5.1 曲線のパラメーター表示 ( 解答 )
点Pの座標が変数tの連続関数になっているとする. tの変化とともにPは空間曲 線を描く. Pの位置ベクトルをr = (x, y, z)とすれば
r(t) = (x(t), y(t), z(t)) =x(t)ex+y(t)ey+z(t)ez
である. これを曲線のパラメーターtによる表示と呼ぶ. tがa≤t≤bの範囲を変 化する時,t =aに対応するPの座標を始点,t=bに対応する座標を終点と呼ぶ.
曲線上の各点の接線ベクトルr0(t)は r0(t) = dr(t)
dt = lim
∆t→0
r(t+ ∆t)−r(t)
∆t で与えられる. この式は以下のようにも書ける
dr =dxex+dyey+dzez =
Ãdx
dtex+dy
dtey +dz dtez
!
dt drは線素ベクトルと呼ばれる.
tが微少量変化する時の線素(点Pの移動距離)dsは
ds =√
dr·dr =
vu ut
Ãdx dt
!2
+
Ãdy dt
!2
+
Ãdz dt
!2
dt=|r0(t)|dt
で与えられる. これを始点から終点まで積分すると曲線全体の長さsが得られる.
s=
Z s 0
ds =
Z b a
vu ut
Ãdx dt
!2
+
Ãdy dt
!2
+
Ãdz dt
!2
dt
以下具体例を考えよう. 曲線r(t) = pcostex+psintey +qtez (p, q は実定数)に ついて,以下の問いに答えよ
(1) この曲線の概形を図示せよ.
解答:
半径p,z軸方向に右周りで進む螺旋を描く.
(2) 点(p,0,0)における接線ベクトルと,接線の方程式を求めよ.
解答:
ベクトルr(t)のtに関する微分は r0(t) = dr(t)
dt
= −psintex+pcostey +qez.
点(p, 0, 0)ではt= 0なので,接ベクトルは
r0(t= 0) =pey +qez. これより接線の式は
r =
p 0 0
+
0 p q
s ここでsは任意のパラメータである. または
x= 1, py−qz = 0.
(3) この曲線上の任意の点における接線はz軸と定角をなすことを示せ.
解答:
接ベクトルr0(t)とz軸とのなす角θの余弦は,内積を利用して cosθ = r0(t)·ez
|r0(t)||ez| と表される.
r0(t)·ez =q, |r0(t)|=qp2+q2, |ez|= 1 より
cosθ= q
√p2+q2.
これは定数なので,r0(t)とz軸とのなす角は一定である.
(4) 0≤t≤2πのとき,曲線の長さを求めよ.
解答:
s =
Z 2π 0
vu ut
Ãdx dt
!2
+
Ãdy dt
!2
+
Ãdz dt
!2
dt
=
Z 2π 0
q
p2+q2
= 2πqp2+q2.
5.2 曲面のパラメーター表示 ( 解答 )
点 Pの位置ベクトルr = (x, y, z)が2変数u, v の連続関数である時,u, v の変化 とともにPは曲面を描く. これを曲面のパラメーターu, v による表示と言う. これ を成分で書き下すと
r =r(u, v) = x(u, v)ex+y(u, v)ey+z(u, v)ez となる.
このときvを固定してuを動かすとr(u, v)は1つの曲線を描く. これをu-曲線 と いう. 同様にuを固定してv を動かして得られる曲線をv-曲線という. u, v-曲線の 接線ベクトルru,rv はそれぞれru = ∂r(u, v)
∂u ,rv = ∂r(u, v)
∂v で与えられる. この とき以下の問いに答えよ.
(1) S上の各点においてSに垂直なベクトルを法線ベクトルと呼ぶ. ru×rvが点 P(u, v)における法線ベクトルであることを示せ.
解答:
P(u, v)の描く曲面の接平面上にある任意のベクトルは
r =tru+srs
と表される. これとru×rv との内積を考えると,ru×rv はru,rv と直交す るベクトルなので,
(ru×rv)×(tru +srs) = 0.
よって,ru×rv は接平面に垂直なベクトル,すなわち法線ベクトルである.
(2) 近接した2本のu-曲線と近接した2本のv-曲線,計4本の曲線で囲まれた 四辺形状の部分を考える. P0=P(u, v),P1=P(u, v+ ∆v),P2=P(u+ ∆u, v)と すれば,この部分はベクトル −−→P0P1 と −−→P0P2 の作る平行四辺形で近似される.
