

   ア 地域住民の多くは災害に対して危機感を持つことができないから︒

   イ お金がかかることに対し︑住民の理解を得ることが難しいから︒

   ウ 高齢者の多くが︑耐震化による防災は不可能だと考えているから︒

   エ 古い住宅地が密集する地域の住民まで広報が行き届いていないから︒

問六 傍線部③﹁ソフトによる防災﹂とありますが︑それを説明している次の文の  1  ︑  2  に入る語句を︑指定された字数に合わせ

て本文中から抜き出しなさい︒

   形や構造を持たず︑実際の災害に合わせてやりかたを 1︵三字︶ ことができる災害対策のことをいい︑具体的には防災・避難訓練や防

災 2︵二字︶ などがある︒

問七 傍線部④﹁防災ではハードとソフトの両方が必要なのです﹂とありますが︑その理由として適当なものを次の中から選び︑記号で答えな

さい︒

   ア ハードによる防災には災害後の社会の復興を想定した整備ができていないという弱点があり︑それを補うためにも世代を超えた防災教育

によって人々の意識を変えていく必要があるから︒

   イ 現在の日本のハード面はあえて想定より低く見積もった設備になっており︑想定外の災害やその後の復興に対応するためにもソフトな面

を重視した新しい防災設備や社会構造が必要だから︒

   ウ 設備の準備や構造といったハード面の整備だけでは想定外の災害にまったく対応できないことが明らかになり︑災害そのものに対応する

よりも防災教育が必要であることが判明したから︒

   エ 想定外の災害に対しては︑ハードによる防災に加え︑教育や防災訓練などのソフトによって防災への取り組みを行う必要があり︑また︑

それが災害後の社会の回復力の向上力につながっていくから︒

問八 傍線部⑥﹁この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだ﹂とありますが︑住民が﹁共存する道を選んだ﹂理由を本文中の語

句を用いて︑四十字以上五十字以内で説明しなさい︒

(5)

(6)

(7)

(8)

問九 ある高校の生徒会執行部のメンバーがこの文章を読んだ後︑避難訓練について話し合いをしています︒この会話と︻資料︼を読んで︑後の問

いに答えなさい︒

【資料】「自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりマニュアル 2.避難の呼びかけの重要性」

(7)

︵生徒会長︶  私たちができる防災は︑﹁ソフトによる防災﹂ですね︒今年も二学期に避難訓練が行われます︒これまでの反省をもとに生徒

会としても取り組みをしようと考えています︒

︵生徒会副会長︶毎年︑真剣に取り組んでいない生徒や﹁おかしも﹂を守っていない生徒がいることを考えると︑事前事後の学習が必要だと

思います︒

︵書記︶    私は自宅など学校外の場所からの避難についても確認しておいたほうがいいと思います︒小学校では︑家庭での避難場所・避

難経路の確認をするためのワークシートなどが配布されているそうですよ︒

︵生徒会顧問︶ そうなんですね︒わたしもいくつか資料を探す中で︑広島県公式ホームページにある﹁平成三〇年七月豪雨に関する県民の避

難行動の調査﹂という資料を見つけ︑プリントアウトして持ってきました︒その調査では︑災害時に他者の動向や避難を呼び

かけられることによって避難行動が促されることが判明したとして︑﹁自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりマニュア

ル﹂の中で自主防災組織による避難を呼びかける体制づくりの重要性についても触れられています︒

︵生徒会長︶  それでは事前学習として︑生徒会から防災や災害避難をテーマとした通信を発行してはどうでしょうか?

︵書記︶    いいですね! 加えて︑インフルエンザやコロナウイルスなどの感染防止対策も必要ですよね︒

︵生徒会副会長︶わかりました! 災害避難における感染防止対策も含めて通信を作ります︒

  ※おかしも⁝避難時に注意すべき四点︑﹁押さない﹂﹁駆けない﹂﹁しゃべらない﹂﹁戻らない﹂の頭文字 問一 二重傍線部a〜eのカタカナを漢字に直しなさい︒︵楷書で大きくていねいに書くこと︶

問二 傍線部②﹁建設﹂︑⑤﹁容易﹂︑⑦﹁総合﹂の対義語を次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒

