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Ⅷ3. 北東アジア地域における経済及び安全保障協力の原動

Dalam dokumen 北東アジア地域協力の 新たな連係 (Halaman 186-200)

力としてのエネルギー分野の協力:理由、利益、可 能な分野

北東アジア地域は、巨大なエネルギー市場と広範な地域に及ぶ エネルギー資源を保有しているが、散在するだけで一つにまと まっていないという点において、特異性を持っている。しかし、

地域各国のエネルギー政策の優位性からも裏づけされるように、

このような環境は、地域諸国によるエネルギー協力を余儀なくさ せている。エネルギー協力を導く北東アジア地域の特殊性は、以 下のように要約される。

第一に、協力を自ずと導く経済資源の相互補完性である。北東 アジア地域協力の伝統的な方法は、各参加国がそれぞれの相対的 な利点を生かすことによって、利益を得るということだ。すなわ ち、ロシアは資源、中国と北朝鮮は労働力、日本と韓国は投資と 技術を投じて、利益を得ることができる。

第二に、北東アジア諸国のエネルギー生産・消費パターンにお ける相互補完性である。ロシアは域内において、高品質で大量の エネルギー資源を輸出できる能力を持つ唯一の国だ。日本と韓 国、そして中国においても、各国のエネルギー資源の埋蔵量で自 国のエネルギー需要をまかなうのは、ほぼ不可能であり、特に中 国の場合、エネルギー消費構成が望ましくない。

Countries, Khabarovsk: RIOTIP, 2007.

第三に、北東アジア諸国のエネルギー及び経済政策の相互補完 性である。ロシアは、東部地域に未開発の豊かな開発資源を保有 しており、東シベリアと極東地区における景気不振の脱却に向け て、その資源潜在力の利用を図っている。ロシア政府は、ロシア の国際的な重要性の増大を図り、域内でのロシアの地位を向上さ せる一方で、エネルギーの輸出地域をヨーロッパからその他の地 域へシフトするなどの多角化を模索している。一方、北東アジア 地域の主要国では、地域のエネルギー需要の急増に対して懸念し 始めている。特に中国では、石油及びガス輸入における中東地域 への依存増大、輸送路問題によるエネルギー供給中断の可能性の 高まり、世界的・地域的な環境問題の悪化に関心を寄せている。

第四に、地政学的近接性である。北東アジア諸国は地域内に密 集している。ロシアは中国、北朝鮮と同じ大陸で国境を接してお り、日本とは海上境界線を挟んで近接している。したがって、す べてのエネルギーインフラ協力構想は、約2,000キロメートル範 囲内で実施が可能である(東シベリアは除外する)。

第五に、域内エネルギーインフラ協力プロジェクトの商業的実 現可能性と技術的可能性である。事前実現可能性と実現可能性に ついてのここ数十年の多くの研究において、地域内エネルギー協 力構想計画の合理性が認められている。

第六に、北東アジア地域における資本集約的エネルギーインフ ラの欠如である。北東アジア諸国は、需給連鎖の果てに、莫大な インフラ費用を要するエネルギー部門の集中開発問題に直面する

と予測されている17。実際に、大規模なエネルギー協力プロジェ クトの経済的利益を活用することによって、計画された各国の投 資需要を減らすことができる。

ここ数年、様々なエネルギー協力プロジェクトをめぐり議論が 交わされている。エネルギー協力構想の分野は、以下の通りだ。

− 北東アジア地域(主にロシア東部地域)のエネルギー資源に 対する共同調査及び開発

− 原油、LNG、石炭の輸送拠点をはじめ、北東アジア地域の石油 及びガス幹線や地域横断的なガス供給網などの共同建設、

運営及び管理

− 効率的利用のための新たな石油・ガス処理設備、化学施設、

共有予備精油施設の建設

− 石油保管施設の共同設立及び利用、備蓄及び緊急時対応プロ グラムの共同実施

− 火力・水力・原子力発電所と伝送回線の共同建設による相互 電力網連結の共同実施

− 国家及び地域の流通・販売システムの共同運営・管理を通じ たエネルギー資源の集中的取引

− 共同核廃棄物管理、次世代原子力技術の共同プログラム

17 IEAの予測によると、北東アジア地域のエネルギー部門は、2001年か ら2030年の間に世界のエネルギー投資の総額(16兆ドル)の約26%

(4兆3,030億ドル)を占めると見込まれる(ロシアは1兆500億ドル、

中国は2兆2,530億ドル、日本と韓国を含むOECD Pacificは1兆ドル)。

東シベリアとロシア極東地区は、地域探査及び開発をはじめとする投 資ニーズは推定2,000億ドルと予測される。今後10年間の中国のエネ ルギー投資ニーズは、7,000~7,250億ドルと推計される。

− エネルギー効率化技術の共同設計及び共有、汚染管理技術の 普及

− 再生可能なエネルギー協力(技術及び資源開発)

今後、エネルギー問題に関する協力を促進することによって、

持続可能な社会・経済開発を目指す北東アジア地域が直面する課 題のうち、最も緊急の問題を緩和ないしは排除することができる だろう。輸出燃料・資源の多様化、確実な輸送経路とシステムの 確保、周辺国とのエネルギーインフラ連結、緊急時のエネルギー 供給の切り替えを可能にする共同保管施設、参加国によるエネル ギー部門開発への相互参加を通じて、安定したエネルギー供給の 確保が予想される。