この部分の面積を∆S とおくと,
∆S ≈ |(ru ×rv)∆u∆v| と近似できることを示せ.
解答:
ベクトル −−→P0P1 と−−→P0P2 のなす角をθとすると,−−→P0P1 と −−→P0P2 の作る平行四辺 形の面積∆S は,
∆S=¯¯¯−−→P0P1¯¯¯¯¯¯−−→P0P2¯¯¯sinθ
と近似される.
−−→P0P1 = ∂r
∂vdv=rvdv, −−→P0P2 = ∂r
∂udu=rudu より,
∆S = |rv| |ru|dudvsinθ
= |(ru×rv)dudv|
5.3 一般化座標 ( 解答 )
座標r を直交直線座標(x, y, z)に代わる3つの変数(u, v, w)で表す場合を考える.
u, v, w はともにx, y, z の関数である. 例えば円筒座標では変数として(r, φ, z)を用 い,それぞれx, y, z と次の関係にある.
r=
q
x2+y2, φ= arctan
µy x
¶
, z =z 球座標(r, θ, φ)では
r =qx2+y2+z2, θ = arccos
à z
√x2+y2+z2
!
, φ= arctan
µy x
¶
である.
(1) 直交直線座標と円筒座標の幾何学的関係を図示し,(x, y, z) を(r, φ, z)を用 いて表せ.
解答:
x = rcosφ, y = rsinφ, z = z
(2) 直交直線座標と球座標の幾何学的関係を図示し,(x, y, z)を(r, θ, φ)を用い て表せ.
解答:
x = rsinθcosφ, y = rsinθsinφ, z = rcosφ
u曲線とは,v, wを固定してuを変化させた時に座標rが描く軌跡のことを言う.
その接ベクトルruは次式で与えられる
ru = ∂ x
∂uex+ ∂ y
∂uey+ ∂ z
∂uez
v, w曲線およびその接ベクトルrv,rwは同様に定義される. これら接ベクトルの方 向をそれぞれu, v, w 方向という.
(3) 円筒座標においてrr,rφ,rzをr, φ, z,ex,ey,ezを用いて表せ.
解答:
rr = cosφex+ sinφey, rφ = −rsinφex+rcosφey, rz = ez
(4) 球座標においてrr,rθ,rφをr, θ, φ,ex,ey,ezを用いて表せ.
解答:
rr = sinθcosφex+ sinθsinφey + cosθez, rθ = rcosθcosφex+rcosθsinφey−rsinθez, rz = −rsinθsinφex+rsinθcosφey
u曲線のスケール因子hu とは,u方向接ベクトルの長さ|ru|のことを言う. ここ からu方向単位ベクトルeu が
eu = ru
hu またはru =hueu
と定義される. v, w曲線のスケール因子hv, hu,v, w方向単位ベクトルev,ewも同 様に定義される. eu,ev,ewは一般化座標系(u, v, w)での基本単位ベクトルである.
(5) 円筒座標においてhr, hφ, hzを求めよ.
解答:
hr = 1, hφ = r, hz = 1 (6) 球座標においてhr, hθ, hφを求めよ.
解答:
hr = 1, hθ = r, hφ = rsinθ
5.4 面積素と体積素 ( 解答 )
一般化座標(u1, u2, u3)における面積素dSij と体積素dV はそれぞれ dSij =ri×rjduiduj
dV =|r1 ·(r2×r3)|du1du2du3
であらわされる. ただしここでは和の規約は用いず式の簡略化のためruj =rj, huj = hj と記す.
(1) 各点で接ベクトルri (i=1,2,3)が互いに直交している座標系を直交曲線座標 という. このとき
dSij =hihjei×ejduiduj =εijkhihjekduiduj dV =h1h2h3du1du2du3
を示せ. ここでej は uj 方向基本単位ベクトルをあらわす. 和の規約は用い ない.
解答:
定義より,rj =hiej,接ベクトルが互いに直交するため,ei×ej =εijkekが成 り立つ. よって,
dSij = ri×rjduiduj
= hihjei×ejduiduj
= hihjεijkekduiduj,
dV = |r1·(r2×r3)|du1du2du3
= |r1·h2h3ei|du1du2du3
= h1h2h3du1du2du3 (2) 円筒座標と球座標は直交曲線座標であることを示せ
解答:
円筒座標の接ベクトルは
rr = excosφ+eysinφ, rφ = −exsinφ+eycosφ, rz = ez
より,
rr·rφ = 0, rφ·rz = 0, rz·rr = 0 が成り立つ. よって円筒座標は直交曲線座標系である.
