Shohyo : Fujita Mafumi cho Gifuto saihaitatsu : terebi tekusuto bunseki nyumon Serika shobo 2006nen
Teks penuh
(2) 書評. 書評:藤 田. 真文著. 『ギ フ ト、 再 配 達― テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 入 門 』 せ り か 書 房 、2006年. 小林. 直毅. メ デ ィ ア 研 究 、 テ レ ビ研 究 と して の テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 と は 、 い っ た い ど の よ う な 試 み な の か 、 そ して 、 どの よ うな 課 題 に 向 き 合 う こ と に な る の か 。 こ の 点 を 明 ら か に し よ う と して 、 著 者 は 、1997年4月. か ら6月. の 毎 水 曜 日夜9時. か ら、 フジ テ レ ビ系列 で放 送 され た テ レ ビ ド. ラ マ 『ギ フ ト』 の テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 を 進 め て い る 。 副 題 に あ る テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 門」 とは、 そ の意 味 で の. 「入. 「 入 門 」 な の で あ る。. 取 り上 げ る テ レ ビ ドラ マ は 『ギ フ ト』 で な け れ ば な らな か っ た 。 ナ イ フ に よ る傷 害 致 死 事 件 を 起 こ した19歳. の 少 年 が 、 『ギ フ ト』 の1シ. ー ン が ナ イ フ を 購 入 す る き っ か け に な っ た と手 紙. に 書 い た 。 そ の こ と で 、 『ギ フ ト』 は 社 会 的 非 難 を 浴 び 、 再 放 送 が 中 止 され 、 レ ン タ ル ビデ オ 店 か ら も ビデ オ が 撤 去 され 、 「 社 会 的 に 抹 殺 され た ドラ マ 」(11頁)と れ た 『ギ フ ト』 を 社 会 的 に 救 出 す る た め に 、 「(R.)バ. な っ た か らだ。 抹 殺 さ. ル トの い うテ ク ス トの 『多 様 性 』 と. 『複 数 性 』 を 限 り な く追 求 」 し 、 「 様 々 な読 み 方 の一 つ にす ぎ な い」 少 年 の. 「 読 み 」 を理 由 に. 「『ギ フ ト』 を 社 会 的 に 抹 殺 す る の は い か に も 不 当 で あ る こ と を 明 ら か に 」(12頁)す. る こ と。. これ が 本 書 の 重 要 な ね ら い で あ る。 同 時 に そ れ は 、 テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 が 向 き 合 う一 つ の 具 体 的 な課 題 に ほか な らな い。 当 時 、 『ギ フ ト』 の 社 会 的 抹 殺 は か な り話 題 に な っ た が 、 多 く の 人 び と は 、 そ れ す ら も忘 れ て い る 。 さ ら に 、 『ギ フ ト』 自体 が ど の よ うな ドラ マ で あ っ た の か 、 記 憶 に 残 っ て い る 人 も 多 く は な い 。 「社 会 的 抹 殺 に は 特 定 の ドラ マ が 遭 遇 す る が 、 忘 却 は す べ て の ド ラ マ に 関 わ っ て く る 」(12頁)。. テ ク ス ト分 析 と は 、 「再 一読 」 に よ っ て テ ク ス トの 「多 様 性 」、 「 複 数 性 」 を追求. す る の と 同 時 に 、 「物 語 を 投 げ 捨 て る(テ い う提 案 」(10頁)で. レ ビ な ら 「見 捨 て る 」 だ ろ うか)習. あ る。 それ ゆ え、 この. 