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Ⅷ5. 「北東アジア地域自治体連合」の役割の分析

の多様化が図られた13

② 基本理念と組織

「北東アジア地域自治体連合」の基本理念は、「北東アジア地 域自治体が互恵・平等の精神に基づいて、行政・経済・文化など すべての分野における交流協力を増進することによって、地域の 共同発展を目指すと同時に、世界平和に貢献する」ことにある。

むろん、このような基本理念は、国際社会向けの理想的なス ローガンの性格が強いが、実際においても協力案件の多様化や具 体的な活動が続けられてきた。

<図Ⅱ‐3>の組織図から分かるように、「北東アジア地域自治 体連合」では実務委員会の下に分科委員会を設けて、案件別によ る協力の強化と効果の最大化をはかるために、より具体的なシス テムを構築している。特に分科委員会の性格が非常に多様で、具 体的に構成されている。例えば、経済通商や文化交流のような包 括的な分野のほかに、環境、防災、一般交流等の具体的で現実的 な分野も含まれている。特徴的なのは、国境地域の協力や科学技 術協力といった北東アジアの特性にあった実践的な分野における 協力システムが設けられていることである14

13 北東アジア地域自治体連合ホームページ(http://www.neargov.org/app /RequestProcessor?event=SiteNearHistory.Click)。

14 北東アジア地域自治体連合ホームページ(http://www.neargov.org/app /RequestProcessor?event=SiteNearMajorSubCommitteHomepageMain.Click

&CD=06)。

<図Ⅱ-3> 「北東アジア地域自治体連合」の組織図15

総会 議長 会員自治体の首長

監事 国ごとに一人

事務局 事務総長

実務委員会 委員長、会員自治体の

局長級幹部

分科委員会 会員自治体の課長

防災 分科委員会

一般交流 分科委員会

国境地区協力 分科委員会

科学技術 分科委員会 経済通商

分科委員会

文化交流 分科委員会

環境 分科委員会

総会 議長 会員自治体の首長

監事 国ごとに一人

事務局 事務総長

実務委員会 委員長、会員自治体の

局長級幹部

分科委員会 会員自治体の課長

防災 分科委員会

一般交流 分科委員会

国境地区協力 分科委員会

科学技術 分科委員会 経済通商

分科委員会

文化交流 分科委員会

環境 分科委員会

しかしながら、その内容に関しては、これまでに共同協力に関 する案件についての十分な資料整理が行われていないため、名ば かりのシステムになってしまうことが懸念される。このような問 題は、各分科委員会のコーディネーターの自治体が、いかに積極 的に活動するかにかかっていると言っても過言ではない。

(2) 会員自治体

「北東アジア地域自治体連合」には、韓国、北朝鮮、中国、日 本、ロシア、モンゴルの計6ヵ国65自治体が参加している16。韓

15 北東アジア地域自治体連合ホームページ(http://www.neargov.org/app /RequestProcessor?event=SiteNearOrg.Click)。

16 北東アジア地域自治体連合ホームページ(http://www.neargov.org/app /RequestProcessor?event=SiteNearMemberMap.Click)。

国からは、釜山広域市、忠清北道、忠清南道、江原道、京畿道、

慶尚北道、慶尚南道、済州道、全羅北道、全羅南道が、日本から は、青森県、福井県、兵庫県、石川県、京都府、新潟県、島根 県、鳥取県、富山県、山形県などが、中国からは、黒龍江省、山 東省、河南省、遼寧省などが、ロシアからは、アムール州、チタ 州、イルクーツク州、カムチャツカ州、ハバロフスク州、ブリ ヤート共和国、サハ共和国、サハリン州などが参加している。モ ンゴルからは、セレンゲ·アイマグやトゥブ・アイマグが、北朝 鮮からは、咸鏡北道、羅先直轄市が参加している。

<図Ⅱ-4> 北東アジア地域の地方自治体

ロシア連邦

遼寧省 黒龍江省

山東省 河南省 中華人民共和国 モンゴル国

寧夏回族自治区

咸鏡北道 羅先市

サハリン州

カムチャツカ地方

沿海地方 アムール州

ハバロフスク地方 イルクーツク州

ウスチオルダ・

ブリヤート自治管区

ブリヤート共和国チタ州

サハ共和国

トゥブアイマグ セレンゲアイマグ ロシア連邦

遼寧省 黒龍江省

山東省 河南省 中華人民共和国 モンゴル国

寧夏回族自治区

咸鏡北道 羅先市

サハリン州

カムチャツカ地方

沿海地方 アムール州

ハバロフスク地方 イルクーツク州

ウスチオルダ・

ブリヤート自治管区

ブリヤート共和国チタ州

サハ共和国

トゥブアイマグ セレンゲアイマグ

自治体の会員数など数の面も重要だが、相互補完的、あるいは 密接な「唇亡歯寒」の関係をもつ会員自治体によって活発な交流 が行われているかどうかが、さらに重要である。今後、会員自治 体の数を増やすことに力を入れるよりも、交流の性格や効率性の 最大化に重きを置くことが必要である。

