• Tidak ada hasil yang ditemukan

MRIの導入と利用の現状 サーベイによる検証

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "MRIの導入と利用の現状 サーベイによる検証"

Copied!
6
0
0

Teks penuh

(1)

MRIの導入と利用の現状 サーベイによる検証

1

法坂千代 別所俊一郎

日本医師会 総合政策研究機構

一橋大学 国際・公共政策大学院

はじめに:日本には高額医療機器が多い

• Japan had by far the highest number of MRI scanners, with 40.1 units per million population.

2 0

5 10 15 20 25 30 35 40 45

1990 1995 2000 2005 2010

日本 アメリカ

カナダ フランス

ドイツ アイスランド

イギリス イタリア

(OECD Health Data 2009)

調べたかったこと.

• 医療費の累増の一因は技術や機器の普及といわれる

– Fuchs (96, AER), Weisbrod (91, JEL)

• 日本のMRI台数は多い

– 制度的背景:国民皆保険,規制の不在,医療機関の機能の未分化…

– しかも,稼働率は必ずしも高くないらしい

• なぜMRIの普及が進んだのか?

– MRI導入の意思決定は医療機関が行う – 医療機関はほとんどすべて非営利法人

• MRIを保有している医療機関にサーベイ調査してみた

– 医療機関そのものの,また立地している地域の属性が,導入状況やその後の稼 働率・採算性とどのように関連しているか

– 導入するときに注意していることの差が影響するのか – (医療機関間競争が“過剰な”投資を招来しているかも)

MRIとは.

• 医用画像診断装置の1つ

– MRI,X線CT,核医学診断装置(PET,SPECT),超音波診断装置など

• 核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)

– ここでは,MRIスキャナ(装置)のことも単に「MRI」と呼ぶ – 診療報酬点数表では「磁気共鳴コンピュータ断層撮影」とも呼ぶ – ほとんどのばあい,体内の水素原子が起こす核磁気共鳴(NMR:Nuclear

Magnetic Resonance)を利用

• 磁気のある原子核を静磁場に置き,その原子核固有の振動数にあわせた電 磁波を外部から与えると,その原子核自体が共鳴して電磁波を発する.その 信号を画像に変換する

– 強磁場であるほど精細な画像が得られる

• 強い磁場を使うMRIほど高機能とみなす

• 磁束密度の単位T(テスラ)で表す

• 1.5テスラ以上で「高機能」

←Nikola Tesla (1856- 1943).ハンガリー生ま れの電気技師,発明家.

1テスラは1万ガウス↓

(2)

MRIとは.(続き)

• 高額医療機器の1つ

– 実勢価格の公表データはほとんどないが,最も安価でも5000万円から.

– 購入金額の平均値:1テスラ未満で1億2500万円,1テスラ以上で1億5800万円(南 部06)

• 特徴

– 放射線被曝がないとされる

– 軟部組織や血管が明確に描出される – 頭部・脊椎管・関節疾患に有力 – 磁性体があると使えない – 検査時間が長く,騒音が大きい – 設備が大きい

5

(資料出所)都立駒込病院放射線診療科

制度的背景

• 公的医療保険制度

– 保険のカバレッジの拡大は技術や機器の普及を促進(Finckelstein 07 QJE)

– 機器に対する補助金や報酬はない

– 診療報酬は検査に対する対価 →減価償却費が含まれるとされる – ほとんどが出来高払い(FFS) →使わないと採算が?

• マネジドケアの普及はMRIの普及と負の相関(Baker 01 JHE, Masm and Seinfeld 08 JHE)

• 診療報酬体系が要素投入の代替を起こすかも(Acemoglu and Finckelstein 08, JPE)

• 自由開業制と病床規制

– 施設基準を満たし,病床規制に抵触しなければ開業は自由 – 非営利法人ではあるが,営利企業と同じような経営責任 – 資本規制は病床に対してのみ →代替投資先としての機器?

6

制度的背景(続き)

• フリーアクセス

– 患者の医療機関選択の自由

– 医療機関の機能の未分化:ゲートキーパー機能はなし

– 診療報酬が公定 →非価格競争の手段としての機器(河口07,漆98)

– 機能が分化していても,保険者が医療機関を選択できれば,競争が発生する可 能性はある.