慣 をや め よ うと. 「 再 一読 」 と し て の テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 の 試 み. は 、 「ドラ マ を 忘 却 か ら 救 出 す る 行 為 」、 「テ レ ビ ドラ マ と い う も っ と も 現 代 的 な も の を 対 象 に した 、 考 古 学 的 な 営 み 」(14頁)と. な る。 著 者 が 主 張 す る テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 と は 、 文 化 と. して の テ レ ビ ドラ マ が 易 々 と捨 て 去 ら れ た り、 特 定 の. 「読 み 」 を 理 由 に 社 会 的 に 抹 殺 され た り. す る 現 状 に た い して 、 テ レ ビ ドラ マ に 徹 底 的 に 内 在 して 抵 抗 す る 試 み と も い え る だ ろ う。 何 気 な く 見 られ て い る テ レ ビ だ が 、 テ レ ビ ドラ マ を 見 る に は 、 決 ま っ た 曜 日 と 時 間 に テ レ ビ を 見 な け れ ば な ら な い 。 そ の と き 、 そ こ で 繰 り広 げ られ る 物 語 も 、 決 ま っ た 時 間 や 期 間 で 展 開 し な け れ ば な ら な い 。 当 た り前 の よ う に テ レ ビ ドラ マ が 見 ら れ 、 当 た り前 の テ レ ビ ドラ マ が 成 立 す る た め の 時 間 構 造 が あ る の だ 。 そ れ は 、 か な り複 雑 に 錯 綜 し た 時 間 で あ る 。 に も か か わ ら ず 、 テ レ ビ ドラ マ は 容 易 に 忘 れ 去 られ 、 ご く 限 られ た 「読 み 」 の. 107. 「 危 う さ」 を 理 由 に 抹 殺 され.
(3) 三 田 社 会 学 第12号(2007). る こ と さ え あ る 。 む しろ 、 テ レ ビ ドラ マ で 経 験 され る 世 界 の 時 間 構 造 が 自 明 性 を もっ こ とが 、 テ レ ビ ドラ マ を 捨 て 去 る こ と を 容 認 して い る の か も しれ な い 。 第1部. 「物 語 と し て の テ レ ビ ・. テ ク ス ト」 で は 、 こ う し た 時 間 メ デ ィ ア と し て の テ レ ビ の 特 性 や 、 テ レ ビ ド ラ マ の 現 在 性 (nowness)が. 、 テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 を つ う じ て 明 らか に され て い る 。. テ レ ビ ドラ マ は 、 一 回 で 完 結 す る 単 発 ドラ マ 、 主 要 な 登 場 人 物 は 毎 回 同 じ で 、 一 話 完 結 の テ ク ス トが 連 続 す る シ リー ズ ・ ドラ マ 、 回 を 追 っ て ス トー リー が 連 続 的 に 展 開 す る 連 続 ドラ マ の 三 っ に 大 別 され る 。 『ギ フ ト』 は 、 主 人 公 の 由 紀 夫 が 、 毎 回 奇 妙 な 依 頼 に よ っ て 届 け 物 を す る 「 一 話 完 結 の 『ミ ク ロ』 な 物 語 を 反 復 す る 『シ リー ズ ・ ド ラ マ 』 で あ る 」。 同 時 に 、 由 紀 夫 が 3年 前 に 失 っ た 記 憶 を 全11話. で 取 り戻 し て い く 「『マ ク ロ』 な 物 語 と い う点 で は 、(中 略)『 連. 続 ドラ マ 』 と も い え る 」(42頁)。. 『ギ フ ト』 の 物 語 の 統 辞 構 造 で は 、 届 け 屋 の 由 紀 夫 が 届 け 物. を す る 「現 在 」 の 物 語 と、 徐 々 に 回 復 され る 記 憶 に あ る. 「 過 去 」 の 物 語 と い う二 つ の 時 間 が 交. 錯 して い る の で あ る 。 