同様に,極座標については,
rr = exsinθcosφ+eysinθsinφ+ezcosθ, rθ = exrcosθcosφ+eyrcosθsinφ−ezrsinθ, rφ = −exrsinθsinφ+eyrsinθcosφ
より,
rr·rθ = 0, rθ·rφ= 0, rφ·rr= 0 が成り立つ. よって極座標も直交曲線座標系である.
(3) 円筒座標と球座標における体積素の表式をそれぞれ求めよ.
解答:
円筒座標の場合,hr = 1, hφ =r, hz = 1より, dV =r dr dφ dz.
極座標の場合,hr = 1, hθ =r, hφ=rsinθより, dV =r2sinθ dr dθ dφ.
5.5 直交曲線座標における勾配 ( 解答 )
スカラー場ϕの勾配gradϕはベクトルであり,直交直線座標系の基本単位ベクト ルを用いて
gradϕ = ∂φ
∂xiei
と表される. これを直交曲線座標 (u1, u2, u3)で表すには,この直交曲線座標の基 本単位ベクトルeujを用いる. 各成分(gradϕ)uj はgradϕを各基本単位ベクトルの 方向に射影したものなので
(gradϕ)uj =gradϕ·euj = ∂ φ
∂xiei·euj となる.
(1) ei ·euj = 1 hj
∂ xi
∂uj を示せ. この表式では和の規約は用いず,スケール因子は huj =hj と記すものとする[ヒント:問題5.3のeujの定義を思い出す].
解答:
euj = ruj hj
=
̶ x
∂ujex+ ∂ y
∂ujey+ ∂ z
∂ujez
! 1 hj であることから,
ei·euj = 1 hj
∂ xi
∂uj (2) 恒等式 df(x1(ξ), x2(ξ), x3(ξ))
dξ = ∂ f
∂xi dxi
dξ を利用し,
(gradϕ)uj = 1 hj
∂ ϕ
∂uj を示せ. この表式も和の規約は用いない.
解答:
(gradϕ)uj =
Ã∂ ϕ
∂xiei
!
·euj
= ∂ ϕ
∂xi 1 hj
∂ xi
∂uj
= 1 hj
∂ ϕ
∂uj
(3) 円筒座標における勾配は
gradϕ = ∂ ϕ
∂rer+ 1 r
∂ ϕ
∂φeφ+∂ ϕ
∂zez と表されることを示せ.
解答:
gradϕ = (gradϕ)ujeuj
= 1 hj
∂ ϕ
∂ujeuj
= ∂ ϕ
∂rer+ 1 r
∂ ϕ
∂φeφ+∂ ϕ
∂zez
(4) 上と同様に球座標におけるgradϕの表式を書き下せ.
解答:
gradϕ = (gradϕ)ujeuj
= 1 hj
∂ ϕ
∂ujeuj
= ∂ ϕ
∂rer+1 r
∂ ϕ
∂φeφ+ 1 rsinθ
∂ ϕ
∂φeφ
5.6 直交曲線座標における発散 ( 解答 )
直交曲線座標(u1, u2, u3)で表されるベクトル場A=Aieuiの発散の表式について 考える. これは発散の定義から丹念に計算しても導けるが面倒である. ここではガ ウスの定理
Z
V ∇AdV =
Z
S
A·dS を使った導出を行う.
(1) 体積V として,ui,ui+ ∆ui(i= 1,2,3)一定の面で囲まれた微小6面体を考 える. このとき
Z
V ∇·AdV ≈ ∇·Ah1h2h3∆u1∆u2∆u3
を示せ. ただしスケール因子はhuj =hj と記す.
解答:
問題5.4 (1)の結果から,微小6面体の体積は
dV =h1h2h3∆u1∆u2∆u3
と表される. この微小6面体内で∇·Aが一定であると近似すると,
Z
V ∇·AdV ≈ ∇·Ah1h2h3∆u1∆u2∆u3
が成り立つ.