• 機器導入の動学ゲームの構造推定:Schmidt-Dengler (06, mimeo)

• その他,高齢化・高所得なども技術・機器普及に正の効果

– Hahn et al. (07, IJTAHC),Oh et al. (05, IJTAHC)

• 医療機関はどのようにMRIの導入を決め,使っているのか?

– 医療機関間競争に注目(の予定でした)

– 非営利法人である医療機関がなにを考えているのか – 導入機種や稼働率に影響するのか

都道府県別分布(全国合計6,015台)

• 台数だけ見ると,東京・愛知・大阪・福岡に多い

– 人口が多く,大規模病院も多そう
(3)

都道府県別分布

• 全国平均は47.1台/100万人:OECD平均は11.0台(07年)

• 北海道・北陸を除くと,西高東低.

9

アンケート調査

• 調査対象

– 2008年4月1日時点でMRIを導入している国内の全医療機関.

– 名称は「月刊新医療」(2008年6月号)から,送付先住所は『病院情報』,WAMNET

,タウンページから.

• 調査方法:郵送調査法(郵送配布・郵送回収)

– 発送は2009年6月2日,8月末日到着分まで.

• 総配布数:病院3,363,診療所1,265,合計4,628

– 有効な回収は932(回収率20.1%)

• 病院681(回収率20.4%),診療所251(回収率19.8%)

• 一般病床をもつ医療機関のみを対象 →病院667,診療所251,合計918

• 質問項目

– 基本属性,導入時に最も重視したこと,導入決定の過程,利用状況,採算性の評 価

10

サンプルの代表性

• 「いいところ」が多そう

– 「月刊新医療」「医療施設調査」と比較

– Selection biasに対処はできてません(操作変数を用意しなかったから)

標本平均 他調査平均 差 t値

公立病院比率 0.23 0.17 0.06 4.02 (0.01) (0.01)

一般病床数 262.58 208.03 54.55 6.00 (8.45) (3.34)

1日平均検査件数 14.0 8.5 5.5 10.09

(0.48) (0.26)

テスラ数 1.09 0.98 0.11 4.50

(0.02) (0.01)

表:導入のときに最も重要視した点

• 高機能機種の比率,検査件数,採算性が確保できたか

– 「採算性」を重視 →低機能で採算を確保

– 「対外イメージ」を重視 →高機能だが検査件数が少なく採算も?

高テスラ 検査件数 採算検討 採算確保

採算性 0.409 13.543 0.970 0.724

他の医療機関 0.391 16.000 0.840 0.632 患者ニーズ 0.321 9.326 0.856 0.631 医師の確保 0.250 7.231 0.769 0.100 院内ニーズ 0.768 16.286 0.735 0.579 対外イメージ 0.643 9.448 0.815 0.429 医療機能他 0.720 15.856 0.841 0.611

計 0.549 13.619 0.862 0.631

(4)

表:一般病床数

• 高機能機種の比率,検査件数,採算性が確保できたか

– 診療所 →低機能で採算を確保

– 小規模病院 →低機能だが検査件数が少なく採算も?

– 大規模病院 →高機能,検査が多くて,採算を確保

13

高テスラ 検査件数 採算検討 採算確保

診療所 0.212 10.415 0.856 0.713

病床数20~99 0.409 9.623 0.890 0.567 病床数100~199 0.528 10.762 0.861 0.557 病床数200~299 0.796 16.286 0.819 0.553 病床数300~399 0.843 19.345 0.821 0.688 病床数400~499 0.980 18.962 0.824 0.590 病床数500以上 0.938 25.911 0.896 0.706

全体 0.541 13.957 0.859 0.633

表:公立・医育医療機関

• 高機能機種の比率,検査件数,採算性が確保できたか

– 公立・医育 →高機能で検査件数は多いが,採算は確保できず

14

高テスラ 検査件数 採算検討 採算確保

医育 0.897 21.872 0.816 0.500

公立 0.761 14.686 0.812 0.500

その他 0.453 13.269 0.875 0.675

全体 0.541 13.957 0.859 0.633

機種の選定:推定式と変数

• 推定方法:Probit

• サンプル:2000年以降にMRIを新規導入または更新した医療機関に限定 サンプルサイズは554

• 被説明変数:導入機種が1.5テスラ以上かどうか

• 説明変数

– 地域(2次医療圏)の年齢別人口・面積・平均課税所得(2000年)