(3) 主な役割

「北東アジア地域自治体連合」は、総会、事務局、実務委員 会、分科委員会から構成されている。総会は、会員自治体の代表 によって構成され、最高議決機関として隔年で開催される。議長 は一人で、連合を代表し、次期総会を開催する自治体の首長がこ れを務める。任期は2年である。

事務局は、北東アジア通商交流事業、北東アジア親善交流事 業、北東アジア経済フォーラムの開催、NEAR実務者ワーク ショップの推進、NEAR対外広報物の製作、北東アジア伝統文化 フェスティバルの開催、交流協力の基盤強化、第6回山東省実務 委員会の開催、国際研修室の運営等の業務を行う。

実務委員会は、憲章第11条に基づき、以下の6項目をその機能 として規定している。すなわち、①事業計画及び開発プロジェク トの協議、②年次報告書及び会計報告書の検討、③会員自治体間 の意見調整、④分科委員会(構成、機能、運営方法など)の事項 の決定(98年9月に新設)、⑤総会で委任した事項の決定、⑥そ

の他必要であると認められる事項に関する業務を管掌する。

分科委員会は、連合で提案された個々のプロジェクトやタスク の円滑な推進をサポートし、各分科委員会の参加自治体が提案し た個別プロジェクトを検討、協議する。また各分科委員会は、活 動状況と結果を実務委員会に報告する役割を担う17

組織の主な役割について分析する際、組織内の各機構の有機的 な連関に着目することが必要だが、同組織における最大の問題 は、事務局と実務委員会の役割分担にある。事務局がすべての計 画を立案するのではなく、実務委員会レベルでも事務計画を立て ることができるため、拘束力や上下関係の設定において曖昧さが 露呈される。様々な国の自治体が集まる場では、利害関係が重要 な要因として作用するため、一貫した事業計画は、バランス維持 の面で非常に重要となる。したがって、自治体間の利益を最大化 し、互恵平等の関係を維持するためには、客観的な事業が一貫性 をもって計画され、推進されることが不可欠である。

6. 結論

釜山広域市は、小地域単位の北東アジア協力戦略を軸に、中 国、ロシア、モンゴル、日本、北朝鮮の地方や都市をつなぐネッ トワークを構築している。政治的には東西と南北を結び、中央政

17 北東アジア地域自治体連合ホームページ(http://www.neargov.org/app /RequestProcessor?event=SiteNearMajorGeneralAssembly.Click)。

府よりも自由な雰囲気で地域間協力を追求することができる。ま た一方で、釜山市の基本的な発展戦略は、東西南北の物流の中心 地として、そして大陸と海洋の関門として、「大地域」内におけ る「小地域」間の経済交流を活性化させることにある。小地域単 位の協力関係は、このような政治経済的な分野以外、つまり環 境、保健、エネルギー分野での協力においても具体性と実効性を 持っている。今後、このことは北東アジア地域協力の枠組み設立 において大きな役割を果たすだろう。

また、「北東アジア地域自治体連合」のような自治体の国際機 構は、小地域単位の協力システムの一層の強化と具体化を図る上 で、重要な役割を果たしている。同連合は、今後も自治体から絶 えず注目を受け、国家間において結成された国際機構と同様に、

政治経済的な影響力を大いに発揮するだろう。

むろん、北朝鮮のように強い中央集権的な社会では、地方自治 体の役割が国際社会レベルまで発展することは難しい。しかし、

前述の通り、北朝鮮からも咸鏡北道と羅先直轄市が「北東アジア 地域自治体連合」に参加しており、ある程度の小地域単位の協力 関係は行われていると評価できる。

【参考文献】

任徳淳『地政学』法文社、1999年。

釜山港湾公社ホームページ。

釜山・鎮海経済自由区域ホームページ。

釜山発展研究院ホームページ。

北東アジア地域自治体連合ホームページ。

III

北東アジア地域協力における 日本の地方自治体の役割

三村光弘 (環日本海経済研究所)

1. はじめに

これまで、北東アジア地域における協力について、多くの議論 がなされてきた。その中には、国連開発計画(UNDP)の豆満江 開発プログラム(TRADP)のように、国際機関や中央政府が主 なプレーヤになって推進するものが主体であったように思う。し かし、日本と北東アジア地域の各国・地域との実際の協力の趨勢 を見ると、中央政府が関与しているものと同時に、地方自治体

(地方政府)が行っている協力プログラムも数の点やその波及効 果から大きな存在力を持っている。

開発の目標が、ハードインフラの整備であった時期には、道路 や鉄道、ダムといった中央政府が推進する、規模の大きいインフ ラ整備事業が重要視されてきた。また、これらの大規模な事業 は、外交的な影響力も大きく、資金面でも、その実行段階におけ るノウハウの面でも中央政府が行うことが適当な事業であった。

しかし、近年の開発は、人間開発や「人間の安全保障」といっ た、個々人の生存環境を改善し、その生活を豊かにする開発が重 視されている。このような開発の視点から見ると、貧困、紛争、

地雷、難民問題、麻薬、感染症、環境破壊、自然災害など人間に 対する様々な脅威をなくし、あるいは管理するプロジェクトが必 要とされるようになってくる。

日本において、このような生活に密着した行政は、主に地方自 治体によって担われてきた。日本の工業化、近代化には、華々し