工学院大学建築学部卒業論文梗概集 田村研究室
2019
年度劣化木材の非破壊性能評価手法と補修技術の検討
DB16266
原田勇輔1 はじめに
木材は、古くから日本の建築物に使用されている建築材料の 1つであり、人々にとって、とても身近な材料である。また、
日本には森林が多く、これから先も、多くの建造物に木材が使 用されていくことが予想される。実際、近年では木材の耐火性 能を向上させる方法が研究されており、中型、大型の木造建築 物も多く造られるようになった。その一方で、日本は高温多湿 な気候であり、それらは木材を劣化させ、強度を低下させる原 因となる。そのため、木材の劣化の要因である、腐朽や虫害に 対しての対策を行うことが建築寿命を延ばす上で大切となる。
特に、日本の文化財などの貴重な建築物は木造であることが多 く、木材の劣化で大きな被害を受けるため、被害の調査や補修・
補強技術を確立することがこれからの課題となる。
本研究では、試験体の超音波伝播速度から木材の虫害基準を 作成し、木造文化財の被害範囲、被害の大きさを超音波検査1) する。さらに、樹脂による補修・補強技術2), 3)を検討すること で、文化財建築の補修において大切な現状の部材を生かすこと を目的としている。また、現在の木造建築物で使われることが 多い集成材の研究も行うことで、より多くの木造建築物の建築 寿命を延ばすことができると考える。
2 研究概要
表1には実験内容について、表
2
には使用材料について、表 3には実験要因と水準について記す。文化財建築に用いられる 木材(スギ、ヒノキ、アカマツ)や密度が大きく異なる木材4)、現 在の木造建築物で多く使用される集成材を用意し、各樹種の密 度、超音波伝播速度、動弾性係数の関係を様々な状態での比較 から劣化状況の基準を作成する。また、それを活用した補修・補強技術を開発する過程で、今回は虫害の孔に適した粘度を注 入角度や孔の大きさについて調査する。
表1 実験段階と実験内容
項目 研究内容実験1 重要木造文化財の虫害調査(外観調査とHLD値) 実験2 国産木材の密度(g/㎤)と貫入荷重(N)の関係
実験3 スギの質量減少(g/㎤)による超音波伝播速度(km/s)の変化 実験4 木材の樹種ごとの超音波伝播速度(km/s)
実験5 木材の超音波伝播速度(km/s)と動弾性係数(N/㎟)の関係 実験6 木材状態変化の超音波伝播速度(km/s)、動弾性係数(N/㎟)の変化
表 2 使用材料
表 3 実験要因と水準
項目 特徴樹種 数 寸法(縦mm×横mm×長さmm)
縦材 横材
実 験1
針葉樹 スギ・ヒノキ・ネズ コ・トウヒ・マツ・イ チイ・モミ・サワラ
各1 5.5×24.5×59.5 ー
広葉樹
ホオ・クス・ツバキ・
ツゲ・タモ・ウルシ・
カシ・キリ・ケヤキ・
カバ・サクラ・クワ・
カツラ・クリ・セン・
エンジュ・トチ・ナ ラ・シナ・ブナ
各1 5.5×24.5×59.5 ー
実
験3 針葉樹 スギ 1 50×50×50 ー
スギ型枠用合板 6 100×100×12 ー
実験 4
5
6
無垢材 クリ
各6 54×54×100 54×54×100
アカマツ ヒノキ スギ バルサ
集成材 スギ 各
6 54×54×100 54×54×100
アカマツ
項目 要因 水準 実験1
衝撃弾性波速度比
(HLD値 最大1000) 柱の測定高さ、柱の方位による比較
測定高さ(cm) 部位の床からの高さによる比較 実験2 密度(g/㎤) 樹種による比較
貫入荷重(N) 密度による比較
実験3
密度(g/㎤) 孔空け前後による比較 測定方向 縦材/横材
超音波伝播速度(km/s) 孔空け前後による比較 実験4
密度(g/㎤) 樹種による比較 測定方向 縦材/横材
超音波伝播速度(km/s) 樹種、密度による比較
実験5
超音波伝播速度(km/s) 樹種、密度による比較 測定方向 縦材/横材
動弾性係数(N/㎟) 一次共鳴振動数による推定値 樹種、超音波伝播速度による比較
実験6
密度(g/㎤) 樹種による比較 測定方向 縦材/横材 使用部分 辺材/心材 節の影響 有無、大きさ、数 孔空による密度減少(g/㎤) 元の健全な木材と比較 含水率(%) 水分量
超音波伝播速度(km/s) 上記の状態と通常時の比較 動弾性係数(N/㎟) 上記の状態と通常時の比較
0 100 200 300 400 500 600 700
0 100 200 300
衝撃弾性波速度比(HLD)
床の上からの高さ(cm) 0 100 200 300 400 500 600 700
0 100 200 300
床の上からの高さ(cm)
y = 237.2x - 58.7
0 40 80 120 160 200
0.20 0.40 0.60 0.80 1.00
密度(g/㎤) 0
1 2 3 4 5 6
0.3 0.4 0.5
密度(g/㎤) 横方向1 横方向2 縦方向
貫入荷重(N)
y = 219.64x - 56.8
0 40 80 120 160 200
0.20 0.40 0.60 0.80 1.00
貫入荷重(N)
密度(g/㎤) Ave.
