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大阪市域における気象モデルWRFによる都市域日射量の再現性に関する感度実験

明星大学 理工学部 総合理工学科 環境・生態学系 4年 12t7-015 大塚 雄太 指導教員 亀卦川 幸浩 1.はじめに

近年、地球と都市の温暖化などの気候変動が問題とな っている。これを受け、将来の気候変動の予測精度向上 に向けて、人口が集中する都市域を対象とした気象モデ ルの改良が進められており、都市の気象を精度良くシミ ュレーションする為に、都市大気にとっての最大のエネ ルギー源である太陽日射の予測精度の向上が重要とされ ている。

2.先行研究と研究目的

先行研究(山川ほか、2015)では、都市気象・建物エ ネルギー連成モデル(CM-BEM)を米国の領域気象モデ ルWRFに結合させた数値モデル(WRF-CM-BEM)に より、大阪市域での日射空間偏差の再現性の検証が試み られた。

その結果、都市の建物や人工排熱の影響を現実的に考

慮するWRF-CM-BEM(計算負荷大)と都市を平板近似す

るWRF単体でのSlab計算(計算負荷小)の結果を比較し た場合、日射の予測精度に対する影響は小さいことが判 明した。晴天時には大阪市内の日射量を精度良く再現で きるが、曇天時では、大阪市内の日射量を過大評価する ため、雲の再現性に欠けていた。また、先行研究の解析 期間は夏期に限定され、日射量の計算に支配的に影響を 与える雲微物理モデルについても少数のモデルを用いた 検証しか行われていない。以上のことを受け、解析期間 の増加と、より多くの雲微物理モデルを用いた検証が必 要である。

本研究では、以上の先行研究の問題点を踏まえ、計算 負荷の小さいWRF単体のSlab計算を先行研究に比し長 期かつ多数の雲微物理モデルを用いて行うことで、大阪 市域で実測された日射量の再現性に支配的に影響を及ぼ す雲物理モデル選択の影響を、感度解析を通じ明らかに することを目的とする。

3.研究概要 3-1.研究手法

本研究では、近年米国で開発された最新のメソスケー ル気象モデル WRF(Weather Researth & Forecasting Model)Version3.7.1を用いて、大阪市域で実測された日 射量の再現性に与える雲微物理モデル選択の影響を、感 度解析し、シミュレーション結果と実測値との比較を行 い、最新 WRFの再現性の検証を行った。また、本研究 では、都市を平板近似するWRF単体でのSlab計算を行 った。研究では、サブ物理モデルとして、特に雲微物理 モデルに着目した感度実験を行った。

3-2.検証に用いる測定データの概要

日射量を含む気象要素の観測が先行研究(引地ほか、

2013)において行われ、観測時期は2013年3月14日

~2014年3月17日(約1年間)であった。観測場所は大 阪市とその近郊の 15 地区であり、各地区内の学校施設 屋上および公園内に 1 地点ずつ、計15の観測地点で日 射量・気温等の気象計測が行われた。

本研究では、大阪市とその近郊の 14 地区(各地区内 の学校施設屋上1地点ずつの日射量)の実測値を用いて 感度解析した。

3-3.研究に使用する数値モデル

(1) メソスケール広域気象モデル WRF

WRF とは、米国で開発・改良が進められているメソ スケール広域気象モデルである。ユーザーが計算領域や 解像度を自由に設定できるため自由度が高く、さらに非 静力学モデルの導入により狭い領域で高い解像度が求め られるヒートアイランド現象の予測に適したモデルであ る。

(2) 雲微物理モデル

大気中での水蒸気や雲水、雨水、雪、霰の振る舞いを 予測するモデルである。雲微物理モデルは、大きく分け て2種類あり、バルクモデル(雲粒全体での混合比や数 密度を予測するモデル)とビンモデル(粒径別に雲粒の 振る舞いを扱うモデル)が存在する。本研究の感度実験 で使用する雲微物理モデルを表1に示す。

表1. WRF計算条件(物理オプション)

Physics

option Case name Adapted Option Micro

physics

Lin Lin et al scheme Thompson Thompson graupel scheme

Morrison Morrison 2-moment scheme (3) 計算ケース

本研究では、解析期間を2013年7~8月、2013年12

~2014年2月の夏期、冬期を対象に行った。また、使用 モデルとして、雲微物理モデルは表1の3種類、境界層 乱流モデルは、代表的な3種類(YSU・MYJ・MYNN3) の中から MYJ を使用し、短波放射モデルは代表的な 2 種類(Dudhia・Goddard)の中からGoddardモデルを 用いて解析を行った。感度解析におけるケース設定を、