(2)
Z
S
A·dS =
Z u2+∆u2
u2
Z u3+∆u3
u3
[A1h2h3du2du3]uu1=u1+∆u1
1=u1
+
Z u3+∆u3
u3
Z u1+∆u1
u1
[A2h3h1du3du1]uu2=u2+∆u2
2=u2
+
Z u1+∆u1
u1
Z u2+∆u2
u2
[A3h1h2du1du2]uu3=u3+∆u3
3=u3
を示せ. 右辺はさらに
≈
̶ A1h2h3
∂u1 +∂ A2h3h1
∂u2 +∂ A3h1h2
∂u3
!
∆u1∆u2∆u3
と近似できることを示せ.
解答:
面積分を行う閉領域として(1)と同様の微小6面体を考える. まずu1 軸に直 交する面について面積分を考えると,面要素の大きさdS23は,問題5.4 (1)の 結果を用いると
h2h3eu1du2du3
である. ここでeu1 は微小6面体の外向きに向かうu1方向の単位ベクトルで ある. u1 =u1においては
A·dS23=−A1h2h3(u1)du2du3 u1 =u1+ ∆u1 においては
A·dS23 =A1h2h3(u1+ ∆u1)du2du3 であるから,u1軸に直交する面について面積分は
Z u2+∆u2
u2
Z u3+∆u3
u3
[A1h2h3(u1 + ∆u1)−A1h2h3(u1)]du2du3
=
Z u2+∆u2
u2
Z u3+∆u3
u3
[A1h2h3du2du3]uu1=u1+∆u1
1=u1
と表される.
u2 軸,u3 軸に直交する面に関する面積分についても同様に考えると,
Z
S
A·dS =
Z u2+∆u2
u2
Z u3+∆u3
u3
[A1h2h3du2du3]uu11=u=u11+∆u1 +
Z u3+∆u3
u3
Z u1+∆u1
u1
[A2h3h1du3du1]uu22=u=u22+∆u2 +
Z u1+∆u1
u1
Z u2+∆u2
u2
[A3h1h2du1du2]uu33=u=u33+∆u3 となる.
次に,
A1h2h3(u1+ ∆u1)−A1h2h3(u1)
≈ A1h2h3(u1) + ∂(A1h2h3)
∂u1 ∆u1−A1h2h3(u1)
= ∂(A1h2h3)
∂u1 ∆u1
と近似すると,u1軸に直交する面について面積分は
Z u2+∆u2
u2
Z u3+∆u3
u3
[A1h2h3(u1+ ∆u1)−A1h2h3(u1)]du2du3
≈
Z u2+∆u2
u2
Z u3+∆u3
u3
∂(A1h2h3)
∂u1 ∆u1du2du3
≈ ∂(A1h2h3)
∂u1 ∆u1∆u2∆u3
と表される.最後の近似はu2, u3軸方向の積分範囲内について∂(A1h2h3)
∆u1
u2 軸,u3 軸に直交する面に関する面積分についても同様に考えると,
Z
S
A·dS ≈
̶(A1h2h3)
∂u1
+ ∂(A2h3h1)
∂u2
+∂(A3h1h2)
∂u3
!
∆u1∆u2∆u3 となる.
(1)と(2)の結果を比較すると∇·Aは
∇·A= 1 h1h2h3
̶(A1h2h3)
∂u1 + ∂(A2h3h1)
∂u2 +∂(A3h1h2)
∂u3
!
と書けることが分かる. これが曲線直交座標系での発散の一般形である.
(3) 円筒座標における∇·Aの表式を求めよ.
解答:
問題5.3 (5)より,円筒座標(r, φ, z)のスケール因子はhr = 1,hφ =r,hz = 1 より,
∇·A = 1 r
̶(rAr)
∂r + ∂ Aφ
∂φ +∂ rAz
∂z
!
= 1 r
∂(rAr)
∂r +1 r
∂ Aφ
∂φ +∂ Az
∂z (4) 球座標における∇·Aの表式を求めよ.
解答:
問題5.3 (6)より,球座標(r, θ, φ)のスケール因子はhr= 1,hθ =r,hφ=rsinθ より,
∇·A = 1 r2sinθ
Ã∂(r2sinθAr)
∂r +∂(rsinθAθ)
∂θ + ∂(rAφ)
∂φ
!
