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Ⅷ2. 中国の環境保護戦略

Dalam dokumen 北東アジア地域協力の 新たな連係 (Halaman 132-186)

(1) 中国の環境から生じる問題点

世界で最も人口の多い発展途上国である中国は、70年代末以 降、高度成長を続けてきた。これにより、先進国が100年に及ぶ 工業化の過程において段階的に経験した環境問題が、中国では過 去20年の高度経済成長期に集中的に出現した。環境と発展の対立 が日増しに際立つにつれ、資源の相対的な不足、脆弱な生態環 境、環境能力の不足などの諸問題が中国の発展過程における重大 な問題として次第に浮上してきた。中国の環境の問題点を一言で まとめると、「状況は深刻である」と表現できる。このような状 況を具体的にあらわす表現を以下に何点か挙げる。

「長期にわたって中国の経済成長方式が粗放であったため、汚 染物の排出総量が環境能力をはるかに超えた。」

「環境をコントロールする速度が破壊する速度に追いつかず、

長年の懸案が解決されないまま新たな汚染が増え続けている。」

「環境事故が頻繁に起き、環境紛争が増加し続けることによっ て、すでに環境問題は経済発展を制約し、市民の生活と健康に害 を与え、社会的不安定をもたらす重大な要因となった。」

「先進国では100年間の工業化の過程において段階的に出現し た環境問題が、中国では20年余りの高度経済成長期に集中的に出 現し、構造型、複合型、圧縮型の特徴を見せている。」

一方、中国工程院の院士で、中国環境マクロ戦略研究プロジェ

クト専門家チーム長の沈国舫氏は、具体的な数値を提示して中国 の環境問題の深刻性への懸念を示している。彼によると、中華人 民共和国建国後50年の間にGDPが約10倍成長したのに比べ、鉱山 資源の消費は約40倍成長した。その結果、資源の算出レベルは米 国の10分の1、日本の20分の1に過ぎないが、単位GDP当たりの 二酸化硫黄(SO₂)排出量と窒素酸化物の排出量は、先進国の8~

9倍にのぼる。また、経済規模が絶えず拡大を続けているため、

中国の受ける環境圧力は高まる一方である。そのため、発展計画 で確定した環境保護基準がきちんと遵守されておらず、問題が発 生している。実際に「第10次5ヵ年計画」で確定したSO₂の排出 量と化学的酸素要求量の基準値を再度上げており、2006年には、

単位GDP当たりのエネルギー消耗量を4%削減し、主要汚染物排 出量を2%削減するとした目標を達成できなかった。これは「第 11次5ヵ年計画」の目標の達成過程においても同様である。

(2) 中国の環境保護戦略

① 中国の持続的な発展戦略

中国は80年代末以降、持続的な発展戦略を立てるための方策に ついて研究し始めた。中国の持続的な発展戦略の基盤となる要素 は次の2点だ。一つは、伝統的な経済成長方式の転換、もう一つ は、環境保護戦略の立案と環境保護を国と地域の経済・社会発展 の戦略として真剣に考えることである。

中国は、国連環境発展会議の決議を履行するために、世界銀 行・国連開発計画(UNDP)・国連環境計画(UNEP)のサポー トのもと、様々な重要戦略や政策研究プロジェクトを完成した。

92年8月に採択した中国の環境と発展についての綱領的文献であ る「中国の環境と発展の10大対策」の第1項には「持続的な発展 戦略を実施」することとある。中国はこの戦略に基づき「中国の アジェンダ21」をまとめ、94年3月に国務院の批准を受けた。現 在のところ、国家レベルの「アジェンダ21」としては、同文献が 世界初である。96年3月の第8期全国人民代表大会第4回会議にお いて採択された「国民経済と社会発展に関する九五計画(第9次 5ヵ年計画)及び2010年長期目標要綱」では、経済システムと経 済成長方式の根本的な転換を提示し、「科教興国」と「持続的な 発展」を二つの基本戦略として確定した。同要綱は、この2つの 戦略を実施することは、向こう15年だけでなく、現代化の実現に おいて重要な意義を持つとした。また2000年には、環境汚染と生 態破壊の加速傾向を絶ち、都市と地域の環境を部分的に改善し、

2010年には生態環境の悪化状況を根本から変えて、都市と農村の 環境に確かな改善をもたらすことを目標として提示した。この他 にも様々な原則を示しており、中国の持続発展戦略の基本目標と 任務を提示している。

