Ⅶ3. 北朝鮮の戦略的対応
4. 李明博政府の三大統一構想
A. 哨戒艦事件による北への対抗措置
□ 李明博大統領は、「5.24国民談話」 で哨戒艦攻撃に対する北朝鮮
□ 北への対抗措置の中心的内容。
▲北朝鮮船舶に対する韓国海上交通路の封鎖
▲南北交易・交流の中断
▲北朝鮮の挑発に対する積極的抑制の原則堅持
▲哨戒艦事件に対する国連安全保障理事会への上程など
□ 金剛山での観光客銃撃死亡事件、開城公団での韓国人勤労者の
抑留、北朝鮮による2度目の核実験強行など、これまで北朝鮮が南
北関係を壊し続けてきたにもかかわらず、
- <韓国としては> 乳幼児など、脆弱層に対する人道支援は行ってき
ており、今後も続けていく。
□ 「大韓赤十字社」 は、北朝鮮の要請にしたがって、コメ5000トンとセメ ント・ラーメン·医薬品など水害の救護物資を送ることを決定(8.13)、 実行した。
◦ 北朝鮮: 韓国政府に対する猛烈な誹謗と脅迫を続けた。
- 朝鮮中央放送 (8.14); 李明博大統領を 「逆賊一味」 と非難 - 朝鮮中央放送 (8.16); 李明博大統領を 「逆徒」、韓国政
府を 「傀儡」 と呼んで非難。
B. 三大 共同体の統一構想
□ 李明博大統領は、2010年「8.15光復節」 の祝辞で「置かれている分断 状況から平和統一を目標にしなければなにない」 ことを力説し、「平和·経
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済·民族」 の三大共同体の概念を具体的な統一構想として提示した。
(1) 背景
□ 若い世代の統一に対する夢とビジョン、意志などを強める。
◦ 若い世代の一部には、「ドイツ統一などにみられる莫大な統一費用
」に対する認識のせいで、「統一」 よりも 「分断体制下の不安定 な平和共存」 を望んでいる。
□ 統一論議の活性化。
◦ 分断管理や平和共存に力点をおいた前政権の北朝鮮政策の限
界を反省。
- 北朝鮮の経済と食糧問題の悪化
- 北朝鮮の核開発及び核保有国追求
- 金正日の健康異常と世襲後継者体制問題など。
◦ 不安定な平和共存の分断状況を克服し、統一へ向かうべきだとい
う主張を強く提起。
- 政策目標を分断管理及び平和共存から統一に転換すべきとい う主張を提起。
◦ 先進化による韓国の発展を追求することは、時代的な課題であり、
- 統一は、これを実現していく過程で解決しなければならない重要
□ 消極的分断管理から積極的な統一準備へと転換。
◦ 政策目標を分断管理及び平和共存から統一へと転換
- 統一に備えた人的、物的、政策的力量の強化
◦ 「統一税」 は統一のための財源調達の本格的準備
- 統一基金の本格的準備
□ 統一推進構想を現実に合わせて体系化。
◦ 超党派的論議と国民的合意による 「民族共同体統一案」(1994)
が作られた後、「民族共同体統一案」 は金泳三政府、金大中政
府、盧武鉉政府、李明博政府の統一方案として継承された。
表 Ⅰ-2 「民族共同体統一案」(1994)の中心内容及びその特徴
(1) 統一哲学: 自由民主主義
(2) 統一に対するアプローチの視点: 民族共同体建設を通じた統一国家 の建設
◦経済共同体、社会文化共同体、政治共同体の建設により「1民 族1国家1政府」の統一国家の建設
- 経済共同体と社会文化共同体は機能的に相互作用 (3) 3段階統一案: 斬新的で段階的接近
「和解·協力段階」 → 「南北連合段階」 → 「統一国家段階」
◦ 「民族共同体統一案」 を継承しつつも、変化した内外情勢と南北関
係の状況を反映させ、発展を追求。
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- 朝鮮半島の非核化による平和定着が最も早急で最優先の課題
- 「和解·協力段階」 の推進から必要な行動計画を 「平和共同体」
「経済共同体」 の実現の方向へ具体化
◦平和統一のための課題を具体化
- 平和、経済、民族共同体は平和統一を成し遂げるための三大課題
(2) 主な内容と特徴
表 Ⅰ-3 三大共同体統一構想の主な内容
平和 共同体
∙目標: 非核化による朝鮮半島の実質的な平和定着実現
∙戦略: 「グランド・バーゲン」, 「朝鮮半島新平和構想」
経済 共同体
∙目標: 南北経済の相互依存増大と経済統合推進を通じた北朝 鮮の経済開発と支援
∙戦略: 「非核·開放·3000」 プロジェクトの
- 国際社会との協力を本格稼動すると同時に経済·教育·財政·
インフラ·生活向上など五大プロジェクトを推進
民族 共同体
∙目標: さまざまな分野の同質性回復、民族全体の尊厳と基本権 を保障、民族全体の生活の質の向上
∙戦略: 制度統合と価値統合の並行
□ 平和共同体、経済共同体、民族共同体は段階的な先後関係では なく、相互重層的に進行するもの。
◦平和共同体、経済共同体、民族共同体は機能的に相互作用しな がら、シナジー効果を創出。