– 導入1年前の地域内MRI保有施設数 – 医療機関の一般病床数・公立・医育

– 導入時の最重要ポイント,他の機関への意識の有無 – 導入プロセス,意見の反映された部局

– 導入年次:技術革新や制度変更要因に対応

機種の選定:推定結果

• 導入1年前の地域内MRI導入施設数

– 高テスラのMRI →プラス – 低テスラのMRI →マイナス – 医療機関間競争の存在?

• 一般病床数:単調増加

– 高次医療機能の反映? ←公立・医育ダミーはゼロ

• 導入時に最も重視したポイントはなんですか?

– 医療機能を果たすため,が基準

– 採算性:マイナス →低テスラの方が安いから – 患者ニーズ:マイナス →「ある」ことが重要

– 医師の確保:マイナス →「ある」ことが重要あるいは費用抑制 – 対外イメージ:プラス →顧客獲得のため

• 導入時に最も意見が反映された部局はどこですか?

– 院長・理事長:マイナス →経営者として費用抑制

(5)

平均検査件数:推定式と変数

• 推定方法:OLS, 2SLS

– Excluded IV:導入1年前の周囲のMRI保有施設数

• 被説明変数:一番活躍している機器の1日平均検査件数

• 説明変数

– 地域(2次医療圏)の年齢別人口・面積・平均課税所得(2005年)

– 2008年の地域内MRI導入施設数

– 保有MRIのテスラ数 ←購入時にあるていど予期.

– 医療機関の一般病床数・公立・医育 – DPC適用の有無:支払い方式の違い

– 導入時の最重要ポイント,他の機関への意識の有無 – 導入プロセス,意見の反映された部局

– 導入年次:技術革新や制度変更要因に対応

17

平均検査件数:推定結果

• 地域要因

– 高テスラMRI数がマイナス →需要の競合?

• 一般病床数:非線形関係.診療所に比べて

– 病床数20~99、100~199:マイナス →?

– 病床数400以上:プラス →患者の重症度?紹介患者?

• 導入時に最も重視したポイントはなんですか?

– 医療機能を果たすため,が基準

– 患者ニーズ:マイナス →「ある」ことが重要 – 対外イメージ:マイナス →買ってはみたものの.

• 公立・医育病院

– マイナス →一般民間病院で多い →PIDや防衛診療

• テスラ数

– プラス →?

18

採算性:推定式と変数

• Selection equation:「導入時に採算を検討しましたか?」

– 「採算を確保できたか?」は「採算を検討した」ところにしか聞いていない – サンプルサイズは546

• 推定方法:Heckit

• Excluded IV:導入1年前の周囲のMRI保有施設数,2005年以降導入ダミー

• 被説明変数:「実際に採算が確保できている」と答えたか

• 説明変数

– テスラ数を外した以外は同じ

採算性:推定結果

• Heckman’s lambda:ゼロ →標本選択バイアスなし

• 地域要因ゼロ →すでに全国的に普及しているから

– 高テスラMRI数がマイナス →競合関係?

• 一般病床数:非線形関係.診療所に比べて

– 病床数20~99、100~199:マイナス →検査件数が少ないから

• 導入時に最も重視したポイントはなんですか?

– 医療機能を果たすため,が基準

– 医師の確保:マイナス →「ある」ことが重要

– 対外イメージ:マイナス →高いのを買ってみたものの.検査件数が少ない

• 公立・医育病院:マイナス

– 検査件数の少なさ/MRIの購入価格が高い/採算性を気にしない?

(6)

まとめ.

• 日本では高額医療機器(ここではMRI)が多い

– 新しい技術や機器の浸透は医療費の高騰要因になりかねない – 導入規制などはないから,医療機関の意思決定の結果

• 導入,機種選定,稼働状況,採算性に影響する要因は?