   ② 建設  ア 創造  イ 破壊  ウ 過疎  エ 構築

   ⑤ 容易  ア 困難  イ 変更  ウ 共感  エ 簡易

   ⑦ 総合  ア 詳細  イ 分析  ウ 全体  エ 状況

問三  A ・ B に入る語句の組み合わせとして適当なものを︑次の中から選び︑記号で答えなさい︒

   ア A しかし ・ B なぜなら   イ A しかも ・ B そして

   ウ A しかし ・ B そして    エ A しかも ・ B しかし

問四   Ⅰ  〜  Ⅳ  にはその章の小見出しが入ります︒適当なものを次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒

   ア ハードをカバーするソフト   イ ハードとソフトの融合   ウ ハードによる防災   エ ハードと﹁想定外﹂

問五 傍線部①﹁なかなか進みません﹂とありますが︑その理由を次の中から選び︑記号で答えなさい︒

   ア 地域住民の多くは災害に対して危機感を持つことができないから︒

   イ お金がかかることに対し︑住民の理解を得ることが難しいから︒

   ウ 高齢者の多くが︑耐震化による防災は不可能だと考えているから︒

   エ 古い住宅地が密集する地域の住民まで広報が行き届いていないから︒

問六 傍線部③﹁ソフトによる防災﹂とありますが︑それを説明している次の文の  1  ︑  2  に入る語句を︑指定された字数に合わせ

て本文中から抜き出しなさい︒

   形や構造を持たず︑実際の災害に合わせてやりかたを 1︵三字︶ ことができる災害対策のことをいい︑具体的には防災・避難訓練や防

災 2︵二字︶ などがある︒

問七 傍線部④﹁防災ではハードとソフトの両方が必要なのです﹂とありますが︑その理由として適当なものを次の中から選び︑記号で答えな

さい︒

   ア ハードによる防災には災害後の社会の復興を想定した整備ができていないという弱点があり︑それを補うためにも世代を超えた防災教育

によって人々の意識を変えていく必要があるから︒

   イ 現在の日本のハード面はあえて想定より低く見積もった設備になっており︑想定外の災害やその後の復興に対応するためにもソフトな面

を重視した新しい防災設備や社会構造が必要だから︒

   ウ 設備の準備や構造といったハード面の整備だけでは想定外の災害にまったく対応できないことが明らかになり︑災害そのものに対応する

よりも防災教育が必要であることが判明したから︒

   エ 想定外の災害に対しては︑ハードによる防災に加え︑教育や防災訓練などのソフトによって防災への取り組みを行う必要があり︑また︑

それが災害後の社会の回復力の向上力につながっていくから︒

問八 傍線部⑥﹁この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだ﹂とありますが︑住民が﹁共存する道を選んだ﹂理由を本文中の語

句を用いて︑四十字以上五十字以内で説明しなさい︒

(5)

(6)

(7)

(8)

問九 ある高校の生徒会執行部のメンバーがこの文章を読んだ後︑避難訓練について話し合いをしています︒この会話と︻資料︼を読んで︑後の問

いに答えなさい︒

【資料】「自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりマニュアル 2.避難の呼びかけの重要性」

(8)

︵生徒会長︶  私たちができる防災は︑﹁ソフトによる防災﹂ですね︒今年も二学期に避難訓練が行われます︒これまでの反省をもとに生徒

会としても取り組みをしようと考えています︒

︵生徒会副会長︶毎年︑真剣に取り組んでいない生徒や﹁おかしも﹂を守っていない生徒がいることを考えると︑事前事後の学習が必要だと

思います︒

︵書記︶    私は自宅など学校外の場所からの避難についても確認しておいたほうがいいと思います︒小学校では︑家庭での避難場所・避

難経路の確認をするためのワークシートなどが配布されているそうですよ︒

︵生徒会顧問︶ そうなんですね︒わたしもいくつか資料を探す中で︑広島県公式ホームページにある﹁平成三〇年七月豪雨に関する県民の避

難行動の調査﹂という資料を見つけ︑プリントアウトして持ってきました︒その調査では︑災害時に他者の動向や避難を呼び

かけられることによって避難行動が促されることが判明したとして︑﹁自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりマニュア

ル﹂の中で自主防災組織による避難を呼びかける体制づくりの重要性についても触れられています︒

︵生徒会長︶  それでは事前学習として︑生徒会から防災や災害避難をテーマとした通信を発行してはどうでしょうか?