登 場 人 物 の 範 列 構 造 か ら は 、 「現 在 」 と 「過 去 」 と の 関 係 に 、 さ ら に 「未 来 」 も加 え た 『ギ フ ト』 の 時 間 構 造 が 明 らか に な る 。 「『現 在 』 の 由 紀 夫 は 、 『過 去 』 の 物 語 の 中 で 、 自 ら の 『過 去 の 暴 力 性 』 が よ み が え っ て く る に し た が っ て 、 記 憶 を 取 り戻 す こ と に 恐 怖 を 覚 え る 」(80 頁)。 しか し 、 「 『現 在 』 の 物 語 で 出 会 っ た 人 々 が 与 え て くれ た 『現 在 』 の 人 格 に 対 す る 肯 定 」 に よ って 、 由紀 夫 は. 「記 憶 を な く した 後 、 『現 在 』 の 物 語 で 獲 得 し た 人 格=「. して 生 き る こ と を 選 択 す る 」(81頁)。. 早 坂 由紀 夫 」 と. ま た 、 こ の ドラ マ は 、 「 記 憶 を 取 り戻 した あ と の 由 紀 夫. が 語 る 思 い 出 話 」 と して 、 「『現 在 』 の 物 語 が 終 了 し た 後 」 の. 「 『未 来 』 の 物 語 」(42頁)を. 、. 由 紀 夫 が 語 り手 とな っ て 語 る 物 語 で も あ る。 そ れ ゆ え に 、 「 『未 来 』 の 語 り手 ・由 紀 夫 は 、 『過 去 』 の 物 語 と 断 絶 し、 『現 在 』 の 物 語 で 作 ら れ た 人 格 が 継 続 して い る 」(81頁)と. い う時 間 構. 造 が 『ギ フ ト』 で は 形 成 され て い る こ と に な る 。 テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 は 、 こ れ ほ ど ま で に 複 雑 に 交 錯 した テ レ ビ ドラ マ の 時 間 構 造 を 明 ら か に し て くれ る。 だ が 、 テ レ ビ ドラ マ を 見 る と き 、 人 び と は こ れ と い っ た 抵 抗 も な く 、 「 過 去 」、 「現 在 」、 「未 来 」 を 行 き 来 す る 。 こ の 点 に こそ 、 テ レ ビ ドラ マ の 時 間 構 造 の 自 明 性 が 見 出 され る。 そ れ は ま た 、 時 間 メ デ ィ ア と して の テ レ ビ の 特 性 と そ の 自 明 性 で も あ る。 『ギ フ ト』 で は 、 「 過去」 か ら 「 現 在 」 ま で の 物 語 だ け で3年 を. の 時 間 が経 過 し、 さ らに それ. 「 未 来 」 か ら 回 顧 し て い る 分 を 加 え た 時 間 が 経 過 し て い る 。 し か し 、 『ギ フ ト』 が 放 送 され. た 期 間 は1ク. ー ル3ヶ. 月 間 で あ る。3年. を は る か に 越 え る 物 語 を 、 毎 週 水 曜 日 の 夜9時. か らこ. の ドラ マ を 見 っ づ け る こ と で 、 「視 聴 者 が ドラ マ と と も に 『生 き て い る 』 と い う感 覚 」(130 頁)が. 生 成 す る 。 「ド ラ マ が 放 送 され た 日 か ら次 の 回 が 放 送 され る 一 週 間 の 間 、 視 聴 者 と 同 じ. 時 間 が ドラ マ の 中 で も 流 れ て い て 、 視 聴 者 は 一 週 間 後 の 出 演 者 に 出 会 う よ うに 思 え て く る 」 (130頁)よ 由紀 夫 の. うな 感 覚 、 これ が テ レ ビ ドラ マ の 現 在 性(nowness)に. ほか な らな い。. 「 記 憶 が 戻 る ま で の 三 年 間 を 等 しい 長 さ で 語 る の で は な く 、 そ れ よ り も短 い 時 間 に. 物 語 を 限 定 す る こ と で 、 放 送 され た 時 間(=1ク. ー ル 三 ヵ 月)に. 108. ほ ぼ 等 しい 時 間 が ドラ マ で も.