= 1 r2
∂(r2Ar)
∂r + 1
rsinθ
∂(sinθAθ)
∂θ + 1
rsinθ
∂ Aφ
∂φ
5.7 直交曲線座標における回転 ( 解答 )
直交曲線座標(u1, u2, u3)で表されるベクトル場A=Aieui の回転の表式について 考える. これは回転の定義から丹念に計算しても導けるが面倒なので,ここではス トークスの定理
Z
S∇×AdS =
I
A·drを使った導出を行う.
(1) u3 が一定の面内でu2, u2+ ∆u2 一定の2本のu1 曲線と,u1, u1+ ∆u1一定 の2本のu2 曲線,計4本の曲線で囲まれた内部を面Sにとる. このとき
Z
S∇×A·dS ≈(∇×A)3h1h2∆u1∆u2
を示せ. ここで (∇×A)3は ∇×A の u3 方向成分を表す. スケール因子は huj =hj と略記している.
解答:
問題5.4 (1)の結果から,u3が一定の面内における面要素dS12は,h1h2eu3∆u1∆u2 である. ここでeu3 はu3 方向の単位ベクトルである. この面要素dS12上で
∇×Aが一定であると仮定すると,
Z
S∇×A·dS =
Z
S∇×A·dS12
≈ (∇×A)3h1h2∆u1∆u2
(2) 線積分を (u1, u2) → (u1 + ∆u1, u2) → (u1 + ∆u1, u2 + ∆u2) → (u1, u2 +
∆u2)→(u1, u2)の順に行うことに注意して
I
A·dr =
Z u1+∆u1
u1
[A1h1]uu2=u2+∆u2
2=u2 du1+
Z u2+∆u2
u2
[A2h2]uu1=u1
1=u1+∆u1du2 を示せ. 右辺はさらに
≈
̶A1h1
∂u2 − ∂A2h2
∂u1
!
∆u1∆u2 と近似できることを示せ.
解答:
上記問題には誤りがあったので訂正する.
I
A·dr =
Z u1+∆u1
u1
[A1h1]uu2=u2
2=u2+∆u2du1+
Z u2+∆u2
u2
[A2h2]uu1=u1+∆u1
1=u1 du2
を示し,右辺はさらに
à !
となることを示す.
I
A·dr =
Z u1+∆u1,u2
u1,u2
A·dr+
Z u1+∆u1,u2+∆u2
u1+∆u1,u2
A·dr +
Z u1,u2+∆u2
u1+∆u1,u2+∆u2
A·dr+
Z u1,u2
u1,u2+∆u2
A·dr
=
Z u1+∆u1,u2
u1,u2
A·h1eu1du1+
Z u1+∆u1,u2+∆u2
u1+∆u1,u2
A·h2eu2du2 +
Z u1,u2+∆u2
u1+∆u1,u2+∆u2
A·h1eu1du1 +
Z u1,u2
u1,u2+∆u2
A·h2eu2du2
=
Z u1+∆u1,u2
u1,u2
A1h1du1+
Z u1+∆u1,u2+∆u2
u1+∆u1,u2
A2h2du2 +
Z u1,u2+∆u2
u1+∆u1,u2+∆u2
A1h1du1+
Z u1,u2
u1,u2+∆u2
A2h2du2
=
Z u1+∆u1
u1
A1h1(u2)du1+
Z u2+∆u2
u2
A2h2(u1+ ∆u1)du2
+
Z u1
u1+∆u1
A1h1(u2 + ∆u2)du1+
Z u2
u2+∆u2
A2h2(u1)du2
=
Z u1+∆u1
u1
(A1h1(u2)−A1h1(u2 + ∆u2))du1+
Z u2+∆u2
u2
(A2h2(u1+ ∆u1)−A2h2(u1))du2
=
Z u1+∆u1
u1
[A1h1]uu22=u=u22+∆u2du1+
Z u2+∆u2
u2
[A2h2]uu11=u=u11+∆u1du2
となる.
さらに
A1h1(u2)−A1h1(u2 + ∆u2) = A1h1(u2)−
Ã
A1h1(u2) + ∂(A1h1)
∂u2 ∆u2
!
= −∂(A1h1)
∂u2 ∆u2, A2h2(u1+ ∆u1)−A2h2(u1) = A2h2(u1) + ∂(A2h2)
∂u1 ∆u1 −A2h2(u1)
= ∂(A2h2)
∂u1 ∆u1 と近似すると,
I
A·dr ≈ −
Z u1+∆u1
u1
∂(A1h1)
∂u2 ∆u2du1+
Z u2+∆u2
u2
∂(A2h2)
∂u1 ∆u1du2
≈ −∂(A1h1)
∂u2 ∆u2∆u1+ ∂(A2h2)
∂u1 ∆u1∆u2
=
̶(A2h2)
∂u1 −∂(A1h1)
∂u2
!