31.4 y = 225.6x - 49.8
0 40 80 120 160 200
0.20 0.40 0.60 0.80 1.00
貫入荷重(N)
密度(g/㎤) Ave.
80.65 R²=0.95
3 劣化木材の補修方法検討における基礎的物性調査 3.1 木造重要文化財の虫害調査
木造重要文化財の虫害による劣化はどの部分が激しいか、調 べることを目的としている。岐阜県の木造重要文化財に現地調 査に行き、衝撃弾性波速度比試験器(HLD値)を使い、衝撃弾性 波速度比による虫害状況の調査を行った。図
1
から地面に近け れば近い部材ほど、衝撃弾性波速度比の下限値が低いことを確 認した。3.2 木材の密度と表面強度の関係
木材の密度と表面強度の関係を針葉樹
8
種、広葉樹20
種の 合計28
種類の国産材を使い相関関係について調査した。図2
の結果から木材全体では密度と表面強度の相関係数が0.9547、
針葉樹では相関係数が
0.9034、広葉樹では 0.95
と高い値が観 測された。このことから、強度と密度には強い相関関係がある ことが分かる。3.3 超音波伝播速度と質量減少の関係
虫害の模擬試験として、木材にドリルで孔を段階的に空け、
質量減少と超音波伝播速度の関係がどのように変化するか調 査した。図
3
に結果を示す。合板試験体では厚さが12mm
程 度しかなかったためか、質量を減少させても超音波伝播速度に 大きな変化はなかった。立方体試験体では厚さが50mm
あっ たため、質量減少に伴い、超音波伝播速度に大きな変化があっ た。このことからある程度の距離がなければ正しく測定できな いということが分かった。相関係数に関してもすべて0.95
を 超える高い相関関係を示している。また、今回の結果から、木 材は縦方向か横方向によって超音波伝播速度が大きく異なる ということを確認した。縦材の方が横材よりも超音波伝播速度 が2
倍以上速く、同じ横材でも測定方向により大きな差があっ た。この理由として木材の繊維方向や、秋材と春材の密度の違 いが超音波伝播速度に影響を及ぼしたと考えられる。図
2
木材の密度と強度の関係図
3
密度と超音波伝播速度の関係 1.91.95 2 2.05 2.1 2.15
0.3 0.4 0.5
超音波伝播速度(km/s)
密度(g/㎤)
1.14 1.16 1.18 1.2 1.22 1.24 1.26 1.28 1.3
0.3 0.4 0.5
超音波伝播速度(km/s)
密度(g/㎤)
c) HLD
値測定a)
虫害状況1 b)虫害状況 2
R²=0.9
Ave.
66.57
R²=0.9
c) 木材全体 d) 実験材料(国内在来の
28
種)R²=0.2
Ave 360
d)
北柱 e) 外柱図
1
木造重要文化財の柱の床の上からの高さと表面強度の関係Ave.
1.2 R²=0.97
4.9 5 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8
0.3 0.4 0.5
超音波伝播速度(km/s)
密度(g/㎤) R²=0.96
Ave.
5.4
c) 横方向1 d) 横方向2 R²=0.98
e) 縦方向 f) 縦と横の比較 Ave.