(4) 書評. 流 れ て い る よ うな 現 在 性 の 感 覚 」(135-138頁)が. 、 『ギ フ ト』 を 見 る こ と で 生 成 して い る の で. あ る 。 そ れ に よ っ て こ の ドラ マ は 、 複 雑 な 時 間 構 造 に も か か わ らず 、 当 た り前 の テ レ ビ ドラ マ と し て 、 さ した る違 和 感 も な く 当 た り前 に 見 られ 、 そ し て 当 た り前 に 忘 れ 去 られ て い る 。 こ こ で 留 意 しな け れ ば な らな い の は 、 テ レ ビ ドラ マ の 物 語 の 時 間 構 造 に し ろ 、 現 在 性 の 感 覚 に し ろ 、 あ る い は 時 間 メ デ ィ ア と して の テ レ ビの 特 性 に し ろ 、 わ れ わ れ の 経 験 す る 日常 の 時 間 が 、 じつ は 同 じ よ うな 時 間 に な っ て い る と い う点 で あ る。 著 者 は 、P.リ. クー ル を参 照 して 、. 「わ れ わ れ が 時 間 を と ら え よ う とす る こ と と物 語 が 深 く結 び つ い て い る 」(49頁)と. い う。 そ. して 、 「過 去 を 回 想 して い る 現 在 の 私 、 未 来 に 期 待 して い る 現 在 の 私 な ど の 形 で 、 物 語 の 統 辞 構 造 と 同 じ時 間 の 『戻 っ た り進 ん だ り』 を 、 私 た ち は ふ だ ん 何 気 な く して い る 」(50頁)と. い. うの だ 。 こ う した 複 雑 な 時 間 が ふ だ ん か ら 生 き ら れ て い る か ら こ そ 、 『ギ フ ト』 の 時 間 構 造 も 自 明 視 され 、 テ レ ビ ドラ マ の 現 在 性 の 感 覚 も生 成 す る 。 そ して 、 こ の よ う な 時 間 構 造 を 生 き る 視 聴 者 に 見 られ る こ と に よ っ て 、 『ギ フ ト』 は テ レ ビ ・テ ク ス ト と し て の. 「多 様 性 」、 「 複数. 性 」 を露 にす る。 第3部. 「テ レ ビ ・テ ク ス トと 視 聴 者 」 で は 、 『ギ フ ト』 の テ レ ビ ・テ ク ス ト と して の. 「多 様. 性 」、 「複 数 性 」 が 、 具 体 的 に 明 ら か に され て い る 。 ニ フ テ ィ(nifty)の テ レ ビ ドラ マ ・フ ォ ー ラ ム(FTVD)のBBSを 参 照 す る とい う方 法 に よ っ て 、 著 者 は 『ギ フ ト』 の テ ク ス ト的 な 多 層 性 を 提 示 す る 。 『ギ フ ト』 は 、 「同 一 曜 日の 同 一 時 間 帯 に テ ク ス トの 断 片 が 連 続 して 提 示 され る 『連 続 物 語 』」(213頁)の. テ ク ス トへ と織 り成 され る こ と も あ る 。 「『ギ フ ト』 と 『傷 だ ら け. の 天 使 』 『探 偵 物 語 』 の 相 互 テ ク ス ト性 を も て あ そ び 、 視 聴 の 快 楽 を得 よ う とす る 」(224頁) 視 聴 者 も少 な くな い。 こ の よ うに し て 、 視 聴 者 の 織 り成 す テ レ ビ ・テ ク ス ト と して の 『ギ フ ト』 の 「多 様 性 」、 「 複 数 性 」 を具 体 的 、実 証 的 に提 示 した こ とで、 著 者 の次 の よ うな主 張 は説 得 的 に な る。 「 読者 ・ 視 聴 者 が 読 み 取 っ た テ ク ス トは 、 読 者 ・視 聴 者 が 自 ら の 読 書 ・視 聴 行 為 に よ っ て 作 り上 げ た も の な の で あ る 。 そ こ に 読 者 ・視 聴 者 の 責 任 が 生 じ る 」(233頁)。. 「これ ま で の 低 俗 番 組 批 判 ・. テ レ ビ番 組 の 暴 力 表 現 へ の 批 判 は 、 『× × の 表 現 は 、 子 ど も の 精 神 や 行 動 に 悪 影 響 を 与 え る 』 な ど と テ ク ス トの 責 任 だ け を 問 題 に し て き た 。 だ が 、(中 略)テ. ク ス トの 意 味 は 視 聴 者 の 視 聴. 