– 機種選定には周囲のMRI導入状況が影響

– 機種選定,稼働状況,採算性には導入時の「動機」が相関

• 「患者ニーズ」:低機種で検査件数が少ない

• 「対外イメージ」:高機種で検査件数が少なく,採算が確保できない – 稼働状況や採算性と一般病床数には非線形関係

• 病床数の少ない病院:検査件数が少なく,採算が確保できていない – 公立・医育病院は採算性を重視していないのかもしれない

21

限界.

• 回収率

– 他調査と比べると低くはないが,高くもない

– 標本選択バイアスを除去する変数を用意できていない

• 逆の因果

– 稼働率や採算性を予期した導入行動を十分に考慮していない

• 「重視した点」は主観的

– アンケートに対する回答なので,真の選好ではないかも

• 「多すぎる」「使わなさすぎる」は検討の対象外

– 戦略的補完関係で「多くなりがち」は言えるかも

– 日本国内での相対評価:“最適な”分布や稼働状況は不明 – 他の先進各国のほうが“過少”なだけ?

• 医療機関の属性の変化

– 医療機関の経営形態等の変化(病院から診療所、公立から民間など)を十分に 考慮できていない

22

Referensi

Dokumen terkait

【創立70周年記念大会】 共通論題 報告要旨:甘利 公人 金融ADRの現状と問題点 上智大学 甘 利 公 人 1.はじめに 金融分野の裁判外紛争解決制度(Alternative Dispute Resolution)である、いわ ゆる金融ADR制度に関する金融商品取引法等の一部を改正する法律が平成21年

【平成26年度大会】 第1セッション(経済・経営・商学系) 報告要旨:早川 淑人 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 保険代理店経営の現状と課題 札幌学院大学 早川 淑人 1.はじめに 平成26年5月30日に公布された「保険業法等の一部を改正する法律」では、保険会

はじめに 2022 年 2 月 24 日に始まったロシアによるウクライナ侵攻への対応として、京都先端 科学大学(KUAS)は、戦争によりウクライナでの修学が困難となった大学生や大学院 生、研究機会を失った研究者で、日本での大学教育や研究を希望する方々に、本学での 修学・研究機会を提供する「ウクライナ支援プロジェクト」を発足させました。本プロ ジェクトは、約 30

令和5年度(2023年度) 独立行政法人 日本学生支援機構 学位取得を目的とした海外留学における第二種奨学金(有利子) の募集について 日本学生支援機構より、学位取得を目的に海外の大学、大学院博士前期課程または大 学院博士後期課程に進学を希望する人を対象とした第二種奨学金(貸与制・有利子)募 集のお知らせがありました。詳細に関しては、次のとおりです。 1.募

問2 正解は①。 韓国は現在,日本を下回る合計特殊出生率となっており,選択肢にあるような人口 抑制政策を実行する理由がない状況である。選択肢は中国の「一人っ子政策」に関す る内容である。 他の選択肢は正しい。 問3 正解は②。 ② 国連食糧農業機関は1945年設立。日本は1951年に加盟した。本部はローマにある。 ①

岡山理科大学 情報処理センター 研究報告第41・42号(2021.3) 3..岡岡山山理理科科大大学学情情報報処処理理セセンンタターー計計算算機機へへのの波波動動関関数数・・電電子子密密度度のの三三次次元元可可視視化化ププロロググララムムのの導導入入 2005年5月26日,理学部化学科の「無機化学III(Gコース)」第5講で,DV−X法で計算した原子軌

工学院大学建築学部卒業論文梗概集 田村研究室 2017 年度 遺産的建造物におけるラス漆喰天井の劣化状態・検証実験 D114526 半座三紗子 1.はじめに 遺産的建造物とは文化を共有する集団の歴史、伝統、風習 などを集約した象徴的な存在である。そして遺産的建造物は 地域復興や観光復興において観光拠点形成となるように、日

SCMの利用方法 v0201 上條哲男上智大学 経済学部 平成14 年 4 月 20 日 1 SCMについて 第2章においてSCMの起動と終了方法を、第3章でSCMの実行方法を、第 4章でエデ ィタによるプログラムの作成と保存方法を 、そして第5章でデ ータ 編集機能を説明している。 2 SCMの起動・終了方法 2.1 SCMの起動方法