2.0
R²=0.2
Ave 371
b)
針葉樹a)
広葉樹a) スギ(50×50×100mm) b)
スギ合板(100×100×12mm)超音波伝播速度(km/s)
4 各種木材の非破壊による性能評価手法の検討 4.1 含水時と通常時の超音波伝播速度の比較
表
3
の木材を水に36
時間浸け、含水状態にした。その後、含水率が変化する前後の密度と超音波伝播速度の関係を表 した。青色は通常時、橙色は含水時となっている。図
4
の同 じ樹種の場合は、縦材の超音波伝播速度は密度に比例してい る数が多く、高い相関係数を示したが、横材の場合は密度と 超音波伝播速度に相関関係は見られなかった。 すべての樹 種の縦材と横材の超音波伝播速度を比べると、通常時より含 水時の方が値を下回った。この結果から、木材の含水率が変 化すると、超音波伝播速度に影響を及ぼすことが分かった。超音波による検査を行う際は含水率による補正も考慮する 必要があると推測できる。また、図
5
の木材全体で見た場合 は、通常時と含水時の密度と超音波伝播速度の関係の相関係 数に大きな差がなく、縦材と横材の平均超音波伝播速度の差 も同程度となった。さらに、縦材よりも横材の方が吸水率の 値が大きく、超音波伝播速度の減少率も大きいことが分かっ た。横材の密度と超音波伝播速度の関係は通常時、含水時共 に高い相関関係を示した。4.2 含水時と通常時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係 3.1
の実験と同じく、木材を水に36
時間浸け、含水状態にした。木材内の含水率が変化した時の密度と超音波伝播速度 の関係を表した。橙色は通常時、青色は含水時となっている。
a)通常時 b)含水時
図
6
の樹種ごとの結果を見ると、横材は縦材と比べて非常 に低い値となった。また、同じ樹種でも無垢材の方が集成材 よりも動弾性係数が2
倍程度高くなった。木材全体で超音波 伝播速度と動弾性係数の相関係数を比較した場合は縦材より 横材の方が相関係数の値が高くなった。さらに、縦材と横材 をまとめると0.8
という高い相関係数となった。図7
のすべ ての樹種の縦材と横材を見ると、概ね含水時の方が通常時の 値を下回った。この結果から木材の含水率が変化すると、動 弾性係数に影響を及ぼすことを確認した。木材全体で見た場 合は通常時と含水時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係の 相関係数に大きな差がなく、縦材と横材の平均動弾性係数の 差も同程度になった。さらに、横材の超音波伝播速度と動弾 性係数の関係は通常時、含水時共に高い相関関係を示した。a)アカマツ集成材縦材 b)スギ集成材縦材 c)クリ縦材 d)アカマツ縦材 e)ヒノキ縦材 f)スギ縦材
g)アカマツ集成材横材 h)スギ集成材横材 i)クリ横材 j)アカマツ横材 k)ヒノキ横材
l)スギ横材 4
4.5 5 5.5 6
0.4 0.45 0.5 0.55 0.6
超音波伝播速度(km/s)
密度(g/㎤)
4 4.5 5 5.5 6
0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 密度(g/㎤)
4 4.2 4.4 4.6 4.8 5
0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 密度(g/㎤)
5 5.2 5.4 5.6 5.8 6
0.45 0.5 0.55
密度(g/㎤)
5 5.2 5.4 5.6 5.8 6
0.5 0.55 0.6
密度(g/㎤)
5 5.2 5.4 5.6 5.8 6
0.35 0.4 0.45
密度(g/㎤)
0.5 1 1.5 2 2.5
0.4 0.45 0.5 0.55 0.6
超音波伝播速度(km/s)
密度(g/㎤)
1 1.2 1.4 1.6 1.8 2
0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 密度(g/㎤)
1.4 1.5 1.6 1.7
0.45 0.5 0.55 0.6
密度(g/㎤)
1.2 1.3 1.4 1.5 1.6
0.45 0.5 0.55
密度(g/㎤)
1.4 1.5 1.6 1.7 1.8
0.5 0.55 0.6 0.65
密度(g/㎤)
1.4 1.5 1.6 1.7
0.35 0.4 0.45 0.5
密度(g/㎤)
0 1 2 3 4 5 6
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 密度(g/㎤)
Ave 1.6
0 1 2 3 4 5 6
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 密度(g/㎤)
Ave 1.3
2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
4 5 6
動弾性係数(N/㎟)
超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0
4 5 6
超音波伝播速度(km/s) 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
4 4.5 5
