• Tidak ada hasil yang ditemukan

PDF 劣化木材の非破壊性能評価手法と補修技術の検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "PDF 劣化木材の非破壊性能評価手法と補修技術の検討"

Copied!
4
0
0

Teks penuh

(1)

工学院大学建築学部卒業論文梗概集 田村研究室

2019

年度

劣化木材の非破壊性能評価手法と補修技術の検討

DB16266

原田勇輔

1 はじめに

木材は、古くから日本の建築物に使用されている建築材料の 1つであり、人々にとって、とても身近な材料である。また、

日本には森林が多く、これから先も、多くの建造物に木材が使 用されていくことが予想される。実際、近年では木材の耐火性 能を向上させる方法が研究されており、中型、大型の木造建築 物も多く造られるようになった。その一方で、日本は高温多湿 な気候であり、それらは木材を劣化させ、強度を低下させる原 因となる。そのため、木材の劣化の要因である、腐朽や虫害に 対しての対策を行うことが建築寿命を延ばす上で大切となる。

特に、日本の文化財などの貴重な建築物は木造であることが多 く、木材の劣化で大きな被害を受けるため、被害の調査や補修・

補強技術を確立することがこれからの課題となる。

本研究では、試験体の超音波伝播速度から木材の虫害基準を 作成し、木造文化財の被害範囲、被害の大きさを超音波検査1) する。さらに、樹脂による補修・補強技術2), 3)を検討すること で、文化財建築の補修において大切な現状の部材を生かすこと を目的としている。また、現在の木造建築物で使われることが 多い集成材の研究も行うことで、より多くの木造建築物の建築 寿命を延ばすことができると考える。

2 研究概要

表1には実験内容について、表

2

には使用材料について、表 3には実験要因と水準について記す。文化財建築に用いられる 木材(スギ、ヒノキ、アカマツ)や密度が大きく異なる木材4)、現 在の木造建築物で多く使用される集成材を用意し、各樹種の密 度、超音波伝播速度、動弾性係数の関係を様々な状態での比較 から劣化状況の基準を作成する。また、それを活用した補修・

補強技術を開発する過程で、今回は虫害の孔に適した粘度を注 入角度や孔の大きさについて調査する。

表1 実験段階と実験内容

項目 研究内容

実験1 重要木造文化財の虫害調査(外観調査とHLD値) 実験2 国産木材の密度(g/㎤)と貫入荷重(N)の関係

実験3 スギの質量減少(g/㎤)による超音波伝播速度(km/s)の変化 実験4 木材の樹種ごとの超音波伝播速度(km/s)

実験5 木材の超音波伝播速度(km/s)と動弾性係数(N/㎟)の関係 実験6 木材状態変化の超音波伝播速度(km/s)、動弾性係数(N/㎟)の変化

表 2 使用材料

表 3 実験要因と水準

項目 特徴

樹種 寸法(縦mm×横mm×長さmm)

縦材 横材

実 験1

針葉樹 スギ・ヒノキ・ネズ コ・トウヒ・マツ・イ チイ・モミ・サワラ

5.5×24.5×59.5

広葉樹

ホオ・クス・ツバキ・

ツゲ・タモ・ウルシ・

カシ・キリ・ケヤキ・

カバ・サクラ・クワ・

カツラ・クリ・セン・

エンジュ・トチ・ナ ラ・シナ・ブナ

5.5×24.5×59.5

験3 針葉樹 スギ 50×50×50

スギ型枠用合板 100×100×12

実験 4

5

6

無垢材 クリ

54×54×100 54×54×100

アカマツ ヒノキ スギ バルサ

集成材 スギ

54×54×100 54×54×100

アカマツ

項目 要因 水準 実験1

衝撃弾性波速度比

(HLD最大1000) 柱の測定高さ、柱の方位による比較

測定高さ(cm) 部位の床からの高さによる比較 実験2 密度(g/㎤) 樹種による比較

貫入荷重(N) 密度による比較

実験3

密度(g/㎤) 孔空け前後による比較 測定方向 縦材/横材

超音波伝播速度(km/s) 孔空け前後による比較 実験4

密度(g/㎤) 樹種による比較 測定方向 縦材/横材

超音波伝播速度(km/s) 樹種、密度による比較

実験5

超音波伝播速度(km/s) 樹種、密度による比較 測定方向 縦材/横材

動弾性係数(N/㎟) 一次共鳴振動数による推定値 樹種、超音波伝播速度による比較

実験6

密度(g/㎤) 樹種による比較 測定方向 縦材/横材 使用部分 辺材/心材 節の影響 有無、大きさ、数 孔空による密度減少(g/㎤) 元の健全な木材と比較 含水率(%) 水分量