行 為 が な け れ ば 完 結 し な い し、 そ の 視 聴 行 為 の 結 果 構 成 さ れ る テ ク ス トは 多 様 で あ る 」(237 頁)。 した が っ て 、 「 制 作 者 や テ ク ス トは 、 そ の す べ て の 読 解 の 可 能 性 を 予 期 し て コ ン トロ ー ル す る こ と は で き な い 。 と い う こ と は 制 作 者 や テ ク ス トは 、(中 略)す. べ て の視 聴 の結 果 に 責任. を 負 う こ とが で き な い と い う こ と で も あ る 。 最 終 的 に 読 み と られ た テ ク ス トは 、 視 聴 者 の 責 任 に 帰 す べ き で あ る。 少 な く と も 、 視 聴 者 が 自分 の 読 解 が テ ク ス トの 影 響 で 成 立 し た と主 張 す る た め に は 、(中 略)『 ど う し て も × × と しか 読 め な い 』 と テ ク ス トの 責 任 を 確 定 す る 必 要 が あ る 」(238頁)。 『ギ フ ト』 の 社 会 的 抹 殺 は 、 「表 現 の 自 由 」 に た い す る抑 圧 で あ る。 こ の よ うな 抑 圧 が 問 題 な の は 、 無 前 提 に 「表 現 の 自 由 」 とい う理 念 が あ っ て 、 そ の 理 念 を 侵 害 す る か ら 問 題 な の で は. 109.
(5) 三 田 社 会 学 第12号(2007). な い 。 テ レ ビ ・テ ク ス ト と して の 『ギ フ ト』 の. 「多 様 性 」、 「複 数 性 」 が 、 「 表 現 の 自由」 に ほ. か な らな い 。 「表 現 の 自 由 」 と して 、 多 様 に 、 数 多 く展 開 さ れ る テ ク ス トの 読 み の そ れ ぞ れ は 、 そ れ ぞ れ の 視 聴 者 の 責 任 に 帰 す べ き も の で あ る 。 『ギ フ ト』 の1シ っ か け に な っ た とい うの も 、 テ ク ス トの. ー ン が ナ イ フ を購 入 す る き. 「多 様 性 」、 「複 数 性 」 の な か の 一 つ で あ り、 そ う した. 読 み を し た 少 年 の 責 任 に 帰 す べ き で あ る。 と こ ろ が 、 一 少 年 が そ の 責 任 を 負 うべ き 一 つ の 読 み の. 「 危 う さ」 だ け を 理 由 に 『ギ フ ト』 が 抹 殺 され た とい う事 態 は 、 テ レ ビ ・テ ク ス トの. 性 」、 「 複 数 性 」 と して の. 「多 様. 「 表 現 の 自 由 」 を 抑 圧 す る こ と な の だ 。 著 者 の 主 張 を 、 こ の よ うに 理. 解 す る こ とが で き る だ ろ う。 テ レ ビ番 組 だ け に 内 在 的 な 議 論 と思 わ れ が ち な テ レ ビ ・テ ク ス ト 分 析 が 、 じつ は 十 分 に 社 会 的 な 射 程 を も っ て い る こ と を 、 著 者 は こ の 本 で 提 示 し て い る の で あ る。 そ う した 優 れ た 著 作 で あ る だ け に 、 第2部. 「テ レ ビ ・テ ク ス ト と社 会 」 に お け る 論 考 は 、 逆. に そ の 社 会 的 な 射 程 の 短 さ、 具 体 性 の 乏 し さが 否 め な い 。 各 章 の 考 察 は 、 テ レ ビ ・テ ク ス ト分 析 が 社 会 的 、 政 治 的 な イ ッ シ ュ ー に ア プ ロー チ で き る と い う可 能 性 の 、 メ ニ ュ ー の 提 示 だ け に な っ て は い な い だ ろ うか 。 そ れ は 、 第10章. 「テ レ ビ ・テ ク ス トの 現 実 性 」 で 顕 著 に な る 。. 「 『ギ フ ト』 の 現 実 性 」 を 担 保 し て い る さ ま ざ ま な 事 象 一. 「 セ ク ハ ラ 」、 「た ま ご っ ち 」、 「 携帯. 電 話 の 呼 び 出 し音 」、 具 体 的 地 名 、 「 臓 器 移 植 」、 「 公 金 横 領 」、 「南 米 」 一 が 、 列 挙 され て い る だ け の よ うに 思 わ れ る 。 