このような持続的な発展戦略の基本目標にしたがって、中国政 府は持続可能な発展のための戦略的システムを構築し、新たなメ カニズムを確立する措置を講じた。

第一に、環境保護と民主・法制建設を結合させて、持続可能な 発展に向けた法体系を確立する。これには次の3点が含まれる。

すなわち、持続的な発展の原則を経済法に反映させ、環境と資源 に関する法律を完成し、国際環境協定の基準に即するように国内 法を強化する。

第二に、市場経済の論理に従い、市場メカニズムを活用して環 境を保護する。このため経済改革を強化する一方で、資源の浪費 が大きく経済効率の低い国有企業への補助金を削減又は廃止し、

市場の需要と供給による天然資源の価格システムを確立して環境 税を導入する。

第三に、経済成長のニーズに応じて、公共投資を環境保護分野 へ転換し、企業が環境保護に投資するように導く。このため政府 は、清浄エネルギー、水資源保護や汚水処理、都市大衆交通、大 規模な生態建設への投資において、主導的な役割を発揮しなけれ ばならない。また、合理的な料金徴収や企業化運営を取り入れ、

その他の分野の資金が環境保護分野へシフトするように導くこと が必要である。このような方法を通じて、中国の環境保護投資が GNPの1~1.5%水準となるようにする。

第四に、新たなマクロ調節メカニズムを適用して、環境と経済 を結合させた総合解決メカニズムを確立しなければならない。こ こでの中軸となる内容は、経済と社会に関する政府の重要な解決 策、計画及びプロジェクトに対して、必ず一定の順序にしたがっ て環境評価を受けることを義務付け、政府に対する環境検査制度

を樹立しなければならない。

第五に、政府の体制改革の速度に合わせて、誠実かつ高効率的 でバランスのとれた環境保護行政システムを樹立し、多くの役割 を付加して、国の様々な環境プロジェクトを効果的に推進する。

② 中国の環境保護政策

中国の環境保護政策は、大きく分けて3つに分類される。第一 に、予防を主とし、防止と処理を結びつける「予防為主、防治結 合」である。この政策の主な目的は、大規模な経済建設を行う際 に、環境汚染と破壊を予防して処理することである。これを実現 するために、国と地方の中・長期および年間国民経済と社会発展 計画に環境保護の目標を組み込み、開発建設プロジェクトに対し て環境影響評価制度を導入する。そして、環境汚染と破壊を防止 して処理する施設を新たな生産設備と同時に設計し、同時に建設 し、同時に稼動する「三同時」制度を実施する。

第二に、汚染を引き起こした者に、汚染を処理させ、費用を負 担させる。これを実現するために、排出基準を超えて大気や水資 源などに汚染物を排出した企業や事業者から基準超過排出費を徴 収し、そのすべてを汚染処理に使用する。深刻な環境汚染を引き 起こした企業や事業者に対しては、期限内に処理するように取り 締まり、企業による技術開発と結びつけて工業汚染の防止とコン トロールに努める。

第三に、環境管理を強化する。この政策の主な目的は、政府と

企業の環境管理を強化することによって、不適切な管理による環 境汚染と破壊を抑制かつ低減させることである。これを実現する ために、環境保護に関する法規や基準システムをつくり、これを 徐々に向上させていく。また各級の政府に環境保護機構を設置 し、国と地方の環境検査ネットワークを構築する。地方の各級の 政府は「環境保護目標責任制」を実行し、重要な都市においては

「環境総合整理定量システム」を実行する。

③ 中国の環境マクロ戦略

中国の環境保護プロジェクトは、全面的かつ重点的に推進され る新たな段階に入った。このような特殊な段階において、「科学 技術で環境保護を活性化する戦略」(科技興環保)の全面的な実 施が要求されている。このためには次の3点において、歴史的な 転換がなされなければならない。すなわち、経済成長を重視して 環境保護をなおざりにした時代から、環境保護と経済成長を同等 に重視する時代へと転換し、環境保護が経済発展に比べて遅れて いた時代から、環境保護と経済発展が同時に発展する時代へと転 換し、主に行政的な方法によって環境を保護していた時代から、

法律、経済、技術など必要な行政方法を総合的に活用して環境問 題を解決する時代へと転換しなければならない。

このため、直面している環境と発展戦略の問題、汚染処理の法 則、環境科学の重要な基礎的問題等について全面的かつ体系的に 研究し、バランスのとれた環境保護戦略と対策を研究するため

Dalam dokumen 北東アジア地域協力の 新たな連係 (Halaman 132-186)