超音波伝播速度(km/s) 上記の状態と通常時の比較 動弾性係数(N/㎟) 上記の状態と通常時の比較

(2)

0 100 200 300 400 500 600 700

0 100 200 300

衝撃弾性波速度比(HLD)

床の上からの高さ(cm) 0 100 200 300 400 500 600 700

0 100 200 300

床の上からの高さ(cm)

y = 237.2x - 58.7

0 40 80 120 160 200

0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

密度(g/㎤) 0

1 2 3 4 5 6

0.3 0.4 0.5

密度(g/㎤) 横方向1 横方向2 縦方向

貫入荷重(N)

y = 219.64x - 56.8

0 40 80 120 160 200

0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

貫入荷重(N)

密度(g/㎤) Ave.

31.4 y = 225.6x - 49.8

0 40 80 120 160 200

0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

貫入荷重(N)

密度(g/㎤) Ave.

80.65 R²=0.95

3 劣化木材の補修方法検討における基礎的物性調査 3.1 木造重要文化財の虫害調査

木造重要文化財の虫害による劣化はどの部分が激しいか、調 べることを目的としている。岐阜県の木造重要文化財に現地調 査に行き、衝撃弾性波速度比試験器(HLD値)を使い、衝撃弾性 波速度比による虫害状況の調査を行った。図

1

から地面に近け れば近い部材ほど、衝撃弾性波速度比の下限値が低いことを確 認した。

3.2 木材の密度と表面強度の関係

木材の密度と表面強度の関係を針葉樹

8

種、広葉樹

20

種の 合計

28

種類の国産材を使い相関関係について調査した。図

2

の結果から木材全体では密度と表面強度の相関係数が

0.9547、

針葉樹では相関係数が

0.9034、広葉樹では 0.95

と高い値が観 測された。このことから、強度と密度には強い相関関係がある ことが分かる。

3.3 超音波伝播速度と質量減少の関係

虫害の模擬試験として、木材にドリルで孔を段階的に空け、

質量減少と超音波伝播速度の関係がどのように変化するか調 査した。図

3

に結果を示す。合板試験体では厚さが

12mm

程 度しかなかったためか、質量を減少させても超音波伝播速度に 大きな変化はなかった。立方体試験体では厚さが

50mm

あっ たため、質量減少に伴い、超音波伝播速度に大きな変化があっ た。このことからある程度の距離がなければ正しく測定できな いということが分かった。相関係数に関してもすべて

0.95

を 超える高い相関関係を示している。また、今回の結果から、木 材は縦方向か横方向によって超音波伝播速度が大きく異なる ということを確認した。縦材の方が横材よりも超音波伝播速度 が

2

倍以上速く、同じ横材でも測定方向により大きな差があっ た。この理由として木材の繊維方向や、秋材と春材の密度の違 いが超音波伝播速度に影響を及ぼしたと考えられる。

2

木材の密度と強度の関係

3

密度と超音波伝播速度の関係 1.9

1.95 2 2.05 2.1 2.15

0.3 0.4 0.5

超音波伝播速度(km/s)

密度(g/㎤)

1.14 1.16 1.18 1.2 1.22 1.24 1.26 1.28 1.3

0.3 0.4 0.5

超音波伝播速度(km/s)

密度(g/㎤)

c) HLD

値測定

a)

虫害状況

1 b)虫害状況 2

R²=0.9

Ave.

66.57

R²=0.9

c) 木材全体 d) 実験材料(国内在来の

28

種)

R²=0.2

Ave 360

d)

北柱 e) 外柱

1

木造重要文化財の柱の床の上からの高さと表面強度の関係

Ave.

1.2 R²=0.97

4.9 5 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8

0.3 0.4 0.5

超音波伝播速度(km/s)

密度(g/㎤) R²=0.96

Ave.