︵書記︶    いいですね! 加えて︑インフルエンザやコロナウイルスなどの感染防止対策も必要ですよね︒

︵生徒会副会長︶わかりました! 災害避難における感染防止対策も含めて通信を作ります︒

  ※おかしも⁝避難時に注意すべき四点︑﹁押さない﹂﹁駆けない﹂﹁しゃべらない﹂﹁戻らない﹂の頭文字 問一 二重傍線部a〜eのカタカナを漢字に直しなさい︒︵楷書で大きくていねいに書くこと︶

問二 傍線部②﹁建設﹂︑⑤﹁容易﹂︑⑦﹁総合﹂の対義語を次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒

   ② 建設  ア 創造  イ 破壊  ウ 過疎  エ 構築

   ⑤ 容易  ア 困難  イ 変更  ウ 共感  エ 簡易

   ⑦ 総合  ア 詳細  イ 分析  ウ 全体  エ 状況

問三  A ・ B に入る語句の組み合わせとして適当なものを︑次の中から選び︑記号で答えなさい︒

   ア A しかし ・ B なぜなら   イ A しかも ・ B そして

   ウ A しかし ・ B そして    エ A しかも ・ B しかし

問四   Ⅰ  〜  Ⅳ  にはその章の小見出しが入ります︒適当なものを次の中からそれぞれ選び︑記号で答えなさい︒

   ア ハードをカバーするソフト   イ ハードとソフトの融合   ウ ハードによる防災   エ ハードと﹁想定外﹂

問五 傍線部①﹁なかなか進みません﹂とありますが︑その理由を次の中から選び︑記号で答えなさい︒

   ア 地域住民の多くは災害に対して危機感を持つことができないから︒

   イ お金がかかることに対し︑住民の理解を得ることが難しいから︒

   ウ 高齢者の多くが︑耐震化による防災は不可能だと考えているから︒

   エ 古い住宅地が密集する地域の住民まで広報が行き届いていないから︒

問六 傍線部③﹁ソフトによる防災﹂とありますが︑それを説明している次の文の  1  ︑  2  に入る語句を︑指定された字数に合わせ

て本文中から抜き出しなさい︒

   形や構造を持たず︑実際の災害に合わせてやりかたを 1︵三字︶ ことができる災害対策のことをいい︑具体的には防災・避難訓練や防

災 2︵二字︶ などがある︒

問七 傍線部④﹁防災ではハードとソフトの両方が必要なのです﹂とありますが︑その理由として適当なものを次の中から選び︑記号で答えな

さい︒

   ア ハードによる防災には災害後の社会の復興を想定した整備ができていないという弱点があり︑それを補うためにも世代を超えた防災教育

によって人々の意識を変えていく必要があるから︒

   イ 現在の日本のハード面はあえて想定より低く見積もった設備になっており︑想定外の災害やその後の復興に対応するためにもソフトな面

を重視した新しい防災設備や社会構造が必要だから︒

   ウ 設備の準備や構造といったハード面の整備だけでは想定外の災害にまったく対応できないことが明らかになり︑災害そのものに対応する

よりも防災教育が必要であることが判明したから︒

   エ 想定外の災害に対しては︑ハードによる防災に加え︑教育や防災訓練などのソフトによって防災への取り組みを行う必要があり︑また︑

それが災害後の社会の回復力の向上力につながっていくから︒

問八 傍線部⑥﹁この川を高い堤防で抑え込むことをせず︑共存する道を選んだ﹂とありますが︑住民が﹁共存する道を選んだ﹂理由を本文中の語

句を用いて︑四十字以上五十字以内で説明しなさい︒

(5)

(6)

(7)

(8)

問九 ある高校の生徒会執行部のメンバーがこの文章を読んだ後︑避難訓練について話し合いをしています︒この会話と︻資料︼を読んで︑後の問

いに答えなさい︒

【資料】「自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりマニュアル 2.避難の呼びかけの重要性」

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