微分積分学・同演習B(2011年1月17日) http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~shirai/calculus2010/
学籍番号: 氏名:
問題25. (i)関係式F(x, y) = 0 によって陰関数y=f(x)が定まるための条件を述べよ.
(ii) (i)で得られた陰関数y=f(x)をF(x, y) = 0に代入して得られる関係式F(x, f(x)) = 0を xについ て微分することにより,f′(x)を求めよ.
問題26. 関係式y= 1 +xey によってy=f(x)の形で陰関数が定まる点の条件を求めよ.また,そのとき,
dy
dx を計算せよ.また,この関係式が定める曲線の(x, y) = (−1,0)における接線と法線の方程式を求めよ.
問題27. 関係式F(x, y) =x3−3xy+y3= 0で定まる平面上の曲線について以下の問いに答えよ.
(i)陰関数がy=f(x)の形に表わせない点を求めよ.(ii)陰関数がx=g(y)の形に表わせない点を求めよ.
(iii) 特異点を求めよ.(iv)この曲線の概形を描け.(特に特異点のまわりの様子がはっきりわかるように
せよ.)
略解 25. (i)F(x, y) = 0かつFy(x, y)̸= 0が求める条件です.F(x, y) = 0は単に (x, y)が曲線上にある ための条件です.
(ii)F(x, f(x)) = 0をxについて微分すると合成関数の微分公式より 0 = d
dxF(x, f(x)) =Fx(x, f(x))dx
dx+Fy(x, f(x))df(x)
dx =Fx(x, f(x)) +Fy(x, f(x))f′(x).
よって,
f′(x) =−Fx(x, f(x)) Fy(x, f(x))
略解 26. 1◦) 関係式は F(x, y) = y−1−xey = 0 とみる.y = f(x) の形の陰関数が存在するため には,Fy(x, y) ̸= 0 でなければならない.F(x, y) = 0 と Fy(x, y) = 1−xey = 0 を同時にみたすのは (x, y) = (e−2,2)のときのみ.よって,(x, y) = (e−2,2)以外の曲線上の点ではy=f(x)の形の陰関数が定 まり,その微分は
dy
dx =−Fx(x, y)
Fy(x, y) = ey
1−xey (*)
2◦) (*)をもう一回xで微分すると,
d2y dx2 = d
dx ( ey
1−xey )
=eyy′·(1−xey)−ey·(−ey−xeyy′) (1−xey)2
= eyy′+e2y (1−xey)2
=e2y(2−xey) (1−xey)3 .
3◦) (−1,0)において dydx = 12 であるから,接線と法線の方程式はそれぞれ y=1
2(x+ 1), y=−2(x+ 1) となる.
注意. 1◦)は(*)で止めてもいいが,さらにもう少し進めることもできる.つまり,(x, y)が曲線上にあるこ とよりy= 1 +xey という関係があるから,xey=y−1 (またx̸= 0のときは ey=y−x1)である.よって,
dy
dx = ey 1−xey =
y−1 x
1−(y−1) = y−1
x(2−y) (x, y)̸= (0,1)
(x, y) = (0,1)のときは式(*)に直接(x, y) = (0,1)を代入するとdydx =eとなる.よって,(x, y) = (e−2,2) 以外の曲線上の点においては
dy dx =
y−1
x(2−y) (x, y)̸= (0,1) e (x, y) = (0,1)
略解27. まずFx(x, y) = 3(x2−y),Fy(x, y) = 3(x−y2)となることに注意する.
(i)F(x, y) = 0 (曲線上の点であるための条件)とFy(x, y) = 0 (y=f(x)の形に解けない条件)を同時にみ たす点はx3−3xy+y3= 0と x−y2= 0を同時にみたす.よって,xを消去すればy6−2y3= 0を得て,
(x, y) = (0,0),(√3 4,√3
2)が題意の点である.
(ii) (i)F(x, y) = 0 (曲線上の点であるための条件)とFx(x, y) = 0 (x=g(y)の形に解けない条件)を同時 にみたす点はx3−3xy+y3= 0 とy−x2= 0を同時にみたす.よって,y を消去すればx6−2x3= 0を 得て,(x, y) = (0,0),(√3
2,√3
4) が題意の点である.
注意:(ii)は「xとy の対称性に注意すれば,(i)とまったく同様にして(x, y) = (0,0),(√3 2,√3
4)が題意の
点である」とやってもよい.
(iii) (i)と(ii)の計算から特異点は(x, y) = (0,0)のみである.
-3 -2 -1 0 1 2 3
-3 -2 -1 0 1 2 3
図 3: x3−3xy+y3= 0 の概形
-2 -1 0 1 2
-2 -1 0 1 2
図 4: x4−4xy+y4= 0 の概形