5.4

c) 横方向1 d) 横方向2 R²=0.98

e) 縦方向 f) 縦と横の比較 Ave.

2.0

R²=0.2

Ave 371

b)

針葉樹

a)

広葉樹

a) スギ(50×50×100mm) b)

スギ合板(100×100×12mm)

超音波播速度(km/s)

(3)

4 各種木材の非破壊による性能評価手法の検討 4.1 含水時と通常時の超音波伝播速度の比較

3

の木材を水に

36

時間浸け、含水状態にした。その後、

含水率が変化する前後の密度と超音波伝播速度の関係を表 した。青色は通常時、橙色は含水時となっている。図

4

の同 じ樹種の場合は、縦材の超音波伝播速度は密度に比例してい る数が多く、高い相関係数を示したが、横材の場合は密度と 超音波伝播速度に相関関係は見られなかった。 すべての樹 種の縦材と横材の超音波伝播速度を比べると、通常時より含 水時の方が値を下回った。この結果から、木材の含水率が変 化すると、超音波伝播速度に影響を及ぼすことが分かった。

超音波による検査を行う際は含水率による補正も考慮する 必要があると推測できる。また、図

5

の木材全体で見た場合 は、通常時と含水時の密度と超音波伝播速度の関係の相関係 数に大きな差がなく、縦材と横材の平均超音波伝播速度の差 も同程度となった。さらに、縦材よりも横材の方が吸水率の 値が大きく、超音波伝播速度の減少率も大きいことが分かっ た。横材の密度と超音波伝播速度の関係は通常時、含水時共 に高い相関関係を示した。

4.2 含水時と通常時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係 3.1

の実験と同じく、木材を水に

36

時間浸け、含水状態に

した。木材内の含水率が変化した時の密度と超音波伝播速度 の関係を表した。橙色は通常時、青色は含水時となっている。

a)通常時 b)含水時

6

の樹種ごとの結果を見ると、横材は縦材と比べて非常 に低い値となった。また、同じ樹種でも無垢材の方が集成材 よりも動弾性係数が

2

倍程度高くなった。木材全体で超音波 伝播速度と動弾性係数の相関係数を比較した場合は縦材より 横材の方が相関係数の値が高くなった。さらに、縦材と横材 をまとめると

0.8

という高い相関係数となった。図

7

のすべ ての樹種の縦材と横材を見ると、概ね含水時の方が通常時の 値を下回った。この結果から木材の含水率が変化すると、動 弾性係数に影響を及ぼすことを確認した。木材全体で見た場 合は通常時と含水時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係の 相関係数に大きな差がなく、縦材と横材の平均動弾性係数の 差も同程度になった。さらに、横材の超音波伝播速度と動弾 性係数の関係は通常時、含水時共に高い相関関係を示した。

a)アカマツ集成材縦材 b)スギ集成材縦材 c)クリ縦材 d)アカマツ縦材 e)ヒノキ縦材 f)スギ縦材

g)アカマツ集成材横材 h)スギ集成材横材 i)クリ横材 j)アカマツ横材 k)ヒノキ横材

l)スギ横材 4

4.5 5 5.5 6

0.4 0.45 0.5 0.55 0.6

超音波伝播速度(km/s)

密度(g/㎤)

4 4.5 5 5.5 6

0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 密度(g/㎤)

4 4.2 4.4 4.6 4.8 5

0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 密度(g/㎤)

5 5.2 5.4 5.6 5.8 6

0.45 0.5 0.55

密度(g/㎤)

5 5.2 5.4 5.6 5.8 6

0.5 0.55 0.6

密度(g/㎤)

5 5.2 5.4 5.6 5.8 6

0.35 0.4 0.45

密度(g/㎤)

0.5 1 1.5 2 2.5

0.4 0.45 0.5 0.55 0.6

超音波伝播速度(km/s)

密度(g/㎤)

1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 密度(g/㎤)

1.4 1.5 1.6 1.7

0.45 0.5 0.55 0.6

密度(g/㎤)

1.2 1.3 1.4 1.5 1.6

0.45 0.5 0.55

密度(g/㎤)