「量的確保」は、エネルギー効率の改善、環境負荷の小さい技 術の導入、エネルギー供給費用の削減、物価変動への脆弱性の低 減、市場自由化の促進を通じたエネルギー供給の「質的改善」に よる幅広いエネルギーの経済的利益によって、可能になると見込 まれる。

最後に、北東アジア地域のエネルギー協力は、相互信頼及び経 済連携の強化など、地域の相互依存を深め、呼び水効果をもたら すことにより、北東アジアの地域統合へ向けて前進することがで きる。エネルギーが持つ地政学的資源としての特徴を生かせば、

北東アジア諸国は、現在のように非生産的でいるよりも、資源利 用において多国間協力の枠組みを提供することで、域内の国際的 な緊張を緩和することができる。地域のエネルギーネットワーク

(電力、天然ガス)の構築に向けた地域的努力の強化を図ること は、北朝鮮の国際社会への参加や北朝鮮の経済再建、南北朝鮮の 協力の促進剤となるだろう。

4. 北東アジア地域におけるエネルギー協力の基盤としての ロシア極東地区のエネルギー計画

ロシアは、客観的な事実に基づき、北東アジア地域のエネル ギー協力の構築を支える軸として見なされている。現在、議論、

建設、実行段階にあるロシアのエネルギー資源導入プロジェクト の大部分は、北東アジア経済圏に属するロシア極東地区(REF)

に位置している。

(1) エリガ(El’ga)炭田開発プロジェクト

エリギンスコエ(El’ginskoye)鉱床は、サハ共和国(ヤクーチ ヤ)東南部の離れたところに位置し、最大規模の埋蔵量(約20億 トン)を誇る高品質の軟質炭を有する。

同プロジェクトの実現可能性についての最新の研究は、米国の ボイド社(John T. Boyd)によって行われている。主な点は、次 の通りにまとめられる。エリギンスコエ鉱床は、最大規模の石炭 採掘場として強大な能力を持ち、量的・質的にも世界級である。

同鉱床開発により年間2,000~2,500万トンの石炭採掘が可能とな り、経済的に得策である。市場調査によって、エリガ炭の北東ア

ジア市場参入の可能性が明らかにされている。エリガ炭田では、

一般炭の場合年間1,500万トン、原料炭の場合年間500万トン以上 の採掘が可能である。

鉱 床 北 西 部の セ ク ターの開 発 権 益は、エ リ ガ ウ ゴ ル社

(El’gaugol)が有している。現在、同企業の主要株主は、ヤクー チヤ(39.4%)、ロシア鉄道(JSC “Russian railways”、29.

5%)、そしてイースト・ビルディング・コントラクト社(JSC

“East building contract corporation”、28.8%)となっている。

2007年末にヤクーチヤとロシア鉄道の持ち株を競売にかけること は、すでに承認されている。

(2) サハリン大陸棚における石油・ガス開発プロジェクト

サハリン地域では、「生産分与契約」による2つの大規模な石 油・ガス開発プロジェクトが現在進行中だ。「サハリン~Ⅰプロ ジェクト」は、サハリン島北東部大陸棚の3油ガス田であるチャ イウォ(Chaivo)、オドプト(Odoptu)、アルクトゥン・ダギ

(Arkutun‐Dagi)を開発対象としている。総可採埋蔵量は、石 油が3億700万トン(23億バレル)、天然ガスが4,850億立方メー トル(17兆1,000億立方フィート)を上回る。同プロジェクト は、4段階に分けて進められる予定だ。第一段階の目標は、チャ イウォ、オドプト鉱床における油田とハバロフスク地方の国内需 要用に制限されたガス田(生産量は年間最高30億立方メートル)

の開発である。

同プロジェクトは、権益比率30%の米国のエクソン・ネフテガ ス社(Exxon Neftegas Limited)がオペレーターとなり、日本の サハリン石油ガス開発(SODECO、30%)、インド石油天然ガ ス公社(ONGC、20%)、そして2社の子会社を含むロシアのロ スネフチ社(JSC “Rosneft”、計20%)といったエネルギー企業 から構成される国際コンソーシアムによって運営されている。プ ロジェクトの投資総額は170億ドルで、2006年上半期末現在まで に66億ドルが投資されたとオペレーターにより推計されている。

2006年のプロジェクト開始により、石油・ガスの生産が行われて いる。

「サハリン~Ⅱプロジェクト」は、サハリン島大陸棚のピリ トゥン・アストフスコエ(Piltun‐Astohskoe)とルンスコエ

(Lunskoe)油ガス田の開発構想である。総可採埋蔵量は1億 4,000万トン(10億バレル)、天然ガス5,500立方メートル(19兆 4,000億立方フィート)だ。同プロジェクトのオペレーターはサ ハリン・エナジー社で、ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell、27.5%マイナス)、三井物産(12.5%)、そして三 菱商事(10.0%)、ガスプロム社(50%超過)がその株主となっ ている18

1999年に始まったプロジェクトの第一段階は、非凍結期でのピ

18「ガスプロム社「サハリン~Ⅱ」シェル保有株式の買収を中断」󰡔NGV ニュース』2007年4月17日。[ロシア語]

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