超音波伝播速度(km/s) 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0
5 5.5 6
超音波伝播速度(km/s) 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0
5 5.5 6
超音波伝播速度(km/s) 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
5 5.25 5.5
超音波伝播速度(km/s)
0.0 2.0 4.0 6.0
1 1.5 2
動弾性係数(N/㎟)
超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0
1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0
1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) 0.0 1.0 2.0 3.0
1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) R²=0.9
Ave 5.6
R²=0.6 Ave 5.5
R²=0.0
Ave 1.7
R²=0.6
R²=0.1 R²=-0.6
Ave
5.4 Ave
5.3
Ave 1.5
R²=-0.8
R²=0.1
Ave 5.4
R²=-0.8
Ave 1.7
Ave 5.3
含水率 45%
含水率 32%
含水率 25%
含水率 32%
含水率 48%
含水率 35%
R²=-0.6
Ave 1.8
R²=-0.2
Ave 1.1
R²=-0.5
Ave 1.6
R²=-0.8
Ave 1.5 R²=0.2
Ave 1.8
R²=-0.1
Ave 1.3 R²=0.9
Ave 5.4
R²=0.9
Ave 4.8
R²=0.7 Ave 5.4
R²=0.8
Ave 4.8
R²=1.0 Ave 4.6
R²=1.0
Ave 4.3 含水率
28% 含水率
26%
i)アカマツ集成材横材 j)スギ集成材横材 k)クリ横材 c)アカマツ集成材縦材 d)スギ集成材縦材 e)クリ縦材
l)アカマツ横材 m)ヒノキ横材
n)スギ横材 f)アカマツ縦材 g)ヒノキ縦材 h)スギ縦材
図
5
含水時と通常時の超音波伝播速度の関係(全体)R²=0.0 R²=-0.6
Ave
1.3 Ave
1.5 Ave
1.4 含水率
20%
含水率 含水率 25%
32%
R²=0.7
R²=0.06
Ave 6.7
R²=0.9
Ave 1.7
R²=0.5
R²=0.3
R²=0.1
Ave 1.2 R²=-0.3
Ave 2.0 Ave
6.6
Ave 3.4
R²=0.1 R²=0.5
Ave
3.9 Ave
6.6
Ave 7.5 R²=0.4
Ave 8.8 R²=-0.5
R²=-0.06
Ave 2.4
R²=-0.9
Ave 3.3
Ave 1.8 R²=-0.03
Ave 12.4
R²=0.6
R²=0.1
Ave 15.4
R²=-0.6
Ave 3.4 Ave
12.4
R²=-0.1
R²=-0.7
R²=-0.3
R²=-0.2
Ave 6.8
R²=0.3 R²=-0.4
Ave 3.3
Ave 14.7
Ave 5.1
R²=0.0
R²=-0.3
Ave Ave 1.9
1.1
Ave 9.1
含水率
20~48%
含水率 30%
R²=0.2 Ave
5.3
R²=0.1
Ave 5.0
R²=0.7
R²=0.8
図
4
含水時と通常時の超音波伝播速度の関係(樹種別)図
6
通常時・含水時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係(樹種別)超音波伝播速度(km/s) 超音波伝播速度(km/s)
【 】
【 】
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
0 0.5 1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) 0.0
6.0 12.0 18.0
0 1 2 3 4 5 6
超音波伝播速度(km/s)
0.0 6.0 12.0 18.0
0 1 2 3 4 5 6
超音波伝播速度(km/s)
4.3 模擬補修材の充填量、孔空け前後の性能変化
虫害の孔に補修材を注入する際の適切な粘度の調査を 行 う 。 ス ギ の
54mm×54mm×100mm
の 試 験 体 に 直 径10mm
の模擬虫害の孔を空 け、その孔に補修材を模した3
種類の粘性液体を注入し た。模擬補修材は水にメチセ ルロースを1.0%、 1.5%、 2.0%の割合で調合したもので、
注入は
0°30°45°60°75°90°の6つの角度で行った。その
後、注入前後の質量から充填量を求めた。また、孔空け 前後の超音波伝播速度と動弾性係数を比較し、孔空けに よる影響を調査した。図
9
を見ると、粘性が高い液体の 方が充填量は高く、基本的に角度が大きくなればなるほ ど、充填量は低下している。さらに、角度が0°から 30°
になると、充填量が大きく減少した。このことから、注 入の角度と孔の大きさによって粘度を変える必要がある と推測できる。また、図