1.4 1.5 1.6 1.7 1.8

0.5 0.55 0.6 0.65

密度(g/㎤)

1.4 1.5 1.6 1.7

0.35 0.4 0.45 0.5

密度(g/㎤)

0 1 2 3 4 5 6

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 密度(g/㎤)

Ave 1.6

0 1 2 3 4 5 6

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 密度(g/㎤)

Ave 1.3

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

4 5 6

動弾性係数(N/)

超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

4 5 6

超音波伝播速度(km/s) 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

4 4.5 5

超音波伝播速度(km/s) 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0

5 5.5 6

超音波伝播速度(km/s) 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0

5 5.5 6

超音波伝播速度(km/s) 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

5 5.25 5.5

超音波伝播速度(km/s)

0.0 2.0 4.0 6.0

1 1.5 2

動弾性係数(N/)

超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0

1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0

1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) 0.0 1.0 2.0 3.0

1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) R²=0.9

Ave 5.6

R²=0.6 Ave 5.5

R²=0.0

Ave 1.7

R²=0.6

R²=0.1 R²=-0.6

Ave

5.4 Ave

5.3

Ave 1.5

R²=-0.8

R²=0.1

Ave 5.4

R²=-0.8

Ave 1.7

Ave 5.3

含水率 45%

含水率 32%

含水率 25%

含水率 32%

含水率 48%

含水率 35%

R²=-0.6

Ave 1.8

R²=-0.2

Ave 1.1

R²=-0.5

Ave 1.6

R²=-0.8

Ave 1.5 R²=0.2

Ave 1.8

R²=-0.1

Ave 1.3 R²=0.9

Ave 5.4

R²=0.9

Ave 4.8

R²=0.7 Ave 5.4

R²=0.8

Ave 4.8

R²=1.0 Ave 4.6

R²=1.0

Ave 4.3 含水率

28% 含水率

26%

i)アカマツ集成材横材 j)スギ集成材横材 k)クリ横材 c)アカマツ集成材縦材 d)スギ集成材縦材 e)クリ縦材

l)アカマツ横材 m)ヒノキ横材

n)スギ横材 f)アカマツ縦材 g)ヒノキ縦材 h)スギ縦材

5

含水時と通常時の超音波伝播速度の関係(全体)

R²=0.0 R²=-0.6

Ave

1.3 Ave

1.5 Ave

1.4 含水率

20%

含水率 含水率 25%

32%

R²=0.7

R²=0.06

Ave 6.7

R²=0.9

Ave 1.7

R²=0.5

R²=0.3

R²=0.1

Ave 1.2 R²=-0.3

Ave 2.0 Ave

6.6

Ave 3.4

R²=0.1 R²=0.5

Ave

3.9 Ave

6.6

Ave 7.5 R²=0.4

Ave 8.8 R²=-0.5

R²=-0.06

Ave 2.4

R²=-0.9

Ave 3.3

Ave 1.8 R²=-0.03

Ave 12.4

R²=0.6

R²=0.1

Ave 15.4

R²=-0.6

Ave 3.4 Ave

12.4

R²=-0.1

R²=-0.7

R²=-0.3

R²=-0.2

Ave 6.8

R²=0.3 R²=-0.4

Ave 3.3

Ave 14.7

Ave 5.1

R²=0.0

R²=-0.3

Ave Ave 1.9

1.1

Ave 9.1

含水率

20~48%

含水率 30%

R²=0.2 Ave

5.3

R²=0.1

Ave 5.0

R²=0.7

R²=0.8

4

含水時と通常時の超音波伝播速度の関係(樹種別)

6

通常時・含水時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係(樹種別)

超音波播速度(km/s) 超音波播速度(km/s)

【 】

【 】

(4)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 0.5 1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) 0.0

6.0 12.0 18.0

0 1 2 3 4 5 6

超音波伝播速度(km/s)

0.0 6.0 12.0 18.0

0 1 2 3 4 5 6

超音波伝播速度(km/s)