著 者 は 、 こ の 章 で 、 新 歴 史 主 義(ニ. ュ ー ・ヒ ス ト リシ ズ ム)に. 論 及 し 、 そ れ を 「文 学 作 品 と. 書 か れ た 当 時 の 他 の 様 々 な 『言 説 』 と の 関 連 性 を 検 証 し よ う とす る 」(192頁)試. み と してい. る 。 こ れ を 積 極 的 に 展 開 し よ う とす る な ら、 例 え ば 、 「 セ ク ハ ラ 」 を め ぐ る1997年. 当時 の言 説. が 、 『ギ フ ト』 に お い て どの よ う に 編 制 さ れ て い た の か 、 ま た 、 視 聴 者 が 織 り成 す テ レ ビ ・テ ク ス トに お い て どの よ うに 編 制 され て い た の か と い っ た 点 に つ い て の 、 具 体 的 な 検 証 が 必 要 に な る だ ろ う。 と は い え 、 こ れ も 、 あ く ま で も 『ギ フ ト、 再 一再 配 達 』 へ 向 け て の. 「 残 され た課 題 」 にす ぎ. な い 。 「テ ク ス ト分 析 に 何 が で き る の か 」、 「テ ク ス ト分 析 は テ レ ビ を め ぐ る 制 度 的 、 政 治 的 問 題 を 論 ず る こ とが で き る の か 」 とい う批 判 的 問 い に 、 こ の 本 は 十 分 に 応 じて い る の だ か ら。. [本 体 価 格2,415円]. (こばや し. 110. なお き. 長 崎 シ ー ボル ト大 学 国 際情 報 学 部).
(6)
Dokumen terkait
Teknologi ini memiliki dua perangkat utama yaitu di sisi sentral (CT) dan di sisi pelanggan (RT). DLC merupakan perangkat yang memultiplexing sinyal keluaran dari
Bekerja dengan orang miskin untuk meningkat- j g g g kan produktivitas sumberdaya alam sehingga mereka dapat memperoleh keuntungan dari peluang ekonomi yang ada. peluang ekonomi
Lebih besarnya input dari pada output yang dihasilkan nantinya akan menyebabkan diseconomis of scale dan berdampak negatif terhadap masa depan perkembangan home
Menurut Pasal 21 ayat (1) Undang-Undang Nomor 36 tahun 2008 tentang perubahan keempat Undang-Undang Nomor 7 Tahun 1983 tentang Pajak Penghasilan, yang dimaksud pemotongan pajak
Untuk mengetahui apakah kualitas barang yang dibuat sesuai dengan standart atau tidak, maka perlu dilakukan pengandalian kualitas, jadi tujuan dari
Pada saat Peraturan Badan ini mulai berlaku, Peraturan Badan Penyelenggara Jaminan Sosial Ketenagakerjaan Nomor 4 Tahun 2015 tentang Mekanisme Penetapan dan Distribusi
Mayoritas pelajar pelaku tawuran berada pada kondisi lingkungan tempat tinggal dengan fasilitas hiburan yang relatif baik, dan cukup memiliki ruang pribadi,