8
の結果から孔空けによる質量 減少によって縦材では動弾性係数、横材では超音波伝播 速度が大きく低下することを確認した。5 木材の非破壊性能評価の連関図
密度、超音波伝播速度、動弾性係数の関係から連関図 を作成し、虫害状況の基準とする。これは超音波伝播速 度から相対的な動弾性係数が分かることで力学的な性質 を推定することを目的としている。今後は孔空けによる 質量減少の影響をつなげ、正確なデータを作成する。
6 まとめ
1)虫害に よる強 度低下 は地 面からの 高さ が低い と大き い。
2)密度と表面強度は針葉樹、広葉樹共に相関係数が高 い。
3)木材の 超音波 伝播 速度は 樹種ご とでは 縦材、 木材 全 体
では横材が高い相関関係を示し、横材は縦材と比べ超 音波伝播速度が1/2
以下となった。また、含水率の上 昇により超音波伝播速度が低下した。4)動弾性 係数は 木材 全体で 見た際 に高い 相関関 係が 見 ら
れた。数値は縦材では横材より3
倍以上大きく、縦材 の集成材は縦材の無垢材に比べ2/3
程度の値となった。5)木材の 模擬虫 害 の 試験体 で、縦 材では 動弾性 係数 、 横
材では超音波伝播速度が大きく低下している。6)樹脂の 粘度は 注入角 度に よって変 化が 必要だ と考え る。
7)虫害被 害を超 音波 検査す ること で力学 的な性 質を 推 定
することが可能である。参考文献
1)角 谷 和 男 :木 材 の 内 部 欠 陥 と 超 音 波 音 速 と の 関 係 ,
木 材研究,京都大學木材研究所 報告(34), 1965、
2)澤 田 将 光 :蟻 害 劣 化 を 受 け た 各 部 材 に 対 す る 樹 脂 充 填
に よる 補 強 効 果に 関 す る 基 礎 的研 究, 日 本 建 築 学会 関 東支部研究報告集(89), 20193)大 塚 ほ か :蟻 害 に よ り 内 部 劣 化 し た 木 造 建 築 物 の 欠 陥
探査と樹脂充填による補強方法に向けた基礎的検討,日本建築学会構造系論文集,2019.3
4)小 沢春 江ほ か:木材 の超 音 波伝 搬特 性 , USE
講演 予 稿, 8(0)1987
0 2 4 6 8
0 30 45 60 75 90
充填量(g)
角度(°)
0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55
4.8 5 5.2 5.4 5.6 5.8
密度(g/㎤)
超音波伝播速度(km/s)
0.0 3.0 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0
4 4.5 5 5.5 6
動弾性係数
(N/ ㎟ )
超音波伝播速度(km/s)
図
7
通常時・含水時の超音波伝播速度と動弾性係数の関係(全体)a)通常時 b)含水時
a)縦材 b)横材
図
8
孔空け前後の超音波伝播速度と動弾性係数a縦材 b)横材
図
9 10mm
孔の模擬補修剤充填量粘 度 1.0%=0.26Pa・s 1.5%=0.96Pa・s 2.0%=1.45Pa・s 0.0
3.0 6.0 9.0 12.0
5 5.2 5.4 5.6 5.8
動弾性係数
(N/ ㎟ )
超音波伝播速度(km/s)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
0.5 1 1.5 2
超音波伝播速度(km/s) R²=0.1
Ave 6.5 R²=0.0
Ave 5.5
Ave 1.3
Ave 1.6 R²=0.0 R²=0.0
動弾性係数
(N/ ㎟ )
動弾性係数(N/ ㎟ )
通常時
a)縦材 b)横材
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0
4 4.5 5 5.5 6
動弾性係数(N/㎟)
超音波伝播速度(km/s) 0.0 2.0 4.0 6.0
0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 超音波伝播速度(km/s)
0.0 3.0 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0
4 4.5 5 5.5 6
超音波伝播速度(km/s)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 超音波伝播速度(km/s)
動弾性係数
(N/ ㎟ )
横材
動弾性係数(N/㎟)
R²=0.4
Ave 8.5
R²=0.4
Ave 9.1
R²=0.7
Ave 1.7
R²=0.6
Ave 2.8
c)縦材 d)横材
R²=0.8 Ave
6.0 R²=0.8
Ave 5.1
動弾性係数
(N / ㎟ )
縦材
0 5 10 15
0 30 45 60 75 90 角度(°)
含 水 時
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 超音波伝播速度(km/s) 充填量(g)密度(g/㎠) 動弾性係数(N/㎟) 動弾性係数(N/㎟)
粘 度 1.0%=0.26Pa・s 1.5%=0.96Pa・s 2.0%=1.45Pa・s
図
10
連関図①
①
② ②
②’ ②‘
③
‘ ③
‘
③ ③