4.3 模擬補修材の充填量、孔空け前後の性能変化

虫害の孔に補修材を注入する際の適切な粘度の調査を 行 う 。 ス ギ の

54mm×54mm×100mm

の 試 験 体 に 直 径

10mm

の模擬虫害の孔を空 け、その孔に補修材を模した

3

種類の粘性液体を注入し た。模擬補修材は水にメチセ ルロースを

1.0%、 1.5%、 2.0%の割合で調合したもので、

注入は

0°30°45°60°75°90°の6つの角度で行った。その

後、注入前後の質量から充填量を求めた。また、孔空け 前後の超音波伝播速度と動弾性係数を比較し、孔空けに よる影響を調査した。図

9

を見ると、粘性が高い液体の 方が充填量は高く、基本的に角度が大きくなればなるほ ど、充填量は低下している。さらに、角度が

0°から 30°

になると、充填量が大きく減少した。このことから、注 入の角度と孔の大きさによって粘度を変える必要がある と推測できる。また、図

8

の結果から孔空けによる質量 減少によって縦材では動弾性係数、横材では超音波伝播 速度が大きく低下することを確認した。

5 木材の非破壊性能評価の連関図

密度、超音波伝播速度、動弾性係数の関係から連関図 を作成し、虫害状況の基準とする。これは超音波伝播速 度から相対的な動弾性係数が分かることで力学的な性質 を推定することを目的としている。今後は孔空けによる 質量減少の影響をつなげ、正確なデータを作成する。

6 まとめ

1)虫害に よる強 度低下 は地 面からの 高さ が低い と大き い。

2)密度と表面強度は針葉樹、広葉樹共に相関係数が高 い。

3)木材の 超音波 伝播 速度は 樹種ご とでは 縦材、 木材 全 体

では横材が高い相関関係を示し、横材は縦材と比べ超 音波伝播速度が

1/2

以下となった。また、含水率の上 昇により超音波伝播速度が低下した。

4)動弾性 係数は 木材 全体で 見た際 に高い 相関関 係が 見 ら

れた。数値は縦材では横材より

3

倍以上大きく、縦材 の集成材は縦材の無垢材に比べ

2/3

程度の値となった。

5)木材の 模擬虫 害 の 試験体 で、縦 材では 動弾性 係数 、 横

材では超音波伝播速度が大きく低下している。

6)樹脂の 粘度は 注入角 度に よって変 化が 必要だ と考え る。

7)虫害被 害を超 音波 検査す ること で力学 的な性 質を 推 定

することが可能である。

参考文献

1)角 谷 和 男 :木 材 の 内 部 欠 陥 と 超 音 波 音 速 と の 関 係 ,

木 材研究,京都大學木材研究所 報告

(34), 1965、

2)澤 田 将 光 :蟻 害 劣 化 を 受 け た 各 部 材 に 対 す る 樹 脂 充 填

に よる 補 強 効 果に 関 す る 基 礎 的研 究, 日 本 建 築 学会 関 東支部研究報告集(89), 2019

3)大 塚 ほ か :蟻 害 に よ り 内 部 劣 化 し た 木 造 建 築 物 の 欠 陥

探査と樹脂充填による補強方法に向けた基礎的検討,

日本建築学会構造系論文集,2019.3

4)小 沢春 江ほ か:木材 の超 音 波伝 搬特 性 , USE

講演 予 稿

, 8(0)1987

0 2 4 6 8

0 30 45 60 75 90

充填量(g)

角度(°)

0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55

4.8 5 5.2 5.4 5.6 5.8

密度(g/㎤)

超音波伝播速度(km/s)

0.0 3.0 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0

4 4.5 5 5.5 6

動弾性係数

(N/ ㎟ )

超音波伝播速度(km/s)

7

通常時・含水時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係(全体)

a)通常時 b)含水時

a)縦材 b)横材

8

孔空け前後の超音波伝播速度と動弾性係数

a縦材 b)横材

9 10mm

孔の模擬補修剤充填量

粘 度 1.0%=0.26Pa・s 1.5%=0.96Pa・s 2.0%=1.45Pa・s 0.0

3.0 6.0 9.0 12.0

5 5.2 5.4 5.6 5.8

動弾性係数

(N/ ㎟ )

超音波伝播速度(km/s)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

0.5 1 1.5 2

超音波伝播速度(km/s) R²=0.1

Ave 6.5 R²=0.0

Ave 5.5

Ave 1.3

Ave 1.6 R²=0.0 R²=0.0

動弾性係数

(N/ ㎟ )