∆u1∆u2
となる. 上式の 1 行目から2 行目の計算の際にはそれぞれの積分区間内で
∂(A1h1)
∂u2 , ∂(A2h2)
∂u1 は一定と仮定した.
(1)と(2)を比較すると,
(∇×A)3 = 1 h1h2
̶(A2h2)
∂u1 −∂(A1h1)
∂u2
!
が導かれる. ∇×Aの各ui成分の一般的な表式は (∇×A)i =εijk 1
hjhk
∂Akhk
∂uj である.
(3) 円筒座標における∇×Aの表式を求めよ.
解答:
問題5.3 (5)より,円筒座標(r, φ, z)のスケール因子はhr = 1,hφ =r,hz = 1 より,
(∇×A)r = 1 r
̶ Az
∂θ − ∂(rAθ)
∂z
!
= 1 r
∂ Az
∂θ − ∂ Aθ
∂z , (∇×A)φ = ∂ Ar
∂z − ∂ Az
∂r , (∇×A)z = 1
r
Ã∂(rAθ)
∂r − ∂ Ar
∂θ
!
(4) 球座標における∇×Aの表式を求めよ.
解答: 問題5.3 (6) より, 球座標 (r, θ, φ) のスケール因子はhr = 1, hθ = r,
hφ =rsinθより,
(∇×A)r = 1 r2sinθ
Ã∂(rsinθAφ)
∂θ − ∂(rAθ)
∂φ
!
= 1
rsinθ
Ã∂(sinθAφ)
∂θ −∂ Aθ
∂φ
!
, (∇×A)θ = 1
rsinθ
̶ Ar
∂φ − ∂(rsinθAφ)
∂r
!
= 1
rsinθ
∂ Ar
∂φ − 1 r
∂(rAφ)
∂r , (∇×A) = 1Ã∂(rAθ)
−∂ Ar!
5.8 直交曲線座標におけるラプラシアン ( 解答 )
(1) 勾配と発散一般形から直交曲線座標におけるラプラシアン∇2ϕ = ∇·(∇ϕ) の一般形を導け.
解答:
問題5.5 (2)より,
(∇ϕ)uj = 1 hj
∂ ϕ
∂uj を用いると,問題5.6の結果から.
∇·(∇ϕ) = 1 h1h2h3
"
∂
∂u1
Ãh2h3 h1
∂ ϕ
∂u1
!
+ ∂
∂u2
Ãh3h1 h2
∂ ϕ
∂u2
!
+ ∂
∂u3
Ãh1h2 h3
∂ ϕ
∂u3
!#
(2) 円筒座標における∇2ϕの表式を求めよ.
解答:
問題5.3 (5)より,円筒座標(r, φ, z)のスケール因子はhr = 1,hφ =r,hz = 1 より,
∇·(∇ϕ) = 1 r
"
∂
∂r
Ã
r∂ ϕ
∂r
!
+ ∂
∂φ
Ã1 r
∂ ϕ
∂φ
!
+ ∂
∂z
Ã
r∂ ϕ
∂z
!#
= 1 r
∂
∂r
Ã
r∂ ϕ
∂r
!
+ 1 r2
∂2ϕ
∂φ2 + ∂2ϕ
∂z2 (3) 球座標における∇2ϕの表式を求めよ.
解答:
問題5.3 (6)より,球座標(r, θ, φ)のスケール因子はhr= 1,hθ =r,hφ=rsinθ より,
∇·(∇ϕ) = 1 r2sinθ
"
∂
∂r
Ã
r2sinθ∂ ϕ
∂r
!
+ ∂
∂θ
Ãrsinθ r
∂ ϕ
∂θ
!
+ ∂
∂φ
à r rsinθ
∂ ϕ
∂φ
!#
= 1 r2
∂
∂r
Ã
r2∂ ϕ
∂r
!
+ 1
r2sinθ
∂
∂θ
Ã
sinθ∂ ϕ
∂θ
!
+ 1
r2sin2θ
∂2ϕ
∂φ2