表2に示す。

表2. 解析計算ケース

Case 解析期間 使用オプション

Case 1 2013年.7~8 Lin

Case 2 2013年.7~8 Thompson

Case 3 2013年.7~8 Morrison

Case 4 201312月~20142 Lin Case 5 201312月~20142 Thompson 4. 解析結果

4-1. 解析に使用した統計量

解析に際しては次の4つの統計量を用いた。

表3. 使用した統計量

統計量 意味

Mean Bias Error

(MBE) 日射量(実測値)と日射量(計算値)の差の平均誤差

RMSE 日射量(実測値)と日射量(計算値)の差の標準偏差誤差

Mean Bias

(MB) 各地点の日射量と基準地点日射量の差の平均

UnbiasedRMSD

(URMSD) 各地点の日射量と基準地点日射量の差の標準偏差

(2)

4-2. 時別アンサンブル平均日射量の再現性

時間平均日射量解析では、客観的に雲の影響を捉える ため晴天指数を用いた。

地上に降り注ぐ日射量(日積算量)

大気上空に入る日射量(日積算量)=晴天指数

晴天指数の分類として、晴天指数0.65以上(Clear-sky)、

晴天指数0.65未満0.3以上(Cloudy)、晴天指数0.3未満 (Overcast)の3分類で解析した。

晴天指数のレンジ毎と実測値との平均誤差を、雲微物理 モデルなし解析を加えたシミュレーション結果を表 4、

表5に示す。

4. WRF3.7.1 MBE解析結果 (上が夏期2013 / 7.1~2013 / 8.31解析結果 下が冬期2013 / 12.1~2014 / 2.28解析結果)

5. WRF3.7.1 RMSE解析結果 (上が夏期2013 / 7.1~2013 / 8.31解析結果 下が冬期2013 / 12.1~2014 / 2.28解析結果)

解析結果より、Clear-sky では夏期冬期ともにいずれ のモデルを用いた場合でも、日射量時系列を精度良く再 現可能であった。Overcast時では、先行研究と同様、全 体的に実測値を過大評価し、雲量を過小評価した。また、

モデル間の差が大きく示され、雲をモデル内で予測する 雲微物理モデルの差が見られた。さらに、Thompsonモ デルとLinモデルの晴天指数レンジ毎のMBEは、夏期 86.18W/m²、冬期 11.91W/m²、RMSE では、夏期では 最大 56.0W/m²、冬期では最大 7.25W/m²程度の差が見 られた。

時別アンサンブル平均日射量の再現性では、Lin モデ ルが他のモデルに比べ、誤差が小さく再現性がある結果 となった。

4-3. 日射量の地点間差異の再現性

地点間差異解析では、大阪管区気象台に近接している、

追手門の日射量測定値と各測定地点を比較対象とし解析 した。

1. 夏期の追手門を基準とした晴天指数・

地点別日射量のMean bias及びURMSD(Thompsonケース) (同グループ内は左から基準地点から遠ざかる順での各観測地点

□は実測値のMB、△はThompson計算値のMB

Ⅰは実測値のURMSD、網掛けはThompson計算値のURMSD)

2. 冬期の追手門を基準とした晴天指数・

地点別日射量のMean bias及びURMSD(Thompsonケース) (同グループ内は左から基準地点から遠ざかる順での各観測地点

□は実測値のMB、△はThompson計算値のMB

Ⅰは実測値のURMSD、網掛けはThompson計算値のURMSD)

解析結果より、MB、UnbiasedRMSDともに基準地点 から遠ざかる程ばらつきがあり、測定値の傾向を捉えて いる。地点間日射量の再現性では、モデル間の差はほと んどないが、Thompsonモデルでは、Overcast時に実測 値に近い結果を示した。

5. まとめと今後の課題

晴天時では、雲微物理モデルによる日射量への影響感 度は小さく、いずれのモデルを用いても再現可能である が、曇天時では、雲微物理モデル間での差が生じ、感度 の増大が認められた。また、大阪での日射量地点間差異 の統計的傾向では、いずれの雲微物理モデルを用いた場 合でも概ね再現可能であった。さらに、解析に用いた複 数の雲微物理モデルは、大阪での実測の日射量時系列や その地点間差異の再現性に関して、ある特定の雲微物理 モデルが常に最良の精度を示すとは限らず、一長一短の 性能を示すことも確認した。

今後の課題として、より多くの雲微物理モデルを用い た感度実験が必要であると考えた。実用化に向けて、bin モデル等の計算を行い、より多くの雲微物理モデルを用 いた更なる感度実験を行い、雲微物理モデルの選択の事 例が蓄積されることにより、今後の研究の参考になる。

6. 参考文献

1) 山川 他 7 名, 日射空問偏差と電力需要の再現性に着 目した都市気象・建物エネルギー連成数値モデルの検 証 気象学会_秋季大会予稿, 2015.

2) 引地裕基, 大阪都市圏での通年・高密度日射観測にも とづく都市気象・建物エネルギー連成数値モデルの検 証 明星大学修士研究論文, 2013.

Referensi

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