動弾性係数

(N/ ㎟ )

通常時

a)縦材 b)横材

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0

4 4.5 5 5.5 6

動弾性係数(N/㎟)

超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 超音波伝播速度(km/s)

0.0 3.0 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0

4 4.5 5 5.5 6

超音波伝播速度(km/s)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 超音波伝播速度(km/s)

動弾性係数

(N/ ㎟ )

横材

(N/㎟)

R²=0.4

Ave 8.5

R²=0.4

Ave 9.1

R²=0.7

Ave 1.7

R²=0.6

Ave 2.8

c)縦材 d)横材

R²=0.8 Ave

6.0 R²=0.8

Ave 5.1

動弾性係数

(N / ㎟ )

縦材

0 5 10 15

0 30 45 60 75 90 角度(°)

含 水 時

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 超音波伝播速度(km/s) 充填量(g)密度(g/㎠) (N/㎟) (N/㎟)

粘 度 1.0%=0.26Pa・s 1.5%=0.96Pa・s 2.0%=1.45Pa・s

10

連関図

② ②

②’ ②‘

‘ ③

③ ③

Referensi

Dokumen terkait

1 建築物石綿含有建材調査者講習 募集要項第4版 本講習は、厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号に基づき、建築物に使用されている石綿に起因して発生する 健康被害及び健康障害を未然に防止するため、建築物に使用されている石綿含有建材の使用実態について、中立か つ公正に専門的な調査を行うことができる調査者の育成を目指すものです。 1.各コースのご案内

強酸性温泉水によるアスベスト含有廃棄建材の無公害化の検討 -その2- 鶴岡工業高等専門学校 教育研究技術支援センター 特任職員 八幡 喜代志 1, 緒 言 アスベスト含有建材の廃棄量は3000~4000 万トンと推定されている。現在は、溶融法などが一部で実用 化されているが、硬い建材の粉砕処理および

建築物石綿含有建材調査者講習の新制度の施行について 修了者各位 晩秋の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚 く御礼申し上げます。 さて「建築物石綿含有建材調査者講習」は、平成 25 年国土交通省告示第 748 号の建築物 石綿含有建材調査者講習登録規定に基づき講習を実施してまいりましたが、このほど、平成 30 年 10

1.建学の精神と教育の効果について 評価する 理由:建学の精神については、創立者の自伝をはじめ、学生便覧など広く示されており、 折に触れて共有がはかられている。その建学の精神を具現化するために、地域への貢献と して公開講座や自治体との協定、授業の開放などを積極的に行っている。それらは、地域 貢献のみではなく、その活動にかかわる学生への教育効果も高いと判断できる。

英米文学専攻プログラム 1.教育目的 優れた文学作品は、他者の人生に触れ人間について考えさせてくれると共に、そこに映しだされ ている地域とその時代の歴史、文化について知るためのまたとない材料です。英米文学専攻プログ ラムでは、文学作品を読む楽しみを知ることと、英語圏文化について学ぶことを2本の柱にしてい

はじめに コンクリート部材の中の強度は、一般的に上部が 小さく、下部が大きいとされている。理由として、 上部は密度の小さい水が上昇して水セメント比が大 きくなり、下部には骨材が沈降することが考えられ る。また、締固め時に再振動を行った場合には、骨 材下面にブリーディングによって生じる空隙や空気 泡の減少によっても強度が増加すると考えられる。

まえがき 締結時に狭隘な部材の内部へ締結工具を設置できない 場合やハイドロフォ-ム部材の構造締結にはブラインド ナット(blind nut:BNと略記,あるいはblind fastner)が 締 結助材として広く使われている.さらに,構造物の補強 や補修においても同様な締結助材による構造締結が採用 されている.そのための締結助材も多く開発されている

工学院大学建築学部卒業論文梗概集 阿部研究室 2015年度 骨材の品質低下に関する文献調査 DC-11174 田中 大海 1.調査の目的 コンクリート用骨材として使用されている砂利・砂に ついては、かなり以前より品質の低下が叫ばれてきた。 しかしながら、品質といってもその項目は、密度、吸水 率、粒度、実積率など多様である。たとえば密度に関し